JP2724213B2 - 耐パウダリング性および塗装鮮映性の優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板 - Google Patents

耐パウダリング性および塗装鮮映性の優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板

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JP2724213B2 JP18632189A JP18632189A JP2724213B2 JP 2724213 B2 JP2724213 B2 JP 2724213B2 JP 18632189 A JP18632189 A JP 18632189A JP 18632189 A JP18632189 A JP 18632189A JP 2724213 B2 JP2724213 B2 JP 2724213B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、例えば自動車、家電製品、建材等の様に成
形加工後塗装して使用される合金化溶融亜鉛めっき鋼板
に関し、殊に成形加工時にバウダリングを起こし難く且
つ優れた塗装鮮映性を示す合金化溶融亜鉛めっき鋼板に
関するものである。
[従来の技術] 鋼板を防食加工する手段としては、従来から亜鉛めっ
きが汎用されており、亜鉛めっきを施した表面処理鋼板
は自動車を中心として各種家電製品や建材等に広く使用
されてきた。また溶融亜鉛めっき鋼板を再加熱して亜鉛
めっき層を亜鉛−鉄合金めっき層に改質した合金化溶融
亜鉛めっき鋼板は、塗装性,塗装後の耐食性,溶接性等
が優れていることから、その使用量は増加の傾向にあ
る。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、めっき挿
を構成する亜鉛−鉄合金が硬くて脆いので、プレス加工
や曲げ加工等の成形加工時にめっき層が粒状に割れて剥
離する所謂バウダリング現象を発生するという問題があ
る。近年、防錆力強化という観点からめっき付着量を多
くする傾向にあるが、めっき付着量が多くすればする程
上記バウダリング現象が増加する傾向を示す。このバウ
ダリング現象は、めっき層剥離による耐食性劣化を招く
ばかりでく、剥離した粉末が金型に付着し、製品に対す
る押し疵の原因にもなる。
他方、前述の如き外板用鋼板においては、商品価値の
点から塗装仕上りの良否が重要な評価項目となってお
り、その中でも特に塗膜表面に物体を写した時の鮮明度
が重要視されており、この特性を一般に鮮映性と称して
いる。
ところで塗装面の鮮映性は、塗料の種類や塗装方法等
の影響もされことながら、鋼板自体の表面粗さによって
大きく左右される。即ち鋼板表面の細かな凹凸は塗料に
より埋めつくされてレベリングされるため実質的な悪影
響は殆んど現われないが、ある程度大きな凹凸(以下表
面うねりという)になると該表面うねりに沿って塗膜が
形成されるため反射光が散乱し、光沢が低下すると共に
鮮映性も悪化してくる。
合金化溶融亜鉛めっき用素地鋼板としては、従来ショ
ットブラスト法や放電加工法でダル仕上げしたロール
(以下、ダルロールと呼ぶことがある)で圧延したダル
鋼板や、研削したままのブライトロールで圧延したブラ
イト鋼板が使用されている。
ショットブラスト法や放電加工法によるロールのダル
仕上げではロール表面の粗さを正確に制御することがで
きず、細かい粗さを与えると同時に表面うねりが形成さ
れる。従ってダルロールで圧延した鋼板の表面にも細か
い粗さと表面うねりが共に与えられることになる。この
鋼板に合金化溶融亜鉛めっきを施すと、めっき層は鋼板
の表面うねりに沿って形成され、また合金化過程でのめ
っき層と鋼板間における亜鉛と鉄の合金化反応によって
細かい粗さと共に表面うねりも発生する。更に、めっき
付着量の部分的なばらつきによっても表面うねりが発生
し、この表面うねりがその後に施される調質圧延の後も
残存して塗装鮮映性に悪影響を及ぼすことになる。
こうして合金化亜鉛めっきに施した鋼板は、表面の平
滑化や降伏点伸びの防止を目的として、更に前記ダルロ
ールやブライトロールを用いて調質圧延を行なうのが一
般的であるが、軽圧下の調質圧延では前記うねりを消失
させることができずにそのまま残存する。尚調質圧延を
高圧下で行なった場合は、上記いずれのロールを用いる
場合も硬くて脆い合金化溶融亜鉛めっき層に亀裂を生
じ、その後の成形加工時にバウダリング現象が激しく発
生し、特にダルロールを使用したときはロール表面に存
在する大きな凹凸が新たに転写される為、鮮映性は一層
悪化する方向にある。尚ブライト鋼板に合金化溶融亜鉛
めっきを行なった後、ダルロールやブライトロールで調
質圧延する場合は素地鋼板に形成されている表面うねり
が若干減少調質することによって鮮映性の工場が期待さ
れる。しかし、ダル鋼板を高圧下で圧延する場合と同様
に、鋼板上に一様に形成された硬くて脆いめっき層がバ
ウダリングを起こす。
本発明はこうした多くの問題点を解決する為になされ
たものであって、その目的は、耐バウダリング性および
塗装鮮映性のいずれの特性にも優れた合金化溶融亜鉛め
っき鋼板を提供することにある。
[課題を解決する為の手段] 上記目的を達成し得た本発明とは、高密度エネルギー
ビームによるダル仕上げロールで圧延した素地鋼板上
に、片面当たり目付量が20〜100g/m2、めっき層中の鉄
濃度が8〜13重量%となる様に合金化溶融亜鉛めっきを
施した後、高密度エネルギービームによるダル仕上げロ
ールを用いて、めっき表面を伸び率0.1〜5%で調質圧
延した合金化溶融亜鉛めっき鋼板であって、素地鋼板の
圧延後における平地部の平面視面積率F1(%)と、めっ
き鋼板の調質圧延後における平地部の平面視面積率F
2(%)が夫々下記[I]および[II]式を満足すると
共に、素地鋼板の圧延の際と鋼板表面に転写されるダル
パターン列の板幅方向におけるピッチP1(μm)と、め
っき鋼板の調質圧延の際にめっき鋼板表面に転写される
ダルパターン列の板幅方向におけるピッチP2(μm)
が、下記[III]式を満足するものである点に要旨を有
するものである。
20≦F1≦80 …[I] 50≦F2≦80 …[II] [作用] 本発明者らは、色々な合金化めっき処理条件の下で、
耐バウダリング特性が素地鋼板の表面性状によってどの
様に影響されるかについて種々の角度より検討を進めて
きた。その結果素地鋼板の表面性状は耐バウダリング特
性を重大な影響を与えるということを知り、この知見に
基づいて素地鋼板の表面性状による影響の詳細を更に研
究をした。
連続溶融亜鉛めっきラインでは、冷延鋼板を素地鋼板
としてそのまま溶融亜鉛めっきラインに送入するか、場
合によっては(要求材質等の観点を考慮して)焼鈍およ
び調質圧延を経由させてから溶融亜鉛めっきラインに送
入している。こうした冷間圧延および調質圧延において
は、成形加工時に生じる型かじり(素地鋼板の金型への
焼付きをともなったむしれ状の損傷)を防止するため、
ダル仕上げロールで圧延して表面粗さを調整するのが通
例である。しかしながらショットブラスト法や放電加工
法で仕上げたダルロールを用いて圧延した鋼板では、型
かじり性と塗装鮮映性を両立させることが困難であり、
この両者を両立させるという観点から、レーザビームや
電子ビームの如き高密度エネルギービームでダル仕上げ
された圧延ロールを使用して素地鋼板表面に特異な形状
の凹凸を形成する技術が開発されるに至った。その概要
は下記の通りである。
即ちロールを回転させながら該ロール表面に向けてた
とえばレーザパルスを照射すると、第2図(A),
(B)に示す様にレーザ照射部の金属が溶融してクレー
タ1が形成され、その周りには溶融した金属が盛り上っ
て環状の凸部2が形成される。該クレータ1や凸部2の
ロール円周方向形成ピッチは、ダル仕上げ時におけるロ
ールの回転速度とレーザパルスの照射周期を変えること
によって任意に調整することができ、またロール軸方向
の形成ピッチはロール1回転毎のレーザ照射装置の移動
距離によって自由に調整することができる。またクレー
タ1の直径や深さ並びに凸部2の幅や高さは、レーザパ
ルスのエネルギーや照射時間によって変えることができ
る。そしてこの様な方法で表面にクレータ1や凸部2を
無数に形成したダル仕上げロール(以下、これをレーザ
ダル仕上げロールと呼ぶこともある)によって鋼板を圧
延すると、第3図(A),(B)に示す如くロールRの
凸部2は鋼板Pの表面に食い込んで環状凹部2aが形成さ
れると共に、この部分の金属はクレータ1方向へ盛り上
る様に流れ込み、略円形状の台地部1aが形成され、凸部
2より外側における未加工(即ちレーザエネルギーが与
えられなかった部分)の平坦部3で押し付けられた鋼板
Pの面は平坦な平地部3aとなる。かくして得られる鋼板
Pの表面は、略円形の台地部1aとこれをとり囲む環状凹
部2a、および台地部1aより若干低めの平地部3aを有する
ものとなる。
そしてこの様な表面形状の鋼板においては、鮮映性に
悪影響を及ぼす表面うねりとは独立した表面粗さを与え
ることができ、また環状凹部2aが成形加工時の潤滑油溜
めおよび削粉捕捉部としての機能を果すため、鮮映性,
耐型かじり性が共に優れたものとなる。
本発明者らは、レーザダル仕上げロールおよびショッ
トブラストダル仕上げロールの夫々を用いて圧延した鋼
板をめっき原板として用い、該鋼板に合金化溶融亜鉛め
っきを施した後のバウダリング特性について調査した。
即ち上記各鋼板に溶融亜鉛めっきを施した後直ちに合金
化熱処理を施した合金化溶融めっき鋼板について、角度
60°のV字曲げ試験を行ない、そのときのめっき剥離量
を比較した。その結果は第4図に示す。この結果から明
らかな様にレーザダル仕上げロールで圧延した鋼板(以
下レーザ材と呼ぶ)を用いたものはショットブラストダ
ル仕上げロールで圧延した鋼板(以下ショット材と呼
ぶ)を用いたものに比べてめっき剥離が低減しており、
バウダリング抑制効果が認められ、その技術的意義が認
められたので、先に特許出願した(特願昭63−297114
号)。
この様な効果が得られた理由について、本発明者らは
完全に解明し得た訳ではないが、次の様に考えることが
できた。
第5図はレーザ材とショット材の合金化処理後のめっ
き層断面を模式的に示す図である。第5図に示す如くシ
ョット材(B)ではδ1相が全面均一に生成しているの
に対し、レーザ材(A)ではδ1相中にζ相が分散して
存在している。即ちショット材では表面はその凹凸が小
さく比較的平滑であるところから、めっき層はほぼ均一
となり合金化反応の進行も均一に起こるためδ1の単相
が生成する。一方本発明材であるレーザ材では、表面の
環状凹部2aにおいてめっき層が局部的に厚くなり、そこ
では合金化反応の進行が遅くなるため谷部2aに対応した
めっき層部分のδ1相には、該δ1層に比べて鉄濃度の低
いζ相が多く発生混在することになる。そしてδ1相の
硬さは約300(Hv)であるのに対し、ζ相は約200(Hv)
と軟質であることから、V字曲げ加工の際にδ1相中に
分散しているζ相の部分が優先的に変形して加工歪を緩
和する。こうしたことが、δ1相が均一に生成している
ショット材に比べてζ相の混在しているレーザ材の方が
耐バウダリング特性に優れたものとなる理由であると考
えられる。
本発明者らは、上記発明が完成された後も、耐バウダ
リング性が改善された合金化溶融亜鉛めっき鋼板の塗装
鮮映性を改善する目的で様々な角度から検討を重ねた。
その結果、合金化溶融亜鉛めっき鋼板に対する調質圧延
の際に、レーザダル仕上げロールを用いて圧延すると共
に、素材鋼板の圧延の際のピッチと調質圧延の際のピッ
チを適切に調整してやれば、塗装鮮映性が改善されるこ
とを見出した。
レーザダル仕上げロールにおいては、クレータ1とそ
れを取り囲む環状の凸部2から成るダルパターンはロー
ル回転方向には規制的な列をなし、ロール軸方向には不
規則に形成されている。従って、レーザダル仕上げロー
ルで圧延された鋼板表面においては、前記台地部1a及び
それを取り囲む環状凹部2aから成るダルパターンは、第
6図に示す様に圧延方向には規制的な一列状態(これが
前記のダルパターン列である)をなし、板幅方向には不
規則に配列する。
レーザ仕上げロールで圧延した素地鋼板に合金化溶融
亜鉛めっきを施したときには、前述の如く環状凹部2aに
対応してめっき層部分にζ相が形成されるが、このζ相
はδ1相に比較して鉄濃度が低いため、合金化によって
黒色化の進んだδ1相の中に白色がかったζ相が微細な
斑点状に観察される。従って、めっき層表面においては
第7図に示す様に微細な斑点のζ相が圧延方向には規則
的な列をなし、板幅方向には不規則に配列する。この鋼
板をレーザダル仕上げロールによって調質圧延すると、
微小斑点状のζ相の列と、調質圧延によって照射された
ダルパターン例が板幅方向で干渉して干渉縞が現われる
ことがある。そしてこの干渉縞は鋼板母材の外観を損な
うばかりか、塗装膜厚によっては該干渉縞が浮き出て塗
装外観をも損ねることになる。この干渉縞が発生する機
構は次の通りである。
レーザダル仕上げロールで圧延した鋼板に合金化溶融
亜鉛めっきを施した後、レーザダル仕上げで調質圧延し
た鋼板においては、微小斑点状のζ相の列の板幅方向の
ピッチ、即ち素地鋼板上のレーザダルパターン列の板幅
方向におけるピッチP1とめっき鋼板の調質圧延の際に転
写されるレーザダルパターンの板幅方向におけるピッチ
P2とは、ピッチP1,P2が異なるときには、第1図に示す
様に、2回の圧延で転写される相互のレーザダルパター
ン列A,Bは板幅方向に周期的に重なり合う。換言すれ
ば、調質圧延後の平地部3aに残存する白色がかったζ相
の面積率(平地部面積率)が板幅方向で周期的に増減を
繰り返す。しかしながら台地部1a及び環状凹部2aから成
るダルパターンの配列は板幅方向には不規則であるの
で、圧延方向においては前記平地部面積率の周期的な変
化は起こらない。
板幅方向における平地部面積率の増減の周期は以下の
通りになる。レーザダルバターン列A,Bが完全に重なる
位置を基準にとると、レーザダルパターン列がこの基準
から離れていくに従いパターン列AとBの間隔はピッチ
の差によって広がっていき、n本目のパターン列では|
P1−P2|×n(μm)だけ離れることになる。しかしこ
の間隔がパターン列AのピッチP1(あるいはパターン列
BのピッチP2)と等しくなるとき、すなわち|P1−P2
×n=P1(あるいは|P1−P2|×n=P2)のとき、n本
目のパターン列Bとn+1本目のパターン列A(あるい
はn本目のパターン列Aとn+1本目のパターン列B)
が再度重なる。従って再度重なるまでのパターン列Bの
本数n=P2/|P1−P2|(パターン列Aの本数はn=P2/|
P1−P2|)で表わすことができる。ここでnが整数とな
るときはパターン列が完全に重なる場合を意味し、nが
整数でないときはパターン列は完全には重ならないが、
その近傍で平地部面積率が極大になる場合を意味する。
この間隔はパターン列BのピッチP2に再度重なるまでの
パターン列Bの本数n=P1/|P1−P2|(あるいはパター
ン列AのピッチP1にn=P2/|P1−P2|)を乗じることに
よって求めることができ(P1×P2)/|P1−P2|(μm)
となる。すなわち平地部面積率の増減の周期は(P1×
P2)/|P1−P2|(μm)で表わせる。そしてめっき層表
面の平地部とパターン部の光反射の違いから平地部中の
ζ相面積率の高い部分では白色が勝ち、低い部分が黒色
が勝ちこれが干渉縞となって現われる。
しかしながら本発明者らが更に検討を重ねたところ、
平地部中のζ相の面積率の増減の周期が小さくなるに従
い、干渉縞は人間の視覚では識別できなくなることが判
明した。そこで前記ピッチP1,P2の異なるレーザダル仕
上げロールで2回の圧延をした数種の合金化溶融亜鉛め
っき鋼板サンプルについて表面を観察した結果、平地部
面積率の増減の周期が2000μm以下のとき、即ち下記
[III]式を満足するときは、干渉縞は識別できなくな
ることが明らかとなった。
一方P1=P2の場合は、平地部中のζ相面積率の周期的
な増減は発生しないが、調質圧延時にロール回転方向の
ダルパターン列Bの位置を鋼板幅方向のどの位置に転写
するかを決めるロールと鋼板との相対位置をダルパター
ンピッチである数100μm単位でコントロールすること
は不可能である。従って鋼板の長さ方向(圧延方向)に
平地部中のζ相面積率の高い部分と低い部分が不規則に
現われ易くなり、外観のみならず、めっき特性のばらつ
きを生じることから好ましくない。
本発明は、上記要件を満たすだけではその目的が達成
される訳ではなく、その他下記の要件を満足する必要が
ある。
まず本発明で鋼板上に施す合金化溶融亜鉛めっきは、
その目付量(付着量)を片面当たり20〜100g/m2とする
と共に、めっき層中の鉄濃度を8〜13重量%とする必要
がある。めっき目付量が20g/m未満では、合金化溶融亜
鉛めっき鋼板の本来の特性である耐食性が低下し、100g
/m2を超えると耐バウダリング性が悪くなる。まためっ
き層中の鉄濃度が8重量%未満では、めっき層表面まで
合金化されないので十分な塗装性,塗装後耐食性および
溶接性が得られなくなり、13重量%を超えると上記ζ相
が消失してめっき層が硬くて脆くなり、耐バウダリング
性が劣化する。
次に素地鋼板に圧延した後の平地部面積率F2(%)は
下記[I]式を満足する必要がある。
20≦F1≦80 …[I] めっき層中のζ相が上記加工歪緩和の作用を発揮する
には、ζ相がめっき層中に均一且つ近接して存在する必
要がある。素地鋼板の平地部面積率F1が20%未満では、
パターンが重なりあい、第2図に示した様な環状凹部2a
が安定して得られなくなる結果、ζ相の含有が不均一に
なる。一方平地部面積率F1が80%を超えるとζ相の間隔
が広くなり過ぎ、加工歪緩和の作用が小さくなる。そし
ていずれの場合にも、耐バウダリング性の改善が効果的
に行なわれなくなる。
第8図は素地鋼板圧延後の平地部面積率F1と合金化溶
融亜鉛メッキ後のめっき剥離量の関係を示すグラフであ
る。尚めっき剥離量は、調質圧延した後の合金化溶融亜
鉛めっき鉛板に対してドロービード試験を行ない、摺動
後の合金化めっき層にテーピングしたときの値である。
またこのときの調質圧延後の平地部面積率F2(%)は65
%である。この図から明らかな様に平地部面積率が20〜
80%の範囲では耐バウダリング性が良好なことがよく分
かる。
塗装鮮映性については、レーザダル仕上げロールによ
る圧延では、前述の如く表面うねりを生じることなく素
地鋼板をダル仕上げすることができ、この鋼板に合金化
溶融亜鉛めっきを施した場合、めっき付着量の部分的な
ばらつき或は合金化過程におけるめっき層と鋼板表面の
亜鉛・鉄の合金化反応等によって表面うねりは若干発生
するものの、最も大きな要因である素地鋼板の表面うね
りが少ないので、ショット材を素地鋼板として使用する
ときと比べ鮮映性の向上に非常に有効である。
ところでめっきを施した後の調質圧延にもレーザダル
仕上げロールを使用するのは、めっき層表面に前述の如
きレーザダルパターンを付与し、プレス等の成形加工時
に環状凹部2aを、潤滑油の油だめ部として作用させて潤
滑油を与えてやることにより、摺動によるめっき層剥離
を抑えると共に、めっき後も残存している、或はめっき
により発生する表面うねりをできるだけ消失させて鮮映
性を更に向上させる為である。この様な効果を発揮させ
る為には、調質圧延後の平地部面積率F2(%)は下記
[II]式を満足する必要がある。
50≦F2≦80 …[II] めっき鋼板に対してレーザダル仕上げロールによって
調質圧延を施すと形成される環状凹部は上述の如く耐バ
ウダリング性の向上に寄与する反面、ロール上の環状凸
部2がめっき層の硬くて脆いδ1相中に食い込んでめっ
き層に多くの亀裂を発生させ、その後の成形加工時にめ
っき剥離量の増加を招く原因にもなる。
本発明者らがめっき層表面の平地部面積率F2を変化さ
せて調査した結果、第9図に示す様に平地部面積率F2
50%未満になればめっき剥離量の増加が著しいことが判
かった。また同図に示す様に、平地部面積率F2が80%を
超えてもめっき剥離量は増加しており、これは潤滑油の
油溜部として作用する環状凹部の間隔が広がり、十分な
潤滑性を与えることができない為と考えられる。
尚調質圧延時の伸び率は0.1〜5%にする必要がある
が、これは0.1%未満では降伏点伸びの防止や表面の平
滑化による鮮映性向上等が十分に達成されず、また前述
の如く機能する環状凹部2aの十分な深さや、大きさを与
えることができず、耐バウダリング性が向上しない。ま
た伸び率が5%を超えると、鋼板の伸びに対してめっき
層が追従できず、めっき層に微細な亀裂が生じ、この為
成形加工時にバウダリング量が増加すると共に、鋼板自
体も加工硬化して変形能が低下する。
以下本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、
下記実施例は本発明を限定する性質のものではなく、前
・後期の趣旨に徴して設計変更することはいずれも本発
明の技術的範囲に含まれるものてだある。
[実施例] 低炭素アルミキルド鋼板を素地鋼板とし、タンデム冷
間圧延機最終スタンドのワークロールとしてレーザダル
仕上げロールを用いて前記素材鋼板を圧延した後、この
鋼板(板厚0.8mm)をめっき原板とし、連続溶融亜鉛め
っきラインにて溶融亜鉛めっきおよび合金化処理を実施
し、めっき後ライン内でレーザダル仕上げロールをワー
クロールとして用い伸び率0.5%で調質圧延を行なっ
た。このときのめっき浴中のA1濃度は0.13%、めっき浴
の温度は460℃であり、まためっき付着量は60g/m2、め
っき層中のFe濃度は11%となる様にコントロールした。
尚平地部面積率F1,F2の影響を調査する為、素地鋼板上
の平地部面積率F1およびめっき層表面の平地部面積率P2
を、タンデム圧延機最終スタンド用ワークロールと調質
圧延用のワークロールにおけるダルパターンピッチP1
P2を下記第1表に示す様に変えることによって種々変化
させた。
得られた各合金化溶融亜鉛めっき鋼板について、干渉
縞の有無,耐バウダリング性および塗装鮮映性を調査し
た。尚干渉縞の有無は目視により、耐バウダリング性は
ドロービート試験によるめっき剥離量により、塗装鮮映
性は鋼板を燐酸塩処理した後、塗料を膜厚が90μmとな
る様に3回塗りし、これをATI SYSTEMS INC社製のDOIメ
ータを用いることにより、夫々評価した。
結果は第1表に一括して示す通りであり、本発明の規
定要件を満たすもの(実施例)は、比較例と比べて耐バ
ウダリング性および塗装鮮映性(DOI値89以上)のいず
れも良好であることがよく分かる。
[発明の効果] 以上述べた如く本発明によれば、耐バウダリング性お
よび塗装鮮映性のいずれにも優れた合金化溶融亜鉛めっ
き鋼板が実現できた。
【図面の簡単な説明】 第1図はピッチの異なるレーザダル仕上げロールで2回
の圧延を施した後のめっき層表面のダルパターンを示す
説明図、第2図は高密度エネルギービームを用いたダル
仕上げロールの表面形状を示す説明図、第3図は第2図
のダル仕上げロールを用いて粗面化した鋼板の表面形状
を示す説明図、第4図はレーザ材とショット材のめっき
剥離を比較して示すグラフ、第5図はレーザ材とショッ
ト材の合金化処理後のめっき層断面を模式的に示す図、
第6図はレーザダル仕上げロールで圧延した素地鋼板表
面におけるダルパターンAを示す説明図、第7図はレー
ザーダル仕上げロールで調質圧延しためっき表面のダル
パターンBを示す説明図、第8図は平地部面積率F1とめ
っき剥離量の関係を示すグラフ、第9図は平地部面積率
F2とめっき剥離量の関係を示すグラフである。 1…クレータ、1a…台地部 2…環状凸部、2a…環状凹部 3…平坦部、3a…平地部

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高密度エネルギービームによるダル仕上げ
    ロールで圧延した素地鋼板上に、片面当たり目付量が、
    20〜100g/m2、めっき層中の鉄濃度が8〜13重量%とな
    る様に合金化溶融亜鉛めっきを施した後、高密度エネル
    ギービームによるダル仕上げロールを用いて、めっき表
    面を伸び率0.1〜5%で調質圧延した合金化溶融亜鉛め
    っき鋼板であって、素地鋼板の圧延後における平地部の
    平面視面積率F1(%)と、めっき鋼板の調質圧延後にお
    ける平地部の平面視面積率F2(%)が夫々下記[I]お
    よび[II]式を満足をすると共に、素地鋼板の圧延の際
    に鋼板表面に転写されるダルパターン列の板幅方向にお
    けるピッチP1(μm)と、めっき鋼板の調質圧延の際に
    めっき鋼板表面に転写されるダルパターン列の板幅方向
    におけるピッチP2(μm)が、下記[III]式を満足す
    るものであることを特徴とする耐バウダリング性および
    塗装鮮映性の優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板。 20≦F1≦80 …[I] 50≦F2≦80 …[II]
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