JPH069907B2 - 黒鉛と金属からなる複合材の製造方法 - Google Patents

黒鉛と金属からなる複合材の製造方法

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JPH069907B2
JPH069907B2 JP61047288A JP4728886A JPH069907B2 JP H069907 B2 JPH069907 B2 JP H069907B2 JP 61047288 A JP61047288 A JP 61047288A JP 4728886 A JP4728886 A JP 4728886A JP H069907 B2 JPH069907 B2 JP H069907B2
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隆司 茅本
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、例えばX線ターゲットやスパッタリングター
ゲット等に使われる黒鉛と金属からなる複合材の製造方
法に関する。
〔従来の技術〕
銅および銅合金と黒鉛とは互いに熱膨張率が大きく異な
っている。すなわち銅および銅合金の線膨張係数が18〜
20×10-6であるのに対し、黒鉛の線膨張係数は3〜7×
10-6である。一般に、ろう付けや拡散接合で熱膨張率が
実用上問題にならない範囲は、両者の線膨張係数の差が
10×10-6より小さい場合である。
このため、両者を硬ろう付けや拡散接合などで接合する
と、接合後の冷却過程で銅板の収縮率の方が大きいため
両者に寸法差を生じて大きな残留応力が発生し、脆性材
料である黒鉛が破壊することがある。
例えば、第10図に示されるように黒鉛1と銅板2を互
いに厚み方向に重ねるに当って、両者を高温度で拡散接
合(または硬ろう付け)したとする。この場合、接合後
の冷却過程で銅板2は黒鉛1に対して相対的に収縮す
る。このため接合時の温度と冷却時の温度差が大きい場
合に、黒鉛1と銅板2は、同図に想像線で示したように
撓み、極端な場合には第11図に示されるように黒鉛1
に放射状のクラック3が生じる。このため黒鉛1と銅板
2からなる複合材は、小さなテストピースでは接合可能
な場合があるが、実用的な大きさでは黒鉛1が破壊する
ことが多かった。
従って現状では、温度差を生じないように両者を機械的
手段によって締結するか、樹脂系接着剤による接合、も
しくはインジウムや半田等の比較的低温で行なわれる軟
ろう付けによって接合している。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかしながら、機械的締結では黒鉛1と銅板2との間の
接合部の熱的抵抗が大き過ぎるため、銅板2を介して黒
鉛1を冷却する用途には不適当である。また、黒鉛1は
脆性材料であるため、機械的手段によって黒鉛1に銅板
2を固定する場合には締結力をあまり高くすることがで
きない。
一方、樹脂系接着剤や軟ろう付けによる接合では、黒鉛
1と銅板2との接合部の耐熱性が劣るため、X線ターゲ
ットやスパッタリングターゲットのように高温で使用さ
れるものには問題がある。しかも真空中や特殊雰囲気中
で使用すると、接着剤から不純物ガスが発生する可能性
がある。
また、特開昭60-187546号公報に記載されているよう
に、黒鉛板と銅板との間にTi層とNi層を介在させる
ことによって、黒鉛と銅の熱膨張差を順次緩和させるこ
とも提案されている。しかしながらこのような対策を講
じても、黒鉛お銅との間に相対的に大きな熱膨張差が生
じることに変わりはなく、しかも中間層としてのTiあ
るいはNiはそれ自体が比較的硬い金属(耐力の大きい
材料)であるため、熱膨張差によってはTiあるいはN
i製のインサート材が変形する前に黒鉛が破損してしま
うことがある。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明の複合材の製造方法は、黒鉛からなる部材の片側
の面に、銅または銅合金からなり上記黒鉛の厚みよりも
薄い厚さ2mmまでの銅薄板を拡散接合あるいは硬ろう付
け等の高温接合手段により接合する第1接合工程と、上
記銅薄板の接合後に、この銅薄板の上記黒鉛とは反対側
の面に上記銅薄板よりも厚みが大きい金属厚板を上記銅
薄板の接合温度よりも低い温度条件下で結合する第2接
合工程とを経て、上記黒鉛に金属厚板を取付けることを
特徴とする。
〔作用〕
上記黒鉛と銅薄板は第1接合工程において互いに高温で
接合されるため、接合後の冷却過程では相対的に銅薄板
の収縮量が大きい。しかるに銅薄板の板厚を黒鉛に比べ
て充分薄くすることにより銅薄板は容易に塑性変形で
き、黒鉛に与える荷重は小さい。このため冷却過程で黒
鉛が破壊することを防止できる。この銅薄板と黒鉛と
は、拡散接合あるいは硬ろう付け等の耐熱性のある接合
手段によって互いに完全に密接させられているので、黒
鉛と銅薄板との間の接合部の熱的抵抗は小さく、かつ耐
熱性がある。
そして第2接合工程において上記銅薄板に所望の厚さの
金属厚板を重ねることによって、製品として必要な厚さ
が得られる。これら金属厚板と銅薄板とは低い温度条件
下で締結されるから、温度差に起因する荷重の発生は実
用上問題にならない。
この種の複合材は、X線ターゲットやスパッタリングタ
ーゲット等に用いられる場合、黒鉛側が高温となり、黒
鉛側の熱は銅薄板に伝わる。かくして、金属厚板側を適
宜の冷却手段によって冷却すれば、金属厚板と銅薄板と
の間で熱交換が行なわれることにより、銅薄板を介して
黒鉛を冷却できるとともに、金属厚板自体および金属厚
板と銅薄板との接合部分が比較的低温に保たれる。
〔実施例〕
第1図に示された一実施例において、複合材5は平板状
の黒鉛6と、純銅または銅合金からなる銅薄板7と、こ
の銅薄板7の黒鉛6とは反対側の面に設けられた金属厚
板8とからなる。
黒鉛6の厚みは、実用的には2〜30mm位であり、これ
に対して銅薄板7の厚みは、黒鉛6の厚みの1/20ない
し1/5位、すなわち0.1ないし2.0mm前後のもの
が使用される。
一方、金属厚板8は、銅薄板7と同等の材質または銅以
外の金属からなり、必要な製品厚さを確保するため銅薄
板7に比べて充分な厚みを有している。この金属厚板8
は、銅または銅合金のように熱伝導性の良い金属が望ま
しい。
上記複合材5を得るには、まず第1接合工程において黒
鉛6に銅薄板7を拡散接合あるいは硬ろう付け等の高温
接合手段によって接合する。すなわち、黒鉛6と銅薄板
7を重ねて接合温度まで加熱するとともに厚み方向に加
圧することにより、黒鉛6と銅薄板7とを高温度で接合
し、第2図に示される中間製品を得る。なお、黒鉛6と
銅薄板7との間にNi,Ti,Crなどのインサート材
を介在させることにより接合性を高めたり、適宜の硬ろ
う材を用いて、硬ろう付けによる接合を行なってもよ
い。
接合後の冷却過程では相対的に銅薄板7の収縮量が大き
い。しかるに銅薄板7の板厚は黒鉛6に比べて充分薄い
ため、銅薄板7は冷却過程で容易に変形でき、黒鉛6に
与える荷重は小さい。このため黒鉛6にクラックが入っ
たり、破壊することを防止できる。
次に、第2接合工程において金属厚板8を銅薄板7に接
合させる。この接合時の温度は、熱膨張率の差による残
留応力の発生を防止ないし軽減させるために、比較的低
温度で行なわれる軟ろう付けや、接着剤を用いた接合と
する。また、ねじ止めやクランプ等による機械的手段に
よって金属厚板8を締結することもできる。この場合、
黒鉛6には既に銅薄板7が強固に接合されており、銅薄
板7と金属厚板8とは互いに金属同志の連結となるの
で、金属厚板8を黒鉛6に直接締結する場合に比べて機
械的手段でも締結力を高くできる。
上記構成によれば、銅薄板7と黒鉛6とは、互いに拡散
接合あるいは硬ろう付け等により互いに完全に密接して
いるので、黒鉛6と銅薄板7との接合部に生じる熱的抵
抗は小さい。そして銅薄板7に所望の厚さの金属厚板8
を重ねることによって、製品としての必要な厚さが得ら
れる。これら金属厚板8と銅薄板7とは、黒鉛6と銅薄
板7との間の接合温度に比べて低い温度条件下で接合な
いし機械的に締結されているので、温度差に起因する荷
重の発生は実用上問題にならない。
この種の複合材5は、X線ターゲットやスパッタリング
ターゲット等に用いられる場合、黒鉛6側が高温とな
り、黒鉛6側の熱は銅薄板7に伝わる。このため金属厚
板8側を適宜の冷却手段によって冷却すれば、金属厚板
8と銅薄板7との間で熱交換が行なわれることにより、
銅薄板7を介して黒鉛6を冷却できる。しかも金属厚板
8自体および金属厚板8と銅薄板7との接合部分を比較
的低温に保つことができる。
従って、銅薄板7と金属厚板8とが低温の軟ろう付けや
接着剤によって接合されていても実用上問題はなく、し
かも金属厚板8の材料に比較的融点の低い金属を用いる
ことも可能である。
第3図にX線ターゲット10の一例を示す。このターゲ
ット10には、長波長の炭素の特性X線を得るために、
第4図に示される複合材5が使用される。この複合材5
は、前記実施例と同様に、黒鉛6と銅薄板7とを高温接
合手段によって接合したのちに、上記接合温度よりも低
い温度条件下で銅薄板7に金属厚板8を接合または機械
的に締結したものである。
また黒鉛6の端面6aはテーパ状に加工され、このテー
パ状端面6aに電子線を当てることにより炭素の特性X
線を発生させる。その時の温度上昇に対処するために、
金属厚板8側に冷却筒11を設けるとともに、この冷却
筒11に管12,13を通じて冷却水などの冷媒を流通
させることにより、銅薄板7を介して黒鉛6の冷却が行
なわれる。なお、第5図に示された実施例の複合材5
は、金属厚板8にテーパ状の凹部8aを設けたものであ
る。
第6図に示されたスパッタリング装置は、図示しない被
接着物に黒鉛をコーティングする装置であり、ターゲッ
トに本発明の複合材5を用いる。この複合材5の構造は
基本的には前述した複合材5(第1図あるいは第4図の
もの)と同様に、黒鉛6と銅薄板7および金属厚板8を
前述した方法によって接合したものである。
通常はスパッタリング中にターゲットすなわち複合材5
の表面が高温に加熱されるために、複合材5の反対側は
冷却される。第6図の例においては、金属厚板8側に冷
媒供給管14を通じて冷却水等の冷媒15を供給するこ
とにより、複合材5の冷却がなされる。この場合、金属
厚板8は押え用の裏金を兼用する。金属厚板8の周縁部
は、固定具16によって装置本体17に固定されてい
る。同図において、18はマグネット、19は絶縁物で
ある。
ターゲットに使われる複合材5の接合形状は、第7図に
示される円環状、第8図に示される矩形状、あるいは第
9図に示されるコ字状を始めとして、種々の形状が考え
られる。
〔発明の効果〕
本発明によれば、黒鉛と銅薄板とを耐熱性のある硬ろう
付けや拡散接合等によって密接させるので熱伝導性と耐
熱性に優れており、しかも薄い銅板を用いるため接合後
に黒鉛を破損させることがない。このため銅薄板を介し
て黒鉛を冷却するような用途においては黒鉛の冷却性に
優れ、しかも銅薄板と金属厚板との接合部は、熱による
残留応力が発生しにくい軟ろう付けや接着剤を適用でき
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例を示す複合材の断面図、第2
図は第1図に示された複合材を製造する過程における中
間製品の断面図、第3図は本発明の他の実施例を示す複
合材を用いたX線ターゲットの斜視図、第4図は第3図
に示された複合材の断面図、第5図は本発明の更に別の
実施例を示す複合材の断面図、第6図はスパッタリング
装置の断面図、第7図ないし第9図はそれぞれ複合材の
互いに異なる形状例を示す平面図。第10図は従来の複
合材の一例を示す側面図、第11図は第10図に示され
た複合材にクラックが生じた状態の平面図である。 5…複合材、6…黒鉛、7…銅薄板、8…金属厚板。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】黒鉛からなる部材の片側の面に、銅または
    銅合金からなり上記黒鉛の厚みよりも薄い厚さ2mmまで
    の銅薄板を拡散接合あるいは硬ろう付け等の高温接合手
    段により接合する第1接合工程と、 上記銅薄板の接合後に、この銅薄板の上記黒鉛とは反対
    側の面に上記銅薄板よりも厚みが大きい金属厚板を上記
    銅薄板の接合温度よりも低い温度条件下で結合する第2
    接合工程と、 を経て上記黒鉛に金属厚板を取付けることを特徴とする
    黒鉛と金属からなる複合材の製造方法。
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