JPH069756B2 - 低水素系被覆ア−ク溶接棒 - Google Patents
低水素系被覆ア−ク溶接棒Info
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- JPH069756B2 JPH069756B2 JP61062193A JP6219386A JPH069756B2 JP H069756 B2 JPH069756 B2 JP H069756B2 JP 61062193 A JP61062193 A JP 61062193A JP 6219386 A JP6219386 A JP 6219386A JP H069756 B2 JPH069756 B2 JP H069756B2
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- Japan
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- welding
- core wire
- amount
- strength
- coating material
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Description
【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は高強度フェライト系耐熱鋼用溶接材料におい
て、詳しくは高温におけるクリープ特性に優れた低水素
系被覆アーク溶接棒に関するものである。
て、詳しくは高温におけるクリープ特性に優れた低水素
系被覆アーク溶接棒に関するものである。
(従来の技術) 近年、火力発電ボイラにおいては大型化と高温高圧化が
定着してきているが、550℃を超すとその材料を選択
するに当たり、耐酸化性、高温強度の面から鋼材は21/
4Cr−1Mo鋼などの低合金鋼に代え、18−8ステ
ンレス鋼などのオーステナイト系の高級鋼が使用されて
きた。
定着してきているが、550℃を超すとその材料を選択
するに当たり、耐酸化性、高温強度の面から鋼材は21/
4Cr−1Mo鋼などの低合金鋼に代え、18−8ステ
ンレス鋼などのオーステナイト系の高級鋼が使用されて
きた。
しかしながら、高級鋼によるボイラの建造はコストが上
昇し高価につくため材料上の問題から操業温度が逆に制
約されている。従って、ボイラの効率を高めるために圧
力を高めた超臨界圧ボイラが使用されている。
昇し高価につくため材料上の問題から操業温度が逆に制
約されている。従って、ボイラの効率を高めるために圧
力を高めた超臨界圧ボイラが使用されている。
この様な状況に対し低合金鋼とオーステナイト系ステン
レス鋼の間を埋めるための鋼材開発研究がかなり行われ
てきており、高温でのクリープ特性に優れ、溶接性も良
好である9%Cr−1〜2%Mo系鋼が開発され実用化
されつつある。
レス鋼の間を埋めるための鋼材開発研究がかなり行われ
てきており、高温でのクリープ特性に優れ、溶接性も良
好である9%Cr−1〜2%Mo系鋼が開発され実用化
されつつある。
以上の様な鋼材の開発研究と平行し、9%Cr−1〜2
%Mo系鋼の溶接に使用される被覆アーク溶接棒につい
ても種々検討されてきているが、600℃以上の使用に
おいては開発初期の9%Cr−1〜2%Mo系被覆アー
ク溶接棒による溶接金属はクリープ破断強度が低いた
め、設計応力を低目にしなければならず、その結果、溶
接構造物の耐久性を短かくしていた。さらに、板厚10
mm以上の鋼板の溶接では、175℃以上の予熱をしなけ
れば割れが停止しないなど現場施工の面からも問題があ
った。
%Mo系鋼の溶接に使用される被覆アーク溶接棒につい
ても種々検討されてきているが、600℃以上の使用に
おいては開発初期の9%Cr−1〜2%Mo系被覆アー
ク溶接棒による溶接金属はクリープ破断強度が低いた
め、設計応力を低目にしなければならず、その結果、溶
接構造物の耐久性を短かくしていた。さらに、板厚10
mm以上の鋼板の溶接では、175℃以上の予熱をしなけ
れば割れが停止しないなど現場施工の面からも問題があ
った。
これらの問題を解決するためCr−Mo系溶接金属の強
度、靭性に関し特開昭58−58995号公報では、被
覆剤及び/又は心線中のC,Mn,Si,Cr,Mo,
Al,N,Niの添加量を限定し、積極的にAl,Nを
加えることにより1〜3%Cr,1/2〜1%Mo鋼溶接
金属の低温靭性および焼戻し脆化の改良を行なってい
る。また、特開昭58−86997号公報においては、
さらに被覆剤の金属炭酸塩、金属弗化物、金属酸化物の
限定により、高温強度や溶接作業性などの向上を計って
いるが、いずれも大幅なクリープ強度の向上および耐割
れ性の改良には至っていない。また、特開昭58−14
1892号公報では9%Cr−2%Mo鋼の溶接構造物と
してC,Si,Mn,Cr,Mo,Ni,Al,N,T
i,O,Nb,Vを含む溶接金属が記載されているが、
Ni,Al,N,Ti,O,Nb,Vを積極的に添加
し、大幅にクリープ強度を向上しようとするものではな
く、且つ、溶接金属中に含有せしめる金属組成が示され
るだけで、各合金元素の溶接材料への添加方法や添加範
囲が明示されておらずクリープ強度や耐割れ性に優れる
9%Cr−1〜2%Mo鋼用被覆アーク溶接棒を提供す
るに至っていない。さらに、特開昭58−16792号
公報では、NbおよびVがフェライト層と浸炭層の発生を
防止するため、クリープ強度向上に有効であることが記
載されているが、Cr含有量の異なる母材を溶接する溶
接材料に関するものであって、クリープ特性、耐割れ性
に優れた9%Cr−1〜2%Mo鋼用被覆アーク溶接棒
を提供するに至っていない。
度、靭性に関し特開昭58−58995号公報では、被
覆剤及び/又は心線中のC,Mn,Si,Cr,Mo,
Al,N,Niの添加量を限定し、積極的にAl,Nを
加えることにより1〜3%Cr,1/2〜1%Mo鋼溶接
金属の低温靭性および焼戻し脆化の改良を行なってい
る。また、特開昭58−86997号公報においては、
さらに被覆剤の金属炭酸塩、金属弗化物、金属酸化物の
限定により、高温強度や溶接作業性などの向上を計って
いるが、いずれも大幅なクリープ強度の向上および耐割
れ性の改良には至っていない。また、特開昭58−14
1892号公報では9%Cr−2%Mo鋼の溶接構造物と
してC,Si,Mn,Cr,Mo,Ni,Al,N,T
i,O,Nb,Vを含む溶接金属が記載されているが、
Ni,Al,N,Ti,O,Nb,Vを積極的に添加
し、大幅にクリープ強度を向上しようとするものではな
く、且つ、溶接金属中に含有せしめる金属組成が示され
るだけで、各合金元素の溶接材料への添加方法や添加範
囲が明示されておらずクリープ強度や耐割れ性に優れる
9%Cr−1〜2%Mo鋼用被覆アーク溶接棒を提供す
るに至っていない。さらに、特開昭58−16792号
公報では、NbおよびVがフェライト層と浸炭層の発生を
防止するため、クリープ強度向上に有効であることが記
載されているが、Cr含有量の異なる母材を溶接する溶
接材料に関するものであって、クリープ特性、耐割れ性
に優れた9%Cr−1〜2%Mo鋼用被覆アーク溶接棒
を提供するに至っていない。
以上のような観点から本発明者らの一部が特願昭60−
19392号ですでに提案している如く、溶接棒に適量
のV,Nbを共存添加することにより、溶接金属に微細
なV4C3,NbCを析出させて、M23C6,M6Cの析
出状態を長時間にわたって粗大化しないようコントロー
ルすることができ、クリープ破断強度を格段に高め得る
ことを見出している。また、高強度になることにより劣
化する溶接金属の耐割れ性についても、被覆剤中に適量
のMgを添加することにより、割れ停止予熱温度を大幅
に低下し得ることを見出しており、従来から問題とされ
ていた溶接構造物の耐久性および現場溶接施工面の改善
について大きな成果を収めている。しかしながら、さら
にボイラの熱効率を高めるため蒸気温度の一層の上昇と
電力需要の変動に対応してボイラの起動停止が頻繁に行
われることが予想されており、その際の熱応力を軽減す
るため鋼材は高強度薄肉厚化へと指向している。これら
の継手溶接に用いられる被覆アーク溶接棒についても例
外ではなく、溶接部の薄肉厚化は必至であるため、さら
に高クリープ強度を有する被覆アーク溶接棒の開発が望
まれている。
19392号ですでに提案している如く、溶接棒に適量
のV,Nbを共存添加することにより、溶接金属に微細
なV4C3,NbCを析出させて、M23C6,M6Cの析
出状態を長時間にわたって粗大化しないようコントロー
ルすることができ、クリープ破断強度を格段に高め得る
ことを見出している。また、高強度になることにより劣
化する溶接金属の耐割れ性についても、被覆剤中に適量
のMgを添加することにより、割れ停止予熱温度を大幅
に低下し得ることを見出しており、従来から問題とされ
ていた溶接構造物の耐久性および現場溶接施工面の改善
について大きな成果を収めている。しかしながら、さら
にボイラの熱効率を高めるため蒸気温度の一層の上昇と
電力需要の変動に対応してボイラの起動停止が頻繁に行
われることが予想されており、その際の熱応力を軽減す
るため鋼材は高強度薄肉厚化へと指向している。これら
の継手溶接に用いられる被覆アーク溶接棒についても例
外ではなく、溶接部の薄肉厚化は必至であるため、さら
に高クリープ強度を有する被覆アーク溶接棒の開発が望
まれている。
(発明が解決しようとする問題点) 本発明は9%Cr−1〜2%Mo鋼の溶接において高い
クリープ破断強度を有する低水素系被覆アーク溶接棒を
提供するものである。
クリープ破断強度を有する低水素系被覆アーク溶接棒を
提供するものである。
(問題点を解決するための手段) 本発明の要旨とするところは、心線または被覆剤のいず
れか一方あるいは両方に、Cr,Mo,V,Nb,Ni
およびWを 8.5≦心線中(Cr)+被覆剤中(Cr) ×0.35≦11 (重量%) 0.8≦心線中(Mo)+被覆剤中(Mo) ×0.35≦2.5 (重量%) 0.02≦心線中(V)+被覆剤中(V) ×0.28≦0.22 (重量%) 0.02≦心線中(Nb)+被覆剤中(Nb) ×0.20≦0.11 (重量%) 0.05≦心線中(Ni)+被覆剤中(Ni) ×0.35≦1.9 (重量%) 0.2≦心線中(W)+被覆剤中(W) ×0.35≦2 (重量%) の範囲に添加し、Mg0.8〜4.5重量%、金属炭酸
塩10〜70重量%、金属弗化物5〜30重量%、その
他に上記以外の脱酸剤、アーク安定剤、粘結剤を含む被
覆剤を心線の周囲に被覆塗装し、さらにMoとW量との
関係が第1図のA点,B点,C点,D点で囲まれる範囲
内であることを特徴とする低水素系被覆アーク溶接棒に
ある。
れか一方あるいは両方に、Cr,Mo,V,Nb,Ni
およびWを 8.5≦心線中(Cr)+被覆剤中(Cr) ×0.35≦11 (重量%) 0.8≦心線中(Mo)+被覆剤中(Mo) ×0.35≦2.5 (重量%) 0.02≦心線中(V)+被覆剤中(V) ×0.28≦0.22 (重量%) 0.02≦心線中(Nb)+被覆剤中(Nb) ×0.20≦0.11 (重量%) 0.05≦心線中(Ni)+被覆剤中(Ni) ×0.35≦1.9 (重量%) 0.2≦心線中(W)+被覆剤中(W) ×0.35≦2 (重量%) の範囲に添加し、Mg0.8〜4.5重量%、金属炭酸
塩10〜70重量%、金属弗化物5〜30重量%、その
他に上記以外の脱酸剤、アーク安定剤、粘結剤を含む被
覆剤を心線の周囲に被覆塗装し、さらにMoとW量との
関係が第1図のA点,B点,C点,D点で囲まれる範囲
内であることを特徴とする低水素系被覆アーク溶接棒に
ある。
但し、A点(0.2%W、2.5%Mo)、B点(0.
6%W、0.8%Mo)、C点(2.0%W、0.8%
Mo)、D点(1.6%W、2.5%Mo)。
6%W、0.8%Mo)、C点(2.0%W、0.8%
Mo)、D点(1.6%W、2.5%Mo)。
なお、本発明に用いる心線はCr,Mo,V,Nb,Ni,
W以外の化学成分がC0.10%以下、Si0.10%
以下、Mn1.0%以下、P0.02%以下、S0.0
2%以下、Cu0.10%以下、残部がFeおよび不可
避不純物からなるものである。
W以外の化学成分がC0.10%以下、Si0.10%
以下、Mn1.0%以下、P0.02%以下、S0.0
2%以下、Cu0.10%以下、残部がFeおよび不可
避不純物からなるものである。
9%Cr−1〜2%Mo鋼の溶接において、溶接金属の
クリープ強度の低下原因は溶接金属が高温に長時間加熱
される過程において、まず溶接金属中のCとFeが結合
してFeC3を析出し、次にこの炭化物がM23C6,M
6C(Mは金属元素を指す)に変化し、炭化物が粗大化
することによるものとされている。
クリープ強度の低下原因は溶接金属が高温に長時間加熱
される過程において、まず溶接金属中のCとFeが結合
してFeC3を析出し、次にこの炭化物がM23C6,M
6C(Mは金属元素を指す)に変化し、炭化物が粗大化
することによるものとされている。
そこで本発明者らは鋭意研究の結果、溶接棒に適量のW
を添加すると同時にWをMo量との関係で限定共存させ
ることにより、基本的には溶接金属に微細なV4C3お
よびNbCを析出させ、 M23C6,M6Cの析出状態を長時間にわたって粗大化
しないようにコントロールしながら、さらにMo2C,
W2Cを析出させることによって特に600〜650℃
の高温長時間側のクリープ破断強度の高強度化に有効で
あることを見出した。
を添加すると同時にWをMo量との関係で限定共存させ
ることにより、基本的には溶接金属に微細なV4C3お
よびNbCを析出させ、 M23C6,M6Cの析出状態を長時間にわたって粗大化
しないようにコントロールしながら、さらにMo2C,
W2Cを析出させることによって特に600〜650℃
の高温長時間側のクリープ破断強度の高強度化に有効で
あることを見出した。
本発明はかかる知見に基づいてなされたものであり、以
下に作用とともに本発明を詳細に説明する。
下に作用とともに本発明を詳細に説明する。
(作 用) 本発明の最大の特徴は溶接棒中にWを添加し、かつMo
量との関係で限定共存させたところにあり、溶接して得
られる9%Cr−1〜2%Mo鋼溶接金属に析出する炭
化物の粗大化をV4C3,NbCの析出で長時間にわた
り抑制するとともにさらに、Mo2C,W2Cの析出バラ
ンスを適正な範囲に保つことによって600〜650℃
での長時間側のクリープ破断強度を格段に高めたことに
ある。
量との関係で限定共存させたところにあり、溶接して得
られる9%Cr−1〜2%Mo鋼溶接金属に析出する炭
化物の粗大化をV4C3,NbCの析出で長時間にわた
り抑制するとともにさらに、Mo2C,W2Cの析出バラ
ンスを適正な範囲に保つことによって600〜650℃
での長時間側のクリープ破断強度を格段に高めたことに
ある。
第1表はルチール3.3%、炭酸石灰40.1%、ほた
る石20.2%、炭酸バリウム4.4%、Fe−Si
(45%Si)10.2%、金属Mn0.73%、金属
Cr1.2%、Fe−Ti(45%Ti)1.2%、F
e−Mo(61%Mo)0.94〜8.9%、金属W
(94%W)0.06〜5.71%、粘結剤7.8%、
残部が鉄粉からなる被覆剤をC0.01〜0.05%、
Si0.01〜0.02%、Mn0.40〜0.48
%、Ni0.30〜0.50%、Cr8.20〜8.6
0%、Mo0.50〜1.40%、Nb0.05〜0.
07%、V0.06〜0.08%、W0〜1.40%を
含む直径4.0mm、長さ400mmに心線に被覆外径6.
3mmに被覆塗装した後に乾燥、焼成して34種類の溶接
棒を作成し、AWSA5.4に従って溶接し、溶接作業
性調査およびクリープ試験を実施した結果を示すもので
あり、第1図は第1表のクリープ試験結果および溶接作
業性調査結果の両面から総合判定した結果を図示したも
のである。また、この場合の溶接施工条件は、予熱、パ
ス間温度100℃、電流160A、溶接入熱21kJ/cm
なる条件で溶着金属を作成した。さらに、溶接作業性調
査は板厚30mmの9%Cr−2%Mo鋼母材に深さ15
mmの60゜V溝開先を作成した試験板を用い前記溶接条
件で行った。また、溶着金属は溶接後750℃60分の
後熱処理を施した後にクリープ試験片を採取し、650
℃でクリープ試験を行い、3000hrの時の破断強度を
求めたものである。
る石20.2%、炭酸バリウム4.4%、Fe−Si
(45%Si)10.2%、金属Mn0.73%、金属
Cr1.2%、Fe−Ti(45%Ti)1.2%、F
e−Mo(61%Mo)0.94〜8.9%、金属W
(94%W)0.06〜5.71%、粘結剤7.8%、
残部が鉄粉からなる被覆剤をC0.01〜0.05%、
Si0.01〜0.02%、Mn0.40〜0.48
%、Ni0.30〜0.50%、Cr8.20〜8.6
0%、Mo0.50〜1.40%、Nb0.05〜0.
07%、V0.06〜0.08%、W0〜1.40%を
含む直径4.0mm、長さ400mmに心線に被覆外径6.
3mmに被覆塗装した後に乾燥、焼成して34種類の溶接
棒を作成し、AWSA5.4に従って溶接し、溶接作業
性調査およびクリープ試験を実施した結果を示すもので
あり、第1図は第1表のクリープ試験結果および溶接作
業性調査結果の両面から総合判定した結果を図示したも
のである。また、この場合の溶接施工条件は、予熱、パ
ス間温度100℃、電流160A、溶接入熱21kJ/cm
なる条件で溶着金属を作成した。さらに、溶接作業性調
査は板厚30mmの9%Cr−2%Mo鋼母材に深さ15
mmの60゜V溝開先を作成した試験板を用い前記溶接条
件で行った。また、溶着金属は溶接後750℃60分の
後熱処理を施した後にクリープ試験片を採取し、650
℃でクリープ試験を行い、3000hrの時の破断強度を
求めたものである。
なお、第1表における溶接作業性評価は ○印;良好 △印;やや不良 ×印;不良 を示す。
また、第1図の総合判定において ○印;良好 △印;やや不良 ×印;不良 を示す。
その結果、被覆アーク溶接棒として、心線または被覆剤
のいずれか一方あるいは両方に、WをMo量との関係で一
定の割合で添加することにより、溶接作業性を劣化させ
ることなく良好なクリープ破断強度の得られることが判
明した。また、溶接棒の心線および被覆剤中のWおよび
Mo量は(1)および(2)式で表わすと、よりよくクリープ
強度との関係を把握できることがわかった。
のいずれか一方あるいは両方に、WをMo量との関係で一
定の割合で添加することにより、溶接作業性を劣化させ
ることなく良好なクリープ破断強度の得られることが判
明した。また、溶接棒の心線および被覆剤中のWおよび
Mo量は(1)および(2)式で表わすと、よりよくクリープ
強度との関係を把握できることがわかった。
Mo量(重量%)=心線中(Mo)+被覆剤中(Mo) ×0.35 …(1) W量(重量%)=心線中(W)+被覆剤中(W) ×0.35 …(2) (1),(2)式において、被覆剤中のMo,Wにそれぞれ
0.35の係数を乗じたのは、それによって心線中のそ
れぞれの含有量と等価になることがわかったためであ
る。
0.35の係数を乗じたのは、それによって心線中のそ
れぞれの含有量と等価になることがわかったためであ
る。
第1表および第1図の結果から明らかな如く、溶接棒心
線または被覆剤のいずれか一方あるいは両方に添加する
(1)式で定めるMo量が0.8〜2.5%、また(2)式で
定めるW量が0.2〜2%と本発明の要件を満たしてい
ても、第1図A点,B点,C点,D点で囲まれる範囲内
に入らないものは、No.1〜9,No.14〜15,No.2
0〜21,No.26〜31で示す通りクリープ破断強度
が15kgf/mm2未満と低かったり、また溶接作業性が劣
化するという結果が得られており、第1図A点(0.2
%W,2.5%Mo),B点(0.6%W,0.8%M
o),C点(2.0%W,0.8%Mo),D点(1.
6%W,2.5%Mo)で囲まれる範囲内にする必要が
あることが判明した。
線または被覆剤のいずれか一方あるいは両方に添加する
(1)式で定めるMo量が0.8〜2.5%、また(2)式で
定めるW量が0.2〜2%と本発明の要件を満たしてい
ても、第1図A点,B点,C点,D点で囲まれる範囲内
に入らないものは、No.1〜9,No.14〜15,No.2
0〜21,No.26〜31で示す通りクリープ破断強度
が15kgf/mm2未満と低かったり、また溶接作業性が劣
化するという結果が得られており、第1図A点(0.2
%W,2.5%Mo),B点(0.6%W,0.8%M
o),C点(2.0%W,0.8%Mo),D点(1.
6%W,2.5%Mo)で囲まれる範囲内にする必要が
あることが判明した。
以下本発明における各成分の作用と成分範囲限定の理由
を述べる。
を述べる。
〔Cr;8.5≦心線中(Cr)+被覆剤中(Cr) ×0.35≦11(重量%)〕 Crは耐酸化性を確保するためには不可欠の元素であっ
て、耐熱鋼には必らず添加されており、M23C6,M6C
(但しMは金属元素を指す)の微細析出により高温強度
を高めているが、8.5%未満では十分な高温強度が得
られない。他方、11%を超えると溶接作業性及び靭性
が劣化するため11%を上限とした。
て、耐熱鋼には必らず添加されており、M23C6,M6C
(但しMは金属元素を指す)の微細析出により高温強度
を高めているが、8.5%未満では十分な高温強度が得
られない。他方、11%を超えると溶接作業性及び靭性
が劣化するため11%を上限とした。
〔Mo;0.8≦心線中(Mo)+被覆剤中(Mo) ×0.35≦2.5(重量%)〕 MoはWとの共存において高温強度、特に高温長時間で
のクリープ強度を確保する作用があるが、その含有量が
0.8%未満ではその効果を得ることができない。他方
2.5%を超えて含有させてもこれ以上の強度向上効果
は得られず、かえって溶接性の著しい劣化を招くため
2.5%を上限とした。
のクリープ強度を確保する作用があるが、その含有量が
0.8%未満ではその効果を得ることができない。他方
2.5%を超えて含有させてもこれ以上の強度向上効果
は得られず、かえって溶接性の著しい劣化を招くため
2.5%を上限とした。
〔V;0.02≦心線中(V)+被覆剤中(V) ×0.28≦0.22(重量%)〕 Vは高温強度を著しく高める元素であり、特に析出の場
合にはV4C3としての他M23C6,M6Cの一部に入
り、析出物の粗大化の抑制に優れた効果を発揮するが、
0.02%未満ではその効果が得られない。他方、0.
22%を超えると、かえって、強度低下を生ずるので上
限を0.22%とした。
合にはV4C3としての他M23C6,M6Cの一部に入
り、析出物の粗大化の抑制に優れた効果を発揮するが、
0.02%未満ではその効果が得られない。他方、0.
22%を超えると、かえって、強度低下を生ずるので上
限を0.22%とした。
〔Nb;0.02≦心線中(Nb)+被覆剤中(Nb) ×0.2≦0.11(重量%)〕 NbはNbCの析出によって高温強度を高め、後続する
微細な分散析出物であるM23C6,M6C等の析出状態を
微細にコントロールするために高温長時間クリープ強度
改善に効果がある。しかし、その量が0.02%未満で
はその効果がなく、0.11%を超えると凝集粗大化を生じ
強度を低下させるため下限を0.02%、上限を0.1
1%とした。
微細な分散析出物であるM23C6,M6C等の析出状態を
微細にコントロールするために高温長時間クリープ強度
改善に効果がある。しかし、その量が0.02%未満で
はその効果がなく、0.11%を超えると凝集粗大化を生じ
強度を低下させるため下限を0.02%、上限を0.1
1%とした。
〔Ni;0.05≦心線中(Ni)+被覆剤中(Ni) ×0.35≦1.9(重量%)〕 Niは溶接金属のマルテンサイト組織生成量をコントロ
ールし靭性の劣化を抑制するとともに耐割れ性を改善す
る効果があるが、0.05%未満ではその効果が得られ
ない。他方1.9%を超えると溶接金属中のマルテンサ
イトの生成量が急激に増加して靭性および耐割れ性が劣
化するので1.9%を上限とした。
ールし靭性の劣化を抑制するとともに耐割れ性を改善す
る効果があるが、0.05%未満ではその効果が得られ
ない。他方1.9%を超えると溶接金属中のマルテンサ
イトの生成量が急激に増加して靭性および耐割れ性が劣
化するので1.9%を上限とした。
〔W;0.2≦心線中(W)+被覆剤中(W) ×0.35≦2(重量%)〕 WはCr,Moと同族の元素であり、焼戻しによってW2C
が析出し、特にMoとの共存においては高温長時間側で
のクリープ破断強度向上への効果は極めて大きい。しか
しながら0.2%未満ではMoとの共存効果が得られず高
温強度改善が達成できない。他方、2%を超えると溶接
金属の延性が低下すると同時に溶接作業性が劣化してく
るので2%を上限とした。
が析出し、特にMoとの共存においては高温長時間側で
のクリープ破断強度向上への効果は極めて大きい。しか
しながら0.2%未満ではMoとの共存効果が得られず高
温強度改善が達成できない。他方、2%を超えると溶接
金属の延性が低下すると同時に溶接作業性が劣化してく
るので2%を上限とした。
〔Mg:0.8〜4.5重量%〕 Mgは溶接金属中の酸素量を低減し微細炭化物の析出促
進によるCの固定により溶接金属の耐割れ性を向上させ
るとともに延性の向上に効果があるが、0.8%未満で
は耐割れ性の改善効果が不十分である。他方4.5%を
超えて添加しても耐割れ性は向上せず、かえって溶接時
のアークが不安定となりスパッタ量が増加し溶接作業性
が悪くなるので、4.5%を上限とした。
進によるCの固定により溶接金属の耐割れ性を向上させ
るとともに延性の向上に効果があるが、0.8%未満で
は耐割れ性の改善効果が不十分である。他方4.5%を
超えて添加しても耐割れ性は向上せず、かえって溶接時
のアークが不安定となりスパッタ量が増加し溶接作業性
が悪くなるので、4.5%を上限とした。
なお、被覆剤に添加するMgは、Mg単体の他、Al−
Mg,Ni−Mgなどの合金として添加することもでき
る。この場合、合金中のMgの量が上記範囲であれば同
様の効果を示すことを確認している。
Mg,Ni−Mgなどの合金として添加することもでき
る。この場合、合金中のMgの量が上記範囲であれば同
様の効果を示すことを確認している。
〔金属炭酸塩;10〜70重量%〕 本発明でいう金属炭酸塩とは、CaCO3,BaCO3,MgC
O3,MnCO3などを指すものであるが、これらの金属炭
酸塩はアーク中で分解することによりCO2ガスを発生
し、溶融メタルを大気から遮断するとともにアーク雰囲
気中の水素、窒素のガス分圧を下げる効果があり塩基性
のスラグを生成する。
O3,MnCO3などを指すものであるが、これらの金属炭
酸塩はアーク中で分解することによりCO2ガスを発生
し、溶融メタルを大気から遮断するとともにアーク雰囲
気中の水素、窒素のガス分圧を下げる効果があり塩基性
のスラグを生成する。
これらの添加量が10%未満ではスラグの融点が低下す
るためスラグの被包性が悪くなって良好な溶接ビード外
観、形状を得ることができない。また、CO2ガスの発
生量が不足するためピットやブローホールが発生した
り、溶接金属中の水素量が増加し、耐割れ性が劣化す
る。他方、70%を超えて添加した場合には、ガス発生
量が過剰となるためピットが多発するとともにスラグの
融点が上昇してスラグの流動性が悪くなり、溶接母材と
のなじみ性が悪くなるためビード外観、形状が劣化して
くるので、70%を上限とした。
るためスラグの被包性が悪くなって良好な溶接ビード外
観、形状を得ることができない。また、CO2ガスの発
生量が不足するためピットやブローホールが発生した
り、溶接金属中の水素量が増加し、耐割れ性が劣化す
る。他方、70%を超えて添加した場合には、ガス発生
量が過剰となるためピットが多発するとともにスラグの
融点が上昇してスラグの流動性が悪くなり、溶接母材と
のなじみ性が悪くなるためビード外観、形状が劣化して
くるので、70%を上限とした。
〔金属弗化物;5〜30重量%〕 本発明でいう金属弗化物とは、CaF2,BaF2,MgF2,MnF
2,LiFなどを指すものであるが、いずれもスラグの融点
を低下させるため、溶接中のスラグ流動性を良好にす
る。また、アーク中で分解した弗化物は溶融金属や溶融
スラグの水素と反応し、溶接金属中の水素量を低下させ
耐割れ性の良好な溶接金属をつくる。
2,LiFなどを指すものであるが、いずれもスラグの融点
を低下させるため、溶接中のスラグ流動性を良好にす
る。また、アーク中で分解した弗化物は溶融金属や溶融
スラグの水素と反応し、溶接金属中の水素量を低下させ
耐割れ性の良好な溶接金属をつくる。
これらの添加量が5%未満では適当なスラグの流動性が
得られないため、ビード外観、形状が劣化すると同時に
ピットが発生し易く、また、溶接金属中の水素量が増加
して耐割れ性が著しく劣化する。他方、30%を超える
とスラグの粘性が不足するため、ビード外観、形状が悪
くなったり、また、被覆筒が弱くなり溶接作業性が劣化
してくるので、30%を上限とした。
得られないため、ビード外観、形状が劣化すると同時に
ピットが発生し易く、また、溶接金属中の水素量が増加
して耐割れ性が著しく劣化する。他方、30%を超える
とスラグの粘性が不足するため、ビード外観、形状が悪
くなったり、また、被覆筒が弱くなり溶接作業性が劣化
してくるので、30%を上限とした。
本発明の被覆アーク溶接棒は前述の成分の他に脱酸剤と
してMn,Ti,Si,Zr,Alなどの単体金属やF
e−Si,Fe−Mn,Fe−Ti,Fe−Al,Fe−
Si−Mn,Fe−REM−Ca−Si,Fe−Ca−S
iなどの鉄合金、Zr−Siなどのそれぞれの合金のい
ずれかを被覆剤に含有せしめるが、7〜25%の範囲が
脱酸および溶接作業性の面で望ましい。なお、これら添
加される脱酸剤の範囲は特に規定するものではない。
してMn,Ti,Si,Zr,Alなどの単体金属やF
e−Si,Fe−Mn,Fe−Ti,Fe−Al,Fe−
Si−Mn,Fe−REM−Ca−Si,Fe−Ca−S
iなどの鉄合金、Zr−Siなどのそれぞれの合金のい
ずれかを被覆剤に含有せしめるが、7〜25%の範囲が
脱酸および溶接作業性の面で望ましい。なお、これら添
加される脱酸剤の範囲は特に規定するものではない。
次に、アーク安定剤としては被覆剤中に鉄粉、アルカリ
成分、ルチールなどを添加するが、その添加範囲は45
%以下が望ましい。
成分、ルチールなどを添加するが、その添加範囲は45
%以下が望ましい。
さらに粘結剤としては主に硅酸ソーダ、硅酸カリを含有
する水硝子を用いるものであり、水硝子中のSiO2と
Na2O,K2Oなどのアルカリ成分のモル分率で示され
るモル比が1.5〜3.5の範囲の水硝子を使用するこ
とが望ましい。
する水硝子を用いるものであり、水硝子中のSiO2と
Na2O,K2Oなどのアルカリ成分のモル分率で示され
るモル比が1.5〜3.5の範囲の水硝子を使用するこ
とが望ましい。
本発明被覆アーク溶接棒は以上に述べた被覆剤を心線の
周囲に被覆剤重量が、溶接棒重量に対し、25〜35%
となるように、通常の溶接棒塗装機により被覆塗装した
後、水分を除去するため300〜550℃で焼成して製造
する。
周囲に被覆剤重量が、溶接棒重量に対し、25〜35%
となるように、通常の溶接棒塗装機により被覆塗装した
後、水分を除去するため300〜550℃で焼成して製造
する。
以下に本発明の効果を更に具体的に示す。
(実施例) 第2表に、本発明溶接棒、比較に用いた溶接棒の心線
(各4.0mm径)組成、被覆剤組成とこれら溶接棒によ
る各種試験結果を示す。
(各4.0mm径)組成、被覆剤組成とこれら溶接棒によ
る各種試験結果を示す。
第2表において、A1〜A10が本発明溶接棒であり、
B1〜B16は比較溶接棒である。
B1〜B16は比較溶接棒である。
これら溶接棒による溶着金属の650℃,3000hrにおけ
るクリープ破断強度を求めた。また溶接作業性試験を実
施した。
るクリープ破断強度を求めた。また溶接作業性試験を実
施した。
なお、クリープ破断試験片を採取する溶着金属はAWS
A5,4にもとづいて溶接電流160A,溶接入熱2
1KJ/cmで作成した。また、溶接作業性試験はビード外
観、形状、アーク状態、スラグ状態およびスラグはく離
性を評価するため、板厚30mmの9%Cr−2%Mo鋼
の母材に深さ15mmの60゜V溝開先を作成した試験板
を用い前記溶接条件で調査した。
A5,4にもとづいて溶接電流160A,溶接入熱2
1KJ/cmで作成した。また、溶接作業性試験はビード外
観、形状、アーク状態、スラグ状態およびスラグはく離
性を評価するため、板厚30mmの9%Cr−2%Mo鋼
の母材に深さ15mmの60゜V溝開先を作成した試験板
を用い前記溶接条件で調査した。
本発明溶接棒による650℃,3000hrにおけるクリ
ープ破断強度は個々の成分が本発明の条件を満足せず、
さらに、第1図に示すWとMo量との関係がA点,B
点,C点,D点で囲まれる範囲内に入らない溶接棒B
5,B6,B7,B8,B9,B10,B11,B1
2,B13,B14,B15,B16および個々の成分
が本発明の条件を満足していても、第1図に示すWとM
o量との関係がA点,B点,C点,D点で囲まれる範囲
内に入らない溶接棒B1,B2,B3,B4に比較し、
V4C3,NbCの析出効果に加え、WとMo量との関
係を第1図に示すA点,B点,C点,D点で囲まれる範
囲内とすることによって著しく向上し、本発明溶接棒の
A1,A2,A3,A4,A5,A6,A7,A8,A
9,A10いずれにおいても15kgf/mm2以上の高クリ
ープ破断強度を示した。また、溶接作業性についても安
定したアーク状態と良好なビード外観、形状、スラグ流
動性およびスラグはく離性が得られた。
ープ破断強度は個々の成分が本発明の条件を満足せず、
さらに、第1図に示すWとMo量との関係がA点,B
点,C点,D点で囲まれる範囲内に入らない溶接棒B
5,B6,B7,B8,B9,B10,B11,B1
2,B13,B14,B15,B16および個々の成分
が本発明の条件を満足していても、第1図に示すWとM
o量との関係がA点,B点,C点,D点で囲まれる範囲
内に入らない溶接棒B1,B2,B3,B4に比較し、
V4C3,NbCの析出効果に加え、WとMo量との関
係を第1図に示すA点,B点,C点,D点で囲まれる範
囲内とすることによって著しく向上し、本発明溶接棒の
A1,A2,A3,A4,A5,A6,A7,A8,A
9,A10いずれにおいても15kgf/mm2以上の高クリ
ープ破断強度を示した。また、溶接作業性についても安
定したアーク状態と良好なビード外観、形状、スラグ流
動性およびスラグはく離性が得られた。
比較溶接棒B1〜B4は、個々の成分が本発明の条件を
満足しているものの、WとMo量との関係が、第1図に
示すA点,B点,C点,D点で囲まれる範囲内に入って
いないため、高クリープ破断強度が得られていない。
満足しているものの、WとMo量との関係が、第1図に
示すA点,B点,C点,D点で囲まれる範囲内に入って
いないため、高クリープ破断強度が得られていない。
B5はCrの添加量が不足し、金属炭酸塩が過剰である
ため高クリープ破断強度が得られないとともに、スラグ
の被包性が劣化するため、ビード外観、形状が悪かっ
た。
ため高クリープ破断強度が得られないとともに、スラグ
の被包性が劣化するため、ビード外観、形状が悪かっ
た。
B6は、Crの添加量が過剰であると同時に金属炭酸塩
が不足しているため、靭性劣化とともに高クリープ破断
強度が得られない。また、溶接中のガス発生量の不足か
らアークが不安定となり溶接作業性が劣化した。
が不足しているため、靭性劣化とともに高クリープ破断
強度が得られない。また、溶接中のガス発生量の不足か
らアークが不安定となり溶接作業性が劣化した。
B7は金属弗化物が過剰であると同時にMoの添加量が
不足しているため、スラグの粘性が不足しビード外観、
形状が劣化するとともに、高クリープ破断強度が得られ
なかった。
不足しているため、スラグの粘性が不足しビード外観、
形状が劣化するとともに、高クリープ破断強度が得られ
なかった。
B8は金属弗化物が不足していると同時にMoの添加量
が過剰であるためスラグの流動性が不足しビード外観、
形状が劣化するとともに高クリープ破断強度は得られず
むしろ耐割れ性が劣化した。
が過剰であるためスラグの流動性が不足しビード外観、
形状が劣化するとともに高クリープ破断強度は得られず
むしろ耐割れ性が劣化した。
B9は脱酸剤が多すぎると同時にVの添加量が不足して
いるため、過脱酸状態となりピットが発生し易いととも
に、高クリープ破断強度が得られなかった。
いるため、過脱酸状態となりピットが発生し易いととも
に、高クリープ破断強度が得られなかった。
B10は脱酸剤が不足していると同時にVの添加量が過
剰であるため、脱酸不足となりピットやブローホールな
どの溶接欠陥が発生し易いとともにクリープ破断強度は
むしろ低下した。
剰であるため、脱酸不足となりピットやブローホールな
どの溶接欠陥が発生し易いとともにクリープ破断強度は
むしろ低下した。
B11はアーク安定剤であるルチールと鉄粉が過剰であ
ると同時にNbの添加量が不足しているため、耐棒焼け
性が劣化してかえってアークは不安定になるとともに、
NbCの析出効果が得られず高クリープ破断強度が得ら
れなかった。
ると同時にNbの添加量が不足しているため、耐棒焼け
性が劣化してかえってアークは不安定になるとともに、
NbCの析出効果が得られず高クリープ破断強度が得ら
れなかった。
B12はアーク安定剤が添加されていないと同時にNb
の添加量が過剰であるため、アークが不安定となりスパ
ッタ量が増加し溶接作業性が劣化するとともに、組織が
粗大化し高クリープ破断強度が得られなかった。
の添加量が過剰であるため、アークが不安定となりスパ
ッタ量が増加し溶接作業性が劣化するとともに、組織が
粗大化し高クリープ破断強度が得られなかった。
B13はNiの添加量が不足していると同時に金属弗化
物が不足しているため高クリープ破断強度が得られない
とともに、スラグの流動性が悪くビード外観、形状が劣
化した。
物が不足しているため高クリープ破断強度が得られない
とともに、スラグの流動性が悪くビード外観、形状が劣
化した。
B14はNiの添加量が過剰であると同時に金属弗化物
が過剰であるため溶接金属中のマルテンサイト生成量が
増加しすぎ耐割れ性が悪化するとともに、スラグの粘性
が不足し、ビード外観、形状が劣化した。
が過剰であるため溶接金属中のマルテンサイト生成量が
増加しすぎ耐割れ性が悪化するとともに、スラグの粘性
が不足し、ビード外観、形状が劣化した。
B15はWが不足していると同時に脱酸剤も不足してい
るため、高クリープ破断強度が得られないとともに、ピ
ットやブローホールなどの溶接欠陥が発生し易すかっ
た。
るため、高クリープ破断強度が得られないとともに、ピ
ットやブローホールなどの溶接欠陥が発生し易すかっ
た。
B16はMgが添加されていないと同時に、Wの添加量
が過剰であるため、アーク状態が不安定となりスパッタ
が多発し溶接作業性が劣化した。
が過剰であるため、アーク状態が不安定となりスパッタ
が多発し溶接作業性が劣化した。
注(1)Fe−VのVは53%、Fe−NbのNiは67
%、Fe−MoのMoは61%、Fe−SiのSiは4
5%、Fe−TiのTiは45%のものを使用した。
%、Fe−MoのMoは61%、Fe−SiのSiは4
5%、Fe−TiのTiは45%のものを使用した。
注(2)その他は粘結剤、塗装剤を示す。
注(3)Cr%=心線中(Cr)+被覆剤中(Cr) ×0.35 Mo%=心線中(Mo)+被覆剤中(Mo) ×0.35 V %=心線中(V)+被覆剤中(V) ×0.28 Nb%=心線中(Nb)+被覆剤中(Nb) ×0.20 Ni%=心線中(Ni)+被覆剤中(Ni) ×0.35 W %=心線中(W)+被覆剤中(W) ×0.35 注(4)WとMoとの関係が第1図で示すA点,B点,C
点,D点で囲まれる範囲内のものは○印、範囲外のもの
は×印で示す。
点,D点で囲まれる範囲内のものは○印、範囲外のもの
は×印で示す。
注(5)○印は良好、×印は不良を示す。
(発明の効果) 以上の様に、本発明溶接棒は従来の9%Cr−1〜2%
Mo鋼の溶接棒と比較して650℃におけるクリープ破
断強度を著しく高めたものであり、従来の9%Cr−1
〜2%Mo鋼溶接棒では到底達成し得ないもので、各種
産業の発展に貢献するところ極めて大である。
Mo鋼の溶接棒と比較して650℃におけるクリープ破
断強度を著しく高めたものであり、従来の9%Cr−1
〜2%Mo鋼溶接棒では到底達成し得ないもので、各種
産業の発展に貢献するところ極めて大である。
第1図は高クリープ破断強度および良好な溶接作業性の
得られるWとMo量の好適範囲を示す線図である。
得られるWとMo量の好適範囲を示す線図である。
Claims (1)
- 【請求項1】心線または被覆剤のいずれか一方あるいは
両方にCr、Mo、V、Nb、NiおよびWを下記に示
す範囲で添加し、 Mg;0.8〜4.5重量%、 金属炭酸塩;10〜70重量%、 金属弗化物;5〜30重量%、 その他に、上記以外の脱酸剤、アーク安定剤、粘結剤を
含む被覆剤を心線の周囲に被覆塗装し、さらにMoとW
量との関係が第1図のA点、B点、C点、D点で囲まれ
る範囲内であることを特徴とする低水素系被覆アーク溶
接棒。 Cr;8.5≦心線中(Cr)+被覆剤中(Cr) ×0.35≦11(重量%) Mo;0.8≦心線中(Mo)+被覆剤中(Mo) ×0.35≦2.5(重量%) V;0.02≦心線中(V)+被覆剤中(V) ×0.28≦0.22(重量%) Nb;0.02≦心線中(Nb)+被覆剤中(Nb) ×0.20≦0.11(重量%) Ni;0.05≦心線中(Ni)+被覆剤中(Ni) ×0.35≦1.9(重量%) W;0.2≦心線中(W)+被覆剤中(W) ×0.35≦2(重量%) 但し、 A点(0.2%W、2.5%Mo)、B点(0.6%
W、0.8%Mo)、C点(2.0%W、0.8%M
o)、D点(1.6%W、2.5%Mo)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP61062193A JPH069756B2 (ja) | 1986-03-20 | 1986-03-20 | 低水素系被覆ア−ク溶接棒 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP61062193A JPH069756B2 (ja) | 1986-03-20 | 1986-03-20 | 低水素系被覆ア−ク溶接棒 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS62220300A JPS62220300A (ja) | 1987-09-28 |
JPH069756B2 true JPH069756B2 (ja) | 1994-02-09 |
Family
ID=13193064
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP61062193A Expired - Lifetime JPH069756B2 (ja) | 1986-03-20 | 1986-03-20 | 低水素系被覆ア−ク溶接棒 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH069756B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2607594B2 (ja) * | 1988-02-24 | 1997-05-07 | 日本鋼管株式会社 | Cr−Mo系低合金鋼用被覆アーク溶接棒 |
JPH03291190A (ja) * | 1990-04-06 | 1991-12-20 | Nippon Steel Corp | 9Cr―1Mo系鋼溶接用被覆アーク溶接棒 |
JPH0825060B2 (ja) * | 1991-03-29 | 1996-03-13 | 新日本製鐵株式会社 | 低水素系被覆アーク溶接棒 |
JP5066370B2 (ja) * | 2007-02-01 | 2012-11-07 | 日鐵住金溶接工業株式会社 | 被覆アーク溶接棒用希土類金属合金粉および低水素系被覆アーク溶接棒 |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS57139495A (en) * | 1981-02-25 | 1982-08-28 | Nippon Steel Corp | Low-hydrogen type coated electrode for low alloy heat resisting steel |
JPS5970494A (ja) * | 1982-10-14 | 1984-04-20 | Kobe Steel Ltd | Cr−Mo鋼溶接用被覆ア−ク溶接棒 |
-
1986
- 1986-03-20 JP JP61062193A patent/JPH069756B2/ja not_active Expired - Lifetime
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS57139495A (en) * | 1981-02-25 | 1982-08-28 | Nippon Steel Corp | Low-hydrogen type coated electrode for low alloy heat resisting steel |
JPS5970494A (ja) * | 1982-10-14 | 1984-04-20 | Kobe Steel Ltd | Cr−Mo鋼溶接用被覆ア−ク溶接棒 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS62220300A (ja) | 1987-09-28 |
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