JPH069694Y2 - テンションレベラの中間ロール支持装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は帯鋼板の形状矯正に適用されるテンションレベ
ラの中間ロールの支持装置に関する。

〔従来の技術〕

第２図に従来のテンションレベラの全体組立正面図を示
す。

主要部は帯鋼板の形状矯正を行う上部ロールユニット２
及び下部ロールユニット３と鋼板の溶接点通過時に下部
ロールユニット３を急速開放（クイックオープンと称
す）するためのクイックオープン用油圧シリンダ５、該
油圧シリンダ５及び下部ロールユニット３を支える下部
トラバースチョック4a及び上部ロールユニット２を支え
る上部トラバースチョック4bとこれら各機器を内蔵する
ハウジング１により構成されている。

第３図は上部ロールユニット２の構造概略図で、通常帯
鋼板（以下ストリップと称す。）の形状矯正用に適用さ
れるテンションレベラのワークロール６は中間ロール７
を介して複数個のバックアップロール８で支持されてい
る。

第４図はこれら一群のロール構成を第３図のIV−IV矢視
断面で示した図で“クラスタロール”と称している。

ストリップ通板（形状矯正）中には、ストリップ張力に
よる鉛直方向分力がワークロール６に上向きに作用する
ため常にワークロール６は中間ロール７に押し付けら
れ、中間ロール７はバックアップロール８で支持され、
お互に第６図に示される様に回転している。該クラスタ
ロール全体を支持しているのが第３図のロールサポート
９である。

ストリップが無い時（テンションレベラ不使用時）又は
ストリップ張力が極端に低くなり且つ第７図に示すよう
にロールがクイックオープンした時、上側クラスタロー
ルが自由落下することを防止するために、各ロールは、
次のような手段で支持さている。即ち、ワークロール６
は第３図に示すように両端を開閉板10で支持されている
が、ストリップ通板中には該開閉板10支持部とワークロ
ール６の間にはΔｔ（１〜４mm程度）の隙間が生じ、ワ
ークロール６の回転を妨げない構造となっている。

中間ロール７は第３、第５図に示すようにロールサポー
ト９に固定されたバックアップロール８の軸受11（両端
部）内に組み込まれたコイルバネ12で常にバックアップ
ロール８に接するようにハンガ13でその両端を支持され
ている。

各バックアップロール８は、その位置が、運転中、及び
停止中いずれの場合も同一に固定されるようにロールサ
ポート９に軸受14,11（端部のみ）で支持されている。

通常、ストリップの溶接点通過時には、ストリップ溶接
点の破断を防止するため、形状矯正に必要な張力を緩め
ると同時に第７図に示すようにロール圧下も開放する操
業が実施されている。この時の下部ロール群を急速開放
する操作をクィックオープンと称している。

この際の下部ロールサポートの急速開放は通常油圧シリ
ンダによって行なわれている。

なお、このクィックオープンに要する時間は通常長くて
20秒から短かくて10秒程度である。

〔考案が解決しようとする課題〕

上記従来のテンションレベラの支持装置には解決すべき
次の課題があった。

即ち、クイックオープンの期間中に上側クラスタロール
中のワークロール６が自重で下降することによって中間
ロール７とバックアップロール８との間に隙間が生じ、
この状態で各ロールが高速回転すると中間ロール７が転
動によるはげしい振動、すなわちラビング現象が起り中
間ロール７に加振力が作用してハンガ13を支持するコイ
ルバネ12の力を上回り、クラスタ構成を破壊し、第９、
第10図に示すようなプロセスを経て最終的には中間ロー
ル７が第10図に矢印Ｅで示す方向にクラスタの系外に飛
び出すという不具合点が生じた。

なお、第８図はこの不具合発生の流れ図、第９、第10図
はロール群の変化で示した不具合説明図である。

〔課題を解決するための手段〕 本考案は上記課題の解決手段として、複数のバックアッ
プロールと、上下動可能なハンガに支持されてこれらバ
ックアップロールにロール面を押圧される中間ロール
と、該中間ロールにロール面を当接されるワークロール
とからなるクラスタロール型テンションレベラにおい
て、前記ハンガに前記中間ロールの下方移動量を抑制す
るためのストッパを設けてなることを特徴とするテンシ
ョンレベラの中間ロール支持装置を提供しようとするも
のである。

〔作用〕

本考案は上記のように構成されるので次の作用を有す
る。

即ち、ハンガに中間ロールの下方移動量を抑制するスト
ッパを設けたのでストッパにより中間ロールの降下量が
規制され、これによりラビング現象による中間ロールの
加振力（Ｆ∝wr²）が抑制される。この結果、中間ロー
ルの飛び出しがなくなる。

〔実施例〕

本考案の一実施例について第１図により説明する。な
お、第１図に新たに符号を付して示す以外の構成は第３
図の従来例と同様につき説明を省略し、かつ、従来例と
同符号をもって引用する。

図において、ハンガ13には図示のようにハンガガイド30
の真上にストッパ15（菱目斜線を施して示す）が固着さ
れている。ストッパ15とハンガガイド30との間隙Δｌ
は、万一、ラビング現象が生じてもコイルバネ12のバネ
力を下廻る加振力となる回転半径Δｌ／２、またはそれ
以下となるよう設定されている。これにより、ラビング
現象が生じてもストッパ15がハンガガイド30にその振幅
を制限され、加振力が常にコイルバネ12のバネ力以下に
抑制されて、中間ロールが系外に飛び出したり、クラス
タ構成が破壊されたりする不具合が解消する。

以上、実施例ではストッパ15をハンガ13に固着する例で
説明したが、固着に限定されるものではなく、たとえ
ば、ネジ止めでもよく、或はハンガ13と一体型としても
よく、その他考案の目的を逸脱しない範囲でどのような
構成が用いられてもよい。

〔考案の効果〕

本考案は上記のように構成されているので次の効果を有
する。即ち、ラビング現象が抑制されるので、中間ロー
ルの飛び出しやクラスタ破壊の事故発生を防止できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例のクラスタロールユニットの
部分図（但し、一部断面で示す）、第２図は従来のテン
ションレベラの全体組立正面図、第３図は第１図に対応
して示した従来例の図、第４図は第３図のIV−IV矢視断
面図、第５図は第３図のＶ−Ｖ矢視断面図、第６図は通
常運転時のクラスタロールユニットを断面で示した説明
図、第７図は第６図に対応して示したクイックオープン
時の説明図、第８図は中間ロール飛び出し（従来の不具
合）に至るプロセスを流れ図として示した説明図、第９
図、第10図は上記第８図で説明した従来の不具合状況を
第５図相当の断面で段階的に示した説明図で、第９図は
不具合直前の状態、第10図はコイルバネ12に加振力が打
ち勝ってハンガ13等が大きく下降し、中間ロール７が矢
印Ｅの方向に飛び出そうとする状態を各々示した図であ
る。 １……ハウジング、２……上部ロールユニット、 ３……下部ロールユニット、 ５……クイックオープン用油圧シリンダ、 ６……ワークロール、７……中間ロール、 ８……バックアップロール、 ９……ロールサポート、10……開放板、 11……軸受、12……コイルバネ、 13……ハンガ、14……軸受、 15……ストッパ、30……ハンガガイド。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 谷口 信行 広島県広島市西区観音新町４丁目６番22号 三菱重工業株式会社広島製作所内 (72)考案者 藤本 民治 広島県広島市西区観音新町４丁目６番22号 三菱重工業株式会社広島製作所内

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】複数のバックアップロールと、上下動可能
   なハンガに支持されてこれらバックアップロールにロー
   ル面を押圧される中間ロールと、該中間ロールにロール
   面を当接されるワークロールとからなるクラスタロール
   型テンションレベラにおいて、前記ハンガに前記中間ロ
   ールの下方移動量を抑制するためのストッパを設けてな
   ることを特徴とするテンションレベラの中間ロール支持
   装置。