JPH0696693A

JPH0696693A - カラー受像管装置

Info

Publication number: JPH0696693A
Application number: JP24388392A
Authority: JP
Inventors: Hiroshi Urata; 拓浦田
Original assignee: Toshiba Corp
Current assignee: Toshiba Corp
Priority date: 1992-09-14
Filing date: 1992-09-14
Publication date: 1994-04-08

Abstract

(57)【要約】【構成】同一水平面上を通る一列配置の３電子ビーム
16B,16G,16R を放出する電子銃17と、その３電子ビーム
を偏向する偏向装置19とを備えるカラー受像管装置にお
いて、水平偏向磁界を電子銃側をピンクッション形、蛍
光体スクリーン12側をピンクッション形とする磁界分
布、垂直偏向磁界を電子銃側をバレル形、蛍光体スクリ
ーン側をピンクッション形とする磁界分布とし、偏向装
置の装着されるファンネル11のネック15と径大部との境
界部の内面に画面の四隅部に対応して偏向装置の発生す
る水平および垂直偏向磁界の電子銃側磁界と蛍光体スク
リーン側磁界との干渉を軽減する磁性体26を配置した。【効果】同一水平面上を通る一列配置の３電子ビーム
のコンバーゼンスおよび画像歪を良好に補正することが
できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、カラー受像管装置に
係り、特に同一水平面上を通る一列配置の３電子ビーム
のコンバーゼンスおよび画像歪を補正して良好な画像を
表示するカラー受像管装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般にカラー受像管装置は、パネルおよ
びこのパネルに一体に接合された漏斗状のファンネルか
らなる外囲器を有し、そのパネルの内側に配置された多
数の電子ビーム通過孔の形成されたシャドウマスクに対
向して、パネルの内面に、青、緑、赤に発光する３色蛍
光体層からなる蛍光体スクリーンが形成されている。一
方、ファンネルのネック内に３電子ビームを放出する電
子銃が配置されている。またファンネルのネックと径大
部との境界部外側に、水平および垂直偏向磁界を発生す
る偏向装置が装着されている。そして、上記電子銃から
放出される３電子ビームを上記偏向装置の発生する水平
および垂直偏向磁界により偏向して、蛍光体スクリーン
を水平、垂直走査することにより、カラー画像を表示す
る構造に形成されている。

【０００３】このようなカラー受像管装置において、電
子銃を同一水平面上を通るセンタービームおよび一対の
サイドビームからなる一列配置の３電子ビームを放出す
るインライン型電子銃とし、一方、偏向装置の発生する
磁界を、ピンクッション形水平偏向磁界、バレル形垂直
偏向磁界として、上記一列配置の３電子ビームを自己集
中するコンバーゼンスフリーのセルフコンバーゼンス方
式インライン型カラー受像管装置が、現在のカラー受像
管装置の主流となっている。

【０００４】このカラー受像管装置によれば、他の回路
的な補正手段を要することなく、蛍光体スクリーン上の
一点に３電子ビームを集中することが可能である。しか
し実際には、上記バレル形垂直偏向磁界により、画面垂
直軸上の上下端でコンバーゼンスを合せ、ピンクッショ
ン形水平偏向磁界により、画面水平軸上の左右端でコン
バーゼンスを合せても、画面四隅部でコンバーゼンスを
一致させることが困難である。一般にこの現象は、トリ
レンマといわれている。

【０００５】このトリレンマは、図５に示すように、イ
ンライン型電子銃1 から放出される３電子ビーム2B，2
G，2Rが、画面側からみた場合、センタービーム2Gを中
心にして、左側がサイドビーム2B、右側がサイドビーム
2Rであるとすると、各電子ビーム2B，2G，2Rは、画面ま
での距離が長いほど、偏向装置の発生する磁界により大
きく偏向されるため、画面の右側では、赤画面3Rよりも
青画面3Bが大きくなり、画面の左側では、逆に青画面3B
よりも赤画面3Rが大きくなる。また画面垂直軸（Ｙ軸）
上の上下端では、画面中央部にくらべて画面までの距離
が長いため、３電子ビーム2B，2G，2Rは過集中状態とな
り、ビームスポット4B，4Rで示したようにサイドビーム
2Rが左側、サイドビーム2Bが右側になる。

【０００６】このような画面歪について、画面水平軸
（Ｘ軸）上の左右端での青画面3Bの縦線と赤画面3Rの縦
線との横ずれをＸH とし、赤画面3Rの縦線に対して青画
面3Bの縦線が右側にある場合を正とし、画面垂直軸上の
上下端での青画面3Bの縦線と赤画面3Rの縦線の横ずれを
ＹH とし、赤画面3Rの縦線に対して青画面3Bの縦線が右
側にある場合を正とする。また画面四隅部での青画面3B
の横線と赤画面3Rの横線の縦ずれをＰＱV とし、水平、
垂直軸で区切られた第１、第３象限では、赤画面3Rの横
線に対して青画面3Bの横線が上にある場合を正とし、第
２、第４象限では、青画面3Bの横線に対して赤画面3Rの
横線が上にある場合を正とすると、トリレンマ量Ｔr
は、Ｔr ＝ＸH −ＹH ＋ＰＱV で表される。

【０００７】このことは、画面垂直軸上の上下端のＹH
を補正するためには、図６（ａ）に示すように、バレル
形垂直偏向磁界6Vにより、サイドビーム2Bとサイドビー
ム2Rの間隔を広げて、同（ｂ）に4B，4Rで示したよう
に、画面垂直軸上の上下端で過集中にならないようにす
ればよいが、この場合、逆に画面四隅部のＰＱV は大き
くなり、青画面3Bの横線と赤画面3Rの横線が縦の正方向
に大きくずれる。また画面水平軸上の左右端のＸH を補
正するためには、図７（ａ）に示すように、ピンクッシ
ョン形水平偏向磁界6Hにより、周辺になるほど大きく偏
向されるようにして、同（ｂ）に示すように、青画面3B
の縦線と赤画面3Rの縦線の間隔を狭め、過集中にならな
いようにすればよいが、この場合、画面四隅部のＰＱV
が大きくなる。つまり、トリレンマ量Ｔr は、ＹH を正
方向に沿って変化させれば、ＰＱVが正方向となり、ＸH
を負方向に沿って変化させれば、ＰＱV が正方向とな
る。

【０００８】このトリレンマを補正する手段として、垂
直偏向磁界の偏向中心と水平偏向磁界の偏向中心を管軸
方向にずらす方法が実用化されている。すなわち、偏向
中心は、図８に偏向磁界により偏向される前の電子ビー
ム2 が管軸（Ｚ軸）上を通るとして示したように、その
管軸に沿って偏向領域ＤZ に入射した電子ビーム2 は、
偏向磁界により徐々に曲げられて曲線を描き、偏向領域
ＤZ から出射後の電子ビーム2 は、直線上を進む。偏向
中心は、その直線を延長して管軸と交わる点7で示され
る。トリレンマは、その垂直偏向磁界の偏向中心を水平
偏向磁界の偏向中心よりも蛍光体スクリーン側とするこ
とにより正方向とすることができ、逆に垂直偏向磁界の
偏向中心を水平偏向磁界の偏向中心よりも電子銃側とす
ることにより負方向とすることができる。

【０００９】この偏向中心の可変範囲は、蛍光体スクリ
ーン側については、偏向装置の消費電力により制限さ
れ、また電子銃側については、偏向ビームのファンネル
内面に衝突して（一般には偏向装置の装着されるファン
ネルのネックと径大部との境界部（フロート部）内
面）、画面上に電子ビームが到達しない影ができること
により制限される。

【００１０】一般に偏向装置は、このような制限のもと
に設計されるが、最近は、このような偏向装置に対して
コンバーゼンスフリーだけでなく、画像歪についても補
正回路を必要としない画像歪フリーが要求されている。

【００１１】その画像歪のうち、画面左右のピンクッシ
ョン歪は、図９（ａ）に示すように、垂直偏向磁界6Vを
ピンクツション形とすることにり、また画面上下のピン
クッション歪は、同（ｂ）に示すように、水平偏向磁界
6Hをピンクツション形とすることにより補正することが
できる。

【００１２】したがってコンバーゼンスフリーと画像歪
フリーの要求を満たす偏向装置の磁界分布は、前記コン
バーゼンスフリーの磁界と画像歪フリーの磁界分布とを
重ね合せたものとなり、水平偏向磁界については、ピン
クツション形−ピンクツション形分布、垂直偏向磁界に
ついては、バレル形−ピンクツション形分布となる。こ
のような磁界分布は、コンバーゼンスに対して大きな影
響力を及ぼす電子銃側をコンバーゼンスフリーの磁界分
布とし、ピンクツション形の画像歪に対して大きな影響
力を及ぼす蛍光体スクリーン側を画像歪フリーの磁界分
布となるように偏向装置を設計すればよい。

【００１３】最近では、偏向装置に上記ように複雑な磁
界分布が要求されているが、その要求される磁界分布を
満たす偏向装置を得ることが困難になっている。特にこ
の困難性は、カラー受像管の高精細化、大形化、広角化
にともなって益々増大している。そのため、現在は、１
１０度偏向の２５インチ以上のカラー受像管装置におい
ては、画像歪のうち、画面上下の歪のみを偏向装置の磁
界分布で補正し、画面左右の歪については、テレビセッ
トの回路で補正している。これは、画面左右の歪を補正
する垂直偏向磁界をバレル形−ピンクツション形と難し
い分布にしなければならないためであり、その垂直偏向
磁界を発生する垂直偏向コイルには、サドル巻、トロイ
ド巻のいずれで構成しても、１／１００mm以上の精度が
要求される。

【００１４】一方、水平偏向磁界ついても、決して十分
に設計余裕があるわけではない。すなわち、コンバーゼ
ンスフリーのためのピンクツション形磁界分布と画像歪
フリーのためのピンクツション形磁界分布を重ね合わせ
ると、コンバーゼンスに対してピンクツション形磁界分
布が強くなりすぎ、ＸH が負、ＰＱV が正の方向にシフ
トする。前述したように水平偏向磁界は、電子銃側でコ
ンバーゼンスを補正し、蛍光体スクリーン側で画像歪を
補正する分布に設定されるが、これらコンバーゼンスを
補正する磁界と画像歪を補正する磁界とは、まったく独
立なものではなく互いに干渉しあう。そのため、水平偏
向磁界は、現状では、電子銃側をバレル形磁界分布に設
定して、コンバーゼンス的に、全体としてピンクツショ
ン形磁界分布となるような妥協設計となせざるをえなく
なっている。

【００１５】以上要するに、カラー受像管装置のコンバ
ーゼンスフリーと画像歪フリーとを実現するためには、
水平偏向磁界および垂直偏向磁界を発生する水平、垂直
偏向コイルの巻線分布のみにより補正することは難し
く、そのために偏向装置に各種付属部材を取付けて、画
像歪を補正したり、コンバーゼンスを補正したりしてい
る。

【００１６】しかしこのように付属部材を取付けると、
磁界の相互作用により新たな画像歪やコンバーゼンスエ
ラーが発生し、問題が複雑化するばかりでなく、偏向装
置のコストが高くなるなどの問題が生ずる。

【００１７】

【発明が解決しようとする課題】上記のように、セルフ
コンバーゼンス方式インライン型カラー受像管装置は、
電子銃から放出される同一水平面上を通るセンタービー
ムおよび一対のサイドビームからなる一列配置の３電子
ビームを蛍光体スクリーン上の一点に集中することが可
能であるが、画面全面でコンバーゼンスを一致させるこ
とが困難であり、画面周辺部に画像歪を生ずる。この画
像歪のうち、一対のサイドビームにより描かれる画面垂
直軸上の上下端での画面の横線のずれＹH については、
垂直偏向磁界の偏向中心と水平偏向磁界の偏向中心とを
管軸方向にずらすことにより補正する方法が実用化され
ている。また画面左右のピンクッション歪は、垂直偏向
磁界をピンクッション形とすることにより、また画面上
下のピンクッション歪は、水平偏向磁界をピンクッショ
ン形とすることにより補正することができる。

【００１８】したがってコンバーゼンスフリーと画像歪
フリーの要求を満たす偏向装置は、コンバーゼンスフリ
ーの磁界分布と画像歪フリーの磁界分布とを重ね合わせ
たものとなり、水平偏向磁界については、コンバーゼン
スに対して大きな影響力を及ぼす電子銃側をコンバーゼ
ンスフリーの磁界分布とし、ピンクツション形の画像歪
に対して大きな影響力を及ぼす蛍光体スクリーン側を画
像歪フリーの磁界分布とするピンクツション形−ピンク
ツション形分布、垂直偏向磁界については、バレル形−
ピンクツション形分布とすればよいことになる。

【００１９】しかし偏向装置の磁界をこのような複雑な
分布にすることは困難であり、その困難性は、カラー受
像管の高精細化、大形化、広角化にともなって益々増大
する。そのため、現在は、１１０度偏向の２５インチ以
上のカラー受像管装置については、画像歪のうち、画面
上下の歪のみを偏向装置の水平偏向磁界分布で補正し、
画面左右の歪については、テレビセットの回路で補正し
ている。

【００２０】一方、水平偏向磁界ついても、決して十分
に設計余裕があるわけではなく、コンバーゼンスフリー
のためのピンクツション形磁界分布と画像歪フリーのた
めのピンクツション形磁界分布を重ね合わせると、コン
バーゼンスに対してピンクツション形の磁界分布が強く
なりすぎる。また前述したように水平偏向磁界は、電子
銃側でコンバーゼンスを補正し、蛍光体スクリーン側で
画像歪を補正する分布に設定されるが、これらコンバー
ゼンスを補正する磁界と画像歪を補正する磁界とはまっ
たく独立なものではなく互いに干渉しあう。そのため、
水平偏向磁界は、電子銃側をバレル形磁界分布に設定し
て、コンバーゼンス的に全体としてピンクツション形磁
界分布となるような妥協設計とせざるをえないものとな
っている。

【００２１】以上要するにカラー受像管装置のコンバー
ゼンスフリーおよび画像歪フリーを実現するためには、
水平偏向磁界および垂直偏向磁界を発生する水平、垂直
偏向コイルの巻線分布のみにより補正することは難し
く、そのために偏向装置に各種付属部材を取付けて、画
像歪を補正したり、コンバーゼンスを補正したりしてい
る。しかしこのように付属部材を取付けると、磁界の相
互作用により新たな画像歪やコンバーゼンスエラーが発
生し、問題が複雑化するばかりでなく、偏向装置のコス
トが高くなるなどの問題が生ずる。

【００２２】この発明は、上記問題点に鑑みてなされた
ものであり、コンバーゼンスと画像歪とを互いに影響し
合わないように補正して、良好な画像を表示しうるカラ
ー受像管装置を構成することを目的とする。

【００２３】

【課題を解決するための手段】パネルおよび漏斗状のフ
ァンネルからなる外囲器と、パネルの内面に形成された
蛍光体スクリーンと、ファンネルのネック内に配置さ
れ、同一水平面上を通る一列配置の３電子ビームを放出
する電子銃と、ファンネルのネックと径大部との境界部
外側に装着され、電子銃から放出される３電子ビームを
偏向する水平および垂直偏向磁界を発生する偏向装置と
を備えるカラー受像管装置において、その偏向装置の水
平偏向磁界を、電子銃側をピンクッション形、蛍光体ス
クリーン側をピンクッション形とする磁界分布とすると
ともに、垂直偏向磁界を、電子銃側をバレル形、蛍光体
スクリーン側をピンクッション形とする磁界分布とし、
偏向装置の装着されるファンネルのネックと径大部との
境界部の内面に水平および垂直偏向磁界により偏向され
た３電子ビームの走査により蛍光体スクリーン上に得ら
れる画面の四隅部に対応して、偏向装置の発生する水平
および垂直偏向磁界の電子銃側磁界と蛍光体スクリーン
側磁界との干渉を軽減する磁性体を配置した。

【００２４】

【作用】上記のように、電子銃から放出される同一水平
面上を通る一列配置の３電子ビームを偏向する偏向装置
の水平偏向磁界を、電子銃側をピンクッション形、蛍光
体スクリーン側をピンクッション形とする磁界分布とす
るとともに、垂直偏向磁界を、電子銃側をバレル形、蛍
光体スクリーン側をピンクッション形とする磁界分布と
し、その偏向装置の装着されるファンネルのネックと径
大部との境界部の内面に水平および垂直偏向磁界により
偏向された３電子ビームの走査により蛍光体スクリーン
上に得られる画面の四隅部に対応して、偏向装置の発生
する水平および垂直偏向磁界の電子銃側磁界と蛍光体ス
クリーン側磁界との干渉を軽減する磁性体を配置する
と、この磁性体により偏向装置の発生する水平および垂
直偏向磁界の電子銃側磁界と蛍光体スクリーン側磁界と
の干渉をなくして、理想的な磁界分布とすることがで
き、同一水平面上を通る一列配置の３電子ビームのコン
バーゼンスおよび画像歪を良好に補正することができ
る。

【００２５】

【実施例】以下、図面を参照してこの発明を実施例に基
づいて説明する。

【００２６】図１にその一実施例であるカラー受像管装
置の全体の構成を示す。このカラー受像管装置は、パネ
ル10および漏斗状のファンネル11からなる外囲器を有
し、そのパネル10の内面に、青、緑、赤に発光する垂直
方向に細長いストライプ状の３色蛍光体層からなる蛍光
体スクリーン12が形成され、この蛍光体スクリーン12に
対向して、その内側に多数の電子ビーム通過孔の形成さ
れたシャドウマスク13が配置されている。一方、ファン
ネル11のネック15内に、同一水平面上を通るセンタービ
ーム16B および一対のサイドビーム16G ，16R からなる
一列配置の３電子ビーム16B ，16G ，16R を放出する電
子銃17が配設されている。またファンネル11のネック15
と径大部18との境界部外側に偏向装置19が装着されてい
る。

【００２７】この偏向装置19は、図２に示すように、合
成樹脂からなるセパレータ21の内側に配置された上下一
対のサドル型水平偏向コイル22と、コア23に巻回されて
セパレータ21の外側に配置された一対のトロイダル型垂
直偏向コイル24とを有する。その水平偏向コイル22は、
電子銃側をピンクッション形、蛍光体スクリーン側もピ
ンクッション形とする分布の水平偏向磁界を発生し、垂
直偏向コイル24は、電子銃側をバレル形、蛍光体スクリ
ーン側をピンクッション形とする分布の垂直偏向磁界を
発生し、コンバーゼンスフリーおよび画像歪フリーの偏
向装置となっている。

【００２８】さらに、このカラー受像管装置において
は、図３に示すように、上記偏向装置19の装着されてい
るファンネル11のネック15と径大部18との境界部の内側
に、上記水平および垂直偏向磁界により偏向された電子
ビームの走査により蛍光体スクリーン上に得られる画面
の四隅部に対応して、磁性体26が配置されている。

【００２９】この磁性体26は、フェライト、パーマロ
イ、珪素鋼板などからなり、たとえば厚さ０．５mm、長
径１０mm、短径５mmの小判形状の珪素鋼板を、その長径
が電子ビームの進行方向になるように鉛ガラスなどによ
り接着することにより、ファンネル11のネック15と径大
部18との境界部の内面に固定されている。その固定位置
は、たとえばネック15と径大部18との継目から５０mm程
度蛍光体スクリーン側に寄った位置である。

【００３０】ところで、上記のように構成すると、偏向
装置19の発生する水平および垂直偏向磁界に対して、そ
の電子銃側磁界と蛍光体スクリーン側磁界との干渉を軽
減して、同一水平面上を通る一列配置の３電子ビーム16
B ，16G ，16R のコンバーゼンスおよび画像歪を良好に
補正する理想的な磁界分布とすることができ、良好な画
像を表示するカラー受像管装置とすることができる。

【００３１】すなわち、図４（ａ）に横軸を管軸（Ｚ
軸）方向として曲線28で示したように、水平偏向磁界
は、磁性体の配置により、電子銃側のピンクッション形
磁界分布29と蛍光体スクリーン側のピンクッション形磁
界分布30との間に落込んだ部分31ができ、蛍光体スクリ
ーン側は、破線32で示す従来の水平偏向磁界分布とほぼ
同じになる。そのため、従来トリレンマのＸH を補正す
るために電子銃側をバレル形とした磁界分布（破線32）
が必要でなくなる。しかも電子銃側のピンクッション形
磁界分布29と蛍光体スクリーン側のピンクッション形磁
界分布30との間に落込んだ部分31ができることにより、
全体として過剰なピンクッション形磁界を軽減でき、水
平偏向磁界の設計余裕が増す。また図４（ｂ）に同様に
横軸を管軸方向として曲線33で示したように、垂直偏向
磁界は、磁性体の配置により、電子銃側のバレル形磁界
分布34と蛍光体スクリーン側のピンクッション形磁界分
布35との間に平坦な部分36ができ、破線37で示す従来の
垂直偏向磁界分布のようにバレル形磁界からピンクッシ
ョン形磁界への急激な変化をなくすことができる。その
結果、水平および垂直偏向コイルの巻線分布に対する精
度余裕が生れ、コンバーゼンス補正および画像歪補正に
必要な磁界分布にすることが容易となる。また画面四隅
部のコンバーゼンスずれに対しては、上記水平偏向磁界
と垂直偏向磁界とが交錯し、かつ電子ビーム16B ，16G
，16R が磁性体26に接近して偏向装置19の近くを通る
ため、特に効果的な補正が得られる。その結果、良好な
画像を表示するカラー受像管装置とすることができる。

【００３２】またこの例のカラー受像管装置は、磁性体
26をファンネル11のネック15と径大部18との境界部の内
側に配置したので、偏向装置に直接磁性体を取付けた場
合に生ずる問題を回避することができる。すなわち、偏
向装置に直接磁性体を取付けると、磁性体の磁歪による
うなり音が発生する。またファンネルに対する偏向装置
の密着性が悪くなり、蛍光体層に対する電子ビームのラ
ンディング調整が不具合となり、甚だしい場合は、偏向
装置の電子銃側に後退することにより、電子ビームが蛍
光体スクリーンに到達しないネックシャドウを生ずる。
また鉄損により磁性体の温度が４０〜５０℃程度に上昇
するため、安全上問題となる。しかし磁性体26をファン
ネル11のネック15と径大部18との境界部の内側に配置す
ると、このような問題を回避することができる。しかも
電子ビーム16B ，16G ，16R に接近して位置するため、
電子ビーム16B ，16G ，16R に対する位置精度を高くす
ることができ、電子ビーム16B ，16G ，16R に対する作
用を局部的に限定することができる、などの効果が得ら
れる。

【００３３】

【発明の効果】電子銃から放出される同一水平面上を通
る一列配置の３電子ビームを偏向する偏向装置の水平偏
向磁界を、電子銃側をピンクッション形、蛍光体スクリ
ーン側をピンクッション形とする磁界分布とするととも
に、垂直偏向磁界を、電子銃側をバレル形、蛍光体スク
リーン側をピンクッション形とする磁界分布とし、その
偏向装置の装着されるファンネルのネックと径大部との
境界部の内面に水平および垂直偏向磁界により偏向され
た３電子ビームの走査により蛍光体スクリーン上に得ら
れる画面の四隅部に対応して、偏向装置の発生する水平
および垂直偏向磁界の電子銃側磁界と蛍光体スクリーン
側磁界との干渉を軽減する磁性体を配置すると、この磁
性体により偏向装置の発生する水平および垂直偏向磁界
の電子銃側磁界と蛍光体スクリーン側磁界との干渉をな
くして、理想的な磁界分布とすることができ、同一水平
面上を通る一列配置の３電子ビームのコンバーゼンスお
よび画像歪を良好に補正することができ、良好な画像を
表示するカラー受像管装置とすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の一実施例であるカラー受像管装置の
構成を示す図である。

【図２】その偏向装置の構成を示す図である。

【図３】図３（ａ）は上記カラー受像管装置の要部構成
を断面で示した正面図、図３（ｂ）はその断面で示した
平面図である。

【図４】図４（ａ）は上記カラー受像管装置の水平偏向
磁界の分布を示す図、図４（ｂ）は同じく垂直偏向磁界
の分布を示す図である。

【図５】セルフコンバーゼンス方式インライン型カラー
受像管装置の画像歪を説明するための図である。

【図６】図６（ａ）はセルフコンバーゼンス方式インラ
イン型カラー受像管装置の画面垂直軸上の上下端のトリ
レンマのＹH を補正する垂直偏向磁界の説明図、図６
（ｂ）は画面垂直軸の上下のトリレンマのＹH を補正し
た場合に生ずる画面四隅部のトリレンマのＰＱV を説明
するための図である。

【図７】図７（ａ）はセルフコンバーゼンス方式インラ
イン型カラー受像管装置の画面水平軸上の左右端のトリ
レンマのＸH を補正する水平偏向磁界の説明図、図７
（ｂ）は画面水平軸上の左右端のトリレンマのＸH を補
正した場合に生ずる画面四隅部のトリレンマのＰＱV を
説明するための図である。

【図８】偏向磁界により偏向される電子ビームの軌道を
説明するための図である。

【図９】図９（ａ）は画面左右のピンクッション歪を補
正する垂直偏向磁界の説明図、図９（ｂ）は画面上下の
ピンクッション歪を補正する水平偏向磁界の説明図であ
る。

【符号の説明】

10…パネル 11…ファンネル 12…蛍光体スクリーン 15…ネック 16B 、16R …一対のサイドビーム 16G …センタービーム 17…電子銃 18…径大部 19…偏向装置 22…水平偏向コイル 24…垂直偏向コイル 26…磁性体

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】パネルおよび漏斗状のファンネルからな
る外囲器と、上記パネルの内面に形成された蛍光体スクリーンと、上記ファンネルのネック内に配置され、同一水平面上を
通る一列配置の３電子ビームを放出する電子銃と、上記ファンネルのネックと径大部との境界部外側に装着
され、上記電子銃側をピンクッション形、上記蛍光体ス
クリーン側をピンクッション形とする分布の水平偏向磁
界を発生するとともに、上記電子銃側をバレル形、上記
蛍光体スクリーン側をピンクッション形とする分布の垂
直偏向磁界を発生する偏向装置と、上記偏向装置の装着される上記ファンネルのネックと径
大部との境界部の内面に上記水平および垂直偏向磁界に
より偏向された３電子ビームの走査により上記蛍光体ス
クリーン上に得られる画面の四隅部に対応して配置さ
れ、上記偏向装置の発生する水平および垂直偏向磁界の
電子銃側磁界と蛍光体スクリーン側磁界との干渉を軽減
する磁性体とを具備することを特徴とするカラー受像管
装置。