JPH0696440A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JPH0696440A
JPH0696440A JP4268109A JP26810992A JPH0696440A JP H0696440 A JPH0696440 A JP H0696440A JP 4268109 A JP4268109 A JP 4268109A JP 26810992 A JP26810992 A JP 26810992A JP H0696440 A JPH0696440 A JP H0696440A
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JP
Japan
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magnetic
magnetic powder
iron
recording medium
powder
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JP4268109A
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Inventor
Kiminori Tamai
公則 玉井
Takashi Iida
隆志 飯田
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TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 磁気特性が良好で、かつ経時安定性に優れた
磁気記録媒体を得る。 【構成】 内部の主成分を鉄とし、表面の主成分を炭素
とし、かつ周期表2族(2A族)の元素の少なくとも1
種以上を0.05〜1.0重量%含有する磁性粉末を用
いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、塗布型の磁気記録媒体
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、磁気記録媒体用の粉末磁性材料と
して主に針状酸化鉄が使用されてきた。
【0003】しかし、近年、家庭用VTRの普及や高性
能オーディオカセットテープ、ビデオテープ、コンピュ
ーターテープ、磁気ディスク、フロッピーディスク、磁
気カード等の実用化に代表されるように、磁気記録媒体
に使用される信号の記録密度が高まるにつれて、針状酸
化鉄のみでは磁気記録の高密度化に対処できなくなり、
さらに高保磁力、高磁束密度を有する磁性材料が種々開
発されている。
【0004】このような磁性粉材料の1つとして、磁性
金属を使用した金属磁性粉末があり、高性能オーディオ
カセットテープ、各種ビデオテープ、DAT、各種磁気
ディスク等で実用化されている。
【0005】しかし、金属磁性粉末を用いた塗布型の磁
気記録媒体も、さらなる出力アップや、S/NやC/N
の改善が望まれており、そのための方策として、媒体の
残留磁束密度Brの向上、そしてそのための磁性粉末の
飽和磁化σsの向上が望まれている。
【0006】このような実状から、本発明者は、先に、
内部の主成分を鉄とし、表面の主成分を炭素とした磁性
粉末を用いた磁気記録媒体を提案している(特願平3−
272057号)。
【0007】このものでは、実際、磁性粉末のσsが向
上しており、磁気記録媒体としたときにBrが向上し、
出力アップの効果を得ている。また、上記の磁性粉末で
は、金属磁性粉末に比べ、σsの経時変化も少ない。
【0008】しかし、上記の磁性粉末を用いた磁気記録
媒体においても、特に、磁気特性の経時劣化の点で十分
ではなく、さらなる改善が望まれている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の主たる目的
は、磁気特性が良好で、経時安定性に優れた磁気記録媒
体を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(7)の本発明により達成される。 (1)非磁性支持体上に、磁性粉末と、バインダとを含
む磁性層を有する磁気記録媒体において、前記磁性粉末
は、内部が鉄を主成分とし、表面が炭素を主成分とする
ものであり、かつ周期表2族(2A族)の元素の少なく
とも1種以上を、鉄に対して0.05〜1.0重量%含
有することを特徴とする磁気記録媒体。
【0011】(2)前記磁性粉末は、周期表2族(2A
族)の元素を含有する酸化鉄から得られた炭化鉄粉末
を、非酸化性雰囲気で熱処理して得られたものである上
記(1)の記載の磁気記録媒体。
【0012】(3)前記磁性粉末の内部は、実質的にα
−鉄である上記(1)または(2)に記載の磁気記録媒
体。
【0013】(4)前記炭素の含有量は5〜15重量%
である上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の磁気
記録媒体。
【0014】(5)前記磁性粉末の飽和磁化σsは14
0emu/g 以上である上記(1)ないし(4)のいずれか
に記載の磁気記録媒体。
【0015】(6)前記磁気記録媒体の残留磁化Brが
3000G以上である上記(1)ないし(5)のいずれ
かに記載の磁気記録媒体。
【0016】(7)前記磁性粉末を、1種以上の有機溶
剤とともに混練分散し、その後バインダ中に分散して磁
性塗料を調製し、この磁性塗料を前記非磁性支持体上に
塗布した上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の磁
気記録媒体。
【0017】
【具体的構成】以下、本発明の具体的構成について詳細
に説明する。
【0018】本発明の磁気記録媒体の磁性層に含有され
る磁性粉末は、炭素を主成分とする表面と、鉄を主成分
とする内部コアを有する。粒子内部の鉄は、主としてα
−鉄として存在する。
【0019】磁性粉末をこのような構成とすることによ
って、格段に高い飽和磁化σsが得られ、磁気記録媒体
の磁気特性が良好となり、出力向上を図ることができ
る。
【0020】そして、本発明における磁性粉末には、周
期表2族(2A族)の元素(以下、「2A族元素」とも
いう。)の少なくとも1種以上が、鉄に対して、0.0
5〜1.0重量%、好ましくは0.08〜1.0重量%
含有される。
【0021】この場合の2A族元素としては、Mg、C
a、Ba、Sr等が好ましく用いられる。
【0022】このような2A族元素は、主に、磁性粉末
の表面に存在し、表面でその濃度が高く、表面から内部
に行くにつれて濃度が低くなるものと考えられる。
【0023】このように2A族元素を上記範囲で含有さ
せることによって、磁気特性の経時安定性が向上する。
【0024】2A族元素の含有量が0.05重量%未満
となると、経時安定性の向上効果が得られず、1.0重
量%を超えると経時安定性向上の効果は得られるもの
の、磁気特性が十分でなくなる。
【0025】このような本発明の効果は、2A族元素を
含有させることによって得られるものであり、これらの
元素を含有させることなく、単に、炭素を主成分とする
表面と、鉄を主成分とする内部コアを有する磁性粉末を
用いては得られるものではない。
【0026】本発明における磁性粉末は、2A族元素を
含有する酸化鉄から、所定の方法により、出発原料とな
る2A族元素を含有する炭化鉄を得、この炭化鉄粉末
を、非酸化性雰囲気、特に窒素等の非酸化性ないし不活
性ガス気流下で300〜400℃にて12〜48時間熱
処理することによって、黒色の粉末として得られる。
【0027】このとき用いる酸化鉄としては、α−Fe
23 ,γ−Fe23 ,Fe34 ,γ−Fe23
−Fe34 (固溶体)等の酸化鉄のみならず、α−F
eOOH(Goethite) ,β−FeOOH(Akaganite) ,
γ−FeOOH(Lepidocrocite) 等のオキシ水酸化鉄で
あってもよく、本発明における酸化鉄はこのようなもの
も包含する概念である。
【0028】2A族元素を含有する酸化鉄を得るには、
例えば以下のような方法によることが好ましい。
【0029】例えば、塩化鉄(II)等の鉄(II)塩をア
ルカリ存在下に加水分解して水酸化鉄(II)を得るとき、
鉄(II)塩の水溶液に予め2A族元素を含有させておく
などすればよい。
【0030】そして、さらには、この水酸化鉄(II)から
Fe23 等の酸化鉄を得てもよい。
【0031】また、2A族元素は、磁性粉末における2
A族元素の導入量に応じて、所定量、鉄(II)塩の水溶
液に添加すればよい。
【0032】この場合、2A族元素は、塩として添加す
ることが好ましく、塩化物(CaCl2 、MgCl2
BaCl2 、SrCl2 ないしこれらの水和物など)等
が用いられる。
【0033】本発明においては、2A族元素を含有する
酸化鉄から炭化鉄を得るが、この場合、炭化鉄は、上記
酸化鉄を、特開昭58−171765号や特開昭60−
124023号などに記載されているように、一酸化炭
素や水素と一酸化炭素との混合ガスを用いた還元によっ
て得られる。
【0034】あるいは、2A族元素を含有する酸化鉄
と、水系コロイド状カーボンブラック粒子サスペンジョ
ンのスラリー状混合物を水素還元、一酸化炭素還元、ま
たは水素と一酸化炭素との混合ガス還元によって調製し
てもよい。
【0035】本発明において生成する2A族元素を含有
する炭化鉄としては、2A族元素を除外して考えると、
FenCにおいて、n≧2、特に2〜3のものである。
この場合、nは整数であって、化学量論組成となる必要
はないが、Fe2 C,Fe52 ,Fe3 Cが主として
生成される。そして、粒子中には濃度勾配があってもか
まわない。
【0036】このような炭化鉄粉末に前記の熱処理を施
すことにより、表面が主として炭素であり、内部は、主
としてα−鉄である磁性粉末を得ることができる。
【0037】そして、2A族元素は、熱処理により、前
記のように、表面に主として存在するようになると考え
られる。表面の炭素の存在は、SIMSによる解析を行
なって、C−C結合が存在するか否かで判定すればよ
い。α−鉄の存在はX線回折(XRD)により確認でき
る。
【0038】また、2A族元素の存在は、X線光電子分
光法(ESCA)によって確認することができる。
【0039】磁性粉末中の炭素の含有量は5〜15重量
%であり、2A族元素を除く残部は実質的にα−鉄であ
ることが好ましい。このような範囲できわめて高いσs
が得られる。
【0040】炭素含有量が少なすぎると、経時特性が悪
くなり、炭素含有量が多すぎると、σsが低下してく
る。
【0041】以上述べてきた本発明の磁性粉末は、針状
形態あるいは粒状形態であり、その寸法は磁気記録媒体
として用いる用途によって選択されるが、一般に、長径
0.1〜1μm 、軸比1〜20のものが好ましい。また
ビデオ用、オーディオ用等のテープに使用される針状形
態は、直径0.1〜0.5μm 、針状比4〜15のもの
が好ましい。また、N2 吸着による比表面積(BET
値)は20〜70m2/gのものが好ましい。
【0042】また、本発明の磁性粉末の保磁力Hcは、
1000〜1800Oe、特に1200〜1600Oeが得
られる。そして飽和磁化σS は140emu/g 以上、特に
150〜170emu/g が得られる。
【0043】本発明ではこの鉄を主成分とする磁性粉末
を少なくとも1種以上の有機溶剤とともに混練分散する
前処理を行なって、磁性塗料を調製することが好まし
い。
【0044】この前処理により、磁性粉末の凝集を取り
除き、バインダとの分散性を向上させることができ、高
充填度、高配向度の磁性層を得ることができる。
【0045】用いる有機溶剤に特に制限はなく、磁性塗
料に通常用いる溶媒、例えばシクロヘキサノン、メチル
エチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソホロン等
のケトン系、トルエン等の芳香族系、イソプロピルアル
コール、ブチルアルコール等のアルコール系、エチルセ
ロソルブ、酢酸セロソルブ等のセロソルブ系等の1種ま
たは2種以上のいずれであってもよい。ただし、もっと
も効果の高いのは、ケトン系および芳香族系であり、特
にシクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソ
ブチルケトン、トルエンは好適である。これらケトン
系、芳香族系の有機溶剤は2種以上用いてもよい。
【0046】前処理工程における磁性粉末に対する有機
溶剤の混合量は、磁性粉末100重量部に対して、20
〜50重量%とすることが好ましい。混合量が多すぎる
と十分に凝集を取り除くことができず、また少なすぎる
と、粒子が破砕されてしまう。前処理においては、混練
時間15分〜12時間程度とする。
【0047】本発明の磁性粉末は、用いる磁性粉末全体
の50〜100重量%を占めることが好ましい。本発明
の磁性粉末に併用できる磁性粉末としては、γ−Fe2
3、Co含有γ−Fe23 、Fe34 、Co含有
Fe34 、CrO2 、バリウムフェライト、ストロン
チウムフェライト等の酸化物微粉末や、Fe、Co、N
iあるいはこれらの合金微粉末等公知の磁性粉末があ
る。
【0048】本発明に用いるバインダ樹脂は、電子線硬
化性樹脂、熱可塑性樹脂、熱硬化性もしくは反応型樹脂
またはこれらの混合物等いずれであってもよいが、得ら
れる膜強度等から熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂を用
いることが好ましい。
【0049】熱硬化性樹脂としては、例えば塩化ビニル
−酢酸ビニル(カルボン酸含有も含む)、塩化ビニル−
ビニルアルコール−酢酸ビニル(カルボン酸含有も含
む)、塩化ビニル−塩化ビニリデン、塩素化塩化ビニ
ル、塩化ビニル−アクリロニトリル、ビニルブチラー
ル、ビニルホルマール等のビニル共重合系樹脂と架橋剤
との混合物、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ニ
トロセルロース、セルロースアセトブチレート等の繊維
素系樹脂と架橋剤との混合物、ブタジエン−アクリロニ
トリル等の合成ゴム系と架橋剤との混合物、さらにはこ
れらの混合物等が好適である。これらは−SO3 M、−
COOM、−N(R)2 、−N(R)3 (ここで、Mは
HまたはNa等の一価の金属を表し、Rは水素原子また
はアルキル基等の一価の炭化水素基を表す)などの極性
基を有していてもよい。さらには、フェノール樹脂、エ
ポキシ樹脂、尿素樹脂、ブチラール樹脂、ホルマール樹
脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、
アクリル系反応樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ−ポリ
アミド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂などの縮重合系
の樹脂あるいは高分子量ポリエステル樹脂とイソシアネ
ートプレポリマーの混合物、メタクリル酸塩共重合体と
ジイソシアネートプレポリマーの混合物、ポリエステル
ポリオールとポリイソシアネートの混合物、低分子量グ
リコール/高分子量ジオール/トリフェニルメタントリ
イソシアネートの混合物など、上記の縮重合系樹脂とイ
ソシアネート化合物などの架橋剤との混合物なども挙げ
られる。
【0050】バインダ樹脂を硬化する架橋剤としては、
各種ポリイソシアナート、特にジイソシアナートを用い
ることができ、特に、トリレンジイソシアナート、ヘキ
サメチレンジイソシアナート、メチレンジイソシアナー
トの1種以上が好ましい。これらの架橋剤は、バインダ
樹脂に含有される官能基等と結合して樹脂を架橋する。
架橋剤の含有量は樹脂100重量部に対し、10〜30
重量部とすることが好ましい。このような、熱硬化性樹
脂を硬化するには、一般に加熱オーブン中で50〜70
℃にて12〜48時間加熱すればよい。
【0051】バインダとしては、電子線硬化型化合物を
硬化したもの、すなわち電子線硬化性樹脂を用いたもの
も好適である。電子線硬化性化合物の具体例としては、
ラジカル重合性を有する不飽和二重結合を示すアクリル
酸、メタクリル酸、あるいはそれらのエステル化合物の
ようなアクリル系二重結合、ジアリルフタレートのよう
なアリル系二重結合、マレイン酸、マレイン酸誘導体等
のアミン変性物の不飽和結合等の電子線照射による架橋
あるいは重合乾燥する基を熱可塑性樹脂の分子中に含有
または導入した樹脂である。その他電子線照射により架
橋重合する不飽和二重結合を有する化合物であれば用い
ることができる。
【0052】電子線硬化樹脂に変性できる熱可塑性樹脂
の例としては、塩化ビニル系共重合体、塩化ビニル−酢
酸ビニル、ビニルアルコール系共重合体、塩化ビニル−
アクリル系共重合体、飽和ポリエステルのエポキシ樹
脂、フェノキシ樹脂、繊維素誘導体等を挙げることがで
き、これらを公知の方法によるアクリル変性等を施せば
よい。
【0053】磁性塗料の溶剤に特に制限はなく、磁性塗
料に通常用いる溶媒、例えばシクロヘキサノン、メチル
エチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソホロン等
のケトン系、トルエン等の芳香族系、イソプロピルアル
コール、ブチルアルコール等のアルコール系、エチルセ
ロソルブ、酢酸セロソルブ等のセロソルブ系等の各種有
機溶剤の1種または2種以上を目的に応じて選択すれば
よい。磁性塗料に使用する溶剤の使用量に特に制限はな
いが、強磁性粉末100重量部に対し、150〜250
重量部程度とすることが好ましい。
【0054】磁性塗料中には、磁性層の機械的強度を高
めるために、α−Al23 、Cr23 、TiO2
SiC、α−Fe23 等の無機微粒子を含有させるこ
とが好ましい。また、磁性塗料中には、必要に応じ、脂
肪酸等の分散剤、シリコーンオイル等の潤滑剤、その他
の各種添加物を添加してもよい。
【0055】磁性層の厚みは一般に2〜4μm 程度とす
る。磁性層を設層する非磁性の支持体としては公知のい
ずれのものも使用可能である。なお、必要に応じ、下地
層、バックコート層等が設けられていてもよい。
【0056】本発明の磁性粉末を用いることにより磁性
層の残留磁化Brは3000G以上、保磁力Hcは120
0〜1700Oe程度とすることができる。そして、経時
安定性も良好である。
【0057】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を挙げ、本発明
をさらに詳細に説明する。
【0058】実施例1 FeCl2 ・4H2 O 1000g を45℃に保温した
20リットルのH2 Oに溶解させ、この溶液に予め、C
aCl2 0.47g を100mlのH2 Oに溶解した溶
液を加え30分間攪拌混合した。次に、この溶液に、N
aOH300gを1000mlのH2 Oに溶解させた45
℃の水溶液を徐々に添加していき、添加を終了した後6
0分間攪拌混合した。次に、温度を70℃まで上げた
後、空気を吹き込みながら6時間攪拌を続けた。その
後、室温まで放冷し、水洗して濾過し、60℃で1日乾
燥してCa含有水酸化鉄を得た。
【0059】このようにして得られたCa含有水酸化鉄
80g を採取し、炉に挿入し、N2を流して空気を置換
した後、500℃で6時間熱処理した。次に温度を45
0℃まで下げ雰囲気をH2 にしてFe34 まで還元し
た後、さらに温度を350℃まで下げ、CO/H2 (3
0/70容量比)の混合ガスを毎分300mlの流速で流
しながら6時間処理を行なった。次にN2 を流して混合
ガス置換した後、380℃まで昇温した。そして380
℃に保ちながらN2 を毎分100mlの流速で流しながら
24時間処理した後、室温まで徐冷して磁性粉末サンプ
ルNo. 1を得た。
【0060】磁性粉末No. 1における2A族元素である
Caの含有量は、鉄に対して0.06重量%であった。
これを「2A族/Fe=0.06重量%」で表示する。
この含有量はCaCl2 ・4H2 Oの仕込量から計算し
たものである。
【0061】また、これについてX線回折(ターゲット
Cu40kV−30mA)を行なったところ、α−鉄のピー
クが観察された。
【0062】また、SIMSによる分析から、粉末表面
に炭素のC−C結合が存在することが確認され、表面炭
素の厚さは15A 程度と推定した。
【0063】また、Caの存在はESCAにより確認
し、表面の濃度が高く、内部にいくにつれ濃度が低くな
ることもこれにより確認した。
【0064】なお、粉末の平均長軸長は0.20μm 、
平均軸比は10であった。
【0065】磁性粉末サンプルNo. 1において、CaC
2 ・4H2 Oを添加しないほかは同様にして磁性粉末
サンプルNo. 2を得た。
【0066】また、磁性粉末サンプルNo. 1において、
CaCl2 ・4H2 Oを0.16g、0.78g 、3.
9g 、6.2g 、11.7g にそれぞれかえるほかは同
様にして磁性粉末サンプルNo. 3、No. 4、No. 5、N
o. 6、No. 7を得た。
【0067】また、磁性粉末サンプルNo. 1において、
CaCl2 ・4H2 OのかわりにBaCl2 ・2H2
を0.5g 、、SrCl2 ・6H2 Oを0.855g 、
MgCl2 ・6H2 Oを2.35g 、それぞれ用いるも
のとするほかは同様にして磁性粉末サンプルNo. 8、N
o. 9、No. 10を得た。
【0068】また、磁性粉末サンプルNo. 1において、
CaCl2 ・4H2 OのかわりにCaCl2 ・4H2
を0.47g とBaCl2 ・2H2 Oを0.5g とを併
用するほかは同様にして磁性粉末サンプルNo. 11を得
た。
【0069】これらのサンプルNo. 2〜No. 11におけ
るX線回折等の結果はサンプルNo.1と同様であった。
ただし、サンプルNo. 2では2族元素の存在は確認でき
なかった。
【0070】磁性粉末サンプルNo. 1〜No. 11を各々
20g 用い、このものを3mm径のスチールボール300
g を予め入れておいた内容積140mlのスチール製容器
に投入した。次いで、メチルエチルケトン(MEK)を
6g を投入した後、振動型分散機で1時間混合分散させ
た。得られたものを用い、最終組成が次のようになるよ
うな磁性塗料を調製した。
【0071】 磁性塗料の組成 磁性粉末 100重量部 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 (重合度 約400) 14重量部 ポリウレタン樹脂 (平均分子量 約4万) 6重量部 Al23 3重量部 ステアリン酸 1重量部 MEK 80重量部 トルエン 80重量部 シクロヘキサノン 40重量部
【0072】この組成物を加圧ニーダにて十分混練処理
を行なった後、サンドグラインダーミルにて分散を行な
いトリレンジイソシアナート4重量部を添加して10μ
m のポリエステルフィルム上に塗布し、2000Gの配
向磁界を印加して乾燥した。次いでカレンダ処理を行な
い、60℃にて24時間熱硬化を行なった。磁性層の最
終厚みは3.0μm とした。これをスリッターにより8
mm幅に切断してテープサンプルを得た。
【0073】用いた磁性粉末No. 1〜No. 11に応じ
て、各々、テープサンプルNo. 1〜No. 11とする。
【0074】上記の磁性粉末サンプルNo. 1〜No. 11
について、保磁力Hc、飽和磁化σs、BET値を求め
た。また、これらのサンプルNo. 1〜No. 11を60℃
のオーブン中に7日間保存し、Hc、σs の変化率、ΔHc
(%)、Δσs (%)を調べ、経時特性を評価した。結
果を表1に示す。
【0075】また、テープサンプルNo. 1〜No. 11に
ついて、磁留磁化Br、保磁力Hc、角形比Br/Bmを
求めた。また、保磁力Hcと飽和磁化σs の経時変化を磁
性粉末の場合と同様にして調べた。結果を表2に示す。
【0076】
【表1】
【0077】
【表2】
【0078】表1からわかるように、2A族元素を、F
eに対し、本発明の範囲内で含有する磁性粉末No. 1、
No. 4〜No. 6、No. 8〜No. 11では、σs が高く、
かつその経時安定性に優れる。
【0079】そして、表2から明らかなように、これに
対応して、磁性粉末No. 1、No. 4〜No. 6、No. 8〜
No. 11を用いた本発明のテープサンプルNo. 1、No.
4〜No. 6、No. 8〜No. 11では磁気特性に優れ、か
つ経時安定性に優れることがわかる。これに対し、σs
の経時安定性に劣る磁性粉末サンプルNo. 2、No. 3を
用いたテープサンプルNo. 2、No. 3では経時安定性が
十分でない。また、2A族元素の含有量が本発明の範囲
より大きい磁性粉末サンプルNo. 7を用いたテープサン
プルNo. 7では、経時安定性は十分であるが、磁気特性
が悪化してしまう。
【0080】
【発明の効果】本発明によれば、磁気特性が良好で、か
つ経時安定性に優れる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に、磁性粉末と、バイン
    ダとを含む磁性層を有する磁気記録媒体において、 前記磁性粉末は、内部が鉄を主成分とし、表面が炭素を
    主成分とするものであり、かつ周期表2族(2A族)の
    元素の少なくとも1種以上を、鉄に対して0.05〜
    1.0重量%含有することを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記磁性粉末は、周期表2族(2A族)
    の元素を含有する酸化鉄から得られた炭化鉄粉末を、非
    酸化性雰囲気で熱処理して得られたものである請求項1
    の記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記磁性粉末の内部は、実質的にα−鉄
    である請求項1または2に記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記炭素の含有量は5〜15重量%であ
    る請求項1ないし3のいずれかに記載の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 前記磁性粉末の飽和磁化σsは140em
    u/g 以上である請求項1ないし4のいずれかに記載の磁
    気記録媒体。
  6. 【請求項6】 前記磁気記録媒体の残留磁化Brが30
    00G以上である請求項1ないし5のいずれかに記載の
    磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】 前記磁性粉末を、1種以上の有機溶剤と
    ともに混練分散し、その後バインダ中に分散して磁性塗
    料を調製し、この磁性塗料を前記非磁性支持体上に塗布
    した請求項1ないし6のいずれかに記載の磁気記録媒
    体。
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