JPH05189753A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JPH05189753A
JPH05189753A JP3360325A JP36032591A JPH05189753A JP H05189753 A JPH05189753 A JP H05189753A JP 3360325 A JP3360325 A JP 3360325A JP 36032591 A JP36032591 A JP 36032591A JP H05189753 A JPH05189753 A JP H05189753A
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JP
Japan
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magnetic
magnetic layer
recording medium
powder
magnetic powder
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Withdrawn
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JP3360325A
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English (en)
Inventor
Kiminori Tamai
公則 玉井
Tsunehiko Ueno
恒彦 上野
Yoshihiro Honjo
良浩 本荘
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TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 広い周波数帯域にわたって高い再生出力が得
られ、しかも導電性および遮光性が良い磁気記録媒体を
提供する。 【構成】 非磁性支持体2上に第1磁性層3と、第2磁
性層4とをこの順序で形成する。この場合、第1磁性層
3は、少なくとも表面が炭化鉄である磁性粉末とバイン
ダとを含有し、第2磁性層4は、Co含有酸化鉄の磁性
粉末とバインダとを含有するように構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種磁気テープ等の塗
布型の磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】塗布型の磁気記録媒体の磁性粉末として
は、主にCo含有酸化鉄が使用されている。また、周波
数帯域の異なる2種以上の信号、例えば色信号、輝度信
号、音声信号等の広帯域に渡る信号の記録再生に際し、
それぞれの周波数において優れた電磁変換特性を持たせ
るため、磁性層を2層で構成している。例えば、特開昭
58−56228号、同60−124025号同、56
−93123号等の公報では、非磁性支持体上の第1磁
性層に、低域特性に有利な保磁力Hcが低く、粒子サイ
ズが大きいCo含有酸化鉄を用い、この第1磁性層上の
第2磁性層に、高域特性に有利な保磁力Hcが高く、粒
子サイズが小さいCo含有酸化鉄を用いる旨が提案され
ている。
【0003】このような2層構成の磁気記録媒体は、広
帯域にわたり優れた電磁変換特性を示すが、さらに一層
優れた電磁変換特性が要求されている。このような要求
を満足するためには、第1磁性層および第2磁性層の磁
性粉末の微粒子化、第1磁性層および第2磁性層の残留
磁化Brの向上等が必要となる。
【0004】一方、放電ノイズの発生も問題となり、こ
れを防止するためには、表面電気抵抗を低く、例えば1
×1010Ω/cm2 程度以下に抑える必要がある。また、
いわゆるVHS方式では、ビデオテープの終端を光透過
率で判断しており、その規格から波長900nmの光透過
率を0.1%程度以下に抑える必要がある。
【0005】しかし、電磁変換特性を向上するため磁性
粉末を微粒子化すると、光透過率が増加し、しかも表面
電気抵抗が増加してしまう。このような場合、磁性粉末
中のFe2+量を増加して光透過率や表面電気抵抗を低減
できるが、Fe2+は不安定であるため、磁気特性、光透
過率、表面電気抵抗等の経時変化が非常に大きくなると
いう問題がある。また、カーボンブラックを添加する方
法も考えられるが、遮光性や導電性を良くするにはカー
ボンブラックを多量に添加しなければならないため、残
留磁化Brが減少し、再生出力が低下してしまう。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、広い
周波数帯域に渡って、再生出力が高く、しかも表面電気
抵抗が低く、光透過率が低い磁気記録媒体を提供するこ
とにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(4)の本発明により達成される。 (1) 非磁性支持体上に、少なくとも表面が炭化鉄で
ある磁性粉末とバインダとを含む第1磁性層を有し、こ
の第1磁性層上に、Co含有酸化鉄の磁性粉末とバイン
ダとを含む第2磁性層を有することを特徴とする磁気記
録媒体。
【0008】(2) 前記第1磁性層の厚さが1.0〜
5.0μm 、前記第2磁性層の厚さが0.1〜1.0μ
m である上記(1)に記載の磁気記録媒体。
【0009】(3) 前記少なくとも表面が炭化鉄であ
る磁性粉末の飽和磁化σS が90emu/g 以上である上記
(1)または(2)に記載の磁気記録媒体。
【0010】(4) 磁性層の残留磁化Brが1600
G以上、表面電気抵抗が1×1010Ω/cm2 以下、90
0nmの光透過率が0.1%以下である上記(1)ないし
(3)のいずれかに記載の磁気記録媒体。
【0011】
【作用】本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体上に、
少なくとも表面に炭化鉄を有する磁性粉末の第1磁性層
を形成し、この第1磁性層上にCo含有酸化鉄を有する
第2磁性層を形成したものである。このような構成によ
り、高域側の信号、例えば輝度信号は主に高域特性に有
利な第2磁性層に記録でき、低域側の信号、例えば色信
号は主に低域特性に有利な第1磁性層に記録できるた
め、低域側および高域側それぞれの電磁変換特性を良好
にすることができる。
【0012】また、少なくとも表面に炭化鉄を有する磁
性粉末は、Co含有酸化鉄に比べ、色が黒いため、遮光
性が良く、しかも導電性が良い。このため少なくとも表
面に炭化鉄を有する磁性粉末は、微粒子化されても十分
高い遮光性と、導電性とを有する。
【0013】また、第2磁性層中の磁性粉末を微粒子化
することにより、高域側の信号が向上し、しかも前記炭
化鉄系磁性粉末の持つ高い導電性と高い遮光性とにより
磁性層の表面電気抵抗および光透過率を小さくできる。
さらに、少なくとも表面に炭化鉄を有する磁性粉末は、
Co含有酸化鉄に比べ飽和磁化σS が高いため、第1磁
性層の残留磁化Brが向上する。
【0014】
【具体的構成】以下、本発明の具体的構成について詳細
に説明する。本発明の磁気記録媒体1は、図1に示され
るように、非磁性支持体2上に第1磁性層3を有し、こ
の第1磁性層3上に第2磁性層4を有する。
【0015】本発明の磁気記録媒体1に用いる非磁性支
持体2に特に制限はなく、目的に応じて各種可撓性材
質、各種剛性材質から選択した材料を、各種規格に応じ
てテープ状などの所定形状および寸法とすればよい。例
えば、可撓性材質としては、ポリエチレンテレフタレー
ト等のポリエステルが挙げられる。
【0016】第1磁性層3は、少なくとも表面が炭化鉄
である磁性粉末とバインダとを含有する。この場合、磁
性粉末中の少なくとも表面が炭化鉄である磁性粉末の含
有量は、50〜100重量%、より好ましくは70〜1
00重量%である。含有量が少なすぎると本発明の効果
が得られなくなってくる。
【0017】このような磁性粉末は、鉄シアン化合物を
硫酸塩、亜硫酸塩あるいは硫化物と混合し、鉄製反応器
中に入れCOを導入しつつ加熱還元後冷却して得られ
る。また、特開昭58−171765号や特開昭60−
124023号などに記載されているように、α−Fe
OOH(Goethite) ,β−FeOOH(Akaganite) ,γ
−FeOOH(Lepidocrocite) 等のオキシ水酸化鉄やα
−Fe23 ,γ−Fe23 ,Fe34 ,γ−Fe
23 −Fe34 (固溶体)等の酸化鉄を、一酸化炭
素や水素と一酸化炭素との混合ガスを用いた還元によっ
て得られる。
【0018】あるいは、これら酸化鉄と、水系コロイド
状カーボンブラック粒子サスペンジョンのスラリー状混
合物を水素還元、一酸化炭素還元、または水素と一酸化
炭素との混合ガス還元によって調製してもよい。これ以
外にも鉄シアン化合物としてターンブルー青、ベルリン
ホワイト等のヘキサシアノ鉄塩、黄血カリ、黄血ソー
ダ、赤血カリ、赤血ソーダ等のフェロまたはフェリシア
ン化合物等を用い、添加物として硫酸カリ、硫酸ソー
ダ、硫酸アンモニウム、硫酸鉄、硫酸水素ソーダ、硫酸
水素カリ等の硫酸塩、亜硫酸カリ、亜硫酸ソーダ、亜硫
酸アンモニウム、亜硫酸水素カリ等の亜硫酸塩、あるい
はチオ硫酸ソーダ、チオ硫酸カリ、硫化ソーダ、硫化カ
リ、硫化鉄、ロダンソーダ、ロダンカリ、イソチオシア
ン酸ソーダ、イソチオシアン酸カリ等の硫化物を用いる
ことができる。これら加熱還元雰囲気に用いる気体はC
Oに限らず、CH4 、水性ガス、プロパン等の炭素含有
還元性気体を用いてもよい。さらには、純鉄粒子を形成
後、上記各種加熱還元処理を行ってもよい。なお、還元
に際しては、加熱温度300〜700℃、加熱時間30
分〜10時間程度とすればよい。
【0019】生成する炭化鉄としては、FenCにおい
て、n≧2、特に2〜3のものである。この場合、nは
整数であって、化学量論組成となる必要はないが、Fe
2 C,Fe52 ,Fe3 Cが主として生成される。そ
して、粒子中には濃度勾配があってもかまわず、Cは表
面にさえ存在すれば、必ずしも粒子全域に存在する必要
はない。
【0020】以上述べてきた少なくとも表面が炭化鉄で
ある磁性粉末(炭化鉄系粉末)は、針状形態あるいは粒
状形態であり、その寸法は磁気記録媒体として用いる用
途によって選択されるが、一般に、長径0.1〜1μm
、軸比1〜20のものが好ましい。またビデオ用、オ
ーディオ用等のテープに使用される針状形態は、直径
0.1〜0.5μm 、針状比4〜15のものが好まし
い。また、比表面積(BET値)は20〜70m2/gのも
のが好ましい。
【0021】炭化鉄系粉末の飽和磁化σS は90emu/g
以上、一般に90〜110emu/g (上限入れておく必要
あり)が好ましい。σS が小さくなると、低域特性の向
上が少なくなってくる。
【0022】なお、炭化鉄系粉末の保磁力Hcは600
〜900Oeが好ましい。
【0023】また、第1磁性層3中に含有される炭化鉄
系粉末以外の磁性粉末には特に制限がなく、例えばγ−
Fe23 、Co含有γ−Fe23 、Fe34 、C
o含有Fe34 、CrO2 、バリウムフェライト、ス
トロンチウムフェライト等の酸化物微粉末や、Fe、C
o、Niあるいはこれらの合金微粉末等公知の磁性粉末
を用いることができる。
【0024】本発明に用いるバインダ樹脂は、電子線硬
化性、熱可塑性樹脂、熱硬化性もしくは反応型樹脂また
はこれらの混合物等いずれであってもよいが、得られる
膜強度等から熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂を用いる
ことが好ましい。
【0025】熱硬化性樹脂としては、例えばフェノール
樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化型樹脂、尿素樹
脂、ブチラール樹脂、ホルマール樹脂、メラミン樹脂、
アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、アクリル系反応樹
脂、ポリアミド樹脂、エポキシ−ポリアミド樹脂、飽和
ポリエステル樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂などの縮
重合系の樹脂あるいは高分子量ポリエステル樹脂とイソ
シアネートプレポリマーの混合物、メタクリル酸塩共重
合体とジイソシアネートプレポリマーの混合物、ポリエ
ステルポリオールとポリイソシアネートの混合物、低分
子量グリコール/高分子量ジオール/トリフェニルメタ
ントリイソシアネートの混合物など、上記の縮重合系樹
脂とイソシアネート化合物などの架橋剤との混合物、塩
化ビニル−酢酸ビニル(カルボン酸含有も含む)、塩化
ビニル−ビニルアルコール−酢酸ビニル(カルボン酸含
有も含む)、塩化ビニル−塩化ビニリデン、塩素化塩化
ビニル、塩化ビニル−アクリロニトリル、ビニルブチラ
ール、ビニルホルマール等のビニル共重合系樹脂と架橋
剤との混合物、ニトロセルロース、セルロースアセトブ
チレート等の繊維素系樹脂と架橋剤との混合物、ブタジ
エン−アクリロニトリル等の合成ゴム系と架橋剤との混
合物、さらにはこれらの混合物等が好適である。
【0026】バインダ樹脂を硬化する架橋剤としては、
各種ポリイソシアナート、特にジイソシアナートを用い
ることができ、特に、トリレンジイソシアナート、ヘキ
サメチレンジイソシアナート、メチレンジイソシアナー
トの1種以上が好ましい。これらの架橋剤は、バインダ
樹脂に含有される官能基等と結合して樹脂を架橋する。
架橋剤の含有量は樹脂100重量部に対し、10〜30
重量部とすることが好ましい。このような、熱硬化性樹
脂を硬化するには、一般に加熱オーブン中で50〜70
℃にて12〜48時間加熱すればよい。
【0027】バインダーとしては、電子線硬化型化合物
を硬化したもの、すなわち電子線硬化性樹脂を用いたも
のも好適である。電子線硬化性化合物の具体例として
は、ラジカル重合性を有する不飽和二重結合を示すアク
リル酸、メタクリル酸、あるいはそれらのエステル化合
物のようなアクリル系二重結合、ジアリルフタレートの
ようなアリル系二重結合、マレイン酸、マレイン酸誘導
体等のアミン変性物の不飽和結合等の電子線照射による
架橋あるいは重合乾燥する基を熱可塑性樹脂の分子中に
含有または導入した樹脂である。その他電子線照射によ
り架橋重合する不飽和二重結合を有する化合物であれば
用いることができる。
【0028】電子線効果樹脂に変性できる熱可塑性樹脂
の例としては、塩化ビニル系共重合体、塩化ビニル−酢
酸ビニル、ビニルアルコール系共重合体、塩化ビニル−
アクリル系共重合体、飽和ポリエステルのエポキシ樹
脂、フェノキシ樹脂、繊維素誘導体等を挙げることがで
き、これらを公知の方法によるアクリル変性等を施せば
よい。
【0029】磁性塗料の溶剤に特に制限はなく、磁性塗
料に通常用いる溶媒、例えばシクロヘキサノン、メチル
エチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソホロン等
のケトン系、トルエン等の芳香族系、イソプロピルアル
コール、ブチルアルコール等のアルコール系、エチルセ
ロソルブ、酢酸セロソルブ等のセロソルブ系等の各種有
機溶剤の1種または2種以上を目的に応じて選択すれば
よい。磁性塗料に使用する溶剤の使用量に特に制限はな
いが、強磁性粉末100重量部に対し、150〜300
重量部程度とすることが好ましい。
【0030】磁性塗料中には、磁性層の機械的強度を高
めるために、α−Al23 、Cr 23 、TiO2
SiC、α−Fe23 等の無機微粒子を含有させるこ
とが好ましい。また、磁性塗料中には、必要に応じ、脂
肪酸等の分散剤、シリコーンオイル等の潤滑剤、その他
の各種添加物を添加してもよい。
【0031】第1磁性層3の厚みは1〜5μm 、特に
1.5〜3.0μm が好ましい。薄すぎるとリニアオー
ディオ出力が低くなってくる。また、厚くしすぎてもほ
とんどメリットは見出せない。
【0032】第2磁性層4は、Co含有酸化鉄の磁性粉
末とバインダとを含有する。この場合、磁性粉末中のC
o含有酸化鉄の磁性粉末の含有量は、50〜100重量
%、より好ましくは70〜100重量%であることが好
ましい。
【0033】Co含有酸化鉄としては、Co含有γ−F
23 、Co含有Fe34 等の各種Co含有酸化鉄
の1種以上を用いればよい。また、このCo含有酸化鉄
磁性粉末は、針状形態あるいは粒状形態であり、その寸
法は磁気記録媒体として用いる用途によって選択される
が、第1磁性層3の炭化鉄系粉末の寸法より小さいこと
が好ましく、一般に、長径0.1〜1μm 、軸比1〜2
0のものが好ましい。またビデオ用、オーディオ用等の
テープに使用される針状形態は、直径0.1〜0.5μ
m 、針状比4〜15のものが好ましい。また、比表面積
(BET値)は20〜70m2/gのものが好ましい。
【0034】また、Co含有酸化鉄の磁性粉末の保磁力
Hcは、第1磁性層3の炭化鉄系粉末のHcより大きい
ことが好ましい。Hcは、一般に750〜1000Oe
(記載要)程度である。
【0035】また、飽和磁化σS は70emu/g 以上、一
般に70〜85emu/g (記載要)が好ましい。σS が小
さくなると、高域特性が悪化し、例えば高域側で十分な
再生出力が得られない。また、高域とともに、上層とは
いえ低域への寄与もあるので低域特性も下ってくる。
【0036】なお、第2磁性層4中に含有されるCo含
有酸化鉄の磁性粉末以外の磁性粉末には特に制限がな
く、例えばγ−Fe23 、Fe34 、CrO2 、バ
リウムフェライト、ストロンチウムフェライト等の酸化
物微粉末や、炭化鉄系粉末や、Fe、Co、Niあるい
はこれらの合金微粉末等公知の磁性粉末を用いることが
できる。
【0037】第2磁性層4の磁性粉末以外の磁性塗料の
構成には特に制限がなく、前述した第1磁性層3と同様
種々のものであってよい。
【0038】本発明において、第2磁性層4は、第1磁
性層3よりも高い保磁力を有することが好ましい。例え
ば、色信号低域変換直接記録方式のビデオ信号記録で
は、両磁性層の厚さを所定値に規制することにより輝度
信号は実質的に第2磁性層4だけに記録されるため、第
2磁性層4を高保磁力とすることにより短波長の輝度信
号の良好な記録を行なうことができる。そして、保磁力
の低い第1磁性層3には、波長が長く飽和記録を行なわ
ない色信号を良好に記録することができる。第2磁性層
4の厚みは0.1〜1μm 、特に0.3〜0.8μm が
好ましい。
【0039】前記範囲未満では、高域側の信号、例えば
輝度信号の再生出力やS/Nが低下したり、第1磁性層
1に記録される低域側の信号、例えば色信号の割合が低
下し、色信号の再生出力やS/Nが低下したりする。な
お、各磁性層の厚さは、磁気記録媒体断面の透過型電子
顕微鏡(TEM)写真から測定することができる。
【0040】このような本発明の磁気記録媒体1の表面
電気抵抗は、1×1010Ω/cm2 以下、一般に1×10
6 〜1×107 Ω/cm2 程度であるため、放電ノイズが
有効に防止される。また、波長900nmの光透過率は、
小坂製作所製光透過率測定機で測定したとき、0.1%
以下、特に0.04〜0.06%である。なお、本発明
の磁気記録媒体1には、必要に応じ図示しない下地層や
バックコート層等が設けられていてもよく、また、本発
明の磁気記録媒体は、片面記録用であっても両面記録用
であってもよい。
【0041】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明
をさらに詳細に説明する。 実施例1 Fe34 粉末を炭化処理して、保磁力Hc800Oe、
飽和磁化σs96emu/g 、BET42m2/g、平均長軸長
0.22μm 。平均軸比7の磁性粉末を得た。このもの
はSIMS分析およびX線回折の結果、少なくとも表面
が炭化鉄であることが確認された。また、炭化鉄はFe
52 であると推定された。
【0042】 組成物 磁性粉末 100重量部 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 10重量部 重合度 約400 ポリウレタン樹脂 10重量部 数平均分子量 約5万 α−Al23 3重量部 ステアリン酸 2重量部 レシチン 2重量部 メチルエチルケトン 80重量部 トルエン 80重量部 メチルイソブチルケトン 40重量部
【0043】上記組成物を加圧ニーダにて十分に混練処
理を行なった後、サンドグラインダーミルにて分散を行
ないトリレンジイソシアナート4重量部を添加して、1
0μm 厚のポリエステルフィルム上に塗布し、2000
Gの配向磁界を印加して乾燥した。次いでカレンダ処理
を行ない、60℃にて24時間熱硬化を行なった。この
ようにして最終厚み2.8μm の第1磁性層を形成し
た。
【0044】次に、前記組成物において、磁性粉末を、
保磁力Hc840Oe、飽和磁化σS76emu/g 、BET
48m2/g、平均長軸長0.17μm 、平均軸比8のCo
含有γ−Fe23 に換えた他は同様の磁性塗料を作成
し、第1磁性層上に塗布した。
【0045】次いで、2000Gの配向磁界を印加して
乾燥した後、カレンダ処理を行ない、60℃にて24時
間熱硬化を行なった。このようにして最終厚み0.3μ
m の第2磁性層を形成した。これをスリッターにより1
/2インチ幅に切断し、VHSビデオテープを得た。こ
れをサンプルNo. 1とする。
【0046】実施例2 実施例1において、第1磁性層の最終厚みを2.0μm
とし、第2磁性層の最終厚みを0.6μm とした他はサ
ンプルNo. 1と同様にしてサンプルNo. 2を得た。
【0047】実施例3 実施例1において第1磁性層をカレンダ処理後熱硬化を
行なわない以外は同様にしてサンプルNo. 3を得た。
【0048】比較例1 実施例1において、第1磁性層の磁性粉末を、保磁力H
c680Oe、飽和磁化σS 76emu/g 、BET38m2/
g、平均長軸長0.22μm 、平均軸比8のCo含有γ
−Fe23 に換えた他はサンプルNo. 1と同様にして
サンプルNo. 4を得た。
【0049】比較例2 比較例1において、第1磁性層の最終厚みを2.0μm
とし、第2磁性層の最終厚みを0.6μm とした他はサ
ンプルNo. 4と同様にしてサンプルNo. 5を得た。
【0050】比較例3 実施例2において、第1磁性層の磁性粉末を、保磁力H
c810Oe、飽和磁化σS 105emu/g 、BET28m2
/g、平均長軸長0.32μm 、平均軸比7のメタル粉末
(Fe:Ni=2:1)に換えた他はサンプルNo. 2と
同様にしてサンプルNo. 6を得た。
【0051】比較例4 比較例1において、第1磁性層および第2磁性層それぞ
れの磁性塗料組成物中に、磁性粉末100重量部に対し
カーボンブラックを5重量部添加した他はサンプルNo.
4と同様にしてサンプルNo. 7を得た。
【0052】比較例5 実施例1において、第1磁性層の磁性粉末を、保磁力H
c670Oe、飽和磁化σS 78emu/g 、BET25m2/
g、平均長軸長0.30μm 、平均軸比7のCo含有F
34 に換え、第2磁性層の磁性粉末を、保磁力Hc
83Oe、飽和磁化σS 75emu/g 、BET35m2/g、平
均長軸長0.23μm 、軸比8のCo含有γ−Fe2
3 に換えた他はサンプルNo. 1と同様にしてサンプルN
o. 8を得た。
【0053】得られたサンプルは下記表1に示される通
りである。
【0054】
【表1】
【0055】得られた各サンプルに対し、VSMにて、
残留磁化Brと、保磁力Hcと、角型比Br/Bmを測
定した。また、磁気テープ工業会標準規格に従い表面電
気抵抗を測定した。さらに、小坂製作所光透過率測定機
で波長900nmの光透過率を測定した。次いで各サンプ
ルの1MHz および7MHz のそれぞれにおけるRF再生出
力を測定した。結果は、表2に示されるとおりである。
【0056】
【表2】
【0057】表2に示される結果から本発明の効果が明
らかである。すなわち、比較用サンプルNo. 4および5
は、再生出力は比較的高いが、表面電気抵抗が1×10
10Ω/cm2を超え、しかも光透過率が0.1%を超えてい
る。同様にNo. 6も再生出力は比較的高いが、表面電気
抵抗が1×1010Ω/cm2を超えている。逆に、No. 7お
よび8は、電気抵抗および光透過率は小さいが、再生出
力が低い。これに対し本発明のサンプルNo. 1および2
は、再生出力が高く、しかも表面電気抵抗および光透過
率が小さい。このように本発明により、電磁変換特性
と、導電性および遮光性とが選択的に向上することが判
る。
【0058】
【発明の効果】本発明の磁気記録媒体は、導電性および
遮光性がよく、しかも広い周波数帯域にわたって高い再
生出力が得られる等、優れた電磁変換特性を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体の1例が示される正面図
である。
【符号の説明】 1 磁気記録媒体 2 非磁性支持体 3 第1磁性層 4 第2磁性層
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年2月26日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正内容】
【0034】また、Co含有酸化鉄の磁性粉末の保磁力
Hcは、第1磁性層3の炭化鉄系粉末のHcより大きい
ことが好ましい。Hcは、一般に750〜10000e
程度である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正内容】
【0035】また、飽和磁化σは70emu/g以
上、一般に70〜85emu/gが好ましい。σが小
さくなると、高域特性が悪化し、例えば高域側で十分な
再生出力が得られない。また、高域とともに、上層とは
いえ低域への寄与もあるので低域特性も下ってくる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に、少なくとも表面が炭
    化鉄である磁性粉末とバインダとを含む第1磁性層を有
    し、この第1磁性層上に、Co含有酸化鉄の磁性粉末と
    バインダとを含む第2磁性層を有することを特徴とする
    磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記第1磁性層の厚さが1.0〜5.0
    μm 、前記第2磁性層の厚さが0.1〜1.0μm であ
    る請求項1に記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記少なくとも表面が炭化鉄である磁性
    粉末の飽和磁化σSが90emu/g 以上である請求項1ま
    たは2に記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 磁性層の残留磁化Brが1600G以
    上、表面電気抵抗が1×1010Ω/cm2 以下、900nm
    の光透過率が0.1%以下である請求項1ないし3のい
    ずれかに記載の磁気記録媒体。
JP3360325A 1991-12-28 1991-12-28 磁気記録媒体 Withdrawn JPH05189753A (ja)

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