JPH0694853B2

JPH0694853B2 - 燃料噴射装置

Info

Publication number: JPH0694853B2
Application number: JP20294886A
Authority: JP
Inventors: 茂夫平
Original assignee: 株式会社ゼクセル
Priority date: 1986-08-29
Filing date: 1986-08-29
Publication date: 1994-11-24
Anticipated expiration: 2009-11-24
Also published as: JPS6357870A

Description

【発明の詳細な説明】（産業上の利用分野）この発明は、燃料噴射装置、特に自動車等のデイーゼル
機関に用いられる燃料噴射装置に関するものである。

（従来の技術）この種の燃料噴射装置は、燃料噴射ポンプと燃料噴射弁
とが噴射管を介して接続されている。燃料噴射ポンプ
は、例えば特開昭60−50268号公報に示されているよう
に、シリンダ及びこのシリンダに嵌挿されたプランジヤ
から成る加圧機構を有し、駆動軸の回転がプランジヤの
往復動にカムを介して変換されるようになつている。

（発明が解決しようとする問題点）しかしながら、燃料噴射装置の噴射率は、エンジンの回
転数にかかわらず噴射率は一定であり、低速、低負荷時
には噴射率を小さくして穏やかな燃焼としてノツク音を
小さくさせようとすると、高速、高負荷時には馬力が不
足すると共にNOx等のエミツシヨンが増大するという問
題点があつた。

このため、本願出願人は先に特願昭61−9481号として、
前段に低速部分が、後段に高速部分があるカムを用いる
ことを提案した（第２図参照）。この先願発明は、アン
グライヒ機構をもつ送出弁装置を用いる点で本願と異な
るが、噴射管の残留圧力を高く保つ点で原理を同じくす
る。即ち、噴射管の残留圧力を高く保つことにより、プ
ランジヤのストロークが小さい時点から噴射が開始され
るようにし、低速、低負荷時にはカムの前段の低速部分
のみを使用し、これにより低噴射率を実現しようとする
ものである。

しかしながら、本願発明者による実験の結果、内燃機関
の温度が低い場合（以下、冷間時という。）と内燃機関
の温度が高い場合（以下、温間時という。）とでは噴射
率特性に差があることが明らかになつた。即ち、第２
図、第３図に示すように、冷間時においてはカムの低速
部分のみが用いられて適正な噴射率特性を得ることかで
きるが、温間時になると、同図点線で示すように、カム
の高速部分も使われるようになり、噴射率が上昇してし
まうのである。

この原因は、通常燃料噴射弁にはリーク通路付きのもの
が用いられており、温間時には燃料噴射弁における針弁
とこの針弁が挿入された挿入孔との間のクリアランスが
増大し、リーク量が増大するので、噴射管の残留圧力が
低くなつてしまい、プランジヤのストロークに対して噴
射管内圧の上昇が遅れ、実際の噴射開始タイミングがず
れるためと考えられる。

そこで、この発明は、上記の問題点を解消し、燃料噴射
弁のリークを無くして冷間、温間に関係なく低速、低負
荷時にはカムの速度が遅い前段部分のみを使用して噴射
率を確実に低くすることができる燃料噴射装置を提供す
ることを課題としている。

（問題点を解決するための手段）しかして、この発明の要旨とするところは、燃料噴射ポ
ンプと燃料噴射弁とを噴射管を介して接続した燃料噴射
装置において、前記燃料噴射ポンプは、駆動軸と、シリ
ンダ及びこのシリンダに嵌挿されたプランジヤから成る
加圧機構と、この加圧機構のプランジヤと前記駆動軸と
の間に設けられて前記駆動軸の回転を前記プランジヤの
往復動に変換するカムと、前記加圧機構と燃料出口との
間に設けられた送出弁装置とを具備し、前記カムはカム
回転角に対して前段に低速領域が、後段に高速領域があ
るカム特性が付与され、前記送出弁装置は前記噴射管の
残留圧力を高く保つ等圧弁を有し、且つ前記燃料噴射弁
は外部への燃料の漏れを阻止するリークレスノズルホル
ダを有するようにしたことである。換言すれば、低速領
域をもつカムと、等圧弁と、リークレスノズルホルダ付
きの燃料噴射弁とを結合した点に特徴を有するものであ
る。

（作用）したがつて、燃料噴射ポンプにおいては、駆動軸を回転
するとカムによりプランジヤが往復動し、送出弁装置を
介して燃料出口から送り出され、この燃料噴射ポンプか
ら送り出された燃料が噴射管を介して燃料噴射弁へ至
り、この燃料噴射弁から噴射されるのであるが、等圧弁
により噴射管内圧が高く保たれているので、低速、低負
荷時にはカムの低速部分のみを使用して噴射が行われ、
低噴射率とすることができる。しかも燃料噴射弁にはリ
ークレスノズルホルダが用いられているので、冷間、温
間に係わらず燃料の漏れがなく、そのため、上記課題を
達成することができるものである。

（実施例）第１図において、燃料噴射ポンプ１は、図示しない内燃
機関のクランク軸に連結されて回転する駆動軸２を有す
る。また、この燃料噴射ポンプ１はポンプ本体３を有
し、このポンプ本体３にシリンダ４が形成され、このシ
リンダ４にプランジヤ５が摺動自在に嵌挿され、シリン
ダ４及びプランジヤ５により加圧機構６が構成されてい
る。上記プランジヤ５は、駆動軸２に形成されたカム７
により押圧されて往復動するようになつており、シリン
ダ４とプランジヤ５に囲まれた高圧室８がそのプランジ
ヤ４の往復動に応じて容積変化し、プランジヤ５に形成
された制御溝９とポンプ本体３に形成されたカツトオフ
ポート10とが連通するまで高圧室８内の燃料を加圧する
ようになつている。

上記カム７は、第２図に示すように、回転角に対して前
段に低速領域Ａが、後段に高速領域Ｂがあるカム特性を
付与されている。

前記ポンプ本体３の上端には燃料出口11が形成され、こ
の燃料出口11と前述した高圧室８との間には送出弁装置
12が設けられている。この送出弁装置12は、高圧室８内
の燃料圧力が所定以上に上昇すると開く吐出弁13と、噴
射弁14内の残留出力を所定値に保つために戻し通路15に
設けられた等圧弁16から構成されている。噴射管14は、
燃料噴射ポンプ１の燃料出口11と下記する燃料噴射弁17
の燃料入口18との間を接続している。

燃料噴射弁17は、燃料入口18が形成されたノズルホルダ
19と噴孔20が形成されたノズル本体21とが中間部材22を
挟んで固定され、ノズル本体21には針弁挿入孔23が形成
され、この針弁挿入孔23に針弁24が摺動自在に挿入され
ている。この針弁24の先端付近でノズル本体21には燃料
溜り室25が形成され、この燃料溜り室25と前述した燃料
入口18とが燃料通路26を介して接続されている。この燃
料溜り室25には、針弁24に形成されたプレツシヤステー
ジ27が臨み、また、針弁24の上端にはスプリング受け28
が当接し、このスプリング受け28とノズルホルダ19との
間に戻しスプリング29が弾装されており、燃料溜り室25
の燃料圧力が上昇すると、これが針弁24のプレツシヤス
テージ27に作用し、スプリング28に抗して針弁24をリフ
トし、噴孔20から燃料を噴射する。

この燃料噴射弁17におけるノズルホルダ19には、針弁挿
入孔23と針弁24との間から漏れる燃料をタンク側へ戻す
溢流通路が形成されておらず、リークレスとなつてい
る。このようなリークレスノズルホルダ19は公知であ
り、例えば実公昭48−14966号公報に示されたものを使
用することができる。

上記構成において、駆動軸２が回転すると、その回転が
プランジヤ５の往復動に変換され、図示しない燃料入口
から高圧室８に吸入された燃料が加圧され、噴射管14を
通つて燃料噴射弁17に至り、針弁24がリフトして噴孔20
から噴射される。ここで、噴射管14の残留圧力は等圧弁
16により高く保たれているので、プランジヤ５が下死点
から僅かにリフトした段階で、言い換えればカム７の回
転角の少ない時点で燃料噴射弁17における燃料の噴射圧
が開弁圧を越え、低速、低負荷時には第２図実線で示す
ように、カム７の低速領域Ａのみが使用され、噴射率を
小さくすることができる。高速、高負荷時にはカム７の
高速領域Ｂも使用されて噴射率が上昇する。

燃料噴射弁17にはリークレスノズルホルダ19が使用され
ているので、温間時において、針弁挿入孔23と針弁24と
の間のクリアランスが大きくなつて燃料がノズルホルダ
19外へ漏れることがなく、噴射管14の残留圧力を常に高
く保つことができ、温間時にも冷間時と同様に第２図の
実線で示すカム７の低速領域Ｂのみが使用され、低噴射
率とすることができるものである。

（発明の効果）以上述べたように、この発明によれば、前段に低速領域
を有するカムと等圧弁とを燃料噴射ポンプに設けたの
で、噴射管の在留圧力を保ち、低速、低負荷時にはカム
の低速領域のみを使用し、噴射率を低くすることがで
き、低速、低負荷時におけるノツク音を小さくすること
ができると共に、高速、高負荷時にはカムの高速領域も
使用するので噴射率を高くすることができ、高速、高負
荷時における馬力を上げ、エミツシヨンを少なくするこ
とができる。また、燃料噴射弁にはリークレスノズルホ
ルダを用いたので、冷間時、温間時に関係なく噴射管内
の残留圧力を高く保つことができ、低速、低負荷時には
噴射率を確実に低く保つことができるという効果を奏す
るものである。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の実施例を示す断面図、第２図はカム
特性を示す線図、第３図は噴射圧と噴射率の特性を示す
線図である。１……燃料噴射ポンプ、２……駆動軸、４……シリン
ダ、５……プランジヤ、７……カム、11……燃料出口、
12……送出弁装置、14……噴射管、16……等圧弁、17…
…燃料噴射弁、19……リークレスノズルホルダ。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】燃料噴射ポンプと燃料噴射弁とを噴射管を
介して接続した燃料噴射装置において、前記燃料噴射ポ
ンプは、駆動軸と、シリンダ及びこのシリンダに嵌挿さ
れたプランジヤから成る加圧機構と、この加圧機構のプ
ランジヤと前記駆動軸との間に設けられて前記駆動軸の
回転を前記プランジヤの往復動に変換するカムと、前記
加圧機構と燃料出口との間に設けられた送出弁装置とを
具備し、前記カムは回転角に対して前段に低速領域が、
後段に高速領域があるカム特性が付与され、前記送出弁
装置は前記噴射管の残留圧力を高く保つ等圧弁を有し、
且つ前記燃料噴射弁は外部への燃料の漏れを阻止するリ
ークレスノズルホルダを有することを特徴とする燃料噴
射装置。