JPH0693919B2 - 医療器具導入用チューブ - Google Patents

医療器具導入用チューブ

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JPH0693919B2
JPH0693919B2 JP3335663A JP33566391A JPH0693919B2 JP H0693919 B2 JPH0693919 B2 JP H0693919B2 JP 3335663 A JP3335663 A JP 3335663A JP 33566391 A JP33566391 A JP 33566391A JP H0693919 B2 JPH0693919 B2 JP H0693919B2
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伸一 宮田
清 高木
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、医療器具導入用チュー
ブに関する。
【0002】
【従来技術】患者の管状器官からの内容物の排出又は管
状器官への液状の栄養剤若しくは薬剤の注入に、カテー
テルと呼ばれる可撓性プラスチックのチューブが使用さ
れている。例えば血管内にカテーテルの先端側を導入す
るのに、従来から次のような方法が採られている。
【0003】図18に示すように、チューブ51にシリンジ
6を装着して注射針7をチューブ先端から露出させ、こ
の状態で注射針7を血管8(図19参照)内に挿入し、次
に図19に示すように、シリンジ6をチューブ51から抜き
取る。然る後、直ちにカテーテル5(図21参照)をチュ
ーブ51に挿通し、図21に示すようにカテーテル5の先端
側を血管8内に導入する。
【0004】かくして、カテーテル5を経由して液状の
栄養剤又は薬剤を血管8内に注入するのであるが、チュ
ーブ51は図21の時点以降では不要となるのみならず、血
管8に挿入した儘では衛生上問題があり、その後の医療
行為の邪魔にもなる。従って、血管へのカテーテル導入
後はチューブを血管から除去しなければならない。
【0005】ところが、カテーテルには他の医療機器と
の接続のための径大部(例えばコネクタ)5a(図21参
照)が後端に設けられ、この径大部が邪魔になってチュ
ーブを抜き取ることができない。このような事情から、
カテーテルを血管内に導入した状態でチューブを外すた
めの提案が既になされている。
【0006】これらのうちの最近の提案に特開昭62−17
6459号がある。このチューブは、プラスチックのチュー
ブ本体壁部の長手方向にこのチューブ本体とは相溶性の
少ないプラスチックの線条体を剥離可能に埋込んでなる
ものである。図17は上記チューブの拡大断面図である。
チューブ51の壁部52内に相溶性の少ない線条体53が埋込
まれてチューブ51が構成されている。
【0007】図20は上記チューブをカテーテルから外す
要領を示す。線条体53は、チューブ端部を指で挟みつけ
ることによってチューブ壁部52から簡単に外れて外方へ
出る。線条体53のこの外れた部分を指で引っ張ると、線
条体53はチューブ壁部52を引き裂きながらチューブ壁部
52から離れてカテーテル5が露出する。かくしてチュー
ブ壁部52を引き裂きながらカテーテル5から除去する
と、図21に示すように血管8に導入されているのはカテ
ーテル5のみとなる。
【0008】然し乍ら、上記のチューブは二種類の材料
からなっているので二種類の成形材料を用意せねばなら
ぬことと、また線条体形成のために成形機(例えば押出
成形機)の構造が複雑になることとによって製造原価が
高くなる。
【0009】上記チューブのほかに、特開昭59−91967
号公報にはチューブに放射線を照射して脆弱部を線条状
に形成する方法が開示されている。然し、この方法では
放射線照射のために設備投資が必要であり、更には小径
のチューブの長手方向の狭い領域に放射線を照射するこ
とは、精度上かなりの困難を伴うものである。
【0010】
【発明の目的】本発明は、医療器具(例えばカテーテ
ル)からの離脱が容易であり、かつ複数種の成形材料を
用意する必要がなく、成形機の構造を複雑化させず、放
射線照射装置等の他の設備も不要であって、廉価に製造
できる医療器具導入用チューブを提供することを目的と
している。
【0011】
【発明の構成】本発明は、実質的に同じ材料からなる管
状体を有し、この管状体の長手方向に対して略直交する
断面内で、前記管状体の略半径方向の外周側には、前記
管状体成形時の融着不完全に起因する亀裂によって、互
に接続し合わないの不連続部が形成されており、前
記略半径方向の内周側には、外観上は連続してはいるが
引き裂きが容易なの不連続部が前記第1の不連続部
に連設して形成されており、前記の両不連続部が前記管
状体の長手方向に形成されている医療器具導入用チュー
ブに係る。
【0012】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。図1は医
療器具(この例ではカテーテル)導入用チューブ(以
下、単にチューブと呼ぶ。)の正面図、図2は図1のII
−II線矢視拡大断面図である。
【0013】チューブ1は、プラスチック製のチューブ
本体2の長手方向全域に亘って中心線(図示せず)に対
称の位置に線条状の不連続部(詳細は図3によって後に
説明する。)3が2箇所に形成されてなっている。チュ
ーブ本体2の一方の端部側(後端側)には、不連続部3
に沿って分割された接続部4,4がチューブ本体2を囲
むようにして固着されている。接続部4,4の後端側に
はシリンジ(図示せず)を嵌入して接続させるために内
径が拡大された拡径部4a,4aが形成されている。
【0014】チューブ本体2は、外径 1.6mm、内径 1.3
mm、長さ57mmとしている。チューブ本体2の材料として
は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、
ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリ
アミド、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタンその他熱可塑性
の樹脂が用いられる。この例では、チューブ本体2はポ
リプロピレン製としている。
【0015】図3は、チューブ本体2の不連続部3及び
その周辺の断面構造を示す電子顕微鏡組織(倍率 200
倍)のスケッチである。チューブ本体には亀裂3aによ
って不連続部3が形成されている。亀裂3aは、成形時
にダイキャビティ内を流通する融解成形材料が後述する
厚肉のスパイダによって一旦分断され、このスパイダ下
流で合流する箇所で融着が不完全であるために形成され
たものである。チューブ本体は、この亀裂がチューブ本
体の長手方向に線条状に形成されているので、この亀裂
に沿って容易に引き裂き可能である。
【0016】この亀裂はチューブ本体の内外周面に亘っ
ては形成されておらず、図3では、一見完全に融着され
ているかのように見える部分3bが、亀裂3aに連なっ
内周側に観察される。然し、この完全融着されている
かのように見える箇所3bも、分子レベルの超微視的に
は不連続部分が存在していると言って良い。このこと
は、亀裂が観察されないチューブ本体にあっても、前記
厚肉のスパイダの位置に対応する箇所に沿ってチューブ
本体が引き裂き容易であるという事実から明らかであ
る。
【0017】次に、チューブを使用してカテーテルを血
管内に導入する手順を、図4〜図7によって説明する。
【0018】先ず、図18と同様の要領でチューブ1の接
続部4,4の拡径部4a,4aにシリンジ6の先端部を
挿着し、注射針7をチューブ本体2に挿通する。この状
態で注射針7の先端側はチューブ本体2の先端から突出
して露呈する。図4は上記のようにして注射針7をチュ
ーブ本体2と共に血管8内に導入した状態を示してい
る。
【0019】次いで、図18と同様の要領でシリンジ6を
注射針7と共にチューブ1から引き抜き、直ちに図5に
示すようにカテーテル5をチューブ1に挿通する。この
状態で、カテーテル5の先端側はチューブ本体2から血
管8内に突出している。
【0020】次いで、図6に示すように、接続部4,4
の突片4b,4bを持って接続部4,4を開きながらチ
ューブ1を血管8から引き抜いていく。このようにし
て、チューブ本体2は接続部4,4に引っ張られて不連
続部3に沿って引き裂かれるので、カテーテル5の後端
側の径大部5aに邪魔されることなく、チューブ1はカ
テーテル5及び血管8から容易に取り外すことができ
る。
【0021】図7は、以上のようにしてカテーテル5の
みが血管8に導入されている状態を示している。図7の
状態で、カテーテル径大部5aに液導管9を接続し、所
定の液状物質(栄養剤及び/又は薬剤)を患者に投与す
る。
【0022】液導管は予めカテーテルに接続しておい
て、カテーテル導入後に図6と同様の要領でチューブ1
を取り外すようにして良いことは言う迄もない。
【0023】チューブは押出成形によって成形される。
以下、チューブの成形方法及び成形装置について説明す
る。
【0024】図11は押出成形機の概略断面図である。シ
リンダ22内のスクリュー23は、スラスト軸受24に軸支さ
れ、減速機25によって回転する。ホッパ26から供給され
る融解成形材料は、スクリュー23の回転によって図にお
いて左方へ送られ、30〜 200メッシュのブレーカプレー
ト20を経由して異物が濾過され、ヘッド部21に取付けら
れたダイ構造体10に導入され、ダイ構造体10から排出さ
れてチューブとなる。図中、27はヒータ、28は潤滑系
統、29はシリンダ冷却水循環ユニットである。
【0025】図9はヘッド構造体10の拡大断面図、図10
は図9のX−X線矢視断面図である。ダイ構造体10は、
ダイボディ11、トーピード12、トーピードに接続するマ
ンドレル(内側ダイ)15及び外側ダイ14が組み立てられ
てなっていて、外側ダイ14は上流部14a及び下流部14b
からなっている。トーピード12及びマンドレル15は、複
数のスパイダ13A,13Bによってダイボディ11及び外側
ダイ14の上流部14aに支持されている。
【0026】ダイボディ11、スパイダ13Bの1つ及びト
ーピード12を貫通してマンドレル15内に開口する空気流
入口19が設けられていて、ダイ構造体から排出するチュ
ーブ内が減圧になってチューブが変形するのを防ぐよう
にしている。図中、16は外側ダイ下流部14bの位置調節
用ボルト、17A,17Bはヒータ、18は温度調節用熱電対
を挿入するための盲孔である。
【0027】ダイ構造体10に導入された融解成形材料47
(矢印で示す。)は、トーピード12によって円環状にさ
れ、外側ダイ14とマンドレル15との間の環状キャビティ
10aを通ってチューブ状に成形され、その後の冷却によ
って完全に固化する。
【0028】融解成形材料47は、スパイダ13A,13Bを
通過するときに一旦分断されるが、キャビティ10a内で
合流し、融着されて均一になる。キャビティ10aは、先
方にいくに従って断面積を小さくしてあり、これによっ
て融解成形材料が加圧され、この融着を促進するように
してある。
【0029】この融着を完全ならしめるため、通常はス
パイダは出来るだけ融解成形材料47の流通を乱さないよ
う流線形にしているのであるが、本例にあって特徴的な
ことは、対称位置に設けたスパイダ13B,13Bだけがそ
の厚さを厚くしている。他のスパイダ13Aは通例のスパ
イダ形状としていることである。
【0030】図8Aはスパイダ13Aの拡大断面図、図8
Bはスパイダ13Bの拡大断面図である。スパイダの長さ
1 は13A,13B共に5mmとしてあり、スパイダの厚さ
は13Aのt1 が2mm、13Bのt2 が 3.5mmとしてあっ
て、スパイダ13Bはスパイダ13Aよりも厚くしてある。
【0031】スパイダ13Aでは融解成形材料の流れは大
きく乱されることなく、その下流で合流する成形材料は
完全に融着して不連続部が形成されない。スパイダ13B
ではその流線形が若干崩れているので、融解成形材料の
流れが乱され、その下流で合流する成形材料は完全には
融着せず、この箇所に不連続部(図1,図2の3)が線
条状に形成される。
【0032】外側ダイ14には外周にヒータ17Aが取付け
られ、内側ダイ15にはヒータが取付けられていないの
で、内側ダイ15の温度は外側ダイ14のそれよりも若干低
くなる。従って、キャビティ10a内での成形材料の冷却
速度は、内周側が外周側よりも若干大きくなる。
【0033】その結果、キャビティ10a内では、スパイ
ダ13Bによって分断された成形材料は、外周側では互に
接続するに至らず亀裂が生じ(図3の3)、内周側で
は外観上融着したかのように見える不連続状態(図3の
3b)になると考えられる。
【0034】上記のような外周側の亀裂3aとこれに連
設した内周側の融着に近い不連続部3bとにより、引き
裂きが容易である。何故なら、引き裂きに当たっては、
先ず亀裂3aが拡げられ、これに続いて上記の不連続部
3bが容易に引き裂かれるからである。また、この不連
続部3bの存在により、引き裂き強さが過度に低下せ
ず、引き裂こうとする前に僅かな外力によってチューブ
が引き裂かれるようなトラブルが起ることがない。
【0035】ダイ構造体10から排出されたチューブは、
完全には固化しきっておらず、空冷,水冷の工程を経て
完全に固化する。スパイダ13Bを上記のように厚さを大
きくするほか、図8Cに示すように、厚さt1 は通常の
厚さ2mmとし、長さl2 を10mmと長くしたスパイダ13C
とすることにより、上記と同様に線条状不連続部を形成
することができた。スパイダ13Bはその厚さ,長さを共
に通常の寸法よりも大きくとって良いことは言う迄もな
い。
【0036】上記のようにスパイダの寸法を変えて、こ
のスパイダに対応するチューブの位置に線条状不連続部
を形成させるほか、ダイの温度を通常の温度よりも低く
してチューブに同様の不連続部を形成させることができ
る。
【0037】即ち、スパイダは通常のスパイダ13Aとし
て3箇所に設け、図9のヒータ17A,17Bへの供給電力
を温度制御装置TCによって制御して、トーピード12付
近のダイ温度を通常の温度 150℃よりも5〜20℃低い温
度とし、マンドレル15及び外側ダイの下流部14bの温度
を通常の温度 140℃よりも5〜20℃低い温度としてい
る。
【0038】かくして、3箇のスパイダ(通常のスパイ
ダ13A)の下流で前述の融着を不完全ならしめるように
した。その結果、得られたチューブには、前記と同様の
線条状不連続部が3条形成された。不連続部は外側ダイ
を周囲から冷却水によって局部的に冷やす、或いは外側
ダイの肉厚を局部的に薄くして形成することも可能であ
る。
【0039】上記のようにダイ温度を制御することによ
り、チューブに線条状不連続部を形成することができる
のであるが、上記温度制御に加えて、ダイ構造体を図12
又は図13のような構造とすると、上記不連続部が安定に
形成されるので好ましい。
【0040】図9のダイ構造体では、外側ダイ14の長さ
3 を50mmとしているのに対し、図12のダイ構造体では
外側ダイ34,マンドレル35の長さl4 を20mmとl3 の約
半分に短くしている。このようにして、成形材料は前述
の融着がなされる直前にダイ構造体から排出し、冷却さ
れて、チューブには線条状不連続部がより安定して形成
される。
【0041】上記のほか、図9のダイ構造体を使用し、
図13に拡大図示するように、ダイ下流側端部近くの位置
にマンドレル15からキャビティ10a内に突出する突起15
aをスパイダ下流の位置に設ける。これにより、成形材
料が融着する僅か前に突起15aによって融着しようとす
る直前に成形材料の分子配列を変更させる。
【0042】即ち、原子が鎖状に長く連なったプラスチ
ック分子は、突起15aの存在しない領域ではチューブ長
手方向に沿って並ぶようになるのであるが、突起15aの
箇所では上記鎖状原子配列が突起15aによっでチューブ
長手方向と交叉する方向に二分される。
【0043】そして成形材料はそのままダイ構造体から
排出,冷却して固化する。従って、突起15aに対応する
位置で分子配列が乱された不連続部が、チューブ長手方
向に線条状に形成される。突起15aの突出寸法は、この
位置でのキャビティ10aの半径方向の寸法に対して所定
の寸法(例えば3/4〜1/4程度)とすれば良い。
【0044】突起15aを前進,後退可能とし、チューブ
の一方の端部側を成形するときだけ突起15aをキャビテ
ィ10aに突出させるようにして線条状不連続部を形成
し、この端部側をチューブ後端側とすることができる。
この場合、図6の過程では、後端側の不連続部に沿って
チューブが引き裂かれ、それ以降は不連続部の延長線に
沿って不連続部のないチューブ部分が引き裂かれてい
く。
【0045】このようにすることにより、未使用時にチ
ューブの機械的強度が不足して不注意から使用前にチュ
ーブが引き裂かれることが防止される。
【0046】図12,図13のダイ構造体では、ダイ温度を
通常の温度としても、成形されるチューブに線条状不連
続部を形成させることが可能である。また、図12のダイ
構造体に図13と同様の突起15aを設けて良く、更にダイ
温度を前記のように制御して良いことは言う迄もない。
【0047】チューブ本体は同じ材料からなっているの
で他の第二の成形材料をダイ構造体に供給する必要がな
く、ダイ構造体の構造が複雑にならないで済む。また、
図9,図10,図12,図13のダイ構造体は、いずれも従来
使用していたダイ構造体に僅かな改造を加えるだけで製
造でき、設備費が嵩むことがなく、廉価にチューブを製
造することができる。
【0048】チューブは、図1に示したシリンジ接続用
接続部4,4を別個に製作してこれらをチューブ本体2
に固着させるほか、図14に示すように、チューブ本体31
aに接続してシリンジ接続用拡径部31bを一体成形して
チューブ31としても良い。不連続部33は、チューブ31の
長手方向全域に亘って形成する。
【0049】このような径違いのチューブは、不連続部
を有する大径のチューブの片端を加温し、融解延伸する
ことによって得られる。また、押出し成形時にチューブ
の引き取り速度を変化させることにより、長手方向に波
形の異径となったチューブを成形し、これを適宜切断す
ることによっても得られる。
【0050】図15,図16は射出成形によるチューブの成
形方法及びこれによって成形されたチューブを示す。
【0051】図16に拡大図示するチューブ本体41aを押
出成形によって成形し、インサートモールド法によって
後端部41bをチューブ本体41aに一体に成形する。な
お、この例ではチューブ本体41aには不連続部は形成し
ておらず、後端部41bにのみ線条状不連続部43を形成し
ている。
【0052】図15は射出成形装置の要部概略断面図であ
る。分割可能な外側ダイ44A,44Bと例えば抜き勾配を
付した内側ダイ45とをセットする。図16のチューブ本体
41aはダイ中にインサートしておく。各ダイによって形
成されるキャビティ46に、スプール44bを経由して融解
成形材料47を射出によって圧入する。
【0053】融解成形材料47の温度を低く(この例では
160℃)することにより、スプール44bの反対側の位置
、前記の例におけると同様の亀裂及び成形材料が完全
には融着しない不連続部からなるウエルドライン43(仮
想線で示す)が形成される。
【0054】成形材料47が冷却して固化するのを待っ
て、外側ダイ44A,44Bを分割し、内側ダイ45から固化
した成形材料を抜き取り、スプール44bに対応する部分
を切断,除去する。かくしてウエルドラインによる線条
状不連続部43が形成された後端部41bがチューブ本体41
aと一体になって形成され、図16のチューブ41が得られ
る。
【0055】後端部41bに図1に示したシリンジ接続用
接続部4,4を固着させて完成品とする。後端部41b
は、前述した図6と同様の要領で不連続部43に沿って開
き、更に不連続部43の延長線に沿ってチューブ本体41a
が開いていく。
【0056】かくしてチューブ41は容易にカテーテルか
ら外すことができる。後端部41bに図14と同様のシリン
ジ接続用拡径部(図14の31bに相当)を設けるように成
形し、前記接続部4,4を省略することができる。
【0057】以上、血管にカテーテルを導入する例を挙
げて本発明の実施例を説明したが、カテーテルのほか、
バイパスチューブその他の医療用管状器具を血管に導入
するのにも本発明が適用でき、また、生体の血管以外の
管状器官や体腔に医療用の管状又は線状器具を導入する
のにも本発明が適用可能である。これらの場合、導入用
チューブの寸法,構造,材料は目的に応じて適宜設定す
る。
【0058】
【発明の効果】本発明に基づく医療器具導入用チューブ
は、管状体に、亀裂によって互に接続し合わない外周側
の第1の不連続部と、この第1の不連続部に連設された
引き裂き容易な内周側の第2の不連続部が形成されてい
るので、亀裂を拡げる第1の不連続部の引き裂きと、こ
れに続く第2の不連続部の引き裂きが容易であり、医療
器具から管状体を容易に除去することができ、医療行為
が容易にかつ安全に遂行される。また、管状体は実質的
に同じ材料からなているので、複数種の成形材料を使
用する必要がなく、また、成形ダイも従来のものに僅か
な改造を加えるだけで、或いは成形時に成形ダイの温度
制御をするだけで上記管状体に上記不連続部を形成でき
る。
【0059】更に、前記不連続部は、内周側の外観上連
続的な第の不連続部と、亀裂がある第の不連続部と
からなっているので、第2の不連続部の存在により、
造中、保管中をも含めて、引き裂こうとする前に外力に
よって引き裂かれることがなく、管状体が形状保持さ
れ、安全で頗る便利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の医療器具導入用チューブ(以下、単に
チューブと呼ぶ。)の正面図である。
【図2】図1のII−II線拡大断面図である。
【図3】同チューブの不連続部及びその周辺の電子顕微
鏡組織のスケッチである。
【図4】同チューブを使用して血管にカテーテルを導入
する手順を示す正面図である。
【図5】同チューブを使用して血管にカテーテルを導入
する手順を示す正面図である。
【図6】同チューブを使用して血管にカテーテルを導入
する手順を示す正面図である。
【図7】同チューブを使用して血管にカテーテルを導入
する手順を示す正面図である。
【図8A】同スパイダの拡大断面図である。
【図8B】同スパイダの拡大断面図である。
【図8C】同スパイダの拡大断面図である。
【図9】同ダイ構造体の拡大断面図である。
【図10】図9のX−X線断面図である。
【図11】同押出成形機の概略断面図である。
【図12】他の実施例のダイ構造体の拡大断面図であ
る。
【図13】更に他の実施例のダイ構造体の拡大断面図で
ある。
【図14】他の実施例によるチューブの正面図である。
【図15】射出成形装置の要部概略断面図である。
【図16】射出成形によって成形されたチューブの拡大
斜視図である。
【図17】従来のチューブの拡大断面図である。
【図18】血管にカテーテルを導入する従来の手順を示
す正面図である。
【図19】血管にカテーテルを導入する従来の手順を示
す正面図である。
【図20】血管にカテーテルを導入する従来の手順を示
す正面図である。
【図21】血管にカテーテルを導入する従来の手順を示
す正面図である。
【符号の説明】
1,31,41 チューブ 2,31a,41a チューブ本体 3,33,43 不連続部 3a 亀裂 3b 超微視的な不連続部 4,31b 接続部(拡径部) 5 カテーテル 5a カテーテル径大部 6 シリンジ 7 注射針 8 血管 10 ダイ構造体 12 トーピード 13A,13B,13C スパイダ 14,34,44A,44B 外側ダイ 15,35,45 内側ダイ 15a 突起 17A,17B ヒータ 47 融解成形材料 TC 温度制御装置

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実質的に同じ材料からなる管状体を有
    し、この管状体の長手方向に対して略直交する断面内
    で、前記管状体の略半径方向の外周側には、前記管状体
    成形時の融着不完全に起因する亀裂によって、互に接続
    し合わないの不連続部が形成されており、前記略半
    径方向の内周側には、外観上は連続してはいるが引き裂
    きが容易なの不連続部が前記第1の不連続部に連設
    して形成されており、前記の両不連続部が前記管状体の
    長手方向に形成されている医療器具導入用チューブ。
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