JPH0693417A - 硬質材料の被覆方法 - Google Patents

硬質材料の被覆方法

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JPH0693417A
JPH0693417A JP5039763A JP3976393A JPH0693417A JP H0693417 A JPH0693417 A JP H0693417A JP 5039763 A JP5039763 A JP 5039763A JP 3976393 A JP3976393 A JP 3976393A JP H0693417 A JPH0693417 A JP H0693417A
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cathode
layer
coating
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JP5039763A
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Wolf-Dieter Muenz
ミュンツ ヴォルフ−ディーター
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Hauzer Holding BV
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HAUTSUAA HOLDING BV
Hauzer Holding BV
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    • C23CCOATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
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    • C23C14/022Cleaning or etching treatments by means of bombardment with energetic particles or radiation
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 Taおよび/またはNbのような層を蒸着す
るために、特に有利で、技術的に問題のない方法を提供
する。 【構成】 永久磁石システムを備えたカソード2は、硬
質材料の蒸着用のマグネトロンカソードを形成する第1
のカソードと、基板4のエッチング用、およびTaおよ
び/またはNbの遷移層の形成用に使用する第2のカソ
ードと、マグネトロンカソードとして作用する第3のカ
ソードからなる。第2のカソード2を使用して、基板4
のエッチング前処理を行った後、再び第2のカソード2
を使用して遷移層を形成する。この工程の間、Taまた
はNbイオンが基板に注入され、遷移層または固着層が
形成される。その後、磁石システムをマグネトロンカソ
ードシステムに変え、Taおよび/またはNb層を遷移
層上に蒸着する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、物理蒸着法による硬質
材料の被覆方法に関する。
【0002】
【従来の技術】物理蒸着法によって生成したTiN,T
iCN,ZrN,ZrCN,CrNなどの慣用的な硬質
材料層は、酸性水溶液中で極めて大きな正の電気化学ポ
テンシャルを有することが知られている。対照的に、硬
質材料層によって被覆される典型的な基板材料、例え
ば、Fe,FeNiCr,Ni,Cr,Cu,CuZn
などは、負の電気化学ポテンシャルを有する。
【0003】これらの「自然の」環境は、局部的な電気
化学電池または電気化学局部電池が、必然的に基板材料
を局部的に腐食をさせるような条件下で形成できるとい
う問題を引き起こす。これらの条件は、硬質材料層内の
孔の存在下、水分および、例えば、微量のハロゲンイオ
ンの存在下にある。水分およびハロゲンイオンは、例え
ば、指や手の跡によってつけられた発汗によって、処理
中に生ずる。
【0004】今日では、基板表面に電気化学的に正の被
覆層を設けることによって、このような局部的な腐食を
広範囲にわたって抑制できることが知られている。例え
ば、0.1乃至0.2μmの厚さのガルヴァニックNi
Pd層を、正電位発生源として作用する貴金属Pdとと
もに適用することが知られている。しかしながら、この
方法は、貴金属成分の割合が高いため高価な方法であ
る。
【0005】また、例えば、TiN蒸着の最初の段階で
層構造中にPdを組み込むことにより、連続層金属/硬
質材料層の電気化学的挙動を実質的に向上させることが
できることが知られている。しかし、この方法は複雑で
あり、液体源を使用する蒸着方法によって実現できるだ
けである。あるいは、これらは工業的な観点からは比較
的興味の薄いものである。
【0006】TaおよびNbのような特に化学的耐性の
ある物質は、金属基板とセラミック硬質材料層との間の
中間層として特に適していると考えられている。即ち、
この種の中間層を使用した場合において、硬質材料層内
に孔があり、酸性水溶媒体が存在する場合には、孔の真
下に非電導性酸化物Ta25が形成する。この酸化物T
25は、フッ化水素酸溶液によって攻撃されることが
できるだけである。従って、このシステムは、自己損傷
的特徴を有する。
【0007】しかしながら、この提案は、TaもNbも
簡単に蒸着できず、緻密な薄層を形成することができな
いため、特に工業的には実現が非常に困難であるという
問題がある。また、水溶性ガルヴァニック処理を使用し
てTaおよびNbを蒸着できないことも知られている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、T
aおよび/またはNbのような層を蒸着するために特に
有利で、技術的に問題のない方法を提供することを目的
とする。
【0009】上記目的を達成するため、本発明は、例え
ば、欧州特許出願90909697.6号および911
06331.1号またはこれらに対応する米国特許出願
07/654626号および米国特許5160595号
に記載されている組合せアークスパッタリング法の改良
した方法を提供する。
【0010】本発明を理解し易くするために、上記の従
来技術の提案について簡単に説明する。また、これらの
提案は、図面の説明にさらに詳細に説明されている。欧
州特許出願90909697.6号およびその対応米国
特許出願07/654626号は、アーク放電蒸発およ
びカソードスパッタリングに基づく2つの異なったタイ
プの表面被覆技術に生ずる問題を説明している。特に、
周知の慣用のイオンによる蒸発法では、基板に入射する
原子およびイオンの運動エネルギー、あるいは基板に入
射する粒子の運動エネルギーが分布し、高エネルギーの
粒子が凝縮層の結晶格子内に欠陥を引き起こし、層の圧
力応力および脆弱化を引き起こし、または、好ましくな
い凝集層の逆スパッタリングあるいは再スパッタリング
の誘因となる。一方、低エネルギーの入射粒子は、その
表面において必要な運動エネルギーを殆ど得ることがで
きず、しばしば均質な層を形成することができない。そ
のため、基板に入射する原子およびイオンの運動エネル
ギーの分布が特に広くなり、そのため好ましくない分布
となり、このような分布は特にアーク蒸発器に現れる。
さらに、小滴と呼ばれる大きな粒子が、しばしば様々な
形態でアーク蒸発器に発生し、耐食性材料の被覆が必要
な場合、あるいは層材料の摩擦係数を特に低くしようと
する場合には、これらの粒子の存在が極めて不都合であ
る。
【0011】アークスパッタリングと比較して、カソー
ドスパッタリングでは、イオン化した粒子の濃度が低い
のは好ましくない。特に、被覆される基板の直接的な環
境において好ましくない。これは、特に、例えば硬質材
料の被覆の場合のような高い融点を有する層を蒸着する
場合に、しばしば凝集層を生ずる。
【0012】さらに、カソードスパッタリングによって
蒸着された層は、アーク蒸発によって蒸着された層より
も結合強度が劣っていることが示されている。一方、カ
ソードスパッタリングでは、負の基板バイアスを適当に
選択することによって、入射イオン化粒子の運動エネル
ギーを、例えば10eV乃至1000eVまたはそれ以
上の範囲で数エレクトロンボルトの範囲内に正確に設定
できるが、非イオン化原子の大多数は典型的には10e
V以下の運動エネルギーを有するため、このような場合
に、その運動エネルギーを正確に設定することが出来な
い。
【0013】欧州特許出願90909697.6号およ
び米国特許出願07/654626号に記載された発明
の目的は、出来る限り欠陥がなく十分に結合された層、
即ち、高品質の層の蒸着を保証し、さらに、蒸着パラメ
ータを適当に選択することによって、層成長を所望の環
境に理想的かつ正確に適合させる可能性を提供する方法
を開発することである。
【0014】この目的は、欧州特許出願9090969
7.6号および米国特許出願07/654626号に記
載された発明によって達成することができる。これらの
特許出願に記載された発明では、アーク放電蒸発工程と
カソードスパッタリング工程の両方を行い、カソードス
パッタリングの前にアーク放電蒸発が行われる。即ち、
アーク蒸発の被覆工程段階の最初の段階において使用さ
れ、その後、被覆が継続され、あるいは、カソードスパ
ッタリングによって終了する。
【0015】カソードスパッタリングの前にアーク放電
蒸発を行った結果、基板を被覆する層の良好な結合を保
証する高エネルギーのイオンを有する基板表面に遷移層
が形成されるが、連続的なカソードスパッタリング中
に、被覆層の所望の結晶成長および所望の結晶構造に対
応する広い範囲に渡って低い粒子エネルギーで凝集する
速度と、基板のバイアス電圧の両方を高感度に制御でき
る。短い平均自由工程の結果として、コーナーの回りで
さえ、一様な厚さの層分布が現れる。
【0016】DCスパッタリングまたはマグネトロンス
パッタリングのような周知のカソードスパッタリングに
追加される磁界によって、カソード材料の蒸気とカソー
ドスパッタリングに使用するガス原子が、カソードと基
板との間の空間に実質的により多くイオン化でき、これ
によって高密度の層蒸着を行うことができるように、カ
ソードスパッタリングできることが説明できる。これ
は、特別に設けられた磁気装置の拡散場によって達成さ
れ、この磁気装置は、特にコイルからなり、磁場による
スパッタリングおよび不均衡マグネトロンの周知の原理
によって形成できる(L.Maissel,”Hand
book Thin Film Technology
(薄膜技術ハンドブック)” Mc Grawhill
BookCompany,1970,Seite
4.8; T.Hata,R.Noda,O.Mori
moto,T.Hada Appl.Phys.Let
t.,37(3) 1980,633; B.Wind
ow,F.Sharples,N.Savvides,
Vac.Sci.Technol.,A3(6) 19
85,2368; B.Window,N.Savvi
des Vac.Sci.Technol.,A4
(2) 1986,196; B.Window,N.
Savvides Vac.Sci.Techno
l.,A4(3) 1986,453; S.Kadl
ec,V.Musil,W.−D.Munz,G.Ha
kansson,E.Sundgren,16th I
CMC,SanDiego,USA,1989)参
照)。
【0017】アーク放電蒸発中に基板に凝縮する粒子の
大部分がイオン化されると、運動エネルギーは、例え
ば、基板に印加された負のバイアスによって問題なく有
利に制御することができる。欧州特許出願909099
76号および米国特許出願07/654626号の組み
合わせ、即ち、アーク放電蒸発とカソードスパッタリン
グの組み合わせ、特に不均衡マグネトロンによるカソー
ドスパッタリングによって、二つの被覆方法の利点、即
ち、良好な結合強度と高品質の層が、個々の方法の欠点
がなく、理想的な方法で達成できる。
【0018】従来の欧州特許出願90909697.6
号および米国特許出願07/654626号の提案で
は、最適なエネルギーを有するTiイオンによりアーク
放電蒸発を行う間に基板を最初に攻撃し、基板表面をイ
オンエッチングによってクリーニングすること、即ち、
周知の方法で部分的に除去することが好ましい。この表
面クリーニングに必要な高いイオンエネルギーは、比較
的容易に発生させることができ、例えば、1500V乃
至2000Vの範囲の負の基板バイアスの印加によって
発生させることができる。
【0019】その後、提案されたアーク放電蒸発とカソ
ードスパッタリングの組み合わせのために重要な遷移領
域が、基板表面の真下の領域において、同様にアーク放
電蒸発によって形成される。このため、例えば、アーク
放電蒸発中に生成した多数のイオン化Ti原子を、ある
条件下で基板表面に注入することができる。従って、T
iイオンのエネルギーは、十分に高く、また、蒸気のエ
ッチング工程が開始されるのを防ぐために高すぎないよ
うにしなければならない。これは、例えば、負の基板電
位が1000乃至1500V、好ましくは1100乃至
1200Vの範囲にあるときに、異なった合金のスチー
ル基板によって達成できる。
【0020】次に、鉄を含む基板の場合には、例えば、
Ti−Fe混合結晶が形成され、例えば、被覆中に成長
するTiN層の特に有利な固着を保証する。Ti−イオ
ンの代わりに、Zn−,Hf−,Cr−,Ta−,Nb
−,V−イオンを前処理に使用した場合にも、同様に好
ましい結果が達成できる。これらの場合には、例えば、
200乃至400オングストロームの厚さで混合結晶に
富んだ領域が、基板表面の直下に最初に形成するが、注
入される異物イオンの拡散がその直下で起こり、これが
1500乃至2000オングストロームの深さまで基板
内に広がる。次に、この遷移層は、例えば、Ti蒸気の
イオンエネルギーが対応して最適になったときに、機械
的負荷が加えられている間に、例えば、非常に堅く比較
的脆弱なTiN被覆の支持作用を引き起こす。被覆処理
の連続性は、2つの方法によって実行することができ
る。
【0021】基板の負のバイアスは、窒素原子およびイ
オンの存在下で大多数の金属原子と金属イオンが基板の
凝集に達するまで、アーク放電蒸発を保持する間に減少
させことができる。これは、例えば、負の基板バイアス
が10V乃至200V、好ましくは50V乃至100V
の範囲内にある場合である。次に、例えば、TiNの所
望の層の厚さの20%に達するまで、被覆が中断され
る。次に、この工程は、カソードスパッタリングに切り
替えられて設定される。
【0022】一方、アーク放電蒸発による遷移層の形成
直後に、カソードスパッタリングによって、主として不
均衡マグネトロンを使用して、イオン注入を被覆に切り
換えれば、基板から層までの遷移が一層好ましいものに
なる。例えば、TiNの蒸着の場合には、カソードスパ
ッタリング中に40V乃至200V、好ましくは50±
25Vの範囲の負の基板バイアス電圧を印加するのがよ
い。この場合には、適当な層厚を得るために、2mA/
cm2のイオン電流密度でイオン衝撃を行うことを保証
する必要がある(H.Freller,H.P.Lor
enz Vac.Sci.Techn.,A4(198
6),2691; H.FrellerProc.SU
RTEC,Berlin ’89,Carl Hans
erVerlg,Munchen,133参照)。
【0023】さらに、欧州特許90909697号およ
び米国特許出願07/654626号には、アーク放電
蒸発工程およびカソードスパッタリング工程が、1つの
同じカソードによって行うことができることが説明され
ている。しかし、これらの2つの工程において、各々別
のカソードを使用することもできる。これは、装置をさ
らに高価なものにするが、実際の被覆とは異なった材質
を有する遷移層を構成することができる可能性を広げて
いる。
【0024】欧州特許91106331号およびその対
応米国特許出願5160595号には、基板をアーク放
電によって処理し、カソードスパッタリング工程によっ
て基板を被覆する装置が開示されている。この装置は、
少なくとも一つのターゲットとアノードを有する真空排
気可能な室と、基板のアーク放電工程を行う第1の手段
と、基板のカソードスパッタリング工程を行う第2の手
段と、中心極の永久磁石と、この中心極の永久磁石から
横に離れて配置する反対極の永久エッジ磁石とからなる
各々のターゲット用の磁石装置と、各々のターゲット用
の磁石装置の位置をターゲットに対して変更し、ターゲ
ットに隣接する磁石装置の第1の位置では、第2の手段
がカソードスパッタリング工程を可能にするターゲット
領域に磁界を発生させ、ターゲットから離れた磁石装置
の第2の位置では、第1の手段がアーク放電工程を可能
にするように磁界を発生させる手段から構成されてい
る。
【0025】さらに、欧州特許91106331号およ
びその対応米国特許5160595号は、本発明の出発
点として考慮することができる一般的なプロセスパラメ
ータを開示している。
【0026】本発明の方法では、まず周知のエッチング
段階においてアーク工程によって、基板の表面が、Ta
またはNb原子、これらの2つの元素の合金、またはT
aおよび/またはNbを主成分とする合金を有する、多
数のTaおよびNbのイオン化金属蒸気に富むようにし
ている。
【0027】この前処理の後、基板または被覆すべき部
分を、上記の材料系、即ちTaおよび/またはNb元
素、これらの2つの元素の合金、またはTaおよび/ま
たはNbを主成分とする合金からなり、好ましくは0.
05μm乃至約2μmの厚さの層で被覆する。被覆工程
のために、アーク技術またはスパッタリング工程のいず
れも考慮する。次に、この中間層が、例えば、TiN、
ZrNなどの硬質材料層でさらに被覆される。
【0028】本発明は、欧州特許出願9090969
7.6号および米国特許出願07/654626号にも
記載されている図1乃至図10、および本発明の実施例
を参照することにより、さらに詳細に説明される。
【0029】
【課題を達成するための手段】本発明による硬質材料の
被覆方法は、物理蒸着法による被覆方法であって、Ti
N,TiCN,ZrN,ZrCN,HfN,HfCN,
TiAlN,TiAlCN,TiZrN,TiZrC
N,TiNbN,TiNbCN,CrNおよびCrCN
の少なくとも一つからなる硬質材料層を、基板の少なく
とも一部に形成する前に、TaおよびNbからなる十分
にイオン化した金属蒸気内におけるアーク法によるエッ
チング工程中に、基板表面をTaおよび/またはNbイ
オンで富化することを特徴とする。
【0030】上記エッチング工程は、欧州特許出願90
909697.6号またはその対応米国特許出願07/
654626号にしたがって行うことができる。
【0031】Taおよび/またはNbによる基板の被覆
は、Taおよび/またはNb原子による前処理の後に行
うことができる。Taおよび/またはNbの被覆層は、
略0.05μm乃至2μmの層厚を有することが好まし
い。Taおよび/またはNbによる基板の被覆は、欧州
特許出願90909697.6号またはその対応米国特
許出願07/654626号に記載されたアーク法にし
たがって行うことができる。また、前記Taおよび/ま
たはNbによる基板の被覆は、欧州特許9119633
1号またはその対応米国特許5160595号に記載さ
れたアーク法にしたがって行うこともできる。
【0032】また、エッチング工程によってTaおよび
/またはNb原子による前処理をした後、スパッタリン
グ工程にしたがって、さらにTaまたはNbで被覆する
ことも可能である。スパッタリング工程では、アークマ
グネトロンカソードを使用することができ、また、アー
クマグネトロンカソードをエッチング工程用のカソード
として使用することもできる。エッチング工程を行う間
には、基板または基板の一部に、−1000V乃至−1
400Vの負のバイアスを印加することが好ましい。ま
た、基板または基板の一部をTaおよび/またはNbで
被覆する工程中に、略−25V乃至−150Vの負の電
位を適用することが好ましい。
【0033】また、体心立方格子にTaおよび/または
Nbの凝集層を蒸着することもできる。小水滴のないス
パッタリング技術を使用して、TiN,TiCN,Zr
N,ZrCN,HfN,HfCN,TiZrN,TiZ
rCN,TiNbN,TiNbCN,CrNおよびCr
CNの少なくとも一つにより、基板または基板の一部を
さらに被覆することもできる。また、不均衡マグネトロ
ンを使用して、さらに被覆を行うことも可能である。
【0034】さらに、マルチカソードシステムにおいて
さらに被覆を行い、基板表面をTaおよび/またはNb
イオンで富ませ、Taおよび/またはNbからなる中間
層の形成、およびその後の小水滴のない硬質材料層の形
成を、欧州特許出願90115527.5号またはその
対応米国特許出願07/566681号に記載された単
一の減圧工程および単一の減圧装置により行うこともで
きる。
【0035】
【作用】TiN,TiCN,ZrN,ZrCN,Hf
N,HfCN,TiAlN,TiAlCN,TiZr
N,TiZrCN,TiNbN,TiNbCN,CrN
およびCrCNの少なくとも一つからなる硬質材料層
を、基板の少なくとも一部に形成する前に、Taおよび
Nbからなる十分にイオン化した金属蒸気内におけるア
ーク法によるエッチング工程中に、基板表面をTaおよ
び/またはNbイオンで富化することにより、緻密な微
細構造を有する被覆層を形成する。
【0036】
【実施例】図1は、周知のアーク放電蒸発法によって被
覆を形成した場合に、被覆すべき基板に入射する粒子の
運動エネルギーの典型的な分布を示している。運動エネ
ルギーは横座標に記録され、凝集粒子の入射振動数は縦
座標に記録されている。この図から、理想的なエネルギ
ー範囲は、経験的に、約40乃至80eVであることが
わかる。この範囲よりも低いエネルギーおよび高いエネ
ルギーは、この図で説明するメカニズムに欠陥を与え
る。
【0037】図2は、アーク放電蒸発およびカソードス
パッタリングのための基本的な回路図を示している。コ
ンテナ1にはカソード2が設けられている。アーク放電
蒸発の場合には、このカソード2は−20V乃至−50
Vの電位を有する。カソード2とアノード3の間にアー
ク電流が形成される。
【0038】アノード3は、0V乃至+50Vの範囲の
典型的な電位を有する。アーク電流は数百アンペアにす
ることができる。電流の一部は、基板4の方へ向かって
空間内を流れる。これらの基板4は、必要に応じて、エ
ッチング工程の場合には2000V以下の負のバイア
ス、例えば、遷移層を形成する場合には1100乃至1
200V、被覆中には約100Vの負のバイアスにする
ことができる。
【0039】基板4は基板ホルダ5に固定されている。
基板ホルダ5は、電気的に絶縁されるようにコンテナ1
に組み込まれ、適当な電源に接続することができる。
【0040】従来のカソードスパッタリングの場合に
は、負のバイアスは3000V乃至4000Vである。
マグネトロンスパッタリングのための典型的な値は、4
00V乃至700Vである。従来のカソードスパッタリ
ング工程のプラズマを満たす空間は、参照符号6で示さ
れている。アーク放電蒸発の場合と同じ条件が、基板4
と基板ホルダ5に適用される。
【0041】図3は、欧州特許出願90909697.
6号およびその対応米国特許出願07/654626号
において提案された組み合わせ工程を行うための装置の
例を示すブロック図である。この装置では、アーク放電
蒸発およびカソードスパッタリングのための共通のカソ
ード2が設けられている。
【0042】カソード2は、地電位または浮遊電位を有
する暗視野スクリーン、あるいは絶縁材7によって取り
囲まれている。カソード2およびアノード3は、電源回
路8内で互いに接続されている。この電源回路8には、
アーク放電を維持する電源9およびアーク放電蒸発を選
択的に行うためのスイッチ10が設けられている。
【0043】また、電源回路11が電源回路8と並列に
接続されている。この電源回路11は、カソードスパッ
タリング放電を選択的に維持するためのスイッチ13を
介して、電源12をカソード2に接続している。電源1
2の正の出力は、周知の方法により地電位となってい
る。最後に、回路14は、スイッチ15を介して基板ホ
ルダ5を電源16の負の出力に接続している。この場
合、正の出力は、地電位またはコンテナ1の電位のいず
れでもよい。プラズマ(図2において6で示される)用
の磁化装置の2つの可能な例が、参照符号17および1
8で示されている。技術的実現性により、散乱界磁コイ
ルからなるこれらの磁化装置17および18は、それぞ
れDC電源19および20に電気的に接続されている。
この装置では、コイル電流のレベルは、基板4のイオン
電流密度が、電源16から生ずる負のバイアスの動作の
下で2オングストローム/cm2になるように選択すべ
きである。
【0044】図4は、周知のマグネトロンカソードを示
している。参照符号2は、従来のマグネトロンカソード
のターゲットを示している。参照符号21は、特別な磁
石装置を示している。図3において示したような散乱界
磁コイル17が、ターゲット2内において磁石装置21
を取り囲んでいる。矢印は、磁界がターゲット2に対し
て置換可能であることを示している。これは、磁界の影
響により、あるいは磁界の影響がなく、アーク放電蒸発
を選択的に行うことができるようにする利点があるが、
カソードスパッタリング中に、磁界がカソードのマグネ
トロン動作のために重要であるので、実用的な意義を有
する。
【0045】図5は、マルチカソードシスムの断面を示
している。このシステムでは、コンテナ1内に2つの従
来のカソードとマグネトロンカソードが設けられてい
る。この場合、従来のカソードの1つはアーク放電蒸発
器として使用できるが、他のカソードはスパッタリング
源として作用する。最後に、図6は、当業者の文献に最
もよく記載されているマグネトロンの断面図である。こ
の装置では、コイル17は空間のイオン化を増加する作
用をし、永久磁石、好ましくはSmCoまたはNdFe
Bからなる磁石装置とともに、不均衡マグネトロンとし
て作用する。不均衡マグネトロンの概念自体は周知であ
り、例えば、米国特許5160595号に記載されてい
る。
【0046】図7および図8は、層の形成と個々の工程
を概略的に再現したものである。図7は、表面が「固着
領域」として作用する遷移層としての特徴を有するスチ
ール基板を、典型的な方法により示している。被覆材料
としてTiを使用する場合には、金属間層がこの領域に
生じ、例えば、TiFeからなる。次に、TiNの第1
層成分がこの遷移領域上にあり、アーク放電蒸発により
反応蒸着を通じて生ずる。次に、この層の上に、カソー
ドスパッタリング工程により蒸着されたTiN層が形成
される。
【0047】図8は、特徴的な電気的方法のパラメータ
のタイムシーケンスを概略的に示している。エッチング
工程中に、基板のバイアス電位は最も高く(典型的には
−1600V)、電源16により被覆中に段階的に減少
して、遷移領域(典型的には−1100V)を形成す
る。基板の電流は最初に非常に高く、遷移層の形成中に
減少する。アーク放電蒸発によって被覆する間、また、
カソードスパッタリングの段階においても、負の基板バ
イアスは、一定のレベル、即ち、典型的には50V±2
5Vに維持することができる。基板のイオン電流を適当
な電流にするためには、アーク電流(電源9)を増加す
る。カソード電位は、電源9による第1の工程の間、略
一定(典型的には−20V)に維持され、カソードスパ
ッタリングによって被覆する間、例えば、マグネトロン
カソードを使用するときには、電源12によって典型的
に−500Vに増加あるいは設定される。カソードスパ
ッタリング中のカソード電位は、(電源12によって)
制御された電流であり、さらに被覆工程を行う間に一定
に維持される。同様に、基板へのイオン電流(バイアス
電流)は、追加の磁気イオン化(例えば磁化装置17、
18)によって高くなり、約2ミリオングストローム/
cm2である。
【0048】図9および図10は、TiN被覆の例に関
する好ましい方法を示している。図9は連続層を示して
いる。TiN層は「固着領域」のすぐ上にある。図10
は、この工程段階のタイムシーケンスを再現したもので
ある。図8と比較すると、第1のTiN層を形成するた
めのアーク放電蒸発の段階がない。
【0049】欧州特許90909617号と米国特許出
願07/654626号の方法の最も重要なプロセスパ
ラメータを表1に示す。
【0050】
【表1】
【0051】本発明を実施するための更に有用な装置
は、図11乃至図15を参照して説明する。これらの図
は、欧州特許90115527号の図1乃至図5に対応
する。
【0052】図11Aおよび図11Bは、円形のカソー
ドの後方に2つの電磁石を備えた装置を概略的に示して
いる。この装置は、磁気的軟金属からなり、水平方向の
軸線を有する円筒形の真空室101からなる。真空室1
01はアノード103としても作用する。真空室101
は、作動ガスを供給する入口108と、ポンプ出口10
9を備えている。チタンからなる平坦で円形のカソード
102が、真空室101の1つの鉛直方向の壁と同一平
面で同じ軸線を有するように配置されている。基板10
5用の円形ホルダ104が、カソード102と対向して
真空室101と共軸に取り付けられている。ホルダ10
4は調節可能に取り付けられており、ホルダ104とカ
ソード102の間の距離が30mmから300mmまで
変えられるようになっている。カソード電圧UKの電源
106と基板電圧USの電源107は、真空室101の
外部に配置している。カソード電圧UKの電源106
は、0Vから1000Vの間の直流電圧源であり、その
負極がカソード102に接続され、正極が真空室101
に接続されている。0Vから1000Vまで可変の直流
電圧USの電源107は、その負極が電導性ホルダ10
4に接続され、正極が真空室101に接続されている。
多極磁界源の一部は永久磁石110、111および11
2であり、一部は2つの電磁石115および117であ
る。
【0053】図11Aからわかるように、永久磁石11
0および111は、装置の軸線に平行に偶数の列(図1
1Aでは8つ示されている)の磁石群122および12
3を形成するように、真空室101の内面に取り付けら
れている。所定の磁石群は、すべて同一の方向(半径方
向)を向いて配置されている。隣接する磁石群122お
よび123は反対の極を有する。このため、カソード1
02により近い磁石111は、1つの方向に2重になっ
ている。さらに、永久磁石112は、基板の後方におい
て真空室101の鉛直方向の内壁に取り付けられてお
り、これらの極は装置の軸線に平行に向けられ、これら
の磁界は、真空室101の内面の磁石群122および1
23の磁界と結合する。
【0054】さらに、この装置には、保持磁界を形成す
るための2つの電磁石が設けられている。第1の電磁石
は、第1のコイル115と、その中央の空洞に挿入され
た軟質スチールからなるコア116から構成される。第
1のコイル115は、電流源I1を横切って接続され、
カソード101の後方においてカソード101と同軸に
配置されている。第2の電磁石は第2のコイル117か
らなる。この第2のコイル117は、電流源I2を横切
って接続され、カソード101の後方において第1のコ
イル115の周りにカソード101と同軸に配置されて
いる。円筒形の環状の軟質スチールからなる中空コア1
18によって、第1のコイル115と第2のコイル11
7の間の空間が埋められている。中空コア118は、軟
質スチールならなるプレート119を横切ってコア11
6に接続されている。カソード102、第1および第2
のコイル115、117、および磁気回路116、11
8、119からなる組立体は、フランジ120によっ
て、パッキンまたは絶縁リング121を横切って、真空
室101の縦方向の壁に形成された円形の切欠きの周縁
部に取り付けられている。尚、電流源I1およびI2、ガ
ス充填システムおよびポンプシステム、パッキン、絶縁
体、真空ゲージ、カソード、真空室および基板を冷却す
る手段、基板を加熱する手段などの幾つかの部材は図示
されていない。また、層スパッタリングの工程において
必要であれば、この装置のカソードと基板との間に可動
シャッタを設けることもできる。
【0055】この装置は、以下のように作用する。真空
室101は、入口108を介して、作動ガス、またはア
ルゴンと窒素の混合物のような混合ガスで満たし、所望
の全圧PTにする。次に、カソード102と、アノード
103としても作用する真空室101との間でグロー放
電を行う。この放電は、条件付きであり、基板105と
ホルダ104を調節した場合に保持空間を囲む力11
3、114の多極保持磁力線によって影響を受ける。保
持空間の境界の多極磁力線は、磁石群122、123の
極性の変更によって、様々な位置において方向を変え
る。従って、保持空間のエッジからコーナーに動かす
と、磁界強度はすぐに下がる。この磁界パターンは、保
持空間のエッジからコーナーへ磁気圧をプラズマに加
え、高密度プラズマを制限する。
【0056】保持空間の境界における磁気誘導は、通常
10mT乃至50mT、あるいはそれ以上であり、基板
を含む中間領域では、通常0乃至2mTである。プラズ
マ保持を完全にするために、保持空間の中間領域からア
ノードまで、通常1乃至10mTの磁気誘導の最小値以
下で、チャネルがないようにする必要がある。このよう
なチャネルが存在する場合には、保持は部分的にすぎ
ず、プラズマの密度が減少し、また、放電安定性も減少
する。
【0057】多極保持磁界の一部は、カソード102上
の磁界であり、コイル115、116、および磁気回路
116、118、119によって形成され、カソード1
02の後方に配置される。コイル115の電流I1は、
カソード上に磁力線114の閉じたトンネルを形成し、
第2のコイル117の電流I2は、カソード102の周
縁部から現れる磁力線を有し、永久磁石111によって
形成された磁力線と結合する磁界を形成する。電流I1
およびI2の極性および強度を変えることによって、コ
イル115および117によって形成される磁界の形状
および強度を変えることができ、これによって、図4に
示されるように、プラズマ保持に影響を及ぼす。
【0058】従って、多極保持磁界により、カソード1
02とアノード103との間のグロー放電の相互作用か
ら高密度プラズマが生じ、保持空間に維持される。この
プラズマから粒子、特に電子および正のイオンが基板に
衝突し、成長する層の特性に影響を及ぼすことができ
る。基板が電導性の場合には、電源107から電圧US
を基板に印加して、衝突する粒子の種類およびエネルギ
ーを変え、さらに層の成長条件を変えることもできる。
このような効果を達成するためには、層蒸着中に、通常
−20V乃至−100Vの電圧USを印加すれば十分で
ある。これよりも高い電圧VS、通常、少なくとも−2
00V乃至−1000Vの場合には、基板105のイオ
ンエッチングを行うことができる。
【0059】また、カソードと基板との間の距離を変え
ることにより、層の特性に影響を及ぼすこともできる。
図11Aおよび図11Bの装置では、アルゴン中におい
て、圧力PT=0.1Pa、一定のカソード放電でチタ
ンスパッタリングを行う間に、US=−100Vのバイ
アス電圧で基板に流れるイオン化電流ISは、カソード
−基板の離隔距離が80乃至200mmの範囲で、その
平均値から±10%だけ変動することがわかった。これ
は、本発明の方法および装置の重要な利点であり、プラ
ズマの高い同質性を確認するものであり、層の特性に影
響を及ぼすために使用できる。
【0060】図12は、1つの長四角形のカソードと、
アノード延長片を備えた装置を概略的に示している。作
動ガス用の入口108とポンプ出口109を備えた真空
室101は、平行六面体の形状を有する。真空室101
の下壁には、これと平行に、電導性材料の四角形のプレ
ートからなる絶縁されたアノード103が設けられてい
る。カソード102は、真空室101の1つの鉛直方向
の壁と平行に配置されており、長四角形の形状を有す
る。カソード102の反対側には、カソード102と平
行に、基板105の平坦なプレート104が配置してい
る。真空室101の外部には、カソード電源106(U
K)および基板電源107(US)が設けられている。多
極保持磁界源は、永久磁石110によって形成される。
永久磁石110は、穴あき磁石支持体124上の保持空
間の周りに部分的に取り付けられ、アノード113に電
気的に接続され、磁石群125、126、130に組み
立てられ、カソード102の面と平行に配置されてい
る。これらの磁石群125、126、130では、すべ
ての磁石が真空室の方へ、あるいは反対方向に向いて配
置されており、隣接する磁石群125、126は互いに
反対方向に向いて配置されている。
【0061】さらに、2つの磁石群127、128に
は、カソード102の後方に永久磁石が配置している。
第1の磁石群127は、長四角形の底面を有し、カソー
ド102の中間部の後方に配置しており、第2の磁石群
128は、カソード102の周辺の後方に配置してい
る。両方の磁石群127、128の磁石の向きは、互い
に反対であり、第2の磁石群128の磁界の磁力線12
9は、磁石支持体124上に配置した最も近い磁石群1
30の磁力線と結合する。さらに、この装置には、アノ
ード103に電気的に接続された可動アノード延長片1
31が設けられている。延長片131は、カソード10
2よりも大きい長四角形のフレーム132と、カソード
102の後方において真空室101の壁を貫通するピス
トン133からなる。ピストン133によって、カソー
ド102の周りの磁界の磁力線129を横切って延長片
131を様々な位置に変え、フレーム132の面をカソ
ード102の面に平行に維持することができる。このよ
うな構成のため、フレーム132をカソード102の後
方、前方および同じ位置に配置させることができる。
【0062】図12の装置は、図11Aおよび図11B
の装置と類似した作用をする。しかし、図12の保持磁
界は、カソード上に磁界114、129を形成するため
に使用される永久磁石10の設計により、固定されてい
る。この装置では、アノード延長片131をカソード1
02の周りの保持空間の境界を横切って、また磁力線1
29を横切って移動させることにより、保持磁界におけ
るプラズマ保持の度合いを制御することができる。延長
片131を保持空間の外へシフトさせ、カソード102
の面よりも後方に配置させることにより、プラズマ保持
の度合いを最高にすることができる。延長片131を保
持空間の方へ、即ち、より低い磁気誘導の領域に挿入す
ることにより、保持空間からより多くの電子およびイオ
ンをアノード延長片131に衝突させ、これらが再結合
する場合に、保持空間全体のプラズマ密度を増加し、基
板105の周りのプラズマ密度を増加することができ
る。このようにして、プラズマからの粒子により基板1
05の衝撃強度を規制して、成長する層の特性を規制す
ることができる。実際に、アノード延長片131の移動
は、磁界に対するアノードの位置を変える。
【0063】基板の表面を選択した電位に維持すること
によって、基板に衝撃を与える荷電粒子の数やエネルギ
ーのような荷電粒子の特性に影響を及ぼすことができ
る。電導基板および電導層をバイアスするために、直流
または高周波電圧USの電源107を使用することがで
きる。非電導基板および/または非電導層の場合には、
高周波電圧USの電源107を使用することが必要であ
る。しかし、電源USが接続されていない場合には、成
長層を有する基板は浮遊電位を有し、プラズマ電位と浮
遊電位との差のために、成長層は、加速された正のイオ
ンによって衝撃を受けると同時に、同質の電子によって
衝撃を受ける。最初にプラズマ保持の程度によって、例
えば、アノード延長片131の移動によって、ガス圧の
大きさによって、および必要に応じて基板ホルダとカソ
ード102の間の距離を変えることによりスパッタリン
グ放電の出力を規制することによって、浮遊電位の大き
さと、衝撃を与える粒子の磁速密度を規定するプラズマ
密度に影響を及ぼすことができる。基板の浮遊電位を使
用するこの方法は、最初および真先に、非電導および電
導基板、および電導および非電導層に適するという利点
を有する。
【0064】図13Aおよび図13Bは、4つのカソー
ドと補助電極を備えた装置を示している。この装置の真
空室101は、垂直方向の軸線を有する八角形の形状を
有し、非磁性ステンレススチールのような非磁気伝導性
材料からなり、アノード103としても作用する。真空
室101の軸線に沿って、基板105用の円形ホルダ1
04が下から収容されている。基板105は、真空室1
01の底部の下に配置したモータ134によって回転で
きるようになっている。基板ホルダ104と真空室10
1との間に抵抗135が接続されている。抵抗135
は、ゼロから無限大の抵抗値に調節することができる。
真空室101の4つの垂直壁には、フランジ136によ
って、90度間隔で4つの長四辺形のカソード組立体1
37が固定されている。各々のカソード組立体137
は、長四辺形のカソード102、磁気伝導性リアプレー
ト138、および2つの磁石群127、128に配置さ
れた永久磁石110からなる。第1の磁石群127は、
カソード中央の後方に配置され、第2の磁石群128
は、その周辺の後方に配置されている。カソード組立体
137内の磁石の他に、真空室101の外部には、多極
保持磁界源を形成する永久磁石110が、略規則的に真
空室101に配置されており、磁石群が同じ方向を向い
た磁石の垂直列を形成し、隣接する列に対して反対方向
に向いている。永久磁石110は真空室101の外壁基
部に配置され、交錯した配置の方向に向いている。真空
室101の周縁部における磁石の磁場は、真空室101
の基部における磁場に接続される。同時に、カソード1
02の周りの真空室内壁上の位置139、即ち、永久磁
石110を規則正しく配置する場合にカソード102の
後方で第2の磁石群128に対して磁石を対等に配置す
べき位置はあいている。さらに、この装置には、8つの
補助電極140が設けられており、その表面は、カソー
ド102の材料から有利に形成されている。これらの補
助電極140は、真空室101の軸線に平行に保持空間
を貫通するとともに、2つは常に1つのカソード102
付近で各々のカソード102の反対側の周縁部に配置さ
れている。すべての電極140は、真空室101の基部
を介して、電圧UEの電源141に通じている。電源1
41は、真空室101の外部に配置されて、例えば−2
00Vから200Vの範囲の直流電流を供給する。より
高い出力で使用するためには、補助電極40を冷却する
ことが必要であるが、この冷却手段は図13Aおよび図
13Bには図示していない。
【0065】図13Aおよび図13Bによる装置の作用
は、図11Aおよび図11Bによる装置と類似の作用と
することができる。しかし、図13Aおよび図13Bに
よる装置では、モータ134によってホルダ104上で
基板を回転させることができる。同時に、4つのカソー
ドがスパッタリングされ、基板上の層がすべての側から
同時に成長する。基板105のホルダ104は、抵抗1
35を介してアノード103を横切って電気的に接続さ
れている。Rが無限大の抵抗値を有すると、基板は浮遊
電位に保持され、Rがゼロの抵抗値を有すると、ホルダ
104はアノード電位に保持される。従って、抵抗13
5の抵抗値により、基板のバイアスとそれらを流れる電
流を変化させることができる。保持空間内のプラズマを
保持する度合は、補助電極140上のUEの極性と大き
さに影響される。アノード103に関して十分に高い負
の電圧、例えば、−20Vから−200Vの範囲、ある
いは必要に応じてそれより高い電圧が、補助電極140
に供給される。プラズマからの電子は、補助電極140
の負のバイアスによって反発し、プラズマを保持する度
合は高い。電極140上の電圧UEを正の電圧に、例え
ば、−20Vから+50Vに変えることにより、アノー
ドとして作用する電極140、即ち、電極140上のプ
ラズマは再結合し、それによって、保持空間内でプラズ
マを保持する度合が減少する。従って、基板の周りのプ
ラズマの密度は減少し、その結果、基板に衝突する粒子
の変化量に影響を及ぼす。
【0066】図13Aおよび図13Bによる装置の重要
な利点は、基板105の周りの大きなカソード102の
規則正しい設計により、およびホルダ104の回転によ
り、実際上すべての方向から一定の割合で基板上に層を
被覆できることである。これは、多極磁性プラズマを保
持することにより保証される基板の周りのプラズマの同
質性とともに、すべての基板表面上に被覆層を同質に形
成させるということである。この利点は非常に重要であ
り、特に、特別な応力を必要とし、結晶配向特性を有す
る窒化チタン層のような、その特性が衝突する粒子の蒸
着率、エネルギーおよび密度に強く依存する層には非常
に重要である。
【0067】図14Aは、図11Aおよび図11Bの装
置において、基板バイアスUS=−100Vの場合のI2
に対するIS(イオン化ポテンシャル)の特性142
a,142bを示し、図14Bは、電流IS=0Aの場
合のI2に対するUfl(基板浮遊電位)の特性143
a,143bを示し、図14Cは、I2に対するI1の特
性144a,144bを示している。特性142a,1
42b,143a,143b,144a,144bの測
定中において以下のパラメータは一定とした。
【0068】カソード−基板離隔距離=200mm アルゴンガス圧力(PT)=0.1Pa カソード電圧(UK)=−600V カソード電流(IK)=1A 図15は、図11Aおよび図11Bの装置において、基
板電圧US=−100Vの場合のPTに対するISの特性
145を示している。また、この図はIS=0Aの場合
のPTに対するUflの特性146も示している。いずれ
の特性145、146も、以下の同一の一定のパラメー
タで測定した。
【0069】 カソード−基板離隔距離(d)=200mm カソード電圧(UK)=−600V カソード電流(IK)=1A 第2のコイル117の電流(I2)=+10A 図14に示された特性は、図11Aおよび図11Bの装
置において、多極保持磁界の形状および強度を変えるこ
とにより、基板15に衝突する粒子のエネルギーおよび
密度を制御できることを示している。図14において間
隔Aで示されるように、電流I2が正であり、+2.5
Aよりも大きい場合には、カソード102のエッジから
出る磁力線114は、図11Aおよび図11Bに示され
るような保持空間に広がり、これらの磁力線は、2重の
磁石111の磁界によって反発する。図14において間
隔Cで示されるように、電流I2の極性が負または正で
あり、+1Aよりも小さい場合には、カソード102の
エッジにおける磁力線114は、別の方向に、即ち、保
持空間からカソード102へ流れる。この間隔では、2
重の磁石111からの磁力線は、カソード102のエッ
ジからの磁力線に結合する。電流I2が+1Aから+
2.5Aまでの範囲にある間隔Bでは、カソード102
と2重の磁石111との間の磁界は非常に小さく、約1
0mT未満である。従って、多極保持磁界は損なわれ、
プラズマの保持が弱いだけでなく、例えば0.1Paの
低圧下でさえ、どのような大きさの電流I1を第1のコ
イル115に流してもグロー放電は全く起こらない。従
って、低圧下、例えば0.2Pa未満の圧力下での安定
した放電は、多極保持磁界が、図14における間隔Aの
ように平行なカソードの磁界、あるいは間隔Cのように
平行でないカソードの磁界と結合することが必要であ
る。
【0070】曲線142aおよび142bは、間隔Aお
よびCのいずれにおいても、一定の基板電圧US、例え
ば、−100Vの場合に、基板に衝撃を与えるイオンの
磁速密度を制御できることを示している。曲線143a
および143bは、全体的なイオン化電流ISがゼロの
場合でさえ、間隔AおよびCのいずれの場合にも、基板
の浮遊電位Uflを制御できることを示している。曲線1
44aおよび144bは、第1のコイル115の電流I
1を利用して、電流I2が広範囲に変化する場合でも、放
電電圧および電流を一定の値に維持できることを示して
いる。また、これらの曲線144aおよび144bは、
コイル115、117の磁界が、電流I2の極性にかか
わらず互いに反対方向であることが必要であることも示
している。
【0071】曲線144aおよび144bは、ゼロの電
流I2に対して対称ではない。これは、磁石111が2
重になっており、I2=0Aの場合でさえ、多極保持磁
界が磁石111からカソード102へ放出される磁力線
によって閉じられているためである。
【0072】図15に示される特性は、図11Aおよび
図11Bの装置において、基板に衝突する粒子の量およ
びエネルギーを、全圧PTを変えることにより制御する
可能性を示している。曲線145、即ち、PTに対する
S(イオン化電流)の特性は、カソード電流(IK)の
20乃至50%を含む高いイオン化電流(IS)を、−
100Vだけの電圧USで、少なくとも0.04乃至5
Paの広い圧力範囲に渡って、カソード102から基板
200mmに抽出できることを示している。また、曲線
26に示されるように、全圧PTは、−5乃至−45V
の典型的な電圧範囲内において、基板の浮遊電位Ufl
影響を及ぼす。圧力を2x10-2Paまで下げても安定
した放電が観測された。
【0073】 以下、図11Aおよび図11Bに示した装置において形
成される窒化チタン層の例を参照して、欧州特許901
15527.5号および米国特許出願07/55668
1号に記載された方法による層スパッタリングの方法を
説明する。
【0074】例1 ホルダ104に配置された高速度スチールからなる基板
105を、10-2Pa未満の圧力下で、500℃の温度
に加熱した。基板105およびカソード102のイオン
クリーニングのために、0.09Paのアルゴン圧力下
で、基板105に電圧US=−600Vを120秒間印
加し、カソード102に電圧UK=−500Vを印加し
た。次に、アルゴンと窒素の混合ガス中で、全圧0.0
9Pa、カソード電圧UK=−600V、カソード電流
K=5Aで、窒化チタン層を90分間スパッタリング
した。次に、基板105をカソード102から200m
mの距離に配置し、基板にバイアスUS=100Vを印
加した。コイル115の電流I1=0.9A、コイル1
17の電流I2=4Aとし、全電流IS=610mAとし
て、プラズマからのイオンによって層を大きく成長させ
る間、基板に衝撃を与えた。
【0075】上記のようにして生成した層は、厚さ3.
2μm、ビッカース微少硬さHV=2590±90kg
/mm2であり、緻密な微細構造を有するとともに明る
い金色の層であった。
【0076】例2 基板のバイアスをUS=−50V、組織(220)とし
た以外は、層の他の物性を例1と殆ど変えないで、例1
と同じ方法で窒化チタン層を形成した。
【0077】例3 電源USを切り、アノード103に対する浮遊電位Ufl
=31Vとした以外は、例1と同じ方法で窒化チタン層
を形成した。120分間の蒸着時間後における層の厚さ
は5.5μm、微少硬さHV=2070±80kg/m
2であり、非常に緻密であった。X線分析による結果
を以下に示す。
【0078】α111=0.4255nm α200=0.4243nm β111=0.23° β200=0.27° β222=0.51° e=(4.0+0.5)x10-3 δ=2.9GPa 層は組織(111)+(200)を減少し、修正反射強
度の関係はI200/I111=1であった。これらの特性
は、従来のスパッタリングを含む他の物理的方法によっ
て被覆された窒化チタンと比較しても普通であり、低エ
ネルギーのイオン衝撃と同時に十分な電流密度を有する
電子による衝撃に対して、層内の応力は小さく、結晶格
子の損傷も小さい。十分な微少硬さとの組み合わせにお
いて、これらの層は、パッドに対する高い粘着性を有す
るとともに、切断工作機械に適用した場合に非常に有益
な特性を有する。
【0079】例4 例4は、浮遊電位Uflの大きさを制御することによる層
組織の制御を示す。例3と同じ方法を用いたが、電流I
2=10A、I1=2Aであり、基板の浮遊電位Uflを−
45Vに増加し、被覆層が修正反射強度の関係I200
111=0.2の好ましい配向(111)を有するもの
であった。電流I2を3.8A、I1を1.6Aに変える
とともに、修正反射強度の関係I200/I111=5の好ま
しい配向を(200)に変えることにより、−24Vま
でUflをバイアス減少させることができた。微少硬さ、
応力および格子パラメータのような他の層パラメータ
は、実質的に変えなかった。制御された組織を有する層
が、最適に被覆する切断工作機械に重要であり、広く適
用されることが期待される。
【0080】以下、上述した図1乃至10および図11
乃至15の方法に対する変更として、本発明の実施例を
説明する。
【0081】まず、例えば図5に示されたような多極カ
ソードシステムを使用する。
【0082】図5において永久磁石システムを備えたカ
ソード2で、第1のカソードとして作用するカソード
は、硬質材料の蒸着用のマグネトロンカソードを形成
し、Ti,Zr,Zi,Hf,TiAl,TiZr,T
iNbおよびCrの少なくとも一つからなるターゲット
を支持している。動作中に第1のカソードを有する装置
を使用する場合、真空室は窒素Nまたは炭素および窒素
CNを供給するガスで満たされ、TiN,TiCN,Z
rN,ZiCN,HfN,HfCN,TiAlN,Ti
AlCN,TiZrN,TiZrCN,TiNbN,T
iNbCN,CrNおよびCrCNなどの実硬質材料の
被覆を形成する。もう一つのカソード2、即ち、第2の
カソードは、TaおよびNbの合金の元素、Taおよび
Nbの合金、TiまたはZrの合金、実在の割合のTa
および/またはNb(例えば、少なくとも50重量%)
を含むHfのいずれかからなるターゲットを有し、基板
のエッチングのため、およびTaおよび/またはNbの
遷移層の形成のために使用される。第3のカソード2
は、第1のカソードに使用されたターゲットと同一のタ
ーゲットを有する。また、これは、マグネトロンカソー
ドとしての作用をし、即ち、第1のカソードと同様の磁
石装置が設けられている。
【0083】この装置により、まず、第2のカソードを
使用して、基板を1300乃至2000V、好ましくは
1500乃至1600Vの範囲の負電位バイアスに維持
して、エッチング前処理を行う。アーク工程によりエッ
チングを行うために、第2のカソードで、適当な磁石シ
ステムを使用する。表1に与えられたエッチング値にし
たがって、プロセスパラメータを選択する。
【0084】その後、再び図5の第2のカソードを使用
して、負の基板バイアスを1000乃至1400Vの負
の電位バイアスに減少させて、遷移層を形成する。
【0085】この工程の間、TaまたはNbイオンが基
板に注入され、遷移層または固着層が形成される。その
後、磁石システムをマグネトロンカソードシステムに変
え、表1において不均衡マグネトロンで被覆するために
引用されたプロセスパラメータと同様のプロセスパラメ
ータを使用して、典型的には−25V乃至−150Vの
負の基板バイアスで、厚さ0.05μm乃至2μmのT
aおよび/またはNb層を遷移層上に蒸着する。このア
ーク工程およびスパッタリング工程は、アルゴン雰囲気
(減圧下)で行うのが好ましい。
【0086】その後、実硬質材被覆を蒸着するために、
不均衡マグネトロンのために表1で引用したプロセスパ
ラメータを再び使用して、第1および第3のカソードを
使用する。このため、真空室に適当なガスを加える。
【0087】米国特許5160595号に記載されてい
るように、アーク放電工程からカソードスパッタリング
工程に第2のカソードの動作を変更するために、可動磁
石システムが設けられている。
【0088】同様に、米国特許出願07/566681
号の図1A、図1B、図2および図3A、図3Bに対応
する図11A、図11B、図12および図13A、図1
3Bの装置は、本発明の方法を実施するために変更する
ことができる。
【0089】図11A、図11Bおよび図12の場合に
は、単一のカソードを2つのカソードに変え、そのうち
の一つカソードがTaおよび/またはNb材料のターゲ
ットを有するカソード、即ち、Taおよび/またはNb
元素、TaおよびNbの合金、TiまたはZnの合金、
実在の割合のTaおよび/またはNbを含むHfの少な
くとも一つからなるターゲットを有するカソードであ
り、第2のカソードが、Tiのような硬質材料被覆工程
に使用する材料からなるターゲットを有するものでなけ
ればならない。
【0090】図11Aおよび図11Bの円形カソード
は、一つの材料からなる中心の円形カソードと、他の材
料からなる外側のリング状カソードに再分し、各々のカ
ソード自体に磁石装置を設けてスパッタリングに必要な
トンネルを発生させることができる。また、カソードの
分離動作を可能にするために2つのカソードにそれぞれ
電源を設けることが必要である。
【0091】Taおよび/またはNbからなる一つのカ
ソードを、イオンクリーニング、遷移層の形成、および
アーク蒸発工程による厚さ0.05μm乃至2μmのT
aおよび/またはNb層の蒸着のために使用する場合に
は、即ち、スパッタリングによる厚さ0.05μm乃至
2μmのTaおよび/またはNb層の蒸着には要求され
ないが、アーク動作のための磁石装置以外に、磁力線の
トンネルを発生させるための別個の磁石装置を必要とし
ない。
【0092】図13Aおよび図13Bの装置では、4つ
のカソードが設けられている。本発明の方法を使用する
場合には、少なくとも1つのカソード、好ましくは2つ
のカソードに、イオンエッチング、遷移領域の形成、お
よび厚さ0.05μm乃至2μmのTaおよび/または
Nb層の蒸着のために使用されるTaおよび/またはN
b材料からなるターゲットを設けることができる。2つ
のカソードを使用する場合には、これらのカソードは他
方のカソードに隣接させることができるが、より一様な
被覆を形成するために他方のカソードの反対側に配置さ
せることが好ましい。また、残りのカソードを硬質材料
被覆の蒸着に使用することができる。あるいは、存在す
る長四角形のカソードの各々を2つのカソードに再分
し、一方がTaおよび/またはNbからなるターゲット
を有し、他方が硬質材料被覆に必要な材質のターゲット
を有するようにすることもできる。
【0093】イオンエッチング、遷移領域の形成、厚さ
0.05μm乃至2μmのTaおよび/またはNb層の
蒸着は、すべてアーク蒸発工程によって行われ、その
後、それぞれのカソードは、アーク蒸発に適した磁石装
置以外に、トンネルを発生させる磁石装置を必要としな
い。
【0094】しかしながら、スパッタリングによって厚
さ0.05μm乃至2μmのTaおよび/またはNb層
の蒸着を行う場合には、アーク工程によるイオンエッチ
ングおよびイオン注入(即ち、遷移領域の形成)を可能
にするために、それぞれのカソードのためにトンネルを
発生させる磁石装置が必要であり、米国特許51605
95号により分離可能に配置すべきである。
【0095】異なったモードで動作させるために予め別
個の電源を設けるときは、異なったタイプのカソードを
設けるべきである。
【0096】イオンエッチング、イオン注入(遷移領域
の蒸着)、および厚さ0.05μm乃至2μmのTaお
よび/またはNb層の蒸着は、不活性ガス中、典型的に
はアルゴンガス中、あるいはアルゴンおよび窒素の雰囲
気下(これは窒素が脆化を引き起こすためそれほど有利
ではない)で行うのが好ましい。
【0097】
【発明の効果】上述したように、本発明によれば、物理
蒸着法による硬質材料の被覆方法において、TiN,T
iCN,ZrN,ZrCN,HfN,HfCN,TiA
lN,TiAlCN,TiZrN,TiZrCN,Ti
NbN,TiNbCN,CrNおよびCrCNの少なく
とも一つからなる硬質材料層を、基板の少なくとも一部
に形成する前に、TaおよびNbからなる十分にイオン
化した金属蒸気内におけるアーク法によるエッチング工
程中に、基板表面をTaおよび/またはNbイオンで富
化することにより、緻密な微細構造を有する被覆層を形
成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】周知のアーク放電蒸発法によって基板を被覆す
るときに、基板に入射する粒子の運動エネルギーの典型
的な分布を示す図である。
【図2】アーク放電蒸発工程およびカソードスパッタリ
ング工程を説明するための基本的な回路図である。
【図3】上記工程を行う装置の概略図である。
【図4】マグネトロンカソードの概略図である。
【図5】マルチカソードシステムの断面図である。
【図6】不均衡マグネトロンの断面図である。
【図7】層形成の例の概略図である。
【図8】図7の層形成に関連する工程段階の例の概略図
である。
【図9】好ましい層シーケンスの概略図である。
【図10】図9の層シーケンスに関連する工程段階の時
間過程またはタイムシーケンスの概略図である。
【図11】図11Aは図11BのA−A線縦断面図、図
11Bは図11AのB−B線断面図であり、図11Aお
よび図11Bは、米国特許出願07/566681号お
よび欧州特許出願90115527.5号の図1Aおよ
び図1Bに対応する。
【図12】長四角形のカソードとアノード延長片を有す
る米国特許出願07/566681号の発明の変形例を
示す図11Aと同様の縦断面図である。
【図13】図13Aおよび図13Bは、米国特許出願0
7/566681号の発明の他の実施例を示す図11A
および図11Bと同様の図である。
【図14】図14A乃至図14Cは、米国特許出願07
/566681号の発明の動作特性を示す図である。
【図15】米国特許出願07/566681号の発明の
イオン化電流および浮遊電位を示す図である。
【符号の説明】
1…真空室 2…カソード 4…基板 5…基板ホルダ 6…プラズマ保持空間 17…磁化装置 21…磁石装置

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 TiN,TiCN,ZrN,ZrCN,
    HfN,HfCN,TiAlN,TiAlCN,TiZ
    rN,TiZrCN,TiNbN,TiNbCN,Cr
    NおよびCrCNの少なくとも一つからなる硬質材料層
    を、基板の少なくとも一部に形成する前に、Taおよび
    Nbからなる十分にイオン化した金属蒸気内におけるア
    ーク法によるエッチング工程中に、基板表面をTaおよ
    び/またはNbイオンで富化することを特徴とする、物
    理蒸着法による硬質材料の被覆方法。
  2. 【請求項2】 前記エッチング工程が、欧州特許出願9
    0909697.6号またはその対応米国特許出願07
    /654626号にしたがって行われることを特徴とす
    る請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 Taおよび/またはNb原子による前処
    理の後、基板をTaおよび/またはNbで被覆すること
    を特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記Taおよび/またはNbの被覆層
    が、略0.05μm乃至2μmの層厚を有することを特
    徴とする請求項3に記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記Taおよび/またはNbによる前記
    基板の被覆が、欧州特許出願90909697.6号ま
    たはその対応米国特許出願07/654626号に記載
    されたアーク法にしたがって行われることを特徴とする
    請求項3に記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記Taおよび/またはNbによる前記
    基板の被覆が、欧州特許91196331号またはその
    対応米国特許5160595号に記載されたアーク法に
    したがって行われることを特徴とする請求項3に記載の
    方法。
  7. 【請求項7】 前記エッチング工程によってTaおよび
    /またはNb原子による前処理をした後、スパッタリン
    グ工程にしたがって、さらにTaまたはNbで被覆する
    ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  8. 【請求項8】 前記スパッタリング工程のためにアーク
    マグネトロンカソードを使用することを特徴とする請求
    項1乃至7のいずれかに記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記アークマグネトロンカソードを前記
    エッチング工程用のカソードとしても使用することを特
    徴とする請求項8に記載の方法。
  10. 【請求項10】 前記エッチング工程を行う間に、前記
    基板または前記基板の一部に、−1000V乃至−14
    00Vの負のバイアスを印加することを特徴とする請求
    項1乃至9のいずれかに記載の方法。
  11. 【請求項11】 前記基板または前記基板の一部をTa
    および/またはNbで被覆する工程中に、略−25V乃
    至−150Vの負の電位を適用することを特徴とする請
    求項3または7のいずれかに記載の方法。
  12. 【請求項12】 体心立方格子にTaおよび/またはN
    bの凝集層を蒸着することを特徴とする請求項3または
    7のいずれかに記載の方法。
  13. 【請求項13】 小水滴のないスパッタリング技術を使
    用して、TiN,TiCN,ZrN,ZrCN,Hf
    N,HfCN,TiZrN,TiZrCN,TiNb
    N,TiNbCN,CrNおよびCrCNの少なくとも
    一つにより、前記基板または前記基板の一部をさらに被
    覆することを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに
    記載の方法。
  14. 【請求項14】 不均衡マグネトロンを使用して、さら
    に被覆を行うことを特徴とする請求項13に記載の方
    法。
  15. 【請求項15】 マルチカソードシステムにおいてさら
    に被覆を行い、基板表面をTaおよび/またはNbイオ
    ンで富ませ、Taおよび/またはNbからなる中間層の
    形成、およびその後の小水滴のない硬質材料層の形成
    を、欧州特許出願90115527.5号またはその対
    応米国特許出願07/566681号に記載された単一
    の減圧工程および単一の減圧装置により行うことを特徴
    とする請求項1乃至14のいずれかに記載の方法。
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