JPH0693084A - 溶液型ポリサルファイド変性エポキシ樹脂、及びそれを用いた炭素繊維プリプレグ用エポキシ樹脂組成物 - Google Patents

溶液型ポリサルファイド変性エポキシ樹脂、及びそれを用いた炭素繊維プリプレグ用エポキシ樹脂組成物

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JPH0693084A
JPH0693084A JP26823592A JP26823592A JPH0693084A JP H0693084 A JPH0693084 A JP H0693084A JP 26823592 A JP26823592 A JP 26823592A JP 26823592 A JP26823592 A JP 26823592A JP H0693084 A JPH0693084 A JP H0693084A
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JP
Japan
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epoxy resin
polysulfide
modified epoxy
carbon fiber
weight
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Application number
JP26823592A
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English (en)
Inventor
Hiroyoshi Kuramoto
博義 蔵本
Katsuhiko Katsuhata
勝彦 勝畑
Kazunori Matsumoto
和則 松本
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Toray Thiokol Co Ltd
Original Assignee
Toray Thiokol Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 可撓性に富み、強靭で耐アルカリ性に良好で
あるとともに、炭素繊維に対して良好な接着性を示し、
また、コンクリートへの付着力の強い炭素繊維プリプレ
グ用エポキシ樹脂組成物を提供する。 【構成】 (イ)一般式 【化1】 (ただし、R1 及びR3 はビスフェノール骨格を含む有
機基であり、R2 は硫黄原子を有する有機基である。)
で示されるポリサルファイド変性エポキシ樹脂を有機溶
媒に溶解してなる溶液型ポリサルファイド変性エポキシ
樹脂と、(ロ)ジシアンジアミドと、(ハ)イミダゾール類
とを含有する炭素繊維プリプレグ用エポキシ樹脂組成物
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は溶液型ポリサルファイド
変性エポキシ樹脂、及びそれを用いた炭素繊維プリプレ
グ用エポキシ樹脂組成物に関し、特に、可撓性に富み、
強靭で耐アルカリ性に良好であるとともに、炭素繊維に
対して良好な接着性を示し、また、コンクリートへの付
着力の強い炭素繊維プリプレグ用エポキシ樹脂組成物に
関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】近年、
いわゆるウォーターフロント開発の進展により各種のプ
ロジェクトが進行し、埠頭の開発、国際会議場、マリー
ナ等の整備、シーバース、海上橋の建設、海上空港の開
発、海岸部の道路橋の建設等が盛んに行われている。海
水中やスプラッシュゾーン、あるいは海岸部における建
造物では、塩害による鉄筋の腐食が起き、コンクリート
が大きく劣化することがある。また、このような臨海地
における建造物に限らず、一般の鉄筋コンクリート構造
物においても劣化の問題がある。
【0003】塩害等による鉄筋の腐食を防止するため
に、これまでさまざまな対策が実施されている。その一
つに、炭素繊維やアラミド繊維などの繊維系新素材をコ
ンクリートの補強材として使用する方法がある(たとえ
ば日本経済新聞社刊「1990年ユーザー・メーカー交流フ
ォーラム資料」103 ページ、特開平1-125405号等) 。
【0004】炭素繊維やアラミド繊維などの繊維系新素
材は鋼材より大きな強度を有し、軽量で錆びず、また非
磁性でもある。このような特性を有する繊維系新素材
は、すでに塩害の激しい一部の地域の道路橋などにコン
クリートの補強材として利用されつつある。
【0005】炭素繊維、アラミド繊維等を補強材として
用いる場合、エポキシ樹脂をマトリックス樹脂として使
用することが多い。というのは、エポキシ樹脂は、他の
樹脂に比して炭素繊維やアラミド繊維などとの接着性に
良好で、また機械的性質、耐薬品性も比較的良好である
からである。
【0006】このようなエポキシ樹脂を用いる技術の一
例として、たとえば、特開平1-192946号には、炭素繊維
やアラミド繊維などを束状とし、未硬化のエポキシ樹脂
に含浸させこれを硬化させる方法が開示されている。
【0007】炭素繊維やアラミド繊維などの繊維系新素
材を用いた複合材の場合、繊維とマトリックス樹脂との
接着性が良好であることは不可欠である。上述の通り、
(従来の)エポキシ樹脂は炭素繊維やアラミド繊維など
との接着性に良好ではあるが、それは他の樹脂との比較
において多少優れていると言える程度のものであり、そ
の接着性はまだ十分とはいいがたい。
【0008】また、炭素繊維含有の樹脂複合材をコンク
リートの補強材として使用する場合、炭素繊維プリプレ
グとコンクリートとの付着力が大きいことも不可欠な条
件である。たとえば、炭素繊維プリプレグを鉄筋の代替
として使用する場合、炭素繊維プリプレグに未硬化のフ
レッシュなコンクリートを打ち継ぎ、コンクリートを硬
化させる必要がある。しかし、従来のエポキシ樹脂を炭
素繊維プリプレグに使用した場合は、未硬化のフレッシ
ュなコンクリートが硬化してできたコンクリートと、炭
素繊維プリプレグとの接着性が不十分であった。すなわ
ち、炭素繊維プリプレグに接触するようにフレッシュな
コンクリートを打った(流した)場合に、硬化したコン
クリートと炭素繊維プリプレグとの接着性が不十分であ
った。なお、従来のエポキシ樹脂は、硬化直後で水分が
比較的多く含まれるコンクリートに対しては殆ど接着性
を示さない欠点がある。
【0009】以上から、炭素繊維の高強度、耐腐食性の
性能を十分に生かすことができ、コンクリートとの付着
力が大きく、コンクリートの補強材として使用可能な炭
素繊維プリプレグ用エポキシ樹脂組成物の開発が望まれ
ていた。
【0010】さらに、上述したような建造材の分野のみ
ならず、他の分野、たとえばスキーシューズ、スキー
板、釣り竿、ゴルフクラブ、テニスラケットなどのスポ
ーツ用品等にも炭素繊維を有する複合材が用いられてい
る。この場合にも、柔軟性の高い炭素繊維プリプレグ用
エポキシ樹脂組成物が求められている。
【0011】従って、本発明の目的は、可撓性に富み、
強靭で耐アルカリ性に良好であるとともに、炭素繊維及
びコンクリートに対して良好な接着性を有する炭素繊維
プリプレグ用エポキシ樹脂組成物、及びそれに用いるこ
とができる溶液型変性エポキシ樹脂を提供することであ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的に鑑み、炭素繊
維プリプレグ用エポキシ樹脂組成物について鋭意検討を
重ねた結果、本発明者らは、ポリサルファイド変性エポ
キシ樹脂は、硬化直後のコンクリートへの付着力が大き
いことを見いだした。また、このポリサルファイド変性
エポキシ樹脂を有機溶媒に溶解してなる溶液型ポリサル
ファイド変性エポキシ樹脂は作業性、含浸性に優れ、ま
た、これと、ジシアンジアミドと、イミダゾール類とを
混合してなるエポキシ樹脂組成物は、可撓性に富み、強
靭で耐アルカリ性に良好で、しかも炭素繊維やコンクリ
ートに対して大きな接着強度を有することを発見し、本
発明に想到した。
【0013】すなわち、本発明の溶液型ポリサルファイ
ド変性エポキシ樹脂は、(a) 一般式
【化2】 (ただし、R1 及びR3 はビスフェノール骨格を含む有
機基であり、R2 は硫黄原子を有する有機基である。)
で示されるポリサルファイド変性エポキシ樹脂と、(b)
有機溶媒とを含有することを特徴とする。
【0014】また本発明の炭素繊維プリプレグ用エポキ
シ樹脂組成物は、(c) 一般式
【化3】 (ただし、R1 及びR3 はビスフェノール骨格を含む有
機基であり、R2 は硫黄原子を有する有機基である。)
で示されるポリサルファイド変性エポキシ樹脂を有機溶
媒に溶解してなる溶液型ポリサルファイド変性エポキシ
樹脂と、(d) ジシアンジアミドと、(e) イミダゾール類
とを含有することを特徴とする。
【0015】本発明を以下詳細に説明する。(1) 溶液型ポリサルファイド変性エポキシ樹脂 本発明の溶液型ポリサルファイド変性エポキシ樹脂は、
(a) ポリサルファイド変性エポキシ樹脂を(b) 有機溶媒
に溶解したものである。 (a) ポリサルファイド変性エポキシ樹脂 本発明で用いるポリサルファイド変性エポキシ樹脂は、
下記一般式(1) により表される。
【化4】
【0016】上記一般式(1) 中のR1 及びR3 はビスフ
ェノール骨格を含む有機基である。上記ビスフェノール
骨格を含む有機基R1 、R3 としては、例えばビスフェ
ノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキ
シ樹脂、ハロゲン化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、
ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ハロゲン化ビスフェ
ノールF型エポキシ樹脂などと同等の分子構造を有する
もの、またはこれらと類似の分子構造を含むものを挙げ
ることができる。
【0017】また、上記一般式(1) 中のR2 は下記一般
式(2) により示されるポリサルファイド骨格である。
【化5】
【0018】ここで、上記一般式(2) 中のポリサルファ
イド骨格R4 としては、−CH2 −Sm −、−CH2
2 −Sm −、−CH2 CH2 CH2 −Sm −、−CH
2 OCH2 −Sm −、−CH2 CH(OH)CH2 −S
m −、−CH2 CH2 OCH2 OCH2 CH2 −Sm
等が挙げられるが、特に、下記一般式(3) により示され
るものが好ましい。
【化6】
【0019】上記一般式(3) において、Sの平均含有量
mの範囲は1〜3であるのが好ましく、より好ましくは
1.5 〜2.5 である。
【0020】さらにポリサルファイド骨格の平均含有量
nの範囲は1〜50であるのが好ましく、より好ましくは
2〜30である。ポリサルファイド骨格の平均含有量nが
1〜50の範囲内にあると使用上適性な粘度となり、作業
性が良好となる。なお、nが50を超えると粘度が高く
なり、作業が困難となる。
【0021】このようなポリサルファイド変性エポキシ
樹脂は、たとえば、ビスフェノール型エポキシ樹脂と、
ポリサルファイド骨格を有する化合物とを、三級アミン
類やアルカリなどの触媒の存在下、又は無触媒で、反応
させて製造することができる。
【0022】原料となるポリサルファイド骨格を有する
化合物の分子量を適切に選択することにより、ポリサル
ファイド変性エポキシ樹脂中のポリサルファイド骨格の
含有量をコントロールすることができる。また、ビスフ
ェノール型エポキシ樹脂の分子量を調節することによっ
ても、ポリサルファイド骨格の含有量をコントロールす
ることができる。さらに、ポリサルファイド骨格を有す
る化合物とビスフェノール型エポキシ樹脂の反応比(反
応させる両成分の量比)を調節することによってもポリ
サルファイド骨格の含有量をコントロールすることがで
きる。
【0023】(b) 有機溶媒 ポリサルファイド変性エポキシ樹脂を溶解する有機溶媒
としては、ケトン系、芳香族炭化水素系、エーテル系、
エステル系、アルコール系の化合物を用いることができ
る。具体的には、ケトン系のものとして、アセトン、メ
チルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブ
チルケトン、シクロヘキサノン等が挙げられる。また、
芳香族炭化水素系のものとして、トルエン、キシレン等
が挙げられる。エーテル系のものとしては、メチルセロ
ソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、テトラ
ヒドロフラン等が挙げられる。一方、エステル系のもの
としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢
酸ブチル、酢酸ペンチル等が挙げられる。また、アルコ
ール系のものとしては、メタノール、エタノール、ブタ
ノール等が挙げられる。
【0024】溶解性、作業性、炭素繊維への含浸性等を
考慮すると、上述の化合物の中では、特に、メチルエチ
ルケトン、キシレン、メチルセロソルブ、メタノールを
用いるのが好ましい。
【0025】なお、有機溶媒は1種だけを用いても良
く、2種以上を混合して用いてもよい。
【0026】溶液型ポリサルファイド変性エポキシ樹脂
における(a) ポリサルファイド変性エポキシ樹脂と、
(b) 有機溶媒との配合量は、溶液型ポリサルファイド変
性エポキシ樹脂の用途、用いる有機溶媒の種類等によっ
て多少異なるが、一般に、(a)ポリサルファイド変性エ
ポキシ樹脂100重量部に対して、(b) 有機溶媒を30
〜300重量部とするのが好ましい。
【0027】なお、成分(a) 及び(b) の混合は、回転羽
根を有する軸式撹拌機などを用いることにより行うこと
ができる。
【0028】(2) 炭素繊維プリプレグ用エポキシ樹脂組成物 本発明の炭素繊維プリプレグ用エポキシ樹脂組成物は、
(c) 特定の分子構造を有する溶液型ポリサルファイド変
性エポキシ樹脂と、(d) ジシアンジアミドと、(e) イミ
ダゾール類とを含有する。
【0029】 (c) 溶液型ポリサルファイド変性エポキシ樹脂 溶液型ポリサルファイド変性エポキシ樹脂としては、上
述(1) の項に述べたものを用いる。
【0030】(d) ジシアンジアミド ジシアンジアミドはシアングアニジンとも呼ばれる化合
物である。これは、公知の方法、たとえばシアナミドを
重合することにより製造することができる。
【0031】(e) イミダゾール類 本発明で使用するイミダゾール類は、グリオキシザール
とアンモニアとから製造されたイミダゾール環を有する
化合物であり、たとえば、2-メチルイミダゾール、2-エ
チル-4- メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾー
ル、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダ
ゾール、1-ベンジル-2- メチルイミダゾール、1-シアノ
エチル-2- メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2- エ
チルイミダゾール、1-シアノエチル-2- ウンデシルイミ
ダゾール、1-シアノエチル-2- ウンデシルイミダゾリウ
ム・トリメート、1-シアノエチル-2- フェニルイミダゾ
リウム・トリメート、2-メチルイミダゾリウム・イソシ
アヌレート、2-フェニルイミダゾリウム・イソシアヌレ
ート、2,4-ジアミノ-6-[2-メチルイミダゾリル- (1)]-
エチル-S- トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2-エチルイミ
ダゾリル- (1) ]-エチル-S- トリアジン、2,4-ジアミノ
-6-[2-ウンデシルイミダゾリル- (1) ]-エチル-S- トリ
アジン、2-フェニル-4,5- ヒドロキシメチルイミダゾー
ル、2-フェニル-4- ヒドロキシ-5- メチルイミダゾー
ル、1-シアノエチル-2- フェニル-4,5- ジ( シアノエト
キシメチル)イミダゾール、1-ドデシル-2- メチル-3-
ベンジルイミダゾリウム・クロライド、1,3-ジベンジル
-2- メチルイミダゾリウム・クロライド等が挙げられ
る。
【0032】本発明の組成物において、ジシアンジアミ
ドの配合量は、溶液型ポリサルファイド変性エポキシ樹
脂100重量部(固形分換算値)に対して、0.1〜1
0重量部とするのが好ましい。より好ましくは0.2〜
4.0重量部とする。
【0033】また、イミダゾール類の配合量は、溶液型
ポリサルファイド変性エポキシ樹脂100重量部(固形
分換算値)に対して、0.05〜4.0重量部とするの
が好ましい。より好ましくは0.1〜1.5重量部とす
る。
【0034】本発明の炭素繊維プリプレグ溶液型エポキ
シ樹脂組成物の調製は、上記必須成分を所定の割合で計
量し、通常の撹拌機等で混合することにより行うことが
できる。
【0035】本発明の炭素繊維プリプレグ用エポキシ樹
脂組成物は、上述の通り、(c) 溶液型ポリサルファイド
変性エポキシ樹脂と、(d) ジシアンジアミドと、(e) イ
ミダゾール類とを混合することにより得られる。本発明
においては、樹脂成分として溶液型ポリサルファイド変
性エポキシ樹脂を単独で使用するのが好ましいが、必要
に応じて、溶液型ポリサルファイド変性エポキシ樹脂
に、さらに少量の溶液型ビスフェノール型エポキシ樹脂
を加えることができる。
【0036】また、上記の3成分((c) 、(d) 、(e) )
を混合した後に、必要に応じて、溶液型ポリサルファイ
ド変性エポキシ樹脂の調製に用いた有機溶剤(上述(1)
項の(b) 有機溶剤)、または、塩化メチレン、クロロホ
ルム、スチレンモノマー、ジオクチルフタレート、フェ
ニルグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリ
シジルエーテル等の有機溶剤をさらに添加することがで
きる。
【0037】本発明の炭素繊維プリプレグ用エポキシ樹
脂組成物は、好ましくはコンクリート構造物の補強用複
合樹脂として用いる。また、スポーツ用品等の炭素繊維
を有する複合材料用の樹脂としても用いることができ
る。
【0038】なお、本発明の炭素繊維プリプレグ用エポ
キシ樹脂組成物は、テープ、シート状物、マット状物、
織物、カットファイバー等種々の形態の炭素繊維と組み
合わせて、種々の形態の複合材として用いることができ
る。
【0039】さらに、本発明のエポキシ樹脂組成物は、
炭素繊維だけでなく、アラミド繊維、ボロン繊維、ガラ
ス繊維、炭化珪素繊維等と組み合わせてプリプレグとす
ることも可能である。
【0040】
【作用】上述したように、本発明の溶液型ポリサルファ
イド変性エポキシ樹脂は、(a)ポリサルファイド変性エ
ポキシ樹脂と、(b) 有機溶剤とを含有するが、(a) ポリ
サルファイド変性エポキシ樹脂は良好な耐薬品性、接着
性、及び高い水蒸気遮断性を有するので、得られた溶液
型ポリサルファイド変性エポキシ樹脂も上記の各種特性
を具備するとともに、溶液化の効果により、低粘度で作
業性に優れ、炭素繊維等の補強部材への含浸性にも優れ
る。
【0041】また、本発明による炭素繊維プリプレグ用
エポキシ樹脂組成物は、上記(a) 成分と(b) 成分とから
なる(c) 溶液型ポリサルファイド変性エポキシ樹脂と、
(d)ジシアンジアミドと、(e) イミダゾール類とを配合
しているので、可撓性に富み、強靭で耐アルカリ性に良
好で、しかも炭素繊維やコンクリートに対する接着性が
極めて良好である。
【0042】
【実施例】本発明を以下の具体的実施例によりさらに詳
細に説明する。
【0043】実施例1 溶液型ポリサルファイド変性エポキシ樹脂(1) の合成 ポリサルファイド化合物(東レチオコール(株)製、チ
オコールLP−3)50重量部と、メチルエチルケトン
に溶解したビスフェノール型のエポキシ樹脂(油化シェ
ルエポキシ(株)製、エピコート1001-B-80 )100重
量部(固形分換算)と、2,4,6-トリス(ジメチルアミノ
メチル)フェノール0.005 重量部とを70℃で混合し
た。
【0044】混合物中のメルカプタン基が完全に消失し
たことを確認した後、室温まで冷却し、溶液型ポリサル
ファイド変性エポキシ樹脂(以下これを変性エポキシ樹
脂(1) と呼ぶ)を得た。
【0045】実施例2 溶液型ポリサルファイド変性エポキシ樹脂(2) の合成 ポリサルファイド化合物(東レチオコール(株)製、チ
オコールLP−3)20重量部と、キシレンに溶解した
ビスフェノール型のエポキシ樹脂(油化シェルエポキシ
(株)製、エピコート1001-X-70 )100重量部(固形
分換算)と、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フ
ェノール0.005 重量部とを90℃で混合した。
【0046】混合物中のメルカプタン基が完全に消失し
たことを確認した後、室温まで冷却し、溶液型ポリサル
ファイド変性エポキシ樹脂(以下これを変性エポキシ樹
脂(2) と呼ぶ)を得た。
【0047】実施例3 溶液型ポリサルファイド変性エポキシ樹脂(3) の合成 ポリサルファイド化合物(東レチオコール(株)製チオ
コールLP−55)50重量部と、キシレンに溶解したビ
スフェノール型のエポキシ樹脂(油化シェルエポキシ
(株)製、エピコート1001-X-70 )100重量部(固形
分換算)と、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フ
ェノール0.005 重量部とを90℃で混合した。
【0048】混合物中のメルカプタン基が完全に消失し
たことを確認した後、室温まで冷却し、溶液型ポリサル
ファイド変性エポキシ樹脂(以下これを変性エポキシ樹
脂(3) と呼ぶ)を得た。
【0049】実施例4 変性エポキシ樹脂(1) 100重量部と、ジシアンジアミ
ド0.8重量部と、2-フェニル-4- メチル-5- ヒドロキ
シイミダゾール(2P4MHZ)0.5重量部とを混合し、こ
れに溶剤として、メチルエチルケトン36重量部、メチ
ルセロソルブ30重量部、及びメタノール30重量部を
加えて混合し、炭素繊維プリプレグ用エポキシ樹脂組成
物とした。
【0050】実施例5 変性エポキシ樹脂(1) 100重量部と、ジシアンジアミ
ド0.8重量部と、2-エチル-4- メチルシイミダゾール
(2E4MZ )0.5重量部と、メチルエチルケトン36重
量部とを混合し、これに溶剤として、メチルセロソルブ
30重量部と、メタノール30重量部とを加えて混合
し、炭素繊維プリプレグ用エポキシ樹脂組成物とした。
【0051】実施例6 変性エポキシ樹脂(2) 100重量部と、ジシアンジアミ
ド1.5重量部と、2-フェニル-4- メチル-5- ヒドロキ
シイミダゾール(2P4MHZ)1.0重量部とを混合し、こ
れに溶剤として、メチルエチルケトン20重量部と、メ
チルセロソルブ30重量部と、メタノール20重量部と
を加えて混合し、炭素繊維プリプレグ用エポキシ樹脂組
成物とした。
【0052】実施例7 変性エポキシ樹脂(3) 100重量部と、ジシアンジアミ
ド1.4重量部と、2-エチル-4- メチルシイミダゾール
(2E4MZ )0.9重量部とを混合し、これに溶剤とし
て、キシレン20重量部と、メチルセロソルブ30重量
部と、メタノール10重量部とを加えて混合し、炭素繊
維プリプレグ用エポキシ樹脂組成物とした。
【0053】比較例1 溶液型ビスフェノールエポキシ樹脂(油化シェルエポキ
シ(株)製、エピコート1001-B-80 、以下これをエポキ
シ樹脂(4) と呼ぶ)100 重量部と、ジシアンジアミド
3.3重量部と、2-フェニル-4- メチル-5- ヒドロキシ
イミダゾール(2P4MHZ)2.0重量部と、メチルエチル
ケトン23重量部と、メチルセロソルブ30重量部と、
メタノール20重量部とを混合し、炭素繊維プリプレグ
用エポキシ樹脂組成物とした。
【0054】比較例2 溶液型ビスフェノールエポキシ樹脂(油化シェルエポキ
シ(株)製、エピコート1001-X-70 、以下これをエポキ
シ樹脂(5) と呼ぶ)100 重量部と、ジシアンジアミド
3.3重量部と、2-エチル-4- メチルシイミダゾール
(2E4MZ )2.0重量部と、メチルエチルケトン23重
量部と、メチルセロソルブ30重量部と、メタノール2
0重量部とを加えて混合し、炭素繊維プリプレグ用エポ
キシ樹脂組成物とした。
【0055】炭素繊維との接着性の測定 上記各例の炭素繊維プリプレグ用エポキシ樹脂組成物の
接着性を評価するために、炭素繊維クロス(東レ(株)
製、トレカ) に各例で得たエポキシ樹脂組成物を含浸し
た。
【0056】上記含浸物を110℃で10分間加熱し、
Bステージ化(半硬化する程度まで加熱反応した後、急
冷して反応を停止した状態にすること)した。さらに、
130℃で30分間加熱し、硬化させた。
【0057】得られた硬化物を2、3度折り曲げること
により切断し、その切断面において、炭素繊維と炭素繊
維プリプレグ用エポキシ樹脂組成物との接着性を目視に
より調べた。結果を、配合物及びその割合とともに、表
1に示す。
【0058】柔軟性の測定 炭素繊維クロス(東レ(株)製、トレカ) に各エポキシ
樹脂組成物を含浸した。上記含浸物を110℃で10分
間加熱し、Bステージ化した。さらに、130℃で30
分間加熱し、硬化させた。
【0059】得られた硬化物を180°折り曲げて(板
状の硬化物を1回折り畳むように曲げて)、その湾曲部
(折り曲げ部)を観察し、硬化物の柔軟性を調べた。結
果を表1に示す。
【0060】 表1(その1)組成(重量部) 実施例4 実施例5 実施例6 エポキシ樹脂 変性エポキシ樹脂(1) (1) 100 100 − 変性エポキシ樹脂(2) (2) − − 100 変性エポキシ樹脂(3) (3) − − − エポキシ樹脂(4) (4) − − − エポキシ樹脂(5) (5) − − − ジシアンジアミド 0.8 0.8 1.5 イミダゾール類 2P4MHZ(6) 0.5 − 1.0 2E4MZ(7) − 0.5 − 溶剤 メチルエチルケトン 36 36 20 キシレン − − − メチルセロソルブ 30 30 30 メタノール 30 30 20 性能 炭素繊維との接着性 良好(8) 良好(8) 良好(8) 柔軟性 良好(9) 良好(9) 良好(9)
【0061】 表1(その2)組成(重量部) 実施例7 比較例1 比較例2 エポキシ樹脂 変性エポキシ樹脂(1) (1) − − − 変性エポキシ樹脂(2) (2) − − − 変性エポキシ樹脂(3) (3) 100 − − エポキシ樹脂(4) (4) − 100 − エポキシ樹脂(5) (5) − − 100 ジシアンジアミド 1.4 3.3 3.3 イミダゾール類 2P4MHZ(6) 0.9 2.0 − 2E4MZ(7) − − 2.0 溶剤 メチルエチルケトン − 23 23 キシレン 20 − − メチルセロソルブ 30 30 30 メタノール 10 20 20 性能 炭素繊維との接着性 良好(8) 良好(8) 良好(8) 柔軟性 良好(9) 不良(10) 不良(10)
【0062】表1注(1) :実施例1で得た溶液型ポリサ
ルファイド変性エポキシ樹脂である。 (2) :実施例2で得た溶液型ポリサルファイド変性エポ
キシ樹脂である。 (3) :実施例3で得た溶液型ポリサルファイド変性エポ
キシ樹脂である。 (4) :油化シェルエポキシ(株)製、エピコート1001-B
-80 である。 (5) :油化シェルエポキシ(株)製、エピコート1001-X
-70 である。 (6) :2-フェニル-4- メチル-5- ヒドロキシイミダゾー
ルである。 (7) :2-エチル-4- メチルシイミダゾールである。 (8) :曲げを繰り返した後の切断面においても炭素繊維
クロスと炭素繊維プリプレグ用エポキシ樹脂組成物との
間に剥離は起きなかった。 (9) :どんなにきつい曲げにも追従し、割れを生じなか
った。 (10):湾曲部から完全に2つに割れた。
【0063】表1より明らかなように、本発明の炭素繊
維プリプレグ用エポキシ樹脂組成物は、炭素繊維によく
接着する。また、柔軟性にも優れている。一方、各比較
例においては、硬化物は折り曲げにより破壊した。これ
は、比較例で用いたエポキシ樹脂が柔軟性に劣ることを
示している。
【0064】
【発明の効果】以上に詳述した通り、本発明の溶液型ポ
リサルファイド変性エポキシ樹脂は、ポリサルファイド
骨格を有するエポキシ樹脂を主成分としているため、可
撓性、耐アルカリ性、耐薬品性、耐久性、強靭性に優れ
ており、さらに、コンクリートへの付着性にも優れてい
る。
【0065】また、上述した溶液型ポリサルファイド変
性エポキシ樹脂を含有する本発明の炭素繊維プリプレグ
用エポキシ樹脂組成物は、上記した各特性を有するとと
もに、炭素繊維に対して大きな接着性を示し、柔軟性に
富む。
【0066】以上の特徴を有する本発明の炭素繊維プリ
プレグ用エポキシ樹脂組成物は、コンクリートの補強材
などの土木建築用複合材料のみならず、スポーツ用複合
材料、自動車用複合材料、船舶用複合材料、産業用複合
材料などに好適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08K 5/3445 NLB 7242−4J C08L 63/00 NKY 8830−4J // C08L 63:00

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a) 一般式 【化1】 (ただし、R1 及びR3 はビスフェノール骨格を含む有
    機基であり、R2 は硫黄原子を有する有機基である。)
    で示されるポリサルファイド変性エポキシ樹脂と、(b)
    有機溶媒とを含有することを特徴とする溶液型ポリサル
    ファイド変性エポキシ樹脂。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の溶液型ポリサルファイ
    ド変性エポキシ樹脂において、前記有機溶媒が、ケトン
    系、芳香族炭化水素系、エーテル系、エステル系、アル
    コール系の化合物のうちの少なくとも1種であることを
    特徴とする溶液型ポリサルファイド変性エポキシ樹脂。
  3. 【請求項3】 (c) 請求項1又は2に記載の溶液型ポリ
    サルファイド変性エポキシ樹脂と、(d) ジシアンジアミ
    ドと、(e) イミダゾール類とを含有することを特徴とす
    る炭素繊維プリプレグ用エポキシ樹脂組成物。
JP26823592A 1992-09-10 1992-09-10 溶液型ポリサルファイド変性エポキシ樹脂、及びそれを用いた炭素繊維プリプレグ用エポキシ樹脂組成物 Pending JPH0693084A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006525390A (ja) * 2003-05-07 2006-11-09 シオプラスト ケミカル ゲーエムベーハー アンド シーオー. ケージー ポリスルフィドとポリエポキシドとからプレポリマーを製造する方法
WO2018181849A1 (ja) * 2017-03-31 2018-10-04 新日鉄住金化学株式会社 繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物、繊維強化複合材料及び成形体

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