JPH0693049B2 - 光コネクタプラグ及びプラグ調心用治具 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は各光ファイバの光信号を接続する光コネクタに
用いられる光コネクタプラグ及びプラグ調心用治具に関
するものである。

（従来の技術） 従来、一方の光ファイバの先端に取付けられたフェルー
ルを収容する光コネクタプラグと、他の光ファイバの先
端に取付けられたフェルールを収容する光コネクタジャ
ックとをハウジングを介して接続する光コネクタが知ら
れている。

（発明が解決しようとする課題） しかしながら、この種の光コネクタ、特にシングルモー
ドファイバ用の光コネクタに関しては、フェルールや光
ファイバの寸法精度が現状技術では十分でないため、フ
ァイバの中心とフェルールの中心が一致せず偏心が生
じ、この偏心したフェルールを相互に接続するときは大
きな接続損失を生ずるという問題点を有していた。

本発明の目的は前記従来の問題点に鑑み、フェルールの
偏心方向を調整することにより光コネクタにおける接続
損失を低くし、更には、この調整作業が簡便となる光コ
ネクタプラグ及びプラグ調心用治具を提供することにあ
る。

（課題を解決するための手段） 本発明は前記目的を達成するため、光ファイバの先端に
取り付けられたフェルールを収容し、該フェルールの回
転を規制する係止手段を有する筒状のプラグ先端側部材
と、先端側が該プラグ先端側部材に収容自在で該フェル
ールをばね手段を介して前記プラグ先端側部材内に押圧
保持する筒状のプラグ後端側部材とを備え、該プラグ先
端側部材及び該プラグ後端側部材を光コネクタハウジン
グを介して光コネクタジャックに接続する光コネクタプ
ラグにおいて、前記プラグ先端側部材及び前記プラグ後
端側部材の一方には周方向に少なくとも３個の連結突起
を同一円周上で等間隔に設けるとともに、他方には該各
連結突起を前後方向に導き、更に周方向に導いて前記各
部材を連結するよう形成した複数の連結溝を設け、前記
プラグ後端側部材には前記各連結突起のいずれか１個の
連結突起と同軸線上に位置し、前記光コネクタハウジン
グの案内溝に案内される案内突起を設けたことを特徴と
する。

また、前記に記載のプラグ先端側部材及びプラグ後端側
部材を挿入穴を介して着脱自在に挿入するプラグ側治具
と、光コネクタジャックを着脱自在に挿入するととも
に、該プラグ先端側部材のフェルールと該光コネクタジ
ャックのフェルールとを接続するジャック側治具とから
なり、前記プラグ側治具の前記挿入穴の周縁は前記いず
れかの部材の各連結溝と等しく配列するとともに、該各
部材の挿入方向に前記プラグ後端側部材の案内突起を案
内する挿入溝を複数設けたことを特徴とする。

（作用） 本発明に係る光コネクタプラグによれば、光ファイバの
先端に取付けられたフェルールはプラグ先端側部材の係
止手段により回転が規制され、更にプラグ後端側部材は
ばね手段を介してフェルールをプラグ先端側部材に押圧
保持する。このとき、各部材にはその一方に設けられた
少なくとも３個の連結突起と、該各連結突起を前後方向
に導き更に周方向に導く複数の連結溝とを設けているか
ら、各部材の連結において３種類の連結態様を選択する
ことができる。従って、プラグ後端側部材に設けた案内
突起を光コネクタハウジングの案内溝に挿入し光コネク
タジャックと接続するときにも少なくとも３種類の接続
態様があり、プラグ先端側部材が収容するフェルールと
光コネクタジャックが収容するフェルールとの偏心方向
を一致させるための調整が可能となる。

また、本発明に係るプラグ調心治具によれば、フェルー
ルの偏心調整を行なうときは、まず、案内突起を各挿入
溝に挿入するとともに、各部材をプラグ側治具に挿入
し、ジャック側治具に挿入された光コネクタジャックと
の間の接続損失を測定する。これにより、接続損失の最
も低い接続状態を予め認識することができ、調心作業が
簡便となる。

（実施例） 第１図は光部品を搭載した印刷配線板をダイレクトにバ
ックワイヤリングボードに接続するプラグイン光コネク
タに適用される光コネクタプラグを示すものである。即
ち、１は筒状に形成された光コネクタプラグで、プラグ
先端側部材11と、プラグ先端側部材11に連結するプラグ
後端側部材12とから構成されている。

プラグ先端側部材11内には中心軸上に光ファイバ13の先
端を固着したフェルール14が収容されている。プラグ先
端側部材11の後端側には周方向に等間隔（120°の間
隔）で、３個の連結溝111が設けられ、各連結溝111はプ
ラグ先端側部材11の後端から軸方向に沿って延び、更に
周方向に沿って略Ｌ字状に貫通してなり、各連結溝111
の終端は半円状に形成されている。また、該各連結溝11
1の近傍には第４図（ｂ）に示すように，，とい
う番号が反時計回りに順次付されている。また、プラグ
先端側部材11の先端寄りにはフェルール14の前方への移
動を規制する環状の段部112を設け、該段部112の一部に
はフェルール14のつば部141の切り欠き溝142に係止する
係止突起113をそれぞれ対向（180°の間隔）して２個設
け、フェルール14の回転を規制している。

プラグ後端側部材12はその先端側をプラグ先端側部材11
の内側に挿入してなり、その先端とフェルール14のつば
部141との間にはコイルばね15を介装し、フエルール14
のつば部141を段部112に押圧し、プラグ先端側部材11内
に固定している。また、プラグ後端側部材12の先端側に
はプラグ先端側部材11の各連結溝111に対向して設けら
れた円柱状の連結突起121を有し、各連結溝111に係止し
ている。プラグ後端側部材12の長手方向略中央には軸方
向にスリット161を有するスナップアウトリング16を摺
動自在に設けるとともに、該スリット161を貫通した案
内突起122を各連結突起121のいずれか一つと同軸線上に
立設している。案内突起122は各部材11,12が挿入される
外部ハウジング２の案内溝21に挿入され、光コネクタプ
ラグ１の回転を防止している。外部ハウジング２の略中
央の内側にはスナップリング22が介在されており、この
スナップリング22はプラグ先端側部材11の後端に係止
し、該プラグ先端側部材11の抜け防止を行なっている。

第２図は本実施例に係る光コネクタジャックを示すもの
である。この光コネクタジャック３は既に周知のもので
あり、外部ハウジング４内に収容され、前述の光コネク
タプラグ１と同様に光コネクタジャックエレメントであ
る、ジャック先端側部材31、ジャック先端側部材31に連
結するジャック後端側部材32、ジャック先端側部材31内
に収容され光ファイバ33の先端に固着したフェルール3
4、フェルール34をジャック先端側部材31内に押圧保持
するコイルばね35を有している。また、フェルール34に
は光コネクタプラグ１との接続時にプラグ先端側部材11
を案内する整列スリーブ36及びジャック先端側部材31の
先端側には光コネクタジャック３を外部ハウジング４内
に固定する固定バネ37を設けている。また、光コネクタ
プラグ１と同様にジャック先端側部材31にはＬ字状の連
結溝311が、ジャック後端側部材32には該円柱状の連結
突起321がそれぞれ形成され、各部材31,32を連結してい
る。更にジャック先端側部材31の後端側には案内突起31
2を、外部ハウジング４にはこの案内突起312を軸方向に
案内し光コネクタジャック３の回転を規制する案内溝41
が形成されている。

本実施例に係る光コネクタプラグ１を組立てるときはフ
ェルール14をプラグ先端側部材11内に挿入し、フェルー
ル14の切り欠き溝142に係止突起113を係止する。これに
よりフェルール14は回転が規制された状態でプラグ先端
側部材11内に収容される。次いで、プラグ後端側部材12
の各連結突起121を各連結溝111に沿って挿入回転し、プ
ラグ後端側部材12をプラグ先端側部材11にバイヨネット
締結する。これによりプラグ後端側部材12はコイルばね
15の弾発力に抗して挿入され、このコイルばね15により
フェルール14のつば部141が段部112に押圧保持され、光
コネクタプラグ１の組立てが完了する。

また、この組立てられた光コネクタプラグ１を光コネク
タジャック３に接続するときは光コネクタプラグ１の案
内突起122を外部ハウジング２の案内溝21に通して各部
材11,12を外部ハウジング２内に挿入する。他方、光コ
ネクタジャック３も外部ハウジング４内に予め挿入して
おき、光コネクタプラグ１のプラグ先端側部材11の先端
をジャック先端側部材31の先端に挿入し、各フェルール
14,34を突き合せ接続する。

このように、各連結溝111と各連結突起121との組合せを
３種類選択することができ、フェルール14,24相互の偏
心方向を一致させるための調整が可能となる。

この実施例による光コネクタプラグは次に示す特徴点も
もっている。

第１点として、各連結溝111、各連結突起121、案内突起
122といった光コネクタプラグ１自体の構造によって、
フェルール14,34の偏心方向調整ができ、調整用に特別
な部品がいらないから、部品点数の削減ができ、光コネ
クタの量産性を高めることができる。

第２点として、プラグ先端側部材11、プラグ後端側部材
12等のように光コネクタプラグ１の構成エレメントが、
特別な精度・形状を必要としないので、プラスチック成
形で製造でき、従って部品の製造を容易化し、光コネク
タの経済化が図れる。

第３点として、プラグ先端側部材11の係止突起113に対
してフェルール14の位置を180°変えることにより、３
組の連結溝111と連結突起121との組合せで都合６通り、
即ち60°毎の偏心方向の調整が可能となり、従ってより
正確な偏心方向の調整ができ、光コネクタの接続損失を
低減できる。

なお、連結溝111および連結突起121を３組以上設ければ
さらに偏心方向調整角度を細かくできる。また、プラグ
先端側部材11に連結突起121があり、プラグ後端側部材1
2に連結溝111があっても良い。さらに光コネクタジャッ
ク３側に光コネクタプラグ１と同様な構造を採用しても
偏心方向調整が可能であることはいうまでもない。

第３図は本発明に係るプラグ調心用治具への光コネクタ
プラグ及び光コネクタジャックの取付け状態を示すもの
で、プラグ調心用治具５はプラグ側治具51とジャック側
治具52とから構成される。

プラグ側治具51は横方向に貫通するプラグ挿入穴511を
設けるとともに、そのプラグ挿入穴511の一部にはプラ
グ先端側部材11の抜け防止を行なうスナップリング512
を介装している。また、プラグ挿入穴511の挿入端側の
周縁には光コネクタプラグ１の案内突起122が挿入され
る挿入溝513が設けられている。この挿入溝513は第４図
（ａ）に示すように周方向に等間隔（120°の間隔）で
３個設けられ、その近傍には，，という番号が第
４図（ｂ）に示す連結溝121とは逆の時計回りに順次付
されている。また、番の挿入溝513は外部ハウジング
２の案内溝21と対応する位置に形成されている。プラグ
側治具51の先端側にはその周縁にフランジ514を設けて
いる。

ジャック側治具52はプラグ挿入穴511と対向するジャッ
ク挿入穴521を設け、該ジャック挿入穴521の挿入端の周
縁には光コネクタジャック３の案内突起312が挿入され
る挿入溝522を形成し、光コネクタジャック３の回転を
規制している。また、ジャック側治具52の先端側の周縁
にはフランジ523を形成し、プラグ側治具51のフランジ5
14とボルト53、ナット54により締結されている。ジャッ
ク側治具51の先端側中央には光コネクタジャック３の固
定ばね37が係止する段部524を形成し、光コネクタジャ
ック３の抜けが防止されている。

本実施例に係るプラグ調心用治具を用いて偏心調整を行
なうときは、まず、各治具51,52を予めボルト53、ナッ
ト54により連結しておき、また光コネクタプラグ１の案
内突起122が番の連結溝111の軸線上にくるように各部
材11,12を連結しておく。次に、光コネクタジャック３
をジャック挿入穴521及び案内溝521を介してジャック側
治具52内に収容する。しかる後、案内突起122を番の
挿入溝513に対向させて、光コネクタプラグ１をプラグ
挿入穴511に挿入し、光コネクタジャック３に接続する
（このとき、番の挿入溝513と番の連結溝111が同軸
線上に位置する）。そして、この接続状態における各フ
ェルール14,34の接続損失を測定する。このような接続
及び測定作業を案内突起122を番の挿入溝513に挿入し
て測定し（このとき、番の挿入溝513と番の連結溝1
11が相互に同軸線上に位置する）、更に、案内突起122
を番の挿入溝513に挿入して測定する（このとき番
の挿入溝513と番の連結溝111が同軸線上に位置す
る）。

このような測定が終了したときはスナップアウトリング
16により、スナップリング512の係止状態を解除し、光
コネクタプラグ１をプラグ側治具51から抜き出し、更に
フェルール14がプラグ先端側部材11から外れないように
して、光コネクタプラグ１の各部材11,12を分離する。
そして、前述した測定作業において最も接続損失の低い
ときの挿入溝513の番号〜と同じ番号の連結溝111に
対して案内突起122が同軸線上となるように、再度各部
材11,12を連結する。このように、各部材11,12を連結し
た光コネクタプラグ１を再度プラグ側治具51に挿入する
ときは案内突起122を挿入溝513の番に挿入したときに
良好な接続状態となる。ここで、外部ハウジング２の案
内溝21が挿入溝513の番に対応しているから、この光
コネクタプラグ１を外部ハウジング２に挿入し光コネク
タジャック３に連結するときも接続が良好となる。

以上のように本実施例に係るプラグ調心用治具５を用い
れば、調心作業時に光コネクタプラグ１の各部材11,12
の分離作業は多くても１回で済み、調心作業が簡便とな
る。

従って光コネクタプラグ１及びプラグ調心用治具５を用
いて低損失かつ性能のばらつきが少ない光コネクタを量
産することが可能になる。

なお、光コネクタプラグ１の連結溝111と連結突起121が
３組以上の場合には、その組数と同じ数の挿入溝513を
設けたプラグ側治具51を用いれば良い。また、プラグ先
端側部材11の係止突起113に対してフェルール14の位置
を180°変えて前記の調心作用を行えばより正確な偏心
方向の調整ができることはいうまでもない。

また、光コネクタジャック３の連結溝311及び連結突起3
21を、光コネクタプラグ１の連結溝111と連結突起121と
同様な構造を採用し、かつジャック側治具52の挿入溝52
2をプラグ側治具51の挿入溝513と同様に形成するとき
は、光コネクタジャック３においても偏心調整作業が可
能であることはいうまでもない。このとき、プラグ側治
具51のプラグ挿入穴511の先端に円筒状突出部515を設
け、この円筒状突出部515の外周部に固定ばね37を押下
げるためのロック解除リング516を装着し、かつこのロ
ック解除リング516が円筒状突出部515をガイドとして摺
動するような機構にすれば、プラグ側治具51に光コネク
タプラグ１を装着したままで、かつプラグ側治具51とジ
ャック側治具52を分離することなく、光コネクタジャッ
ク３の取り外しが可能になり、光コネクタジャック３の
偏心調整作業をより簡便にすることができる。

（発明の効果） 以上説明したように、本発明に係る光コネクタプラグに
よれば、低損失コネクタを実現する上で必要なフェルー
ルの偏心方向調整が、プラグの構成エレメントのみでで
きるし、また、この偏心方向調整されたフェルールの姿
勢を維持しつつ光コネクタプラグに取り付けることがで
きるという利点を有する。

また、本発明に係るプラグ調心用治具によれば、前記光
コネクタプラグを何度も分解すること無しに調心作業を
行なうことができ、これにより、低接続損失の光コネク
タの製造を容易化し、量産性・経済性を高めることがで
きるという利点を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る光コネクタプラグを示す一部切り
欠き正面図、第２図は光コネクタジャックを示す一部切
り欠き正面図、第３図はプラグ調心用治具への光コネク
タプラグ及び光コネクタジャックの取付状態を示す一部
断面正面図、第４図（ａ）はプラグ側治具の挿入溝を示
す図、第４図（ｂ）はプラグ先端側部材の連結溝を示す
図である。 図中、１……光コネクタプラグ、2,4……外部ハウジン
グ、３……光コネクタジャック、５……プラグ調心用治
具、11……プラグ先端側部材、12……プラグ後端側部
材、13,33……光ファイバ、14,34……フェルール、15…
…コイルばね、51……プラグ側治具、52……ジャック側
治具、111……連結溝、121……連結突起、122……案内
突起、511……プラグ挿入穴、513……挿入溝。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−174809（ＪＰ，Ａ) 特開 昭61−28909（ＪＰ，Ａ) 特開 昭62−7009（ＪＰ，Ａ) 特開 昭57−6818（ＪＰ，Ａ) 実開 昭62−6706（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭56−16108（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭57−74408（ＪＰ，Ｕ)

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】光ファイバの先端に取り付けられたフェル
   ールを収容し、該フェルールの回転を規制する係止手段
   を有する筒状のプラグ先端側部材と、先端側が該プラグ
   先端側部材に収容自在で該フェルールをばね手段を介し
   て前記プラグ先端側部材内に押圧保持する筒状のプラグ
   後端側部材とを備え、該プラグ先端側部材及び該プラグ
   後端側部材を光コネクタハウジングを介して光コネクタ
   ジャックに接続する光コネクタプラグにおいて、 前記プラグ先端側部材及び前記プラグ後端側部材の一方
   には周方向に少なくとも３個の連結突起を同一円周上で
   等間隔に設けるとともに、他方には該各連結突起を前後
   方向に導き、更に周方向に導いて前記各部材を連結する
   よう形成した複数の連結溝を設け、 前記プラグ後端側部材には前記各連結突起のいずれか１
   個の連結突起と同軸線上に位置し、前記光コネクタハウ
   ジングの案内溝に案内される案内突起を設けた ことを特徴とする光コネクタプラグ。
2. 【請求項２】請求項１に記載のプラグ先端側部材及びプ
   ラグ後端側部材を挿入穴を介して着脱自在に挿入するプ
   ラグ側治具と、光コネクタジャックを着脱自在に挿入す
   るとともに、該プラグ先端側部材のフェルールと該光コ
   ネクタジャックのフェルールとを接続するジャック側治
   具とからなり、 前記プラグ側治具の前記挿入穴の周縁には前記いずれか
   の部材の各連結溝と等しく配列するとともに、該各部材
   の挿入方向に前記プラグ後端側部材の案内突起を案内す
   る挿入溝を複数設けた ことを特徴とするプラグ調心用治具。