JPH069274A - β型窒化ケイ素粉末およびβ型窒化ケイ素粉末,β型窒化ケイ素質焼結体の製造方法。 - Google Patents

β型窒化ケイ素粉末およびβ型窒化ケイ素粉末,β型窒化ケイ素質焼結体の製造方法。

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JPH069274A
JPH069274A JP3338833A JP33883391A JPH069274A JP H069274 A JPH069274 A JP H069274A JP 3338833 A JP3338833 A JP 3338833A JP 33883391 A JP33883391 A JP 33883391A JP H069274 A JPH069274 A JP H069274A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 β型の窒化ケイ素粉末を出発原料として高強
度高靭性のβ型窒化ケイ素質焼結体を提供する。 【構成】 β型窒化ケイ素を95重量%以上含み、粒径
0.7μm以下の粒子が全粒子中の90重量%以上を占
め、平均粒径が0.5μm以下であるβ型窒化ケイ素粉
末80重量%以上98重量%以下と、β型窒化ケイ素を
95重量%以上含み、長軸と短軸の比が2以上10以下
で、短軸の径が0.5μm以上5μm以下の粒子を全体
の70重量%以上含むβ型窒化ケイ素粉末2重量%以上
20重量%以下よりなるβ型窒化ケイ素粉末に、Ca
O,MgO,Al,周期律表IIIa族元素の酸
化物のうちから選ばれる1種または2種以上の酸化物を
0.2重量%以上15重量%以下添加して1600℃以
上2100℃以下の温度で焼成することにより、焼結体
中に短軸の径3μm以上の柱状粒子を5体積%以上含む
β型窒化ケイ素質焼結体を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車,機械装置,化
学装置,宇宙航空機器などの広い分野において使用され
る各種機械構造用部品の素材として利用でき、安価なβ
型窒化ケイ素粉末を原料として用い、特に高い破壊靭性
値と優れた強度を有するファインセラミックス材料であ
るβ型窒化ケイ素質焼結体を得るのに好適なβ型窒化ケ
イ素粉末および前記β型窒化ケイ素粉末、β型窒化ケイ
素質焼結体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】窒化ケイ素を主成分とする焼結体は、常
温および高温で化学的に安定であり、高い機械的強度を
有するため、軸受などの摺動部材、ターボチャージャロ
ータなどのエンジン部材として好適な材料である。
【0003】従来より、高強度の窒化ケイ素質焼結体を
得るには、α型の窒化ケイ素を主成分とする原料粉末が
必要と言われており、一般に、α型窒化ケイ素の含有率
が90重量%以上の市販粉末が使用されている。
【0004】従来、β型の窒化ケイ素質焼結体を製造す
るに際してα型の窒化ケイ素を主成分とする原料粉末を
用いるのは、 1.α型の窒化ケイ素は微粉末であり、焼結性が高いこ
と、 2.α型の窒化ケイ素は焼結中にα型からβ型への相転
移が起こり、柱状結晶が発達した組織となることにより
強度靭性が向上すること、 等の理由からであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たα型を出発原料とする窒化ケイ素粉末は、α型の含有
量を制御する必要があるため、原料粉末の合成過程が複
雑になり、原料が高価なものになるという問題点があっ
た。
【0006】一方、β型を主成分とする窒化ケイ素粉末
としては、耐火物の原料として使用する粉末が知られて
いる。また、β型を主成分とする窒化ケイ素粉末を原料
とする焼結体としては、J.Am.Ceram.So
c.57巻25ページ(1974年)や、特開昭58−
151371号公報等が知られている。
【0007】しかしながら、β型を主成分とする窒化ケ
イ素粉末は粒子が粗く、α相の含有率が低いため、柱状
組織が得られず、高強度の焼結体は得られないことか
ら、高強度のβ型窒化ケイ素質焼結体を製造するための
原料粉末としては使用されていなかった。
【0008】本発明者の一人は、先に、高窒素分圧下で
高温での焼結が可能となるガス圧焼結法を開発しこれを
提案した(特許第1,247,183号)。また、ガス
圧焼結法によると、従来は焼結性が低いと考えられてい
たβ型窒化ケイ素粉末を用いても、高密度まで焼結でき
ることを示した(J.Materials Scien
ce 11巻 1103〜1107ページ(1976
年),特公昭58−151371号公報)。
【0009】さらに、別の特許出願(平成元年3月29
日付三友出願)で、高純度のβ型窒化ケイ素粉末の粒度
分布を調整することにより、高強度のβ型窒化ケイ素質
焼結体が得られることを示した。
【0010】しかしながら、先に開発された技術では、
柱状組織が発達しないため強度が十分でなかったり
(J.Materials Science 11巻
1103〜1107ページ( 976年)、出発原料と
して高純度のβ型窒化ケイ素粉末を用いることが必要で
ある(平成元年3月29日付三友出願)という問題点が
あり、これらの問題点を解決することが課題として存在
していた。
【0011】
【発明の目的】本発明は、上記した従来の課題にかんが
みてなされたもので、高強度高靭性のβ型窒化ケイ素質
焼結体を製造するのに適するβ型窒化ケイ素粉末および
前記β型窒化ケイ素粉末,β型窒化ケイ素質焼結体の製
造方法を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明に係わるβ型窒化
ケイ素粉末は、 ・焼結性向上のための微粉末 ・組織制御の核となる粒度,粒子形状,粒度分布を制御
した粗粉末 ・上記微粉末と粗粉末との混合粉末 から構成され、この混合粉末を焼成することにより、高
純度原料を出発原料とした焼結体に劣らない高強度およ
び高靭性を備えたβ型窒化ケイ素質焼結体が得られるこ
とを新規に発明した。
【0013】すなわち、本発明に係わるβ型窒化ケイ素
粉末は、 ・微粉末:α型とβ型とから構成される窒化ケイ素原料
粉末においてβ型窒化ケイ素を95重量%以上含み、粒
径0.7μm以下の粒子が全粒子中の90重量%以上を
占め、平均粒径が0.5μm以下であることを特徴とす
るβ型窒化ケイ素粉末。
【0014】・粗粉末:α型とβ型とから構成される窒
化ケイ素原料粉末においてβ型窒化ケイ素を95重量%
以上含み、長軸と短軸の比が2以上10以下で、短軸の
径が0.5μm以上5μm以下の粒子を全体の70重量
%以上含むことを特徴とするβ型窒化ケイ素粉末。
【0015】・混合粉末:上記微粉末80重量%以上9
8重量%以下と、上記粗粉末2重量%以上20重量%以
下よりなることを特徴とするβ型窒化ケイ素粉末。
【0016】であることを特徴とするβ型窒化ケイ素粉
末である。
【0017】また、本発明に係わるβ型窒化ケイ素粉末
の製造方法は、 ・微粉末の製造方法:α型とβ型とから構成される窒化
ケイ素原料粉末においてβ型窒化ケイ素を95重量%以
上含む原料粉末に、粒径0.7μm以下の粒子が全粒子
中の90重量%以上となる粉砕分級処理を施すことを特
徴とするβ型窒化ケイ素粉末の製造方法。
【0018】・粗粉末の製造方法:α型,β型,アモル
ファス,あるいはこれらの混合物の窒化ケイ素原料粉末
に、CaO,MgO,Al,周期律表IIIa族
元素の酸化物のうちから選ばれる1種または2種以上の
酸化物を0.2重量%以上10重量%以下添加して15
00℃以上1900℃以下の温度で加熱することによ
り、β型窒化ケイ素を95重量%以上含み、長軸と短軸
の比が2以上10以下で、短軸の径が0.5μm以上5
μm以下の粒子が全体の70重量%以上含むように処理
を施すことを特徴とするβ型窒化ケイ素粉末の製造方
法。
【0019】である。
【0020】さらに、本発明に係わるβ型窒化ケイ素質
焼結体の製造方法は、前記微粉末と粗粉末とを混合した
混合粉末に、CaO,MgO,Al,周期律表I
IIa族元素の酸化物のうちから選ばれる1種または2
種以上の酸化物を0.2重量%以上15重量%以下添加
して1600℃以上2100℃以下の温度で焼成するこ
とにより、焼結体中に短軸の径3μm以上の柱状粒子を
5体積%以上含むβ型窒化ケイ素質焼結体とすることを
特徴とするものであり、このようにしてβ型窒化ケイ素
質焼結体を製造することにより高強度でかつ高靭性の焼
結体を得ることが可能となる。
【0021】以下、本発明をさらに説明する。
【0022】(微粉末の説明)微粉末を製造するための
原料粉末は、β相を95重量%以上含むβ型窒化ケイ素
粉末を使用する。このとき、β相が95重量%未満で
は、α相の相転移が起こるため焼結時に組織制御するこ
とができない。この原料粉末は、耐火物用の低純度の粉
末であっても、また、焼結用の高純度の粉末であっても
よい。そして、これを粉砕処理することによって粒径
0.7μm以下の粒子の割合を高くする。粉砕方法は特
に規定しないが、工業的には湿式のボールミルやアトリ
ッションミルがよい。粉砕だけで粒径0.7μm以下の
割合が90重量%以上とならない場合は、分級処理を施
す。分級の方法は特に規定しないが、沈降法,遠心沈降
法,乾式分級法がある。このようにして、粒径0.7μ
m以下の粒子が全粒子中の90重量%以上であるβ型窒
化ケイ素粉末を得る。この場合、粒径が0.7μmより
大きい粉末の割合が増えると、焼結性が低下し、また小
さな粒成長の核が増えるため組織制御の妨げとなる。
【0023】(粗粉末の説明)粗粉末を製造するための
原料は、α型,β型,アモルファス,あるいはこれらの
混合物の窒化ケイ素粉末を使用する。これに、粒成長促
進助剤として、CaO,MgO,Al,周期律表
IIIa族元素の酸化物のうちから選ばれる1種または
2種以上の酸化物を0.2重量%以上10重量%以下添
加する。この粒成長促進助剤は、加熱時に液相を生成し
てα→βの相転移を促進し、短軸と長軸の比(アスペク
ト比)の高い柱状のβ結晶を生成する。そのための加熱
条件としては、助剤成分の組成および量により異なる
が、1500℃以上1900℃以下、より好ましくは1
700℃以上1900℃以下の温度がよい。この場合、
1500℃未満の温度では相転移が起こらず、1900
℃超過の温度では結晶の形が変形してアスペクト比の高
い粒子が得にくい。助剤の添加量は0.2重量%以上1
0重量%以下がよい。すなわち、0.2重量未満では相
転移の促進効果が少なく、10重量%超過ではアスペク
ト比が小さくなる。このようにして、β型窒化ケイ素を
95重量%以上含み、長軸と短軸の比が2以上10以下
で、短軸の径が0.5μm以上5μm以下の粒子が全体
の70重量%以上であるβ型窒化ケイ素粉末を得る。こ
こで得られた粉末のβ型窒化ケイ素の割合が95重量%
未満では、組織制御しにくくなり、アスペクト比が2未
満では組織制御時の核としての働きが小さく、10超過
では成形しにくい。さらに、短軸の径が0.5μm未満
では高靭化への寄与が小さく、5μm超過では欠陥を形
成し易いため強度が低下する。
【0024】(混合粉末の説明)組織制御用原料とし
て、上記の微粉末に2重量%以上20重量%以下の粗粉
末を添加する。この場合、2重量%未満では核としての
効果が少なく、20重量%超過では成形性が低下する。
【0025】(焼結体の説明)上記の混合粉末に、Ca
O,MgO,Al,周期律表IIIa族元素の酸
化物のうちから選ばれる1種または2種以上の酸化物を
0.2重量%以上15重量%以下添加する。ここで、添
加量は混合粉末中に含まれる酸化物(粒成長促進助剤)
の量を含む値である。しかし、0.2重量%未満では緻
密化促進の効果が少なく、15重量%超過では焼結体の
強度が低下する。
【0026】また、焼成の温度は、1600℃以上21
00℃以下である。ここで、1600℃未満では緻密化
の程度が低く、2100℃超過では強度が低下する。焼
成時間は、焼結体中に短軸の径3μm以上の柱状粒子を
5体積%以上含む量となるまで焼成する。このとき、短
軸の径が3μm未満では高靭化の程度が少なく、5体積
%未満では高靭化の効果が少ない。
【0027】焼成は、窒素雰囲気下で行う。この場合、
窒素は窒化ケイ素の熱分解を防ぐために必要であり、高
温で焼成するほど高圧の窒素雰囲気を使用する。ここで
必要な最低圧は、1600℃から1750℃の焼成で1
気圧,1800℃で2気圧,1900℃で5気圧,20
00℃で10気圧である。所定圧力よりも低いと窒化ケ
イ素は熱分解を起こし、窒素を放出してケイ素となるの
で好ましくない。焼結手法は、製品形状,使用する助剤
の種類と量を考えてホットプレス,常圧焼結法,ガス圧
焼結法等が使用される。
【0028】
【発明の作用】上述するように、本発明によれば、焼結
性向上のための微粉末と、組織制御の核となる粒度,粒
子形状,粒度分布を制御した粗粉末との混合粉末を使用
し、焼結助剤の種類,量および焼成条件などを制御する
ようにしたから、安価なβ型窒化ケイ素粉末を使用し
て、強度および破壊靭性値が高いβ型窒化ケイ素質焼結
体が得られるものとなる。
【0029】
【実施例】
(実施例1〜5)平均粒径2.5μm,最大粒径20μ
mのβ相含有量99重量%のβ型窒化ケイ素粉末に水と
窒化ケイ素質焼結体のビーズを添加し、アトリッション
ミルを使用して連続粉砕を行い、粉砕後のスラリーを水
槽に入れ、水槽の下部から粗粒を取り出すと共に上部か
ら細粒を取り出すことにより、0.7μm以下の細粒の
割合が全粒子の95重量%となるように粒度調整を行っ
た。
【0030】この際、水槽の最下部に沈降した巨大粒子
(10μm超過の粒子)は取り除き、余った0.7μm
超過から10μm以下の粉末は回収して再度原料粉末と
共にミルに投入し、このようにして、β型窒化ケイ素を
95重量%以上含み、粒径0.7μm以下の粒子が全粒
子の90重量%以上を占めるβ型窒化ケイ素粉末の微粉
末を得た。
【0031】他方、平均粒径0.5μmのα相含有量9
5重量%のα型窒化ケイ素粉末に、5重量%の酸化イッ
トリウム(Y)を添加してエタノール湿式混合を
行った後、乾燥した粉末を窒素1気圧の雰囲気で170
0℃で30分間加熱した。次いで、加熱処理により得ら
れた粉末を乾式ボールミルで2時間粉砕することによっ
て、β型の割合が99重量%,長軸と短軸の比が7,短
軸の径が3.5μmの粒子を全体の90重量%含むβ型
窒化ケイ素粉末の粗粉末を得た。
【0032】次に、上記の微粉末に粗粉末を表1の実施
例1〜5に示す割合で添加し、同じく表1に示す組成の
焼結助剤を添加してボールミルで2時間混合した。つい
で、空気中でスプレードライヤーを用いて乾燥した後、
20MPaの圧力で金型成形を行い、さらに200MP
aの圧力でラバープレスを施すことにより、6mm×6
mm×50mmの成形体を得た。
【0033】この成形体を同じく表1に示す種々の焼成
条件で焼成して本発明実施例1〜5の焼結体を得た後、
水を用いたアルキメデス法により気孔率を算出して各焼
結体の密度を調べた。さらに、800メッシュのダイヤ
モンドホイールで平面研削し、3mm×4mm×40m
mの形状に加工し、JIS R 1601に準じた室温
3点曲げにより曲げ強さを測定し、JIS R 160
6に準じたSEPB法(試験片の3×40mmの面にビ
ッカース圧痕を加え、これから予亀裂を生じさせ、この
予亀裂から破壊する手法)により破壊靭性値を求めた。
これらの結果を同じく表1に示す。
【0034】表1に示す結果より明らかなように、何れ
の条件においても高強度高靭性のβ型窒化ケイ素質焼結
体が得られていることが認められた。
【0035】
【表1】
【0036】(比較例1〜3)実施例1〜5で用いた微
粉末に同じく実施例1〜5で用いた粗粉末を表2の比較
例1〜3に示す割合で添加し、同じく表2に示す組成の
焼結助剤を添加してボールミルで2時間混合した。つい
で、空気中でスプレードライヤーを用いて乾燥した後、
20MPaの圧力で金型成形を行い、さらに200MP
aの圧力でラバープレスを施すことにより、6mm×6
mm×50mmの成形体を得た。
【0037】この成形体を同じく表2に示す種々の焼成
条件で焼成して比較例1〜3の焼結体を得た後、水を用
いたアルキメデス法により気孔率を算出して各焼結体の
密度を調べた。さらに、800メッシュのダイヤモンド
ホイールで平面研削し、3mm×4mm×40mmの形
状に加工し、JIS R 1601に準じた室温3点曲
げにより曲げ強さを測定し、JIS R 1606に準
じたSEPB法(試験片の3×40mmの面にビッカー
ス圧痕を加え、これから予亀裂を生じさせ、この予亀裂
から破壊する手法)により破壊靭性値を求めた。これら
の結果を同じく表2に示す。
【0038】表2に示す結果より明らかなように、比較
例1のごとく粗粉末の添加量が2重量%未満では強度と
靭性値が低く、比較例3のごとく粗粉末の添加量が20
重量%超過では緻密化が阻害されて強度が低く、焼成温
度が高すぎる比較例2では強度が低下することが認めら
れた。
【0039】
【表2】
【0040】(実施例11〜13)平均粒径10μm,
最大粒径200μmのβ相含有量90重量%のβ型窒化
ケイ素粉末に水と窒化ケイ素質焼結体のボールを添加
し、ボールミルで200時間粉砕し、乾燥した後、ジェ
ット粉砕機と乾式の分級機を使用して粉砕分級を行い、
粉砕分級の条件を変えることにより表3に示す粒度の微
粉末を得た。この場合、表3では、微粉末において、図
1に示すように、粒度分布の細い粉末からの累積90重
量%にあたる粒径(μm)で示した。
【0041】次いで、上記微粉末に実施例1〜5で用い
たと同じ粗粉末を10重量%添加し、焼結助剤として6
重量%のYと3重量%のAlを添加してボ
ールミルで2時間混合した。ついで、空気中でスプレー
ドライヤーを用いて乾燥した後、20MPaの圧力で金
型成形を行い、さらに200MPaの圧力でラバープレ
スを施すことにより、6mm×6mm×50mmの成形
体を得た。
【0042】この成形体を10気圧の窒素ガス圧下で1
800℃で4時間焼成して本発明実施例11〜13の焼
結体を得た後、水を用いたアルキメデス法により気孔率
を算出して各焼結体の密度を調べた。さらに、800メ
ッシュのダイヤモンドホイールで平面研削し、3mm×
4mm×40mmの形状に加工し、JIS R 160
1に準じた室温3点曲げにより曲げ強さを測定し、JI
S R 1606に準じたSEPB法(試験片の3×4
0mmの面にビッカース圧痕を加え、これから予亀裂を
生じさせ、この予亀裂から破壊する手法)により破壊靭
性値を求めた。これらの結果を同じく表3に示す。
【0043】表3に示す結果より明らかなように、粒径
0.7μm以下の粒子が全粒子の90重量%以上を占め
るβ型窒化ケイ素粉末を微粉末として用いることによ
り、高密度で高強度高靭性のβ型窒化ケイ素質焼結体が
得られることが認められた。
【0044】
【表3】
【0045】(比較例11,12)実施例11〜13と
同様にして粉砕分級を行い、粉砕分級の条件を変えるこ
とにより表4に示す粒度の微粉末を得た。この場合も、
表4では、微粉末において、図1に示すように、粒度分
布の細い粉末からの累積90重量%にあたる粒径(μ
m)で示した。
【0046】次いで、上記微粉末と実施例1〜5で用い
たと同じ粗粉末を添加し、実施例11〜13と同じ焼結
助剤を添加して混合し、さらに実施例11〜13と同じ
ように成形および焼成を行って、比較例11,12の焼
結体を得た。
【0047】これらの焼結体の特性を調べたところ、同
じく表4に示す結果であり、0.7μm以下の粒子が全
粒子の90重量%よりも少ない粗めのβ型窒化ケイ素粉
末を微粉末として用いた場合には、強度および靭性が劣
るものとなっていた。
【0048】
【表4】
【0049】(実施例21〜23)平均粒径1.3μm
のα相含有量90重量%のα型窒化ケイ素粉末に、表5
に示す酸化物を添加してエタノール湿式混合を行った後
乾燥した粉末を同じく表5の条件で加熱した。次いで、
加熱処理により得られた粉末を乾式ボールミルで2時間
粉砕することによって、同じく表5に示す性状の粗粉末
を得た。
【0050】次いで、実施例1〜5で用いたと同じ微粉
末に上記の表5に示す粗粉末を10重量%添加し、焼結
助剤として6重量%のYと3重量%のAl
を添加してボールミルで2時間混合した。ついで、空気
中でスプレードライヤーを用いて乾燥した後、20MP
aの圧力で金型成形を行い、さらに200MPaの圧力
でラバープレスを施すことにより、6mm×6mm×5
0mmの成形体を得た。
【0051】この成形体を10気圧の窒素ガス圧下で1
800℃で4時間焼成して本発明実施例21〜23の焼
結体を得た後、水を用いたアルキメデス法により気孔率
を算出して各焼結体の密度を調べた。さらに、800メ
ッシュのダイヤモンドホイールで平面研削し、3mm×
4mm×40mmの形状に加工し、JIS R 160
1に準じた室温3点曲げにより曲げ強さを測定し、JI
S R 1606に準じたSEPB法(試験片の3×4
0mmの面にビッカース圧痕を加え、これから予亀裂を
生じさせ、この予亀裂から破壊する手法)により破壊靭
性値を求めた。これらの結果を同じく表5に示す。
【0052】表5に示す結果より明らかなように、粗粉
末の長軸と短軸の比(アスペクト比)が2以上10以下
で、短軸の径が0.5μm以上5μm以下の粒子が全体
の70重量%以上を含むものとした粗粉末を用いること
により、高強度高靭性のβ型窒化ケイ素質焼結体が得ら
れることが認められた。
【0053】
【表5】
【0054】(比較例21〜23)平均粒径1.3μm
のα相含有量90重量%のα型窒化ケイ素粉末に、表6
に示す酸化物を添加してエタノール湿式混合を行った後
乾燥した粉末を同じく表6の条件で加熱した。次いで、
加熱処理により得られた粉末を乾式ボールミルで2時間
粉砕することによって、同じく表6に示す性状の粗粉末
を得た。
【0055】次いで、実施例1〜5で用いたと同じ微粉
末に上記の表6に示す粗粉末を10重量%添加し、焼結
助剤として6重量%のYと3重量%のAl
を添加してボールミルで2時間混合した。ついで、空気
中でスプレードライヤーを用いて乾燥した後、20MP
aの圧力で金型成形を行い、さらに200MPaの圧力
でラバープレスを施すことにより、6mm×6mm×5
0mmの成形体を得た。
【0056】この成形体を10気圧の窒素ガス圧下で1
800℃で4時間焼成して比較例21〜23の焼結体を
得た後、水を用いたアルキメデス法により気孔率を算出
して各焼結体の密度を調べた。さらに、800メッシュ
のダイヤモンドホイールで平面研削し、3mm×4mm
×40mmの形状に加工し、JIS R 1601に準
じた室温3点曲げにより曲げ強さを測定し、JIS R
1606に準じたSEPB法(試験片の3×40mm
の面にビッカース圧痕を加え、これから予亀裂を生じさ
せ、この予亀裂から破壊する手法)により破壊靭性値を
求めた。これらの結果を同じく表6に示す。
【0057】表6に示す結果より明らかなように、粗粉
末の長軸と短軸の比が2以上10以下で、短軸の径が
0.5μm以上5μm以下の粒子が全体の70重量%以
上を含むという条件から外れた粗粉末を用いた場合に
は、強度や靭性に劣るものとなることが認められた。
【0058】
【表6】
【0059】
【発明の効果】本発明に係わるβ型窒化ケイ素粉末で
は、粒径,形状,分布等が適切に制御されたものである
から、β型窒化ケイ素粉末を出発原料とする高強度高靭
性のβ型窒化ケイ素質焼結体の原料粉末として好適なも
のであり、また、本発明に係わるβ型窒化ケイ素粉末の
製造方法では、高強度高靭性のβ型窒化ケイ素質焼結体
の原料粉末として好適なβ型窒化ケイ素粉末を製造する
ことが可能であり、本発明に係わるβ型窒化ケイ素質焼
結体の製造方法においては、焼結性向上のための微粉末
と、組織制御の核となる粒度,粒子形状,粒度分布を制
御した粗粉末との混合粉末を使用し、焼結助剤の種類,
量および焼成条件などを制御するようにしたから、安価
なβ型窒化ケイ素粉末を使用して、強度および破壊靭性
値が高いβ型窒化ケイ素質焼結体を製造することが可能
であるという著しく優れた効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例11〜13および比較例11〜
13で用いた微粉末の粒度分布を説明するグラフであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 安 藤 元 英 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 α型とβ型とから構成される窒化ケイ素
    原料粉末においてβ型窒化ケイ素を95重量%以上含
    み、粒径0.7μm以下の粒子が全粒子中の90重量%
    以上を占め、平均粒径が0.5μm以下であることを特
    徴とするβ型窒化ケイ素粉末。
  2. 【請求項2】 α型とβ型とから構成される窒化ケイ素
    原料粉末においてβ型窒化ケイ素を95重量%以上含
    み、長軸と短軸の比が2以上10以下で、短軸の径が
    0.5μm以上5μm以下の粒子を全体の70重量%以
    上含むことを特徴とするβ型窒化ケイ素粉末。
  3. 【請求項3】 請求項第1項のβ型窒化ケイ素粉末80
    重量%以上98重量%以下と、請求項第2項のβ型窒化
    ケイ素粉末2重量%以上20重量%以下よりなることを
    特徴とするβ型窒化ケイ素粉末。
  4. 【請求項4】 α型とβ型とから構成される窒化ケイ素
    原料粉末においてβ型窒化ケイ素を95重量%以上含む
    原料粉末に、粒径0.7μm以下の粒子が全粒子中の9
    0重量%以上となる粉砕分級処理を施すことを特徴とす
    るβ型窒化ケイ素粉末の製造方法。
  5. 【請求項5】 α型,β型,アモルファス,あるいはこ
    れらの混合物の窒化ケイ素原料粉末に、CaO,Mg
    O,Al,周期律表IIIa族元素の酸化物のう
    ちから選ばれる1種または2種以上の酸化物を0.2重
    量%以上10重量%以下添加して1500℃以上190
    0℃以下の温度で加熱することにより、β型窒化ケイ素
    を95重量%以上含み、長軸と短軸の比が2以上10以
    下で、短軸の径が0.5μm以上5μm以下の粒子が全
    体の70重量%以上となる処理を施すことを特徴とする
    β型窒化ケイ素粉末の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項第3項のβ型窒化ケイ素粉末に、
    CaO,MgO,Al,周期律表IIIa族元素
    の酸化物のうちから選ばれる1種または2種以上の酸化
    物を0.2重量%以上15重量%以下添加して1600
    ℃以上2100℃以下の温度で焼成することにより、焼
    結体中に短軸の径3μm以上の柱状粒子を5体積%以上
    含むβ型窒化ケイ素質焼結体とすることを特徴とするβ
    型窒化ケイ素質焼結体の製造方法。
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