JPH069260U - 偏向ヨーク装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 偏向ヨーク装置の製造段階や陰極線管への取
り付け段階でのブルーボウミスコンバージェンスの補正
を容易に行う。 【構成】 偏向ヨークのネック側２の外端面10に一対の
棒状マグネット11，12を偏向ヨークの中心に対して左右
対称位置に、かつ、水平向きに取り付ける。棒状マグネ
ット11，12の対向面側は同一極性の磁極にする。棒状マ
グネット11，12の補正磁界により、電子銃の配列ライン
を偏向ヨーク装置に対して相対的に回転する方向の力を
発生させて、電子銃の配列ラインの回転方向のずれに起
因する、又はそれと同等のブルーボウミスコンバージェ
ンスを補正する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、カラーのテレビジョン受像機やディスプレイ装置に装着されるブル ーボウ（Blue Bow）ミスコンバージェンスの補正手段を備えた偏向ヨーク装置に 関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

図７にはカラーのテレビジョン受像機やディスプレイ装置に用いられる偏向ヨ ーク装置が示されている。この種の偏向ヨーク装置は、頭部側１とネック側２を 拡大径部３，４とした朝顔形状のボビン５に、水平偏向コイルと垂直偏向コイル とコアとを装着した偏向ヨークを主要部として構成したものであり、この種の偏 向ヨーク装置は陰極線管６の外周面に装着されている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

この種の偏向ヨーク装置の製造に際し、水平や垂直の各偏向コイル、およびそ れぞれをボビン５へ取り付けるときの位置ずれ等に起因して、陰極線管の画面上 に図６に示すようなブルーボウミスコンバージェンス（陰極線管の画面のＸ軸（ 水平軸）に対して、ブルーＢのビームとレッドＲのビームとが上下方向にずれる ミスコンバージェンス）が発生するという問題があり、また、万が一製造された 偏向ヨーク装置自体にはブルーボウミスコンバージェンスが発生することはなく ても、偏向ヨーク装置を陰極線管６に取り付ける作業の際に起こりうる回転方向 の位置ずれや、陰極線管６自体のブルーＢとグリーンＧとレッドＲの各電子銃の インライン配列のラインＬが図５に示すように水平軸に対して傾いていると、ブ ルーボウミスコンバージェンスが同様に発生する。

【０００４】 通常は、偏向ヨーク装置の製造段階で、ブルーボウミスコンバージェンスの発 生状態を検査し、同ミスコンバージェンスが発生しているときには、例えば、水 平偏向コイルや垂直偏向コイルの配設領域にフェライトシートや磁性片を貼り付 けたりしてブルーボウミスコンバージェンスの補正を行い、また、偏向ヨーク装 置を陰極線管６に取り付ける際にも、同様に、フェライトシートや磁性片又は円 形状の４極リングマグネットを用いて偏向ヨーク装置の取り付け時の回転位置ず れや、電子銃の配列ラインＬの傾きに起因するブルーボウミスコンバージェンス を補正していた。

【０００５】 しかし、これらブルーボウミスコンバージェンスの補正をフェライトシートや 磁性片の貼り付け等によって補正する方式は、非常に手間隙がかかる上に、他の ミスコンバージェンスにも影響が発生するためにミスコンバージェンスを確実に 補正することは非常に難しいものであった。

【０００６】 偏向ヨーク装置には様々な設計仕様のものがあり、その中には図７の破線で示 すように、ネック側に２枚の４極リングマグネット７，８を互いに回転方向の相 対摺動を自在にして装着したものもある。この４極リングマグネット７はリング 円周を直角四等分した位置にＳ極とＮ極の磁極を交互に形成したものであり、他 方の４極リングマグネット８も直角四等分位置にＳ極とＮ極を交互に形成するが 、磁極の極性を４極リングマグネット７とは逆極性に形成したものである。この ４極リングマグネット７，８は爪部９を重ね合わせた状態では、４極リングマグ ネットの一方側のＳ極と他方側のリングマグネットのＮ極とが重なり合って補正 磁界が出ない位置になり、４極リングマグネット７，８を相対的に回転方向に位 置をずらすことにより、一方側のリングマグネットのＮ極と他方側のリングマグ ネットのＳ極との間に補正磁界が発生し、この４極リングマグネット７，８の相 対回転角を可変することにより補正磁界の大きさを調整し、ブルーボウミスコン バージェンスの補正を行うことができる。

【０００７】 しかし、この４極リングマグネット７，８を備えた偏向ヨーク装置においても 、４極リングマグネット７，８を用いてのミスコンバージェンスの補正は通常、 偏向ヨーク装置を陰極線管６に取り付ける最終製品の段階で行うようにしている 。４極リングマグネット７，８を用いて偏向ヨーク装置の製造段階で偏向ヨーク 装置自体のブルーボウミスコンバージェンスの補正を行ってしまうと、陰極線管 ６への取り付け作業を行う際にガンローテーション等によるブルーボウミスコン バージェンスを補正する量が足りなくなる場合が生じる。このため、４極リング マグネット７，８が取り付けられている偏向ヨーク装置においても、偏向ヨーク 製造段階におけるブルーボウミスコンバージェンスの補正はフェライトシートや 磁性片を貼り付ける等により行い、陰極線管６への取り付けのときに４極リング マグネット７，８を用いてそのミスコンバージェンスの補正が行われていた。こ のため、４極リングマグネットを備えた偏向ヨーク装置の場合にも、フェライト シート等の貼り付けによる手間隙のかかる面倒なミスコンバージェンス補正作業 から逃れることができないという問題があった。

【０００８】 本考案は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、 偏向ヨーク装置の製造段階や陰極線管への取り付け段階でのブルーボウミスコン バージェンスの補正作業が非常に容易であって、しかも、ブルーボウミスコンバ ージェンス補正を確実に行うことができる偏向ヨーク装置を提供することにある 。

【０００９】

【課題を解決するための手段】

本考案は上記目的を達成するために、次のように構成されている。すなわち、 本考案は、偏向ヨークのネック側の外端面であって偏向ヨークの中心に対して左 右ほぼ対称位置に、ブルーボウ（Blue Bow）ミスコンバージェンスを補正する少 なくとも一対の棒状マグネットが互いにＮ極又はＳ極の同一極性側の端面を対向 させた配置態様にして左右水平向きに取り付けられていることを特徴として構成 されている。

【００１０】

【作用】

上記構成の本考案において、偏向ヨークのネック側の外端面に設けられる左右 一対のマグネットそれぞれから、Ｎ極からＳ極に向かう補正磁界が発生する。前 記棒状マグネットは左右水平向きに取り付けられているので、その補正磁界によ って、左右両側に水平方向の互いに逆向きのベクトル磁界が発生し、このベクト ル磁界により、フレミングの左手の法則により電子銃の配列ラインを回転する方 向に力が作用する。したがって、同じくブルーボウミスコンバージェンスの発生 原因である偏向ヨーク装置に対する相対的な電子銃配列ラインの傾きを修正する 方向の回転力を与えるようにＮ極とＳ極の向きを設定して棒状マグネットを配置 することにより、ブルーボウミスコンバージェンスのみの補正が効果的に行われ る。

【００１１】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。なお、本実施例の説明にお いて、従来例と同一の部分には同一符号を付し、その重複説明は省略する。図１ には本考案に係る偏向ヨーク装置の一実施例が示されている。本実施例において 特徴的なことは、偏向ヨークのネック側２の外端面10、すなわち、ネック側２の 拡大径部４にカバー（裏蓋）が被せられないときには拡大径部４の外端面10に、 カバー（裏蓋）15が被せられるときにはボビンの拡大径部４に、又はこのカバー の外端面10に一対の棒状マグネット11，12を配設するようにしたもので、それ以 外の構成は前記従来例と同様である。

【００１２】 本実施例の特徴的な棒状マグネット11，12は、磁界の強さ（マグネットの大き さ）を同じにした直方体形状を呈しており、各マグネット11，12は図２に示すよ うに、偏向ヨークの中心、つまり、ボビン５の中心に対して左右対称位置に取り 付けられ、各棒状マグネット11，12の内端側は同一極性の磁極が対向するように 設置されており、図２の（ａ）では棒状マグネット11，12のＮ極同士が対向する ように配置され、同図の（ｂ）ではＳ極同士が対向するように配置されている。

【００１３】 この棒状マグネット11，12を外端面10に固定する手段として、様々な態様を採 り得るが、例えば、棒状マグネット11，12を接着剤を用いて接着固定してもよく 、あるいは図３の（ａ）に示すように、外端面10側に棒状マグネット11，12を挟 み込む複数の爪13を突設し、この爪13に棒状マグネット11，12を係止して固定す るようにしてもよく、あるいは、同図の（ｂ）に示すように、外端面10にハウジ ング14を成型等により形成し、このハウジング14内に棒状マグネット11，12を収 容固定するようにしてもよく、仕様に応じた任意の態様で取り付けられる。

【００１４】 本実施例は上記のように構成されており、次に、棒状マグネット11，12による ブルーボウミスコンバージェンスの補正動作を説明する。例えば、前記図２の（ ａ）に示すように、Ｎ極を内側にして棒状マグネット11，12を取り付けた場合に は、図４の（ａ）に示すように、Ｎ極からＳ極に向かう補正磁界が発生し、これ により、棒状マグネット11側の補正磁界Ｂ₁ により、フレミングの左手の法則に より、下向きＦ₁ の力が発生する。同様に、棒状マグネット12側では、補正磁界 Ｂ₂ により、上向きの力Ｆ₂ が発生し、Ｆ₁ とＦ₂ が上下逆向きに発生すること から、電子銃の配列ラインＬを反時計方向に回転するが如き補正動作が行われる 。この補正動作により、電子銃の配列ラインが偏向ヨーク装置に対して相対的に 時計回転方向にずれる（図５の（ｂ））ことによって生じる図６の（ａ）に示す ようなパターンのブルーボウミスコンバージェンスの補正が達成される。また、 図２の（ｂ）に示すように、Ｓ極を対向するように棒状マグネット11，12を取り 付けた場合は、補正磁界の向きが逆向きになるので、電子銃の配列ラインを時計 方向に回転するが如き補正動作が行われ、これにより、電子銃の配列ラインが偏 向ヨーク装置に対して図５の（ａ）に示すように反時計回転方向にずれて発生す る図６の（ｂ）に示すようなパターンのブルーボウミスコンバージェンスの補正 が達成される。

【００１５】 このように、偏向ヨーク装置に対する電子銃の配列ラインＬの傾き方向に応じ て、換言すれば、電子銃の配列ラインＬに対する偏向ヨーク装置の回転ずれ方向 に応じて、棒状マグネット11，12の対向側の極性を合わせ、傾き量に応じた強さ の磁界を備えた棒状マグネット11，12を取り付けるか、又は相対位置の間隔を変 更させることにより、ずれ方向およびずれ量の異なる様々なパターンのブルーボ ウミスコンバージェンスの補正が可能となる。なお、本実施例の棒状マグネット 11，12を取り付けたときのランディングに対する影響は２μｍ程度であるので、 ランディングへの悪影響はほとんどなく、ブルーボウミスコンバージェンスのみ を集中的に補正することが可能である。

【００１６】 また、棒状マグネット11，12は偏向ヨークのネック側２の外端面10に取り付け るものであるから、偏向ヨーク装置の製造段階においても、また、偏向ヨーク装 置を陰極線管に取り付ける段階においても、棒状マグネット11，12の取り付け作 業が外部からできるので非常に容易であり、生産性および装置のコスト低減を図 る上で非常に有利である。

【００１７】 なお、偏向ヨーク装置に４極リングマグネット７，８が設けられる場合は、棒 状マグネット11，12で偏向ヨーク装置の製造段階でのブルーボウミスコンバージ ェンス補正を行い、偏向ヨーク装置を陰極線管に組み込むときのブルーボウミス コンバージェンスの補正は４極リングマグネット７，８を用いて行うこととなる 。

【００１８】 本考案は上記実施例に限定されることはなく、様々な実施の態様を採り得る。 例えば、実施例では左右両側に取り付ける一対の棒状マグネット11，12の大きさ 、つまり、補正磁界の大きさを同じにしたが、場合によっては、左右で補正磁界 の大きさを異なるようにしてもよい。

【００１９】 また、棒状マグネット11，12の形状は必ずしも直方体形状のものに限定される ものではなく、円柱等、他の様々な断面形状のものであってもよい。

【００２０】 さらに、本実施例では、棒状マグネット11，12を一対配設したが、複数対の棒 状マグネット11，12を集合させた状態で、左右対称位置に配設してもよい。

【００２１】

【考案の効果】

本考案は、偏向ヨークの中心に対して左右ほぼ対称位置に少なくとも一対の棒 状マグネットを互いに同一極性の磁極を対向させて左右水平向きに取り付けたも のであるから、この棒状マグネットの補正磁界によって偏向ヨーク装置自体、あ るいは偏向ヨーク装置を陰極線管に取り付ける際に発生するブルーボウミスコン バージェンスの補正を確実に行うことができる。

【００２２】 また、前記棒状マグネットは偏向ヨークのネック側の外端面に取り付けられる ものであるから、棒状マグネットの取り付けを外部から行うことができるので、 その取り付け作業が非常に容易となり、これにより、ブルーボウミスコンバージ ェンスの補正を迅速に行うことができ、生産性およびコスト低減を図る上で非常 に有利である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る偏向ヨーク装置の一実施例を示す
構成説明図である。

【図２】同実施例における棒状マグネットの取り付け態
様の説明図である。

【図３】同実施例における棒状マグネットの固定構造の
各種説明図である。

【図４】同実施例のブルーボウミスコンバージェンスの
補正動作の説明図である。

【図５】ブルーボウミスコンバージェンスの発生原因で
ある電子銃の配列ラインの回転ずれの説明図である。

【図６】ブルーボウミスコンバージェンスの各パターン
の説明図である。

【図７】従来の偏向ヨーク装置を示す説明図である。

【符号の説明】

２ ネック側 10 外端面 11，12 棒状マグネット

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 偏向ヨークのネック側の外端面であって
   偏向ヨークの中心に対して左右ほぼ対称位置に、ブルー
   ボウ（Blue Bow）ミスコンバージェンスを補正する少な
   くとも一対の棒状マグネットが互いにＮ極又はＳ極の同
   一極性側の端面を対向させた配置態様にして左右水平向
   きに取り付けられている偏向ヨーク装置。