JPH069115Y2 - 複合円形型シールド掘進機のセグメントエレクター装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、複数の円形シールド掘進機部を一部重合さ
せて一体に組み合わせた形態の、例えばマユ型からなる
複合円形型シールド掘進機のセグメントエレクター装置
に関するものである。

（従来の技術） 従来のシールド掘進機は、断面円形のトンネルを掘削す
べく円形に形成されており、このシールド掘進機の後端
に配備されるセグメントエレクター装置は、一般に、油
圧シリンダを介し半径方向外方へ出入自在なセグメント
ピース把持機構を備えたエレクター装置本体を円形ガイ
ドリングに固設し、このガイドリングを掘進機後端の内
周壁に沿って配設した多数のガイドローラと駆動ローラ
により回動自在に配装し、駆動ローラによりガイドリン
グを介してエレクター装置を所定位置に回転させてセグ
メントの組み立て作業を行うものであった。

（考案が解決しようとする課題） ところで、最近、例えば特開昭57-197395号公報に記載
されているように、複線分の地下道を掘削可能な複合円
形型シールド掘進機が開発されつつあるが、この種のシ
ールド掘進機のセグメントエレクター装置は、上記従来
の円形シールド掘進機用のエレクター装置を複数台組み
合わせた構造のものしか提案されておらず、しかも、こ
の構造の場合には、各エレクター装置間の干渉防止を図
る必要があり、また、トンネル中央部分のセグメントの
組み立てが困難である等の課題がある。

この考案は上述の点に鑑みなされたもので、複合円形型
シールド掘進機に好適なセグメントエレクター装置を提
供しようとするものである。

（課題を解決するための手段） 上記した目的を達成するためのこの考案の要旨とすると
ころは、シールド掘進機本体後端の内周壁に沿い、且
つ、セグメント組立位置より内側に断面Ｉ型をなす無端
状のガイドレールを配設し、油圧シリンダを介し半径方
向外方へ出入自在なセグメントピース把持機構を備えた
エレクター装置本体を、前記ガイドレールの一方のフラ
ンジ部を挟持して走行可能に配備したことである。

（作用） この考案のセグメントエレクター装置によれば、セグメ
ント組立位置より内側に配装した無端状のガイドレール
をエレクター装置本体が任意の位置へ移動して、トンネ
ル底部付近に供給されるセグメントピースを所定の箇所
へ搬送して組み立てるものである。また、２基以上のエ
レクター装置本体をガイドレールに配備しておくことに
より、各エレクター装置本体を同時に並行して移動させ
ながら、セグメントの組み立て作業を行い得る。

（実施例） 以下、この考案の実施例を図面に基づいて説明する。

第１図は本案のセグメントエレクター装置を配備したシ
ールド掘進機の概要断面図、第２図は第１図のII−II線
矢視図、第３図は第２図の要部拡大図、第４図は第３図
のIV−IV線断面図である。

第１図において、１は前方より見てダルマ型のシールド
掘進機本体で、この掘進機本体１の前面には、２つのカ
ッターディスク2,2が前後に位置をずらせて回動自在に
配備されている。

３はカッターディスク２の駆動装置、４は加泥水パイ
プ、５はシールドジャッキである。

第１〜４図において、６は断面Ｉ型をなす無端状のガイ
ドレールで、このガイドレール６の一方のフランジ部外
周面はラック6aに形成されている。そして、ガイドレー
ル６は掘進機本体１後端の内周壁に沿ってセグメント組
立位置より内側に支持部材７を介し配設されており、こ
のガイドレール６は、場所によって曲率が異なる複数の
円弧を連続させた形態をなす。

８はセグメントエレクター装置本体で、このエレクター
装置本体８は、第３図及び第４図に示すように、ローラ
９とピニオン10を介して前記ガイドレール６のラック6a
付きフランジ部を挟持して走行可能に配備されている。

11はセグメントピースＡの把持機構で、セグメントピー
ス把持具12とこの把持具12両側の振れ止めジャッキ13と
を、摺動ジャッキ14により前後方向に移動可能に構成さ
れており、この把持機構11はエレクター装置本体８に対
しガイド機構15を介し半径方向外方へ出入自在に配装さ
れ、油圧シリンダ16により出入するように構成されてい
る。

なお、前記ピニオン10には油圧モータ（図示せず）が接
続され、ピニオン10の回転によりエレクター装置本体８
はガイドレール６に沿って移動する。また、エレクター
装置本体８の各駆動装置13,14,16等には、ケーブル（図
示せず）を介し掘進機本体１側から油圧や電力が供給さ
れる。

更に、実施例ではエレクター装置本体８は１基しか図示
していないが、セグメント組み立て作業の効率を上げる
ために、複数基のエレクター装置本体８をガイドレール
６に配備することがある。

次に、上記した従来のセグメントエレクター装置につい
て使用態様を説明する。

シールド掘進機本体１の掘削作業に伴ってシールドジャ
ッキ５の伸張により掘進機本体１を前進させた後、シー
ルドジャッキ５を収縮し、既設のセグメントＡとシール
ドジャッキ５間に空間を形成する。そして、トンネルの
底部付近に供給されたセグメントピースＡをエレクター
装置本体８が最も低い位置に下降してセグメントピース
把持具12に把持し、両側の振れ止めジャッキ13でセグメ
ントピースＡを固定した状態で、エレクター装置本体８
をガイドレール６に沿って所定の位置へ走行させ、油圧
シリンダ16を伸張してセグメントピースＡを組み付け
る。なお、前後方向の位置の調整は摺動ジャッキ14の伸
縮作動により行う。

このようにして、エレクター装置本体８を、セグメント
ピースＡの供給位置と組み付け位置間で移動させなが
ら、セグメントの組み立て作業が遂行される。

（効果） 以上説明したように、この考案のセグメントエレクター
装置は上記した構成からなるから、下記の如き効果を奏
する。

(1)エレクター装置本体が走行するガイドレールを、シ
ールド掘進機本体後端の内周壁に沿って配設し、このガ
イドレールを、シールド掘進機の内周壁の形状に合わせ
て複数の円弧を連続させた形態にしたことにより、複数
の円形を組み合わせた各種複合円形型のシールド掘進機
に容易に適用でき、従来の円形セグメントエレクター装
置を複数台組み合わせるのに比べて、エレクター装置本
体の干渉防止を考慮する必要もなく、構造が簡単で、安
価に製造できる。

(2)エレクター装置本体は断面Ｉ型をなす無端状のガイ
ドレールの一方のフランジ部を挟持して走行し、ガイド
レールに沿って任意の位置へ自由に移動できるので、ト
ンネル中央部分のセグメントの組み立ても容易であり、
特に、複数台のエレクター装置本体をガイドレールに配
備し、同時に並行してセグメントの組み立て作業を行わ
せれば、作業能率を大幅に向上し得る。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の実施例に係るセグメントエレクター
装置を配備したシールド掘進機の概要断面図、第２図は
第１図のII−II線矢視図、第３図は第２図の要部拡大
図、第４図は第３図のIV−IV線断面図である。 １……シールド掘進機本体、６……ガイドレール、７…
…支持部材、８……エレクター装置本体、９……ロー
ラ、10……ピニオン、11……セグメント把持機構、16…
…油圧シリンダ。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 佐藤 安美 兵庫県神戸市中央区東川崎町３丁目１番１ 号 川崎重工業株式会社神戸工場内 (56)参考文献 特開 昭61−221491（ＪＰ，Ａ) 特公 昭48−27023（ＪＰ，Ｂ１)

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】複数の円形シールド掘進機部を一部重合さ
   せて一体に組み合わせた形態の複合円形型シールド掘進
   機の後端に装備されるセグメントエレクター装置であっ
   て、 前記掘進機本体内周壁に沿い、且つ、セグメント組立位
   置より内側に断面Ｉ型をなす無端状のガイドレールを配
   設し、油圧シリンダを介し半径方向外方へ出入自在なセ
   グメントピース把持機構を備えたエレクター装置本体
   を、前記ガイドレールの一方のフランジ部を挟持して走
   行可能に配備したことを特徴とする複合円形型シールド
   掘進機のセグメントエレクター装置。
2. 【請求項２】２基以上の前記エレクター装置本体を前記
   ガイドレールに配備した実用新案登録請求の範囲第１項
   に記載の複合円形型シールド掘進機のセグメントエレク
   ター装置。