JPH0689523A - 磁気ヘッドおよびその製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 スライダのＡＢＳ面の摩擦係数を低減し、こ
のＡＢＳ面の摩耗を防止してＣＳＳ耐久回数を著しく向
上させることができ、しかも、磁気ヘッドの磁気特性を
良好に保持することのできる磁気ヘッドを提供する。 【構成】 スライダ２のＡＢＳ面３を磁気記録媒体に対
向させて前記磁気記録媒体の磁気情報処理を行なう磁気
ヘッド１において、前記スライダ２のＡＢＳ面３の前記
磁気ヘッド６のギャップ７以外の部分の表面に潤滑膜８
を形成したことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は磁気ヘッドおよびその製
造方法に係り、特に、静止状態では、磁気記録媒体に接
触し、動作状態で磁気記録媒体から浮上して所定の磁気
記録または再生を行なう磁気ヘッドおよびその製造方法
に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、コンピュータ等の磁気記録装置
の磁気記録媒体であるハードディスクに情報の記録、再
生を行なうための磁気ヘッドにおいては、磁気記録媒体
を回転させることにより、前記磁気ヘッドを磁気記録媒
体より微小の隙間だけ浮上させて磁気記録媒体に対する
記録または再生等の磁気情報処理を行なう浮上式の磁気
ヘッドが多く用いられている。

【０００３】図６はこのような従来の薄膜型の磁気ヘッ
ドを示したもので、磁気ヘッド１は、フェライトやアル
チック等からなるスライダ２を有しており、このスライ
ダ２の図示しない磁気記録媒体に対向するＡＢＳ（Ａｉ
ｒ Ｂｅａｒｉｎｇ Ｓｕｒｆａｃｅ）面３の両側部に
は、磁気記録媒体の相対移動方向に対して平行に２本の
レール４，４が突出形成されている。このスライダ２の
各レール４の間は、前記スライダ２を前記磁気記録媒体
に対して浮上させるための負圧溝５とされており、前記
スライダ２の端面には、薄膜ヘッド６が形成されそのギ
ャップ７がＡＢＳ面３に形成されている。このような構
成の磁気ヘッド１は、図示しないジンバルの先端部に取
付けられており、所定の駆動装置により前記ジンバルを
駆動することにより、前記磁気ヘッド１を磁気記録媒体
に対して接離駆動させるとともに、磁気記録媒体の走査
を行なうようになされている。

【０００４】前記従来の磁気ヘッド１においては、磁気
記録媒体の停止時には、磁気ヘッド１は磁気記録媒体の
退避位置において接触しており、磁気記録媒体の回転に
より、前記ＡＢＳ面３を通る空気の流れにより磁気記録
媒体面から浮上し、所定の磁気記録あるいは再生等を行
なうようになっている。そして、磁気記録媒体の停止に
より磁気ヘッド１は再び磁気記録媒体に接触して停止さ
れる。

【０００５】そして、従来は、このようなＣＳＳ（コン
タクト・スタート・ストップ）特性を向上させるために
前記磁気ヘッド１のスライダ２のＡＢＳ面３を極めて平
滑に形成するようになされていた。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかし、前記従来の磁
気ヘッド１においては、磁気ヘッド１のスライダ２がフ
ェライト等の材料で形成されているので、このスライダ
２のＡＢＳ面３が磁気記録媒体に対して摺動する際にお
ける摩擦力が極めて高く、そのため、前記ＣＳＳ動作を
繰り返し行なっているうちに、比較的短い使用時間で前
記スライダ２のＡＢＳ面３が摩耗してしまい、磁気ヘッ
ド１が磁気記録媒体に接触した際に、磁気ヘッド１が磁
気記録媒体に吸着してしまい、ＣＳＳ耐久回数が著しく
低下してしまうという問題を有している。

【０００７】本発明は前記した点に鑑みてなされたもの
で、スライダのＡＢＳ面の摩擦係数を低減し、このＡＢ
Ｓ面の摩耗を防止してＣＳＳ耐久回数を著しく向上させ
ることができ、しかも、磁気ヘッドの磁気特性を良好に
保持することのできる磁気ヘッドおよびその製造方法を
提供することを目的とするものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
請求項１に記載の発明に係る磁気ヘッドは、スライダの
ＡＢＳ面を磁気記録媒体に対向させて前記磁気記録媒体
の磁気情報処理を行なう磁気ヘッドにおいて、前記スラ
イダのＡＢＳ面の前記磁気ヘッドのギャップ以外の部分
の表面に潤滑膜を形成したことを特徴とするものであ
る。

【０００９】また、請求項２に記載の発明に係る磁気ヘ
ッドの製造方法は、スライダのＡＢＳ面を磁気記録媒体
に対向させて前記磁気記録媒体の磁気情報処理を行なう
磁気ヘッドの製造方法において、前記磁気ヘッドのギャ
ップ部分を被覆し、この状態で、前記ＡＢＳ面をエッチ
ングにより所定量研削した後、前記ＡＢＳ面に前記研削
量に対応する膜厚の潤滑膜を形成したことを特徴とする
ものである。

【００１０】

【作用】本発明の磁気ヘッドによれば、スライダのＡＢ
Ｓ面の磁気ヘッドのギャップ以外の部分の表面に潤滑膜
を形成しているので、ＡＢＳ面の摩擦係数を著しく低減
させることができ、磁気ヘッドが磁気記録媒体に摺動す
る際における摩擦力が低減され、スライダのＡＢＳ面の
摩耗量を低減させることができ、磁気ヘッドが磁気記録
媒体に吸着するまでのＣＳＳ耐久回数を著しく向上させ
ることができる。また、本発明の磁気ヘッドの製造方法
によれば、磁気ヘッドのギャップ部分を被覆した状態
で、ＡＢＳ面をエッチングにより所定量研削した後、前
記ＡＢＳ面に前記研削量に対応する膜厚の潤滑膜を形成
するようにしているので、磁気ヘッドのギャップ部分に
対してエッチングや潤滑膜形成が行なわれてしまうこと
がなく、磁気ヘッドの特性を良好に保持することができ
るものである。

【００１１】

【実施例】以下、本発明の実施例を図１乃至図５を参照
して説明する。

【００１２】図１は本発明に係る磁気ヘッドを浮上式の
２レール型薄膜磁気ヘッドに適用した場合の一実施例を
示したもので、磁気ヘッド１を構成するスライダ２の図
示しない磁気記録媒体に対向するＡＢＳ面３の両側部に
は、間に負圧溝５が形成されるように２本のレール４，
４が突出形成されており、前記スライダ２の端面の前記
各レール４部分には、薄膜ヘッド６が形成されている。
さらに、本実施例においては、前記ＡＢＳ面３の前記各
レール４の表面には、潤滑膜８が形成されている。

【００１３】次に、前記構成の磁気ヘッド１の製造方法
について図２乃至図５を参照して説明する。

【００１４】本実施例においては、前記磁気ヘッド１を
設置するための治具９が設けられており、この治具９の
両端部には、前記磁気ヘッド１の薄膜ヘッド６形成側端
部を保持する被覆保持部１０および磁気ヘッド１の他端
部を保持する係止保持部１１がそれぞれ立上げ形成され
ている。前記被覆保持部１０の磁気ヘッド１の当接面に
は、前記薄膜ヘッド６のギャップ７および素子部分を被
覆するための凹部１２が形成されている。

【００１５】そして、前記治具９に前記スライダ２の端
面に所定の薄膜ヘッド６を積層形成してなる磁気ヘッド
１を、前記薄膜ヘッド６のギャップ７部分が前記治具９
の凹部１２に位置して前記被覆保持部１０により被覆さ
れるように装着する。

【００１６】次に、前記レール４の表面を、例えば、ド
ライエッチングあるいはウェットエッチング等の手段に
よりエッチングすることにより、前記ギャップ７部分を
除いたレール４の表面が一定量研削される。これによ
り、後の潤滑膜８形成処理によりレール４の表面が薄膜
ヘッド６のギャップ７部分に対して突出してしまうこと
を防ぐものである。

【００１７】その後、前記レール４の表面に前記エッチ
ング処理により研削された厚さ分の膜厚を有する潤滑膜
８を形成するものであり、前記治具９により前記薄膜ヘ
ッド６のギャップや部分には、潤滑膜８は形成されず、
薄膜ヘッド６の磁気特性に悪影響を及ぼすことを防止す
ることができるものである。

【００１８】このような潤滑膜８は、例えば、図４に示
すように、前記レール４の表面にＰＴＦＥ（ポリテトラ
フルオロエチレン）等の固形の潤滑剤１３が混入された
Ｎｉ、Ｃｕ等の金属１４をスパッタすることにより、潤
滑剤１３が分散された数μｍ厚の金属メッキを施して形
成することができる。また、他の潤滑膜８としては、例
えば、図５に示すように、スライダ２のＡＢＳ面３に形
成されたレール４に表面に多数の孔部１５が形成された
アルミナ層１６を形成し、このアルミナ層１６の孔部１
５に液状の潤滑剤１３を充填することにより形成するこ
とができ、さらに、前記レール４の表面に通常の潤滑剤
を塗布するようにしてもよい。

【００１９】本実施例においては、ＡＢＳ面３のレール
４の表面に、潤滑膜８を形成するようにしているので、
スライダ２を構成するフェライト等がＡＢＳ面３に露出
している場合に比べてＡＢＳ面３の摩擦係数を著しく低
減させることができるものである。

【００２０】したがって、本実施例においては、潤滑膜
８を形成することにより、前記ＡＢＳ面３の摩擦係数を
低減させることができるので、磁気ヘッド１が磁気記録
媒体に摺動する際における摩擦力が低減され、そのた
め、スライダ２のＡＢＳ面３の摩耗量を低減させること
ができ、磁気ヘッド１が磁気記録媒体に吸着するまでの
ＣＳＳ耐久回数を著しく向上させることができる。

【００２１】しかも、本実施例においては、前記ＡＢＳ
面３のレール４部分に潤滑膜８を形成する際に、薄膜ヘ
ッド６のギャップ７部分を被覆する治具９により保持す
るようにしているので、薄膜ヘッド６のギャップ７部分
に対してエッチングや潤滑膜８形成が行なわれてしまう
ことがなく、薄膜ヘッド６の特性を良好に保持すること
ができる。

【００２２】なお、前記実施例においては、薄膜磁気ヘ
ッドについて説明したが、薄膜磁気ヘッド以外のバルク
タイプの磁気ヘッド、すなわち、モノリシックタイプや
コンポジットタイプ等の磁気ヘッドにおいても同様に本
発明を適用することができ、いずれのタイプの磁気ヘッ
ドにおいてもスライダのＡＢＳ面のギャップ部以外の表
面に潤滑膜を形成することができる。

【００２３】さらに、前記実施例においては、ハードデ
ィスク装置における浮上式の磁気ヘッド１に適用した場
合について説明したが、フロッピィディスク装置におけ
る接触型の磁気ヘッドに適用することもでき、また、前
記潤滑膜８の代りに耐摩耗膜を形成するようにしてもよ
い。

【００２４】また、本発明は前記各実施例に限定される
ものではなく、必要に応じて種々変更することが可能で
ある。

【００２５】

【発明の効果】以上述べたように本発明に係る磁気ヘッ
ドおよびその製造方法は、スライダのＡＢＳ面に潤滑膜
を形成することにより、ＡＢＳ面の摩擦係数を低減させ
ることができるので、磁気ヘッドが磁気記録媒体に摺動
する際における摩擦力が低減され、そのため、スライダ
のＡＢＳ面の摩耗量を低減させることができ、磁気ヘッ
ドが磁気記録媒体に吸着するまでのＣＳＳ耐久回数を著
しく向上させることができる。また、ＡＢＳ面に潤滑膜
を形成する際に、薄膜ヘッドのギャップ部分を被覆する
ようにしているので、薄膜ヘッドのギャップ部分に対し
てエッチングや潤滑膜形成が行なわれてしまうことがな
く、薄膜ヘッドの特性を良好に保持することができる等
の効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る磁気ヘッドの一実施例を示す斜視
図

【図２】本発明の製造方法による治具に装着された磁気
ヘッドを示す平面図

【図３】図２の正面図

【図４】本発明の磁気ヘッドの潤滑膜の一実施例を示す
ＡＢＳ面の拡大断面図

【図５】本発明の潤滑膜の他の実施例を示すＡＢＳ面の
拡大断面図

【図６】従来の薄膜型の磁気ヘッドを示す斜視図

【符号の説明】

１ 磁気ヘッド ２ スライダ ３ ＡＢＳ面 ４ レール ６ 薄膜ヘッド ７ ギャップ ８ 潤滑膜 ９ 治具 １０ 被覆保持部 １１ 係止保持部 １２ 凹部 １３ 潤滑剤 １４ 金属メッキ １５ 孔部 １６ アルミナ層

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 スライダのＡＢＳ面を磁気記録媒体に対
   向させて前記磁気記録媒体の磁気情報処理を行なう磁気
   ヘッドにおいて、前記スライダのＡＢＳ面の前記磁気ヘ
   ッドのギャップ以外の部分の表面に潤滑膜を形成したこ
   とを特徴とする磁気ヘッド。
2. 【請求項２】 スライダのＡＢＳ面を磁気記録媒体に対
   向させて前記磁気記録媒体の磁気情報処理を行なう磁気
   ヘッドの製造方法において、前記磁気ヘッドのギャップ
   部分を被覆し、この状態で、前記ＡＢＳ面をエッチング
   により所定量研削した後、前記ＡＢＳ面に前記研削量に
   対応する膜厚の潤滑膜を形成したことを特徴とする磁気
   ヘッドの製造方法。