JPH06888A - 炭素繊維強化樹脂複合材料及びその製造方法 - Google Patents

炭素繊維強化樹脂複合材料及びその製造方法

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JPH06888A
JPH06888A JP4161073A JP16107392A JPH06888A JP H06888 A JPH06888 A JP H06888A JP 4161073 A JP4161073 A JP 4161073A JP 16107392 A JP16107392 A JP 16107392A JP H06888 A JPH06888 A JP H06888A
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carbon fiber
fiber
strength
fibers
composite material
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JP4161073A
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English (en)
Inventor
Hiromi Kimura
浩巳 木村
Masaki Shimada
政紀 島田
Shinichi Omiya
慎一 大宮
Kenji Kubomura
健二 久保村
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Nippon Steel Corp
Nippon Steel Chemical and Materials Co Ltd
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Nippon Steel Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、圧縮強度、曲げ強度、捩じり強度
を向上させた炭素繊維強化樹脂複合材料製管体を提供す
る。 【構成】 引張弾性率が400GPa 以上、引張強度が2
000MPa 以上で且つ一方向強化複合材料の圧縮強度が
100MPa 以上800MPa 以下、繊維径4μm以上15
μm以下のピッチ系炭素繊維Aの繊維束と、引張弾性率
200GPa 以上で圧縮強度及び圧縮歪みがAよりも高
く、繊維径がAより小さいポリアクリロニトリル系炭素
繊維の繊維束を用い、フィラメント・ワインディング法
により管体を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、炭素繊維強化樹脂複合
材料及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】炭素繊維強化樹脂複合材料(以下CFR
Pと略す)は、軽量で、且つ高強度、高弾性率の炭素繊
維を強化繊維として用いているため、比強度、比剛性が
高く、その特性を活かして種々の分野への適用が行われ
ている。その中でもパイプ形状などの軸対称物は、産業
機器用の各種ローラーやシャフト、各種のアーム、構造
物の支柱や、ゴルフシャフト、釣竿など様々な用途に用
いられている。
【0003】軸対称形状のCFRPの製造方法として
は、フィラメント・ワインディング法、プリプレグ積層
法、引き抜き成形法などがある。これらの製造方法のう
ち、引き抜き成形法は、生産性に優れるという特徴があ
るものの、繊維の方向が引き抜き方向に限られるため、
特殊な用途以外には用いられない。高性能なCFRPを
得るためには、複合材料中の繊維の量(Vf)を高く
し、繊維の配向方向に乱れがないように制御することが
大切である。
【0004】プリプレグ積層法は、プリプレグと呼ばれ
るシート状の中間素材を芯金に巻つける方法であり、軸
対称物の場合シート・ワインディング法とも呼ばれる
が、高いVfを得やすく、配向制御が比較的しやすく、
生産性が比較的高いなどの特長がある。これに対しフィ
ラメント・ワインディング法は、数百本乃至数万本の単
繊維を合一した繊維束を、樹脂含浸しつつ芯金(マンド
レル)に巻つける方法であり、繊維束の配向方向を精密
に制御することが可能な上、大型の成形物や厚肉の成形
物が製造できるという特長がある。
【0005】現在CFRPに使用されている炭素繊維と
しては、ポリアクリロニトリル(PAN)繊維を原料と
して製造されるPAN系炭素繊維が主流になっている。
しかしながら、PAN系炭素繊維は、原料のポリアクリ
ロニトリル繊維が高価で、しかも炭化収率が低いために
必然的に高価格なものとなっており、その用途は、航空
・宇宙関係、スポーツ・レジャー関係などの限られた分
野になっている。
【0006】一方、炭素質ピッチを原料とするピッチ系
炭素繊維は、原料が安くしかも炭化収率が高いために、
安価に製造できるという特徴を持っている。特に原料と
してメソフェースを40%以上、好ましくは60%以上
含有するメソフェースピッチを用いたメソフェースピッ
チ系炭素繊維は、安価でしかも高性能な炭素繊維を与え
る可能性を持つものとして注目されている。
【0007】一般にメソフェースピッチ系炭素繊維にお
いては、原料であるメソフェースピッチの持つ易配向
性、易黒鉛化性を利用することによって容易に高配向
で、しかも高黒鉛化性を持つ炭素繊維が製造でき、従っ
て弾性率の高い繊維が製造できることが知られている。
例えば、特開昭49−19127号公報には炭素層面が
3次元に発達し、黒鉛化性が高く、また弾性率に優れる
メソフェースピッチ系炭素繊維及びその製造方法が開示
されている。
【0008】しかしながら、メソフェースピッチ系炭素
繊維(以下ピッチ系炭素繊維)は、易黒鉛化性という特
徴を活かして高弾性率品が開発されてきているものの、
高弾性になるほどそのCFRPは圧縮強度が低くなると
いう相反する性質があり、PAN系の炭素繊維のように
CFRPの引張強度と圧縮強度のバランスが取れていな
いと言われている。
【0009】第15回複合材料シンポジウム講演要旨
集,105(1990)で報告されているように最近の
詳細な研究によると、ピッチ系高弾性炭素繊維を用いた
一方向CFRPの圧縮の応力−歪み線図には、歪みの増
加に伴って傾き(弾性率)が減少するという負の非線形
性がある。一般に引張弾性率400GPa 以上のピッチ系
炭素繊維においては、圧縮破断時の傾きが、初期の傾き
の60%以下に減少する。このために平板の圧縮試験で
は、試験片が剪断座屈などのモードで破壊を起こし、圧
縮強度及び破断歪みが小さく測定されるものと考えられ
る。前記のピッチ系炭素繊維は、現状では引張強度が2
000MPa 以上に対し、一方向CFRPの圧縮強度が8
00MPa 以下であるため、構造材料として用いられる特
性の改善が要求されている。
【0010】炭素繊維の圧縮強度を改善する手法とし
て、ハイブリッドとよばれる、異種繊維を組み合わせる
手法がある。例えば特公平2−42098号公報には、
異なるグレード品の炭素繊維の組み合わせにより、炭素
繊維を補強して曲げ強度を向上させる例が開示されてい
るが、異種繊維の分布状況や具体的な製造方法は開示さ
れていない。前記公報によると、補強用の繊維径は大き
いほど、補強のためには有利であるとされている。
【0011】また特開平2−292337号公報には、
炭素繊維に、圧縮強度の高い異種繊維を一様に分散させ
ることにより、曲げ強度が向上することが開示されてい
る。前記公報によると、圧縮強度の向上のためには炭素
繊維と異種繊維が一様に分散していることが不可欠であ
る。一つの層内に炭素繊維の領域と異種繊維の領域を隣
接して形成されたいわゆる層内ハイブリッドや、炭素繊
維の層と異種繊維の層とを積層して成形されたいわゆる
層間ハイブリッドでは、弱い繊維から順に低い破断歪み
で破断するため、圧縮強度の向上は不充分である。
【0012】従って、炭素繊維を用いてハイブリッドに
より圧縮強度を向上させるためには太径の繊維を一様に
分散させることが不可欠であった。フィラメント・ワイ
ンディング法を用いてこのような繊維を一様に分散させ
たCFRPを製造することは、非常に困難であり、実質
的に不可能である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、軸対称形状
のCFRPにおいて、繊維軸方向の圧縮強度を向上させ
ることにより、圧縮、曲げ、捩じりなど、強化繊維に対
して圧縮力が作用する荷重に対する強度を向上させたC
FRPと、フィラメント・ワインディング法によるその
製造方法を提供するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、連続的に芯金
に繊維を巻つけて成形された軸対称形状の炭素繊維強化
複合材料において、繊維が同一方向に配向している層の
うちの少なくとも一つが、引張弾性率が400GPa 以
上、引張強度が2000MPa 以上で且つ一方向強化複合
材料の圧縮強度が100MPa 以上800MPa 以下であ
り、繊維の直径が4μm以上15μm以下のピッチ系炭
素繊維(A)と、引張弾性率が200GPa 以上で且つ炭
素繊維(A)よりも一方向強化複合材料の圧縮強度及び
圧縮破壊歪みが高く、繊維の直径が炭素繊維(A)の直
径よりも小さいポリアクリロニトリル系炭素繊維
(B)、及びマトリックス樹脂より構成され、炭素繊維
(A)と炭素繊維(B)は、各々が500本以上の単繊
維よりなる繊維束として合一され、且つ両炭素繊維は繊
維束を単位として混合していることを特徴とする炭素繊
維強化樹脂複合材料及びその製造方法である。
【0015】なお、本発明で規定される繊維引張強度及
び繊維引張弾性率は、JIS R7601で規定される
樹脂含浸ストランド法により得られた値である。また、
本発明で規定される一方向強化複合材料の圧縮強度は、
ASTM D3410Aで規定される所謂セラニーズ法
に従って圧縮試験を行なった結果を、繊維体積含有率6
0%に換算した値である。また、圧縮破壊歪みは、圧縮
試験時に試験片に歪みゲージを貼付して測定した値であ
る。
【0016】以下本発明を図面を用いて詳細に説明す
る。図1は本発明によるフィラメント・ワインディング
法により、CFRPのパイプを成形する場合の成形方法
の概念を示す斜視図である。なお、このようなフィラメ
ント・ワインディング法は、当業者にはよく理解される
ところである。
【0017】引張弾性率が400GPa 以上、引張強度が
2000MPa 以上で且つ一方向強化複合材料の圧縮強度
が100MPa 以上800MPa 以下であり、繊維の直径が
4μm以上15μm以下のピッチ系炭素繊維(A)の繊
維束1と、引張弾性率が200GPa 以上で且つ炭素繊維
(A)よりも一方向強化複合材料の圧縮強度及び圧縮破
壊歪みが高く、繊維の直径が炭素繊維(A)の直径より
も小さいポリアクリロニトリル系炭素繊維(B)の繊維
束2を所定の割合で組み合わせて引き出し、含浸槽3で
未硬化の樹脂を含浸させた後、デリバリーアイ4を通し
てマンドレル5に巻つける。
【0018】この時、デリバリーアイ4を、マンドレル
5の軸心方向にトラバースさせることにより繊維束の配
向角を精密に制御することが可能である。配向角は、成
形物の外周と、マンドレル5の回転速度、及びデリバリ
ーアイ4のトラバース速度により決定される。必要角
度、必要厚さに炭素繊維を巻つけたマンドレルは、加熱
して樹脂を硬化させた後、マンドレル5を脱芯し、必要
な形状のパイプを得る。
【0019】フィラメント・ワインディングの方法とし
てはこれのみに限定されるわけではなく、例えば含浸槽
3を用いずに、シングルトウ・プリプレグなどと呼ばれ
る予め樹脂を含浸させた繊維束を用いることも可能であ
る。また、用途・目的によっては、マンドレルを脱芯せ
ずに嵌め殺しにして用いることも可能である。
【0020】本発明に使用される炭素繊維(A)は、ピ
ッチ系炭素繊維であり、引張弾性率が400GPa 以上、
好ましくは450GPa 以上であり、引張強度が2000
MPa以上で且つ一方向強化複合材料の圧縮強度が100M
Pa 以上で800MPa 以下であり、繊維の直径が4μm
以上15μm以下である。即ち、引張弾性率が400GP
a 以上のピッチ系炭素繊維(A)は、引張強度は構造材
料として用いられるのに充分な2000MPa 以上を達成
することができるが、その場合でも、圧縮強度はそれに
比べて極度に低く、一方向CFRPの圧縮強度は800
MPa 以下にしかならない。
【0021】このような機械的特性を示すピッチ系炭素
繊維は、応力−歪み線図において、圧縮破断時の傾きが
初期の傾きの60%以下に減少するため、後述するよう
に炭素繊維(B)によって補強効果が生じる。炭素繊維
(A)の引張強度は、2000MPa 以上であれば実質
上、構造材料として使用されるのに充分である。また、
上限として特に規定されるべき値はなく、引張強度の高
いものほど構造材料として使用されるためには有利であ
る。
【0022】この場合、繊維径は4μm以上15μm以
下、好ましくは7μm以上11μm以下のものが用いら
れる。15μmを超える繊維径では取り扱いの上で不利
であり、例えば毛羽立ちが激しくなるため、生産性の低
下につながる。即ち繊維が太いほうが、繊維の破断伸度
が同じ場合、繊維1本を曲げた場合の破断たわみ量が小
さく、そのため繊維が破断しやすくなり、その結果毛羽
が立ちやすくなるためである。また4μm未満の繊維径
では現状では炭素繊維の製造が困難である。
【0023】なお、圧縮強度の下限は特に規定されるべ
きものではないが、圧縮強度があまりに低すぎた場合、
構造材料として使用されるに充分な強度まで強化される
ことができないため、一方向CFRPの圧縮強度が10
0MPa 以上、好ましくは200MPa 以上のものが使用さ
れる。
【0024】補強用の繊維としては、物性のバランスの
面から炭素繊維であることが望ましいが、その場合、炭
素繊維(A)の圧縮時の弾性率の低下による剪断座屈を
防ぐための補強の役割を果たすものであるから、炭素繊
維(B)は圧縮強度及び圧縮破壊歪みが炭素繊維(A)
よりも大きい必要があり、また、補強材としての効果を
充分に発揮するためには繊維の引張弾性率が200GPa
以上であることが必要である。
【0025】この条件を満足するものであれば炭素繊維
として特に規定されるものではないが、現状の特性を鑑
みると、前記炭素繊維は、ポリアクリロニトリルを原料
とするPAN系炭素繊維を用いることがよい。また、繊
維径としては、直径が炭素繊維(A)の直径よりも小さ
いものがよい。本発明による炭素繊維(A)と炭素繊維
(B)の組み合わせでは、補強用に用いられる炭素繊維
(B)は、特公平2−42098号公報に示されている
ような炭素繊維(A)よりも太い繊維である必要はな
い。従って、生産性をあげるためには、毛羽立ちを抑え
るために炭素繊維(B)は炭素繊維(A)よりも細いこ
とが好ましい。
【0026】炭素繊維(A)及び炭素繊維(B)は、5
00〜24000本程度の単繊維を合糸した繊維束(ス
トランド)として用いられる。炭素繊維(A)及び炭素
繊維(B)の繊維束は、通常はボビンに巻かれて用いら
れる。
【0027】炭素繊維(A)及び炭素繊維(B)の繊維
束が巻かれた必要本数のボビンは、解舒装置にセットさ
れ、引き出される。この場合、数本の繊維束を合一し、
1本の大きな繊維束の如くに扱われる。炭素繊維(A)
及び炭素繊維(B)の繊維束のそれぞれの必要本数は、
所望のそれぞれの繊維の断面比率と、繊維束1本当たり
の断面積より求められる。
【0028】引き出された繊維束は、合一される前、あ
るいは合一された後に、含浸槽を通すことにより液状樹
脂が含浸される。この場合、必要であれば、加熱して樹
脂粘度を下げることや、ダイスを通して樹脂量を制御す
ることが行なわれる。使用するマトリックス樹脂として
は、エポキシ樹脂が、成形性や物性の面から望ましい
が、必要に応じて、不飽和ポリエステル樹脂、フェノー
ル樹脂、ポリイミド樹脂などの他の熱硬化性樹脂を用い
ることも可能である。また、例えば、エキポシ樹脂をポ
リイミド樹脂やフェノール樹脂、ゴム成分などで変性し
て用いることもできる。
【0029】含浸槽を用いる場合には上記のような熱硬
化性樹脂のみを用いることが可能であるが、樹脂を含浸
させた繊維束である所謂シングルトウ・プリプレグを用
いる場合には、前記熱硬化性樹脂だけでなく、ナイロ
ン、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエー
テルエーテルケトン(PEEK)などの熱可塑性樹脂を
用いることもできる。マトリックス樹脂は使用目的によ
り任意に選択すればよい。
【0030】炭素繊維の巻つけ角は、特に規定されるも
のではなく、設計の都合により選択すればよい。CFR
Pは炭素繊維の繊維軸方向に強化されるため、例えばパ
イプ形状のCFRPに主に軸方向の引張力や圧縮力が作
用する場合には、巻つけ角はマンドレルの軸方向に対し
て極力0°に近づけることが好ましい。しかしながらフ
ィラメント・ワインディング法で0°に巻つけることは
不可能であるため、実用上は例えば±5°程度とするの
が有効である。
【0031】この際、本発明の方法による圧縮強度の改
善は、単にCFRPの圧縮強度を改善するだけでなく、
以下の理由により、曲げ荷重強度をも向上させることが
できる。即ち断面形状が軸対称であるCFRP部材に
は、曲げ荷重により、引張応力と曲げ応力が同時に作用
し、その最大応力はほぼ同じ大きさである。そのため圧
縮強度の低いCFRPは、曲げ荷重により、圧縮側より
破壊する。
【0032】従って本発明の方法によりCFRPの圧縮
強度を改善することにより、曲げ強度を改善することが
できる。また、捩じり荷重が主に作用する場合には、巻
つけ角をマンドレル軸に対して±45°にすることが有
効である。捩じり荷重により、マンドレル軸に対して+
45°側の繊維に引張応力、−45°側繊維に圧縮応力
が作用するか、あるいはその逆の応力が作用する。この
とき、引張と圧縮の応力はほぼ同じ大きさであるため、
圧縮強度が引張強度に較べて弱いCFRPにおいては、
圧縮強度を改善することで捩じり強度をも改善すること
ができる。また、管体を潰すような圧壊の力が主に作用
する場合には、巻つけ角を軸に対して90°にすること
が有効である。
【0033】また、巻つけ角は1通りである必要はな
く、2種類以上の角度よりなる層を組み合わせることも
可能である。また、このとき、各層の強化繊維は同一で
ある必要はない。例えば、引張荷重と捩じり荷重が同時
に作用するようなCFRPパイプの場合、引張を受け持
つ±5°層と捩じりを受け持つ±45°層から構成する
ことが一般的である。この場合、±5°層を必要な厚さ
だけ巻つけた後、巻つけ角を変えて重ねて±45°層を
巻つけることが有効である。
【0034】この場合、±45°層は圧縮強度が必要と
されるため、本発明の炭素繊維(A)と炭素繊維(B)
を混合して用いる方法が有効である。しかしながら±5
°層は圧縮強度を必要としないため、炭素繊維(A)の
みを用いることが可能である。あるいは±5°層には炭
素繊維(B)のみを用いること、あるいは全く別の強化
繊維(C)を用いること、さらには前記3種の繊維
(A),(B),(C)のうち2種または3種を混合し
て用いることも可能である。このように層の数、各層に
おける繊維の巻つけ角、層の厚さ、炭素繊維(A)及び
炭素繊維(B)の混合の割合などは得られるCFRPの
必要性能により決定すればよい。
【0035】フィラメント・ワインディング法により成
形された炭素繊維強化樹脂複合材料の形状としては、前
記のパイプ形状が代表的であるが、テーパーのついた円
錐形状や、瓢箪型の形状も成形可能である。さらには矩
形のマンドレルなどを使用することにより、軸対称形状
以外のCFRPも成形可能である。
【0036】
【作用】本発明を用いることにより、炭素繊維(A)を
用いた一方向CFRPの繊維軸方向の、圧縮強度と圧縮
破断歪みの両方を高めることができる。この場合、炭素
繊維(A)は、CFRP全体が圧縮破壊するまでは破壊
せずに保持されるため、繰り返し負荷に耐えることがで
きる。
【0037】通常のハイブリッドでは、圧縮荷重を負荷
した場合の複合材料は、炭素繊維(A)の破断歪みで試
験片全体が破断すると考えられるが、本発明によるCF
RPは、炭素繊維(A)の破断歪みよりも大きな破断歪
みを示す。その詳細な理由は明らかではないが、以下の
ように考えられる。すなわち、最近の詳細な研究による
と、高弾性炭素繊維を用いた一方向CFRPの圧縮の応
力−歪み線図には、歪みの増加に伴って傾きが減少する
負の非線形性があり(例えば第15回複合材料シンポジ
ウム講演要旨集,105(1990))、このためにセ
ラニーズ法による平板の圧縮試験では、試験片が剪断座
屈などのモードで破壊を起こし、圧縮強度及び破断歪み
が小さく測定されるものと考えられる。
【0038】従って、材料が本来有する圧縮破断歪みは
平板の圧縮試験で得られる値より大きいものと推定され
る。そのため、圧縮時に、炭素繊維を、圧縮強度と圧縮
破壊歪みの大きい炭素繊維で支持することにより、材料
が本来持っていた圧縮歪みを発現しやすくなるものと考
えられる。
【0039】これを図示すると、図2のようになる。図
2は、CFRPの圧縮における応力−歪み線図の一例で
ある。図2において6はピッチ系炭素繊維(A)単味、
7は炭素繊維(B)単味、8は例としてピッチ系炭素繊
維(A)と炭素繊維(B)を体積比1:1に混合した場
合のCFRPの曲線である。
【0040】6には負の非線形性が見られる。従って、
炭素繊維(A)単味でのCFRPのセラニーズ法による
平板の圧縮試験では、応力1の時点で試験片の破壊に至
る。このときの歪みは歪み1である。一方、炭素繊維
(B)には非線形性はあまり見られず、応力2、歪み2
の時点で破壊する。炭素繊維(A)と炭素繊維(B)を
体積比1:1に混合してCFRPにした場合、炭素繊維
(A)は歪み1と歪み2の間である歪み3まで破壊せず
保持され、この時点(応力3)で炭素繊維(A)が破壊
し、全体の試験片が破壊するものと考えられる。この場
合、応力3は応力1と応力2の間に位置する。
【0041】この場合、歪み1以上の圧縮歪みを受けた
炭素繊維(A)は、歪み3において試験片全体が破壊す
るまでは破壊することなく保持されている。従って、歪
み1以上の圧縮歪みを受けた試験片について引張荷重を
かけた場合でも、もとの強度、剛性を保持している。即
ち、本発明によるCFRPは、静的な繰り返し負荷にも
耐えうるものである。
【0042】また、上記による繊維軸方向の圧縮強度の
改善は、単にCFRPの繊維軸方向の圧縮強度を改善す
るだけでなく、曲げや、捩じりなどの強化繊維に圧縮応
力を生じさせ、且つ、その圧縮応力がCFRP部材の破
壊原因となる場合の強度についても改善するものであ
る。
【0043】
【実施例】本実施例において、繊維体積含有率60%の
一方向CFRPの繊維方向圧縮強度は、セラニーズ法に
よる測定値であり、圧縮破壊歪みは歪みゲージによる値
である。
【0044】実施例1 繊維引張弾性率500GPa 、繊維引張強度3500MPa
、繊維体積含有率60%の一方向CFRPの繊維方向
圧縮強度540MPa 、圧縮破壊歪み0.3%、繊維径
9.5μmのピッチ系炭素繊維3000本を集束した繊
維束1と、繊維引張弾性率230GPa 、繊維引張強度3
530MPa 、繊維体積含有率60%の一方向CFRPの
繊維方向圧縮強度1600MPa 、圧縮破壊歪み1.0
%、繊維径7μmのPAN系炭素繊維12000本を集
結した繊維束2を用いた。
【0045】炭素繊維束1及び炭素繊維束2の所定の本
数を解舒して引きだし、含浸槽3において未硬化のエキ
ポシ樹脂(油化シェルエポキシ製エピコート828 1
00部+テトラヒドロメチル無水フタル酸 100部)
を含浸し、所定の角度になるように、金属製マンドレル
(直径25mm、長さ1000mm)に巻つけた。
【0046】巻つけ角度は3種類である。3種類の角度
層は、内側からそれぞれ第1層が繊維巻つけ角がマンド
レル軸に対し±5°で厚さが0.786mm、第2層が繊
維巻つけ角±45°で厚さ0.274mm、第3層が繊維
巻つけ角90°で厚さ0.14mmである。このうち、第
2層と第3層については上記炭素繊維束2のみを使用し
た。第1層は本発明の方法を用いたが、その繊維の構成
は、表1に示すとおりである。なお、比較例として、炭
素繊維束1のみを用いたもの及び炭素繊維束2のみを用
いたものについても測定した。
【0047】
【表1】
【0048】繊維束を巻つけたマンドレルは、150℃
で5時間加熱して樹脂を硬化した後、脱芯した。成形さ
れた管体にはガラス繊維強化樹脂複合材料製のタブをつ
け、万能試験機で圧縮試験を行ない、圧縮強度を測定し
た。また、併せて歪みゲージにより、圧縮歪みを測定
し、圧縮弾性率を算出した。その結果を表1に示す。な
お、圧縮強度は、Vf60%に換算している。この結
果、±5°層に炭素繊維1に炭素繊維2を混ぜて製造し
たCFRPパイプは、±5°層に炭素繊維1のみを使用
した物に比較して圧縮強度が向上している。
【0049】実施例2 実施例1と同様の方法で管体の圧縮試験を行なった。但
し、第1層には、繊維束1と、繊維引張弾性率377GP
a 、繊維引張強度4400MPa 、繊維体積含有率60%
の一方向CFRPの繊維方向圧縮強度1100MPa 、圧
縮破壊歪み0.5%、繊維径5μmのPAN系炭素繊維
12000本を集束した繊維束3を用いた。それぞれの
繊維束の構成比及び、圧縮強度、圧縮弾性率の測定結果
を表2に示す。
【0050】
【表2】
【0051】この結果、±5°層に炭素繊維1に炭素繊
維2を混ぜて製造したCFRPパイプは、±5°層に炭
素繊維1のみを使用した物に比較して圧縮強度が向上し
ている。
【0052】
【発明の効果】本発明のCFRPは、圧縮強度、圧縮破
壊歪みのいずれもピッチ系炭素繊維のみを用いたCFR
Pよりも向上し、静的繰り返し負荷にも耐えるようにな
る。この圧縮強度、圧縮破壊歪みの向上により、CFR
Pの曲げ強度、曲げ破壊歪み、捩じり強度、捩じり破壊
歪みも向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフィラメント・ワインディング法によ
るCFRPの製造方法の概念図である。
【図2】一方向CFRPの圧縮の応力−歪み線図であ
る。
【符号の説明】
1 炭素繊維(A)の繊維束 2 炭素繊維(B)の繊維束 3 樹脂含浸槽 4 デリバリーアイ 5 マンドレル 6 炭素繊維(A)を用いたCFRPの曲線 7 炭素繊維(B)を用いたCFRPの曲線 8 炭素繊維(A)と(B)を体積比1:1に混合した
CFRPの曲線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大宮 慎一 富津市新富20−1 新日本製鐵株式会社技 術開発本部内 (72)発明者 久保村 健二 川崎市中原区井田1618番地 新日本製鐵株 式会社先端技術研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 引張弾性率が400GPa 以上、引張強度
    が2000MPa 以上で且つ一方向強化複合材料の圧縮強
    度が100MPa 以上800MPa 以下であり、繊維の直径
    が4μm以上15μm以下のピッチ系炭素繊維(A)の
    繊維束と、引張弾性率が200GPa 以上で且つ炭素繊維
    (A)よりも一方向強化複合材料の圧縮強度及び圧縮破
    壊歪みが高く、繊維の直径が炭素繊維(A)の直径より
    も小さいポリアクリロニトリル系炭素繊維(B)の繊維
    束が、同一成形物中に含まれるように、炭素繊維(A)
    の繊維束と炭素繊維(B)の繊維束を同時に同一方向に
    芯金に巻つけるフィラメント・ワインディング法により
    成形することを特徴とする炭素繊維強化樹脂複合材料の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 連続的に芯金に繊維を巻つけるフィラメ
    ント・ワインディング法により成形された軸対称形状の
    炭素繊維強化複合材料において、繊維が同一方向に配向
    している層のうちの少なくとも一つが、引張弾性率が4
    00GPa 以上、引張強度が2000MPa 以上で且つ一方
    向強化複合材料の圧縮強度が100MPa 以上800MPa
    以下であり、繊維の直径が4μm以上15μm以下のピ
    ッチ系炭素繊維(A)と、引張弾性率が200GPa 以上
    で且つ炭素繊維(A)よりも一方向強化複合材料の圧縮
    強度及び圧縮破壊歪みが高く、繊維の直径が炭素繊維
    (A)の直径よりも小さいポリアクリロニトリル系炭素
    繊維(B)、及びマトリックス樹脂より構成され、炭素
    繊維(A)と炭素繊維(B)は、各々が500本以上の
    単繊維よりなる繊維束として合一され、且つ両炭素繊維
    は繊維束を単位として混合していることを特徴とする炭
    素繊維強化樹脂複合材料。
JP4161073A 1992-06-19 1992-06-19 炭素繊維強化樹脂複合材料及びその製造方法 Withdrawn JPH06888A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010138928A (ja) * 2008-12-09 2010-06-24 Nsk Ltd 直動装置の製造方法

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