JPH06885U - 車両用表示装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 表示器７の表面に第一の偏光板９と第一の１
／４波長板10を設ける。第一の偏光板９の偏光軸に対し
て90度偏光軸を異ならせた第二の偏光板11と第二の１／
４波長板12とから成るカバー部材13を両１／４波長板1
0，12が対向するように表示器７とコンバイナ３との間
に所定の角度傾けて設ける。 【効果】 太陽光Ｓは、カバー部材13によってコンバイ
ナ３側への反射が抑制され、太陽光Ｓによる表示像15の
視認性の低下及び表示器７の劣化を従来よりも抑えるこ
とができる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、いわゆるヘッドアップディスプレイと称する車両用の表示装置とし て使用するに適したものに関する。

【０００２】

【従来の技術】

車速，走行距離，燃料残量又は時刻等の運転情報を、運転者前方のコンバイナ 例えばフロントガラス内面に蒸着等の手段で設けた光透過性金属薄膜に投影させ ることにより、表示器から発せられた表示光線に基づく表示像をフロントガラス 外側の前方視野内に結像させ、視野内の風景と重なるようにして見せるようにし た表示装置が開発され、例えば特開平３−２００４２６号，同２００４２７号公 報に開示されている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

かかる表示装置では、フロントガラスから車両の室内へ太陽光が入って来ると 表示器まで逆入射することがあり、この場合には太陽光が表示器の表面で反射し てコンバイナ側へ照射され、表示像がウォッシュアウト状態となって視認性が低 下してしまう。

【０００４】 このような問題を解決するため、例えば実開平４−３９９３２号，同５５４１ ８号公報に開示されている無反射部材を用いて表示器の表面に無反射コーティン グを施すことにより、太陽光がコンバイナへ照射されることを防ぐことが考えら れるが、完全な無反射は不可能であり、0.2 ％程度の反射率が現在のところ限界 である。従って、10⁶ cd／ｍ² 以上の太陽光が入射すると約2000cd／ｍ² の反射 光がコンバイナへ照射されることとなり、これは表示像を惑わすには十分であっ てやはり視認性の低下は免れない。

【０００５】

【課題を解決するための手段】 本考案は、表示器からの表示光線を運転者の前方に配置したコンバイナで前記 運転者側へ反射させることにより、前記表示光線に応じた表示像を虚像にて前記 運転者の前方に結像させる車両用表示装置において、前記表示器の表面に第一の 偏光板と第一の１／４波長板とを設け、この偏光板の偏光軸に対して90度偏光軸 を異ならせた第二の偏光板と第二の１／４波長板とから成るカバー部材を前記両 １／４波長板が対向するように前記表示器と前記コンバイナとの間に所定の角度 傾けて設けたものである。

【０００６】

【作用】

車両の室内に入った太陽光はカバー部材によってコンバイナ側への反射が抑制 される。

【０００７】

【実施例】

以下、本考案の実施例を添付図面を参照して説明する。

【０００８】 図１は本実施例の概略構成を示しており、同図において、１は車両２のフロン トガラスであり、その内面には蒸着等の手段で設けた光透過性金属薄膜から成る コンバイナ３が付設してある。４は不透光性の材料から成るインストルメントパ ネル（インパネ）であり、その上面に後述するプロジェクタに連通する開口窓５ が設けられている。６はインパネ４内に設けられたプロジェクタであり、このプ ロジェクタ６は運転情報を数字や絵等で表示するよう表示光線Ｌを発する表示器 ７を内蔵し、プロジェクタ６内に表示器７からの表示光線Ｌが通過する光通路８ を有している。

【０００９】 表示器７の表面には例えば偏光軸を紙面と平行に沿わせた第一の偏光板９とそ の上に光線の軸方向を45度ねじる第一の１／４波長板10とが積層状態に貼着して ある。

【００１０】 また、光通路８内であって表示器７とコンバイナ３との間には第一の偏光板９ の偏光軸に対して90度偏光軸を異ならせたすなわち偏光軸を紙面と垂直に沿わせ た第二の偏光板11と第二の１／４波長板12とから成るカバー部材13を両１／４波 長板10，12が対向するように所定の角度傾けて設けてある。

【００１１】 なお、14は運転者、15はフロントガラス１の外側前方に結像された表示像、16 は風景、Ｓは太陽光である。

【００１２】 かかる構成において、例えば車速センサ（図示しない）で検出される車速は、 表示器７から数字の形態をした例えば緑色の表示光線Ｌとして放射され、この表 示光線Ｌは第一の偏光板９で紙面に平行な偏光となり、第一の１／４波長板10で 光軸が45度ねじられる。次に、表示光線Ｌはカバー部材13に達すると、第二の１ ／４波長板12で光軸が45度ねじられて紙面に垂直な偏光となり第二の偏光板11の 偏光軸と平行になりカバー部材13を透過する。その後、フロントガラス１のコン バイナ３に向けて放射され、運転者14側へ反射され、こにより運転者14はフロン トガラス１の外側前方に表示像15を風景16と重ねて見ることができる。

【００１３】 一方、プロジェクタ６の光通路８に向けてフロントガラス１を透過した太陽光 Ｓは、カバー部材13の第二の偏光板11により紙面と平行な成分がフロントガラス １側へ反射する。この反射光Ｓ１はカバー部材13が傾斜しているためコンバイナ ３へは到達せず、表示像15の妨げとならない。

【００１４】 また、太陽光Ｓの紙面と垂直な成分は第二の偏光板11を透過した後、第二の１ ／４波長板12で光軸が45度ねじられて第一の１／４波長板10の表面で反射し、再 び第二の１／４波長板12で光軸が45度ねじられて第二の偏光板11の偏光軸とは直 交することとなり、従って、太陽光Ｓの透過光Ｓ２はカバー部材13を透過しない 。なお、太陽光Ｓの透過光Ｓ２のうち、第一の１／４波長板10を透過して第一の 偏光板９の表面あるいは表示器７の表面で反射するものもあるが、これらは僅か である。

【００１５】 このように、本実施例においては、表示光Ｌの光通路８に向かう太陽光Ｓが、 カバー部材13によって、コンバイナ３側へ反射して表示像15を惑わしたり、表示 器７に達して表示器７を加熱して劣化させる等の問題を防止することができ、表 示光Ｌは、偏光板９，11及び１／４波長板10，12により減衰されるものの高輝度 型の表示器７を選択することにより、従来と同様コンバイナ３で反射して運転者 14側に導かれ、表示像15を風景16と重ねて見ることができる。

【００１６】 ちなみに、偏光板９，11として市販品（日東電工製：品名ＮＰＦ−ＱＥ−１０ −３９）を用いると、平行透過率は30.5％，直交透過率は0.05％であり、１／４ 波長板11，13として市販品（ルケオ製：品名ＲＥＴＡＸ−１／４λ）の視覚波長 領域における透過率が95％以上で表面反射率が４％であることから、表示器７と して12万cd／ｍ² の高輝度ハロゲンランプをバックライトとして有するＳＴＮア クティブマトリクス型液晶表示素子を選択した場合、第一の偏光板９からの表示 光線Ｌの明るさとして約36000 cd／ｍ² を実現できることから、コンバイナ３に おける表示光線Ｌの明るさは、36000 ×0.95×0.95×0.305 ≒１万cd／ｍ² とな る。一方、太陽光Ｓのうちコンバイナ３側へ向かう透過光Ｓ２の明るさは、10⁶ ×0.305 ×0.95×0.04×0.95×0.0005≒5.5 cd／ｍ² であり、Ｌ＞＞Ｓ２となる ことが分かる。

【００１７】 なお、本考案は前記実施例に限定されるものではなく、本考案の要旨の範囲内 において種々の変形実施が可能であり、例えば表示器７は蛍光表示素子でも良い 。

【００１８】 また、コンバイナ３をフロントガラス１の下端近くに設け、表示像16を風景17 と重ねずに見せる表示装置とすることもできる。

【００１９】

【考案の効果】

本考案は、表示器からの表示光線を運転者の前方に配置したコンバイナで前記 運転者側へ反射させることにより、前記表示光線に応じた表示像を虚像にて前記 運転者の前方に結像させる車両用表示装置において、前記表示器の表面に第一の 偏光板と第一の１／４波長板とを設け、この偏光板の偏光軸に対して90度偏光軸 を異ならせた第二の偏光板と第二の１／４波長板とから成るカバー部材を前記両 １／４波長板が対向するように前記表示器と前記コンバイナとの間に所定の角度 傾けて設けたものであり、車両の室内に入った太陽光はカバー部材によってコン バイナ側への反射が抑制され、太陽光による視認性の低下及び表示器の劣化を防 止し得る車両用表示装置を提供できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例の構成を示す概略説明図。

【図２】図１の要部拡大図。

【符号の説明】

３ コンバイナ ７ 表示器 ９ 第一の偏光板 10 第一の１／４波長板 11 第二の偏光板 12 第二の１／４波長板 13 カバー部材 14 運転者 15 表示像 16 風景 Ｌ 表示光線 Ｓ 太陽光

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 内山 忠洋 新潟県長岡市藤橋１丁目190番地１ 日本 精機株式会社アール・アンド・デイ・セン ター内 (72)考案者 中静 勝己 新潟県長岡市藤橋１丁目190番地１ 日本 精機株式会社アール・アンド・デイ・セン ター内

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 表示器からの表示光線を運転者の前方に
   配置したコンバイナで前記運転者側へ反射させることに
   より、前記表示光線に応じた表示像を虚像にて前記運転
   者の前方に結像させる車両用表示装置において、前記表
   示器の表面に第一の偏光板と第一の１／４波長板とを設
   け、この偏光板の偏光軸に対して90度偏光軸を異ならせ
   た第二の偏光板と第二の１／４波長板とから成るカバー
   部材を前記両１／４波長板が対向するように前記表示器
   と前記コンバイナとの間に所定の角度傾けて設けたこと
   を特徴とする車両用表示装置。