JPH0688133A - フランジ加工性とイヤリング性の優れた缶用極薄鋼板の製造法 - Google Patents

フランジ加工性とイヤリング性の優れた缶用極薄鋼板の製造法

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JPH0688133A
JPH0688133A JP13271192A JP13271192A JPH0688133A JP H0688133 A JPH0688133 A JP H0688133A JP 13271192 A JP13271192 A JP 13271192A JP 13271192 A JP13271192 A JP 13271192A JP H0688133 A JPH0688133 A JP H0688133A
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Kuniaki Maruoka
邦明 丸岡
Yoshikuni Furuno
嘉邦 古野
Yasuhiko Yamashita
康彦 山下
Masayuki Matsuda
真之 松田
Masato Ueda
正人 上田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 板厚が製缶業者の要求通りに薄く、なおかつ
フランジ加工性の優れた溶接用極薄鋼板およびイヤリン
グ性等の優れた2ピース缶用極薄鋼板の製造法。 【構成】 C:0.0015%以下、N:0.0100
%以下に加えて、Ti:3.4×([N重量%]−0.
0010)%以上、0.02%以下、Nb:6.6×
([N重量%]−0.0010)%以上、0.03%以
下、B:0.79×([N重量%]−0.0010)%
以上、0.0040%以下を含有する鋼片を、850℃
以上の仕上温度で熱間圧延し、冷延し、焼鈍し、10%
〜50%で2次冷間圧延し、硬さと引張強さを特定した
ことを特徴とする、板厚が0.26mm以下でフランジ加
工性の優れた溶接缶用極薄鋼板およびイヤリング性の優
れた2ピース缶用極薄鋼板の製造法。 【効果】 缶強度とフランジ加工性、イヤリング性、D
WI加工性を両立させ、薄手化に対応が可能。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、溶接缶や2ピース缶な
どに使用されるフランジ加工性とイヤリング性の優れた
缶用極薄鋼板の製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、3ピース缶の胴体接合は、は
んだ付け、樹脂接着、溶接などの方法で行われている。
その中で、鋼板歩留まり向上のために、接合代を少なく
できる溶接による方法が、近年主流になりつつある。
【0003】この溶接管の製造工程において、溶接した
缶胴に蓋をつけるために、缶胴の端部に直径方向外側に
向かって延出するフランジ部を形成する工程があり、こ
れをフランジ加工と呼ぶ。フランジ加工の際フランジ部
に缶の内容物が漏れる原因となる割れ、すなわちフラン
ジ割れと呼ばれる欠陥を生じることがある。このフラン
ジ加工においてフランジ割れの発生しにくい性能を、以
下フランジ加工性と称する。フランジ割れを生じる原因
は、溶接による接合不良、鋼板の加工性不良、鋼板の介
在物による応力集中と加工性劣化、溶接部の硬化による
応力集中、溶接熱影響部の軟化による局部変形などがあ
る。
【0004】一方、2ピース缶胴の加工法にはDWI法
およびDRD法などがあるが、何れも絞りを含む加工に
よって円盤状のブランク板からカップ上の2ピース缶胴
(正確には胴と底が一体となった部品)を作る製缶法で
ある。その際、加工性の異方性から、加工後の胴の高さ
が円周方向に沿って一定とならず、加工後の胴の上端が
円周方向に波打つイヤリングと呼ばれる現象がある。イ
ヤリングを生じている胴の上端の凸部を耳またはイヤと
称し、一般に耳の高さでイヤリングの程度が判断され
る。耳の部分はネック加工の前にトリマーで切り取られ
るので、イヤリングが大きいと材料の歩留まりが低下す
る問題がある。このイヤリングをできるだけ小さくする
性能をイヤリング性と称する。2ピース缶の製造工程に
もフランジ加工があり、フランジ加工性は2ピース缶に
おい手も重要な特性である。
【0005】さて、省資源の観点から、製缶業者は缶用
鋼板製造業者にますます板厚の薄い缶用鋼板を要求する
趨勢にある。しかし、鋼板が薄くなるほどフランジ加工
性を劣化し、缶強度を低下する問題があった。従って、
板厚が製缶業者の要求通りに薄く、なおかつ所定のフラ
ンジ加工性および缶強度を確保できる缶用鋼板を供給す
ることが、缶用鋼板製造業者にとって焦眉の課題となっ
ている。
【0006】従来、板厚の薄手化に伴う缶強度の低下に
は鋼板の硬さを硬くして対処していた。このような薄鋼
板としては、特開昭51−131413号公報に見られ
るように、熱間圧延鋼板を冷間圧延し、焼鈍した後、再
度冷間圧延を行う2回冷間圧延方式により製造した鋼
板、いわゆるダブル・レデュースド鋼板があった。
【0007】しかし、このダブル・レデュースド鋼板
は、溶接缶用鋼板として使用する場合、2次冷間圧延率
が高いほど冷間圧延歪に起因する鋼板の加工性劣化およ
び溶接熱影響部の軟化が著しく、溶接後フランジ加工で
フランジ割れを起こしやすくなるという欠点があった。
また、このダブル・レデュースド鋼板は、2ピース缶用
鋼板として使用する場合、2次冷間圧延率が高いほど冷
間圧延歪に起因するDWI加工性およびDRD加工性
(以下DWI加工性で代表する)の劣化(すなわち加工
金型の摩耗の昂進、加工エネルギーの増大)、および1
次冷間圧延と2次冷間圧延を合わせた総合冷間圧延率が
高くなることによるイヤリング性の劣化が生じる問題も
あった。
【0008】従って、板厚が製缶業者の要求通りに薄
く、なおかつフランジ加工性の優れた溶接缶用鋼板鋼板
およびイヤリング性・DWI加工性の優れた2ピース缶
用鋼板を製造するためには、2次冷間圧延率を低くしな
ければならない。しかし、2次冷間圧延率を低くする
と、鋼板の強度が低下し、所要の缶強度が得られないと
いう問題がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
点を解決し、板厚が製缶業者の要求通りに薄く、なおか
つフランジ加工性およびイヤリング性・DWI加工性に
の優れた缶用極薄鋼板の製造法を提供することを目的と
するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するために、成分、熱間圧延条件および2次冷
間圧延条件などを詳細に検討した結果、成分を適切に制
御すること、特にC含有量を極限まで低減することと、
熱間圧延条件および2次冷間圧延条件の制御などとの組
合わせにより、板厚が製缶業者の要求通りに薄く、なお
かつフランジ加工性とイヤリング性・DWI加工性の優
れた缶用鋼板が製造できることを知見した。
【0011】本発明はこの知見に基づいて構成されたも
のであり、その要旨とするところは、重量%で C :0.0015%以下、 Mn:0.05〜0.40%、 P :0.06%以下、 S :0.06%以下、 酸可溶Al:0.10%以下、 N :0.00100%以下、 残部が鉄および不可避的不純物からなる熱鋼片(スラ
ブ)を、850℃以上の仕上温度で熱間圧延した後、6
20−453.3/([ppm単位のN含有量] +1.3)
℃以上かつ720℃以下で捲取り、酸洗し、冷間圧延
し、再結晶焼鈍し、10%〜50%以下の圧下率で2次
冷間圧延を施し、HR30−T硬さが58以上かつ圧延
方向の引張強さが40kgf/mm2 でフランジ加工性とイヤ
リング性の優れた缶用極薄鋼板の製造法にある 以下に本発明を詳細に説明する。C含有量は本発明の最
も重要な構成要件である。C含有量が0.0015%を
超えると、板厚の0.26mm以下でHR30−T硬さが
58以上かつ圧延方向の引張強さが40kgf/mm2 以上と
なるように10%〜50%という高い圧下率で2次冷間
圧延を施された溶接缶用極薄鋼板のフランジ加工性を劣
化し、また同じく2次冷間圧延を施された2ピース缶用
極薄鋼板のイヤリング性・DWI加工性・・フランジ加
工性を劣化するので、0.0015%以下に限定した。
【0012】そのメカニズムは明かではないが、まず本
発明鋼を溶接缶用極薄鋼板に適用した場合に優れたフラ
ンジ加工性を示す理由は、C量が極端に低いため通常の
鋼で観察される溶接部の硬化現象が見られないことか
ら、硬化部への応力集中が起こらないこと、また、本発
明鋼はC量が極端に低く延性に有害な炭化物が存在しな
いためか10%〜50%という高い圧下率で2次冷間圧
延を施しても高い局部性を示すことから、フランジ加工
における素材の潜在的変形能が高いことが考えられる。
【0013】次に、本発明鋼を2ピース缶用極薄鋼板に
適用した場合に優れたイヤリング性を示す理由は、本発
明鋼はC量が低く成分の高純度化が著しいため、イヤリ
ング性を支配する集合組織が改善される。また、優れた
DWI加工性を示す理由としては、本発明ではC量が極
端に低くフェライトより硬質の炭化物が存在しないた
め、同じ圧下率の2次冷間圧延を施しても、C量の比較
的多い本発明外の鋼は炭化物の周囲に高い歪が蓄積され
るが本発明鋼は内部蓄積歪量が小さく、DWI加工の変
形抵抗が小さいことが考えられる。より薄い板厚でフラ
ンジ加工性の優れた溶接缶用極薄鋼板および2ピース缶
用極薄鋼板を製造するためには、C含有量を0.001
0%以下にすることが望ましい。
【0014】Mnは、その量が0.05%を下回ると熱
間脆性を生じ、缶用鋼板を製造することができないの
で、0.05%以上含有させる必要がある。一方、その
量が0.40%を超えると鋼板が過度に硬質化してフラ
ンジ加工性およびDWI加工性が劣化し、さらにC量の
低減で得られた成分の高純度化効果を減殺してイヤリン
グ性を劣化すると共に、コスト高となるのでので、0.
05〜0.40%に限定した。
【0015】Pは敢えて添加する必要はないが、鋼を著
しく硬化する不可避的不純物元素であり、この量が0.
06%を超えると鋼板が過度に硬質化してフランジ加工
性およびDWI加工性が劣化し、またC量の低減で得ら
れた成分の高純度化効果を減殺してイヤリング性を劣化
すると共に、耐食性が劣化するので、上限を0.06%
とする。より優れたフランジ加工性、DWI加工性、イ
ヤリング性および耐食性を得るためには、0.02%以
下にすることが望ましい。
【0016】Sも敢えて添加する必要はないが、熱間脆
性を昂進させる不可避的不純物元素であり、この量が
0.06%を超えると、熱間脆性のため缶用鋼板を製造
できないので、その上限を0.06%に限定した。より
好ましいのは0.02%以下である。
【0017】酸可溶Alも敢えて添加する必要はない
が、他の品種との鋼成分集約の観点から、0.100%
以下であれば、添加しても本発明の効果は失われない。
ただしこの量が0.100%を超えると、Al2 3
介在物が増えて製缶加工時にフランジ割れやDWI加工
性の劣化などの原因となり、またコスト高ともなるの
で、その上限を0.100%に限定した。
【0018】Nも敢えて添加する必要はないが、鋼を硬
化させる不可避的不純物元素であり、この量が0.01
00%を超えると、鋼板が過度に硬質化してフランジ加
工性およびDWI加工性が劣化し、またC量の低減で得
られた成分の高純度化効果を減殺してイヤリング性を劣
化するので、その上限を0.0100%に限定した。
【0019】上記のような成分組成の鋼は、次に述べる
製造工程と相俟って本発明の目的が達成できる。以下に
製造工程条件について述べる。上記のような成分組成の
鋼は、転炉、電気炉などの通常の溶解炉を用い、連続鋳
造法または造塊分塊法で熱鋼片(スラブ)とし、熱間圧
延に供する。該熱鋼片の熱間圧延前の熱履歴は問わな
い。すなわち、連続鋳造後冷却することなくそのまま加
熱炉に挿入して熱間圧延を開始してもよいし、加熱炉で
の均熱をも省略して直ちに熱間圧延を開始するするいわ
ゆる直送圧延も可能である。もちろん一旦冷却した後、
加熱炉で再加熱してもよい。
【0020】鋼片を再加熱する場合、その再加熱温度は
問わない。ただし、本発明においては熱間圧延仕上温度
を850℃以上に確保することが必須であるので、熱間
圧延作業上仕上温度が確保できないような過度に低い再
加熱温度をとることはできない。通常の熱間圧延設備の
場合、再加熱温度が1000℃を下回ると、仕上温度を
850℃以上に確保することが困難となるので、再加熱
温度は1000℃以上とすることが望ましい。
【0021】熱間圧延仕上温度もC含有量とならんで本
発明の最も重要な構成要件の一つである。熱間圧延仕上
温度が850℃を下回ると、以下に述べる理由で本発明
の目的を達することができない。まず、オーステナイト
組織とフェライト組織が混在して圧延され、熱間圧延鋼
帯の板厚制御が困難となる結果、冷間圧延での板厚制御
が困難となり、製品鋼板の板厚精度が劣化すると共に、
しばしば冷間圧延作業中に板破断を起こす。板厚0.2
6mm以下の溶接缶用極薄鋼板および2ピース缶用極薄鋼
板を製造するにあたって、これは致命的欠点である。ま
た、仕上温度が850℃を下回ると、熱間圧延鋼帯にイ
ヤリング性に有害な集合組織が形成される結果、製品鋼
板のDWI加工やDRD加工時におけるイヤリングが大
きくなって、製缶業者における歩留まりを劣化させる。
従って熱間圧延仕上温度は、850℃以上に限定する必
要がある。
【0022】熱間圧延捲取温度は、これが720℃を超
えると、熱間圧延鋼帯のスケール生成量が過度に多くな
り、酸洗工程の生産性を阻害するので、その上限を72
0℃に限定した。一方、捲取温度が低すぎても、理由は
明らかでないがフランジ加工性、DWI加工性およびイ
ヤリング性が劣化することがわかった。そこで、所定の
フランジ加工性、DWI加工性およびイヤリング性を確
保するために必要な捲取温度の下限を詳細に調査した結
果、N量との関係において620−453.3/([ppm
単位のN含有量] +1.3)℃を下回るとそれらの特性
が劣化することがわかった。そこで捲取温度の下限を6
20−453.3/([ppm単位のN含有量] +1.3)
℃に限定した。
【0023】熱間圧延の終了した鋼帯は、常法により、
酸洗し、冷間圧延し、再結晶焼鈍を施される。再結晶焼
鈍の後、2次冷間圧延を行う。2次冷間圧延の圧下率
は、これが10%を下回ると、HR30−T硬さが58
以上でかつ圧延方向の引張強さが40kgf/mm2 以上なる
強度を確保できず、缶強度が不足するので、その下限を
10%に限定した。また、その圧下率が50%を超える
と鋼板が過度に硬質化してフランジ加工性およびDWI
加工性を劣化するので、その上限を50%に限定した。
特に、イヤリング性のさらに優れた2ピース缶用極薄鋼
板を製造するには、1次冷間圧延と2次冷間圧延を合わ
せた総合冷間圧延圧下率(すなわち熱間圧延鋼帯板厚に
対する最終製品板厚の圧下率)が88%以上になるよう
に、1次冷間圧延圧下率および2次冷間圧延圧下率を選
択することが望ましい。鋼板のHR30−T硬さを58
以上でかつ圧延方向の引張強さが40kgf/mm2以上と規
定するのは、板厚の薄手化を補って所定の缶強度確保す
るためである。本発明の製造方法による鋼板に施される
表面被覆は、その方法を問わない。すなわち、錫めっ
き、ニッケルめっき、特殊な下地処理後に極薄目付けの
錫めっきを行う方法、あるいは高分子有機フィルムを張
り付けたものなど、溶接缶用鋼板および2ピース缶用鋼
板に用いられるいかなる表面被覆であっても、本発明の
作用効果は発揮される。
【0024】本発明鋼を2ピース缶に適用する場合、そ
の製缶方法はその製缶方法はDWI加工法、多段絞り加
工法でも本発明の効果は発揮される。本発明鋼を3ピー
ス缶に適用する場合、本発明鋼は、製缶業者における板
取り方向の制約を取り除き、ノーマル法(鋼板の圧延方
向が缶胴の軸方向に直角となるような板取り法)、リバ
ース法(鋼板の圧延方向が缶胴の軸方向に平行となるよ
うな板取り法)、およびそれらの混在の何れの板取りで
も製缶可能である。また、接着缶に対しても本発明の効
果は発揮される。
【0025】
【実施例】表1記載の成分を有する鋼を転炉で溶製し、
スラブを室温まで冷却した後、表2記載のスラブ再加熱
温度まで再加熱し、それぞれ同表記載の熱延条件で板厚
3.0mmまで熱間圧延し、酸洗し、冷間圧延し、連続焼
鈍し、同表記載の2次冷間圧延圧下率で板厚0.17mm
まで2次冷間圧延し、極薄錫めっきを行った。
【0026】このようにして得られた極薄錫めっき鋼板
のロックウェル硬さ(HR30−T)、引張強さ、フラ
ンジ加工性、イヤリング性およびパネリング強度を表3
に示す。ここで、ロックウェル硬さの評価はJIS Z
2245に準拠して行った。引張強さの評価はJIS
Z2241に準拠して行った。フランジ加工性の評価
は、本発明者らの実験室のフランジ成形機にて溶接缶の
フランジ加工のシュミレーションを行った場合の破断発
生までの加工率で行った。この加工率は、本発明者らの
実験室における測定法の場合、9.0%以上が需要家に
おいても合格と評価されることがわかっているので、
9.0%以上を「合格」、9.0%未満を「不合格」と
判定した。
【0027】イヤリング性の評価は、実験室の絞り加工
機でカップ成形を行い、イヤリングの山の平均高さと谷
の平均高さの差を谷の平均高さで除した値を百分率で表
して求めた。本発明者らの実験室の絞り加工機の場合、
イヤリング率が3.5%以下であれば、2ピース缶を製
造する需要家においても問題がないことがわかっている
ので、イヤリング率3.5%以下を「合格」、3.5%
超を「不合格」と判定した。パネリング強度の評価は、
実験室のワイヤ・シーム溶接機で缶胴を製作し、胴の両
端にラバー製のライナーを押し付けることによって一時
的に密閉した後、真空ポンプで缶内の空気を徐々に排出
し、パネリング(外圧による缶胴のへこみ)が生じた瞬
間の外気圧と内圧の差を測定することによって行った。
本発明者らの実験室でのこのような測定の場合、パネリ
ング強度が2.20kg/cm2 以上であればどの需要家に
おいても缶強度が合格と評価されることがわかっている
ので、測定されたパネリング強度が2.20kg/cm2
上を「合格」、2.20kg/cm2 未満を「不合格」と判
定した。これらの表において、本発明の請求範囲から外
れた数値は下線をつけて示してある。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
【表3】
【0031】表1ないし表3からわかるように、本発明
鋼は硬さが58以上でかつ引張強さが40kgf/mm2 以上
の高い強度を持つため、板厚の薄手化に伴う缶強度の低
下を十分に補償することができ、しかも伸びフランジ加
工率に優れている。一方、本発明外のうち、製品番号9
〜11は成分が本発明範囲を逸脱しているための思われ
るフランジ加工性不良を示す。製品番号12は熱間圧延
の仕上温度が本発明範囲を逸脱しているためか、冷間圧
延時に鋼帯破断を起こし、破断していない部分の板厚変
動も大きく、製品を得ることができなかった。製品番号
13は熱間圧延の捲取温度が本発明範囲を逸脱している
ためと思われる缶強度不足を示す。製品番号14と15
は2次冷間圧延の圧下率が本発明範囲を逸脱しているた
めと思われる缶強度不足またはフランジ加工性不良を示
す。
【0032】
【発明の効果】本発明は、溶接缶用鋼板および2ピース
缶用鋼板を薄手化するにあたって、従来の技術では両立
できなかった缶強度とフランジ加工性・イヤリング性・
DWI加工性を両立させることに成功し、フランジ加工
性の優れた溶接缶胴用極薄鋼板およびイヤリング性の優
れた2ピース缶用極薄鋼板の製造法を提供するものであ
り、その工業的価値は極めて大きい。
【手続補正書】
【提出日】平成5年4月16日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正内容】
【0011】本発明はこの知見に基づいて構成されたも
のであり、その要旨とするところは、重量%で C :0.0015%以下、 Mn:0.05〜0.40%、 P :0.06%以下、 S :0.06%以下、 酸可溶Al:0.10%以下、 N :0.0100%以下、 残部が鉄および不可避的不純物からなる熱鋼片(スラ
ブ)を、850℃以上の仕上温度で熱間圧延した後、6
20−453.3/([ppm単位のN含有量] +1.3)
℃以上かつ720℃以下で捲取り、酸洗し、冷間圧延
し、再結晶焼鈍し、10%〜50%以下の圧下率で2次
冷間圧延を施し、HR30−T硬さが58以上かつ圧延
方向の引張強さが40kgf/mm2 でフランジ加工性とイヤ
リング性の優れた缶用極薄鋼板の製造法にある 以下に本発明を詳細に説明する。C含有量は本発明の最
も重要な構成要件である。C含有量が0.0015%を
超えると、板厚の0.26mm以下でHR30−T硬さが
58以上かつ圧延方向の引張強さが40kgf/mm2 以上と
なるように10%〜50%という高い圧下率で2次冷間
圧延を施された溶接缶用極薄鋼板のフランジ加工性を劣
化し、また同じく2次冷間圧延を施された2ピース缶用
極薄鋼板のイヤリング性・DWI加工性・・フランジ加
工性を劣化するので、0.0015%以下に限定した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松田 真之 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1番1号 新 日本製鐵株式会社八幡製鐵所内 (72)発明者 上田 正人 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1番1号 新 日本製鐵株式会社八幡製鐵所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で C :0.0015%以下、 Mn:0.05〜0.40%、 P :0.06%以下、 S :0.06%以下、 酸可溶Al:0.10%以下、 N :0.00100%以下、 残部が鉄および不可避的不純物からなる熱鋼片(スラ
    ブ)を、850℃以上の仕上温度で熱間圧延した後、6
    20−453.3/([ppm単位のN含有量] +1.3)
    ℃以上かつ720℃以下で捲取り、酸洗し、冷間圧延
    し、再結晶焼鈍し、10%〜50%以下の圧下率で2次
    冷間圧延を施し、HR30−T硬さが58以上かつ圧延
    方向の引張強さが40kgf/mm2 としたことを特徴とする
    フランジ加工性とイヤリング性の優れた缶用極薄鋼板の
    製造法。
JP13271192A 1992-05-25 1992-05-25 フランジ加工性とイヤリング性の優れた缶用極薄鋼板の製造法 Withdrawn JPH0688133A (ja)

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