JPH0687987B2 - チユ−ブミルの制御方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明のチューブミル（以下、単にミルという）の制
御方法に関するものである。

一般に、セメント工業等の原料若しくはクリンカの粉砕
において、ミルの粉砕音響からミル内新原料供給量を自
動的に制御する、所謂音響制御は公知である。これは、
ミル内の粉砕物、ボール、内張りライナー等の相互間の
衝突の際に発生する音響がミル内滞留量のレベルの程度
と対応することから、ミル音響の平常レベル値を設定
し、これからの偏差に応じミル内新原料供給量を増減す
るものである。この音響制御では、中仕切により２室に
区画されるミルにおいて、１室、２室の負荷のバランス
がとれていれば、特に問題なく制御が可能である。しか
しながら、ミル内新供給原料の硬度、粒度、温度の変化
あるいはボール、ライナーの摩耗の程度等各種外乱によ
り、１室、２室の負荷のバランスはくずれることが多
い。

第１図及び第２図は、中仕切Ａにより２室に区画される
ミルにおいて、横軸にマイクロフォンによるミル音響の
測定位置、縦軸に音響レベルをとり、ミルの入口から出
口までの各所における音響レベルを測定したものであ
る。

第１図に示すように、音響レベルはミルの各所において
異なるが、１室、２室の負荷のバランスがとれていれ
ば、特にマイクロフォンの設置箇所にこだわることな
く、音響レベルが高くミル全体の負荷が小さい状態（実
線（イ））でミル内新原料供給量を増加し、逆に音響レ
ベルが低くミル全体の負荷が大きい状態（破線（ロ））
で供給量を減少することにより、適正な制御が可能であ
る。しかしながら、第２図に示すように、１室では音響
レベルが高く負荷が小さいにもかかわらず、２室では音
響レベルが低く負荷が大きい、所謂２室詰りの傾向を示
す状態（実線（ハ））、又逆に、１室では音響レベルが
低く負荷が大きいにもかかわらず、２室では音響レベル
が高く負荷が小さい、所謂１室詰りの傾向を示す状態
（破線（ニ））に負荷のバランスがくずれると、もはや
適正な制御は不可能となる。例えば、ミル１室側の音響
信号に基ずいて、ミル内新原料供給量を制御していれ
ば、第１図、第２図において、実線（イ）と（ハ）及び
破線（ロ）と（ニ）の変化は区別できない。すなわち、
適正な制御が可能な（イ）若しくは（ロ）の状態から、
前述の各種外乱等により、（ハ）若しくは（ニ）の状態
に変化すると、この制御では、これらのアンバランスを
益々助長し、ついには完全なミル詰りをおこし、運転不
能に陥る虞がある。

このように従来の音響制御では、第２図のようなミル詰
り傾向を示す状態になると、適正な制御は不可能で、ミ
ルオペレータ等の監視を常時必要とする不完全な制御に
ならざるをえない欠点がある。

従ってこの発明は、負荷のバランスがとれている第１図
の状態と共に、ミル詰り傾向を示す第２図の状態をも考
慮することにより、上述の欠点を解消し、各種外乱によ
るミル負荷の変動に対して、きめ細かな制御を可能にし
たミルの制御方法を提供することを目的とし、その構成
は、中仕切により２室に区画されるチューブミルにおい
て、各室に設けた音響検出器の音響信号から、ミル全体
の負荷を反映するミル内滞留量のレベルを示す数値
（Ｘ）と、ミル詰り傾向を示す数値（Ｙ）を下記式、 Ｘ＝px1＋qx2 （１） Ｙ＝−qx1＋px2 （２） （但し、x1は１室側音響レベル、x2は１室側音響レベ
ル、ｐ、ｑはミル運転条件によって決定される係数を示
す。） により演算し、前記演算値Ｙが予め設定した限界設定値
内のときは、前記演算値Ｘを制御量としてミル内新原料
供給量を増減操作し、前記演算値Ｙが予め設定した限界
設定値外のときは、前記演算値Ｘの値にかかわらずミル
内新原料供給量を低減、若しくは停止操作することを特
徴とする。

以下、その詳細を図面に基ずいて説明する。

第３図は、中仕切により２室に区画されるミルにおい
て、１室側音響レベル（x1）を横軸、２室側音響レベル
（x2）を縦時にとり、ミル各種運転条件における音響分
布図を示したものである。図において、領域ａ及びｂは
第２図の破線（ニ）及び実線（ハ）に対応し、それぞれ
１室詰り及び２室詰りを示す領域である。又領域ｃは第
１図に示す状態に対応し、１室、２室の負荷のバランス
がとれている領域である。

この発明は、このような音響分布から、負荷のバランス
がとれ、ミル全体の負荷を反映するミル内滞留量のレベ
ルを示す数値（Ｘ）として、 Ｘ＝px1＋qx2 ・・・（１） 又、ミル詰り傾向を示す数値（Ｙ）として、 Ｙ＝−qx1＋px2 ・・・（２） を、演算し、それぞれの演算値に基ずいてミル内新原料
供給量を制御する。

ここで、係数ｐ、ｑは、ミル各種運転条件において、実
験的に求められる第３図の音響分布からあらかじめ決定
される。具体的には、最も１室、２室の負荷バランスが
とれ、ミル全体の負荷を最も反映する領域ｃの分布の中
心に直線（Ｓ）を描き、この直線（Ｓ）の式、Y0＝−qx
1＋px2から決定される。

このように係数ｐ、ｑが決定されると、前記（２）式は
直線（Ｓ）との偏差が大きいほどミル詰り傾向を示すこ
とになる。そこで、直線Ｙ＝−qx1＋px2において、領域
ａ及びｂにおける境界線（Ｔ）及び（Ｕ）上のＹの値
を、それぞれ限界設定値Y1、Y2として定め、前記（２）
式の演算値Ｙが比較される。

すなわち、 Y1＜Ｙ＝−qx1＋px2 のとき、１室詰りと判断し、 Y2＞Ｙ＝−qx1＋px2 のとき、２室詰りと判断する。

一方、Ｘ＝px1＋qx2は、直線Ｙ＝−qx1＋px2と直交する
直線（Ｖ）を示し、この直線（Ｖ）におけるＸの値は、
ミル全体の負荷を反映したものになる。すなわち、Ｘの
値が大きいときは、１室、２室とも音響レベルが高く第
１図の実線（イ）に対応し、ミル全体の負荷が小さく、
Ｘの値が小さくなるにつれ、負荷が大きくなってくる。

従って、前記（２）式の演算値（Ｙ）が、 Y2＜Y1＜Y1 において、（１）式の演算値（Ｘ）を制御量として、ミ
ル内新原料供給量を増減操作し、ミル全体の負荷を制御
する通常の制御を行い、 Y1＜Ｙ、又は、Y2＞Y1 において、Ｘの値如何にかかわらず、ミル内新原料供給
量を低減、若しくは停止操作することにより、よりきめ
細かな制御が可能となる。

次に第４図は、この発明の制御方法の１実施例を説明す
る概略図で、原料供給機１、ミル２、マイクロフォン3
a、3b、変換器4a、4b、演算器５、設定器６等から構成
される。ミル２は中仕切Ａにより１室側2a、２室側2bに
区画され、ミル内で粉砕された原料は、閉回路粉砕系が
構成されていれば、図示しないバケットエレベータ、エ
アセパレータ等に送られ、エアセパレータで分級後、微
粉は製品として回収され粗粉はミル内に戻されて再粉砕
される。音響検出器としてのマイクロフォン3a、3bはミ
ル１室側2a、及び２室側2bそれぞれの負荷特性を検出す
べく、それぞれの室に近接して設けられる。そして、マ
イクロフォン3a、3bから検出された音響信号x1、x2は、
変換器4a、4bを経て演算器５へ供給される。演算器５で
は、この音響信号x1、x2に基ずいて、前述の式（１）、
（２）が演算され、この演算値Ｘ、Ｙに基ずいて、設定
器６から、前述したようなミル内新原料の制御信号が出
力され、原料供給機１に与えられる。

以上説明したように、この発明によれば、中仕切により
２室に区画されるチューブミルにおいて、各室それぞれ
の音響信号から、ミルの負荷特性とミル詰り傾向を検出
し、これらを総合判断してミル内新原料供給量を制御す
るので、きめ細かな制御が可能となり、ミル詰り等のト
ラブルもなく、ミルの安定化が図れると共に、粉砕量を
高め、効率よい運転が可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図、第２図は、ミル各所における音響レベルのパタ
ーン図を示し、第３図、第４図は、この発明の制御方法
の１実施例を説明する概略図で、それぞれ音響分布図、
ブロック図を示す。 図中、 １……原料供給機 ２……ミル 3a、3b……マイクロフォン 4a、4b……変換器 ５……演算器 ６……設定器 である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】中仕切りにより２室に区画されるチューブ
   ミルにおいて、各室に設けた音響検出器の音響信号か
   ら、ミル全体の負荷を反映するミル内滞留量のレベルを
   示す数値（Ｘ）と、ミル詰り傾向を示す数値（Ｙ）を下
   記式、 Ｘ＝px1＋qx2 （１） Ｙ＝−qx1＋px2 （２） （但し、x1は１室側音響レベル、x2は１室側音響レベ
   ル、ｐ、ｑはミル運転条件によって決定される係数を示
   す。） により演算し、前記演算値Ｙが予め設定した限界設定値
   内のときは、前記演算値Ｘを制御量としてミル内新原料
   供給量を増減操作し、前記演算値Ｙが予め設定した限界
   設定値外のときは、前記演算値Ｘの値にかかわらずミル
   内新原料供給量を低減、若しくは停止操作することを特
   徴とするチューブミルの制御方法。