JPH0686603B2 - Ｆｅ―Ｎｉ複合鋼粉の複合化度合の評価方法 - Google Patents
Ｆｅ―Ｎｉ複合鋼粉の複合化度合の評価方法Info
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- JPH0686603B2 JPH0686603B2 JP61228414A JP22841486A JPH0686603B2 JP H0686603 B2 JPH0686603 B2 JP H0686603B2 JP 61228414 A JP61228414 A JP 61228414A JP 22841486 A JP22841486 A JP 22841486A JP H0686603 B2 JPH0686603 B2 JP H0686603B2
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- Powder Metallurgy (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、高強度を要求される各種焼結部品に使用され
る粉末治金用の複合合金鋼粉の複合化度合の評価方法に
関する。
る粉末治金用の複合合金鋼粉の複合化度合の評価方法に
関する。
［従来の技術］ 粉末治金法により得られる焼結部品は、材料歩留りが優
れ加工費が低いので複雑な形状の部品を低コストで得ら
れる利点がある。
れ加工費が低いので複雑な形状の部品を低コストで得ら
れる利点がある。
また、最近は合金鋼粉によって高強度を有する焼結部品
が得られるようになり、焼結部品の適用範囲が広がりつ
つある。
が得られるようになり、焼結部品の適用範囲が広がりつ
つある。
特に、純鉄粉をベースとし熱処理によって合金成分粉末
を部分的に拡散付着したいわゆる複合鋼粉は、高圧縮性
に加えて成形された後の熱処理の際の寸法変化が小さ
く、かつ高水準の強度を有する焼結体が得られる点で注
目されている（例えば、特公昭45-9649号公報、特開昭6
1-130401号公報）。
を部分的に拡散付着したいわゆる複合鋼粉は、高圧縮性
に加えて成形された後の熱処理の際の寸法変化が小さ
く、かつ高水準の強度を有する焼結体が得られる点で注
目されている（例えば、特公昭45-9649号公報、特開昭6
1-130401号公報）。
通常、合金成分がベース鉄粉中に完全に拡散すると、鉄
粉が硬くなり、その結果鉄粉の圧縮性が著しく低下す
る。しかし複合鋼粉では、合金成分のベース鉄粉への拡
散は全く微小であり、高い圧縮性が得られる。従って熱
処理中の寸法変化を小さく抑えながら、高密度の焼結体
を得ることができる。この焼結体の高密度が高強度の必
要条件となる。
粉が硬くなり、その結果鉄粉の圧縮性が著しく低下す
る。しかし複合鋼粉では、合金成分のベース鉄粉への拡
散は全く微小であり、高い圧縮性が得られる。従って熱
処理中の寸法変化を小さく抑えながら、高密度の焼結体
を得ることができる。この焼結体の高密度が高強度の必
要条件となる。
また、合金成分がベース鉄粉中に全く拡散していない場
合、すなわち、ベース鉄粉と合金成分粉末との混合粉で
は、圧粉体中に合金成分の偏析を生じる。この偏析は、
熱処理後においてさえも残存し、その結果、このような
鉄粉は機械的特性が低い。しかし複合鋼粉では合金成分
はベースの鉄粉との部分拡散により付着しているのでこ
のような偏析が生じることはなく、高い機械的特性が得
られる。すなわち、複合鋼粉としては、高圧縮性を有
し、合金成分粉末がすべてベース鉄粉に部分拡散するこ
とによって確実に均一に付着した鋼粉が高性能であると
言うことができる。
合、すなわち、ベース鉄粉と合金成分粉末との混合粉で
は、圧粉体中に合金成分の偏析を生じる。この偏析は、
熱処理後においてさえも残存し、その結果、このような
鉄粉は機械的特性が低い。しかし複合鋼粉では合金成分
はベースの鉄粉との部分拡散により付着しているのでこ
のような偏析が生じることはなく、高い機械的特性が得
られる。すなわち、複合鋼粉としては、高圧縮性を有
し、合金成分粉末がすべてベース鉄粉に部分拡散するこ
とによって確実に均一に付着した鋼粉が高性能であると
言うことができる。
以上のように複合鋼粉の高性能は、いずれもベース鉄粉
と合金成分粉末との部分拡散付着に起因しているのであ
る。ところがこの部分拡散の様子は、鋼粉表面のEPMA
（Ｘ線マイクロアナライザ）観察あるいは、鋼粉の粒度
別の化学分析等によりある程度知ることができるが、複
合鋼粉全体の部分拡散の程度を把握することができず、
最も高い性能が得られる部分拡散の程度も知られていな
かった。その結果、従来の複合鋼粉の性能も十分なもの
とは言えなかった。
と合金成分粉末との部分拡散付着に起因しているのであ
る。ところがこの部分拡散の様子は、鋼粉表面のEPMA
（Ｘ線マイクロアナライザ）観察あるいは、鋼粉の粒度
別の化学分析等によりある程度知ることができるが、複
合鋼粉全体の部分拡散の程度を把握することができず、
最も高い性能が得られる部分拡散の程度も知られていな
かった。その結果、従来の複合鋼粉の性能も十分なもの
とは言えなかった。
［発明が解決しようとする問題点］ 本発明は以上の事情に鑑みてなされたもので、最も高性
能（高圧縮性と高機械的特性）が得られるように、ベー
ス鉄粉と合金成分粉末とが部分拡散した複合鋼粉の評価
方法を提供することを目的とするものである。
能（高圧縮性と高機械的特性）が得られるように、ベー
ス鉄粉と合金成分粉末とが部分拡散した複合鋼粉の評価
方法を提供することを目的とするものである。
本発明は特開昭61-130401号公報に開示されているNi,C
u,Mo入りの複合鋼粉に対し、特にFe-Niの拡散に関係す
る面間隔d200を測定し、この値が適当な範囲にあるか否
かにより優れた圧粉密度と機械的特性を示すか否かの複
合度合を評価する方法を提供する点にある。
u,Mo入りの複合鋼粉に対し、特にFe-Niの拡散に関係す
る面間隔d200を測定し、この値が適当な範囲にあるか否
かにより優れた圧粉密度と機械的特性を示すか否かの複
合度合を評価する方法を提供する点にある。
［問題点を解決するための手段］ 前述のように、従来ベース鉄粉への合金成分粉末の拡散
の程度は、複合鋼粉全体として適切に評価されていなか
った。
の程度は、複合鋼粉全体として適切に評価されていなか
った。
本発明者らは、粉末Ｘ線回折法が複合鋼粉全体の部分拡
散の程度の評価に適していることに着目し、Ｘ線回折法
で得られる面間隔と圧縮性及び機械的特性との関係を詳
細な実験によって調べ、本発明を成すに至った。
散の程度の評価に適していることに着目し、Ｘ線回折法
で得られる面間隔と圧縮性及び機械的特性との関係を詳
細な実験によって調べ、本発明を成すに至った。
本発明は、アトマイズ鉄粉と、１〜10重量％の金属Ni粉
又は１〜10重量％の金属Ni粉に他の金属粉を加えた合金
成分との混合物を、H2を含むガス中で815〜935℃で焼鈍
し、該鉄粉の表面に金属Niを部分拡散させた複合鋼粉の
Ｘ線回折を行い、Fe-Niの拡散に関する面間隔d200値を
測定し、d200値が1.765〜1.790Åの範囲内にあるとき、
Fe-Ni複合鋼粉の複合度合が適正であると判定すること
を特徴とするFe-Ni複合鋼粉の複合化度合の評価方法で
ある。
又は１〜10重量％の金属Ni粉に他の金属粉を加えた合金
成分との混合物を、H2を含むガス中で815〜935℃で焼鈍
し、該鉄粉の表面に金属Niを部分拡散させた複合鋼粉の
Ｘ線回折を行い、Fe-Niの拡散に関する面間隔d200値を
測定し、d200値が1.765〜1.790Åの範囲内にあるとき、
Fe-Ni複合鋼粉の複合度合が適正であると判定すること
を特徴とするFe-Ni複合鋼粉の複合化度合の評価方法で
ある。
［作用］ 以下、本発明の複合鋼粉の評価方法ついて作用と共に具
体的に説明する。
体的に説明する。
本発明の合金成分の選択は治金学分野において良く知ら
れている考え方に基づいて行われており、いずれの成分
も熱処理後の焼結体の機械的特性などを高める働きを有
する。
れている考え方に基づいて行われており、いずれの成分
も熱処理後の焼結体の機械的特性などを高める働きを有
する。
鉄のマトリックスの強度はMo,Ni,Cuによって高められ、
合金成分重量当りの効果の大きさはMo＞Ni＞Cuの順であ
る。さらに、硬さはMoおよびNiによって、靱性はNiによ
ってそれぞれ向上する。またCuによって耐食性も向上す
る。
合金成分重量当りの効果の大きさはMo＞Ni＞Cuの順であ
る。さらに、硬さはMoおよびNiによって、靱性はNiによ
ってそれぞれ向上する。またCuによって耐食性も向上す
る。
各合金成分の含有量は、必要とする機械的性の高さによ
って選択され、また寸法変化が最も少なくなるよう調整
される。Niは収縮側に、Cuは膨張側に寸法変化をひきお
こす。Moは寸法変化にあまり影響しない。従って、機械
的特性に大きく影響を与えるNiおよびMoの量を必要な機
械的特性となるように選択し、Cu量によって寸法変化を
おさえるように合金成分を選択すればよい。また、Moは
高価であるので、要求される機械的特性が低い場合は、
特に添加の必要はない。更にCuについても、Ni,Moによ
る寸法収縮が小さい場合は特に添加の必要はない。
って選択され、また寸法変化が最も少なくなるよう調整
される。Niは収縮側に、Cuは膨張側に寸法変化をひきお
こす。Moは寸法変化にあまり影響しない。従って、機械
的特性に大きく影響を与えるNiおよびMoの量を必要な機
械的特性となるように選択し、Cu量によって寸法変化を
おさえるように合金成分を選択すればよい。また、Moは
高価であるので、要求される機械的特性が低い場合は、
特に添加の必要はない。更にCuについても、Ni,Moによ
る寸法収縮が小さい場合は特に添加の必要はない。
但し、Niの添加量が1.0重量％を下まわると効果が小さ
く、Ni,Cu,Moの添加量が各々10,3.5,2.0重量％を超える
と、均一な部分拡散によって複合鋼粉を得ることが困難
となり、圧縮性は阻害される。
く、Ni,Cu,Moの添加量が各々10,3.5,2.0重量％を超える
と、均一な部分拡散によって複合鋼粉を得ることが困難
となり、圧縮性は阻害される。
従って、本発明で評価する対象の複合鋼粉の合金成分は
Niの添加量が1.0〜10重量％であることが必要である。
Niの添加量が1.0〜10重量％であることが必要である。
なお必要に応じて、Cu:3.5重量％以下、Mo:2.0重量％以
下を含んでいても差支えない。
下を含んでいても差支えない。
次にベースとなる鉄粉と合金成分との部分拡散の程度に
ついて説明する。
ついて説明する。
部分拡散の程度が小さすぎる場合、合金成分はベースと
なる鉄粉にほとんど付着しておらず、混合粉と同様に合
金成分の偏析が生じ、機械的特性が低くなる。逆に部分
拡散の程度が大きすぎる場合は、合金成分の拡散によっ
てベースの鉄粉が硬くなり、圧縮性が著しく劣化してし
まう。
なる鉄粉にほとんど付着しておらず、混合粉と同様に合
金成分の偏析が生じ、機械的特性が低くなる。逆に部分
拡散の程度が大きすぎる場合は、合金成分の拡散によっ
てベースの鉄粉が硬くなり、圧縮性が著しく劣化してし
まう。
また、合金成分の拡散の速さは Cu＞Mo＞Ni の順であり、圧縮性阻害の効果は、 Ni＞Cu＞Mo の順である。すなわち、拡散の速さが最も遅く圧縮性を
最も阻害するNiの拡散を制約する必要がある。
最も阻害するNiの拡散を制約する必要がある。
粉末Ｘ線回折によると、合金成分として添加したNiにつ
いて、Feとの相互拡散に対応するFe-Ni合金のNi重量％
の変化が、面間隔ｄのピークの変化として明瞭に評価す
ることができる。特にd200のピークは本発明の成分範囲
において十分な強度を有し、他のピークとの重なりも小
さく、Niの拡散の程度を知るのに適している。
いて、Feとの相互拡散に対応するFe-Ni合金のNi重量％
の変化が、面間隔ｄのピークの変化として明瞭に評価す
ることができる。特にd200のピークは本発明の成分範囲
において十分な強度を有し、他のピークとの重なりも小
さく、Niの拡散の程度を知るのに適している。
本発明者らは、Fe-Ni合金の面間隔d200のピークと圧縮
性および機械的特性との関係について詳しく調べた結
果、以下の知見を得た。すなわち、d200のピークが1.79
0Åを超えると急激に圧縮性が劣化し、1.765Åより小さ
くなると機械的特性が著しく劣化する。従って、面間隔
d200のピークが1.765〜1.790Åにあることが必要であ
り、この値によってFe-Ni複合鋼粉の複合化度合を評価
することができる。
性および機械的特性との関係について詳しく調べた結
果、以下の知見を得た。すなわち、d200のピークが1.79
0Åを超えると急激に圧縮性が劣化し、1.765Åより小さ
くなると機械的特性が著しく劣化する。従って、面間隔
d200のピークが1.765〜1.790Åにあることが必要であ
り、この値によってFe-Ni複合鋼粉の複合化度合を評価
することができる。
このような複合鋼粉は、必要に応じ、グラファイト粉末
およびステアリン酸亜鉛などの潤滑剤と混合して使用さ
れる。
およびステアリン酸亜鉛などの潤滑剤と混合して使用さ
れる。
なお、本発明の評価対象とする複合鋼粉において鉄粉に
金属Niを部分拡散させるときの焼鈍条件はH2を含むガス
中で815〜935℃で行うことが好ましい。温度が815℃未
満では複合鋼粉を成形した後、熱処理後の衝撃値、圧環
強さが十分向上せず、一方935℃を越えると圧粉密度が
低下するためである。
金属Niを部分拡散させるときの焼鈍条件はH2を含むガス
中で815〜935℃で行うことが好ましい。温度が815℃未
満では複合鋼粉を成形した後、熱処理後の衝撃値、圧環
強さが十分向上せず、一方935℃を越えると圧粉密度が
低下するためである。
［実施例］ 実施例１ 以下実施例に従って更に具体的に説明する。平均粒径80
μｍ、見掛密度2.90g/cm3のアトマイズ鉄粉に金属Ni
粉、金属Cu粉およびMo酸化物を混合した後、H2ガス中80
0〜960℃で60分の焼鈍を行い、第１表に示す組成のFe-N
i複合鋼粉を得た。それらの面間隔d200を測定し併せて
第１表に示した。
μｍ、見掛密度2.90g/cm3のアトマイズ鉄粉に金属Ni
粉、金属Cu粉およびMo酸化物を混合した後、H2ガス中80
0〜960℃で60分の焼鈍を行い、第１表に示す組成のFe-N
i複合鋼粉を得た。それらの面間隔d200を測定し併せて
第１表に示した。
これらの複合鋼粉の平均粒径および見掛密度は各々80±
５μｍ、2.70±0.05g/cm3であった。
５μｍ、2.70±0.05g/cm3であった。
複合鋼粉中のNi,Cu,Mo量、粉末Ｘ線回折より得られるFe
-Ni合金の面間隔d200のピーク及び焼鈍温度と圧粉密度
及び表面硬さとの関係を第１表に示した。
-Ni合金の面間隔d200のピーク及び焼鈍温度と圧粉密度
及び表面硬さとの関係を第１表に示した。
表面硬さの測定に使用した試料は、１重量％のグラファ
イト粉および0.75重量％のステアリン酸亜鉛を混粉後圧
粉密度7.0g/cm3に成形し、RXガス中で1150℃で60分間焼
結した。
イト粉および0.75重量％のステアリン酸亜鉛を混粉後圧
粉密度7.0g/cm3に成形し、RXガス中で1150℃で60分間焼
結した。
第１表より、Ni成分量が本発明の下限値1.0重量％を下
廻ると、合金添加の効果が小さく、表面硬さが低いこと
がわかる。
廻ると、合金添加の効果が小さく、表面硬さが低いこと
がわかる。
一方、各合金成分量が上限値を上廻ると、ベース鉄粉が
合金成分粉末によって嵩ばるため圧縮性が阻害される。
合金成分粉末によって嵩ばるため圧縮性が阻害される。
さらに、 （ｉ）3.1重量％Ni-1.5重量％Cu-0.5重量％Mo−残Feの
組成を持ち、Fe-Ni合金の面間隔d200のピークの異なる
鋼粉Ｄと鋼粉I,Jとを比較することで、本発明の効果が
より明瞭となる。すなわち、d200が小さすぎる場合は表
面硬さは低下し、d200が大きすぎる場合は圧粉密度が低
下してしまう。
組成を持ち、Fe-Ni合金の面間隔d200のピークの異なる
鋼粉Ｄと鋼粉I,Jとを比較することで、本発明の効果が
より明瞭となる。すなわち、d200が小さすぎる場合は表
面硬さは低下し、d200が大きすぎる場合は圧粉密度が低
下してしまう。
以上のように、本発明の組成範囲において、Ｘ線回折に
よりd200を測定することによって、圧粉密度が高く、焼
結体の機械的特性の１つである表面硬さに優れる複合鋼
粉の複合化度合を評価することができる。
よりd200を測定することによって、圧粉密度が高く、焼
結体の機械的特性の１つである表面硬さに優れる複合鋼
粉の複合化度合を評価することができる。
以下、Fe-Ni合金の面間隔d200のピークの限定理由につ
いて、実施例にしたがってさらに詳しく説明する。
いて、実施例にしたがってさらに詳しく説明する。
実施例２ 平均粒径75μｍ、見掛密度2.85g/cm2のアトマイズ鉄粉
に金属Ni粉、金属Cu粉およびMo酸化物粉を混合した後、
H2ガス中775〜975℃で30分の範囲の条件で焼鈍を行い、 （ii）4.1重量％Ni-1.3重量％Cu-0.5重量％Mo−残Fe
（複合鋼粉例Ｐ） および、 （iii）2.0重量％Ni-1.5重量％Cu-0.5％重量Mo−残Fe
（複合鋼粉例Ｑ） の組成を持ち、Fe-Ni合金の面間隔d200のピークの異な
る複合鋼粉を得た。これらの複合鋼粉の平均粒径及び見
掛密度は各々75±５μｍ、2.75±0.03g/cm3であった。
に金属Ni粉、金属Cu粉およびMo酸化物粉を混合した後、
H2ガス中775〜975℃で30分の範囲の条件で焼鈍を行い、 （ii）4.1重量％Ni-1.3重量％Cu-0.5重量％Mo−残Fe
（複合鋼粉例Ｐ） および、 （iii）2.0重量％Ni-1.5重量％Cu-0.5％重量Mo−残Fe
（複合鋼粉例Ｑ） の組成を持ち、Fe-Ni合金の面間隔d200のピークの異な
る複合鋼粉を得た。これらの複合鋼粉の平均粒径及び見
掛密度は各々75±５μｍ、2.75±0.03g/cm3であった。
上記複合鋼粉例Ｐおよび複合鋼粉例Ｑの組成の複合鋼粉
中の粉末Ｘ線回折より得られるFe-Ni合金の面間隔d200
のピークと圧粉密度、圧還強さ及び衝撃値との関係を第
１図に示した。
中の粉末Ｘ線回折より得られるFe-Ni合金の面間隔d200
のピークと圧粉密度、圧還強さ及び衝撃値との関係を第
１図に示した。
第１図は横軸にFe-Ni合金の面間隔d200（Å）のピーク
値を取り、縦軸に圧粉密度（g/cm3）、圧還強さ（kgf/m
m2）、衝撃値（kgfm/mm2）をとって、上記複合鋼粉例P,
Qをプロットした。圧粉密度はステアリン酸亜鉛0.8重量
％を混合した後、7t/cm2で成形したときの値を示し、圧
還強さは外径38mm×内径25mm×高さ10mmの試験片で試験
した結果を示し、衝撃値は10mm角×55mm長さの切欠のな
い衝撃試験片による測定値である。
値を取り、縦軸に圧粉密度（g/cm3）、圧還強さ（kgf/m
m2）、衝撃値（kgfm/mm2）をとって、上記複合鋼粉例P,
Qをプロットした。圧粉密度はステアリン酸亜鉛0.8重量
％を混合した後、7t/cm2で成形したときの値を示し、圧
還強さは外径38mm×内径25mm×高さ10mmの試験片で試験
した結果を示し、衝撃値は10mm角×55mm長さの切欠のな
い衝撃試験片による測定値である。
機械的特性（圧還強さおよび衝撃値）の測定に使用した
試料は、複合鋼粉に0.8重量％のステアリン酸亜鉛を添
加混合し、成形圧力7t/cm2で成形後、AXガス中で1210℃
で120分間焼結し、更にカーボンポテンシャル0.7重量％
のRXガス中で180分間浸炭処理後油焼入し、170℃で焼き
もどしをすることによって得たものである。
試料は、複合鋼粉に0.8重量％のステアリン酸亜鉛を添
加混合し、成形圧力7t/cm2で成形後、AXガス中で1210℃
で120分間焼結し、更にカーボンポテンシャル0.7重量％
のRXガス中で180分間浸炭処理後油焼入し、170℃で焼き
もどしをすることによって得たものである。
圧粉密度はd200のピークが1.790Åを超えると急激に減
少する。圧還強さおよび衝撃値などの機械特性はいずれ
もd200ピークが1.765Åよりも小さくなると著しく低く
なる。
少する。圧還強さおよび衝撃値などの機械特性はいずれ
もd200ピークが1.765Åよりも小さくなると著しく低く
なる。
横軸に並記したNiの重量％はASTMカード（23-297）によ
って求めた値を記載したものであるが、100重量％Niか
ら40重量％Ni-60重量％Fe合金の範囲のNiの百分率と面
間隔d200との間にほぼ直線関係が成り立ち、d200の値1.
765、1.790Åは各々95重量％Ni-5重量％Fe、55重量％Ni
-45重量％Feにほぼ相当する。
って求めた値を記載したものであるが、100重量％Niか
ら40重量％Ni-60重量％Fe合金の範囲のNiの百分率と面
間隔d200との間にほぼ直線関係が成り立ち、d200の値1.
765、1.790Åは各々95重量％Ni-5重量％Fe、55重量％Ni
-45重量％Feにほぼ相当する。
すなわち、添加されたNi合金成分粉末とベース鉄粉とが
95-55重量％Fe-Ni合金となるまで相互拡散を進めること
により初めて圧縮性の高い、かつ熱処理後の機械特性に
優れる複合鋼粉が得られるのである。
95-55重量％Fe-Ni合金となるまで相互拡散を進めること
により初めて圧縮性の高い、かつ熱処理後の機械特性に
優れる複合鋼粉が得られるのである。
第１図に示した鋼粉例Ｘ（d200のピークが1.787）は鋼
粉例Ｙ（D200のピークが1.754）にほぼ匹敵する特性を
有している。すなわちNi粉末とベース鉄粉との相互拡散
による部分付着の程度（言い換えると複合化の程度）を
制御することによって、複合鋼粉の性能を最適化するこ
とができ、その結果、鋼粉例Ｙで必要とするNi量を複合
鋼粉例Ｘのように約1/2に削減することができるのであ
る。
粉例Ｙ（D200のピークが1.754）にほぼ匹敵する特性を
有している。すなわちNi粉末とベース鉄粉との相互拡散
による部分付着の程度（言い換えると複合化の程度）を
制御することによって、複合鋼粉の性能を最適化するこ
とができ、その結果、鋼粉例Ｙで必要とするNi量を複合
鋼粉例Ｘのように約1/2に削減することができるのであ
る。
さらに、本発明者らは、従来の複合鋼粉に関しても詳細
に研究した。その結果を第１図に鋼粉例Ｚとして加えて
記した。圧粉密度、圧還強さおよび衝撃値の測定方法は
実施例２とすべて同じである。
に研究した。その結果を第１図に鋼粉例Ｚとして加えて
記した。圧粉密度、圧還強さおよび衝撃値の測定方法は
実施例２とすべて同じである。
鋼粉例Ｚの組成は3.9重量％Ni-1.4重量％Cu-0.5重量％M
o−残Feであった。見掛密度および平均粒子径は各々3.0
1g/cm3、74μｍであった。
o−残Feであった。見掛密度および平均粒子径は各々3.0
1g/cm3、74μｍであった。
鋼粉例Ｚの機械的特性は鋼粉例Ｐとほぼ同様であるが、
圧粉密度において鋼粉例Ｐの方が優れている。また、鋼
粉例Ｚのd200の値（1.791Å）から判断すると、圧縮性
を阻害する程度までNiが拡散している。
圧粉密度において鋼粉例Ｐの方が優れている。また、鋼
粉例Ｚのd200の値（1.791Å）から判断すると、圧縮性
を阻害する程度までNiが拡散している。
以上のように、本発明の評価方法の適用によって圧粉密
度を従来の複合鋼粉より大幅に向上させることができ
る。
度を従来の複合鋼粉より大幅に向上させることができ
る。
本発明による適正評価を示す複合鋼粉は例えば第１図に
示した材料について示したように、焼鈍温度と焼鈍時間
との組み合わせを適切に選択することによって製造する
ことができる。従って原料組成に応じて実験によって条
件を求めておくことにより、再現性良く製造することが
できる。なお、Niの拡散速度は、鉄粉及び合金原料粉の
粒度、形状などによって多少異なるが、原料の変更に伴
って焼鈍条件の多少の修正を行うことによってこれをカ
バーすることができ、本発明評価に適合する複合鋼粉を
容易に得ることができる。
示した材料について示したように、焼鈍温度と焼鈍時間
との組み合わせを適切に選択することによって製造する
ことができる。従って原料組成に応じて実験によって条
件を求めておくことにより、再現性良く製造することが
できる。なお、Niの拡散速度は、鉄粉及び合金原料粉の
粒度、形状などによって多少異なるが、原料の変更に伴
って焼鈍条件の多少の修正を行うことによってこれをカ
バーすることができ、本発明評価に適合する複合鋼粉を
容易に得ることができる。
但し、いかなる鉄粉あるいは合金原料を用いる場合にお
いても、複合鋼粉は与えられた原料より得られる最適の
圧縮性と機械的特性を示すNiの拡散の程度を有するもの
である。例えば高水準の圧縮性を有する鉄粉を用い、Ni
の拡散の程度を本発明の面間隔d200の範囲に調整するこ
とによって、さらに圧縮性を向上させた複合鋼粉を得る
ことも可能である。また、不純物を極度に低減した鉄粉
を用いNiの拡散の程度を範囲に調整することによって、
更に機械的特性を改善した複合鋼粉を製造可能である。
いても、複合鋼粉は与えられた原料より得られる最適の
圧縮性と機械的特性を示すNiの拡散の程度を有するもの
である。例えば高水準の圧縮性を有する鉄粉を用い、Ni
の拡散の程度を本発明の面間隔d200の範囲に調整するこ
とによって、さらに圧縮性を向上させた複合鋼粉を得る
ことも可能である。また、不純物を極度に低減した鉄粉
を用いNiの拡散の程度を範囲に調整することによって、
更に機械的特性を改善した複合鋼粉を製造可能である。
［発明の効果］ 本発明によれば、ベース鉄粉と合金成分粉末とが適度に
部分拡散した複合鋼粉のNiの拡散に関する面間隔d200値
を測定し、その測定値が適正か否かによって複合鋼粉の
複合度合を評価することができる。この評価に基いて寸
法変化を小さくおさえ、高い機械的特性を有する焼結部
品を容易に製造することができる。
部分拡散した複合鋼粉のNiの拡散に関する面間隔d200値
を測定し、その測定値が適正か否かによって複合鋼粉の
複合度合を評価することができる。この評価に基いて寸
法変化を小さくおさえ、高い機械的特性を有する焼結部
品を容易に製造することができる。
第１図は、複合鋼粉の面間隔d200のピーク値と焼鈍温度
と圧粉密度との関係並びにd200とこの複合鋼粉の成形
後、熱処理後の圧還強さおよび衝撃値との関係を示すグ
ラフである。
と圧粉密度との関係並びにd200とこの複合鋼粉の成形
後、熱処理後の圧還強さおよび衝撃値との関係を示すグ
ラフである。
Claims (1)
- 【請求項１】アトマイズ鉄粉と、１〜10重量％の金属Ni
粉又はこれに他の金属粉を加えた合金成分との混合物
を、H2を含むガス中で815〜935℃で焼鈍し、該鉄粉の表
面に金属Niを部分拡散させた複合鋼粉のＸ線回折を行
い、Fe-Niの拡散に関する面間隔d200値を測定し、d200
値が1.765〜1.790Åの範囲内にあるとき、Fe-Ni複合鋼
粉の複合度合が適正であると判定することを特徴とする
Fe-Ni複合鋼粉の複合化度合の評価方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP61228414A JPH0686603B2 (ja) | 1986-09-29 | 1986-09-29 | Ｆｅ―Ｎｉ複合鋼粉の複合化度合の評価方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP61228414A JPH0686603B2 (ja) | 1986-09-29 | 1986-09-29 | Ｆｅ―Ｎｉ複合鋼粉の複合化度合の評価方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS6386802A JPS6386802A (ja) | 1988-04-18 |
| JPH0686603B2 true JPH0686603B2 (ja) | 1994-11-02 |
Family
ID=16876098
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP61228414A Expired - Lifetime JPH0686603B2 (ja) | 1986-09-29 | 1986-09-29 | Ｆｅ―Ｎｉ複合鋼粉の複合化度合の評価方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH0686603B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US4975333A (en) * | 1989-03-15 | 1990-12-04 | Hoeganaes Corporation | Metal coatings on metal powders |
| US5240742A (en) * | 1991-03-25 | 1993-08-31 | Hoeganaes Corporation | Method of producing metal coatings on metal powders |
Citations (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS61130401A (ja) * | 1984-11-28 | 1986-06-18 | Kawasaki Steel Corp | 粉末冶金用合金鋼粉およびその製造方法 |
| JPS61139602A (ja) * | 1984-12-12 | 1986-06-26 | Toyota Motor Corp | 低合金鉄粉の製造方法 |
| JPS61139601A (ja) * | 1984-12-11 | 1986-06-26 | Toyota Motor Corp | 焼結用低合金鉄粉末及びその製造方法 |
-
1986
- 1986-09-29 JP JP61228414A patent/JPH0686603B2/ja not_active Expired - Lifetime
Patent Citations (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS61130401A (ja) * | 1984-11-28 | 1986-06-18 | Kawasaki Steel Corp | 粉末冶金用合金鋼粉およびその製造方法 |
| JPS61139601A (ja) * | 1984-12-11 | 1986-06-26 | Toyota Motor Corp | 焼結用低合金鉄粉末及びその製造方法 |
| JPS61139602A (ja) * | 1984-12-12 | 1986-06-26 | Toyota Motor Corp | 低合金鉄粉の製造方法 |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS6386802A (ja) | 1988-04-18 |
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