JPH0685366U - トラバースカム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 軸線方向に複数組のトラバースカム溝を形成
したトラバースドラムに対し、確実にかつ容易にトラバ
ースシューを１こづつ挿着することが可能なトラバース
カムを提供する。 【構成】 １本の円筒状ドラム４の外周表面に、ドラム
４の軸線方向に複数組の無端螺旋状トラバースカム溝５
を列設し、トラバースカム溝５にトラバースガイド６の
シュー２０を嵌合してなるトラバースカムにおいて、隣
接する各組のトラバース溝間にマーキング２７を付した
ものであり、それにより軸線方向に複数組のトラバース
カム溝を形成したトラバースドラムに対し、確実にかつ
容易にトラバースシューを１こづつ挿着することを可能
としたものである。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、円筒上表面に無端螺旋溝を形成し、紡糸巻取機に巻取られる糸を溝 に沿って案内されるトラバースガイドにより綾振りを行うためのトラバースカム に関する。

【０００２】

【従来の技術】

紡糸巻取機においては、紡糸される糸をボビンに巻取るに際し、駆動ローラを ボビンに圧接させて回転し、トラバースガイドをボビンの軸線方向に往復動させ て綾振りし巻取っている。トラバースガイドは、ボビンの軸線と平行に配置した 円筒状のトラバースドラムの外周に設けた螺旋状のカム溝にトラバースシューを 嵌合させ、かつトラバースシューを軸線方向に伸びる直線溝を形成するガイドレ ールでガイドさせることにより、トラバースドラムの回転によって軸線方向に往 復動させるようになっている。

【０００３】 一方、紡糸巻取機は多数列設しており、これらの紡糸巻取機の複数個のトラバ ースガイドを１本のトラバースドラムで作動させることが行われており、したが って１本のトラバースドラムに対し、その軸線方向に４乃至８組の螺旋状のトラ バースカムを形成し、各トラバースカム溝に１個づつトラバースガイドを挿着し ている。

【０００４】 トラバースドラムは通常鉄製であり、このトラバースドラムの螺旋状のトラバ ースカム溝に嵌合させるトラバースシューはナイロン等の合成樹脂製であるので 、トラバースシューがトラバース溝中で高速で走行すると次第に摩耗することと なる。また、トラバースシューの糸ガイド部分がセラミック製であるものは、使 用中に割れたりすることがある。そのため、トラバースシューは、数週間の作動 で交換する必要がある。そのため、トラバースドラムはガイドレールの部分から 抜き出し、摩耗したトラバースシューをすべて取り出し、新しいトラバースシュ ーを各トラバースカム溝に挿着する作業を行っている。この時、トラバースドラ ムには、軸線方向に多数のトラバースカム溝が形成されており、各トラバースカ ム溝の左右の折り返し端部を確認しつつ各トラバースカム溝に１個づつトラバー スシユーを挿着している。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

上記のようなトラバースシューの交換作業において、トラバースドラムに形成 された多数のトラバースカム溝に対し、１個づつ新しいトラバースシューを挿着 する際に、隣接するトラバースカム溝の境界領域が明確でなく、各トラバースカ ム溝の左右の折り返し端部を見極めるのに多くの時間を費やすこととなり、交換 作業に多くの時間と注意力を必要としていた。また、間違って１つのトラバース カム溝に２個のトラバースシューを挿着してしまうこともあり、その時には、各 トラバースガイドが衝突を繰り返し破損することとなる。更にトラバースシュー が挿着されないトラバースカム溝を生じることもあり、このトラバースカム溝に 対応する紡糸巻取機は適正な巻取りを行うことができなくなる。

【０００６】 したがって、本考案は、軸線方向に複数組のトラバースカム溝を形成したトラ バースドラムに対し、確実にかつ容易にトラバースシューわ１こづつ挿着するこ とが可能なトラバースカムを提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

本考案は、上記課題を解決するため、１本の円筒状ドラムの外周表面に、該ド ラムの軸線方向に複数組の無端螺旋状トラバースカム溝を列設し、該トラバース カム溝にトラバースガイドのシューを嵌合してなるトラバースカムにおいて、隣 接する各組のトラバース溝間にマーキングを付したものであり、それにより軸線 方向に複数組のトラバースカム溝を形成したトラバースドラムに対し、確実にか つ容易にトラバースシューを１こづつ挿着することを可能としたものである。

【０００８】

【作用】 本考案は、上記のように構成したので、トラバースシューの摩耗又は損傷した 時に、トラバースガイドを交換する際には、隣接する各組のトラバースカム溝の 境界がマーキングにより明確になり、各トラバースカム溝に１個づつトラバース シューが挿着される。また、トラバースドラムを引き出す際、このマーキングを 所定位置にセットすることにより、次ぎのトラバースカム溝の位置決めがなされ 、予め設定位置に設けられたトラバースシュー挿着部からトラバースシューを挿 入すると、自動的にトラバースカム溝の所定部分に挿着される。

【０００９】

【実施例】

本考案の実施例を図面に沿って説明する。図１、図２、図３に示すように、溶 融紡出されて連続的に供給されるフィラメント糸１は、駆動ローラ２に圧接して 回転されるボビン３に巻取られる。この時、糸１は円筒状のトラバースドラム４ の外周に形成したトラバースカム溝５によって軸線方向に往復動するトラバース ガイド６により往復動綾振りされて巻取られる。ボビン３は、軸７を中心に回転 可能に支持されたタレット８の腕の両端に設けたスピンドル１０に保持されてお り、片方のスピンドルに支持されたボビンが満巻となった時、タレット８が１８ ０度回転し、満巻となったボビンを待機位置に位置させると同時に、既に満巻ボ ビンを取り外され、空ボビンを挿着したスピンドルを駆動ドラム２に圧接する巻 取り位置側に反転させる。

【００１０】 一方、駆動ローラ２及びトラバースドラム４は、スライドボックス１１に支持 されており、巻取ボビンの外径に拘らず一定の接圧を与えるように付勢支持され ている。

【００１１】 図４に示すように、トラバースドラム４は、ケーシング１２内に回転自在に支 持されており、ケーシング１２には軸線方向に伸びる開口１３を有し、この開口 １３には、上側ガイドレール１４と下側ガイドレール１５が固定され、両ガイド レール間には間隙１６を有し、この間隙により、トラバースガイド６の糸ガイド １７の回転を止めるとともに軸線方向への往復動をガイドしている。

【００１２】 図５に示すように、トラバースガイド６は、セラミック製の糸ガイド１７と、 これを支持する台座１８及びその表面においてトラバースカム溝５に挿入される トラバースシュー２０からなる合成樹脂製の糸ガイド支持体２１から構成される 。糸ガイド１７には、導糸孔２２を有し、導糸孔２２の両側には傾斜壁２３，２ ４を形成している。

【００１３】 円筒状のトラバースドラム４は、図１に示すように、軸線方向に複数の無端螺 旋状のトラバースカム溝５が列設しており、隣接するトラバースカム溝５間には マーキング２７を施している。このマーキング２７は円筒外周面に沿ってリング 状をなし、かつ隣接するトラバースカム溝５の折り返し部２８に近接する部分に 点状マーキング３０を施す。

【００１４】 一方、スライドボックス１１に固定されるケーシング１２に固定した上下のガ イドレール１４，１５の端部には、糸ガイド支持体２１の台座１８が貫通可能な 挿着部３１を形成しており、この挿着部３１の位置は、ケーシング１２からトラ バースドラム４を抜き出し、リング状マーキング２７をケーシング１２の端面１ ９に位置合わせするとともに、点状マーキング３０が上下のガイドレール１４， １５の間隙１６の端部２９と一致させた時、挿着部３１の中心にトラバースカム 溝４の折り返し部２８が位置するように形成されている。

【００１５】 上記装置において、トラバースガイドのトラバースシュー２０が摩耗した時に は、トラバースドラム４をケーシング１２から抜き出し、トラバースカム溝５に 挿着されているトラバースガイド６を全て取り去る。次いでトラバースドラム４ をケーシング１９内に押し込み、最初のリング状マーキング２７をケーシング１ ７の端面１９に位置合わせし、かつ点状マーキング３０を間隙１６の端部２９に 位置合わせする。

【００１６】 新しいトラバースシューを備えたトラバースガイド６を挿着部３１に位置させ ると、この挿着部３１の中央には、トラバースカム溝５の折り返し部２８が位置 しているので、トラバースガイド６を押し込むと、自動的にトラバースシュー２ ０はトラバースカム溝５内に挿着される。この状態で、トラバースドラム４をケ ーシング１２内に押し込むと、トラバースガイド６の台座１８の両側が、上下の ガイドレール１４，１５の裏側に入り込み、トラバースガイドは抜け出ることが ない。同様の作業を繰り返すことにより、トラバースドラム４に形成したすべて のトラバースカム溝５中にトラバースシュー２０が挿着され、トラバースガイド ６のセットが行われる。

【００１７】 なお、上記実施例におけるリング状マーキング２７を施すことなく、単に点状 マーキングのみとしても良く、逆に点状マーキングを施すことなく、単にリング 状マーキングのみとしても良い。また、点状マーキングは必ずしも隣接するトラ バースカム溝の折り返し部に近接させる必要はなく、適宜の位置とし、その際は 、挿着部３１をその中心にトラバースカム溝が存在する位置に設定する。

【００１８】 本実施例では、駆動ローラ２によりパッケージを駆動するサーフィスドライブ 方式として説明したが、別に駆動ローラ２と同様の位置に設けられてパッケージ に圧接され、巻取速度を検出するタッチローラを設け、スピンドル駆動を行うス ピンドルドライブ方式も存在するが、この方式も本願の趣旨のトラバース装置と 同様である。

【００１９】

【考案の効果】

本考案は、上記のようにしてなるので、トラバースガイド交換作業時に、容易 にかつ迅速に、トラバースカム溝に確実に１個づつトラバースガイドを挿着する ことができる。そのため、１本のトラバースカム溝に誤って２個のトラバースガ イドを挿着し、トラバースガイド相互の衝突によってトラバースガイドを損傷す る事故を防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案のトラバースカムの実施例の斜視図であ
る。

【図２】本考案のトラバースカムにトラバースガイドを
挿着する状態の斜視図である。

【図３】本考案のトラバースカムを適用する防止巻取機
の側面図である。

【図４】本考案のトラバースカムの使用状態の断面図で
ある。

【図５】本考案のトラバースカムに挿着するトラバース
ガイドの断面図である。

【符号の説明】

１ 糸 ２ 駆動ローラ ３ ボビン ４ トラバースドラム ５ トラバースカム溝 ６ トラバースガイド ７ 軸 ８ ターレット １０ スピンドル １１ スライドボックス １２ ケーシング １３ 開口 １４ 上側ガイドレール １５ 下側ガイドレール １６ 間隙 １７ 糸ガイド １８ 台座 １９ 端面 ２０ トラバースシュー ２１ 糸ガイド支持体 ２２ 導糸孔 ２３ 傾斜壁 ２４ 傾斜壁 ２７ マーキング ２８ 折り返し部 ３０ 点状マーキング ３１ 挿着部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 １本の円筒状ドラムの外周表面に、該ド
   ラムの軸線方向に複数組の無端螺旋状トラバースカム溝
   を列設し、該トラバースカム溝にトラバースガイドのシ
   ューを嵌合してなるトラバースカムにおいて、隣接する
   各組のトラバース溝間にマーキングを付したことを特徴
   とするトラバースカム。