JPH0684747B2 - 内燃機関の燃料噴射制御装置 - Google Patents

内燃機関の燃料噴射制御装置

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JPH0684747B2
JPH0684747B2 JP30017590A JP30017590A JPH0684747B2 JP H0684747 B2 JPH0684747 B2 JP H0684747B2 JP 30017590 A JP30017590 A JP 30017590A JP 30017590 A JP30017590 A JP 30017590A JP H0684747 B2 JPH0684747 B2 JP H0684747B2
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、内燃機関を停止することなく、また内燃機関
の回転速度に依存せず、燃料噴射時期および燃料噴射
量、燃料噴射圧力を容易に調節できる内燃機関の燃料噴
射制御装置に関する。
背景技術 一般に内燃機関、特にデイーゼル機関においては、燃料
噴射時期は機関性能特に燃料消費率に大きく影響する。
また燃料噴射圧力は高圧力化して燃料噴霧の微細化と噴
射期間の短縮を図り燃焼効率を高めることにより燃料消
費率の低減が図れるが、内燃機関が低負荷のときの高圧
力噴射は、デイーゼルノツクの原因となり内燃機関に無
理が生じ、内燃機関の寿命の短縮や過大な騒音につなが
る。噴射の時期や圧力の最適値は、内燃機関の運転状態
や燃料油の質により大きく変化するので、内燃機関の運
転中でも燃料噴射時期や燃料噴射圧力が自由に調節でき
れば、燃料の大幅な節約が内燃機関に無理を強いること
なく可能となり、石油価格の高騰する現状から考え、大
きな利益を生む。
従来、内燃機関の運転に同期して駆動される定行程式燃
料噴射ポンプと、閉止弁付自動噴射ノズルとを直接燃料
噴射管を介して接続して構成される内燃機関の燃料噴射
装置は、広く世界で採用されている。この従来式の燃料
噴射装置において、燃料噴射時期はカムの設定位置によ
り定まり、燃料噴射時期を変更する場合、カムのカム軸
への設定位置を変えることが必要であり、一旦内燃機関
を停止しなければならない。また燃料噴射圧力は、内燃
機関の回転速度と噴射ノズルの寸法とによつて定まり、
自由に調節することはできない。
一方、特開昭56-143344においてすでに公知である燃料
噴射装置では、閉止弁付噴射ノズルに電気油圧式サーボ
弁を装備し、燃料とは別の液体圧を利用して燃料流路を
切換えることにより、高圧力燃料源に蓄圧された燃料を
噴射ノズルから気筒内に噴射供給し、その噴射の開始お
よび終了は前記電気油圧式サーボ弁に与える電気パルス
信号で制御される燃料噴射装置があるが、このような装
置によれば、燃料噴射時期および燃料噴射量は前記電気
パルス信号の送出時期とパルス幅とにより決まり、また
高圧力燃料源に蓄圧された燃料圧力により燃料噴射圧力
が決まるので、燃料噴射時期、燃料噴射量および燃料噴
射圧力は内燃機関の速度やカムの取付けに関係なく自由
に調節することができる。しかしながらこのような装置
では、噴射時間にかかわりなく常時、高圧力燃料源に噴
射圧相当の高圧力燃料を蓄圧した状態を保持しておく必
要があり、高圧力燃料源と燃料弁の間の配管による圧力
損失と燃料噴射時の吐出による瞬間的な圧力降下とを補
償しなければ燃料弁からの高い燃料噴射率を維持でき
ず、噴射圧力の高圧化が達成できない。
舶用機関での燃料噴射圧力は通常600〜1500kg/cm2と非
常に高い圧力かつ可燃物質であるため、高圧力燃料源の
圧力変動を緩和する手段は通常油圧管路系に使用される
ガス圧によるアキユムレータではなく燃料自身の体積弾
性を利用した圧力容器とせざるを得ない。
したがつて圧力容器の容積は、最大吐出量と供給量との
バランスにおいて圧力変動幅をどの程度まで許容するか
によつて定まる。舶用機関での燃料噴射期間は約30度ク
ランク角であるので、機関回転数を500rpmとすれば約10
msの時間となる。このような短い時間内における圧力変
動を考える場合、実用上供給量は無視できるので、たと
えば1サイクルあたりの吐出量を15mlとして、噴射時期
内における許容圧力変動幅を30kg/cm2とすれば、単純計
算では約8.5lの容積が必要となる。
このように多量のしかも超高圧力の燃料を保持する圧力
容器の構造寸法は、強度上内燃機関の従来の燃料噴射ポ
ンプの寸法に比較してかなり大きくならざるを得ず、製
作コストおよび機関への配設方法に問題がある。また上
記圧力容器はその寸法の大きさゆえに、燃料噴射弁の配
設されるシリンダヘツドとは離れて配設せざるを得ない
ので、超高圧燃料は噴射管によつて圧力容器と燃料噴射
弁を連通せしめられるが、超高圧力に耐え得るよう噴射
管や継手部の強度およびシール性能を高める必要があ
る。さらに比較的長い噴射管を通して超高圧燃料を非常
に短い時間内に供給する必要があり、管内流速が早くな
るので前述したように圧力損失が大きくなつてその分所
定の噴射圧力よりも圧力容器における元圧を高くする必
要があるばかりでなく、噴射管内における圧力脈動のた
め噴射管内圧力が異常に高くなつたり低くなつたりして
噴射管および継手部において破損の危険性が生じるとと
もに、2次、3次噴射等の不整噴射を生じるという問題
がある。さらに高圧の燃料を蓄圧した容器が大型化し、
高圧の燃料が通る噴射管も長くなればそれだけ、燃料の
もれる機会も多くなる。高圧の燃料がもれた場合、霧化
されることが多く、それだけ火災に対する危険性も大き
くなる。船上における火災は、船および乗員の生命に多
大の損害を与える。
一方、上記問題を解決するために燃料の噴射圧力を超高
圧化する手段としてパスカルの原理を応用したブースタ
による増圧構造を採用している先行技術がある。この先
行技術では、低圧力である駆動側の圧力室に供給する作
動油の供給量は燃料の噴射量よりも増圧比分だけ多くな
る。
たとえば噴射圧1500kg/cm2の燃料の必要噴射量を10msの
噴射時間で15mlとすれば、増圧比7の場合、単純に計算
すれば約214kg/cm2の作動油を10msのうちに105mlだけ供
給する必要があるということになる。燃料噴射の開始は
上記作動油を圧力源とブースタの駆動側圧力室を電磁弁
により連通せしめることによつて達成されるから、電磁
弁の圧油の通過流量は約630l/minとなる。
電磁弁には電磁力によりスプールを動かして圧油の流路
を切換える直動式と直動式電磁弁により切換えた圧油の
駆動力によりメインスプールを動かして圧油の流路の切
換えを行うパイロツト式とがある。大流量の場合直動式
では切換え動作時、流体力がスプールに作用して切換え
不能となるので通常、パイロツト式が採用される。とこ
ろがパイロツト式の場合、複数段階操作であるため構造
上速い応答性を得るには限界がある。一方、内燃機関の
燃料噴射に要求される制御精度は1〜2度クランク角で
あり、500rpmの回転数では0.3〜0.7msの極端に微小な時
間精度となる。したがつて上記のような高圧力、大流量
を扱う電磁弁により、内燃機関の精度の高い燃料噴射制
御を行うことは現状の技術では不可能である。
目的 本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、燃料の超高圧
力化に要する増圧構造ブースタへ送給する大流量の圧油
の制御を行う電磁弁と内燃機関の精度の高い燃料噴射制
御を行う小流量の電磁弁とに燃料噴射の機能を分担せし
めることにより、上記問題点の解決を図つたものであ
り、内燃機関を停止することなく、また内燃機関の回転
速度に依存せず、燃料噴射時期および燃料噴射量、燃料
噴射圧力を容易に調節でき、かつ燃料圧力が高圧化で
き、高信頼度で安価な内燃機関の燃料噴射制御装置を提
供することを目的とする。
課題を解決するための手段 本発明は、第1圧力源1からの作動油を、少なくとも燃
料噴射期間W1以上の期間W2だけ開弁状態となる第1電磁
弁5を介して、ブースタ3における移動体7,8の一端の
大径受圧面71側に導き、移動体7,8の他端の小径受圧面7
2側の圧力室10には、第2圧力源2から燃料油を第1逆
止弁13を介して導入し、この圧力室10からの燃料油は第
2逆止弁11を介して蓄圧室12に与え、蓄圧室12からの燃
料油は噴射弁4のノズル孔106を開閉する弁体100の一端
の受圧面に臨み、弁体100には、制御ピストン109が結合
され、この制御ピストン109は、弁ばね133によつて弁体
100が閉じる方向に付勢し、制御ピストン109の弁体100
側とは反対側の部屋130には第1圧力源1からの作動油
が燃料噴射期間W1だけ供給される第2電磁弁6を介して
供給されるようにしたことを特徴とする内燃機関の燃料
噴射制御装置である。
図面によつて本発明の実施例を説明する。第1図は本発
明の基礎となる構成を示す図である。第1圧力源1は、
導管55、逆止弁17および第1電磁弁5を介して導管15に
よりブースタ3の接続口19から圧力室9に接続されてお
り、導管55から分岐する導管43により逆止弁42および第
2電磁弁6を介して燃料噴射弁4の接続口39から通路41
を経て圧力室38に接続可能になつている。導管15,43に
は、管路内の圧力脈動を吸収するためのアキユームレー
タ18,44が接続されている。第2圧力源2は、導管27を
介して、ブースタ3の接続口21から、ばね付勢されてい
る逆止弁13を経て、圧力室10に接続される。
ブースタ3内には、上部シリンダ67を滑動するプランジ
ヤ8が配設されており、ピストン7とプランジヤ8は押
接している。シリンダ66とピストン7の上端部の大径受
圧面である頂部71とによつて形成される圧力室9には、
第1圧力源1から供給される作動油が第1電磁弁5を介
して供給可能となつている。シリンダ67とプランジヤ8
の下端部の小径受圧面である面72によつて形成される圧
力室10には、ばねつきの逆止弁11を介してブースタ3下
部に配設された蓄圧室12に接続されている。蓄圧室12に
は通路22によつて燃料噴射弁4に連通している。通路22
は通路35によつて燃料貯め48に連通している。
燃料噴射弁4は制御部Aと弁部Bとから構成される。
第2図は第1図のセクシヨンIIの拡大断面図である。弁
体100は、軸部101と段付部102と、小径部103と、先端部
104とを含む。先端部104は、座面105に着座してノズル
孔106を閉じて閉弁状態とすることができる。ノズル孔1
06からの燃料は、デイーゼル機関のシリンダ室に噴射さ
れる。軸部101は、シリンダ107によつて軸線方向に案内
される。
軸部101には、制御部Aにおいて、シリンダ108に収納さ
れた制御ピストン109が固定される。制御ピストン109に
は、シリンダ110によつて閉止ピストン111が固定され
る。
燃料貯め48において、軸部101、段付部102および小径部
103は第1受圧面を構成する。軸部101および小径部103
の外径をd1,d0とする。閉止ピストン111の頂面112は、
第1受圧面とは反対側であり、第2受圧面を構成する。
閉止ピストン111の外径をd2とする。制御ピストン109の
圧力室38に臨む表面は第3受圧面113を構成する。第3
受圧面は第1受圧面と同一の向きであり、頂面112に対
向する本実施例においては、軸部101の外径d1は閉止ピ
ストンのそれより小さくなるように構成されている。
シリンダ107は導管114を介して、またシリンダ108の圧
力室38とは反対側の部屋115は導管116を介して、タンク
117に連通される。
第1圧力源1では、作動油はタンク61からフイルタ59を
介してポンプ58によつて昇圧される。ピストン7によつ
て圧力調整された圧油はフイルタ56を介して導管55に供
給される。第2圧力源2では、燃料油はタンク65からフ
イルタ64を介してポンプ63によつて高圧化され、弁62に
よつて圧力調整された圧油が導管27に供給される。
なお、ピストン7およびプランジヤ8の最大ストローク
は、プランジヤ8の最大ストロークボリユームが1回の
最大噴射量と高圧蓄圧に要する燃料の圧縮容積の合計よ
りも若干大きくなるように選ばれる。この最大ストロー
クボリユームを適当に制限することにより最大の噴射量
が規定でき、たとえば第2電磁弁6が故障したとき、許
容以上の燃料を内燃機関に供給することが防げる。
制御ピストン109の圧力室38は、第2電磁弁6により導
管43を介して第1圧力源1に接続されたり、逃がし導管
45を介してタンクに接続されたりする。
蓄圧室12に連通して安全弁120が設けられる。この安全
弁120はピストン121と、ピストン121によつて規定され
る緩衝室122の容積が小さくなる方向にばね付勢するば
ね123とを含む。蓄圧室12が異常な高圧力となつたとき
には、ピストン121はばね123のばね力に抗して第1図の
下方に変位し、これによつて圧力室122と通路124とが連
通し、導管125を介してタンク65に連通する。シリンダ6
6、ピストン7およびプランジヤ8によつて規定される
空間20は接続口26から管路28を経てタンク65に接続され
る。
作動について説明する。第1電磁弁5の左側のソレノイ
ドが励磁されて位置5bにあるとき、圧力室9に関して絞
り弁60が介在されている戻り導管16を介してブースタ3
の接続口19をタンク61に連通するように流路を切換えて
いる。このときブースタ3の圧力室10には、逆止弁13の
クラツキング圧以上の圧力で第2圧力源2から導管27、
ブースタ3の接続口22および逆止弁13を介して燃料が供
給され、その圧力でプランジヤ8およびピストン7が圧
力室9の容積を小さくする方向に押しあげられ、ピスト
ン7の頂部71がシリンダ66の端面74に圧接して停止す
る。プランジヤ8およびピストン7の移動速度は、戻り
導管16の途中に配設された絞り弁60によつて制限されて
いるので、ポンプ63により高圧化された燃料によりピス
トン7が暴走するのを防止し、ストロークエンドにおけ
る衝撃力が緩和される。
第2電磁弁6は、右側ソレノイドが励磁されて位置6aに
あつて、圧力室38の接続口39が逃し導管45を介してタン
ク61に連通するよう流路を切換えている。燃料噴射弁4
において通路22からの燃料油は、燃料貯め48における弁
体100の第1受圧面と、背圧室126における閉止ピストン
111の上面とに作用する。弁体100の受圧面の径をd1と
し、閉止ピストン111の受圧面の径をd2とするとき、 d2>d1 …(1) であるので、小径部103は座面105に着座して弁部Bは閉
弁状態となつている。
ブースタ3の蓄圧室12には第2圧力源2から供給圧力よ
りも高い超高圧力の燃料が貯留される。この蓄圧室12は
逆止弁11、安全弁120および弁部Bによつて気密となつ
ている。
次に第1電磁弁5の右側のソレノイドが付勢されて第3
図(1)のように時刻t1〜t4で期間W2だけ第1電磁弁5
の流路が切換つて位置5aとなると導管15と接続口19が連
通して第1圧力源1から圧油が圧力室9に供給される。
そのためピストン7およびプランジヤ8が第1図の下方
に押下げられ、圧力室19に充満した燃料を圧縮する。こ
の際、アキユムレータ18は導管15内の圧油の圧力の瞬間
的な低下を防ぐために有効に働く。プランジヤ8の面72
に対するピストン7の頂面71の面積比をK(K>1)と
すると、圧力室10には圧力室9の圧力のK倍の圧力が発
生する。Kを増圧比という。増圧比を大きくして、噴射
圧力を高圧化すれば、噴射率が向上し、また燃料の微粒
化が行われるので、燃焼性能が向上し、燃費低滅に効果
がある。しかし、増圧比を大きくとれば、それに比例し
て第1電磁弁5を通過する作動油の油量は大きくなり、
第1電磁弁5は大形化する。圧力室10の圧力と、蓄圧室
12の圧力はほとんど同じになり、したがつて逆止弁11は
ばね力によつて閉弁している。第2電磁弁6は位置6aを
保持しており、弁部は閉じている。
その後、第2電磁弁6が第3図(2)のように時刻t2〜
t3の燃料噴射期間W1(ただしW1<W2)だけ流路が切換つ
て位置6bとなると、圧力室38は第1圧力源1に接続さ
れ、制御ピストン109は上方に付勢される。このため第
1受圧面に上方に働く燃料圧力による力と、制御ピスト
ン109を上方に付勢する合力は、閉止ピストン111を下方
に付勢する力を上回り、弁体100は上方に移動し、弁部
Bは開弁する。すなわち第2式が成立する。ここで蓄圧
室12の燃料油の圧力をPfとし、導管43を介する作動油の
圧力をPaとする。制御ピストン109の径をDとし、弁体1
00がノズル孔106を閉じるときにノズル孔106側に臨む小
径部103の径をd0とするとき、 したがつて弁体100が第1図の上方に変位し、通路35か
らの燃料は、燃料貯め48からノズル孔106を経て、燃料
噴射期間W1において噴射される。
噴射開始後蓄圧室12から通路22を介してノズル孔106に
燃料が供給排出されるとともに、逆止弁11が開き蓄圧室
12には圧力室10から高圧の燃料が補給される。第1圧力
源1から充分な圧油の供給をうけてピストン7はプラン
ジヤ8を移動させる。そのため圧力室10は高圧に保持さ
れており、燃料はその噴射圧力が高圧に保たれたままで
ノズル孔106からシリンダ室に噴射補給される。
所定の噴射期間W1の経過の後、時刻t3では第2電磁弁6
が切換えられ位置6aとなり接続口39がタンク61に接続さ
れると、制御ピストン109を上方に付勢していた作動油
はタンク61に排油されその力を失う。軸部101の断面積
は閉止ピストン111のそれより小さいため、閉止ピスト
ン111の力が弁体100を上方に駆動する力を上回り、弁体
100が第1図の下方に移動して閉弁状態となる。
弁部Bの閉弁時に、蓄圧室12および圧力室10にはピスト
ン7およびプランジヤ8の加速度により瞬間的に高圧が
発生する。このとき、蓄圧室12に開口している安全弁12
0の圧力室122の容積は、ばね123のばね力に抗して滑動
するピストン121の変位によつて大きくなり、そのため
衝撃圧力が吸収される。つまり圧力室122は緩衝ボリユ
ームとして働く。何らかの異常によりピストン14がある
一定値以上第1図の下方に移動すると、通路124が圧力
室122に連通して高圧燃料が導管125からタンク65に排出
される。そのため蓄圧室12が異常に高圧になるのが防止
される。蓄圧室12の圧力がピストン7およびプランジヤ
8の停止に伴つて平準化されるに従い、ピストン121は
ばね123によつて押し戻される。
燃料噴射の終了後、第3図(1)の時刻t4で、第1電磁
弁5が切換えられて位置5bとなり、流路が接続口19と戻
り導管16が連通するように切換わると圧力室9の圧油
は、戻り導管16から絞り弁60を介してタンク61に排出さ
れる。この際、圧力室9からの圧油の排出に伴い、圧力
室10の燃料の駆動力により、ピストン7およびプランジ
ヤ8が上方に移動し、圧力室10の容積が増大して圧力が
下がる。圧力室10は、逆止弁11によつて蓄圧室12とは遮
断されるので、蓄圧室12には高圧力が保持される。圧力
室10の圧力が接続口21の圧力よりも逆止弁13のクラツキ
ング圧だけ低くなると、逆止弁13が開弁し、第2圧力源
から高圧燃料が補給され、ピストン頂面71がシリンダ66
の座面74に押圧されて停止する。戻り導管16の途中に配
設された絞り弁60の開度は、圧力室10の圧油の駆動力に
よるピストン7およびプランジヤ8の移動速度を制限す
るように調整されている。
第1電磁弁5を通過する作動油の流量は、燃焼性能を向
上させるため増圧比を大きくとりかつ大きい噴射量を短
時間に出すため大流量となる。回転数500rpmで、11ccの
燃料をクランク角25度で噴射するとき、増圧比を8とす
このため第1電磁弁5は、パイロツト作動方式にせざる
を得ず、パイロツト作動方式の電磁弁は応答性が悪い
が、圧力室10への燃料の補充は噴射期間以外の充分長い
時間内で行えばよく、第1電磁弁5の切換えに第2電磁
弁6のような高速性が要求されない。事実、500rpmで回
転する内燃期間において噴射期間や噴射時期をクランク
角1度単位で制御する場合、 程度の応答性が第2電磁弁6に要求されるが、第1電磁
弁5は噴射時期を25度とすると、 の間に流路を切換え、第2電磁弁6と比べ応答性は1/10
以上でよい。
上記のごとく構成された実施例では 1回の噴射周期毎に超高圧燃料を蓄圧し、噴射期間内
に燃料を常に補充するようにブースタ3が作用するの
で、安定した噴射率が得られる。大容量の超高圧圧力容
器が不要である。
蓄圧容器であるブースタ3が小形化できるのでブース
タ3を噴射弁4と近接あるいは直接結合できる。そのた
め圧力容器である蓄圧室12からの噴射弁4までの噴射通
路を短くでき、噴射通路での圧力損失を小さくし得ると
ともに、また配管の省略によつて燃料漏れの発生を抑
え、火災の発生を防ぐことができる。
大容量の超高圧圧力容器が不要で作動油圧力源からブ
ースタまでは噴射圧力に比べ小さな圧力配管でよいの
で、配管、継手は従来のものが使用でき、安価である。
従来の油圧作動による増圧式燃料噴射装置ではブース
タのピストンやプランジヤの着座時に発生する衝撃力が
問題であつたが、本発明の場合、増圧部に関して蓄圧室
12に配設した衝撃吸収ピストンと安全弁を構成するピス
トン121により蓄圧室の過圧を防止することができる。
蓄圧室12に逆止弁11,13を配設することにより、燃料
の供給が可能となり、少量の噴射も可能となる。
増圧のための高圧作動油の供給には、大容量の電磁弁
が必要であるが、従来の場合、応答性、再現性とともに
非常に高い制御精度の要求される噴射タイミングの精度
を単一の電磁弁で行わしめているので、大容量と精度を
達成することは両立しない。本発明では、増圧に要する
油圧駆動力を発生させる機能と噴射期間の制御を行う機
能を個別の電磁弁5,6により分担せしめることにより、
油圧作動による燃料噴射を達成し得る。
1気筒毎にブースタ3と噴射弁4とが設けられ、噴射
系気筒毎独立しているので高圧式噴射装置のように気筒
間の緩衝が妨げるとともに、1気筒分のこのような構成
が故障しても、内燃機関の運転を他の気筒で続行するこ
とができるので、エンジンの信頼性が高い。
第4図は本発明の一実施例の構成図である。この実施例
は前述の基礎となる構成に類似し、対応する部分には同
一の参照符を付す。注目すべきは燃料噴射弁45において
前述の基礎となる構成における弁体100の閉止ピストン1
11が省略され、これに応じてシリンダ110および背圧室1
26が省略される。第2電磁弁6からの作動油は、接続口
39からシリンダ108の圧力室130に導かれ、制御ピストン
109の受圧面135に作用する。軸部107と制御ピストン109
によつて規定される部屋131は、導管132によつてタンク
117に接続される。弁体100は、ばね133によつて閉弁方
向に、第4図の下方に付勢される。導管45には絞り弁13
4が介在されている。
前述の第3図と同様にして時刻t1〜t4の期間W2で第1電
磁弁5は位置5aとなる。時刻t2以前では第2電磁弁6は
位置6cとなつている。これによつて第1圧力源1から管
路43を介する作動油は部屋130において弁体100の受圧面
135に作用する。したがつて弁体100は閉弁状態となつて
おり、ノズル孔106から燃料が噴射されることはない。
期間W2内における燃料噴射期間W1において第2電磁弁6
は位置6dとなる。これによつて部屋130は導管45および
絞り弁134を介してタンク61に連通する。そのため蓄圧
室12から通路35を介する燃料貯め103内の燃料は、ばね1
33のばね力F133に抗して弁体100を第4図の上方に変位
する。このとき次の第7式が成立する。
燃料噴射期間W1が経過した時点では、第2電磁弁6は位
置6cに戻る。これによつて次の第8式が成立し、弁体10
0が前述のように閉じる。
導管45に絞り弁134が設けられているので、第2電磁弁
6が位置6dとなつて噴射弁4が閉じるときに、弁体100
が第4図の上方に急激に上昇することが防がれ、衝撃力
の発生が防がれる。
以上のように本発明によれば、内燃機関を停止すること
なく、また内燃機関の回転速度に依存せず、燃料噴射時
期および燃料噴射量、燃料噴射圧力を容易に調節でき、
しかも燃料圧力が高圧化できるようになる。
【図面の簡単な説明】 第1図は本発明の基礎となる構成を示す図、第2図は第
1図のセクシヨンIIの拡大断面図、第3図は第1図およ
び第2図示の構成の動作を説明するための波形図、第4
図は本発明の一実施例の構成図である。 1……第1圧力源、2……第2圧力源、3……ブース
タ、4……噴射弁、5,6……電磁弁、7……ピストン、
8……プランジヤ、10……圧力室、11,13……逆止弁、1
2……蓄圧室、100……弁体

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第1圧力源1からの作動油を、少なくとも
    燃料噴射期間W1以上の期間W2だけ開弁状態となる第1電
    磁弁5を介して、ブースタ3における移動体7,8の一端
    の大径受圧面71側に導き、移動体7,8の他端の小径受圧
    面72側の圧力室10には、第2圧力源2から燃料油を第1
    逆止弁13を介して導入し、この圧力室10からの燃料油は
    第2逆止弁11を介して蓄圧室12に与え、蓄圧室12からの
    燃料油は噴射弁4のノズル孔106を開閉する弁体100の一
    端の受圧面に臨み、弁体100には、制御ピストン109が結
    合され、この制御ピストン109は、弁ばね133によつて弁
    体100が閉じる方向に付勢し、制御ピストン109の弁体10
    0側とは反対側の部屋130には第1圧力源1からの作動油
    が燃料噴射期間W1だけ供給される第2電磁弁6を介して
    供給されるようにしたことを特徴とする内燃機関の燃料
    噴射制御装置。
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