JPH068391B2 - カーボンブラック - Google Patents

カーボンブラック

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JPH068391B2
JPH068391B2 JP59066252A JP6625284A JPH068391B2 JP H068391 B2 JPH068391 B2 JP H068391B2 JP 59066252 A JP59066252 A JP 59066252A JP 6625284 A JP6625284 A JP 6625284A JP H068391 B2 JPH068391 B2 JP H068391B2
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尭之 中原
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、準々超耐摩耗性(IISAF)ないし準超耐
摩耗性(ISAF)に属するカーボンブラックに関する
ものであり、さらに詳しくは当該カーボンブラック充填
ゴム組成物を高度に補強すると共に、高い反ぱつ弾性を
付与するIISAFないし、ISAF級のカーボンブラ
ックに係るものである。
自動車運転時におけるエネルギー損失では、大きく分け
て、エンジンロス、空気抵抗、伝達ロスなどがあるが、
タイヤの転動抵抗は、全体の約1/7を占めるとされ、転
動抵抗が10%減少すると、燃料消費性能は1〜2%改良さ
れるといわれている。
一般に乗用車用タイヤトレッド組成物には耐摩耗性、耐
スキッド性等の観点から、SAF級ないし、HAF級と
いう粒子径が小さく、適度のストラクチャーを有するカ
ーボンブラックが用いられる。高い耐摩耗性は、タイヤ
の寿命及び走行時の安定性等に不可欠な特性であるが、
この特性のみを考慮したカーボンブラック品種の選択
は、タイヤの転動抵抗の増大をもたらし、特に燃料消費
性能の低下や、高速走行時の内部発熱によるタイヤ劣化
促進を招来する欠点がある。すなわち、使用カーボンブ
ラックの粒子径が小さくなる(補強性が大きくなる)に
つれて、反ぱつ弾性が低くなり転動抵抗が大きくなると
いう負の相関をもっており、高い耐摩耗性をもつゴム組
成物は、同時に大きな転動抵抗を有することになる。
この転動抵抗はタイヤの繰り返し変形における、運動エ
ネルギーの熱エネルギーへの変換による内部発熱等のい
わゆるヒステリシスに起因しており、ゴム組成物の特性
のうちで、反ぱつ弾性と負の相関関係を有している。従
って、高反ぱつ弾性のゴム組成物は、低転動抵抗を示
し、自動車用タイヤにおいては、燃料消費性能の向上
(低燃費、省エネルギー)に寄与する。
このようにタイヤレッド用ゴム組成物は、補強性、特に
高い耐摩耗性と低い転動抵抗性という二律背反条件を同
時に満たす必要がある。
ゴム等の補強材として使用されるカーボンブラックの構
造的特性は、ストラクチャーと比表面積とで表現され、
その一般的評価方法は、前者はジブチルフタレート(D
BP)吸収量を、後者は沃素吸着量(IA)を測定する
方法が採用されている。この両特性のうち、IAで代表
される比表面積が、ゴム組成物の耐摩耗性などの補強性
と、反ぱつ弾性などのいわゆる動的特性に対する影響に
支配的役割を持つことは上述した通りである。
カーボンブラック充填ゴム組成物の動的特性に対し、カ
ーボンブラックの比表面積以外に、いわゆるアグリゲー
トサイズおよびその分布が大きな影響を与える事も、近
年明らかとなって来た。
カーボンブラックは、厳密に制御された高温の炉(ファ
ーネス)内に原料油を導入、噴霧し、わずか数10ミリの
間に104〜109個の炭素原子が結合して単位粒子となり、
さらにこの単位粒子がお互いに数〜数100個融合して形
成されたものが、エラストマー中への最小分散単位であ
るアグリゲートである。
このアグリゲートは非常に微小なものであり、通常は数
10〜数100nm(1nm=10-9m=10-6mm)の大きさを有して
いる。これを評価するには電子顕微鏡による直接観察と
いう方法もあるが、測定装置、測定時間、分析方法など
で難しい点がある。このために、通常は遠心沈降分析法
により評価される。
これは懸濁液中の物質では大きなものほど速く沈降する
と言う原理を利用し、さらに沈降しにくい微細な物質に
対しては高速で回転運動を与えることで沈降速度を上げ
ることにより微細物質の大きさを測定することに基づい
ている。
実際には、カーボンブラックの希釈液に超音波を照射し
て充分に分散させ、この液を高速回転している円盤上に
注加し、経過時間ごとにある一定点を通過するカーボン
ブラックの量を吸光度として連続的に測定することによ
って行われる。したがって、測定時の記録は経過時間に
対する吸光度の連続曲線として得られることになる。こ
の測定曲線の例を第1図に示す。
この測定曲線を用いて、カーボンブラックアグリゲート
のストークス相当径は、次の式で与えられる。
d:アグリゲートのストークス相当径(nm) K:測定条件による決定された定数 t:経過時間(分) このことから、ストークス相当径dも連続的に変化する
時間の関数であり、時間tでのカーボンブラックアグリ
ゲートの濃度としての吸光度をプロットすれば、アグリ
ゲート相当径とその径でのカーボンブラックの濃度(頻
度)が滑らかな曲線として得られる。
このアグリゲートサイズ相当径の対数を横軸、濃度(頻
度)を縦軸としてプロットすると、カーボンブラックに
おいては、一般的にほぼ正規分布を示すことが確かめら
れており、図1から算出されたアグリゲート相当径と吸
光度の曲線は図2のようになる。
図1の測定曲線において、最大吸光度Aにおける時間
を、tP、1/2Aにおける時間をtLおよびts(tL
S)とすると、(1)式により換算したカーボンブラック
アグリゲートのストークス相当径は、図2ではそれぞれ
Dst,▲DL 50▼および▲DS 50▼と表示される。
ここで、カーボンブラックのアグリゲートサイズ分布指
数sは次の式で定義される。s=0.84932×log(▲DL
50▼/Dst) (2) カーボンブラックの平均アグリゲートサイズが大きけれ
ば、高反ぱつ弾性のゴム組成物を与える一方で、比表面
積の低下を伴い、従って耐摩耗性の低下を来たし、動的
特性と耐摩耗性を整合することは、平均アグリゲートサ
イズの制御のみでは殆んど不可能であった。
試験室的には、これを解決するために2品種またはそれ
以上のカーボンブラックを混合して、所望の性能を発揮
させるべく研究も行われてはいるが、タイヤ製造の如き
工業的大規模実施に対応させるには、2種またはそれ以
上のカーボンブラックを大量にかつ正確な配合比率で混
合する装置が見当らないばかりではなく、カーボンブラ
ック特性による分散性の差異が生じるために、均一性を
有する製品も得られないと云う難点がある。
本発明者らは、単一製品のカーボンブラックを配合した
ゴム組成物の動的特性に対するアグリゲートサイズの影
響に関し、最多頻度のアグリゲートサイズよりも大なる
アグリゲートの多寡が上述した二律背反の条件を解決す
る重要な要因となっており、最多頻度アグリゲートサイ
ズ(Dst)と前記Dstよりも大きいアグリゲートサイズ側
であって、Dstの1/2の頻度値を有するアグリゲートサイ
ズ値(D▲L 50)▼の2つの数値から(2)式で計算される
アグリゲートサイズ分布指数sを、特定数値範囲、すな
わち0.15ないし0.20に保持せしめることにより、従来の
同級品のカーボンブラックよりもはるかに高い反ぱつ弾
性をゴムに付与しながら耐摩耗性を低下することのない
効果のあることを見出し、本発明に達した。
本発明は、前述したようにカーボンブラックアグリゲー
トサイズ分布指数sを従来よりもある特定範囲に大きく
することにより、カーボンブラック配合ゴムに対して耐
摩耗性と反ぱつ弾性の両特性を同時に満たすゴム組成物
を与えるカーボンブラックを提供することにある。
カーボンブラックアグリゲートの分布の広狭が配合ゴム
の物性に対して大きな影響があることはすでに公知であ
り、(たとえば、J.krausら、Rubber Chem.Technol.,4
8,538(1975))、その分布を広げることにより耐摩耗性
をあまり低下させることなく反ぱつ弾性を向上させるこ
とができると記載されている。しかし、ここで述べられ
ているアグリゲート径の分布の広狭を子細に検討する
と、後述するようにその代表径の大小と関連しており、
この反ぱつ弾性特性での性能向上に分布の広狭、あるい
は代表径の大小のどちらかが寄与しているかについては
まったく不明確である。
本発明者らは、カーボンブラックのアグリゲートの分布
についてさらに詳細に研究を進めた結果、アグリゲート
の最多頻度値(Dst)の大小によりその分布(ΔD50)も移
動、すなわちDstが大きくなると分布も広くなり、逆にD
stが小さくなると分布も狭くなるという関係(換言すれ
ば、混合物でない通常の分布曲線においてはアグリゲー
トサイズ分布はDstを中心として対数正規に近似した分
布をとる)があり、ただ単に分布が広くなったあるいは
狭くなったといった場合でも、Dstの値に付随して移動
するために、従来のカーボンブラックに比較して、ある
Dstに対する本来の意味でのアグリゲートの分布の広狭
を評価することは不可能であることを見いだしたことが
本発明の完成の基礎となっているのである。
市販(出願人の生産した製品を含む)ならびに試作した
各種カーボンブラックのアグリゲートサイズ分布曲線お
よびこれらのカーボンブラックを配合したゴム組成物の
特性について研究を進めた結果、アグリゲートの最多頻
度値(Dst)およびDstよりも大きい側にある曲線の形状即
ちアグリゲートの多寡がゴム特性の耐摩耗性と反ぱつ弾
性に大きな影響を与えていることを見いだし、本発明を
完成させたものである。
このアグリゲートサイズ分布曲線および本発明ではじめ
て定義された分布指数sについて詳しく説明する。
第2図は、第1図に示した頻度値vs時間の測定曲線から
得られる2種の異なるカーボンブラックのアグリゲート
分布曲線を示したものである。これを頻度値vs log Dで
示したのが第3図である。
第2図において、従来では最多頻度値(Dst)とその分布
の幅(ΔD50)でアグリゲート分布を特徴づけていたが、
前述したように分布の幅はDstの値に依存して変化し、
したがってアグリゲートの特性の中でDstのような代表
径と分布の幅のどちらが配合ゴムの物性に影響を与えて
いるのかが明確ではなかったのである。
このアグリゲートに関する (1)アグリゲートサイズの最多頻度値Dstにより分布が変
化するために本来の意味での分布(Dstが一定値とした
ときに分布がどうなっているのか)が評価できない、 (2)Dstよりも大きい側のアグリゲートサイズ分布の多寡
がゴム特性に大きな影響を与えている、 という現象を何らかの形で表現し、カーボンブラックの
特徴付けを行うために、まったく新しく本発明者により
考え出されたのがアグリゲートサイズ分布指数sなので
ある。
すなわち、カーボンブラックの最多頻度値をDst、Dstよ
りも大きい側にあり、かつDstの1/2の頻度を有するアグ
リゲートサイズをD50 としたとき、アグリゲートサイ
ズ分布指数sは次の式で定義される。
s=0.84932×log▲(D50 L▼/Dst) なお、このsという値は、製造条件、特に単一箇所から
の原料油噴霧によりカーボンブラックを製造した場合に
はアグリゲートサイズ分布が対数正規分布を示すと仮定
したときの分布の標準偏差とほぼ等しい意味合いを持っ
ているが、アグリゲートの分布指数sは対数正規分布の
標準偏差から算出されるものではなく、したがって分布
が対数正規である必要もないのであって、あくまでDst
より大きいアグリゲートがどれだけ多いか、あるいは少
ないかを示し指標という意味を持っている。
また、本発明における実施例および比較例では単一箇所
からの原料油の導入なので、ここに述べるようにDstよ
りも大きい側では滑らかな曲線(ほぼ対数正規分布)と
なるが、複数箇所での原料油導入または異なるグレード
の混合物(通常、混合物でのゴム特性は案分した値より
も性能は低下する傾向にあるので、特別の場合を除いて
あまり利用されない)の場合はDstよりも大きい側の形
状がくずれることも考えられる(この場合では、分布の
形が対数正規分布とはならない)が、その場合でも分布
指数sはDstよりも大きいアグリゲートの多寡を表わす
指標としての有用性を何ら損うものではない。
本発明者らは、このカーボンブラックアグリゲートに関
する全く新しい評価基準をもつIISAFないしISAF級の市
販カーボンブラックや各種試作カーボンブラックを数多
く研究した結果、従来のカーボンブラックではこのサイ
ズ分布指数sは大部分が0.12〜0.13に集中、例外的に0.
11及び0.14を示すものが認められたが0.15を越えるもの
は皆無であった。このsの値を従来よりも大きい0.15〜
0.20という特定の範囲に制御することにより、従来では
二率背反の特性であった配合ゴムへの補強性と反ぱつ弾
性という2特性を同時に満たすことのできるカーボンブ
ラックを見いだし、本発明に到達したものである。
本発明カーボンブラックにおけるアグリゲート分布での
従来品との差異を模式的に示すと第4図のようになる。
このようにアグリゲートサイズ分布指数sを大きく制御
することにより、 ・耐摩耗性……Dstよりも小さい側での分布形状は近似
しているので、この特性での性能低下はほとんどない ・反ぱつ弾性……Dstより大きい側でのアグリゲートが
多くなるので、この特性で改善効果が生じる。
ためと考えている。
本発明者らが、多くの市販IISAF、ISAF級カー
ボンブラックのアグリゲートサイズ分布測定を実施した
ところ、アグリゲートサイズ分布指数sは、大部分が0.
12〜0.13に集中し、例外的に0.11及び0.14を示すもの認
められたが、0.15を越えるものは、皆無であった。これ
ら市販カーボンブラックでは上述した二律背反の条件を
満足することはできない。ちなみに、従来のIISA級
ないしはISAF級のカーボンブラックは、耐摩耗性の
尺度としてのスリプ率25%におけるランボーン摩耗試験
による耐摩耗指数(耐IRBNO.5対比)を用いたと
き、夫々110以上及び115以上であり、レジリエンステス
ターによる反ぱつ弾性は夫々56%以下及び54%以下であ
る。
本発明において、カーボンブラックのアグリゲートサイ
ズ分布指数sを0.15〜0.20に保持させる事により、同一
IAの従来カーボンブラックに比較し、殆んど耐摩耗性
の低下なしに反ぱつ弾性を大巾に増大することが可能で
あり、特にsの値が0.16ないし0.18であるカーボンブラ
ックがさらに望ましい。
しかし、カーボンブラックのsが0.20を上回わるとき
は、顕著な反ぱつ弾性の上昇は認められるが、耐摩耗性
の低下が大となり、同一IAの従来カーボンブラックと
同等の補強性能を維持できなくなるので好ましくない。
またsが0.15に達しない場合には、反ぱつ弾性の改善効
果が無く、従って耐摩耗性と反ぱつ弾性の両特性の整合
性を考慮すると、sは0.15〜0.20の範囲に保持されなけ
ればならない。
以上の如く、本発明カーボンブラックは、耐摩耗性と反
ぱつ弾性の両性能の整合されたものであり、IISAF
級ないしIASF級カーボンブラックのsを0.15〜0.20
に保持せしめることにより、ゴム組成物に対し、従来品
と同レベルの耐摩耗性を有しながら、反ぱつ弾性の顕著
な改善を達成する事ができる。
以下に本発明カーボンブラックの製造例を示す。
製造例 第3図、第4図および第5図に示したカーボンブラック
製造炉を用いて本発明カーボンブラックならびに比較カ
ーボンブラックを製造した。
円筒形状の燃焼室1(内径800mmφ、長さ430mm)と、前
記燃焼室前半部分において設置された接線方向位置に中
心軸を有する第1の空気導入口2〜3(内径164mmφ)
および前記第1の空気導入口とは独立した6個の放射状
の第2の天然ガス導入口4〜9(内径40mmφ)と、前記
燃焼室に連結した最狭内径260mmφ、長さ450mmのベンチ
ュリ部10と、前記ベンチュリ部の下流側に設けられ、か
つ第1導入口の旋回方向に対して順方向(正接)または
逆方向(逆接)で導入できるように設けた同一断面の上
下端を通る平行かつ接線方向でそれぞれ4本の導入口を
有する2組の第3の空気および/または天然ガス導入口
11〜14および15〜17(内径80mmφ)が設置され、第3の
導入口の下流側空間内に複数個の冷却水圧入噴霧装置
(a〜g)を設置した反応継続兼冷却室18(内径400mm
φ、長さ4000mm)とからなる、全体が耐火物で被覆され
たカーボンブラック反応炉を用い、原料油の導入位置、
第1および第2の導入口より空気および天然ガスの供給
条件第3の導入口からのガス体の供給条件および旋回方
向などを適宜調節することにより、比表面積、ストラク
チャー、アグリゲート最多頻度値(Dst)およびアグ
リゲートサイズ分布指数(s)の異なるIISAF〜I
SAF級のファーネスカーボンブラックを製造した。本
発明で重要な要素であるアグリゲートサイズ分布につい
ては、製造炉上流端から軸方向に設置された原料油導入
装置(図示せず)の移動による噴霧位置、第3の導入口
からの旋回方向、天然ガスの導入の有無などを制御する
ことにより各種カーボンブラックを製造した。なお、カ
ーボンブラックの基本特性である表面積(IA)は反応炉へ
導入する全空気量、ストラクチャー(DBPA)はアルカリ金
属の原料油への添加量により制御した。
より詳しく説明すると、カーボンブラックのアグリゲー
トサイズ分布指数sを広げる場合には、カーボンブラッ
ク生成反応時における高温反応物の流動方向を変化させ
ること、換言すれば反応差に導入される空気の流動方向
を燃焼室からの流動方向とは異なる旋回方向(逆接)で
導入するとともに、反応室への天然ガス(NG)の導入は行
わない。これは、NGの導入に反応帯域の温度が上昇し、
このために生成したカーボンブラックアグリゲートが高
温にさらされるために全体に小さい方向に移行し、その
結果としてアグリゲートサイズ分布が狭くなるためと考
えられる。なお、同じ逆接からの導入でも、2つの導入
口からの導入量に差があつ場合はサイズ分布指数sの数
値は小さくなり、差が小さくなるとsは大きくなる傾向
にある。
さらにもう1つの手段として、原料油の噴霧位置として
従来の場合よりも反応炉の上流側に移動させることがあ
げられる。これは、下流側ほど燃料の燃焼反応が完結し
て高温となっており、この高温雰囲気中に原料油を導入
すると全体としてカーボンブラック生成反応は均一化さ
れ、このためサイズ分布も狭い方向に移行するものと考
えられ、サイズ分布sを通常よりも大きい(分布の広
い)側、すなわち本発明の場合には上流側に噴霧位置が
設定される。
各種カーボンブラックの製造条件および製造されたカー
ボンブラックの物理化学的特性を表−1に示した。
本発明によるカーボンブラックの各特性は、次のように
して測定される。
DBP吸収量(DBPA):JIS K 6221-1982A法による。
沃素吸収量(IA):JIS K 6221-1982による。
比着色力 :JIS K 6221-1982Aによる。
沈降分析によるカーボンブラック凝集体サイズ(C.B.agg
regate size)分析法 使用機器 Disk Centrifuge(Photo sedimentomenter)(DCF) (英) Joyce Loebl社製 測定法 若干の界面活性剤を加えた30%メタノール溶液中に、0.
05〜0.1%のカーボンブラックを加え、超音波処理を施
して完全に分散せしめる15V/V%グリセリン水溶液の沈
降液(スピン液)15〜20mを注加した回転ディスクの
回転数を8000rpmとし、上記分散液0.02〜0.03mを注
加する。
分散液の注加と同時に記録計を作動せしめ、回転ディス
クの外周近傍の一定点を沈降によって通過するカーボン
ブラックアグリゲートの量を吸光度として光学的に連続
想定し、得られた沈降時間に対する吸光度(アグリゲー
トの頻度)曲線から、その最大値APおよび最大値の1/2
の頻度でかつAPよりも大きいALを与える沈降時間のt
PおよびtLを読み取り、前述の(1)の式(ストークスの
一般型)により、これらの値に対応するカーボンブラッ
クアグリゲートのストトークス相当径のDstおよび▲
L 50▼を算出する。
式(1)において、dは沈降開始後の時間tで回転ディス
クの光学的測定点を通過するカーボンブラックアグリゲ
ートのストークス相当径である。
定数Kは、測定時のスピン液量、粘度およびカーボンブ
ラックとの密度差(カーボンブラックの真密度を1.86g
/mとする)、さらに回転ディスクの回転数によって
決定せられる定数である。例えば、スピン液として15V/
V%グリセリン水溶液17.5mを用い、測定温度20℃で
ディスク回転数を8000rpmとした場合のKの値は368.9と
なり、dはnm、tは分で表示される。
Dstおよびsの定義 上記の測定操作によって得られるカーボンブラックアグ
リゲートのストークス相当径の中で、最大吸光度を与え
るまでの経過時間tPから算出されるストークス相当径
Dstと呼ばれ、そのカーボンブラックアグリゲートを
表わす代表値である。
また、前記吸光度曲線において、最大吸光度値の1/2に
相当する値を与える経過時間tLに対するストークス相
当径▲DL 50▼(Dstより大きく、Dstの1/2の頻度
を持つ径)とすると、アグリゲートサイズ分布指数s
は、 s=0.84932×log▲(DL 50▼/Dst) (2) で定義される。
前述したように、(2)式で定義されるアグリゲートサイ
ズ分布指数sは、数学的には遠心沈降法により測定した
カーボンブラックアグリゲートのストークス相当径が対
数正規分布に従うと仮定した場合の分布曲線の標準偏差
しほぼ同じ意味合いをもつもので、この数値が大きいと
いうことはアグリゲート分布が広ということを意味して
いる。
表-1のRunNO.1〜5は、本発明にかかるカーボンブラッ
クであり、DBPAとIAの2基本特性とともにアグリゲート
サイズ分布指数sが従来のものよりも広い範囲、すなわ
ち0.15〜0.20という値を満たしている。
RunNO.8〜13は2基本特性は満足していつが、アグリゲ
ートサイズ分布指数sがRunNO.8,9,11および12では
小さい方にはずれた例、RunNO.10は大きい方にはずれた
例である。RunNO.13および14はIAが本発明の範囲を、Ru
nNO.15および16はDBPAがはずれた例である。
また、RunNO.8は従来のIISAF級の、RunNO.9,17および
18はISAF級のカーボンブラックであり、RunNO.18は旭#
80(旭カーボン(株)製)RunNO.8は「シースト5H」
(東海カーボン(株)製)、RunNO.9は「ショウブラッ
クN220」(昭和キャボット(株)製)、RunNO.17は
「ニテロン#300(新日鉄化学(株)製) 性能評価試験 表−1に示したカーボンブラックの性能評価をする為
に、表−2に示す配合比を以ってゴム組成物を調製し、
種々の試験に供した。
各ゴム組成物の性能評価は、次のゴム特性試験条件によ
り測定評価した。
ゴム特性試験条件 配合物の加硫条件:145℃,30分 押出試験:ASTM D2230-77 A法に準じて測定
し、ダイスウェル(D.S.)は下式で求める。
D.S.(%)=(S-So)×100/So ここでSo;ダイ面積,S;押出試料断面積 耐摩耗試験:ランボーン摩耗試験機を用い、スリップ
率25%で測定し、耐摩耗性は下式で求める。
耐摩耗指数=(S/T)×100 (%) ここでS:IRBNO.5試験片の25%スリップ率での容
積損失。
T:供試試験片の25%スリップ率での容積損失。
反ぱつ弾性試験:レジリエンステスター(東洋精機製
作所製)を用い。
B.S(British Standard)903:Part A8 :1963のA法
に準じて測定する。
其の他のゴム特性:JIS K(6300−1974およびJ
IS K 6301-1975に準じて測定する。
各カーボンブラックにおけるゴム特性については、表−
3にとりまとめて示す。
前述したように、カーボンブラック配合ゴムの特性はD
PBAおよびIAが支配的な役割を有しているので、こ
の2つの特性がほぼ等しい例を対比しながら、本発明の
効果ならびに2基本特性の限定理由について説明する。イ )反発弾性 DBPAおよびIAの2つの基本特性がほぼ等しく、ア
グリゲートサイズ分布指数sが異なっているRunNO.2と
NO.12、RunNO.3とRunNO.9および10、RunNO.5とRunN
O.11のカーボンブラックをそれぞれ比較する。
本発明カーボンブラックは、アグリゲートサイズ分布指
数sが0.15を下回る場合と比較して、ムーニー粘度での
若干の低下、押し出しでの若干の上昇があるが、反発弾
性の特性において大きく改善されている。反発弾性での
これらの差は、タイヤなどの繰り返し変形を与えられる
ゴム組成物において非常に大きな差異として発現され
る。
一方、sが0.20を越えて大きくなった場合では本発明カ
ーボンブラックよりもさらに反発弾性の特性は向上して
いる。
このように、Sの大小が反発弾性に対して大きな影響を
与えていることが明らかである。ロ )耐摩耗性 本発明カーボンブラックでは、アグリゲートサイズ分布
指数sが0.15を下回る従来のカーボンブラックと比較し
て、耐摩耗指数でほぼ同等かもしくは若干低下する傾向
を示しているが、通常許容できる程度の性能低下に過ぎ
ず、実質的には顕著な性能低下とはいえない範囲であ
る。
しかし、sが0.20を上回った場合は、イ)での反発弾性で
の性能向上の割合よりも著しく大きな耐摩耗性の低下を
示しており、sは0.20を上限とすることが望ましい。ハ )基本2特性について RunNO.11は沃素吸着量が105mg/gを下回った場合であ
るが、sが大きいことと沃素吸着量が下がったことで反
発弾性の特性は良好である一方で、耐摩耗性指数がII
SAF級カーボンブラックの標準とされている110を大
きく下回っている。また、沃素吸着量が130mg/gを上
回ったRunNO.12では、sを大きくしても反発弾性でIS
AF級の基準とされる54%を上回ることはできず、sの
効果が現われにくくなる傾向にある。
DBPAが105m/100gを下回ったRunNO.13において
は、耐摩耗性の低下とともに300%引張応力値において
大きく特性が低下している。また、130m/100gを上
回ったRunNO.14の場合には、ムーニー粘度が高くなって
加工法、作業性に困難をきたす傾向が見られる。
ここでRunNO.2とRunNO.9のゴム特性を比較すると、い
くつかの特性において近似している数値があるが、これ
は2基本特性が異なるにも関わらずその発現した値が偶
然近接したものとなったのである。
しかしながら、RunNO.9のゴム特性は本発明の目的とす
る耐摩耗性と反ぱつ弾性のいずれの特性においてもRunN
O.2より劣っており、さらに引張強さの特性では大きく
低下している。
RunNO.2はRunNO.12に比し反ぱつ弾性が向上し、RunNO.
3はRunNO.9に比し反ぱつ弾性及び耐摩耗指数が向上
し、RunNO.10に比し耐摩耗指数が向上し、RunNO.4はRu
nNO.8に比し反ぱつ弾性が向上し、RunNO.5はRunNO.1
1に比し反ぱつ弾性が向上している。
またRunNO.13,14はIAが本発明の範囲から外れ、RunN
O.15,16はDBPが本発明の範囲から外れた例である。R
unNO.13,15は耐摩耗指数が大きく低下し、RunNO.16はD
BPが上限に限られ表面積が小さいにも拘らずムーニー
粘度が大となり流れ性、加工性が低下して取扱い難い。
また、RunNO.14はIAが本発明の範囲で上限を外れたも
ので、耐摩耗性は良好であるが、反ぱつ弾性の特性が低
下する。更に、RunNO.10は耐摩耗性に影響の強いIAが
高いにも拘らずsが大であるので、耐摩耗性はRunNO.1
に比べても耐摩耗性は同じであるが、IAの高いだけム
ーニー粘度が大となり流れ性、加工性が低下し取扱い難
い。
以上述べたように、2つの基本特性がほぼ等しく、アグ
リゲートサイズ分布指数sが異なる実施例と比較例を比
べると、ダイヤトレッド等で重要な耐摩耗性を従来品と
同等に維持するとともに、反ぱつ弾性を効果的に向上す
る(転動抵抗を低下させる)ことのできるカーボンブラ
ックであることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
第1図は遠心沈降分析によりカーボンブラックのアグリ
ゲートを測定した場合の経過時間と吸光度との相関を示
す測定曲線の一例である。第2図は第1図に示した頻度
値vs時間の測定曲線から得られる2種の異なるカーボン
ブラックのアグリゲート分布曲線を示したものである。
第3図は第2図に示した曲線においてアグリゲートのス
トークス相当径の対数と頻度値の関係をプロットした曲
線である。 第4図はカーボンブラックのアグリゲート分布での従来
品との差異を模式的に示したものである。第5図は本願
発明カーボンブラックの製造に用いられる装置の一例を
示す縦断面図であり、第6図は第5図のA−A矢視にお
ける断面図、第7図はB−B矢視における断面図であ
る。 図中 1……燃焼室、2,3……空気導入口 4〜9……天然ガス導入口 10……ベンチュリ部 11〜17……空気および/または天然ガス導入口 18……反応継続兼冷却室 a〜g……冷却水圧入噴霧器挿入口」

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ジブチルフタレート(DBP)吸収量(D
    BPA)が105〜130m/100g、沃素吸着量(IA)
    が、105〜130mg/gであり、下式で算出されるアグリゲ
    ートサイズ分布指数(s)が0.15〜0.20の範囲にあるカー
    ボンブラック。 s=0.84932×log(▲DL 50▼/Dst) ここで、s:アグリゲートサイズ分布指数 Dst:遠心沈降分析によって得られる最多頻度のスト
    ークス相当径 ▲DL 50▼:Dstより大で、Dstの1/2の頻度を、有
    するストークス相当径
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