JPH0683774U - 毛羽抑制装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 実質的に毛羽の無い紡績糸を得ることがで
き、且つ、装置を構成する部材の局部的な摩耗が起らず
耐久性に優れた毛羽抑制装置を提供する。 【構成】 駆動回転し、導入した糸を螺旋状に巻き付け
るローラ、及び、糸送出手段より毛羽抑制装置を構成し
た。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、紡績糸の加工装置である毛羽抑制装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、空気紡績機においては、ケンスより供給されるスライバを３乃至はそれ 以上のドラフトローラ対よりなるドラフト装置でドラフトした後、圧空噴射によ る旋回気流を発生している空気紡績ノズル内を通過させることにより仮撚紡績し て、平行な芯繊維の表層に巻付繊維が存在することにより加撚状態となった結束 紡績糸を製造している。このような紡績糸の表面には、巻付繊維の一部先端が遊 離して多くの毛羽を形成しクラウディな糸となり、紡績糸の品質に少なからぬ影 響を与えていた。

【０００３】 そこで紡績糸の上述の毛羽を減少させるために、ゴムローラと、該ゴムローラ に斜に接触する無端ベルトにより糸をニップしつつ送り出し、糸に仮撚と擦り作 用を与えることにより毛羽を糸自体に巻き込んで抑制する毛羽抑制装置が開発さ れているが、上記の毛羽抑制装置においては、ゴムローラが糸をニップする部分 において局部的に摩耗しやすいといった問題があった。また、上記の毛羽抑制装 置においては、糸が、無端ベルトおよびゴムローラと接触する領域が狭く、糸に 十分な擦り作用を与え難いという問題もあった。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は、従来の技術の上述の点に鑑みて、実質的に毛羽の無い紡績糸を得る ことができ、且つ、装置を構成する部材の局部的な摩耗が起らず耐久性に優れた 毛羽抑制装置を提供することを目的とするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

駆動回転し、導入した糸を螺旋状に巻き付けるローラ、及び、糸送出手段より 毛羽抑制装置を構成した。

【０００６】

【作用】

回転するローラ周面に接するよう斜に導入された紡績糸は、該ローラ周面に螺 旋状に巻き付き糸送出手段へと引き取られる際、仮撚と擦り作用が付与され、こ れにより糸表面に遊離している毛羽繊維は糸自体に巻き付けられ、実質的に毛羽 の無い紡績糸として糸送手段より送出される。上記過程において、紡績糸はロー ラ周面全体に接触されるので、ローラ周面が局部的に摩耗するといった事態は発 生しない。また糸はローラと接触する領域が広く、ローラと接触している間は擦 り作用が与えられる。

【０００７】

【実施例】

実施例について図面と共に説明する。

【０００８】 図１において、毛羽抑制装置１は、紡績機の空気紡績ノズル２の下流側に設け られニップローラ３ｎを圧接したデリベリローラ３の下流側に設けられており、 糸を螺旋状に巻き付けるローラ４、及び糸送出手段であるニップローラ５ｎを圧 接したデリベリローラ５より構成されている。

【０００９】 ローラ４は、図示しない支持部材により回転自在に支持されているシャフト６ にゴムローラを外嵌してなり、シャフト６の他端にはプーリ７が固定されている 。プーリ７と、モータ８の回転軸に固定したプーリ９との間にはベルト１０を装 架して、ローラ４はモータ８により糸Ｙの紡績時の加撚方向（図示例ではＳ撚） である矢印ａ方向に駆動回転される。

【００１０】 上記ローラ４は、デリベリローラ３とデリベリローラ５の各ニップ点を結ぶ糸 走行線に近接して、該糸走行線と平行に配置されており、ローラ４の上端近傍に 、上記糸走行線に沿ってデリベリローラ３より送出される糸Ｙをローラ４周面に 、該ローラ回転軸方向に対して適宜入射角θをなして斜に案内する糸ガイド部材 １１を設け、また、ローラ４の下端近傍に、ローラ４を周回した糸Ｙを上記糸走 行線に沿ってデリベリローラ５に案内する糸ガイド部材１２を設けている。上記 入射角θは、糸ガイド部材１１と同１２との間隔、及びローラ４の直径により自 動的に決定され、３０°〜４５°程度とする。

【００１１】 デリベリローラ５の周速は、デリベリローラ３の周速とほぼ等しく、デリベリ ローラ３の周速に対する速度比は０．９９〜１．０２程度とする。

【００１２】 次に実施例に基づいて作用を説明する。

【００１３】 空気紡績ノズル２により仮撚紡績された糸Ｙは、デリベリローラ３より送出さ れる。このとき、糸Ｙの表面には先述の如く、毛羽が形成されている。更に、糸 Ｙは、糸ガイド部材１１により屈曲され、入射角θをなして、ローラ４周面に斜 に導入され、ローラ４周面に、該ローラ４の回転の向きと同じ向きに螺旋状に巻 き付き、周回した後、糸ガイド部材１２により屈曲されデリベリローラ５に引き 取られる。

【００１４】 この際、上記デリベリローラ５の周速は、デリベリローラ３の周速とほぼ等し く設定されているので、それらの間で糸Ｙは適宜の糸張力に保持されており、こ の糸張力により糸Ｙはローラ４の周面に密接して走行している。また、ローラ４ の矢印ａ方向への回転は、該ローラ４に螺旋状に巻き着いている糸Ｙに送りを与 えると同時に、該糸Ｙに図２中矢印ｂ方向へのトルクを生じ仮撚を付与する。即 ち、糸Ｙはローラ４周面上を転動しながら摺動する。この仮撚及び摺動時の擦り 作用により糸表面に遊離している毛羽繊維は糸自体に巻き付けられ、実質的に毛 羽のない紡績糸Ｙとしてデリベリローラ５より送出される。

【００１５】 そして、糸Ｙはローラ４の周面全体に接触するので接圧は比較的低く抑えられ ており、糸Ｙの接触により、ローラ４が局部的に摩耗するという事態は発生しな い。これによりローラ４をゴム等の柔軟な材料で形成して、糸Ｙに対する把持力 を確保しつつも、ローラ４の耐久性を向上できる。

【００１６】 図１及び図２に示した上記実施例は全てＳ撚り糸に対する毛羽抑制装置１を示 したものであり、Ｚ撚り糸の毛羽を抑制する場合は、ローラ４の回転方向並びに ローラ４への糸Ｙの巻付方向は逆方向になる。

【００１７】 また、図３に示す本考案第２実施例の毛羽抑制装置２１においては、糸ガイド １１，１２を設けて糸Ｙをローラ４周面に斜に導入する代りに、ローラ２４の回 転軸自体を糸走行方向に対して傾斜角θをなして傾斜して設けることにより糸Ｙ をローラ２４周面に斜に導入するようにして、第１実施例の毛羽抑制装置と同様 の作用効果を得るものである。

【００１８】 尚、上記実施例においては、毛羽抑制装置１を空気紡績ノズル２を備えた紡績 機に実施した一例を示したが、本考案はこれに限定されず、他の紡績機，ワイン ダ等毛羽抑制が有効である各種繊維機械に実施することが可能である。

【００１９】

【考案の効果】

本考案毛羽抑制装置は、上述のとおり、駆動回転し、導入した糸を螺旋状に巻 き付けるローラ、及び、糸送出手段より構成されているので、実質的に毛羽の無 い紡績糸を得ることができ、且つ、装置を構成する部材の局部的な摩耗が起らず 耐久性に優れている。また、糸は十分広範囲に亘りローラと接触することができ 、十分な擦り作用を付与することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案第１実施例の毛羽抑制装置を示す斜視図
である。

【図２】本考案第１実施例の毛羽抑制装置を示す要部斜
視図である。

【図３】本考案第２実施例の毛羽抑制装置を示す側面図
である。

【符号の説明】

１，２１ 毛羽抑制装置 ３，５ デリベリローラ ４，２４ ローラ １１，１２ 糸ガイド部材 Ｙ 紡績糸

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 駆動回転し、導入した糸を螺旋状に巻き
   付けるローラ、及び、糸送出手段よりなる毛羽抑制装
   置。