JPH068281Y2 - 膨張タービンの軸受装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、膨張タービンの軸受装置に関するものであ
る。

［従来の技術］ ヘリウム膨張タービン等の膨張タービンの回転部分に
は、ラジアル荷重とスラスト荷重が作用する為、回転部
分はジャーナル軸受とスラスト軸受によって支持されて
いる。

従来、膨張タービンの軸受装置として、一般にジャーナ
ル軸受には動圧ガス軸受が用いられ、スラスト軸受には
動圧ガス軸受或は静圧ガス軸受が用いられている。

［考案が解決しようとする問題点］ 上記した従来の軸受装置に於いてジャーナル軸受に動圧
ガス軸受を用いることについては問題ないが、スラスト
軸受を動圧ガス軸受とするとスラスト軸受の負荷容量が
不足する場合が多い。従って、スラスト荷重の大きい場
合には、スラスト軸受に静圧ガス軸受を用いることが多
い。

静圧ガス軸受は軸受に供給するガス圧力を高くすること
で大きな負荷容量が得られるが、静圧ガス軸受は動圧ガ
ス軸受に比べ構造が複雑で精密加工を要するのでコスト
高である。又、静圧ガス軸受には圧力ガスを導く為のガ
ス流路を設けなければならず、面倒であると共に又一般
にはタービンの高圧側のガスを導いているのでガスの損
失があって、タービンの効率が低下する、等の問題を有
していた。

本考案は上記実情を鑑み、ジャーナル軸受、スラスト軸
受共に動圧ガス軸受を採用し、而も高負荷にも耐え得る
様にし、軸受装置の簡略化を図ろうとするものである。

［問題点を解決するための手段］ 本考案は、タービンインペラより延びる回転軸を、ラジ
カル動圧ガス軸受及びスラスト動圧ガス軸受により回転
自在に支持すると共に、前記回転軸の反タービンインペ
ラ側端に、回転軸に作用するスラスト力に対し反対方向
の吸引力を作用させ得る様に電磁石を配設し、更に前記
回転軸に永久磁石のロータを一体に設けると共に該ロー
タと対峙する位置にコイルを配設して発電機を構成し、
該発電機と前記電磁石とを整流器を介して接続したこと
を特徴とするものである。

［作用］ 回転軸に作用するラジアル荷重はラジアル動圧ガス軸受
によって負担し、回転軸に作用するスラスト力はスラス
ト動圧ガス軸受により１部を負担し、残りは電磁石の吸
引力により負担する。

［実施例］ 以下図面に基づき本考案の１実施例を説明する。

図中１はタービンインペラ、２は軸受装置を示す。

ケーシング３のインペラ側端部にはラジアルガス動圧軸
受４が設けられ、該ラジアル動圧ガス軸受４と所要距離
離れた位置に軸受ハウジング５が設けられ、該軸受ハウ
ジング５にもう一のラジアル動圧ガス軸受６が設けられ
る。タービンインペラ１より延びる回転軸８は前記した
両ラジアル動圧ガス軸受4,6により回転自在に支持され
ている。又、回転軸８の反タービンインペラ側端にはフ
ランジ９を固着し、該フランジ９と前記軸受ハウジング
５との間でスラスト動圧ガス軸受10を形成せしめる。

前記フランジ９の反軸受ハウジング側に電磁石11を配設
し、該電磁石11を励磁するとフランジ９を吸引する力が
作用する様にする。

前記回転軸８に永久磁石のロータ12を設け、該ロータ12
と対峙するケーシング３の内面にコイル13を取付け、発
電機14を構成する。発電機14からの出力をケーブル15に
より整流器16へ導き、整流器16と前記電磁石11とを接続
する。

以下作動を説明する。

尚、作動流体17の流れは図中矢印の如くとする。従っ
て、図中下側が低圧となり、回転軸８には図中上から下
に向うスラスト力が作用する。

回転軸８に作用するラジアル方向の力は上下二のラジア
ル動圧ガス軸受4,6により支持され、又スラスト力の１
部は前記スラスト動圧ガス軸受10により負担される。更
に前記電磁石11には発電機14からタービンインペラ７の
回転数に比例した電力が供給されており、該電磁石11は
回転軸８を上方へ引上げる。従って、回転軸８に作用す
るスラスト力はスラスト動圧ガス軸受10及び電磁石11に
より負担する。

尚、上記構成では低回転の時そのスラスト力は殆どスラ
スト動圧ガス軸受10により負担され、高回転によりスラ
スト力が増大すると、発電機14が発生する電流が増加
し、前記電磁石11の吸引力（スラスト負担荷重）も増大
する。従って、高回転時のスラスト動圧ガス軸受10の負
荷容量の不足を電磁石11によって補うことができる。

以上述べた如く上記実施例では回転体の位置センサや複
雑な制御回路を必要としない単純な磁気軸受を用いて、
スラスト軸受の負荷能力を大幅に増加することができ
る。

尚、上記実施例ではフランジ９に対峙させて電磁石を設
けたが、回転軸８に延長せしめてプランジャを形成し、
該プランジャの周囲にコイルを設け、該コピルに通電さ
せプランジャを介し回転軸にスラスト力を作用させる様
にしてもよいことは勿論である。

［考案の効果］ 以上述べた如く本考案によれば、膨張タービンの軸受の
全てを基本的には動圧ガス軸受とすることができるので
構造が著しく簡単になり、又作動流体の損失も少なくて
すむ等種々優れた効果を発揮し得る。

【図面の簡単な説明】

図は本考案の１実施例を示す断面概略図である。 １はタービンインペラ、4,6はラジアル動圧ガス軸受、
８は回転軸、10はスラスト動圧ガス軸受、11は電磁石、
12はロータ、13はコイル、14は発電機、16は整流器を示
す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】タービンインペラより延びる回転軸を、ラ
   ジカル動圧ガス軸受及びスラスト動圧ガス軸受により回
   転自在に支持すると共に、前記回転軸の反タービンイン
   ペラ側端に、回転軸に作用するスラスト力に対し反対方
   向の吸引力を作用させ得る様に電磁石を配設し、更に前
   記回転軸に永久磁石のロータを一体に設けると共に該ロ
   ータと対峙する位置にコイルを配設して発電機を構成
   し、該発電機と前記電磁石とを整流器を介して接続した
   ことを特徴とする膨張タービンの軸受装置。