JPH068132Y2 - ボビン - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の技術分野〕 本考案は、撚糸加工，織り加工等を行う際に使用される
ボビンに関するものであり、更に詳細には、前記各糸加
工機械に使用されるクリールスタンドに、従来より多数
のボビンを懸架し得るように構成したボビンに関するも
のである。

〔従来技術〕

撚糸加工，織り加工等を行う際には、多数の満巻ボビン
を使用する必要があるために、クリールスタンドが撚糸
機等を併設されていることは周知である。

このクリールスタンドは、通常フレーム構造をしてお
り、前記糸加工機の糸加工部分の上部に設けたものと、
糸加工部分の側方に設けた、いわゆるマガジンクリール
式のものとがある。

このクリールスタンドは、主柱に対してピンを上向きに
枝状に突出させたものと、水平方向に突出させたものと
があり、作業者の肩の位置より低い部分のピンは上向き
に傾斜させ、それより高い位置にあるピンは水平方向に
突出させている。

最近、生地の多様化から糸の種類が激増し、それに伴い
工程化にも２次，３次加工が行われるときに、大量処
理、高速処理が行われるようになり、作業能率上、１台
のクリールスタンドに懸架できるボビン数を更に増加す
る必要が生じている。従来のクリールスタンドよりも多
くのボビンを懸架するには、現在設けられている最上段
のピンよりも更に高い位置にピンを設けなければならな
いが、ピンは上向きか水平方向に向いているために上段
のピンへのボビンの掛け外し作業が困難となる。

前記のような理由で更に多数のボビンを懸架できるクリ
ールスタンドを得ることは困難であった。

〔考案の目的〕

本考案は、下方に傾斜させたピンを枝状に突出したクリ
ールスタンドにも懸架可能としたボビンを提供すること
によって、高い位置に下向きに設けられているピンにも
容易に懸架作業ができるようにし、１台のクリールスタ
ンドに、より多くのボビンが懸架でき、しかも糸条の繰
出し工程中にピンから外れたりすることのないボビン
を、積層紙筒で形成したボビンを提供することを目的と
している。

〔考案の構成〕

前記目的を達成するための本考案のボビンの構成は、積
層紙筒の両端の肉部に同心円状の切込みを入れ、それぞ
れの内側の薄肉筒部を他端に向けて曲げて紙筒内面から
リング状に突出した引掛け部を形成し、巻付けた糸を解
舒する側の外側の薄肉部を他端に向けて引掛け部に重な
らないように曲げたものである。

〔実施例〕

以下、添付の図を対照して一実施例により本考案を具体
的に説明する。

第１図に示すボビン１は、厚紙をスパイラル状に多層に
積層した肉厚の紙筒を使用した本体２の両端を同心円状
に切込み３を入れ、それぞれ他端に向けて曲げて引掛け
部3a₁，3a₂を形成し、巻き付けた図示しない糸状を解舒
する側の切込み３の外側の肉薄部の先端４ａと引掛け部
3a₁との間に間隙Ｌを開けて他端に向けて曲げて先曲げ
部を形成したものである。該先曲げ部４は、ボビン１の
先端に丸みを付けて糸状が引っ掛かることを防止する。

第２図は、第１図のボビン１に糸状５を満巻きしたもの
をクリールスタンド６のピン７の懸架した状態を示した
断面図である。ピン７は、ボビン１の中央より先端側に
達する長さとして、下向きに傾斜して取り付けられてい
ると共に、ピン７の途中に上向きにフック８ａが設けら
れており、このフック８ａに引掛部3a₁を引っ掛けてボ
ビン１をクリールスタンド６に懸架する。このようにし
て、満巻した重いボビン１を容易に高い位置に懸架する
ことができ、しかも、安定してピン上に保持させること
ができる。

なお、引き出される糸条５′は、ボビン１に巻かれた糸
条５の周囲を廻りながら解き出される。

第３図は、下向きに傾斜するピン７の先端に円板状のフ
ック８ｂを設けたクリールスタンド６のボビン１を懸架
した状態を示した断面図である。第３図においては、引
掛け部3a₂と先曲げ部４との間に間隙Ｌの部位にフック
８ｂを引っ掛けてボビン１をクリールスタンド６に懸架
することができる。

第２図、第３図から明らかなとおり、本考案のボビン１
は、下向きに傾斜したピン７に下側から差し込んでフッ
ク８ａまたは８ｂに引掛部3a₁または3a₂を引っ掛けて懸
架して使用されるものである。

したがって、従来のクリールに設けられているピンより
も高所に下向きに傾斜してピン７を配設しても下から手
を伸ばしてボビン１の懸架作業を行うことができるの
で、従来よりクリールスタンド６を高くしてもボビンの
掛け外し作業が困難となることはない。

なお、本実施例のボビン１は、図に示されていない水平
に設けたピン６や上向きに傾斜したピン６にも使用する
ことができる。したがって、クリールスタンド６の高い
位置には、下向きのピンを配置し、中間の高さの位置に
は、水平にピンを配置し、又低い位置には、上向きにピ
ンを配置することにより、従来より遥かに多くのピンを
クリールスタンドに懸架することが可能となる。

第４図は、前記ボビン１を両持ちワインダーに取り付け
た状態の断面図である。図においてボビン１は、スピン
ドル11の両端に嵌合部12を圧入し、一方のスピンドル11
を駆動することにより駆動される。したがって、本考案
ボビン１は、従来の筒型のボビンと同様に使用すること
ができる。

第５図は、本考案の別の実施態様を示す参考例である。
即ち、先曲げ部４の先端部4aが引掛け部3a₂に当たるよ
うに曲げることもできる。このようにしても、引掛け部
3a₂と先曲げ部４との間に段差があれば、第３図のフッ
ク8bにボビン１を引っ掛けることができる。

〔考案の効果〕

以上説明したように、本考案のボビンは、積層紙筒の両
端部に同心円状に切込みを入れ、内側の層を他端に向け
て曲げてリング状の引っ掛け部を設け、糸条を解舒する
側の前記外側の層を他端に向けて、前記引っ掛け部に重
ならないように曲げる構成としたので、部品点数を一個
として構造が簡単でありながら、積層紙筒から製造する
ので強度が高く、しかも加工性に富む積層紙筒を使用し
たので安価に製造することができる。また、従来のボビ
ンと同様にワインダーのスピンドルに取付けることがで
きる。

しかも、下向きに傾斜するピンの中間にフックを設けた
クリールスタンドにも、また、先端にフックを設けたク
リールスタンドにも、本考案のボビンを懸架することが
できる。

しかも、本考案のボビンは、クリールスタンドに懸架す
ることに関して次の効果を得ることができる。即ち、 (1)下向きのピンに下から懸架できるので、従来のクリ
ールスタンドより高い所までボビンを容易に懸架するこ
とができる。

(2)水平，上向きとしたピンにも懸架可能である。

(3)以上からピンの向きを下，水平、上と適宜配置する
ことにより、一台のクリールスタンドに従来より多くの
ボビンを懸架することができる。

したがって、本考案は、撚糸加工，織り加工等の作業能
率を著しく向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例によるボビンを一部破断して
示した側面図、第２図〜第３図はボビンをクリールスタ
ンドに懸架した状態を示す部分断面図、第４図はボビン
を両持ちワインダーに取り付けた状態を示す一部破断し
て示した側面図、第５図は別の実施態様を説明するため
の断面図である。 １…ボビン、２…ボビン本体、３…切込み、3a₁，3a₂…
引掛け部、６…クリールスタンド、７…ピン、８ａ…ピ
ン７の中間に設けたフック、８ｂ…ピン７の先端に設け
たフック。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】積層紙筒の両端の肉部に同心円状の切込み
   を入れ、それぞれ内側の薄肉筒部を他端に向けて曲げて
   紙筒内面からリング状に突出した引掛け部を形成し、巻
   付けた糸を解舒する側の外側の薄肉部を他端に向けて引
   掛け部に重ならないように曲げたボビン。