JPH0681202A - 作業服 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 体の動き、特に肩と腕の動きに対して、より
スムーズにフィットすることができる、ストレッチ素材
を用いた作業服を提供する。 【構成】 袖の縦方向に伸縮を有するように裁断した織
物を用いて、前ヨークと後ヨークと袖とを一体化したこ
とを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、ストレッチ素材を用
いた作業服に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】作業の種別に従って、仕事と動作、およ
びその環境に対応する各種の作業服は、いずれの場合
も、作業能率の向上、危害防止、動作適応、およびある
程度の装身効果などを考慮して、デザインされている。

【０００３】近年、ストレッチ素材を用いることによ
り、作業中の人体の動きに対してスムーズにフィットす
る、ストレッチ性を有する作業服が開発されてきてい
る。

【０００４】このようなストレッチ性を有する作業服に
適した素材として、従来、スパンデックス糸使い織物、
ポリエステル加工糸使い織物、ポリブチレンテレフタレ
ート加工糸使い織物等のストレッチ素材が用いられてい
る。これらのストレッチ素材のストレッチ率の代表値を
表１に示す。なお、ストレッチ率とは、幅５ｃｍ、長さ
２０ｃｍのサンプルに１．５ｋｇの錘を吊して１分間放
置し、伸びた長さの元の長さに対する割合を％として表
したものである。

【０００５】

【表１】

【０００６】図４は、これらのストレッチ素材を用いて
製造された、従来の作業服の一例を示す正面図である。
また、図５は、図４に示す作業服の背面図である。図４
および図５を参照して、この作業服は、前ヨーク２、背
ヨーク３、袖４、前身頃５、前袖６、後身頃７、後袖
８、襟９、前立て１０、裾ベルト１１およびカフス１２
により構成される。

【０００７】また、図６は、図４および図５に示す作業
服の、背中心１３を中心とした左半身の展開図である。
図６において、図４および図５と同一符号は、同一部分
を示す。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】一般に、作業服の製造
にあたっては、経済性を考慮し、低コストで製造しなく
てはならない。また、布目の縦方向にストレッチ性を有
する織物は、製造が困難である。そのため、従来、作業
服の製造に用いることができるのは、布目の横方向にの
みストレッチ性を有する織物であった。

【０００９】このように一方向のみストレッチ性を有す
る織物を用いて、効率よく裁断して製造された作業服に
おいて、各部分は、図４の矢印２１および図５の矢印１
６〜１９に示す方向にストレッチ性を有していた。すな
わち、背ヨーク３および後身頃７は、矢印１６および１
７にそれぞれ示すように、背中心１３から両脇にかけて
ストレッチ性を有する。一方、袖４、前袖６および後袖
８は、矢印１８、２１および１９にそれぞれ示すよう
に、袖の幅方向にストレッチ性を有する。

【００１０】しかしながら、このように構成される作業
服では、肩から袖口にかけてのストレッチ性に欠けるた
め、作業中の人体の動き、特に肩と腕の動きに対して、
十分にフィットすることができないという問題点があっ
た。

【００１１】この発明の目的は、上述の問題点を解決
し、人体の動き、特に肩と腕の動きに対して、よりスム
ーズにフィットすることができる、ストレッチ素材を用
いた作業服を提供することにある。

【００１２】

【課題を解決するための手段】この発明による作業服
は、袖の縦方向に伸縮を有するように裁断した織物を用
いて、前ヨークと後ヨークと袖とを一体化したことを特
徴としている。

【００１３】好ましくは、この発明の作業服に用いられ
る織物は、綿を含む紡績糸を用いたストレッチ織物であ
ることが望ましい。

【００１４】なお、この明細書において、「袖の縦方向
に伸縮を有する」とは、肩から袖口にかけての方向にス
トレッチ性を有することを意味する。

【００１５】

【発明の作用効果】この発明では、織物は、袖の縦方向
に伸縮を有するように裁断される。そのため、左右一方
の袖口から他方の袖口まで、ストレッチ性を有する距離
が長くなり、ストレッチ効果が高められる。したがっ
て、この発明による作業服は、人体の動き、特に肩と腕
の動きに対して、よりスムーズにフィットすることがで
きる。

【００１６】また、この発明では、前ヨーク、後ヨーク
および袖が一体化されているため、縫製の簡略化が可能
となり、デザイン的にも特徴ある外観を有する作業服が
得られる。

【００１７】さらに、この発明において、綿を含む紡績
糸を用いたストレッチ織物を用いることにより、ソフト
な風合いとナチュラルな外観を表現することができ、肌
触りがよく着心地のよい作業服が得られる。

【００１８】

【実施例】図１は、本発明に従う作業服の一例を示す正
面図である。また、図２は、図１に示す作業服の背面図
である。図１および図２を参照して、この作業服は、図
４および図５に示す従来の作業服において前ヨーク２、
背ヨーク３および袖４の３つの部分によって構成されて
いた部分が、１枚の特殊カット袖（フリーカット）１に
よって構成されている。その他の部分は、従来の作業服
と同様である。

【００１９】また、図３は、図１および図２に示す作業
服の、背中心１３を中心とした左半身の展開図である。
図３において、図１および図２と同一符号は、同一部分
を示す。

【００２０】このように構成される作業服において、各
部分は、図１の矢印２０および図２の矢印１４〜１６に
示す方向にストレッチ性を有する。すなわち、特殊カッ
ト袖（フリーカット）１、前袖６および後袖８は、矢印
１４、２０および１５にそれぞれ示すように、左右一方
の袖口から他方の袖口まで、袖の縦方向に長くストレッ
チ性を有する。また、後身頃７は、矢印１６に示すよう
に従来の作業服と同様、背中心１３から両脇にかけてス
トレッチ性を有する。

【００２１】このようなストレッチ性を有する作業服
は、作業中の人体の動き、特に肩と腕の動きに対して、
十分にフィットすることができる。

【００２２】また、本発明の作業服に用いられる素材と
しては、従来と同様、スパンデックス糸使い織物、ポリ
エステル加工糸使い織物、ポリブチレンテレフタレート
加工糸使い織物等が挙げられる。しかしながら、これら
の織物は、人工的なハリ、コシ等の風合いがあるため、
フラットな外観で肌触りが悪いという欠点がある。これ
らの素材と比較して、綿１００％またはポリエステル／
綿混紡績糸使い織物等の紡績糸使い織物は、上述のよう
な欠点がなく、ソフトな風合いとナチュラルな外観を表
現できる上に、肌触りもよい。したがって、本発明の作
業服に用いられるストレッチ素材としては、綿１００％
またはポリエステル／綿混紡績糸使い織物が望ましい。

【００２３】この綿１００％またはポリエステル／綿混
紡績糸使い織物等の紡績糸使い織物は、次のように製造
される。まず、本織物を仕上げ加工処理する段階で、水
および熱により織物を構成する糸を収縮させて、織物中
の経糸と緯糸との交絡部でループ形状を形成させる。次
に、形成されたループ形状に対して、樹脂架橋剤等によ
る処理を施し、糸内部および糸間の繊維を架橋させて、
ループを固定させる。ループが固定された紡績糸使い織
物は、伸縮性と回復性を具現する。特に、ポリエステル
／綿混紡績糸使い織物の場合は、ポリエステルの持つ熱
可塑性により、ループ形状の固定化が図られ、伸縮性お
よび回復性が向上される。この織物のストレッチ率は、
１０〜１５％である。

【００２４】さらに、本発明によるカッティングの工夫
は、単に動きやすさを向上させるだけでなく、デザイン
的にも特徴ある外観に仕上げることができる。たとえ
ば、特殊カット袖の部分だけに、他の部分と色の異なる
織物を用いて２色使いとすることにより、デザイン的に
も非常に優れた作業服が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に従う作業服の一例の正面図である。

【図２】本発明に従う作業服の一例の背面図である。

【図３】本発明に従う作業服の一例の左半身の展開図で
ある。

【図４】従来の作業服の一例の正面図である。

【図５】従来の作業服の一例の背面図である。

【図６】従来の作業服の一例の左半身の展開図である。

【符号の説明】

１ 特殊カット袖（フリーカット） ２ 前ヨーク ３ 背ヨーク ４ 袖 ５ 前身頃 ６ 前袖 ７ 後身頃 ８ 後袖 ９ 襟 １０ 前立て １１ 裾ベルト １２ カフス １３ 背中心 なお、各図中、同一符号は同一または相当部分を示す。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 袖の縦方向に伸縮を有するように裁断し
   た織物を用いて、前ヨークと後ヨークと袖とを一体化し
   たことを特徴とする作業服。
2. 【請求項２】 前記織物は、綿を含む紡績糸を用いたス
   トレッチ織物を含む、請求項１記載の作業服。