JPH0680876U - 電磁プランジャポンプ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本考案は、流体の移送時に振動を約１／３以
下に減少すること。水量は増加し圧力は減少しないこと
のため、リターンバネの設置位置及びピストン径の変化
の構成で作動を確実にする電磁プランジャポンプを提供
するものである。 【構成】 電磁コイル軸芯貫通孔に座付環状磁極を中間
部位に介した非磁性体の上部管柱及び下部管柱を挿嵌
し、座付環状磁極の両端に離隔して、環状磁路を設け、
上部管柱及び下部管柱内部に軸心方向の通路を開閉する
弁を内設した上部プランジャ及び下部プランジャを収納
し、上部プランジャにピストンを有し、上部シリンダと
摺動自在に嵌合し、一体的にリターンバネと上バネとに
より圧支され、下部プランジャにピストンを有し下部シ
リンダと摺動自在に嵌合し、下部シリンダの上流側通路
にチェッキ弁を配設した電磁プランジャポンプ。 【効果】 通電作動時の１サイクル毎に２つの電磁プラ
ンジャ付ピストンが同時に吸入、そして吐出を繰り返す
ので振動が相殺減少して、所望の圧力が得られる特徴の
電磁プランジャポンプ。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は液体を給送する電磁プランジャに関する。

【０００２】

【従来の技術】

流体を給送する電磁プランジャポンプに於ては、特公昭５７−１２８６３号及 び特開昭５９−５８１７４号公報に示されたもの等多くの先行技術がある。これ らの先行技術は、いずれも単シリンダ、単ピストン型であるため、ポンプ作動時 の振動及び吐出流体の脈動が大きくなる欠点があった。この為、実使用時に於て 、電磁ポンプ取付の際は、防振ゴム等を介して振動を吸収し、なお、かつ、吸入 側及び吐出側は、弾性体の接手やベローズ等で接続しているが、ポンプの吐出圧 力に耐えられる構造でなければならず、ある程度の機械的強度が必要でありその 防振方法にはおのずと限界があった。

【０００３】 上述の欠点を解消する提案として、電磁コイルの中心部に非磁性材のシリンダ を貫設し２つのプランジャを収納し、対向作動させて振動を打ち消す方法の特開 昭５４−３６６０５及び特開昭５６−６４１７４がある。

【０００４】 しかし、前記発明の実施上問題点が特開昭５４−３６６０５の第３図復元用ば ね１８、特開昭５６−６４１７４の第１図駆動バネ２６にある。前者は２つのプ ランジャが磁気吸引されるときの行程長の和が１つのプランジャの場合の２倍と なり、この行程長の繰返しによる駆動バネの伸縮長が大きく疲労により長時間の 使用に耐えられず破損する。

【０００５】 又後者の、両プランジャ間にバネを２ケ設け、その中間端部にバネ座を設けた 場合は両プランジャのそれぞれの固有振動により共振し、サージングを生じてバ ネ捲線の一部に非常に大きな応力が発生し破損することがしばしばあっていずれ の場合も実用化に至っていない。

【０００６】 又これとは別に１つの電磁コイルの軸芯上を２つの非磁性材のシリンダ内中間 部位にストッパ付の共通磁路を設け、２つのプランジャを配設した電磁ポンプの 従来例として特開昭６２−５５４７５があるが、第２図で弾性体の緩衝パッキン グ２９，３０を使用している為、流体抵抗の比較的少ない気体の場合は有効であ っても、流体抵抗の大きい液体では緩衝パッキング（ゴムの弾性体）材のもつ吸 収エネルギが小さい為プランジャのリターン時変位（たわみ）が少ないとプラン ジャ付ピストンが相反する方向に作用する為所望の圧力が得られない欠点が有り 実用化に至っていない。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】

本考案の目的は、電磁ポンプの運転振動・騒音を大巾に低減すると共に、圧力 −水量特性を低下させる事なく吐出流体の脈動が少なく耐久性の良い液体供給用 電磁プランジャポンプを提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

上記の目的を達成するには、１つの電磁コイルの軸芯に貫設した非磁性材の２ つの管柱内に下部プランジャ、下部ピストン及び上部プランジャ、上部ピストン を直列に配設し、

【０００９】 前記下部プランジャと上部プランジャ内に同方向にのみ流体を通す逆止弁を収 納し、

【００１０】 両プランジャの中間部位に座付環状磁極を介して、該座付環状磁極と両プラン ジャ間に各々リターンバネを設ける構造とし、

【００１１】 下部ピストン径より上部ピストン径を小として、所望の圧力・流量を得ると共 に低振動で脈動の少ない液体供給用ポンプを提供せんとするものである。

【００１２】

【実施例】

以下本考案を図面に示す実施例により詳細に説明する。

【００１３】 図１は本考案による液体を給送する電磁プランジャポンプの縦断面を示す。

【００１４】 電磁コイル２０の軸心中心部に貫設の座付環状磁極１４の内径両側より上部管 柱１７と下部管柱１６がＯリング２５，２６により気密に嵌装され、該上部管柱 １７の外周にスペーサ１９、磁路１５が、下部管柱１６の外周にスペーサ１８、 磁路１３が同心状に組付けられ、該磁路１５より突出した上部管柱１７がＯリン グ２７により、吐出側接手２９と磁気鉄板２２を電磁コイル２０と挟持しつつ気 密に嵌合し、磁路１３より突出した下部管柱１６がＯリング２４により吸入側接 手２８と磁気鉄板２１を電磁コイル２０と挟持しつつ気密に嵌合された状態にて 、吸入側接手２８と吐出側接手２９は外画３１と上板３２ねじ３３，３４で固定 されている。

【００１５】 吸入側接手２８内に下部シリンダ５を収納し下部プランジャ１の端部と接合の 下部ピストン３は、下部シリンダ５と往復摺動自在に嵌合すると共に、該下部プ ランジャ１の他端部には上部シリンダ６が接合され、下部ピストン３、下部プラ ンジャ１、上部シリンダ６は、一体的に下バネ１０とリターンバネ１１で圧支係 合している。

【００１６】 一方上部プランジャ２と一体の上部ピストン４は、上部シリンダ６と往復摺動 自在に嵌合し、該上部プランジャ２はリターンバネ１２と上バネ３０で圧支係合 されている。

【００１７】 座付環状磁極１４の内径側中間部にはリターンバネ１１，１２のバネ座が一体 に構成されている。

【００１８】 又下部プランジャ１及び上部プランジャ２の軸心貫通孔には、弁８，９が収納 され、吸入側接手２８内にもチェッキ弁７が設けられて、３つの弁は一方向のみ 流通可能にしてある。

【００１９】 吸入側接手２８、吐出側接手２９、電磁コイル２０、は外画３１と上板３２に より囲まれ固定されている。

【００２０】 本考案による電磁プランジャポンプの作動を簡単に説明すると、

【００２１】 電磁コイル２０に電流を通じて付勢すると磁気吸引力により下部プランジャ１ と上部プランジャ２がリターンバネ１１，１２に抗して座付環状磁極１４に吸引 され、同時に下部ピストン３が下部シリンダ５内を移動すると、該下部シリンダ ５内が負圧になり吸入口３６からチェッキ弁７を開いて液体が流入する。

【００２２】 一方上部ピストン４が上部シリンダ６内を移動し上部シリンダ６内で加圧され た流体が弁９を開口し吐出側接手２９内に流入する。

【００２３】 次に、電磁コイル２０への通電を断つと、リターンバネ１１の反発力により下 部プランジャ１は下側へ移動し、下部シリンダ５内の流体は、加圧され弁８を開 口して上部シリンダ６内に流入する一方上部プランジャ２は上側へ移動し、上部 シリンダ６内に下部シリンダ５内からの流体を吸入すると同時に吐出側接手２９ 内の流体を吐出口３７より流出させる。

【００２４】 以上の繰返しによりポンプ作用が行われる。

【００２５】 なお、上部プランジャ２と下部プランジャ１は、上部管柱１７と下部管柱１６ と往復摺動自在に、ある程度のクリアランスを有するが、作動時には流体が各バ ネ室へ充満する為に流体抵抗で該上部プランジャ２下部プランジャ１の作動が緩 慢になるのを防止する為、両プランジャの外周部に軸心と平行に流通溝３８，３ ９を設けている。

【００２６】

【考案の効果】

表１に本考案に係る電磁プランジャポンプと従来の単一ピストン式電磁プラン ジャポンプの性能比較実験の結果を示す。

【００２７】

【表１】

【００２８】 （１）運転時の振動は約１／３に減少した。 （２）水量は増加し圧力は同等以上確保出来た。 実験２は、上部ピストンと下部ピストンの径を同じにした時で水量は多いが、 圧力は低くなった。 実験３、実験４は、上部ピストン径＜下部ピストン径とした時でピストン径の 選択により圧力と流量を所望の値にする事が可能な事を示す。 従って、本考案の構成によれば、座付環状磁極を介して、上部プランジャと下 部プランジャを対向往復動し連動の上部ピストンと下部ピストンの径を変える事 により所望の圧力−水量特性を有し、低振動で吐出流体の脈動が少ない電磁プラ ンジャポンプが可能となった。 低振動の為、機器に直接固定しても、従来生じていた反響音及び共振音等が激 減すると共に、防振ゴム、弾性体の接手、ベローズ、アキュムレータ等の脈動吸 収装置も不要になり、部品コスト、組立取付の手間が省け、経済効果が大で、な お且つ装置全体を小型化出来る利点が有る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る電磁プランジャポンプの縦断面図
である。

【図２】従来の単一ピストン式電磁プランジャポンプの
縦断面図である。

【符号の説明】 １，１′…下部プランジャ ８，８′…弁
１５…磁路 ２…上部プランジャ ９…弁
１６…下部管柱 ３，３′…下部ピストン １０，１０′…下バネ
１７…上部管柱 ４…上部ピストン １１，１１′…リターン
バネ １８…スペーサ ５，５′…下部シリンダ １２…リターンバネ
１９…スペーサ ６…上部 １３，１３′…磁路
２０…電磁コイル ７，７′…チェッキ弁 １４，１４′…座付環状
磁極 ２１…磁気鉄板 ２２…磁気鉄板 ２９…吐出側接手
３７…吐出口 ２３…Ｏリング ３０…上バネ ２４…Ｏリング ３１…外雨 ２５…Ｏリング ３２…上板 ２６…Ｏリング ３３…ねじ ２７…Ｏリング ３４…ねじ ２８…吸入側接手 ３６…吸入口

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 電磁コイルの軸芯中心部に、非磁性体の
   上部管柱と下部管柱とが、座付環状磁極を中間部位に介
   して貫設され、該座付環状磁極の両端に離隔して各々２
   つの環状磁路を設ける一方、該上部管柱の内部には軸芯
   方向に貫通する通路と該通路を開閉する弁を内設した上
   部プランジャを、下部管柱の内部には軸芯方向に貫通す
   る通路と該通路を開閉する弁を内設した下部プランジャ
   をそれぞれ収納し、且つ該上部プランジャは上部ピスト
   ンを有し、上部シリンダと摺動自在に嵌合し、一体的に
   リターンバネと、上バネとにより圧支され、又下部プラ
   ンジャは下部ピストンを有し下部シリンダと摺動自在に
   嵌合し、該下部シリンダの上流側通路には、チェッキ弁
   を配設したことを特徴とする電磁プランジャポンプ。
2. 【請求項２】 下部ピストンの径より、上部ピストンの
   径を小としたことを特徴とする電磁プランジャポンプ。