JPH0680428B2 - 免疫試薬用ラテツクス - Google Patents

免疫試薬用ラテツクス

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JPH0680428B2
JPH0680428B2 JP6341586A JP6341586A JPH0680428B2 JP H0680428 B2 JPH0680428 B2 JP H0680428B2 JP 6341586 A JP6341586 A JP 6341586A JP 6341586 A JP6341586 A JP 6341586A JP H0680428 B2 JPH0680428 B2 JP H0680428B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は,免疫試薬に有効なラテックスに関する。
(従来の技術) 抗原もしくは抗体を感作させて免疫試薬を調製するため
の担体としては,古くからコロジオン,活性炭,カオリ
ン,ベントナイト,ヒトや動物の血球などが知られてい
る。なかでも血球は比較的分散性に優れ、かつ生体成分
との親和性が良好である。現在では,微量の検査材料で
あっても正確な検査データが得られる微量検査法(マイ
クロタイター法)が開発されており、これに利用される
担体として上記血球,特にヒツジやニワトリの赤血球が
汎用されている。
しかし,これら動物血球を用いると血球の腐敗および変
性が激しく,長期の保存性に欠けること,および個体差
が大きいために検査値のバラツキ幅が広く正確なデータ
がなかなか得られないことなどの問題点がある。そのう
え,血球そのもの自体に抗原を含んでいるため,これが
例えば,検査を受ける血清中の種々の抗体と反応し,そ
の結果,まぎらわしい反応を起こしやすい。
これら血球の代替品として近年,合成ラテックスが用い
られるつつある。合成ラテックスとしては,製造が比較
的容易でありかつ生体成分との親和性に優れることから
ポリスチレンラテックスが利用される。ポリスチレンラ
テックスは,例えば,水中にアニオン系,ノニオン系ま
たはカチオン系の乳化剤を混合したものにスチレンモノ
マーや水溶性ラジカル開始剤などを共存させて,好まし
くは酸素を除いた雰囲気で,適当な温度に適当な時間を
保つことにより得られる。このようにして合成されたラ
テックスは,一般には,重合の際に用いた乳化剤の一部
がポリスチレンラテックス粒子の表面に吸着されるか化
学的に結合され,残りはラテックス中に遊離の状態で存
在する。これらの状態の間には乳化剤のポリスチレンラ
テックス粒子表面に対する吸着脱着平衡が成立してい
る。このように通常の方法で製造されるポリスチレンラ
テックスにおいては乳化剤は安定なラテックスの形成に
不可欠であるが,その反面,遊離の乳化剤は前述の抗原
または抗体によるラテックスの凝集反応に対して好まし
くない影響を与える。診断試薬を製造するには,まず,
既述のようにポリスチレンラテックスに抗原または抗体
を感作させる。しかし,遊離の乳化剤を含むラテックス
を用いるとこの段階ですでに凝集してしまう。次に,抗
原または抗体を感作させたラテックスを用いてこの抗原
または抗体に反応する抗体または抗原をラテックスの凝
集反応によって検出する際には,検出されるべき抗体ま
たは抗原を含む例えば,血清(陽性血清)と接触すれば
感作ラテックスは凝集し,かかる抗体または抗原を含ま
ない血清(陰性血清)と接触しても感作ラテックスは凝
集しないことが必須要件である。しかし,これら遊離の
乳化剤を含む感作ラテックスの場合には陰性血清と接触
しても凝集してしまい,いわゆる非特異的凝集反応とな
ることが多い。これら乳化剤をラテックスからイオン交
換法や透析法の技術を用いて除くことは可能ではある
が,これら遊離の乳化剤をラテックスから除いてしまう
と,前述の如く遊離の乳化剤とラテックス粒子表面に吸
着された乳化剤との間の吸着脱着平衡の成立によるラテ
ックス安定化がくずれてしまい,ラテックスの安定性は
極端に悪くなり実際上は使用不可能となってしまう。
特開昭57−14610号および特開昭59−89301号公報には,
乳化剤を全く使用せずに安定なスチレン重合体ラテック
スを製造する方法が開示されている。例えば特開昭57−
14610号公報には,スチレンを乳化剤の不存在下に過硫
酸塩を重合開始剤として水中で重合させた後,アルカリ
性条件下で加熱して得られるラテックスの開示がある。
このようにして得られたラテックスを試薬化すると乳化
剤を使用していないため非特異的凝集反応が起こらな
い。かつラテックスの安定性にも優れている。しかし,
このようなラテックスの比重は1.03〜1.05と小さく,こ
れはポリスチレンと同程度である。そのため,ラテック
スを試薬化して,検体との凝集性を調べる場合には長い
時間を必要とする。
高比重のラテックスとしては塩化ビニル重合体ラテック
スが考えられる。免疫試薬用担体に使用されうる比較的
粒径の均一な塩化ビニル重合体の製造法は,例えば,特
開昭60−94404号および特開昭60−94405号公報に開示さ
れている。しかし,いずれも界面活性剤などの乳化剤の
使用が必須要件であるため,得られるラテックスには乳
化剤が残留する。そのため,上記ポリスチレンラテック
スと同様,乳化剤に起因する非特異的凝集反応が起こり
やすい。このようなラテックスは自己凝集による沈澱を
生じやすい。安定性に優れ非特異的凝集反応が起こらず
っ,かつ高比重から低比重まで目的に応じた最適の比重
を有するラテックスの開発が望まれる。
(発明が解決しようとする問題点) 本発明は上記従来の欠点を解決するものであり,その目
的とするところは,試薬化したときに自己凝集や非特異
的凝集反応が極めて少なく,かつ長期間安定に保存され
うるソープフリー系の免疫試薬用ラテックスを提供する
ことにある。本発明の他の目的は,目的に応じた比重を
有し短時間で高精度の検査値が得られる免疫試薬用ラテ
ックスを提供することにある。本発明のさらに他の目的
は,マイクロタイター法に最適な高感度のラテックスを
提供することにある。
(問題点を解決するための手段および作用) 本発明の免疫試薬用ラテックスは,水および塩化ビニル
を含有する混合液を水溶性重合開始剤を用い重合反応に
供して得られる塩化ビニル重合体粒子と水とスチレンと
を含有する混合液を調製し,これを乳化剤の不存在下で
水溶性重合開始剤を用いて重合反応に供し,該塩化ビニ
ル重合体粒子をスチレン重合体で被覆して得られ,その
ことにより上記目的が達成される。
本発明方法に用いられる塩化ビニル重合体粒子は製造さ
れる免疫試薬用ラテックス(スチレン被覆塩化ビニル重
合体ラテックス)の該(シード)となるものであり,こ
のような粒子を含むラテックスは,水溶性重合開始剤を
用いる方法により調製される。
このような方法で塩化ビニル重合体ラテックスを調製す
るには,通常,分散媒である水100重量部に対して塩化
ビニルを30重量部,好ましくは20重量部以下の割合で配
合し,乳化剤不存在下で重合反応を行う。
水溶性重合開始剤としては,塩化ビニルのエマルジョン
重合に通常使用される重合開始剤が使用され得,それに
は,例えば,過硫酸カリウム,過硫酸アンモニウムなど
の過硫酸塩がある。油溶性の有機過酸化物は,生成した
塩化ビニル重合体の粒子同士が合着したり反応器の内壁
にスケールが大量に付着するため,好ましくない。重合
開始剤は塩化ビニル100重量部に対して0.05〜0.5重量
部,好ましくは0.1〜0.3重量部の割合で反応系に加えら
れる。
重合時には,比重調整などの目的のため上記塩化ビニル
の他に共重合成分として他の単量体が加えられていても
よい。このような単量体としては,酢酸ビニル,エチレ
ン,プロピレン,各種(メタ)アクリル酸エステル,塩
化ビニリデンなど通常,塩化ビニルと共重合されうる単
量体が使用される。これら他の単量体は塩化ビニルに対
し10重量%以下の割合で加えられる。
このほか,塩化ビニル重合体粒子,さらには得られるス
チレン被覆塩化ビニル重合体ラテックス粒子の強度を向
上させるため,上記重合時に多官能性単量体を加えて,
塩化ビニル重合体粒子が架橋構造を有するようにするこ
とも可能である。多官能性単量体としては,ジアリルフ
タレート,エチレングリコールジメタクリレート,トリ
メチロールプロパントリメタクリレートなど,分子末端
の2ケ所以上に重合性の基を有する単量体が用いられ
る。重合体粒子の強度向上効果は上記化合物のうちジア
リルフタレートを用いたときに最も効果的である。この
ような多官能性単量体は塩化ビニルに対して10重量%以
下,好ましくは5重量%以下の割合で加えられる。過剰
であると不揃いなラテックス粒子となる。
塩化ビニル重合体ラテックスを得るには,例えば,ま
ず,攪拌装置と冷却・加熱装置とを備えた耐圧の反応容
器を準備する。この反応容器に水および重合開始剤を入
れ,反応器内を水の蒸気圧に達するまで排気する。次に
塩化ビニルおよび必要に応じて他の単量体や多官能性単
量体を容器内に加え,攪拌下加温して重合反応を開始さ
せる。重合反応が始まると昇温するので加温をやや反応
系を適度に冷却して,所定温度で重合判反応を行う。
このような,水と塩化ビニル単量体とが所定の割合で仕
込まれた反応系においては,乳化剤が存在しなくとも塩
化ビニルが水中に充分に分散し,均一粒径の重合体粒子
が形成される。その粒子径は塩化ビニルの量が増加する
につれて大きくなり,塩化ビニルが15重量部のときに
は,約1.0μmとなる。塩化ビニルの仕込量をさらに増
加させてもラテックスの粒径は平均的には大きくならな
い。塩化ビニルの量が20重量部を越えると反応容器壁面
にスケールが認められるようになり,ラテックス粒子の
なかに,誤差範囲内ではあるが,均一粒径のラテックス
粒子よりも大きな粒径の粒子が認められるようになる。
30重量部になるとスケールの付着がやや多くなる。30重
量部を越えると,反応時の内温に対応する塩化ビニルの
飽和蒸気圧に達した時に,塩化ビニル単量体が反応容器
上部の温度の低い壁面で凝縮する傾向が強まる。凝縮・
液化した塩化ビニルはこの部分でも重合反応を起こしス
ケールとなって壁面へ付着したり,反応液内へ入り込
む。あるいは,液化した塩化ビニルが反応液内で重合・
固化し大きな粒子を形成する。このように塩化ビニルの
量が30重量部を越えるとラテックス粒子の粒径や形状が
著しく不均一になる。さらに,塩化ビニル量が増加する
と形成された重合体粒子同士がお互いに合着して大粒子
となりラテックスを形成しなくなる。全体がブロック状
態となることもある。上記特徴は30〜50重量%の塩化ビ
ニルを乳化剤の存在下にて水中で重合させる一般の乳化
重合法の反応状況とは極めて異なる。
上記重合反応時には反応が進行すると単量体が消費され
るため,反応途中で塩化ビニル単量体や他の単量体を仕
込時の割合に応じて追加してもよい。このような方法を
用いると一回の重合反応で通常の量以上のラテックスが
調製されうる。
さらに大粒径の塩化ビニル重合体粒子を得たい場合に
は,得られたラテックスを上記塩化ビニル重合時に同時
に反応系に加え,これを核(シード)としてさらに重合
を行う。このようにシード重合を行うことにより粒径が
均一で,かつ大粒径の塩化ビニル重合体ラテックスが生
成する。加えられるシード重合体ラテックスは固形分重
量換算で塩化ビニル単量体の0.05〜0.2倍量が適当であ
る。過少であると大粒径ラテックスが得られず,過剰で
あると新たな重合体粒子が生成するため,シードから大
きくなった粒子と微小粒子が混在するラテックスとな
る。
このように,塩化ビニルを所定の割合で使用し,水溶性
開始剤を用いることにより均一で,かつ0.1〜1.0μmの
範囲内で所望の粒径を有するソープフリー系塩化ビニル
重合体ラテックスが得られる。
次に,得られた塩化ビニル重合体粒子を核(シード)と
し,乳化剤の不存在下でスチレン単量体を重合させるシ
ード重合を行う。分散媒としては水を用い,水溶性重合
開始剤を用いて重合反応を行う。このときのシード重合
は水100重量部に対して上記塩化ビニル重合体粒子を0.1
〜15重量部,そしてスチレンを該塩化ビニル重合体粒子
100重量部に対して3〜600重量部の割合で加えて行うの
がよい。スチレンの量が過少であると塩化ビニル重合体
粒子表面を均一に被覆することができない。過剰である
と新たなスチレン粒子が生成するため粒径や比重の異な
る粒子が混在するラテックスが得られる。水溶性重合開
始剤としては,前記塩化ビニル重合体ラテックスを製造
する場合に用いられるのと同様の過硫酸塩などが好適に
用いられる。重合開始剤はスチレン100重量部に対して
0.01〜1重量部の割合で反応系に加えられる。
スチレンを用いるシード重合は,例えば,攪拌装置を有
する通常の反応容器に上記水,塩化ビニル重合体粒子を
含むラテックス,スチレン単量体および重合開始剤を仕
込み,通常のスチレンの重合の手法に準じて行う。スチ
レン単量体は塩化ビニル重合体粒子表面で重合するた
め,塩化ビニル重合体粒子はスチレン重合体で被覆され
る。塩化ビニル重合体粒子の直径をd1,生成したスチレ
ン被覆重合体粒子の直径をd2とすると,該スチレン被覆
重合体粒子の平均比重(ρav)は,ほぼ次のとおりであ
る。ただし,塩化ビニル重合体およびスチレン重合体の
比重をそれぞれ1.40および1.05として計算した。
このようにスチレンの仕込量を変化させて被覆する厚み
をかえることにより,高比重から低比重まで所望の比重
のラテックスが調製されうる。スチレン重合体が被覆さ
れた粒子表面は,比較的多孔質の粒子や粗面粒子の多い
塩化ビニル重合体ラテックス粒子の表面に比べてはるか
に平滑である。それゆえ,抗原もしくは抗体を担持させ
てラテックス試薬としたとき,あるいは保存時に塩化ビ
ニル重合体ラテックスに比べて非特異的凝集あるいは自
己凝集反応が生じにくい。
本発明ではラテックス調製時に乳化剤を全く使用しない
ため,乳化剤に起因する粒子の凝集や沈澱が生じない。
得られたスチレン被覆塩化ビニル重合体ラテックスに特
開昭57−14610号および特開昭59−89301号公報に開示さ
れているアルカリ条件下での加熱処理を施すとさらに安
定性が高まる。
反応時のスチレンの仕込量を変化させることによりラテ
ックスの粒径も自由にコントロールされ得,従来調製の
難しかった大粒径のラテックスも容易に調製されるる。
従来の技術の項に記載された各公報の方法はいずれも比
較的大粒径のラテックスを調製しうる方法ではあるが,
例えば特公昭40−10586号公報に記載された方法では,
粒径のコントロールが難しく,かつ得られるラテックス
の粒径はせいぜい0.5μmである。これに比べても本発
明の優れていることがわかる。
このように,本発明によれば,乳化剤を全く含まないた
め乳化剤に起因する非特異的凝集反応が起こらず,かつ
乳化剤不存在下でも長期間安定に保存されうるラテック
スが得られる。このようなラテックスを用いると高感度
のラテックス試薬が得られ,感作領域の拡大が可能であ
る。ラテックスの核となる塩化ビニル重合体とそれを被
覆するスチレン重合体との比率などを選択することによ
り所望の比重と粒径とを有するラテックスが得られる。
特に比較的高比重や大粒径のラテックスは,例えばラテ
ックス試薬としたとき抗原抗体反応に鋭敏に感応して速
やかに凝集するため短時間で測定がなされうる。
(実施例) 以下に本発明を実施例につき説明する。
実施例1 (A)塩化ビニル重合体ラテックスの調製:反応容器と
して直径25cm,深さ45cm,内容積20lで,回転数200rpm,直
径2.5cm,直径8cmの攪拌羽根と幅2.5cmの板バッフル1本
を取り付けたジャケット付重合器を用いた。重合器の内
面および攪拌軸の表面をメチレンクロライドを用いて洗
浄し,さらによく水洗してスケールなどの付着物を落と
した後,重合器を組立てた。
この重合器にイオン交換水12lと重合開始剤として過硫
酸カリウム1.5gとを仕込んだ後,真空ポンプによって器
内に残存する空気を仕込水の蒸気圧に達するまで排気し
た。これに攪拌しながら塩化ビニル単量体1500gを加え
た。常温でしばらく攪拌した後,ジャケットに熱水を通
して70℃に昇温した。重合反応が開始されたらジャケッ
トを冷却水に切り替え,温度を約70℃に保ちながら重合
反応を行なった。重合反応の進行状況は重合器の内圧の
変化によって推定し,適当な重合率に達したと思われる
2.8時間後に反応系を冷却し重合器内温を30℃以下に低
下させた。未反応の塩化ビニル単量体を蒸発させ,さら
に窒素ガスを吹き込んで完全に除去した。生成した重合
体ラテックスを透過型電子顕微鏡写真に撮ったところ,
ほぼ均一の粒子径を有することが確認され,その100個
の粒子の直径の平均値は0.6μmであった。ラテックス
の固形分は9.1重量%であった。
(B)スチレン被覆塩化ビニル重合体ラテックスの調
製:攪拌機と還流コンデンサーとを備えた300mlのセパ
ラブルフラスコに(A)項で得られた塩化ビニル重合体
ラテックス15g(固形分換算),スチレン15g,過硫酸カ
リウム0.15g,およびイオン交換水を入れ,全量を300ml
とした。
窒素ガスで内部の空気を置換したあと,さらに窒素ガス
を供給しながらウォーターバスで70℃に加熱して5時間
重合反応を行なった。得られたスチレン被覆塩化ビニル
重合体ラテックスの平均粒子径および比重を表1に示
す。
(C)ラテックスの安定性評価:(B)項で得られたラ
テックスをガラスビンに入れ20℃で放置してその安定性
を調べた。35日後に,ほんのかすかな沈降が認められ,2
8日後にはややその量が増加した。120日後に取り出し,
やや沈降したラテックスを軽く振盪したところ均一に再
分散した。分散したラテックス50μmlをガラス板に取
り,ゆるやかに前後左右に3分間ゆりうごかしたが凝集
は認められなかった。
(D)R−PHA法凝集反応によるラテックス評価:
(B)項で得られたラテックスをpH7.4のリン酸緩衝液
に分散させ固型分1%としたもの1容と,モルモットの
産生したHBsモノスペシフイックス抗体(セファローズ4
Bに固定したHBs抗原のカラムに2回通液したアフィニテ
ィ−クロマトグラフィーによる精製品)を同じくリン酸
緩衝液中に40μg/mlの濃度に溶解したもの1容とを混合
し,37℃で60分間インキュベートしてラテックスに抗体
を結合させた。次に,この感作ラテックスを18000rpmに
て10分間遠心分離し,未吸着の抗体を除去した。この上
澄中の抗体価はPHA(受身赤血球凝集反応)法により測
定され少なくとも99.5%以上の抗体がラテックスに吸着
していることがわかった。この沈降したラテックスを18
000rpmで10分間遠心分離し,上澄み液を捨て,沈降した
処理後の感作ラテックスをpH7.0のリン酸緩衝液に再分
散してラテックス試薬の調製を終了した。
このようにして調製されたラテックス試薬を市販品であ
るリバーセル(HBs抗原検出 EIAキット山の内製薬製)
の感作赤血球に置き換えてR−PHA(逆受身血球凝集反
応)試験法を試みた。マイクロタイマーにマイクロドロ
ッパーを用い緩衝液50μlを各管に分注した。そして,1
μgのHBs抗原を含む検体50μlを取り出し,すみやか
にダイリューターで倍々希釈した。そして,上記方法で
得られたラテックス試薬を50μl各管に分注したのちミ
キサーで分注し,30秒間振盪した。これを3時間・7時
間静置後凝集像を判定した。比較のために,ラテックス
の代わりにあらかじめヒツジ赤血球に抗HBs抗体を吸着
させたR−PHAセルを同時に用いラテックス凝集との比
較として評価した。その結果を表2および表3に示す。
表2および表3は,それぞれ3時間静置後および7時間
静置後の凝集像の判定結果である。
実施例2 (A)塩化ビニル重合体ラテックスの調製:実施例1
(A)項と同様である。
(B)スチレン被覆塩化ビニル重合体ラテックスの調
製:塩化ビニル重合体ラテックス23g(固形分換算),
スチレン7gおよび過硫酸カリウム0.07gを用いたこと以
外は実施例1(B)項と同様である。
(C)ラテックスの安定性評価:本実施例(B)項で得
られたスチレン被覆塩化ビニル重合体ラテックスを実施
例1(C)項と同様に20℃で放置したところ,同様の結
果が得られた。
(D)R−PHA法凝集反応によるラテックス評価:本実
施例(B)項で得られたラテックスを用い,実施例1
(D)項の方法に準じて評価を行った。その結果を表2
および表3に示す。
実施例3 (A)塩化ビニル重合体ラテックスの調製:実施例1
(A)項と同様である。
(B)スチレン被覆塩化ビニル重合体ラテックスの調
製:塩化ビニル重合体ラテックス27g(固形分換算),
スチレン3gおよび過硫酸カリウム0.05gを用いたこと以
外は実施例1(B)項と同様である。
(C)ラテックスの安定性評価:本実施例(B)項で得
られたスチレン被覆塩化ビニル重合体ラテックスを実施
例1(C)項と同様に20℃に放置したところ,同様の結
果が得られた。
(D)R−PHA法凝集反応によるラテックス評価:本実
施例(B)項で得られたラテックスを用い,実施例1
(D)項の方法に準じて評価を行った。その結果を表2
および表3に示す。
以上の試験結果から,本発明により得られたラテックス
は,乳化剤が使用されていないため,自己凝集および非
特異凝集が少ないことが明らかである。このラテックス
は粒子がよく揃いかつ比重が比較的大きいため,凝集反
応をだれもが簡単に,しかも短時間で評価できる。しか
も検査値への影響が少なくマイクロタイター法等にもっ
とも適したラテックスであることが明らかである。
比較例1 (A)ラテックスの調製:スチレンモノマー90g,スチレ
ンスルホン酸ナトリウム0.63g,水酸化マグネシウム10g,
過硫酸カリウム0.5gおよびイオン交換水450gを反応容器
に仕込み,容器を窒素ガスで置換し反応温度を70〜72℃
の範囲におさまるようコントロールしながら24時間共重
合した。共重合終了後,反応容器の内部を空気で置換
し,得られたラテックス懸濁液のpHを8.6に調節して70
℃で20時間加熱処理した。次いで,これをpH6.0に保ち
ながら70℃で20時間加熱処理した。そして,反応器を停
止し得られたラテックスを取り出し東洋濾紙No.2 12.5c
mを用いて濾過精製処理した。これを,次いで,70℃乾燥
機を用いて乾燥精製した。得られた固型分を秤量したと
ころ,13.4(W/W)%であった。このラテックスを電子顕
微鏡で観察したところ,平均粒径が0.695μm,そして粒
径のバラツキは変動係数で表して0.019であった。この
ラテックスの比重は1.03であった。
(B)R−PHA法凝集反応によるラテックス評価:
(A)項で得られたスチレン重合体ラテックスをpH7.4
のリン酸緩衝液に分散させ固型分1%としたもの1容
と,モルモットの産生したHBsモノスペシフィックス抗
体(セファローズ4Bに固定したHBs抗原のカラムに2回
通液したアフィニティークロマトグラフィーによる精製
品)を同じくリン酸緩衝液中に40μg/mlの濃度に溶解し
たもの1容とを混合し,37℃で,60分間インキュベートし
てラテックスに抗体を結合させた。次に,この感作ラテ
ックスを18000rpmにて8分間遠心分離し,未吸着の抗体
を除去した。この沈降したラテックスを18000rpmで8分
間遠心分離し,上澄み液を捨て,沈降した処理後の感作
ラテックスをpH7.0のリン酸緩衝液に再分散してラテッ
クス試薬の調製を終了した。
このようにして調製されたラテックス試薬を市販品であ
るリバーセル(HBs抗原検出 EIAキット山の内製薬製)
の感作赤血球に置き換えてR−PHA(逆受身血球凝集反
応)試験法を試みた。マイクロタイマーにマイクロドロ
ッパーを用いて緩衝液50μlを各管に分注した。次に,1
μgのHBs抗原を含む検体50μlを取り出し,すみやか
にダイリューターで倍々希釈した。そして,上記方法で
得られたラテックスを50μl各管に分注したのちミキサ
ーで分注後30秒間振盪した。そして、これを3時間およ
び7時間静置して後,得られる凝集像を判定した。3時
間・7時間判定では静置前と全く凝集像の変化は認めら
れなかった。
比較例2 (A)ラテックスの調製:スチレンモノマー90g,ノニオ
ン乳化剤(第一工業製薬社製,商品エマルジット49)2
g,過硫酸カリウム0.6gおよびイオン交換水450gを反応容
器に仕込み,容器を窒素ガスで置換し反応温度を70〜72
℃の範囲におさまるようコントロールしながら24時間重
合した。得られたラテックスを電子顕微鏡で観察した結
果,平均粒径は0.725μmそして粒径のバラツキは変動
係数で表して0.127であった。このラテックスの比重は
1.04であった。
(B)R−PHA法凝集反応によるラテックス評価:本比
較例(A)項で得られたラテックスを用い,比較例1
(B)項と同様に評価を行った。3時間および7時間判
定では静置前と全く凝集像の変化は認められなかった。
12時間判定では非特異凝集像が明らかとなったために再
度ラテックス試薬を調製し,これを用いて種々の濃度の
HBs抗原を含むヒト血清に対する凝集の強さを測定し
た。その結果を表4に示す。
次に,リバーセル(HBs抗原検出 EIAキット山の内製薬
製)により血清中のHBs抗原が0.4ng/ml以下であること
が判明している300人の正常なヒト血清について同様の
テストを行った。300検体中,陽性が13件そして偽陽性
が21件であった。
以上の試験結果より,比較例2のラテックスを使用し試
薬化したラテックスは非特異凝集反応を起こすことが明
らかである。
(発明の効果) 本発明によれば,このように,乳化剤を全く含まないに
もかかわらず,常時は安定で抗原抗体反応に鋭敏に感応
して高凝集性を示すラテックスが得られる。このラテッ
クスは均一粒径・高品質であり,目的に応じて所望の比
重のラテックスが調製されうる。乳化剤を全く含まない
ために,免疫試薬として用いると非特異的凝集反応によ
る検査値のバラツキがなく高精度であり,感作領域の拡
大が可能である。高比重のラテックスを用いると短時間
で測定がなされうる。このようなラテックスは特にマイ
クロタイター法用に好適であり,血球凝集反応,血球凝
集阻止反応,補体結合反応などを調べるウイルスの血清
学的検査などに偉力を発揮しうる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水および塩化ビニルを含有する混合液を水
    溶性重合開始剤を用い重合反応に供して得られる塩化ビ
    ニル重合体粒子と水とスチレンとを含有する混合液を調
    製し、これを乳化剤の不存在下で水溶性重合開始剤を用
    いて重合反応に供し、該塩化ビニル重合体粒子をスチレ
    ン重合体で被覆して得られる免疫試薬用ラテックス。
  2. 【請求項2】前記水溶性重合開始剤が過硫酸塩である特
    許請求の範囲第1項に記載のラテックス。
  3. 【請求項3】前記塩化ビニル重合体粒子が乳化剤の不存
    在下で調製される特許請求の範囲第1項に記載のラテッ
    クス。
  4. 【請求項4】粒子の比重が1.05〜1.40である特許請求の
    範囲第1項に記載のラテックス。
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