JPH0679776A - 柔軟性ポリエステルフィルム - Google Patents

柔軟性ポリエステルフィルム

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JPH0679776A
JPH0679776A JP4612393A JP4612393A JPH0679776A JP H0679776 A JPH0679776 A JP H0679776A JP 4612393 A JP4612393 A JP 4612393A JP 4612393 A JP4612393 A JP 4612393A JP H0679776 A JPH0679776 A JP H0679776A
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film
polyester
flexible polyester
polyester film
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泰一 黒目
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ヤング率が10〜250kg/mm2 、突刺
強度が10kg/mm以上の2軸配向フィルムであるこ
とを特徴とする柔軟性ポリエステルフィルム。 【効果】 従来のポリエステルフィルムにはない耐衝撃
性、耐ピンホール性、低温特性等の物性を実現するとと
もに、柔軟性に優れたポリエステルフィルムを得ること
ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、柔軟性ポリエステルフ
ィルムに関し、さらに詳しくは、耐衝撃性、耐ピンホー
ル性に優れた特性を有する柔軟性ポリエステルフィルム
に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルフィルムの代表例であるポ
リエチレンテレフタレート(PET)2軸延伸フィルム
は、良好な機械強度、熱的特性、湿度特性、その他の多
くの優れた特性から、工業材料、磁気記録材料、包装材
料など広い分野において使用されている。
【0003】しかしながら、耐衝撃性、耐ピンホール性
が重要視される用途ではナイロン2軸延伸フィルムが多
く使用され、PETフィルムはその強靭さの裏返しであ
る硬さ故に主な構成材として使用されることが少ない。
たとえば、包装材料のうち特に液体の包装材料(レトル
ト包装など)においては、落袋強度で表現される耐衝撃
性や耐揉み性、さらにそれらの低温特性が要求され、ナ
イロン2軸延伸フィルムが多く使用される。液体包装
は、2軸延伸フィルムにポリエチレン、ポリプロピレン
などのシーラント層をラミネートしたものを製袋、液体
充填して行なわれるが、この充填後の袋を落下させた時
に袋が破裂したりピンホールが開いて液体が漏れないか
どうかという落袋強度、また繰り返しの外力によって袋
が揉まれた時にピンホールが生じないかどうかという耐
揉み性が重要視され、ナイロン2軸延伸フィルムはこれ
らの特性に優れている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】一方、ナイロンフィル
ムにも特性上の問題があり、特に吸湿率および湿度膨張
係数が大きいというナイロンポリマの本質的な性質は、
フィルムをロール状で保存する場合に平面性が悪化す
る、蒸着加工が困難である、吸湿時に印刷・ラミネート
層の接着力が低下するなどの点で問題である。これに対
し、PETフィルムは吸湿率、湿度膨張係数ともに非常
に小さく、湿度特性上の問題はない。
【0005】本発明は、このような本来PETフィルム
に無い、2軸延伸ナイロンフィルムのような耐衝撃性、
耐ピンホール性、低温特性を有するポリエステルフィル
ムを提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の柔軟性ポリエス
テルフィルムは、ヤング率が10〜250kg/m
2 、突刺強度が10kg/mm以上の2軸配向フィル
ムであることを特徴とするものからなる。
【0007】一般に、ナイロン2軸延伸フィルムは、強
度が大きく、突刺強度等もPETフィルムより優れてい
るが、これはナイロンの持つアミド結合部による水素結
合がポリマ内で形成されるためであると言われている。
ところが、ポリエステルフィルムにはそのような水素結
合を形成する部分はないため、ナイロンと同様な特性を
得るためには、別の原理に基づいて特性を向上させる必
要がある。
【0008】ポリエステルフィルムにおいて、ナイロン
2軸延伸フィルムのような耐衝撃性、耐揉み性を得るこ
とを検討した結果、ナイロンと同程度以下の柔軟性とナ
イロンと同程度以上の耐突刺性をポリエスルフィルムに
与えればよいことを見出した。具体的には、本発明の柔
軟性ポリエステルフィルムにおいて、ヤング率は10〜
250kg/mm2 、好ましくは50〜200kg/m
2 であり、突刺強度は15kg/mm以上、好ましく
は20kg/mm以上である。ここでヤング率が低過ぎ
る場合は、袋にした時に腰がないため取り扱い性が悪く
好ましくない。通常のPETフィルムはナイロンフィル
ムに対して、ヤング率は2倍、突刺強度は1/2程度で
あり、本発明の柔軟性ポリエステルフィルムとは特性上
かなり異なる。突刺強度が低いと、例えば米などの固形
物を袋詰めし、運搬や袋を重ねたりした際に袋に穴が開
いたり、破れるなど袋の欠陥が生じたり、落袋時に破れ
が生じたりするので好ましくない。ここで、突刺強度と
は、直径40mmのリングにフィルムをゆるみのないよ
うに張り、先端角度60度、先端R0.1mmのサファ
イア製針を使い、円の中央を50mm/分の速度で突刺
し、針が貫通する時の力をフィルム厚さ1mmに換算し
て求めたものである。なお、先端Rの大きさを0.5m
mとした時の突刺強度が50kg/mm以上であると、
固形物を袋詰めした後の他の接触物に対する耐久性に優
れるので好ましい。
【0009】本発明の柔軟性ポリエステルフィルムで
は、ゲルボテスト値が20以下、さらには10以下であ
ることが好ましい。ここでゲルボテスト値とは、後述す
るゲルボフレックステストで、1000回のゲルボを行
なった時のピンホールの個数を言うが、この値が小さい
場合、単に繰り返しの揉みでピンホールが開きにくいこ
とを示すだけでなく、落袋強度が向上する点で好まし
い。
【0010】本発明の柔軟性ポリエステルフィルムを主
として構成する柔軟性ポリエステルAについて、ポリエ
ステルを構成するジカルボン酸成分としては、芳香族ジ
カルボン酸、脂環族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン
酸、多官能酸などが挙げられる。芳香族ジカルボン酸と
しては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフ
タレンジカルボン酸、ジフェン酸、およびそれらの誘導
体などがあり、脂環族ジカルボン酸としては、1,4−
シクロヘキサンジカルボン酸およびその誘導体などがあ
り、脂肪族ジカルボン酸としては、アジピン酸、セバシ
ン酸、ドデカンジオン酸、エイコ酸、ダイマー酸および
それらの誘導体などがあり、多官能酸としてはトリメリ
ット酸、ピロメリット酸およびその誘導体などが代表的
なものである。アルコール成分としては、エチレングリ
コール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジ
オール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサン
ジメタノール、ビスフェノールおよびそれらの誘導体な
どが代表的なものである。さらに本発明に用いる柔軟性
ポリエステルAは、ポリエチレングリコール、ポリテト
ラメチレングリコールのようなポリエーテルを共重合し
たポリエステルエーテルや、ポリアミドを共重合したポ
リエステルアミド、ポリカプロラクトンのような脂肪族
ポリエステルとのブロック共重合体なども含むものであ
る。
【0011】これらのポリエステルの中で、2軸延伸特
性などの製膜性、湿度特性、耐熱性、耐薬品性、低コス
ト性その他の観点からは、ポリエチレンテレフタレート
(PET)を主体とした、好ましくはポリエステルの酸
成分およびアルコール成分おのおのの50モル%以上が
テレフタル酸、エチレングリコールおよびそれらの誘導
体であるポリエステルが本発明の柔軟性ポリエステルフ
ィルムに好ましく用いられる。さらに、柔軟性を付与す
る点では、柔軟性ポリエステルAのガラス転移温度が6
0℃以下、好ましくは55℃以下、特に好ましくは50
℃以下であることが望ましい。
【0012】さらに、フィルムに柔軟性を付与するため
には、たとえばPETを主体とするポリエステルに脂肪
族ジカルボン酸、ポリエーテル、脂肪族ポリエステルな
どを共重合することが効果的であるが、炭素数10以
上、好ましくは20以上のアルキレン基を有する長鎖脂
肪族ジカルボン酸を共重合することが、耐熱性、品質安
定性の点で好ましい。長鎖脂肪族ジカルボン酸としては
ドデカンジオン酸、エイコ酸、ダイマー酸およびそれら
の誘導体などがあるが、特に本発明ではこれらの中でも
分岐状構造を有している分岐脂肪族ジカルボン酸である
ことが、耐衝撃性を向上させる面で好ましく、その中で
もダイマー酸を用いることが耐熱性、透明性を良好にす
る上で好ましい。
【0013】ここでダイマー酸とはオレイン酸メチル等
の不飽和脂肪族ジカルボン酸を2量化・水素添加反応に
よって得られる鎖状分岐構造体と環状分岐構造体との混
合物の総称であり、メチレン鎖の炭素数が20〜80、
好ましくは30〜60のものである。また、通常不飽和
結合が残留しているが、ASTM−D−1159で測定
した臭素価を0.05〜10(g/100g)、好まし
くは0.1〜5(g/100g)としたものが耐熱性、
柔軟性に優れるため好ましい。ダイマー酸の共重合量は
酸成分について1〜40モル%、好ましくは5〜20モ
ル%である。
【0014】本発明の柔軟性ポリエステルフィルムを主
として構成する柔軟性ポリエスルAが、例えばPETを
主成分とし柔軟性を付与するための脂肪族ジカルボン酸
等との共重合ポリエステルである場合、融点、ガラス転
移点、結晶性が低下し、2軸延伸フィルム製造プロセス
において、押出キャスト時の冷却ドラムへの粘着、延伸
ロールへの粘着、テンター内のクリップへの粘着が生じ
易くなり生産性が低下することになる場合がある。さら
に共重合が多くなるとポリエステルA単体での2軸延伸
特性が悪くなり、延伸と応力の関係において両者に1対
1の対応がなくなり、いわゆるネッキング延伸となっ
て、厚み斑の悪化を招くことになる。この2軸延伸特性
の悪さは、特にポリブチレンテレフタレート(PBT)
を主成分とする柔軟性ポリエステルにおいては特に顕著
であり、例えばダイマー酸を15モル%共重合した共重
合PBTでは平滑な2軸延伸フィルムを得ることが非常
に困難である。
【0015】このような点から、柔軟性ポリエステルA
の少なくとも片面にガラス転移点が45℃以上、好まし
くは55℃以上であるようなポリエステルBを積層する
ことが、ポリエステルAの好ましい延伸温度と照らし合
わせて、ロールやクリップへの粘着を防止する上で好ま
しい。
【0016】ポリエスルBについては、PETに代表さ
れる結晶性のポリエステルが粘着防止の点で好ましい。
また、融点およびガラス転移点がポリエステルAより高
ければ、フィルム全体としての熱的寸法安定性が向上す
るため好ましい。さらに、2軸延伸後にポリエステルA
より破断強度、ヤング率が大きいポリエステルを選択す
れば、フィルムの腰(スティフネス)は柔らかく保った
ままで破断強度等を向上させることが可能となるため好
ましい。したがって、ポリエステルBの積層は、単に製
膜性の向上以上に、柔軟性ポリエステルAの短所であ
る、熱的安定性、引っ張り方向の強度などを補う効果を
持たせることができる。
【0017】ポリエステルBを構成するジカルボン酸成
分、アルコール成分、ポリエーテルやポリアミドや脂肪
族ポリエスルなどの共重合成分はポリエステルAと同様
であるが、ガラス転移点のほかに、さらにポリエステル
Bとしては、2軸延伸性の悪い柔軟性ポリエステルAの
延伸特性を補助するために延伸特性の良好なポリエスル
であることが好ましい。具体的には、PETを主成分と
するポリエステル、1,4−シクロヘキサンジメタノー
ルとテレフタル酸からなるポリマを主成分とするポリエ
ステルなどが好ましく、PET、イソフタル酸との共重
合PET、アジピン酸、セバシン酸などの炭素数4〜8
のアルキレン基を有する脂肪族ジカルボン酸との共重合
PETなどが挙げられ、共重合体の場合、共重合成分量
は1〜40モル%、好ましくは5〜20モル%である。
【0018】ポリエステルBは柔軟性ポリエステルAの
少なくとも片面に積層されるが、その厚さ比は、ポリエ
ステルAからなる層の厚さの合計とポリエステルBから
なる層の厚さの合計の比で1:1〜50:1、好ましく
は2:1〜25:1(A層合計:B層合計)である。B
層の割合が小さくなり過ぎると2軸延伸性の改良効果が
低減されるために好ましくなく、B層の割合が大きい場
合にはフィルムの柔軟性、耐衝撃性などが損なわれるた
めに好ましくない。
【0019】ポリエステルBの積層は、好ましくは柔軟
性ポリエステルAの両面に行なわれ、この時はフィルム
製造中の粘着の問題を避けることが更に容易になり、ま
た2層フィルムの場合に起こりがちなカールの問題も避
け易い。なお、柔軟性ポリエステルAの両面に積層する
ポリエステルBが本発明の範囲内において、互いの面
で、組成等が多少異なっていてもよい。また、積層フィ
ルムにおいて層間の接着性を良好にするために、例えば
柔軟性ポリエステルAとして2種のポリマA1、A2、
及びポリエステルBを用いてB/A1/A2/A1/B
のように5層積層しても良いし、2種のポリマA1、A
2を混合してB/(A1+A2)/Bのようにしてもよ
い。
【0020】本発明においてポリエステルBからなるB
層に不活性粒子を添加することは、滑り性を向上させる
上で有効である。ここで不活性粒子としては、酸化珪
素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシ
ウム、炭酸マグネシウムなどの無機化合物、あるいは架
橋ポリスチレン、架橋ジビニルベンゼン、ベンゾグアナ
ミン、シリコーン等の不溶融性有機化合物が挙げられ
る。特にコロイダルシリカ、粉砕シリカ、架橋ポリスチ
レン、シリコーンなどが透明性の点で好ましい。粒子の
粒径、添加量については特に限定はないが、滑り性、透
明性の点で、平均粒子径は0.01〜10μm、好まし
くは0.1〜5μm、添加量は0.001〜10重量
%、好ましくは0.05〜1重量%である。さらに、ポ
リエステルAについても特性を損なわない範囲で粒子を
含有してもよい。さらに、積層フィルムにおいて原料回
収性の点でポリエステルAとポリエステルBを混合して
積層フィルムを製造してもよい。
【0021】本発明の柔軟性ポリエステルフィルムに
は、帯電防止剤、熱安定剤、酸化防止剤、結晶核剤、耐
候剤、紫外線吸収剤、顔料、染料などの添加剤を本発明
の目的を損なわない程度において用いることができる。
また、エンボス加工、サンドマット加工などの表面凹凸
加工、あるいはコロナ放電処理、プラズマ処理、アルカ
リ処理などの表面処理を必要に応じて施してもよい。さ
らに、本発明の柔軟性ポリエステルフィルムに易接着処
理剤、帯電防止剤、水蒸気・ガスバリア剤(ポリ塩化ビ
ニリデンなど)、離型剤、粘着剤、接着剤、難燃剤、紫
外線吸収剤、マット化剤、顔料、染料などのコーティン
グや印刷を行なってもよく、アルミニウム、酸化アルミ
ニウム、酸化珪素、パラジウムなどの金属やその化合物
を遮光、水蒸気・ガスバリア、表面導電性、赤外線反射
などの目的で真空蒸着してもよく、その目的、方法につ
いては上記に限定されない。
【0022】本発明のフィルムの厚さは特に限定はない
が、1〜1000μm、好ましくは5〜500μmで有
効に使用される。
【0023】次に本発明フィルムの製造方法について述
べるがこれに限定されるものではない。ポリエステルA
とポリエステルBを別々の押出機によって溶融押出し、
フィードブロックあるいはマニホールド複合口金を用い
て2種のポリマをシート状に複合押出し、急冷キャスト
する。得られたキャストシートは縦延伸、横延伸、更に
熱処理を行なう通常の逐次2軸延伸製膜プロセスによっ
て製造される。なお、この他に同時2軸延伸プロセス、
チューブラープロセスなどを採用することもできる。
【0024】上記の逐次2軸延伸プロセス、同時2軸延
伸プロセスなどにおいて、本発明の柔軟性ポリエステル
フィルムの物性値を達成するには、延伸倍率と熱処理温
度が重要である。実験を重ねた結果、特に突刺強度は延
伸倍率と熱処理温度の影響を受け、延伸倍率(縦延伸倍
率×横延伸倍率)は5〜25倍、好ましくは6〜20
倍、熱処理温度は120〜240℃、好ましくは130
〜230℃であることが望ましい。延伸倍率が低い場合
も高い場合も突刺強度は急激に低下し、熱処理温度は低
い場合突刺強度が低く、高い場合はフィルム破れが生じ
るため好ましくない。また、ゲルボ特性は、熱処理温度
がポリエステルAの融点以下であると良好となるので好
ましい。ここで、本発明の熱処理温度とは、示差走査型
熱量計を用いて観測される、ポリエステルの熱処理時の
熱履歴として残存している熱結晶化に伴うメタクリスタ
ルの融解ピークの温度を意味し、必ずしも製膜中の熱処
理ロールあるいはオーブン中の雰囲気温度に一致するも
のではない。
【0025】本発明の柔軟性ポリエステルフィルムは、
一般のPET2軸延伸フィルムが使用されている用途に
好適に使用され、特に限定はないが、包装材料用途、離
型材、転写箔、電気絶縁材、製版シート、粘着シート、
農業用ハウス材などの工業材料用途、さらにフィルム、
シート、金属箔、紙、織物、不織布、発泡材などとの積
層体として使用できる。包装材料用途では、特にナイロ
ンの2軸延伸フィルムが用いられる、耐衝撃性、耐揉み
性、低温特性が必要な分野において好適に使用され液体
の包装用途などがさらに好ましい。また、従来のナイロ
ン2軸延伸フィルムでは問題のあった、アルミ蒸着や水
性インクの使用についても対応が可能である。さらに、
従来はPETフィルムとナイロンフィルムがラミネート
されて使用されることが多かったが、本発明のフィルム
は両方のフィルムの特徴を兼ね備えているために、これ
を1枚のフィルムで置き換えることもできる。
【0026】〔物性の評価方法〕 (1)融点(Tm)、ガラス転移温度(Tg) 示差走査型熱量計DSC2(パーキンエルマー社製)用
いて測定した。サンプ10mgを窒素気流下で280
℃、5分間溶融保持し、ついで液体窒素で急冷した。得
られたサンプルを10℃/分の速度で昇温する過程でガ
ラス状態からゴム状態への転移に基づく比熱変化を読取
りこの温度をガラス転移温度(Tg)とし、結晶融解に
基づく吸熱ピーク温度を融点(Tm)とした。
【0027】(2)ヘイズ値 JIS−K−6714に準じて測定し、100μm換算
のヘイズ値(H100 )を次式で求めた。 H100 (%)=H×100/d ただし、Hはヘイズの実測値(%)、dは該ヘイズ測定
部のフィルム厚み(μm)である。
【0028】(3)機械特性 引っ張りヤング率、破断強度、破断伸度についてはAS
TM−D−882−81(A法)に準じて測定した。
【0029】(4)熱収縮率 試長200mm、幅10mmのフィルムサンプルを荷重
をかけない状態で、熱風オーブン内で熱処理して収縮量
を測定し、試長に対する割合として求めた。
【0030】(5)突刺強度 直径40mmのリングにフィルムを弛みのないように張
り、先端角度60度、先端R0.1mmのサファイア製
針を使い、円の中央を50mm/分の速度で突刺し、針
が貫通する時の力をフィルム厚さ1mmに換算して突刺
強度とした。さらに、先端Rの大きさを0.5mmとし
た時の突刺強度についても測定し、表中( )内の値と
して示した。
【0031】(6)ゲルボ試験 ゲルボテスターにおいて雰囲気温度が5℃となるよう設
定し、1000回のゲルボ繰り返しを行なったフィルム
サンプル(280mm×180mm)について、ピンホ
ール個数を比較した(濾紙上でインクの透過箇所の個数
を数えた)。
【0032】(7)袋テスト 50μmのポリプロピレンシートをラミネートしたフィ
ルムを用い、インパルスシーラーを用いて4方をシール
して、5kgの米の入った袋を作成し、10袋重ねて車
にて運搬した後の袋の様子から袋の耐久性を次のように
判定した。 袋に穴や破れなどの欠陥がまったくない。 :A級 袋にやや伸びが生じるが、使用上問題ない。:B級 袋に穴や破れなどの欠陥が生じる。 :C級
【0033】(8)落袋試験 50μmの結晶化ポリプロピレンシートをラミネートし
たフィルムを用い、インパルスシーラーで4方をシール
して、200ccの水の入った80mm×180mmの
袋を10個作成し、これを1mの高さから落下させ、破
袋あるいは水漏れを起こした袋の個数を比較した。
【0034】
【実施例】以下に実施例によって本発明を説明する。 実施例1 ジカルボン酸成分としてテレフタル酸90モル%と炭素
数36の水添ダイマー酸10モル%、ジオール成分とし
てエチレングリコール100モル%を用いて公知の方法
で極限粘度0.70(oークロロフェノール25℃で測
定)の共重合ポリエステルA(Tm234℃、Tg33
℃)を得た。一方、ジカルボン酸成分としてテレフタル
酸とジオール成分としてエチレングリコールを用い、平
均粒子径2μmの酸化珪素粒子を0.1重量%となるよ
うに添加し、公知の方法で極限粘度0.68のポリエチ
レンテレフタレート〔ポリエステルB(Tm258℃、
Tg76℃)〕を得た。
【0035】これら2種類の共重合ポリエステルを公知
の真空乾燥機で乾燥後、ポリエステルAは90mmφの
押出機に、ポリエステルBは40mmφの押出機に供給
し、ポリエステルAは270℃、ポリエステルBは28
0℃で溶融押出し、ポリエステルB/ポリエステルA/
ポリエステルB(積層厚み比1:20:1)となるよう
3層に積層後、口金内で巾方向に拡大、1.0mmのス
リットからシート状に吐出した。該シートを正電荷を印
加しながら25℃に保ったキャスティングドラム上に密
着冷却固化させ、ついで延伸ロールで70℃で3.3倍
の縦延伸、テンター内で80℃で3.3倍の横延伸、2
20℃で5秒間の熱処理を行ない、2軸延伸された厚さ
15μm、熱処理温度210℃の柔軟性ポリエステルフ
ィルムを得た。得られたフィルムは柔軟性、突刺強度、
透明性、厚み均一性が良好であり、また製膜途中での延
伸性、フィルムのロールへの粘着等について問題なかっ
た。さらに、袋テスト、袋落テスト共に良好であった。
特性値を表1にまとめる。
【0036】実施例2 ポリエステルAのダイマー酸共重合量を10モル%(テ
レフタル酸90モル%)(Tm234℃、Tg33
℃)、ポリエステルBのセバシン酸共重合量を5モル%
(テレフタル酸95モル%)(Tm244℃、Tg67
℃)とし、積層厚み比を1:20:1(B層:A層:B
層)とする以外は実施例1と同様にして厚さ20μmの
柔軟性ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルム
の特性は良好で、特性値を表1に示す。
【0037】実施例3 ジカルボン酸成分としてテレフタル酸85モル%と炭素
数36の水添ダイマー酸15モル%、ジオール成分とし
てエチレングリコール35モル%と1,4−ブタンジオ
ール65モル%を用いて公知の方法で極限粘度0.75
の共重合ポリエステルA(Tm175℃、Tg−7℃)
を得た。ポリエステルBとしては実施例1と同様のポリ
マを用い、熱処理温度を150℃とした以外は実施例1
と同様にして厚さ15μmの柔軟性ポリエステルフィル
ムを得た。得られたフィルムの特性は良好で、特性値を
表1に示す。
【0038】実施例4 実施例2で用いたポリエステルA(ダイマー酸10モル
%共重合PET)を単層で押出し、実施例1と同様の条
件で製膜を行なった。得られたフィルムは落袋強度、耐
ピンホール性等には優れていたが、製膜中に縦延伸ロー
ルおよびテンター内のクリップに粘着するためフィルム
切れが発生し、厚みむらも実施例2より大きかった。特
性値を表1に示す。
【0039】実施例5 実施例1のポリエステルA95部とポリエステルB5部
を混合したものを中心層とし、ポリエステルBは実施例
1と同じにして、実施例1と同様に製膜を行なった。得
られたフィルムは透明性も良好で、耐衝撃性、耐揉み性
に優れていた。特性値を表1に示す。
【0040】比較例1 PETの単層フィルムを縦延伸温度100℃、縦延伸倍
率3.5倍、横延伸温度110℃、横延伸倍率3.4倍
とし、熱処理温度220℃となるように製膜した。得ら
れたフィルムは、ヤング率が大きく、突刺強度が低く、
ゲルボ特性も低いため、袋テスト、落袋テスト共に良好
な結果が得られなかった。
【0041】比較例2 実施例3のポリエステルAを用い、厚み25μmの単層
未延伸フィルムを得たところ、突刺強度が低下し、ゲル
ボ特性も低いため、袋テスト、落袋テスト共に良好な結
果が得られなかった。
【0042】比較例3 ポリエステルAをセバシン酸10モル%(Tm233
℃、Tg55℃)共重合ポリエチレンテレフタレートと
し、積層比を2:1:2とした以外は実施例1と同様に
製膜したところ、突刺強度が低下し、ゲルボ特性も低い
ため、袋テスト、落袋テスト共に良好な結果が得られな
かった。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【発明の効果】ヤング率が10〜250kg/mm2
突刺強度が10kg/mm以上の2軸配向フィルムであ
ることを特徴とする柔軟性ポリエステルフィルムによっ
て、従来PET2軸延伸フィルムなどでは実現できなか
った優れた耐衝撃性、耐ピンホール性、低温特性を得る
ことが可能となった。
【0046】したがって、本発明の柔軟性ポリエステル
フィルムは従来ナイロン2軸延伸フィルムが使用されて
きた液体包装、米袋などの固形物の包装などに代表され
る用途、あるいは、PETフィルムに代表されるポリエ
ステルフィルムが使用されてきた用途で柔軟性、耐ピン
ホール性等が要求される用途において好適に用いること
ができる。
フロントページの続き (72)発明者 柏倉 尚武 滋賀県大津市園山1丁目1番1号 東レ株 式会社滋賀事業場内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヤング率が10〜250kg/mm2
    突刺強度が10kg/mm以上の2軸配向フィルムであ
    ることを特徴とする柔軟性ポリエステルフィルム。
  2. 【請求項2】 ゲルボテスト値が20以下である請求項
    1の柔軟性ポリエステルフィルム。
  3. 【請求項3】 ポリエチレンテレフタレートを主成分と
    する柔軟性ポリエステルAからなる請求項1又は2の柔
    軟性ポリエステルフィルム。
  4. 【請求項4】 前記柔軟性ポリエステルAが炭素数10
    以上アルキレン基を有する長鎖脂肪族ジカルボン酸成分
    を1〜40モル%含有する請求項3の柔軟性ポリエステ
    ルフィルム。
  5. 【請求項5】 前記長鎖脂肪族ジカルボン酸成分がダイ
    マー酸成分である請求項4の柔軟性ポリエステルフィル
    ム。
  6. 【請求項6】 フィルムの少なくとも片面に、ガラス転
    移点が45℃以上のポリエステルBを積層してなる請求
    項1ないし5のいずれかに記載の柔軟性ポリエステルフ
    ィルム。
  7. 【請求項7】 前記ポリエステルBがポリエチレンテレ
    フタレートを主成分とする請求項6の柔軟性ポリエステ
    ルフィルム。
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