JPH0679081A - ミシン - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ルーパー糸２１の繰出し及び引締め量を調節
するルーパー糸制御用カム２３の回動軸１７への取付位
置調整を可能とすると共に、ルーパー糸制御用カム２３
の取付の復元を容易にできるようにする。 【構成】 平先ねじ３３による固定を解除すると、回転
部材２５は回転軸１７に対して回動自在となり、回転軸
１７への取付角度を変えることにより、回転部材２５に
位置決めされているルーパー糸制御用カム２３の回転軸
１７への取付角度を変えることができ、ルーパー糸２１
の繰出し及び引締め量を調節できる。また、とがり先ね
じ３１を取り外すと、ルーパー糸制御用カム２３を回転
部材２５から取り外すことができ、ルーパー糸制御用カ
ム２３に巻き付いたルーパー糸２１を除去した後、再び
ルーパー糸制御用カム２３を回転部材２５にはめ、とが
り先ねじ３１で所定位置に位置決めをする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、縫針の上下動に同期し
て揺動し、針糸のループを捕捉するルーパーと、縫針の
上下動に同期して回転する回転軸に挿通され、ルーパー
へ導かれるルーパー糸を制御するルーパー糸制御用カム
とを備えたミシンに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、例えば、二重環縫いミシンのよう
に、縫針の上下動に同期して揺動し、針糸により形成さ
れるループを捕捉するルーパーと、縫針の上下動に同期
して回転する回転軸に挿通され、ルーパーへ導かれるル
ーパー糸を制御するルーパー糸制御用カムとを備えたミ
シンが知られている。この種のミシンにおいては、ルー
パー糸の繰出し及び引締めを行う即ちルーパー糸を制御
するルーパー糸制御用カムを上記回転軸に挿通し、例え
ば、止めねじによりルーパー糸制御用カムを回転軸に締
め付け固定していた。

【０００３】この構成でルーパー糸の繰出し及び引締め
量を調節する場合には、止めねじを緩めてルーパー糸制
御用カムを回転軸に対して回動可能な状態にし、ルーパ
ー糸制御用カムを回動させて回転軸への取付角度を変え
ることによって、ルーパー糸の繰出し及び引締め量を調
節するようにしていた。

【０００４】又、針先端の熱その他の原因で、ルーパー
糸がルーパー先端付近で不測に切断することがあるが、
切断すると、ルーパー糸切断端部はルーパー糸制御用カ
ムの回転によりルーパー糸制御用カムに巻き付いてしま
う場合がある。この場合には、止めねじを緩めてルーパ
ー糸制御用カムを回転軸から一旦取り外し、巻き付いた
ルーパー糸を取り除いていた。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
構成では、単に止めねじの先端が回転軸の表面に押し付
けられることによって、ルーパー糸制御用カムが回転軸
に固定されているだけである。これは、上述したよう
に、ルーパー糸制御用カムの、回転軸への取付角度を変
えることによってルーパー糸の繰出し及び引締め量を調
節するために必要であるので、例えば、回転軸に雌ねじ
を形成して、螺合するという訳にはいかないのである。

【０００６】そのため、不測にルーパー糸切断端部が落
脱し、ルーパー糸制御用カムに巻き付いた場合に前記止
めねじを緩めると、その途端ルーパー糸制御用カムが回
転軸に対して自由に回動可能となり、回動してしまう。
そのうえ、ルーパー糸制御用カムに巻き付いたルーパー
糸を取り除くためにはルーパー糸制御用カムを前記回転
軸から取り外さなければならないので、止めねじを緩め
る前の、ルーパー糸の繰出し及び引締め量が調節された
状態でのルーパー糸制御用カムの取付位置がわからなく
なり、最適な位置に復元することが非常に困難であっ
た。

【０００７】本発明は、上述した問題点を解決するため
になされたものであり、ルーパー糸の繰出し及び引締め
量を調節するルーパー糸制御用カムの回動軸への取付位
置調整を可能とすると共に、ルーパー糸制御用カムの取
付の復元を容易に行うことができるミシンを提供するこ
とを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
になされた請求項１記載のミシンは、上下動可能に設け
られた縫針と、該縫針の上下動に同期して揺動するよう
設けられ、針糸により形成されるループを捕捉するルー
パーと、前記縫針の上下動に同期して回転するように設
けられた回転軸と、該回転軸に挿通され、前記ルーパー
へ導かれるルーパー糸を制御するルーパー糸制御用カム
とを備え、さらに、前記ルーパー糸制御用カムと前記回
転軸との間に設けられ、回転軸に対して回動可能な回転
部材と、該回転部材を、前記回転軸の任意位置において
固定可能な固定部材と、前記ルーパー糸制御用カムの所
定位置と前記回転部材の所定位置とに係合して、ルーパ
ー糸制御用カムを回転部材の所定位置に位置決め可能な
位置決め部材とを備えている。

【０００９】また、請求項２記載のミシンは、上下動可
能に設けられた縫針と、該縫針の上下動に同期して揺動
するよう設けられ、針糸により形成されるループを捕捉
するルーパーと、前記縫針の上下動に同期して回転する
ように設けられた回転軸と、該回転軸に挿通され、前記
ルーパーへ導かれるルーパー糸を制御するルーパー糸制
御用カムとを備え、さらに、前記ルーパー糸制御用カム
と前記回転軸との間に設けられ、回転軸に対して回動可
能な回転部材と、該回転部材を、前記回転軸の任意位置
において固定可能な固定部材とを備えると共に、前記ル
ーパー糸制御用カム及び前記回転部材それぞれに、相互
に係合して両者間の位置決めが可能な係合部を設けてい
る。

【００１０】

【作用】上記構成を有する請求項１記載のミシンによれ
ば、固定部材による固定を解除すると、回転部材は回転
軸に対して回動自在となり、回転軸への取付角度を変え
ることによって、回転部材に位置決めされているルーパ
ー糸制御用カムの回転軸への取付角度も変えることがで
き、ルーパー糸の繰出し及び引締め量を調節することが
できる。

【００１１】また、位置決め部材を取り外すと、ルーパ
ー糸制御用カムと回転部材との係合がなくなり、ルーパ
ー糸制御用カムを回転部材から取り外すことができる。
そのため、ルーパー糸がルーパー糸制御用カムに巻き付
いた場合等は、ルーパー糸制御用カムを回転部材から一
旦取り外して巻き付いた糸の除去作業を行った後、ルー
パー糸制御用カムを回転部材にはめ、位置決め部材によ
りルーパー糸制御用カムを回転部材の所定位置に位置決
めすれば、元の状態に復帰できる。

【００１２】従って、ルーパー糸の繰出し及び引締め量
が調節された状態でのルーパー糸制御用カムの取付位置
に確実に戻すことが非常に容易に行える。一方、請求項
２記載のミシンにおいては、前記請求項１の位置決め部
材の代わりに、ルーパー糸制御用カム及び回転部材それ
ぞれに、相互に係合して両者間の位置決めが可能な係合
部が設けられているため、ルーパー糸制御用カムを回転
部材から一旦取り外して巻き付いた糸の除去作業を行っ
た後、両係合部同士を係合させれば、それでルーパー糸
制御用カムを回転部材の所定位置に位置決めすることが
でき、元の状態に復帰させることができる。

【００１３】

【実施例】以下、本発明を二重環縫いミシンに適用した
一実施例を、図面を参照して説明する。まず、図１にお
いて、ミシン本体のアーム部（図示しない）には、針棒
１が上下動可能に配設されており、この針棒１の下端部
には、例えば３本の縫針３が針止め５を介して取り付け
られている。そして、縫針３には針糸７がそれぞれ通さ
れている。

【００１４】また、ミシン本体のベッド部（図示しな
い）には、針糸７により形成されるループを捕捉するル
ーパー９が、上記縫針３の上下動に同期して揺動可能
に、例えば左右方向へ往復移動可能に設けられている。
この場合、ルーパー９は摺動軸１１の左端部にルーパー
ホルダー１３を介して取り付けられていると共に、上記
摺動軸１１はミシン本体に固定されたブッシュ１５に左
右方向へ往復移動可能に支持されている。

【００１５】そして、縫針３の上下動に同期してルーパ
ー９が左右方向へ往復移動し、針糸７のループを捕捉す
ることにより、二重環縫いの縫目が形成されるように構
成されている。上記摺動軸１１の近傍には、回転軸１７
が設けられており、この回転軸１７は縫針３の上下動に
同期して回転するように、ミシン本体に固定された軸受
１９により支持されている。前記回転軸１７には、円筒
状の回転部材２５が外嵌されており、回転部材２５に
は、ルーパー９へ導かれるルーパー糸２１の繰出し及び
引締め量を調節するルーパー糸制御用カム２３が外嵌さ
れている。

【００１６】このルーパー糸制御用カム２３は、回転部
材２５が挿入される円筒部２７と、この円筒部２７の図
１中における左端外周側に突設された２枚のカム板部２
９とから構成されている。これらのカム板部２９は、図
２（Ａ）に示すように非対称な形状となっており、回転
軸１７及び回転部材２５はカム板部２９のうちのかなり
偏心した位置に挿通されている。

【００１７】上記回転部材２５の図１中における左端部
には、図２（Ｂ）にも示すように、２個の回転部材止め
用ねじ孔２５ａが形成されている。また、同じく図１中
における右端部には、先端が円錐状とされたとがり先ね
じ３１の先端部が正確にはまりこむようなすり鉢状凹部
２５ｂが設けられている。このとがり先ねじ３１は本発
明の位置決め部材に該当する。

【００１８】前記回転部材止め用ねじ孔２５ａ内には、
例えば先端が平坦にされた平先ねじ３３が螺挿されてい
る。この平先ねじ３３を締め付けて、回転軸１７の外周
を押圧することにより、回転部材２５を回転軸１７に固
定している。なお、この平先ねじ３３は本発明の固定部
材に該当する。

【００１９】また、ルーパー糸制御用カム２３の円筒部
２７の、図１中での右端部には、図２（Ａ）にも示すよ
うに、２個のルーパー糸制御用カム止め用ねじ孔２７ａ
が形成されている。そして、これらのルーパー糸制御用
カム止め用ねじ孔２７ａのどちらか一方内に、前記とが
り先ねじ３１が螺挿されている。

【００２０】このとがり先ねじ３１の先端部が回転部材
２５のすり鉢状凹部２５ｂに正確にはまりこむように位
置を合わせて締め付け固定すると共に、もう一方のルー
パー糸制御用カム止め用ねじ孔２７ａ内には前記平先ね
じ３３を螺挿して締め付け固定することにより、ルーパ
ー糸制御用カム２３を回転部材２５に対して定位置に位
置決めされた状態で固定している。

【００２１】一方、ミシン本体に固定された糸案内板支
持部３７にねじ止め固定された糸案内板３５が、ルーパ
ー糸制御用カム２３のカム板部２９の左右両側に配置さ
れている。そして、２枚のカム板部２９の間に位置する
ように、糸押え部材３９がミシン本体に固定されてい
る。

【００２２】この場合、ルーパー糸２１は、糸供給源
（図示しない）から図１中右側の糸案内板３５を経由し
て右側のカム板部２９の上部を通った後、糸押え部材３
９の下部を通り、更に、左側のカム板部２９の上部を通
った後、左側の糸案内板３５を経由して、ルーパー９の
糸挿通孔内に挿通されるように構成されている。

【００２３】次に、このように構成されたミシンの動作
について説明する。まず、ルーパー糸２１の繰出し及び
引締め量を調節するために、ルーパー糸制御用カム２３
の取付位置を変更する場合、回転部材２５と回転軸１７
を固定している２本の平先ねじ３３を緩めると、ルーパ
ー糸制御用カム２３は回転部材２５に固定されたまま回
動可能の状態になる。

【００２４】そして、ルーパー糸制御用カム２３を回転
部材２５と共に回動させてその取付位置を変更した後、
回転部材２５に螺挿された平先ねじ３３を締め付けるこ
とにより、回転部材２５を回転軸１７に固定することが
できる。従って、ルーパー糸制御用カム２３の回転軸１
７への取付角度等も変えることができ、ルーパー糸２１
の繰出し及び引締め量の調節が可能となる。

【００２５】一方、ルーパー糸２１が不測に切断される
と、ルーパー糸制御用カム２３の回転により、このルー
パー糸制御用カム２３にルーパー糸２１の切断部が巻き
付いてしまう場合がある。この場合、ルーパー糸制御用
カム２３と回転部材２５を固定している突出ねじ３１及
び平先ねじ３３を緩めると、ルーパー糸制御用カム２３
が回転部材２５から取り外すことができる。

【００２６】そして、回転部材２５を一旦取り外し、巻
き付いたルーパー糸２１の切断部を取り除いた後、ルー
パー糸制御用カム２３を回転部材２５に挿入し、とがり
先ねじ３１の先端部が回転部材２５のすり鉢状凹部２５
ｂに正確にはまりこむように位置を合わせて締め付け固
定すると共に、もう一方の平先ねじ３３を締め付け固定
する。

【００２７】このようにすることにより、ルーパー糸制
御用カム２３は回転部材２５から取り外す前の取付位置
に正確に復元させることが可能である。従って、ルーパ
ー糸の繰出し及び引締め量が調節された状態でのルーパ
ー糸制御用カム２３の取付位置に確実に戻すことが非常
に容易に行える。

【００２８】尚、上記実施例では、位置決め用の固定部
材としてとがり先ねじ３１を用いたが、これに限られる
ものではない。例えば平先ねじ３３を使用し、回転部材
２５には、すり鉢状凹部２５ｂの代わりに平先ねじ３３
の先端を挿入可能な臼状の凹部を設けて、平先ねじ３３
の先端が溝に挿入されることにより、ルーパー糸制御用
カム２３を回転部材２５の所定位置に位置決めするよう
にしても良い。

【００２９】また、図３に示すように、回転部材２５の
外周とルーパー糸制御用カム２３の円筒部２７の内周と
に、それぞれキー溝４１，４３を形成し、キー４５を挿
入することで両者の位置決めを行っても良い。さらに、
図４に示すように、回転部材２５の外周の一部に、平坦
な係合部５１を形成すると共に、ルーパー糸制御用カム
２３の円筒部２７の内周の一部に、回転部材２５の係合
部５１と対応させた平坦な係合部５３を形成し、係合部
５１，５３同士を合わせた位置で、回転部材２５にルー
パー糸制御用カム２３を外嵌させても良い。このように
すれば、位置決め用のとがり先ねじ３１や上記キー４５
等を用いなくても、回転部材２５とルーパー糸制御用カ
ム２３間の位置決めが可能である。なお、係合部５１，
５３は平坦な形状に限らず、一方を凸状に形成し、他方
を凹状に形成して、両者を係合させても良い。

【００３０】

【発明の効果】以上詳述したように、請求項１記載のミ
シンによれば、ルーパー糸制御用カムは位置決め部材に
より回転部材の所定位置に位置決めされ、回転部材は固
定部材により回転軸の任意位置に固定可能なため、ルー
パー糸の繰出し及び引締め量を調節するためのルーパー
糸制御用カムの回動軸への取付位置調整は可能とすると
共に、ルーパー糸制御用カムの取付の復元を容易に行う
ことができる。

【００３１】また、請求項２記載のミシンによれば、位
置決め部材の代わりに、ルーパー糸制御用カム及び回転
部材それぞれに設けられら係合部同士を係合させれば、
それでルーパー糸制御用カムを回転部材の所定位置に位
置決めすることができ、元の状態に復帰させることがで
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の一実施例を示すルーパー及びルーパ
ー糸制御用カムの周辺を示す一部破断正面図である。

【図２】 （Ａ）は図１のＡ−Ａ断面図、（Ｂ）は同Ｂ
−Ｂ断面図である。

【図３】 位置決めの別実施例を示す断面図である。

【図４】 位置決めの別実施例を示す断面図である。

【符号の説明】

１…針棒、 ３…縫針、 ７…針糸、 ９…ルーパー、
１１…摺動軸、１７…回転軸、 ２１…ルーパー
糸、 ２３…ルーパー糸制御用カム、２５…回転部
材、 ２５ａ…回転部材止め用ねじ孔、 ２５ｂ…すり
鉢状凹部、２７…円筒部、 ２７ａ…ルーパー糸制御
用カム止め用ねじ孔、２９…カム板部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 池田 尚文 愛知県名古屋市瑞穂区苗代町15番１号 ブ ラザー工業株式会社内 (72)発明者 伊藤 常文 愛知県名古屋市瑞穂区苗代町15番１号 ブ ラザー工業株式会社内 (72)発明者 岩越 弘恭 愛知県名古屋市瑞穂区苗代町15番１号 ブ ラザー工業株式会社内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 上下動可能に設けられた縫針と、該縫針
   の上下動に同期して揺動するよう設けられ、針糸により
   形成されるループを捕捉するルーパーと、前記縫針の上
   下動に同期して回転するように設けられた回転軸と、該
   回転軸に挿通され、前記ルーパーへ導かれるルーパー糸
   を制御するルーパー糸制御用カムとを備えたミシンにお
   いて、 前記ルーパー糸制御用カムと前記回転軸との間に設けら
   れ、回転軸に対して回動可能な回転部材と、 該回転部材を、前記回転軸の任意位置において固定可能
   な固定部材と、 前記ルーパー糸制御用カムの所定位置と前記回転部材の
   所定位置とに係合し、ルーパー糸制御用カムを回転部材
   の所定位置に位置決め可能な位置決め部材と、 を備えたことを特徴とするミシン。
2. 【請求項２】 上下動可能に設けられた縫針と、該縫針
   の上下動に同期して揺動するよう設けられ、針糸により
   形成されるループを捕捉するルーパーと、前記縫針の上
   下動に同期して回転するように設けられた回転軸と、該
   回転軸に挿通され、前記ルーパーへ導かれるルーパー糸
   を制御するルーパー糸制御用カムとを備えたミシンにお
   いて、 前記ルーパー糸制御用カムと前記回転軸との間に設けら
   れ、回転軸に対して回動可能な回転部材と、 該回転部材を、前記回転軸の任意位置において固定可能
   な固定部材と、 前記ルーパー糸制御用カム及び前記回転部材それぞれ
   に、相互に係合して両者間の位置決めが可能な係合部
   と、 を設けたことを特徴とするミシン。