JPH0678793A - カンジダ簡易鑑別用培地 - Google Patents

カンジダ簡易鑑別用培地

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JPH0678793A
JPH0678793A JP23723592A JP23723592A JPH0678793A JP H0678793 A JPH0678793 A JP H0678793A JP 23723592 A JP23723592 A JP 23723592A JP 23723592 A JP23723592 A JP 23723592A JP H0678793 A JPH0678793 A JP H0678793A
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albicans
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candida
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 色素を添加したサブロー培地に、2,3,5
−トリフェニルテトラゾリウムクロリド(2,3,5-triphe
nyltetrazolium chloride)5〜30μg/ml及び酵母
エキス0.5〜5g/100mlを添加したものである
カンジダ簡易鑑別用培地。 【効果】 試料中にC.アルビカンスが存在するか、
C.グラブラータが存在するか又は両者が存在するかを
培地上のコロニーの色調で判断し、しかも対比色の培地
上に赤と白色のコロニーの有無で判別するため、従来培
地に比べてより簡単に判別できる。しかも臨床分離株の
色調もバラツキが見られないため正確に腟カンジダ症起
炎菌を判別できるという画期的な効果を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明の鑑別培地は、腟カンジダ
症の起炎菌であるカンジダ・アルビカンス(Candida al
bicans, 以下C.アルビカンス又はCAと略記する)と
カンジダ・グラブラータ(Candida glabrata,以下C.
グラブラータ又はCGと略記する)を培地上のコロニー
の色で容易に判別できるものであり、これを利用するこ
とによって、腟カンジダ症の起炎菌を簡便かつ速やかに
究明し治療対策を早期に確立することができる。尚C.
グラブラータは以前トルロプシス・グラブラータ(Toru
lopsis glabrata )として分類されていた真菌であるの
で以下TGと略記することがある。
【0002】
【従来の技術】カンジダ症はC.アルビカンスが主要な
起炎菌であるが、最近特に腟カンジダ症においてC.グ
ラブラータを起炎菌とするものが増加しつつあり、本症
はほとんどC.アルビカンスとC.グラブラータのいず
れかの単独感染又は混合感染により引き起こされてい
る。特にC.グラブラータの感染は難治性の場合が多く
婦人科領域で問題となっている。そこで起炎菌を同定し
早期に治療方針を確立するために、C.アルビカンスと
C.グラブラータを鑑別する必要があり、既に数種類の
鑑別用培地が市販されている。例えば日水製薬製の「ニ
ッスイスラントカンジダ培地」、セロテック社製の「C
A−TG培地」等であり、これらはいずれも銅イオンの
取り込み能の差を利用してC.アルビカンスとC.グラ
ブラータとを識別するものである。銅イオンの取り込み
能の弱いC.アルビカンスは緑茶〜淡褐色、取り込み能
の強いC.グラブラータは暗褐色のコロニーを呈する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記した
従来の培地においては、臨床分離株によってコロニーの
色調にばらつきが生じ、またその色調の差も小さいので
C.アルビカンスとC.グラブラータを判別しにくく、
迅速な診断、治療対策の要求される臨床現場での鑑別培
地としては不十分なものであった。
【0004】一方このような従来の培地の欠点を補うも
のとして「Pagano−Levin 培地」が用いられている。該
培地の組成は「酵母分類同定法」(東大出版会)によれ
ば、酸化還元指示薬である2,3,5−トリフェニルテ
トラゾリウムクロリド(以下TTCと略記する)100
μg/ml、酵母エキス0.1g/100ml、ペプトン
1%、グルコース4.5%、寒天1.5%、ネオマイシ
ン500μg/100mlを含有し、pH6.0〜6.
2である。しかしながら、このPagano−Levin培地にお
いては、C.アルビカンス及びC.グラブラータの発育
が遅く鑑別に時間がかかること、及びC.アルビカンス
及びC.グラブラータのコロニーの呈色の差が小さく、
また培養時間が長くなるにつれ変色する等の理由で識別
しにくい等の問題がある。
【0005】本発明は以上の様な従来技術の問題点に着
目してなされたものであって、その目的はC.アルビカ
ンスとC.グラブラータを簡単明瞭に識別できる鑑別用
培地を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すること
のできた本発明のカンジダ簡易識別用培地は、色素を添
加したサブロー培地に、2,3,5−トリフェニルテト
ラゾリウムクロリド(2,3,5-triphenyltetrazolium chl
oride)5〜30μg/ml及び酵母エキス0.5〜5g/
100mlを添加したものであることに要旨を有する。
【0007】
【作用及び実施例】本発明者らは上記従来技術の欠点を
改良すべく種々検討した結果、Pagano−Levin 培地を改
良し、特にTTCと酵母エキスの添加量を規定すること
によりC.アルビカンスとC.グラブラータの発育が早
く、しかもコロニーが色調によって明瞭に識別すること
ができることを見出し本発明の完成に至ったものであ
る。以下本発明を発明の経緯に沿って説明する。
【0008】本発明者らは鑑別用培地の組成を検討する
過程で、TTCと酵母エキスとが複合的に作用してカン
ジダのコロニーの色調に大きな影響を与えることを見出
した。従来のPagano−Levin 培地は酸化還元指示薬とし
てTTCを添加し、C.アルビカンスとC.グラブラー
タの培地上での酸化還元能の差を利用してコロニーの色
調で判別しようとするものであり、酵母エキスは単なる
カンジダの発育促進物質として少量添加されるものであ
った。ところが、本発明者らはコロニーの呈色には酵母
エキス濃度が大きく関与していることを解明した。即
ち、酵母エキスの添加はカンジダの発育促進だけではな
く、C.アルビカンスとC.グラブラータのコロニーの
色調も変化させるのである。
【0009】<試験例1>培地の背景色として適切な色
素パテントブルーを添加したサブロー寒天培地にTTC
20μg/mlを添加し、更に表1に示す濃度になるよ
うに酵母エキスを添加し常法に従って寒天培地を作成し
た。これにC.アルビカンスとC.グラブラータ標準菌
株を植菌して37℃で2日間培養して発育度とコロニー
の色調を調べた。結果を表1に示す。
【0010】
【表1】
【0011】表1から明らかなように、酵母エキス濃度
が高くなるにつれC.アルビカンスのコロニーは白色か
ら赤色へと変化し、逆にC.グラブラータのコロニーは
赤色から白色へと変化していくことが判明した。また酵
母エキス濃度が0.5〜5g/100mlの範囲でC.
アルビカンスとC.グラブラータのコロニーの色調の違
いに基づく識別度に優れていることが分かる。
【0012】以上の検討結果から、本発明の培地におけ
る酵母エキス濃度は0.5〜5g/100mlと規定し
た。この範囲内ではC.アルビカンスとC.グラブラー
タの鑑別性に優れているが、細菌汚染等を考慮すると1
〜2g/100mlがより好ましい範囲として推奨され
る。
【0013】<試験例2>酵母エキスを1g/100m
lとし、TTC濃度を変化させた以外は試験例1と同様
に培地を作成し、コロニーの色調、発育度及びC.アル
ビカンスとC.グラブラータの識別度を調べた。結果を
表2に示す。
【0014】
【表2】
【0015】表2に示されるように本発明の培地におけ
るTTC添加量は5〜30μg/mlである必要がある。
より好ましくは10〜20μg/mlの範囲が挙げられ
る。即ち、5μg/ml未満ではコロニーの色調が弱く
なり、50μg/mlを超えると菌の発育を抑制するの
で好ましくない。
【0016】本発明の培地に添加する色素は、培地の背
景色として呈色させるため用いるものなので、C.アル
ビカンス及びC.グラブラータのコロニー色調との対比
が良好でしかもそれらに影響を与えないもの好ましく、
例えばパテントブルーが挙げられる。
【0017】本発明の培地の他の成分に関しては特に限
定されず、通常の真菌鑑別用培地に用いられる成分を常
法に従って添加すればよい。例えば培地を固化させコロ
ニーの色調を観察しやすくするために寒天等を添加して
もよい。また、検体中に混在する雑菌の増殖を抑制ない
し殺菌するために、抗生物質であるクロラムフェニコー
ル,硫酸コリスチン等を添加することが好ましい。
【0018】以下実施例を挙げて本発明を更に詳細に説
明するが、下記実施例は本発明を制限するものではな
く、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施するこ
とは全て本発明の技術的範囲に包含される。
【0019】<実施例1>ブドウ糖40g、ポリペプト
ン10g,酵母エキス10g及びクロラムフェニコール
400mg、パテントブルー10mgを水1リットルに溶か
し、pHを6.2に調製後、寒天15gを加え、121
℃、10分間オートクレーブ滅菌した。これを50℃に
保温し、これに濾過滅菌したTTC20mgを加え撹拌後
シャーレに流し込み固化させた。
【0020】次に標準株C.アルビカンス及びC.グラ
ブラータを用いて、各々の比率を変えた混合懸濁液を準
備し、これらを上記の鑑別用培地に塗布し、37℃、2
日間培養してコロニーを形成させた。この結果、C.ア
ルビカンスは緑色の培地上に鮮やかな赤色のコロニー
を、C.グラブラータは白色のコロニーを形成し、本発
明の鑑別用培地で容易に識別することができた。
【0021】又、C.アルビカンスとC.グラブラータ
の混合比率と平板培地に形成したコロニー数は表3に示
す通り混合比とよく相関し、本発明の培地を用いること
により、混合菌株の比率も容易に検出することができ
た。
【0022】
【表3】
【0023】<実施例2> 腟内真菌の判別方法 実施例1の培地組成に硫酸マグネシウム2.1g、リン
酸2水素カリウム2.0g、塩酸チアミン50mg及び硫
酸コリスチン30mg加えて実施例1と同様の処方によ
り本発明の鑑別用培地を得た。次いで腟粘膜より綿棒で
採取した臨床材料168検体を上記培地に塗抹し、37
℃、3日間培養した。コロニーが形成されたものが67
検体あり、このうち赤色コロニー(C.アルビカンスと
判定)が51検体、白色コロニー(C.グラブラータと
判定)が10検体、赤と白のコロニーの混在(C.アル
ビカンスとC.グラブラータの混合感染と判定)が6検
体であった。上記67検体について、各々純粋分離後、
カンジダ同定用キットカンジダチェック(ヤトロン社
製)を用いて同定したところ、本発明の鑑別用培地によ
る上記結果と完全に一致した。
【0024】<実施例3>実施例1の培地組成により酵
母エキスを除いた培地(基本培地)、基本培地に酵母エ
キス、カザミノ酸、コーンスティーブ、ビーフエキス、
心臓エキスを加えた培地に各々C.アルビカンスとC.
グラブラータを塗抹した。37℃、5日間培養し、経過
日数に対するコロニーの大きさ及び色調を観察した。そ
の結果を表4に示す。
【0025】
【表4】
【0026】カザミノ酸を除いてカンジダの発育にそれ
ほど差は見られなかったが、コロニーの色調に差が見ら
れた。即ち酵母エキス以外では培養日数が経過するにつ
れて、C.アルビカンスは白から桃色、C.グラブラー
タは赤から桃色に変化し、両色調が接近するのに対し、
酵母エキス添加培地は5日間培養してもC.アルビカン
スは赤色、C.グラブラータは白色のままであった。又
カザミノ酸は基本培地と同様5日間培養してもC.アル
ビカンスは白色、C.グラブラータは赤色であったが、
カンジダの発育が極めて悪かった。
【0027】
【発明の効果】本発明は以上のように構成されており、
本発明によれば、試料中にC.アルビカンスが存在する
か、C.グラブラータが存在するか又は両者が存在する
かを培地上のコロニーの色調で判断し、しかも対比色の
培地上に赤と白色のコロニーの有無で判別するため、従
来培地に比べてより簡単に判別できる。しかも臨床分離
株の色調もバラツキが見られないため正確に腟カンジダ
症起炎菌を判別できるという画期的な効果を有する。
【手続補正書】
【提出日】平成5年1月8日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正内容】
【0026】カザミノ酸添加培地を除いてカンジダの発
育にそれほど差は見られなかったが、コロニーの色調に
差が見られた。即ち酵母エキス以外では培養日数が経過
するにつれて、C.アルビカンスは白から桃色、C.グ
ラブラータは赤から桃色に変化し、両色調が接近するの
に対し、酵母エキス添加培地は5日間培養してもC.ア
ルビカンスは赤色、C.グラブラータは白色のままであ
った。又カザミノ酸添加培地は基本培地と同様5日間培
養してもC.アルビカンスは白色、C.グラブラータは
赤色であったが、カンジダの発育が極めて悪かった。<実施例4>実施例1の組成の培地を供試培地とし、比
較培地としてセロテック社製の「CA−TG培地」(C
uイオンを添加)を用いた。腟粘膜より綿棒で摂取した
臨床材料を上記培地に塗抹し、37℃、5日間培養し
た。発育し、コロニーを形成した検体につき各々経過日
数ごとにカンジダ同定用キット「カンジダチェック」
(ヤトロン社製)によって同定したコロニー数を分母と
し、コロニーの色を基準として鑑別したコロニー数を分
子として表した結果を表5に示す。
【表5】 表5から明らかなように、本発明の培地の場合C.アル
ビカンス,C.グラブラータの双方に関して培養1日目
から高い鑑別性を示し、早期鑑別が可能であることが分
かる。また培養を続けて5日目になっても鑑別性は高
く、例えば臨床で数日後に鑑別するような場合でも、十
分実用性があることが分かる。一方比較培地は、培養日
数に依らずC.グラブラータの鑑別性が非常に低く、ま
た培養日数が長くなるにつれてC.アルビカンスの鑑別
性が次第に低下することが分かる。
【手続補正書】
【提出日】平成5年5月18日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の詳細な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明の鑑別培地は、腟カンジダ
症の起炎菌であるカンジダ・アルビカンス(Candida al
bicans, 以下C.アルビカンス又はCAと略記する)と
カンジダ・グラブラータ(Candida glabrata,以下C.
グラブラータ又はCGと略記する)を培地上のコロニー
の色で容易に判別できるものであり、これを利用するこ
とによって、腟カンジダ症の起炎菌を簡便かつ速やかに
究明し治療対策を早期に確立することができる。尚C.
グラブラータは以前トルロプシス・グラブラータ(Toru
lopsis glabrata )として分類されていた真菌であるの
で以下TGと略記することがある。
【0002】
【従来の技術】カンジダ症はC.アルビカンスが主要な
起炎菌であるが、最近特に腟カンジダ症においてC.グ
ラブラータを起炎菌とするものが増加しつつあり、本症
はほとんどC.アルビカンスとC.グラブラータのいず
れかの単独感染又は混合感染により引き起こされてい
る。特にC.グラブラータの感染は難治性の場合が多く
婦人科領域で問題となっている。そこで起炎菌を同定し
早期に治療方針を確立するために、C.アルビカンスと
C.グラブラータを鑑別する必要があり、既に数種類の
鑑別用培地が市販されている。例えば日水製薬製の「ニ
ッスイスラントカンジダ培地」、セロテック社製の「C
A−TG培地」等であり、これらはいずれも銅イオンの
取り込み能の差を利用してC.アルビカンスとC.グラ
ブラータとを識別するものである。銅イオンの取り込み
能の弱いC.アルビカンスは緑茶〜淡褐色、取り込み能
の強いC.グラブラータは暗褐色のコロニーを呈する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記した
従来の培地においては、臨床分離株によってコロニーの
色調にばらつきが生じ、またその色調の差も小さいので
C.アルビカンスとC.グラブラータを判別しにくく、
迅速な診断、治療対策の要求される臨床現場での鑑別培
地としては不十分なものであった。
【0004】一方このような従来の培地の欠点を補うも
のとして「Pagano−Levin 培地」が用いられている。該
培地の組成は「酵母分類同定法」(東大出版会)によれ
ば、酸化還元指示薬である2,3,5−トリフェニルテ
トラゾリウムクロリド(以下TTCと略記する)100
μg/ml、酵母エキス0.1g/100ml、ペプト
ン1%、グルコース4.5%、寒天1.5%、ネオマイ
シン500μg/100mlを含有し、pH6.0〜
6.2である。しかしながら、このPagano−Levin 培地
においては、C.アルビカンス及びC.グラブラータの
発育が遅く鑑別に時間がかかること、及びC.アルビカ
ンス及びC.グラブラータのコロニーの呈色の差が小さ
く、また培養時間が長くなるにつれ変色する等の理由で
識別しにくい等の問題がある。
【0005】本発明は以上の様な従来技術の問題点に着
目してなされたものであって、その目的はC.アルビカ
ンスとC.グラブラータを簡単明瞭に識別できる鑑別用
培地を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すること
のできた本発明のカンジダ簡易識別用培地は、色素を添
加したサブロー培地に、2,3,5−トリフェニルテト
ラゾリウムクロリド(2,3,5-triphenyltetrazolium chl
oride)5〜30μg/ml及び酵母エキス0.5〜5g/
100mlを添加したものであることに要旨を有する。
【0007】
【作用及び実施例】本発明者らは上記従来技術の欠点を
改良すべく種々検討した結果、Pagano−Levin 培地を改
良し、特にTTCと酵母エキスの添加量を規定すること
によりC.アルビカンスとC.グラブラータの発育が早
く、しかもコロニーが色調によって明瞭に識別すること
ができることを見出し本発明の完成に至ったものであ
る。以下本発明を発明の経緯に沿って説明する。
【0008】本発明者らは鑑別用培地の組成を検討する
過程で、TTCと酵母エキスとが複合的に作用してカン
ジダのコロニーの色調に大きな影響を与えることを見出
した。従来のPagano−Levin 培地は酸化還元指示薬とし
てTTCを添加し、C.アルビカンスとC.グラブラー
タの培地上での酸化還元能の差を利用してコロニーの色
調で判別しようとするものであり、酵母エキスは単なる
カンジダの発育促進物質として少量添加されるものであ
った。ところが、本発明者らはコロニーの呈色には酵母
エキス濃度が大きく関与していることを解明した。即
ち、酵母エキスの添加はカンジダの発育促進だけではな
く、C.アルビカンスとC.グラブラータのコロニーの
色調も変化させるのである。
【0009】<試験例1>培地の背景色として適切な色
素パテントブルーを添加したサブロー寒天培地にTTC
20μg/mlを添加し、更に表1に示す濃度になるよ
うに酵母エキスを添加し常法に従って寒天培地を作成し
た。これにC.アルビカンスとC.グラブラータ標準菌
株を植菌して37℃で2日間培養して発育度とコロニー
の色調を調べた。結果を表1に示す。
【0010】
【表1】
【0011】表1から明らかなように、酵母エキス濃度
が高くなるにつれC.アルビカンスのコロニーは白色か
ら赤色へと変化し、逆にC.グラブラータのコロニーは
赤色から白色へと変化していくことが判明した。また酵
母エキス濃度が0.5〜5g/100mlの範囲でC.
アルビカンスとC.グラブラータのコロニーの色調の違
いに基づく識別度に優れていることが分かる。
【0012】以上の検討結果から、本発明の培地におけ
る酵母エキス濃度は0.5〜5g/100mlと規定し
た。この範囲内ではC.アルビカンスとC.グラブラー
タの鑑別性に優れているが、細菌汚染等を考慮すると1
〜2g/100mlがより好ましい範囲として推奨され
る。
【0013】<試験例2>酵母エキスを1g/100m
lとし、TTC濃度を変化させた以外は試験例1と同様
に培地を作成し、コロニーの色調、発育度及びC.アル
ビカンスとC.グラブラータの識別度を調べた。結果を
表2に示す。
【0014】
【表2】
【0015】表2に示されるように本発明の培地におけ
るTTC添加量は5〜30μg/mlである必要がある。
より好ましくは10〜20μg/mlの範囲が挙げられ
る。即ち、5μg/ml未満ではコロニーの色調が弱く
なり、50μg/mlを超えると菌の発育を抑制するの
で好ましくない。
【0016】<試験例3>なお、培地上のコロニーの色
の識別性は培地のpHに影響されるが、本発明の培地に
おけるpHの影響について試験を行った。色素としてパ
テントブルー10mgを添加したサブロー寒天培地1リ
ットルに酵母エキス10g、硫酸マグネシウム2.1
g、リン酸2水素カリウム2.0g、塩酸チアミン50
mgを添加し、更にTTC20μg/mlを加え、pH
を下記表3に示す様に種々のpHとして、常法に従って
寒天培地を作製した。各供試培地にC.アルビカンスと
C.グラブラータを接種し37℃2日間培養後、コロニ
ーの色調を調べた。その結果を表3に示す。尚CA及び
CGは、弱酸性か中性で良好に生育する。
【0017】
【表3】
【0018】表3からわかる様に、TTCは試験を行っ
たpH5.0〜7.5の全てで良好な識別性を示し、特
にpH6.0〜7.5で良好であった。本発明の培地に
添加する色素は、培地の背景色として呈色させるため用
いるものなので、C.アルビカンス及びC.グラブラー
タのコロニー色調との対比が良好でしかもそれらに影響
を与えないもの好ましく、例えばパテントブルーが挙
げられる。
【0019】本発明の培地の他の成分に関しては特に限
定されず、通常の真菌鑑別用培地に用いられる成分を常
法に従って添加すればよい。例えば培地を固化させコロ
ニーの色調を観察しやすくするために寒天等を添加して
もよい。また、検体中に混在する雑菌の増殖を抑制ない
し殺菌するために、抗生物質であるクロラムフェニコー
ル,硫酸コリスチン等を添加することが好ましい。
【0020】以下実施例を挙げて本発明を更に詳細に説
明するが、下記実施例は本発明を制限するものではな
く、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施するこ
とは全て本発明の技術的範囲に包含される。
【0021】<実施例1>ブドウ糖40g、ポリペプト
ン10g,酵母エキス10g及びクロラムフェニコール
400mg、パテントブルー10mgを水1リットルに溶か
し、pHを6.2に調製後、寒天15gを加え、121
℃、10分間オートクレーブ滅菌した。これを50℃に
保温し、これに濾過滅菌したTTC20mgを加え撹拌後
シャーレに流し込み固化させた。
【0022】次に標準株C.アルビカンス及びC.グラ
ブラータを用いて、各々の比率を変えた混合懸濁液を準
備し、これらを上記の鑑別用培地に塗布し、37℃、2
日間培養してコロニーを形成させた。この結果、C.ア
ルビカンスは緑色の培地上に鮮やかな赤色のコロニー
を、C.グラブラータは白色のコロニーを形成し、本発
明の鑑別用培地で容易に識別することができた。
【0023】又、C.アルビカンスとC.グラブラータ
の混合比率と平板培地に形成したコロニー数は表に示
す通り混合比とよく相関し、本発明の培地を用いること
により、混合菌株の比率も容易に検出することができ
た。
【0024】
【表4】
【0025】<実施例2> 腟内真菌の判別方法 実施例1の培地組成に硫酸マグネシウム2.1g、リン
酸2水素カリウム2.0g、塩酸チアミン50mg及び硫
酸コリスチン30mg加えて実施例1と同様の処方によ
り本発明の鑑別用培地を得た。次いで腟粘膜より綿棒で
採取した臨床材料168検体を上記培地に塗抹し、37
℃、3日間培養した。コロニーが形成されたものが67
検体あり、このうち赤色コロニー(C.アルビカンスと
判定)が51検体、白色コロニー(C.グラブラータと
判定)が10検体、赤と白のコロニーの混在(C.アル
ビカンスとC.グラブラータの混合感染と判定)が6検
体であった。上記67検体について、各々純粋分離後、
カンジダ同定用キットカンジダチェック(ヤトロン社
製)を用いて同定したところ、本発明の鑑別用培地によ
る上記結果と完全に一致した。
【0026】<実施例3>実施例1の培地組成により酵
母エキスを除いた培地(基本培地)、基本培地に酵母エ
キス、カザミノ酸、コーンスティーブ、ビーフエキス、
心臓エキスを加えた培地に各々C.アルビカンスとC.
グラブラータを塗抹した。37℃、5日間培養し、経過
日数に対するコロニーの大きさ及び色調を観察した。そ
の結果を表に示す。
【0027】
【表5】
【0028】カザミノ酸添加培地を除いてカンジダの発
育にそれほど差は見られなかったが、コロニーの色調に
差が見られた。即ち酵母エキス以外では培養日数が経過
するにつれて、C.アルビカンスは白から桃色、C.グ
ラブラータは赤から桃色に変化し、両色調が接近するの
に対し、酵母エキス添加培地は5日間培養してもC.ア
ルビカンスは赤色、C.グラブラータは白色のままであ
った。又カザミノ酸添加培地は基本培地と同様5日間培
養してもC.アルビカンスは白色、C.グラブラータは
赤色であったが、カンジダの発育が極めて悪かった。
【0029】<実施例4>実施例1の組成の培地を供試
培地とし、比較培地としてセロテック社製の「CA−T
G培地」(Cuイオンを添加)を用いた。腟粘膜より綿
棒で摂取した臨床材料を上記培地に塗抹し、37℃、5
日間培養した。発育し、コロニーを形成した検体につき
各々経過日数ごとにカンジダ同定用キット「カンジダチ
ェック」(ヤトロン社製)によって同定したコロニー数
を分母とし、コロニーの色を基準として鑑別したコロニ
ー数を分子として表した結果を表に示す。
【0030】
【表6】
【0031】表から明らかなように、本発明の培地の
場合C.アルビカンス,C.グラブラータの双方に関し
て培養1日目から高い鑑別性を示し、早期鑑別が可能で
あることが分かる。また培養を続けて5日目になっても
鑑別性は高く、例えば臨床で数日後に鑑別するような場
合でも、十分実用性があることが分かる。一方比較培地
は、培養日数に依らずC.グラブラータの鑑別性が非常
に低く、また培養日数が長くなるにつれてC.アルビカ
ンスの鑑別性が次第に低下することが分かる。
【0032】
【発明の効果】本発明は以上のように構成されており、
本発明によれば、試料中にC.アルビカンスが存在する
か、C.グラブラータが存在するか又は両者が存在する
かを培地上のコロニーの色調で判断し、しかも対比色の
培地上に赤と白色のコロニーの有無で判別するため、従
来培地に比べてより簡単に判別できる。しかも臨床分離
株の色調もバラツキが見られないため正確に腟カンジダ
症起炎菌を判別できるという画期的な効果を有する。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:72)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 色素を添加したサブロー培地に、2,
    3,5−トリフェニルテトラゾリウムクロリド(2,3,5-
    triphenyltetrazolium chloride)5〜30μg/ml及
    び酵母エキス0.5〜5g/100mlを添加したもの
    であることを特徴とするカンジダ簡易鑑別用培地。
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