JPH0678760A - 接着性動物細胞の無血清培養法およびその培養器 - Google Patents

接着性動物細胞の無血清培養法およびその培養器

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JPH0678760A
JPH0678760A JP4235806A JP23580692A JPH0678760A JP H0678760 A JPH0678760 A JP H0678760A JP 4235806 A JP4235806 A JP 4235806A JP 23580692 A JP23580692 A JP 23580692A JP H0678760 A JPH0678760 A JP H0678760A
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serum
polymer compound
cells
cell
animal cells
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JP4235806A
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Susumu Shiyouen
進 勝圓
Kunihiro Oshima
邦裕 大島
Kiyoko Kawamura
聖子 河村
Ryohei Yamamoto
良平 山本
Toyokazu Nishino
豊和 西野
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Kurabo Industries Ltd
Kurashiki Spinning Co Ltd
Original Assignee
Kurabo Industries Ltd
Kurashiki Spinning Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 広範囲の接着性動物細胞に適応し得る該動物
細胞の無血清培養法を提供する。 【構成】 細胞接着活性を有する水不溶性高分子化合物
を接着性動物細胞用担体の表面の少なくとも一部に存在
させ、これと接触させながら接着性動物細胞を無血清培
地中で培養することを特徴とする接着性動物細胞の無血
清培養法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は接着性動物細胞の無血清
培養法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、接着性動物細胞は培養容器の器
壁等への接着がないと増殖しないため、該細胞の培養に
は血清含有培地が常用されている。血清中には細胞を接
着させる性質を有する成分(ビトロネクチン)が含まれ
ており、この成分の作用によって接着性動物細胞は容器
の器壁等へ接着して伸展し、増殖する。しかしながら、
このような血清培養には大量生産のできない、非常に高
価な血清が必要である。血清組成の個体差(ロット差)
が大きく、1ロットの量が限られているため、ロットを
変更するたびにロットチェック、培養条件の調整や管理
等に繁雑な操作を必要とするという問題がある。また血
清は、血液細胞あるいは血管内皮細胞等の細胞の生産す
る生理活性物質等を含む数多くの物質の混合物であるた
めに、血清培地で培養した培養細胞の産生物を分析ある
いは利用する場合には高度の精製操作を必要とするとい
う問題もある。上記のような問題を解消するために、接
着性動物細胞の無血清培養法が望まれている。
【0003】従来から、幾つかの接着性動物細胞の無血
清培養法が提案されている。例えば、血管内皮細胞を、
培地中にヘパリンや細胞増殖因子を添加した無血清培地
中で培養する方法(特開平1−187083号公報参
照)、血管内皮細胞を亜鉛または銅塩を添加した無血清
培地中で培養する方法(特開平2−97379号公報参
照)および特定のポリスチレン系高分子化合物を基質と
する繊維芽細胞の無血清培養方法(特開昭63−279
787号公報)等が報告されている。しかしながら、い
ずれも細胞種が限られており、汎用性に欠けるという欠
点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、血管内皮細
胞等を含む広範囲の接着性動物細胞の接着性と増殖性を
効果的に促進する接着性動物細胞の無血清培養法を提供
することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、細胞
接着活性を有する水不溶性高分子化合物を接着性動物細
胞用担体の表面の少なくとも一部に存在させ、これと接
触させながら接着性動物細胞を無血清培地中で培養する
ことを特徴とする接着性動物細胞の無血清培養法に関す
る。
【0006】本発明の培養法において一般的に使用でき
る細胞接着活性を有する水不溶性高分子化合物として
は、細胞接着性ペプチドで化学修飾した水不溶性高分子
化合物および正電荷を有する水不溶性高分子化合物等が
例示される。
【0007】細胞接着性ペプチドで化学修飾した水不溶
性高分子化合物は、例えば該ペプチドを、これと反応性
を有する適当な重合性モノマーと反応させて調製される
ペプチド修飾モノマーを他の重合性モノマーと反応させ
ることによって得られる。細胞接着活性を有するペプチ
ドはフィブロネクチンやラミニン等の細胞接着活性を有
する蛋白質の活性部位の解析から、多くのものが知られ
るようになった。本発明に用いられるペプチドは細胞接
着活性を有するものであればよく、既に知られているも
のを培養する細胞によって選択すればよい。
【0008】好ましいペプチドとしては、RGDV(A
rg−Gly−Asp−Val)、RGDS(Arg−
Gly−Asp−Ser)、RGDN(Arg−Gly
−Asp−Asn)、DGEA(Asp−Gly−Gl
u−Ala)およびYIGSR(Tyr−Ile−Gl
y−Ser−Arg)が挙げられる。これらのペプチド
は通常の方法で各アミノ酸より合成すればよい。なお、
本明細書においてはアミノ酸、ペプチドおよび保護基等
の記載を簡略化するため、以下に示す略号を用いる:
【0009】 Ala:アラニン Glu:グルタミン酸 Arg:アルギニン Gly:グリシン Asn:アスパラギン Ser:セリン Asp:アスパラギン酸 Tyr:チロシン Ile:イソロイシン Val:バリン Boc:t−ブチルカルボニル OcHex:シクロヘキシル OBzl:ベンジル Tos:トシル
【0010】上記の細胞接着性ペプチドと反応させる重
合性モノマーとしては(メタ)アクリル酸、(メタ)ア
クリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレート、N−
(メタ)アクリロイルオキシスクシンイミド等が例示さ
れる。また細胞接着性ペプチドで化学修飾したモノマー
と共重合させる他の重合性モノマーとしては、親水性モ
ノマー、例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセ
リン(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メ
タ)アクリレート、オリゴエチレングリコール(メタ)
アクリレート、オリゴプロピレングリコール(メタ)ア
クリレート、およびこれらの混合物等、疎水性モノマ
ー、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メ
タ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレー
ト、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル
(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレー
ト、t−ブチル(メタ)アクリレートおよびこれらの混
合物等、等が例示される。なお、本明細書において
「(メタ)アクリレート」という語は「アクリレート」
および「メタアクリレート」を意味する。
【0011】細胞接着性ペプチドで化学修飾した水不溶
性高分子化合物中、細胞接着性ペプチドは2μg/mg
以上導入されるのが好ましい。細胞接着性ペプチドの量
が2μg/mg未満である場合には培養容器に被覆して
も被培養細胞の接着性を十分増加させることができず、
該細胞の効果的な増殖は期待できない。なお、上記ペプ
チド類の細胞接着能は、その種類によってある程度選択
性があるので、培養する細胞に応じて細胞接着性ペプチ
ドを適宜選択すれば細胞の選別を行うこともできる。例
えば血管内皮細胞を培養する場合、混入してくる血管の
平滑筋細胞を除くことができる。
【0012】正電荷を有する水不溶性高分子化合物は例
えば、正電荷を有する重合性モノマーの単独重合、ある
いは正電荷を有する重合性モノマーと上記の重合性モノ
マーとの共重合によって調製すればよい。正電荷を有す
る好ましい重合性モノマーとしては、ジメチルアミノメ
チル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メ
タ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アク
リレートおよびこれらの混合物等が例示される。
【0013】水不溶性高分子化合物中、正電荷を有する
モノマーとその他の重合性モノマーの反応比は50:5
0〜0:100好ましくは40:60〜20:80であ
る。正電荷を有するモノマーの反応比がこの範囲よりも
小さくなると十分な細胞接着性が得られない。また正電
荷を有するモノマーの反応比がこの範囲よりも大きくな
ると、細胞接着性は向上するが、伸展、増殖が阻害され
る。正電荷を有する水不溶性高分子化合物の分子量はと
くに限定的ではないが通常は5000〜200000、
好ましくは10000〜100000である。
【0014】本発明においては上記の水不溶性高分子化
合物を適当な溶媒に溶解、または懸濁させた溶液または
懸濁液を用いて、培養容器の内部壁面等を塗布法、噴霧
法または浸漬法等によって被覆する。該溶液または懸濁
液の濃度は特に限定的ではないが、通常は0.0001
%(1μg/ml)〜0.1%(1mg/ml)、好まし
くは0.0001〜0.01%で十分である。溶媒は蒸発
除去する。特に好適な溶媒は低級アルコールあるいは低
級アルコールと水との混合溶媒である。特に好ましい低
級アルコールは、炭素原子数1から4のアルコールまた
はこれらのアルコールと水との混合溶媒、例えば50〜
90%含水メタノール、エタノール、プロパノール等で
ある。殺菌作用のある低級アルコールを用いることによ
り、比較的広範囲の材質からなる容器を用いることがで
き、被覆後の付加的な滅菌処理が不要となり、取り扱い
も簡単になる。なお、水不溶性高分子化合物が低級アル
コールに不溶の場合には、ベンゼン、ジオキサンまたは
N,N−ジメチルホルムアミド等の有機溶媒に懸濁ある
いは溶解した溶液を培養容器の内部壁面上に塗布し、該
溶媒を蒸発除去した後、該容器をオートクレーブ滅菌あ
るいはガンマ線滅菌により滅菌処理に付してもよい。こ
の場合には、耐溶媒性あるいは耐熱性の水不溶性高分子
化合物および培養容器を使用する。
【0015】培養容器の好ましい被覆方法の一例として
は、水不溶性高分子化合物を0.01%(100μg/m
l)の70%のエタノール溶液とし、培養容器の底面が
覆われるように、例えば35mmディッシュに1ml加
え、これをクリーンベンチ内で乾燥させ、完全にエタノ
ールを蒸発させる方法が挙げられる。
【0016】培養容器はガラス製、ポリスチレン製、ポ
リカーボネート製、ポリエチレン製またはポリプロピレ
ン製等のマルチトレイ、ディッシュまたはボトル等の通
常使用されているものを用いれば良い。常法によって予
め滅菌処理に付された培養容器の内壁面を、前述の細胞
接着活性を有する水不溶性高分子化合物で被覆する。樹
脂製培養容器はプラズマ処理に付すのが好ましい。
【0017】本発明の接着性動物細胞の無血清培養法
は、前述の細胞接着活性を有する水不溶性高分子化合物
で被覆した担体を存在させた無血清培地中でおこなって
もよい。この実施態様によれば、細胞が接着する面積を
大幅に増大させることができるので、比較的小さな体積
の無血清培地による細胞の大量培養が可能となる。
【0018】このような目的に使用する担体としてはガ
ラス製、各種合成樹脂製またはセラミックス製等の微粒
子や薄片等が例示される。この種の担体の形状や大きさ
は、培養方法や培養規模によって左右され特に限定的で
はないが、例えば懸濁培養する場合には培養液のゆるや
かな撹拌や還流によって担体が浮遊状態を維持出来るよ
うに大きさや比重等を選定すべきである。
【0019】微粒子状担体としては、前述のペプチドで
化学修飾した重合性モノマー、あるいは正電荷を有する
モノマーと他の重合性モノマーとを懸濁重合して得られ
る水不溶性高分子粒子を用いても良い。この種の水不溶
性高分子粒子の大きさは、通常100μm〜5mm、好
ましくは100μm〜250μmである。
【0020】本発明の無血清培養方法は、前述の細胞接
着活性を有する水不溶性高分子化合物を接着性動物細胞
用担体の表面の少なくとも一部に存在させ、これと接触
させながら接着性動物細胞を無血清培地中で培養する。
培地としては血清を含まない以外は従来から接着性動物
細胞の培養に使用されているものと実質上同様の組成を
有する培地を適宜使用すればよい。例えば血管内皮細胞
の培養には、CHL−MCDB131(クロレラ工業
(株))、MCDB107(極東製薬工業(株))、E
−BM(倉敷紡績(株))等の培地に適宜成長因子等を
添加したものが好適に用いられる。また一般的な培養条
件は、被培養細胞の種類等に応じて、従来から常用され
ている培養条件を適宜選択すればよい。
【0021】本発明の無血清培養法においては、被培養
細胞を段階的に無血清培養状態に移行させる。通常の血
清含有培地で培養している細胞株あるいは正常細胞をい
きなり無血清培地へ播種しても良い結果は得られない。
好ましくは、2%程度の低血清培地で培養している細胞
の培地の半量を24時間毎に無血清培地と交換し、段階
的に培地中の血清量を減少させる。このようにして無血
清へと移行させた培養細胞は血清を添加した場合と同程
度の増殖性を示すだけでなく、その機能をそのまま維持
する。また従来無血清培養の困難であった血管内皮細胞
も、本発明によって効率良く無血清培養できる。
【0022】また一旦無血清培地中で増殖しはじめた細
胞は、本発明の無血清培養方法によってさらに無血清の
まま継代培養することが可能である。なお、上記のよう
にして得られる培養細胞は常法により、例えばトリプシ
ンとEDTAとの混合物を用いて高分子被覆層から剥離
させ、回収すればよい。被培養細胞としては、広範囲の
接着性細胞が対象となり、特に限定的ではないが、表皮
角化細胞、血管内皮細胞、乳腺上皮細胞、繊維芽細胞、
および角膜上皮細胞等の各種正常細胞、繊維肉腫細胞、
神経膠腫細胞等の各種癌細胞並びに株化細胞等が例示さ
れる。
【0023】
【実施例】本発明を実施例を用いてさらに詳細に説明す
る。 実施例1細胞接着性ペプチドの合成 RGDV(Arg−Gly−Asp−Val)ペプチド
を通常の液相法を用いて合成した。合成スキームを表1
に示す。
【0024】
【表1】
【0025】ペプチドのC末端となるValのカルボキ
シル基をベンジル基で保護したものと、アミノ基をBo
cで、側鎖のカルボキシル基をOcHexで保護したA
spをWSCI−HOBt法により縮合した。その後、
トリフルオロ酢酸(TFA)を用いてBoc基を脱保護
した。同様にしてN末端側にGly、Argとつなげ、
最後にすべての保護基をフッ酸(HF)処理することに
より外し、目的とするペプチドを得た。
【0026】細胞接着性高分子化合物の合成 先に合成したRGDVペプチド0.5gおよびN−メタ
クリロイルオキシスクシンイミド0.5gを2.5mlの
N,N'−ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解し、室
温で一晩撹拌した。ここへ2−ヒドロキシエチルメタク
リレート1.0g、n−ブチルメタクリレート0.5gお
よびDMF1mlを加えた。開始剤としてα,α'−アゾ
ビスイソブチロニトリル20mgを添加し、窒素気流
下、65℃で15時間加熱した。続いて反応溶液を激し
く撹拌した5リットルの蒸留水に滴下し、白色粘調な高
分子化合物を得た。この高分子化合物をメタノールに溶
解し、再度激しく撹拌した5リットルの蒸留水に滴下す
る操作を3度繰り返し、最後に吸引濾過、続いて40℃
にて真空乾燥を行い粉末状の結晶である高分子化合物
[I]を得た。この高分子化合物の一部を166℃で3
0分間、6Nの塩酸で酸加水分解した後、アミノ酸分析
をおこなったところ、RGDVペプチドが高分子化合物
1mgにつき17.9μg導入されていた。またこの高
分子化合物の平均分子量は50000であった。
【0027】実施例2細胞接着性高分子化合物の合成 実施例1においてRGDVペプチドを0.1gとする以
外は実施例1と同様にして高分子化合物[II]を得
た。アミノ酸分析の結果高分子化合物[II]1mg中
にRGDVペプチドが2.1μg導入されていることを
確認した。またこの高分子化合物の平均分子量は570
00であった。
【0028】実施例3細胞接着性ペプチドの合成 実施例1と同様の手法を用いてDGEA(Asp−Gl
y−Glu−Ala)ペプチドを合成した。合成スキー
ムを表2に示す。
【0029】
【表2】
【0030】細胞接着性高分子化合物の合成 実施例1のRGDVペプチドをDGEAペプチドとする
以外は実施例1と同様にして粉末状の高分子化合物[II
I]を得た。アミノ酸分析の結果、高分子化合物[III]
1mg中にDGEAペプチドが20.5μg導入されて
いることを確認した。またこの高分子化合物の平均分子
量は59000であった。
【0031】実施例4細胞接着性高分子化合物の合成 2−ヒドロキシエチルメタクリレート0.75g、n−
ブチルメタクリレート0.75g、ジエチルアミノエチ
ルメタクリレート0.5gをイソプロパノール5mlに
溶解した。開始剤としてα,α'−アゾビスイソブチロニ
トリル20mgを添加し、窒素気流下、65℃で15時
間加熱した。続いて反応溶液を激しく撹拌した5リット
ルの蒸留水に滴下し、白色粘調な高分子化合物を得た。
この高分子化合物をメタノールに溶解し、再度激しく撹
拌した5リットルの蒸留水に滴下する操作を3度繰り返
し、最後に吸引濾過、続いて40℃にて真空乾燥を行い
粉末状の結晶である高分子化合物[IV]を得た。得ら
れた高分子化合物の平均分子量は47000であった。
【0032】実施例5細胞培養 上記高分子化合物[I]〜[IV]を70%(v/v)エ
タノールに溶解して0.01%(w/v)(100μg/
ml)溶液を調製し、該溶液を市販のポリスチレン製細
胞培養用35mmディッシュ(細胞培養用シャーレ(プ
ラズマ処理済み):住友ベークライト(株))に1ml
ずつ添加し、クリーンベンチ内で一晩放置して乾燥した
容器を用いて細胞培養を行った。さらに血管内皮細胞に
ついては培養上清中のエンドセリン産生量の定量を行っ
た。比較例としてコラーゲンタイプI(Cellmatrix-I
C:新田ゼラチン(株))を70%エタノールに溶解し
て0.01%(100μg/ml)溶液を調製し、実施例
と同様にして上記細胞培養用ディッシュに被覆したも
の、および無処理の細胞培養用ディッシュを用いて細胞
培養、その他の試験を行った。
【0033】試験方法 (a)ヒトグリオブラストーマ細胞株U251−MGの
培養 ヒトグリオブラストーマ細胞株U251−MGはヒトの
脳腫瘍由来の細胞株であり、通常は10%牛胎児血清を
含むダルベッコ変性イーグル培地(DMEM)で維持さ
れている接着性細胞である。10%牛胎児血清を含むD
MEM培地で培養したヒトグリオブラストーマ細胞株U
251−MGを2×104個/mlの濃度となるよう2%
牛胎児血清を含むDMEM培地に懸濁させ、これを各デ
ィッシュに2mlずつ加えた。37℃に設定した炭酸ガ
スインキュベーター内で培養した。
【0034】細胞がコンフルエントに達するまで6〜8
日間培養した。細胞がコンフルエントに達した後ディッ
シュ内のDMEM培地を1ml除去し、新たに血清を含
有しないDMEM培地を1ml添加してディッシュ内の
血清濃度を1%とした。24時間毎に同様の操作を行い
培地中の血清濃度を0.5%、0.25%、0.125%
と減らした。0.125%の血清を含有するDMEM培
地で24時間培養したのちディッシュ中の培地を除き、
2mlの血清を含有しないDMEM培地と交換した。血
清を含まないDMEM培地で5日間培養した後に細胞を
トリプシン処理で剥離し、生細胞数を数えた。コントロ
ールとして、播種後2%血清を含有するDMEM培地で
6日間培養したものの生細胞数を数えた。
【0035】高分子化合物[I]〜[IV]を被覆したディ
ッシュは、無血清培地に交換後5日目でも細胞の剥離は
少なく、形態も正常であった。一方コラーゲンを被覆し
たディッシュおよび無処置ディッシュでは、細胞の剥離
が激しく、形態も変化した。血清を含まないDMEM培
地で5日間培養したのちトリプシンで細胞を剥離した。
上記の培養で細胞の形態が正常であった高分子化合物
[I]〜[IV]で被覆したディッシュを新たに作製
し、無血清DMEM培地2mlを加え、剥離した細胞を
2×104個播種した。これを37℃の炭酸ガスインキ
ュベーター内で培養し、24時間後に細胞の状態を位相
差顕微鏡で観察した。結果を表3に示す。
【0036】
【表3】
【0037】(b)ヒトニューロブラストーマ細胞株S
K−N−MCの培養 ヒトニューロブラストーマ細胞株SK−N−MCはヒト
グリオブラストーマU251−MG株と同様、ヒト脳腫
瘍由来のセルラインであり、通常は10%牛胎児血清を
含むDMEM培地で維持されている接着性細胞である。
【0038】10%牛胎児血清を含むDMEM培地で培
養したヒトニューロブラストーマ細胞株SK−N−MC
を(a)と同様にして各ディッシュを用いて無血清培養
を行った。無血清培養開始から5日目および播種後2%
血清含有DMEM培地にて6日間培養したものの生細胞
数を数えた。
【0039】高分子化合物[I]〜[IV]を被覆したディ
ッシュは無血清培地に交換後5日目でも細胞の剥離は少
なく、形態も正常であった。一方コラーゲンを被覆した
ディッシュおよび無処置ディッシュでは、細胞の剥離が
激しく、形態も変化した。血清を含まないDMEM培地
で5日間培養したのちトリプシンで細胞を剥離した。上
記の培養で細胞の形態が正常であった高分子化合物
[I]〜[IV]を被覆したディッシュを新たに作製
し、無血清DMEM培地2mlを加え、剥離した細胞を
2×104個播種した。これを37℃の炭酸ガスインキ
ュベーター内で培養し24時間後に細胞の状態を位相差
顕微鏡で観察した。結果を表4に示す。
【0040】
【表4】
【0041】(c)正常ヒト臍帯静脈血管内皮細胞(H
UVEC)の培養 正常ヒト臍帯静脈血管内皮細胞は、低血清血管内皮細胞
増殖培地(E−GMUV:倉敷紡績(株))で2次培養
された正常ヒト臍帯静脈血管内皮細胞培養キット(エン
ドセルキット:倉敷紡績(株))を用いた。なお、E−
GM UVは血管内皮細胞基礎培地(E−BM)に上皮
成長因子(EGF:10μg/ml)、ハイドロコーチ
ゾン(1μg/ml)、抗菌剤(ゲンタマイシン:50
μg/ml、アンフォチリシン:0.25μg/ml)、
ウシ脳抽出液(BBE:0.4%v/v)を添加したもので
ある。
【0042】このHUVECを上記(a)と同様の方法
で培養した。最初に牛胎児血清を2%含有する低血清血
管内皮細胞増殖培地(E−GM UV:倉敷紡績
(株))を用い、細胞がコンフルエントに達した後
(a)と同様にして、段階的に血清量を減らし、血清量
を0.125%とした後に血清を全く含まない無血清培
地と交換した。無血清培養開始から2日目、および播種
後2%牛胎児血清含有E−GMUV培地にて6日間培養
したものの生細胞数を数えた。結果を表5に示す。
【0043】
【表5】
【0044】無血清培地に交換後も高分子化合物[I]
〜[IV]で被覆したディッシュでは細胞が剥離するこ
となく、形態も正常であった。一方コラーゲンを被覆し
たディッシュでは細胞の形態が変化し、無処理の細胞培
養用ディッシュでは細胞の大部分が剥離した。
【0045】(d)正常ヒト臍帯静脈血管内皮細胞(H
UVEC)からのエンドセリン産生 上記(c)の方法により血清を含まないE−GM UV
培地と交換してから2日後、細胞の形態が正常な高分子
化合物[I]〜[IV]で被覆したディッシュおよび無
処理のディッシュで培養を行ったHUVECを用いた。
無血清培養中のHUVECの培地を全量除き、新たに無
血清E−GM UV培地を添加した。24時間培養した
のち培養上清を採取し、培地中に含まれるエンドセリン
量を測定した。コントロールとして、各ディッシュを用
い、2%牛胎児血清含有E−GMUV培地でコンフルエ
ントに達するまで培養を行ったHUVECのエンドセリ
ン産生量を同様にして測定した。測定はエンドセリン−
1測定用キット(国際試薬(株))を用いて行った。結
果を表6に示す
【0046】
【表6】
【0047】無血清培養下でもエンドセリン産生能は保
存されており、血管内皮細胞の機能は維持されている。
【0048】
【発明の効果】本発明によって、広範囲の接着性動物細
胞の接着性と増殖性を効果的に促進し、該細胞の無血清
培養が可能になる。この無血清培養によって得られる増
殖細胞はその本来的な機能を失うことはなく、例えば血
管内皮細胞のエンドセリンの産生能は維持される。ま
た、本発明を利用すれば複雑で高度な精製操作を必要と
することなく、培養細胞の産生物を分析、分取すること
ができる。なお、一旦無血清培地へ移行させた培養細胞
はその後無血清条件下で継代培養ができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山本 良平 大阪府寝屋川市下木田町14番5号 倉敷紡 績株式会社技術研究所内 (72)発明者 西野 豊和 大阪府寝屋川市下木田町14番5号 倉敷紡 績株式会社技術研究所内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 細胞接着活性を有する水不溶性高分子化
    合物を接着性動物細胞用担体の表面の少なくとも一部に
    存在させ、これと接触させながら接着性動物細胞を無血
    清培地中で培養することを特徴とする接着性動物細胞の
    無血清培養法。
  2. 【請求項2】 細胞接着活性を有する水不溶性高分子化
    合物が、細胞接着活性を有するペプチドで修飾した合成
    高分子化合物である請求項1記載の接着性動物細胞の無
    血清培養法。
  3. 【請求項3】 細胞接着活性を有するペプチドが、RG
    DV(Arg−Gly−Asp−Val)、RGDS
    (Arg−Gly−Asp−Ser)、RGDN(Ar
    g−Gly−Asp−Asn)、DGEA(Asp−G
    ly−Glu−Ala)およびYIGSR(Tyr−I
    le−Gly−Ser−Arg)からなる群から選択さ
    れるペプチドである請求項2記載の接着性動物細胞の無
    血清培養法。
  4. 【請求項4】 細胞接着活性を有する水不溶性高分子化
    合物が、正電荷を有する高分子化合物である請求項1記
    載の接着性動物細胞の無血清培養法。
  5. 【請求項5】 正電荷を有する高分子化合物が、ジメチ
    ルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノ
    エチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル
    (メタ)アクリレートおよびジメチルアミノエチル(メ
    タ)アクリレートからなる群から選択されるモノマーを
    重合成分の少なくとも一種として含む重合体である請求
    項4記載の接着性動物細胞の無血清培養法。
  6. 【請求項6】 担体が培養容器、微粒子、フィルム、
    網、編織布、棒から選ばれる請求項1記載の接着性動物
    細胞の無血清培養方法。
  7. 【請求項7】 細胞接着活性を有する水不溶性高分子化
    合物で内部壁面を被覆した接着性動物細胞の無血清培養
    用培養器。
  8. 【請求項8】 細胞接着活性を有する水不溶性高分子化
    合物で被覆した接着性動物細胞の無血清培養用担体。
  9. 【請求項9】 担体が微粒子である請求項8記載の担
    体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008167695A (ja) * 2007-01-12 2008-07-24 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 細胞培養基板
JP2021508445A (ja) * 2017-12-20 2021-03-11 ユニバーセルズ テクノロジーズ エス.エー.Univercells Technologies S.A. バイオリアクタ及び関連方法

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