JPH067847Y2 - クランクシャフトのチャック装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案はクランクシャフトに回転を伝達するためのチャ
ック装置に関する。

（従来技術） 補機のテスト等において、タイミングベルトを介してク
ランク軸と結合した動弁カムやウォータポンプを回転さ
せるには、一般にクランク軸端に外部駆動軸を結合する
ことによって行うが、この結合手段としてこれまではソ
ケットタイプのチャックを用いていたため、数種のエン
ジンを流すラインにおいては、クランクシャフトの径に
対応する幾つかのソケットを用意しておく必要があり、
これがために、これまでのものでは装置がむやみに複雑
になったり大型化してしまうといった問題を有してい
た。

（考案が解決しようとする課題） 本考案はこのような問題に鑑みてなされたもので、その
目的とするところは、径を異にする種々のクランクシャ
フトに対しても容易に適用することのできる新たなチャ
ック装置を提供することにある。

（課題を解決するための手段） すなわち、本考案はかかる課題を達成するための装置と
して、進退動自在な基台上に、オルダム継手を介して駆
動モータと結合したチャック機構を配設するとともに、
このチャック機構に、外周にテーパー面を、内面にクラ
ンクシャフトの外周面と接触するｖ字状の面を設け、か
つ一方の内面にはさらにクランクシャフトのキー溝と係
合する隆条部を設けた一対のチャック爪を取付ける一
方、基台上に、チャック機構の軸方向に移動自在な操作
腕を取付けて、その操作腕に、内周にテーパー面を設け
たリング部材を回転自在に取付けたものである。

（実施例） そこで以下に図示した実施例について説明する。

はじめに装置の全容について説明すると、基台１に設け
たレール２には駆動シリンダ３に駆動されて図示しない
エンジンブロックに向けて進退動するスライドベース４
が設けられており、このスライドベース４には、クラン
クシャフト駆動用のモータ５と、トルクリミッタ７を介
してモータ軸６に結合した第１の駆動軸８と、歯車９、
１０を介してこの駆動軸８に結合した第２の駆動軸１１
と、トルクトランスジューサ１２を介して第２の駆動軸
１１に結合した第３の駆動軸１３と、第３の駆動軸１３
とオルダム継手１４を介して結合した後述するチャック
機構２０と、このチャック機構２０を開閉操作する操作
機構３０が取付けられている。

ところで、上記したチャック機構２０は本考案の特徴部
分をなすもので、このチャック機構２０は、径方向に２
分割された２腮チャックとして構成され、これらの各チ
ャック爪２２、２２の外周には先細り状のテーパー面２
３、２３が、また第２図に示したようにその内面には、
クランクシャフトｗの外周面と接する２つの傾斜面２
４、２４からなるｖ字状の凹溝がそれぞれ形成され、さ
らに一方のチャック爪２２の内面には、クランクシャフ
トｗのキー溝ｗ_１に係合する隆条部２５が一体的に設け
られている。

これらのチャック爪２２、２２は、内部に設けた拡開ス
プリング２６により常時拡開方向に付勢され、またその
後端に設けたフランジ２７、２７の背面にはそれぞれ径
方向に伸びる凸条２８が設けられていて、前記したオル
タム継手１４の前面に設けた凹溝１５とこの凸条２８と
をスライド自在に嵌合させることによつて、駆動モータ
５からの駆動力を受けるように構成されている。

これに対して上記したロック機構３０は、チャック機構
２０に作用してクランクシャフトｗの拘止と開放操作を
行うもので、スライドベース４にブラケット３１を介し
て取付けた操作シリンダ３２のロッド３３には、先端に
チャック爪２２、２２を取囲むようなリング状の操作腕
３５を設けた軸３４がガイドバー３６に案内されてチャ
ック機構２０の軸心方向に移動自在に取付けられてい
る。この操作腕３５には、またそのリング状をなす内面
にベアリング３７が嵌合されており、そのインナーレー
ス３８の内周はテーパ面３９として形成されていて、両
チャック爪２２、２２の外周面に摺接させるように構成
されている。

このように構成された装置において、いまスライドベー
ス４が後退して待期の状態にある場合、操作シリンダ３
２はそのロッド３３を伸長し、操作腕３５をチャック爪
２２、２２の先端側に位置させてこれらを拡開スプリン
グ２６の付勢力により拡開させている。

この状態のもとで図示しないコンベア等に載置されたエ
ンジンブロックが装置の据置位置に搬送されてくると、
駆動シリンダ３はスライドベース４を前進させ、その上
のチャック機構２０を若干回転させてクランクシャフト
ｗのキー溝ｗ_１にチャック爪２２の内周面に設けた隆条
部２６を合致させた上、チャック機構２０をクランクシ
ャフトｗの軸端に嵌合させる。そしてつぎに操作シリン
ダ３２を作動し、ロッド３３端の操作腕３５をチャック
爪２２、２２の大径側へと軸方向に移動させ、テーパ付
きのインナーレース３８をチャック爪２２、２２の外周
面に摺接させてこれらを拡開スプリング２６に抗して縮
径させ、上下のチャック爪２２、２２によりクランクシ
ャフトｗの先端を強固に固定した上、駆動モータ５を回
転させて、その駆動力をクランクシャフトｗに伝える。

（効果） 以上述べたように本考案によれば、進退動自在に配設し
た基台上に、オルダム継手を介して駆動モータと結合し
たチャック機構を設けたので、駆動軸側の軸心とクラン
クシャフト側の軸心が多少ズレている場合でも支障なく
駆動力を伝達することが可でき、コンベア等による搬送
過程のエンジンユニットに対してもきわめて効率のよい
検査を行なうことができる。

しかも、チャック機構として２分割したチャック爪を用
い、これらの外周にテーパ面を、内面にｖ字状の面を形
成し、かつ一方の内面にはキー溝と係合する隆条部を設
ける一方、シリンダにより駆動される操作腕に、内面に
テーパ面を有するリング体を回転自在に取付けて、これ
をチャック爪の外周面に摺接させるようにしたので、ｖ
字状の面によるクランクシャフトの挟持と、キー溝と隆
条部との嵌合によつて、クランクシャフトの径の如何に
かかわりなくこれに所要の回転力を確実に伝達すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す装置の平面図、第２図
はその側面図である。 ５……駆動モータ、１４……オルダム継手 ２０……チャック機構、２２……チャック爪 ２３……テーパー面、２５……隆条部 ３０……ロック機構、３２……操作シリンダ ３５……操作腕、３７……ベアリング ３９……テーパー面、Ｗ……クランクシャフト

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】進退動自在な基台上に、オルダム継手を介
   して駆動モータと結合したチャック機構を配設するとと
   もに、該チャック機構に、外周にテーパー面を、内面に
   クランクシャフトの外周面と接触するｖ字状の面を設
   け、かつ一方の内面にはさらにクランクシャフトのキー
   溝と係合する隆条部を設けた一対のチャック爪を取付け
   る一方、上記基台上に、上記チャック機構の軸方向に移
   動自在な操作腕を取付けて、該操作腕に、内周にテーパ
   ー面を設けたリング部材を回転自在に取付けてなるクラ
   ンクシャフトのチャック装置。