JPH0678289B2 - 非放射性生物学的プロ−ブ - Google Patents

非放射性生物学的プロ−ブ

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JPH0678289B2
JPH0678289B2 JP60057667A JP5766785A JPH0678289B2 JP H0678289 B2 JPH0678289 B2 JP H0678289B2 JP 60057667 A JP60057667 A JP 60057667A JP 5766785 A JP5766785 A JP 5766785A JP H0678289 B2 JPH0678289 B2 JP H0678289B2
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    • C12Q1/00Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
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    • G01N33/53Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は非放射性生物学的プローブ、それらの製法およ
びそのようなプローブを使用してポリヌクレオチドを検
出し、局在化し、単離する技術に関する。
バイオテクノロジーにおいては、標識された核酸プロー
ブは、特定の核酸配列の検出およびその場での局在化の
ための不可欠の手段である。これらのプローブは産業上
有意の効果を有しており、主たる用途は例えばヒト、動
物および植物の病気の診断である。
本質的に、核酸プローブは、重要な核酸の相補性配列と
ハイブリツド化するように選択された核酸配列からな
る。このプローブ配列はそれ自体便利で信頼性のある検
出方法および検定法を促進するように明確に標識できる
基に結合される。
しかしながら、先行技術においては、不利点が多い。従
来、核酸プローブは3H,32P,14Cまたは125Iのような放射
性同位元素で標識されてきた。放射性同位元素による標
識は感度が非常に良いが、価格が高くつき、安全性と安
定性に問題があつたので、もつと安くもつと容易に行え
る標識方法の開発が急がれていた。その結果、最近、ヌ
クレオチド配列がビオチン(ビタミンH)に結合された
DNAプローブが入手できるようになつた(例えば、J.J.L
eary,D.J.Brigate and D.C.Ward,1983,Proc.Natl.Acad.
Sci.USA 80,4045〜4049参照)。ビオチンがプローブリ
ガンドとして特に適しているのは、ビオチン化したプロ
ーブが研究しているポリヌクレオチドとハイブリダイゼ
ーシヨンをした後で、酵素、螢光性分子または化学発光
触媒のような指示薬がアビジンを介して容易に付加する
からである。ここでアビジンとは、ビオチンと特異的且
つ非常に強く結合することが知られている卵白蛋白質で
ある。別法として、ビオチン化した核酸は抗ビオチン抗
体を使用して検出できる。分子生物学においてアビジン
ビオチン複合体を道具として使用する際の一般的知見
は、E.A.Bayer and M.Wilchek(1980)“Methods of Bi
ochemical Analysis"26,1−45に記載されている。
そのようなプローブは特定の利点を有しているが、P.R.
Langer,A.A.WaldropおよびD.C.Ward(1981;Proc.Natl.A
cad.Sci.USA 78,6633−6637),D.J.Brigati,D.Myerson,
J.J.Leary,B.Spalholz,S.Z.Travis,C.K.Y.Fong,G.D.Hsi
ungおよびD.C.Ward(1983,Virology 126,32−50)およ
びJ.J.Leary,D.J.Brigati D.C.Ward(1983,Proc.Natl.A
cad.Sci.USA 80,4045−4049)のような既知方法による
ビオチン化したDNAプローブの製造方法は、確立された
ニツク翻訳反応(P.W.J.Rigby,M.Dieckman n,C.Rhodes
and P.Berg,1977,J.Mol.Biol.113,237−251)(基質と
して二本鎖DNAを必要とする)または末端転移酵素を使
用して3′−エクステンシヨンを一本鎖DNAに付加する
ことによつて類似のビオチン化dUTPをDNAに酵素によつ
て挿入することを含む。
ビオチン化ヌクレオチドを核酸に酵素によつて挿入する
のは不利な点が多い。この方法に使用される細菌のDNA
ポリメラーゼは相補性DNA鎖および二本鎖DNAを鋳型とし
て必要とするので一本鎖DNAをニツク翻訳に使用できな
い。いくつかの細菌、動物細胞および動物性ウイルスの
RNAポリメラーゼはビオチン化dUTP類似体を基質として
使用できるが、広く使用されているトリウイルス(avia
n virus)逆転写酵素はビオチン化dUTP類似体を基質と
して使用できない(Langer et al.1981)。さらに、ビ
オチン化UTP類似体は細菌のRNAポリメラーゼとは低効率
でしか作用せず、真核生物のRNAポリメラーゼ(Langer
ら1981)によつては僅かしか利用されず、或いは全く利
用されない(Langerら1981)。さらに、診断用キツト用
にビオチン化DNAプローブを大量(mg量)に生産するに
は酵素を大量に反応させる必要があるが、酵素および基
質が高価である。
ビオチンはホルムアルデヒドを使用して蛋白質チトクロ
ームCを介してRNAに化学的に結合された(J.E.Mannin
g,N.D.Hershey,T.R.Broker,M.Pellegrim,H.K.Mitchell
and N.Darid Son,1975,Chromosoma 53,107−117)。し
かしこの方法には多くの不利益がある。この方法は完了
するのに2〜3日かかり、約5μg未満のRNAには適用
が容易ではなく;チトクロームC−RAN結合はハイブリ
ダイゼーシヨン条件下に不安定であり(Pellegrini,D.
S.Holmes and J.Manning,1977,Nucleic Acids Res.4,29
61−2973);RNAの特性は、130個のヌクレオチド残基当
り1個のがさばるチトクロームCが結合することによつ
て有意に変化させて上記公開された方法に適合するよう
にできる。
従つて、従来技術に関連した種々の困難の1つかそれ以
上の解消または少くとも軽減することが本発明の目的で
ある。
従つて、本発明の第一の態様は式Iの化合物を提供する
ことである: 式I: (式中、Bは−NH−基; Cは−(CH23N(CH3)(CH23NH−基; Dはビオチニル基または2,4−ジニトロフェニル基; R1,R2およびR4は水素原子;R3はニトロ基である) 式Iの新規化合物は核酸プローブの製造における中間体
として有用であることがわかつた。
好ましくはBはアジド基に対してパラ位の−NH−基であ
る。
一般に、高度に反応性の官能基を使用して核酸の安定な
化学的修飾を行う必要がある。これは2つの問題点を有
する。まず、試薬の合成のための必要条件が反応性基は
配位子(ビオチニル部分)と反応してはならず、従つ
て、該当する多くの高度に反応性の基が使用できなかつ
たと考えられる。次に、非常に極性である以外の溶媒す
べてに難溶の核酸のカチオン塩は通常、高度に反応性の
基の殆んどとの反応のために核酸と激しく競合するとは
考えられない水性溶媒に溶解される。
本発明はアリールアジドについての最初の問題を克服す
る。アリールアジドは暗所で安定でその場で光活性化さ
れた高度に反応性のアリールニトレンを生成する。特
に、4−フルオル−3−ニトロフエニルアジドは容易に
アミン(下記を参照)に結合して可視光線で光活性化で
き核酸プローブに損傷を与える紫外線による照射を避け
る。
本発明は、中性のpHでは正の電荷を有する塩基性第三級
アミノ基を有するリンカーを選択することにより上記二
番目の問題を克服するものである。これは試薬に高い水
溶性および核酸に対して静電的引力を与え、核酸に近接
して高度に局在化した濃度の試薬を使用することが可能
になる。ビオチン標識核酸のビオチニル基を効率よくア
ビジン内のビオチン結合部位に浸透させるには長いリン
カーが必要であることがわかつた。従つて、合成反応に
適した長い対称的トリアミンが好ましい。
式Iの化合物は次の通りである。
便宜上、これらの化合物は、フオトビオチン14(ビオチ
ン部分が核酸に14個の炭素の長さの鎖を介して結合して
いる)、およびフオト−DNPと各々称されている。フオ
トビオチン14、すなわちN−(4−アジド−2−ニトロ
フエニル)−N′−(N−D−ビオチニル−3−アミノ
プロピル)−N′−メチル−1,3−プロパンジアミンは
酢酸塩として水溶性であり、光の不在下に水溶液中で安
定であり、可視光線によつて急速に光分解されたアジド
基が高度に反応性のニトレンに転化し、これは核酸残基
に対する安定な結合を形成する。ニトレンも蛋白質や炭
水化物のような他の重合体物質に結合でき、そのような
用途も本発明の範囲内にある。
上記構造式において、−B−Cは四級アミン基を含む水
溶性対称性アミンの残基である。これは上記化合物に親
水性を付与し、ホリアニオニツク核酸に対するイオン不
活性反応を促進する作用をする。
本発明は更に上記式Iの化合物の酸付加塩を包含する。
水素酢酸塩および水素ギ酸塩が好ましい。酸付加塩は暗
所保存すれば長い貯蔵寿命を与えるので有用な中間体で
ある。
本発明の更に他の態様は、式I′ (式中、Bは−NH−基; Cは−(CH23N(CH3)(CH23NH−基; D′はビオチニル基; R1,R2およびR4は水素原子;R3はニトロ基である)の化合
物およびその酸付加塩の製造方法であつて、 式VII の化合物を式VIII の化合物と反応させることからなる方法が提供される。
さらに他の態様において式 (式中、Bは−NH−基; Cは−(CH23N(CH3)(CH23NH−基; R1,R2およびR4は水素原子;R3はニトロ基である)の化合
物およびその酸の製造方法であつて、 式VII (式中B,CおよびR1ないしR4は上記と同じ定義を有す
る) (式中、Xはフルオルである) の化合物と反応させることからなる方法を提供する。
式VIIの化合物は式X (式中Lは脱離基である) の化合物を式XI NH2−(CH2−N(CH3)(CH24NH2の化合物と反応
させることによって製造される。式VIIIの化合物は下記
式を有する: フォトビオチン14(II)は第1図に示したような合成経
路で合成できる。
下記構造式: を有する関連化合物は段階Bで4−フルオル−3−ニト
ロフエニルアジドの代りにN−((4−アジドベンジ
ル)オキシ)サクシンイミドを使用することによつて同
様の方法で製造できる。以上概略を述べた製造方法は本
発明の範囲内にある。
本発明の化合物を使用して、次式XII: (式中、Pはポリヌクレオチド鎖、蛋白質または炭水化
物の残基である; Bは−NH−基; Cは−(CH23N(CH3)(CH23NH−基; Dはビオチニル基または2,4−ジニトロフェニル基; R1,R2およびR4は水素原子;R3はニトロ基である) の化合物およびその酸付加塩を製造することができる。
好ましくは、Pは一本鎖または二本鎖デオキシリボ核酸
(DNA)またはリボ核酸(RNA)の残基である。式XIIの
化合物類は非放射性生物学的プローブとしての機能を果
すことができる。
残基Pを選択することにより、被験サンプル中の相補核
酸配列と検出可能な複合体を使用時に生成できる。残基
Pはクローニングベクターであることもできる。このク
ローニングベクターを修飾し、所望の核酸配列を含ませ
ることもできる。この操作は公知の組み換えDNA技法に
より実施できる。プラスおよびマイナス組み換えDNAク
ローンを使用することもできる。残基Pはクローン化さ
れたインサートを含有する一本鎖バクテリオファージM1
3DNAであることもできる。一本鎖のファージM13DNAプロ
ーブが好ましい。その理由は次の通りである。(1)複
製型のM13にクローン化すると挿入配列のどちらかの鎖
の一本鎖化クローンを選別単離できる; (2)一本鎖化プローブは二本鎖化プローブよりも一層
効果的に相補配列にハイブリッドする;(3)M13ベク
ターはビオチンを標識し、そして、アビジンコンジュゲ
ートに結合させるための挿入配列の他に7200個のDNA残
基を生じるので、プローブの検出感度が高まる;および
(4)M13クローン類はジデオキシヌクレオチド鎖成長
停止反応技法によるDNAの配列化に広範に使用されてい
る。
前記のような試薬を使用し、配位子(またはハプテン)
をポリマーに化学的手段により共有結合させる方法は、
Langerら(1981),Brigatiら(1983)およびLearyら(1
983)が既に報告した酵素法を陵駕する多くの効果を有
する。例えば、話を簡単にするため特にホトビオチンに
ついて述べる(しかし、下記の効果を享受できる配位子
またはハプテンはビオチンだけではなく、例えば、イミ
ノビオチンおよびジニトロフェノールなども享受でき
る)。
ホトビオチン化合物のような試薬の合成および該試薬の
一本鎖または二本鎖化核酸への共有結合は迅速で、しか
も、容易である。ビオチンの化学的結合は酵素によるヌ
クレオチド類似体の加入効果によって制限されない。全
ての核酸(DNAまたはRNA)を標識するのに本質的に一種
類の方法を使用できる。かくして、種々な種類の酵素類
およびプライマー類を使用する必要はない。多量の核酸
を容易に、しかも、安価に標識できる。このことは、多
量のプローブを必要とするような、診断用キット用また
は液状ハイブリダイゼーション反応に使用するための生
物学的プローブの製造にとって重要である。
ビオチンを一本鎖DNAに結合させる能力は、著しく高い
(実際上は無限界の)感度を有するプローブをもたらす
ことができる。例えば、200個の核酸残基からなる所望
のDNAストランドを、およそ7,000個のヌクレオチド残基
からなる一本鎖ファージM13ベクターDNA中に挿入するこ
ともできるであろう。ビオチンはベクター/インサート
複合体に、例えば、200個のヌクレオチド残基あたりビ
オチン1個の比率で、結合される。この程度のインサー
トの標識化は相補核酸配列にハイブリッドする能力を殆
んど妨げないばかりか、検出用に利用できるビオチンの
数が、目的のDNAストランドしか使用しなかった場合に
利用できるであろうビオチンの数よりも35倍も高められ
た。
ハイブリダイゼーション後もビオチニル化核酸プローブ
の検出感度を更に高めることもできる。例えば、分子量
10×106の二本鎖線状DNA分子をホトビオチンで光分解
し、残基300個あたりビオチン1個の割合で結合させた
場合、DNA1個当り全部で100個のビオチン残基が存在す
ることになるであろう(従って、核酸残基の数は全部で
30,000になる)。ハイブリッド化されたビオチニル化核
酸プローブの検出に使用される複合体は二本鎖DNAに結
合されたビオチン1個当りのアビジン−アルカリ性ホス
ファターゼ(またはペルオキシダーゼ)コンジュゲート
1g分子を添加することによって調製される。アビジン1
分子はビオチン4分子に結合することができるので、こ
の大きな線状DNA−ビオチン−アビジン−酵素複合体
は、ハイブリッド化されたビオチニル化核酸プローブ上
のビオチン残基に結合させるのに利用できる有効なビオ
チン結合部位を極めて多量に有する。
従って、理論的には、この方法はハイブリッド化核酸プ
ローブの検出感度を更に100倍高めることができる。こ
の計算上の検出感度の向上について考えると、酵素的方
法により調製された単純な核酸プローブにより、また、
低分子量アジビン−酵素コンジュゲートの使用により得
られる検出感度を理論的に3500倍高めることができる。
実際上は、検出感度を相当なレベルにまで高めることが
できるが、理論値のレベルにまで高めることはできな
い。
なぜなら、 ハイブリッド化されたビオチニル化核酸プローブへの巨
大な酵素複合体の接合性が立体的因子により制限される
からである。
一本鎖プローブは二本鎖プローブよりも好ましい。なぜ
なら、相補配列は溶液状で存在し、このような配列は配
列相互間で、ニトロセルロース上にスポットされた試験
サンプル中の相補配列よりも極めて迅速にハイブリッド
化するからである。このことは、一本鎖化プローブに比
べて二本鎖化プローブを使用すると効率が低下すること
を意味する。
本発明の化合物を使用して製造される上記核酸プローブ
は次のような場合の診断用に特に好ましい。
(i) 疾病因子が免疫学的方法によって検出できない
場合。例えば、蛋白質コートをもたないRNA分子があ
り、従って、非免疫原性である植物バイロイド。
(ii) 免疫学的方法では検出が困難な疾病因子の場
合。このような因子は臨床および農業分野では多数存在
し、この分野で本発明の核酸プローブはまず最初に使用
されるであろう。
(iii) 核酸プローブ法が現に使用されている免疫学
的方法よりも優れた方法をもたらす場合。
前記のような疾病因子には次のようなものがある。
(1)肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae) (2)エプスタイン−バーウイルス (3)サイノメガロ ウイルス (4)B型肝炎 ウイルス (5)非培養性アデノウイルス(例えば、胃腸炎を起こ
す) (6)ヒトT細胞リンパ腫ウイルス (7)クラミジア 次式XII (式中、P,B,C,DおよびR1〜R4は前記に定義した通りの
ものである) の化合物を製造するには、 (1)(a)次式I (式中、B,C,DおよびR1〜R4は前記に定義した通りのも
のである) の化合物、および (b)核酸、炭水化物または蛋白質配列から選択される
プローブ配列を用意し; (2)(a)と(b)を混合し;そして、 (3)工程(2)の混合物を、(a)と(b)との間で
反応を起こさせるのに十分な時間にわたって電磁線源に
さらす; ことからなる。
好ましくは、プローブ配列はデオキシリボ核酸(DNA)
またはリボ核酸(RNA)の一本鎖または二本鎖配列であ
る。好ましくは、工程(2)は(a)および(b)を溶
液状で混合することからなる。大体中性の溶液を使用で
きる。溶液は任意の好適な溶剤で調製できる。エチレン
ジアミン四酢酸(EDTA)が好ましい。このようにして調
製された混合物は例えば毛細管のような適当な容器中に
密封しておくこともできる。
この混合物を低温で電磁線にさらすことができる。約5
℃未満の温度が好ましい。電磁線は可視光線の形であっ
てもよい。
この方法の好ましい実施態様では、更に次の工程を含
む。
(4)未反応成分類を溶剤抽出により除去する。アルコ
ール溶剤抽出を実施できる。溶剤としてブタン−2−オ
ールを使用できる。
好ましくは、例えば、DNAおよびホトビオチンを希EDTA
・Na塩にとかして作った中性溶液に5℃未満の温度で可
視光線を照射することによって式Iの化合物をプローブ
−DNA配列に結合させ、式XIIの化合物を生成できる。光
分解ホトビオチンの場合、例えば、ブタン−2−オール
で抽出することにより、未反応成分類を除去した後、特
定の核酸配列の検出と局在化が求められる用途におい
て、従来のビオチニル化プローブと同様な方法で使用で
きる。
上記核酸プローブを使用して核酸、蛋白質、または炭水
化物配列を検出および/または同定する方法は、以下の
工程からなる: (1)(a)被験サンプル、および (b)次式 XII (式中、P,B,C,DおよびR1〜R4は前記に定義した通りの
ものである) の少なくとも1種類の化合物、 を用意し; (2)(a)と(b)との間で複合体を形成するのに好
適な条件下で、(a)および(b)を接触させ;そし
て、 (3)工程(2)の生成物にハプテンまたは配位子Dの
検出および/または抽出方法を適用する; ことからなる。好ましくは、検出および/または同定さ
れる配列は核酸配列である。特定のDNAまたはRNA分子、
特に、例えば、細菌類、真菌類、ウイルス類、酵母、植
物または動物のような生物に由来する分子の存在を測定
できる。かくして、患者またはその他の生物中の核酸含
有病因物質を決定できる。本発明に従って選択された、
式XIIの化合物のプローブ配列Pは一本鎖または二本鎖D
NAまたはRNA配列である。このような配列においては、
複合体形成工程(2)は、少なくとも一種類の核酸プロ
ーブをサンプル中の相補核酸配列へハイブリダイゼーシ
ョンさせる工程である。相補核酸配列は適当な固体支持
体に結合させることもできる。この固体支持体として硝
酸セルロースのシートを使用できる。別法として、ガラ
スビーズまたはポリスチレンビーズを固体支持体として
使用することもできる。反応性アミノ基が付加されたガ
ラスビーズも使用できる。ポリスチレンビーズ(これも
反応性アミノ基を有する)はPierce Chemical社(米
国)から市販されている。
検出工程(3)は選択された。ハプテンまたは配位子に
左右される。ビオチン配位子が使用される場合、検出工
程(3)は、 (a)工程(2)の生成物を過剰量のアビジン−,スト
レプトアビジン−または抗ビオチン抗体−酵素複合体と
反応させ;そして、 (b)その生成物を抽出する;ことからなる。前記の検
出方法は周知の酵素−結合免疫吸着効力検定(ELISA)
試験法に類似している。検出工程(3)で使用できる適
当な酵素は例えば、アルカリ性ホスファターゼおよび西
洋ワサビペルオキシダーゼなどである。
ハプテンまたは配位子が2,4−ジニトロフエノールであ
る別の態様においては、検出ステツプ(3)には、 (a)ステツプ(3)の生成物を2,4−ジニトロフエノ
ールに対して調製したモノクローン性またはポリクロー
ン性抗体と反応させ、 (b)その生成物を抽出する。
ことも含まれる。このような検出法はビオチンプローブ
に関連して記載した方法に類似しており、標準的酵素結
合イムノソルベントアツセイ(ELISA)条件により実施
できる。
本発明の化合物を使用して製造したプローブを利用した
上記検出方法の好ましい態様においては、工程のステツ
プ(1)は、 (a)各化合物上のハプテンまたは配位子Dの異なる式
XIIで表わされる少なくとも二種の化合物を準備するこ
とを含み、 そしてステツプ(3)は、 (a)ステツプ(2)のハイブリツド化生成物を一つの
ハプテンまたは配位子についての第一抽出工程に付し、
そして (b)(a)の抽出生成物を次いで第二のハプテンまた
は配位子に特異的な検出工程に付すことを含む。
核酸プローブのうちの他方は、この工程の間、除去され
たプローブと同じ核酸配列にハイブリツド化していない
限り、溶液中から除去されないことが理解されるであろ
う。固体支持体に結合した他のプローブの存在は、次い
でその配位子またはハプテンに特異的な反応により検出
される。陽性反応は核酸テストサンプル中の標的核酸の
存在を示す。
本発明の化合物を使用して製造したプローブを利用した
上記検出方法を以下に更に実際的に概説する。
病的状態に特異的な標的核酸の組換えDNAクローンは、
一重鎖フアージM13ベクター中に作成される。プローブ
として使用される二つのクローンは、それらが標的核酸
の同一分子の異なる非重複区域へハイブリツド化するよ
うに作成される。これら二つの区域は連続的である必要
はないが、標的核酸がハイブリツド化のために調製中ま
たはハイブリツド化反応の間に部分片断化を起す場合に
は、二つの区域は相互に近接して存在することが好まし
い。
二種の選択されたプローブは、一方はフオトビオチン
(I)そして他はフオト−DNP(II)を使用して、各DNA
分子にハプテンの配位子が好ましくは約30〜50分子の多
数で付着するように光化学的に標識される。他の配位子
またはハプテンの対を適宜使用することもできる。
次いで、二種の標識プローブ当モル量を、標的核酸を検
出すべき核酸抽出物と混合し、混合物を単一相液体条件
下にハイブリツド化する。ハイブリツド化は二つのプロ
ーブにより、存在する如何なる標的核酸とのハイブリツ
ド化が完了またはほぼ完了することが保証される適当な
条件で継続する。プローブが標的核酸より十分過剰量で
あるときは、反応は実質的に擬一次反応であり、ハイブ
リツド化の速度はプロープの濃度によりコントロールで
きる。このことは標的配列の濃度が低い場合に、検出系
に高感度を与えるであろうから、重要な点である。
ハイブリツド化したプローブは、第2図に模式的に示す
タイプのハイブリツド構造として存在するであろう。こ
のハイブリツド化混合物を次いで固体支持体、例えば2,
4−ジニトロフエノールに対して調製された抗体(ポリ
クローン性またはモノクローン性)で予めコートされた
プラスチツクマイクロタイタープレートのウエル(標準
ELISAアツセイに使用される)中に添加する。規定され
た条件で経験的に定めた時間インキユベートすると、溶
液から全部または殆んどのDNP−標識プローブが吸着さ
るるであろう。この吸着プローブには、ハイブリツド化
しなかつたプローブ及び標的核酸にハイブリツド化した
プローブが含まれる。この条件下ではビオチニル化DNA
プローブは、該プローブもまたDNP−標識プローブと同
じ標的核酸片にハイブリツド化している場合を除き、溶
液中から除去されることはないであろう。全ての未結合
物質は、次いで十分洗浄して除去する。
次のステツプは、各ウエル中に存在するハイブリツド化
されたビオチニル化DNAプローブのいかなる存在をも特
異的に検出することである。ELISAアツセイで広く用い
られている検出系から類推して、一つのアプローチは酵
素へ共有結合したアビジンまたはストレプトアビジンま
たは酵素に結合した抗−ビオチン抗体の使用である。適
当な酵素の例は、アルカリホスフアターゼおよび西洋ワ
サビペルオキシダーゼである。従つて、アビジン−スト
レプトアビジン−または抗体−酵素複合体を各ウエルに
添加し、各ウエル中の結合ビオチンへの結合を可能なら
しめる規定された条件下にインキユベートする。過剰の
酵素試薬を除去するため十分に洗浄した後、適当な基質
を加えてプレートをインキユベートして発色させる。
結合標的配列が何れかのウエルに存在すれば、色の発生
により検出され、発色の強さが結合標的核酸の量に相関
する。発色強度はプリントレコーダーを具えた自動ELIS
Aプレート読取装置で測定できる。
本発明の化合物を使用して製造したプローブを利用した
上記検出方法での重要な要件は、異なるリガンドまたは
ハプテンで標識され、同じ標的核酸片にハイブリダイズ
するが互いにはハイブリダイズしない。二種の非放射標
識生物学的プローブを使用する点にある。標的核酸はヒ
ト、動物または植物(植物とは全ての微生物も含むもの
とする)の特定の病的状態に特異的なものである。本方
法は上記の例におけるビオチンおよび2,4−ジニトロフ
エノールに限定されるものではない。何故なら、これら
は適当な検出システムを使用して検出可能な他の配位子
またはハプテンに置き換え可能だからである。更に、上
記の例において、マイクロタイタープレートを抗−DNP
抗体の代りにアビジンまたはストレプトアビジンでコー
トし、結合標的配列の検出を適当な酵素にカツプリング
させた抗−DNP抗体を用いて行つてもよい。
この方法は、特定標的核酸の検出および診断にハイブリ
ダイゼーシヨン法を使用する他の方法に比べて、多くの
顕著な利点を有する。殆んどの先行技術の方法におい
て、固相の使用は、ドツト−ブロツト法(dot-blot pro
cedure)およびその変法におけるように標的核酸を結合
させるためか、またはサンドイツチ・ハイブリダイゼー
シヨン法におけるようにDNAプローブの固定化のためで
ある。本発明の化合物を使用して製造したプローブを利
用した上記検出方法利点は次の通りである: 単一液相でのハイブリダイゼーシヨンは、液体−固体支
持体での二相系におけるより約10倍速いことが認められ
る。従つて、単一液相系でのハイブリダイゼーシヨン時
間は、二層システムで要する通常の「一夜」の時間を数
時間またはそれ以下に相当短縮されうる。理論上は、二
種のプローブの濃度を高めれば、ハイブリダイゼーシヨ
ン時間は「分」の単位まで短縮できる筈である。この点
での実用上の限界は、コントロールサンプルのバツクグ
ラウンド反応により定まると思われる。
ハイブリダイゼーシヨン反応に、多量のテストサンプル
を使用可能である。例えば、ドツト−ブロツトアツセイ
では通常5μでスポツトされるのに比べ、本発明の単
一相システムでは100ないし200μのテストサンプルを
用いることが可能である。このことは検出の感度上昇を
もたらすであろう。
最初のハイブリダイゼーシヨン反応および固体支持体へ
の結合が完了すると、以後の手順は実質的にELISA法の
場合と同じであるから、種々の十分に確立された検出法
およびアプローチを用いることが可能である。
別の態様においては、一つのテストサンプル中の二種ま
たはそれ以上の標的核酸を検出できる。ハイブリダイゼ
ーシヨン反応混合物は唯一種のみ調製するがしかし、引
続く工程は二種またはそれ以上の標的核酸の検出を可能
ならしめる。このことは、各標的核酸に対する適当なプ
ローブ対を複数含む混合物でのハイブリダイゼーシヨン
により達成される。各対の一方のプローブは、同じ配位
子またはハプテン、例えばビオチンで標識し、そして各
対の他方のプローブは特異的検出系を有する異なる配位
子またはハプテン、例えば2,4−ジニトロフエノール
(これに代るものはB.F.Erlanger,1980,Methods Enzymo
l.70,85−104に記載されている)で標識する。次いで、
ハイブリダイゼーシヨン溶液の、アビジン(またはスト
レプトアビジン)でコートしたマイクロタイタープレー
トの多数のウエルに加える。同じテストサンプルを含有
する異なるウエルについて、使用されたハプテン各々の
特異的な検出システムを用いてスクリーニングする。
更に別の態様においては、逆のアプローチが好ましい場
合がありうる。即ち、各ウエルを上記例における同一物
質(アビジンまたはストレプトアビジン)の代りに各配
位子またはハプテンに対する異なる抗体でコートする。
従つて、各ウエルは異なる標的核酸を選別するであろう
が、検出システムは結合ビオチニル化DNAプローブを検
出するので、各ウエルについて同一である。
更に、サンプル中の核酸、蛋白または炭水化物配列の検
出および/または同定のための診断キツトが提供でき、
このキツトは次式XII: (式中、Pはポリヌクレオチド鎖、蛋白質または炭水化
物の残基であり、 Bは−NH−基; Cは−(CH23N(CH3)(CH23NH−基; Dはビオチニル基または2,4−ジニトロフェニル基;そ
して R1,R2およびR4は水素原子;R3はニトロ基である)の化合
物またはその酸付加塩を含んでいる。
上記診断キツトは更に、アビジン−、ストレプトアジビ
ン−または抗体−酵素複合体も含みうる。ストレプトア
ビジン、仔牛の腸アルカリホスフアターゼのビオチニル
化ポリマーまたはストレプトアビジン−ビオチニル化ア
シツドホスフアターゼ複合体が使用できる。
上記診断キツトは発色試薬も含みうる。この発色試薬に
は、リン酸塩化合物および指示薬化合物を含みうる。リ
ン酸塩化合物は、5−ブロモ−4−クロロ−3−インド
リルホスフエートおよびナフト−ルAS−MXホスフエート
から選択してよい。支持薬化合物は、ニトロブル−テト
ラゾリウムおよびフアーストバイトレツトB塩から選択
してよい。
本発明は添付の実施例を参照することにより更に詳しく
記述されるだろう。以下の記述は単に例示するためのも
のであつて、先に述べた本発明の普遍性を何ら制限する
ものでないことを理解すべきである。
物質および方法 物質 アジビン、d−ビオチン、N−ヒドロキシスクシンイミ
ド、5−ブロム−4−クロル−3−インドリルホスフエ
ート、ニトロブル−テトラゾリウムおよびアビジン−ウ
シ腸アルカリ性ホスフアターゼ複合体(1モルのアジビ
ン当たり2.1モルのアルカリ性ホスフアターゼ)はSigma
社から入手した。N,N′−ジシクロヘキシルカルボジイ
ミド(DCC)はMann Research研究所から入手した。4−
フルオル−3−ニトロアニリンおよびN−(3−アミノ
プロピル)−N−メチル−1,3−プロパンジアミン〔N,N
−ビス(3−アミノプロピル)メチルアミン〕はTokyo
Kasei社から入手した。キーゼルゲル(Kieselgel)60F2
54およびアルミニウムオキシド(aluminiumoxid)60F25
4のTLCプレートはMerck社から入手した。ビオチン標識D
NAを検出するためのキツトはEnzo Biochem社(Detek
1−ACP,#EBP−821)およびBethesda Research研究所
(BRL,#8239SA)から入手した。ピリジンはニンヒドリ
ンから2回およびCaH2から1回蒸留した。一本鎖M13mp9
3DNAベクター内に全長挿入物を含むアボカド・サンブロ
ツチ・バイロイド(ASBV)の247残基からなる一本鎖RNA
のプラスおよびマイナス組み換えDNAクローンはBarker
らのJournal of Virological Methods 10(1985)に記
載の方法により作製されかつ精製された。
N−(3−アミノプロピル)−N′−(4−アジド−2
−ニトロフエニル)−N−メチル−1,3−プロパンジア
ミン(VI)の合成 アリールアジドの生成および使用を伴う全ての反応は暗
所で実施した。4−フルオル−3−ニトロフエニルアジ
ド(IV)はFleetらのBiochem.J. 128 449〜508(197
2)に記載の方法により合成した。但し、1gの4−フル
オル−3−ニトロアニリン当たり32mlの濃HCl−水混合
溶媒(5:3,容量/容量)を使用し、また最初の2画分は
必要でなかつた。乾燥エーテル10ml中の4−フルオル−
3−ニトロフエニルアジド0.91g(5.0ミリモル)の溶液
を、乾燥エーテル20ml中のN−(3−アミノプロピル)
−N−メチル−1,3−プロパンジアミン(V)3.2ml(20
ミリモル)の溶液に撹拌しながら加え、この混合物を30
分撹拌した。メタノールを用いたアルミナでのTLCは反
応が完了したことを示した。溶媒を除去し、赤色油状物
を水25ml中に溶解した。1M NaOH25mlを加え、生成物は
酢酸エチル50mlずつで2回抽出した。水相はまだ暗赤色
であつたが、残存する生成物は5%より少なかつた。酢
酸−水の混合溶媒(1:9,容量/容量)を用いたシリカゲ
ルでのTLCによる抽出物の分析は、アミン検出用のニン
ヒドリンを使うことによりその生成物が化合物(V)を
含まないことを示した。プールした酢酸エチル抽出物は
Na2SO4で乾燥し、溶媒を除去して粗生成物を得、これは
更に精製することなく使用した。
N−(4−アジド−2−ニトロフエニル)−N′−(N
−d−ビオチニル−3−アミノプロピル)−N′−メチ
ル−1,3−プロパンジアミン(フオトビオチン、VII)の
合成 d−ビオチニル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステ
ル(III)はBayerおよびWilcheckの“Methods of Bioch
emical Analysis"26,1〜45に記載のDCC法によりd−ビ
オチン(I)から合成した。但しこのエステルはエーテ
ルからの沈殿により単離し、これ以上精製することなく
使用した。N−(3−アミノプロピル)−N′−(4−
アジド−2−ニトロフエニル)−N−メチル−1,3−プ
ロパンジアミン(VI:約5ミリモル)をピリジン−水の
混合溶媒50ml(7:3,容量/容量)中のd−ビオチニル−
N−ヒドロキシスクシンイミドエステル1.7g(5.0ミリ
モル)含有溶液に溶解し、この溶液を37℃で2時間イン
キユベートした。テトラヒドロフラン−水の混合溶媒
(19:1,容量/容量)を用いたアルミナでのTLCは反応が
完了したことを示した。溶媒を除去し、残留物を0.5M N
aHCO3 100mlと2−ブタノール100mlとの混合物に溶解し
た。2つの相の間の界面を肉眼で見えるようにするのに
大容量が必要であつた。2−ブタノール相を取り出して
順次水100mlおよび飽和NaCl100mlで洗い、その後エーテ
ル900mlに徐々に添加した。この懸濁液を撹拌し、赤色
析出物を沈殿させ、上清はデカントした。この析出物を
エーテル100mlで洗い、真空乾燥して生成物1.33gを得た
(4−フルオル−3−ニトロフエニルアジドからの収率
50%)。融点114.5〜115℃(補正値)。元素分析
(%);C23H35N9O4Sとしての計算値:C51.8,H6.6,N23.6
実測値:C50.6,H6.8,N23.4(Australian Mineral Deve
lopment研究所)。メタノールを用いたアルミナでのTLC
はこの生成物がRf0.75の単一スポツトであることを示し
た(化合物IVおよびVから生成された対称的なジ置換生
成物はRf0.6であつた)。アセトニトリル−水の混合溶
媒(19:1,容量/容量)を用いたシリカでのTLCは、ビオ
チン誘導体(21)検出用のp−ジメチルアミノシンナム
アルデヒドのスプレーを使用することによりこの生成物
が化合物I,IIおよびIIIを含まないことを示した。フオ
トビオチンは水に貧溶解性である。
フオトビオチン酢酸塩の製造 1M酢酸0.30ml中のフオトビオチン0.11g(0.21ミリモ
ル)の溶液を凍結乾燥して過剰の酢酸を除いた。得られ
た吸湿性の赤色固体は非常に水溶性であつた。λmax
(水)=261および473nm(M=19200および3900M-1c
m-1;第3図参照)。フオトビオチン酢酸塩の水溶液は−
15℃の暗所で少なくとも5ケ月間安定である。
N−(4−アジド−2−ニトロフエニル)−N′−(N
−2,4−ジニトロフエニル−3−アミノプロピル)−
N′−メチル−1,3−プロパンジアミン(フオト−DNP)
の合成 粗N−(3−アミノプロピル)−N′−(4−アジド−
2−ニトロフエニル)−N−メチル−1,3−プロパンジ
アミン300mg(約1ミリモル)を室温で撹拌しながら70
%ピリジン−水の混合溶媒5mlに溶解した。70%ピリジ
ン−水の混合溶媒5ml中の1−フルオロ−2,4ジニトロベ
ンゼン110mg(1ミリモル)の溶液を撹拌しながら少量
ずつ加えた。橙赤色析出物がすぐに生成し始め、この反
応混合物を室温で一晩撹拌した。次にこの混合物を回転
蒸発器で濃縮して油状物を得、これはCH2Cl220mlに溶解
し、1M NaOH20mlで洗い、Na2SO4を乾燥し、回転蒸発器
で再び濃縮して油状固体を得た。最後の微量の溶媒を油
ポンプを使つた排気によつて室温で除き、橙赤色粉末の
フオト−DNPを得た。収量は294mgであり、融点は90〜95
℃であつた。ジクロルエタンを用いたアルミナでのTLC
はこの生成物がRf0.6の単一スポツトであることを示
し、これらの条件下で出発アミンは開始点に残つた。
フオト−DNPギ酸塩の製造 フオト−DNP9mgは1Mギ酸200μで処理した。全部の固
体が溶解したとき、この橙赤色溶液を回転蒸発器で、次
に油ポンプを使つて蒸発させた。フオト−DNPギ酸塩の
残留物を水9mlに溶解して−15℃で保存した。水中のλm
ax=261および358nm。
フオト−DNPとフアージM13DNAとのDNP−DNA反応 0.1mM EDTA中の一本鎖M13 DNA1μg/mlおよびフオト−D
NP0.5μg/mlをガラス毛細管に密封し、これに0℃で15
分間可視光線を照射した。この溶液を最終濃度が0.1M N
a2CO3または0.1M NaOHとなるように希釈し、等容量の酢
酸エチルで3回抽出した。水相は5M緩衝液を用いて1M酢
酸Na(pH5.2)となし、2.5容量の冷エタノールを添加し
かつ−20℃で2時間冷蔵することによりDNAを沈殿させ
た。DNP−DNAの赤色沈殿物は遠心分離により得た。対照
実験は未反応の光分解したフオト−DNPがこの精製法に
よつて除かれたことを示した。
抗DNP抗体(ポリクローナル)の製造 これらは標準方法によつてつくられた。DNP基をウシ血
清アルブミンへ1−フルオル−2,4−ジニトロベンゼン
を経てカツプリングさせ、このDNP−蛋白質をウサギに
注射した。集めた血清は30%飽和硫酸アンモニウムを用
いて分画化し、脱塩後の沈殿物を抗体源として使用し
た。
フオトビオチン酢酸塩での核酸の標識化 非常に弱い光線のもとで、水1〜25μ中のフオトビオ
チン酢酸塩1μg/μの溶液を水または中性0.1mM EDTA
中の核酸1μg/μの溶液等容量に加えた。この溶液を
シリコン処理したガラス毛細管(Brandミクロピペツ
ト、5〜50μ)内に密封し、サンランプ(Philips Ul
tnaphil MLU300W)から10cm下の氷−水浴中で冷却し、1
5分間照射した(第3図参照)。2μgまたはそれ以上
のフオトビオチン酢酸塩を使用した場合には、窒素の気
泡が発生した。その後この溶液を0.1Mトリス−HCl(pH
9)50μに加え、水を加えて容量を100μに増し、こ
の溶液は2−ブタノール100μずつで2回抽出して濃
縮した。水相の容量は水を加えて35μに増し、次に1M
酢酸ナトリウム15μおよび冷エタノール125μを加
え、固体CO2中で15分間冷却することによつてビオチン
標識核酸を沈殿させた。遠心分離(Eppendorfミクロ遠
心分離器、4℃、15分)にかけて、肉眼で見たとき赤色
のペレツトを得た。このペレツトは70容量/容量%冷エ
タノールで洗い、真空乾燥し、0.1mM EDTAに溶解した。
光分解に適することが見出された他のランプはPhilips
HPL−N 400WおよびOsram MB/U 400Wであつた。
ドツト−ブロツト(Dot-Blot)ハイブリダイゼーシヨン ニトロセルロース1cm2当たり溶液約0.1mlを含むヒート
シール可能なポリテンバツクが全てのインキユベーシヨ
ン工程のために使われた。ニトロセルロースフイルター
(Sartorius,孔寸法0.45μm)を水にひたし、続いて20
×SSC(SSC:0.15M NaCl,0.015Mクエン酸ナトリウム)に
ひたした。乾いたフイルターに0.1mM EDTA1〜2μ中
の核酸を点在させ、乾燥し、真空下に80℃で2時間ベー
キングした。その後フイルターはプレハイブリダイゼー
シヨン用緩衝液(50容量/容量%の脱イオンホルムアミ
ド、5×SSC,50mM燐酸ナトリウムpH6.5 0.25mg/mlの超
音波処理して変性したサケ精子DNA,0.2%SDS,5mM EDTA
および0.2mg/mlずつウシ血清アルブミン、フイコール40
0およびポリビニルピロリドンMr40000)中で少なくとも
4時間42℃においてプレハイブリツド化させた。ハイブ
リダイゼーシヨンはプレハイブリダイゼーシヨン用緩衝
液4容量、0.5g/mlナトリウムデキストランサルフエー
ト1容量および20ng/mlビオチン標識M13 DNAプローブ
を含む緩衝液中55℃で20時間振とう水浴を用いて実施し
た。その後フイルターはたびたび撹拌しながら2×SSC,
0.1%SDS(3×15分、室温)および0.1×SSC,0.1%SDS
(3×30分、55℃)で洗つた。
比色定量による検出 1.Sigma社製アビジン−アルカリ性ホスフアターゼ 乾いたフイルターはウシ血清アルブミン30mg/mlを含むS
TMT緩衝液(1M NaCl,0.1M トリス−HCl pH7.5,2mM
MgCl2,0.05容量/容量%トライトンX−100)中42℃で3
0分インキユベートした。乾かした後、このフイルター
はSigma社製アビジン−アルカリ性ホスフアターゼ1μg
/mlを含むSTMT緩衝液中室温で10分インキユベートし、
その後たびたび撹拌しながらSTMT緩衝液(3×10分)お
よびSTM緩衝液(1M NaCl,0.1Mトリス−HCl pH9.5,5mM
MgCl2;2×5分)で洗つた。赤色のために、フイルタ
ーは基質溶液(0.33mg/mlニトロブルーテトラゾリウ
ム、0.17mg/ml5−ブロム−4−クロル−3−インドリル
ホスフエートおよび0.33容量/容量%N,N−ジメチルホ
ルムアミドを含むSTM緩衝液、但しNaClは0.1Mのみを含
む)と共に暗所において室温でインキユベートした。こ
の反応はフイルターを10mMトリス−HCl pH7.5,1mM ED
TAで洗うことにより停止させた。
2.BRL製キツト ストレプトアビジン、ウシ腸アルカリ性ホスフアターゼ
のビオチニル化重合物、5−ブロム−4−クロル−3−
インドリルホスフエートおよびニトロブル−テトラゾリ
ウムか本質的に製造者の使用説明書に従つて用いられ
た。但し検出法の工程1〜10における緩衝液1〜3中の
0.1M NaClの代りに1M NaClが使われた。
3.Enzo Biochem製キツト ストレプトアビジン−ビオチニル化酸性ホスフアターゼ
複合体、ナフトールAS-MXホスフエートおよびフアスト
バイオレツトBベースが本質的に製造者の使用説明書に
従つて用いられた。
ニトロセルロースフイルターへ結合したDNP−DNAの検出 フアージM13一本鎖DNP−DNAおよびDNP−ウシ血清アルブ
ミンをニトロセルロースフイルター上へ点在させ、この
フイルターを真空下に80℃で1時間ベーキングした。DN
P基を含まない対照のDNAおよび蛋白質も点在させた。緩
衝塩溶液中の3%BSAを用いて42℃で20分平衡化した
後、このフイルターは燐酸緩衝食塩水(PBS)−0.05%
ツイーン20で2回洗い、その後適当に希釈した抗DNP抗
血清とともに室温で1時間インキユベートした。このフ
イルターはPBS−0.05%ツイーン20で20分ずつ2回洗
い、次に西洋ワサビ(horse radish)ペルオキシダーゼ
に結合したヤギ−抗ウサギ抗体の市販品と共にインキユ
ベートした。室温で30分後、フイルターは再びPBS−0.0
5%ツイーン20で2回洗い、トリス−HCl(pH7.5)中の
0.5mg/mlジアミノベンジジン、0.04%CoCl2,0.1%H2O2
の基質混合物を加えた。陽性の発色反応が10分でおこ
り、フイルター上に点在させたDNP−DNAおよびDNP−蛋
白質のみが発色した。こうして、DNP−蛋白質に対して
つくられたDNP−抗体はフオト−DNPを用いてつくられた
DNP−DNAとも反応する。
以下の記述は第3図〜第6図について説明する。
第3図 光分解前および光分解後のフオトビオチン酢酸
塩の吸収スペクトル。フオトビオチン酢酸塩の水溶液
(0.5μg/μ,20μ)は光分解前(実線)および光分
解後(破線)のスペクトル分析のために水を用いて1.2m
lの容量に希釈した。
第4図 ニトロセルロースへ結合したビオチン標識DNA
の3種の市販酵素複合体を用いた比色定量検出。(A)
検出感度を決定するためのスポツト当たりのDNA量の変
化。一本鎖M13DNAはフオトビオチン酢酸塩で標識し、ニ
トロセルロース上へ点在させ、ベーキングして検出し
た。ConはM13DNA 128pgの対照である。検出系および反
応時間は次の通りであつた。レーン1:Enzo Biochem製ス
トレプトアビジン−ビオチニル化酸性ホスフアターゼ、
一晩;レーン2:BRL製ストレプトアビジンおよびビオチ
ニル化アルカリ性ホスフアターゼ重合物、5時間;レー
ン3:Sigma社製アビジン−アルカリ性ホスフアターゼ、
5時間。(B)検出の相対感度に対するDNAのビオチン
標識化の程度の影響。M13DNAは所定最終濃度のフオトビ
オチン酢酸塩で標識した。各DNAのサンプル(20pg)は
ニトロセルロース上へ点在させてベーキングし(A)の
如く検出した。ただしレーン2での反応時間は一晩であ
つた。
第5図 ニトロセルロースへ結合した標的核酸へハイブ
リダイズした後のビオチン標識DNAプローブの3種の市
販酵素複合体を用いた比色定量検出。(A)検出感度を
決定するためのスポツト当たりのクローン化ASBV DNA量
の変化。所定量の標的DNA挿入物を含むASBVの一本鎖M13
DNAプラスクローンのサンプルをニトロセルロース上へ
点在させてベーキングした。ConはM13DNA1ngの対照であ
る。プローブは所定最終濃度のフオトビオチン酢酸塩で
ASBVのM13マイナスクローンを標識することによりつく
つた。プレハイブリダイゼーシヨン、ハイブリダイゼー
シヨンおよび検出は上述の通りであつた。検出系および
反応時間は次の通りであつた。レーン1:Enzo Biochem製
酵素複合体、一晩;レーン2:BRL製酵素複合体、5時
間;レーン3〜6:Sigma社製酵素複合体、5時間。
(B)検出感度を決定するためのスポツト当たりのASBV
RNA量の変化。精製ASBVのサンプル(所定量)はニトロ
セルロース上へ点在させてベーキングした。Conは酵母
菌の低分子量RNA512pgの対照である。検出は(A)のレ
ーン1〜3と同じであつた。
第6図 感染したアボカド葉の部分精製核酸抽出物中の
プラスASBV配列のNorthernハイブリダイゼーシヨン分
析。抽出物(レーン1,5μg)はグリオキサル化し、1.9
%アガロースゲルによる電気泳動にかけ、ニトロセルロ
ースへ移した。ハイブリダイゼーシヨンのためにASBVの
ビオチン標識M13DNAマイナスクローンを使用し、また比
色定量による検出(2時間反応)のためにSigma社製酵
素複合体を使用した。顕著なバンドおよびマーカー色素
の位置は標識される。
フオトビオチン酢酸塩での核酸の標識化 通常、核酸は光分解の間の紫外線による損傷の可能性を
最小限に抑えるためにガラス毛細管内に密封した。フオ
トビオチンでの核酸の標識度を測定するために、14C−
フオトビオチン酢酸塩をMaterials and Methodsに記載
の調製方法の微小規模での変法によりd−(カルボニル
14C)ビオチン(58mCi/ミリモル;Amersham)から合成
した。14C−フオトビオチン酢酸塩0.5μg/μを0.05mM
EDTA 5μ中の一本鎖フアージM13 DNA0.5μg/μ
とともに光分解しかつこのビオチン標識DNAをMateria
ls and Methodsに記載の如く精製した場合、1000個の残
基当たり約7個のビオチンが結合した。14C−フオトビ
オチン酢酸塩をDNAとの混合以前に光分解する対照実験
は、この精製方法がDNAに結合せずに光分解された全て
のフオトビオチンを除去することを示した。アビジンに
容易に結合しやすいDNA上のビオチンの数は過剰のアビ
ジンをビオチン標識M13DNA(ビオ−M13DNA)に加え、ア
ビジン−ビオ−M13DNA複合体を過剰のアビジンからゲル
過(1M NaCl,50mM燐酸ナトリウムpH7で緩衝化したTS
DK3000SWカラムによるHPLC)により分離し、そしてビオ
−M13DNAおよびアビジン画分の215nmでの吸光度の変化
を測定することによつて決定した。M13DNA0.5μg/μ
を0.05mM EDTA中0.125,0.5および1μg/μの濃度の
フオトビオチン酢酸塩で標識した場合、1000個の残基当
たり約2.5,4.7および10個のアビジンが結合した。これ
らの概算値はカラムからの成分の不完全な回収のために
近似すると考えられた。ビオチン結合部位を4つ有する
各アビジンがただ1個のビオチンに結合しかつ全てのビ
オチンが結合されたと仮定すると、これらの概算値はDN
Aの1000個の残基当たりに結合したビオチンの数に相当
する。この結果はエタノール沈殿後の赤色ビオ−M13 D
NAペレツトの相対的な色の濃さと一致し、また14C−フ
オトビオチンで標識することにより得られた概算値と一
致した。フオトビオチン酢酸塩の2μg/μ(DNA残基
より1.2モル過剰)またはそれ以上の最終濃度はフオト
ビオチンのDNA塩の沈殿を引き起こすので、フオトビオ
チン酢酸塩および核酸は双方ともプローブの慣例的製造
に対して0.5μg/μの濃度で用いられた。
この標識方法は1〜25μgの一本鎖M13 DNAを使用した
が、更に大きな規模でのビオチン標識プローブの製造に
適している。15μgまたはそれ以上のDNAを標識した場
合、赤色ペレツトはエタノール沈殿後、明らかに肉眼で
見ることができた。二本鎖DNAおよび一本鎖RNAもまた赤
色核酸ペレツトの場合に示した方法と同じ方法およびニ
トロセルロースフイルター上での比色定量検出(下記参
照)により効果的に標識された。
フオトビオチンでの一本鎖環状M13 DNAの標識化は、電
気顕微鏡写真によるDNAの本来の形態に殆んど影響を及
ぼさなかつた。こうして、100%の環状分子を含むDNAは
70%の環状分子、25%の全長線状分子および5%の全長
より短い線状分子をもつビオチン標識生成物を与えた。
M13 DNAとビオチンとの共有結合はニトロセルロースへ
の固定化およびドツト−ブロツトハイブリダイゼーシヨ
ン実験で示したハイブリダイゼーシヨン反応のための普
通の条件に対して安定であつた。ビオ−M13 DNAのサン
プルはニトロセルロース上へ点在させ、真空下80℃で0.
5〜4時間ベーキングした。更に、他のサンプルは2時
間ベーキングした後にプレハイブリダイゼーシヨン用緩
衝液中55℃で4時間、続いてハイブリダイゼーシヨン用
緩衝液中65℃で20時間インキユベートした。これらのサ
ンプルは全てSigma社製アビジン−アルカリ性ホスフア
ターゼで同じ着色応答を与え(下記参照)、用いたどの
条件下でもDNA結合ビオチンの損失がなかつたことを示
した。ハイブリダイゼーシヨン実験(下記参照)は0.1m
M EDTA中のビオ−M13 DNAプローブの溶液が−15℃で
少なくとも5ケ月間安定であることを示した。
フアージM13一本鎖DNAに結合したビオチンの安定性 標準方法によりつくられたビオチン標識M13 DNAは10mM
トリス−HCl,0.1mM EDTA(pH8)中100℃で60分まで
の種々の時間の間加熱するか、或いは0.5N NaOH中25℃
で30分までの種々の時間インキユベートした。サンプル
を0.1M酢酸ナトリウムで希釈し、種々のDNA濃度のサン
プル3μのニトロセルロース上へ点在させた。真空下
80℃でベーキングしてDNAを固定した後Sigma社製アビジ
ン−アルカリ性ホスフアターゼを使つてフオトビオチン
標識DNAの比色定量による検出を実施した。スポツト当
たり5pg以上のサンプル中のDNAを検出する能力に差は全
くなかつた。それ故、DNAへのビオチン結合は用いた条
件下で安定であつた。
ニトロセルロースへ点在させたフオトビオチン標識核酸
の比色定量による検出 ニトロセルロースフイルターへビオ−M13 DNAを点在さ
せてベーキングし、その後プレハイブリダイゼーシヨン
およびハイブリダイゼーシヨンを経ることなくMaterial
s and Methodsに記載の3種の比色定量検出法を行つ
た。Sigma社製アビジン−アルカリ性ホスフアターゼ複
合体;BRL製ストレプトアビジン、アビジン様蛋白質、お
よびビオチニル化アルカリ性ホスフアターゼ重合物;な
らびにEnzo Biochem製ストレプトアビジン−ビオチニル
化酸性ホスフアターゼ複合体は全て約4pg(2×10-18
ル)のビオ−M13 DNAのより低い検出感度を与えた。ア
ルカリ性ホスフアターゼ複合体は酸性ホスフアターゼ複
合体(一晩)よりも速く(5時間)最大感度に達した。
第4A図のレーン3の予期せぬ結果は、アビジン1モル当
たりアルカリ性ホスフアターゼ2.1モルを含みかつデオ
キシリボヌクレアーゼ活性(結果は示されない)を有す
るSigma社製複合体がBRL性重合製酵素複合体(第4A図、
レーン2)と同じ感度であるということであつた。しか
しながら、3種の酵素複合体によるビオ−M13 DNAの相
対的検出感度はビオチンでのM13 DNAの標識化の程度に
関係していた(第4B図)。Enzo Biochem製およびSigma
社製の複合体(第4B図、レーン1およびレーン3)にと
つて、色の濃さはビオ−M13 DNAをつくるのに用いられ
たフオトビオチン酢酸塩の濃度に大よそ比例し、それ故
ビオチンでのDNAの標識化の程度に比例していた(上記
参照)。こうして、これらの2種の複合体を使用する場
合、ドツト−ブロツト法はフオトビオチンでの核酸の標
識度を相対的に見積るのに有用であるだろう。対照的
に、BRL製重合性酵素複合体を使用した場合には、DNAの
ビオチン標識度にともなう色の濃さの変化が殆んど見ら
れなかつた(第4B図、レーン2)。こうして、この酵素
複合体はビオチン標識化の程度が低いDNAの検出に対し
て最高の感度をもつと思われる。
アビジンは非常に塩基性の蛋白質であるので、静電的に
核酸に引き寄せられる。それ故、イオンの相互作用を解
離することにより非特異性の基底色(background colou
r)を減ずるために比色定量用緩衝液中には1M NaClが
必要とされた。Enzo BiochemおよびBRLからのキツトは
アビジンの代りにビオチン結合蛋白質のストレプトアビ
ジンを使用しており、このことはストレプトアビジンが
酸性の等電点をもつために静電的に核酸に引き寄せられ
ないからである。
Enzo Biochem製ストレプトアビジン−セイヨウワサビペ
ルオキシダーゼ複合体(Detek 1−hrp.#EBP−820)
は、本質的に製造者の使用説明書に従つて過酸化水素お
よびジアミノベンジジン基質を用いたとき、30pgのビオ
−M13 DNAのより低い検出限度を有していた(結果は示
されない)。Sigma社製アビジン−ペルオキシダーゼ複
合体(#A3151)は、同じ条件下で用いたとき、更に低
い感度であつたが検出限度は測定されなかつた。これら
の結果はLearyらのものと合わせてアルカリ性ホスフア
ターゼ複合体が西洋ワサビペルオキシダーゼ複合体より
感度がよいということを示している。
固定した核酸へハイブリツド化した後のフオトビオチン
標識核酸プローブの比色定量による検出 ニトロセルロースフイルターへASBVのM13 DNAプラスク
ローンを点在させ、ベーキングし、プレハイブリツド化
させ、次にASBVのビオ−M13 DNAマイナスクローンとハ
イブリダイズさせた。3種の比色定量検出法は全て標的
ASBV配列約0.5pg(6×18-18モル)の同様により低い検
出感度を与えた(第5A図、レーン1〜3)。アルカリ性
ホスフアターゼ複合体(レーン2および3)は酸性ホス
フアターゼ複合体(レーン1、一晩)よりも速く(5時
間)最大感度に達した。
0.125〜1μg/μの濃度のフオトビオチン酢酸塩で標
識したビオ−M13DNAプローブは、Sigma社製アビジン−
アルカリ性ホスフアターゼでもつて同様により低い検出
レベルを与えた(第5A図、レーン3〜6)。この結果は
ニトロセルロースへ直接点在させたビオ−M13 DNAサン
プルの検出に対して得られた結果(第4B図、レーン3)
からすると予期されないことであり、ビオチンでの標識
度がより高いプローブを用いても感度の増加は得られな
いだろうということを示唆している。
ビオ−M13 DNAマイナスプローブはまたニトロルセルロ
ース上へ点在させたASBVのRNAサンプルにもハイブリダ
イズした(第5B図)。約4pgのASBVのより低い検出感度
32Pで標識した一本鎖M13 DNAプローブを用いて得た
感度に等しい。アボカドのASBVの診断にビオ−M13 DNA
プローブを用いる予備的試みは今までのところ成功して
いない。種々の正常なアボカド葉の部分精製核酸抽出物
を調製してBarkerら(1985)の方法でニトロセルロース
へ点在させた場合、いくつかのサンプルはハイブリダイ
ゼーシヨン中にビオ−M13 DNAプローブと結合して偽陽
性へと導いた。このプローブは精製したココナツト・カ
ダング・カダング・バイロイド(100ngRNA/スポツ
ト)、タバコモザイクウイルスRNA(5μg/スポツ
ト)、ヒヨコ胚ポリ(A)+RNA(2.5μg/スポツト)ま
たはせん断したサケ精子DNAに結合しなかつたので(結
果は示されない)、偽陽性は部分精製抽出物中の非核酸
物質へのプローブの結合によると推定された。
ビオ−M13 DNAプローブはNorthernハイブリダイゼーシ
ヨン分析による特異的なRNA配列の検出に上首尾で用い
られた(第6図)。ASBVに感染したアボカド葉の部分精
製核酸抽出物はグリオキサル化し、アガロースゲルの電
気泳動にかけ、ニトロセルロースへ移し、ASBVのビオ−
M13 DNAマイナスクローンを使つて試験した。Sigma社
製酵素複合体での比色定量検出はモノマー性の247個の
残基からなるASBVのほかにオリゴマー形(ダイマーから
ペンタマーまで)のパターンと、2つの小さなバンドの
標識されたX2およびX3を示した。検出パターンおよび検
出感度は32Pで標識した一本鎖DNAプローブを用いて得た
ものに等しかつた。
基底色の程度はハイブリダイゼーシヨン混合物中の用い
られたビオ−M13 DNAプローブの濃度に依存していた。
100〜1000ng/mlのプローブ濃度は許容し得ない基底色を
示したが、プローブ濃度を20ng/mlに低下させることに
よつて有意に差のない基底色が得られた。これらの基底
色はビオチンで標識した二本鎖DNAおよび一本鎖RNAプロ
ーブが有意な基底色なしに100ng/mlの濃度で用いられた
のでM13 DNAの性質でありうる。
フオトビオチン酢酸塩での蛋白質の標識化 アリールニトレンは蛋白質の基を含む広範囲の官能基と
反応することができるので、フオトビオチンはビオチン
での蛋白質の迅速な標識化のための有力な新しい試薬で
あると考えられた。5mM NaCl,0.05mM ZnCl2 50μ中の
フオトビオチン酢酸塩10μg/μおよびウシ腸アルカリ
性ホスフアターゼ(全蛋白質の85〜90%)とウシ血清ア
ルブミン(Sigma,#PO655)1μg/μの混合物の溶液
をガラス毛細管の中に密封し、核酸のところで述べた如
く30分照射した。2−ブタノール50μ,続いて0.1Mト
リス−HCl(pH9)100μを加え、水相は2−ブタノー
ルで3回抽出した。先に述べたものと同様のゲル過検
定は、アルカリ性ホスフアターゼ(Mr100000)1分子当
たりアジビンに容易に結合するビオチンが約5個存在す
ることを示した。酵素活性はこの処理により本質的に変
わらなかつた。トリス−クエン酸緩衝塩は光生成したア
リールニトレンのスキヤベンジヤーとして作用すると思
われたので、光分解に先だつて透析により市販の酵素か
らこれらを除く必要があつた。
安定な非放射性ハイブリダイゼーシヨンプローブの製造
に関してここで述べた方法は、従来技術の標識方法の欠
点の少なくともある面を克服する。この方法は、迅速
で、確実でしかも安全であり、そして一本鎖または二本
鎖DNAまたはRNAのビオチンでの小規模もしくは大規模の
安価な標識化を可能にする。標識された核酸は結合しな
かつた試薬から簡単に精製され、そして標識化はフオト
ビオチン標識核酸が赤色であるので肉眼で監視すること
ができる。一本鎖DNAはこの標識方法によつて減成され
ずまた架橋されない。100〜400個の残基当たり1個のビ
オチンという程度の核酸の推挙された標識度は、プロー
ブによる相補的配列の認識を妨害しないと思われる。ビ
オチン標識DNAプローブは標準的なハイブリダイゼーシ
ヨン条件下に安定であり、少なくとも5ケ月間にわたつ
てハイブリダイゼーシヨン反応で再現性のある結果をも
たらす。
100〜400個の残基当たり1個のビオチンで標識された一
本鎖M13 DNAプローブは、Sigma社、BRLまたはEnzo Bio
chemから入手したアルカリ性または酸性ホスフアターゼ
を使つて、ニトロセルロース上でのドツト−ブロツトハ
イブリダイゼーシヨン反応において0.5pg(6×10-18
ル)という少量の標的DNAを検出した(第5A図)。ドツ
ト−ブロツト法(第5B図)およびNorthernブロツト法
(第6図)での標的RNAの検出は放射性同位元素を用い
た方法と感度が同じであつた。Learyらの結果とは相違
して、単純なアビジン−アルカリ性ホスフアターゼ複合
体は重合性酵素複合体と同程度の感度であることが見出
された。
フオトビオチン標識プローブは植物や動物の病気の日常
的な診断、現場でのハイブリダイゼーシヨン、ハイブリ
ツド選択による混合物からの特異な核酸の純化、および
特異な核酸結合蛋白質の純化に応用できる。この標識方
法は大量のプローブを必要とするハイブリツド選択反応
に特に適している。
フオトビオチン酢酸塩もまた蛋白質の標識試薬として使
用できる。これは水性有機溶媒中で使用される蛋白質の
ビオチン標識用の他の試薬の代りとなる。更に、3H−ま
たは14C−フオトビオチンはビオチン結合蛋白質のフオ
トアフイニテイ−ラベリングに使用しうる。
【図面の簡単な説明】
第1図はフオトビオチンの合成経路を示す。 第2図はハイブリダイズしたプローブのハイブリツド構
造の模式図を示す。 第3図は光分解前および光分解後のフオトビオチン酢酸
塩の吸収スペクトルを示す。 第4図はニトロセルロースに固定したビオチン標識DNA
の3種の市販酵素複合体を用いた比色定量による検出結
果を示す。 第5図はニトロセルロースに固定した標的核酸へハイブ
リダイズした後のビオチン標識DNAプローブの3種の市
販酵素複合体を用いた比色定量による検出結果を示す。 第6図は感染したアボカド葉の部分精製核酸抽出物中の
プラスASBV配列のNorthernハイブリダイゼーシヨン分析
結果を示す。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式I: (式中、Bは−NH−基; Cは−(CH23N(CH3)(CH23NH−基; Dはビオチニル基または2,4−ジニトロフェニル基; R1,R2およびR4は水素原子;R3はニトロ基である) で表わされる化合物またはその酸付加塩。
  2. 【請求項2】次式の化合物: から選択される特許請求の範囲第1項記載の化合物。
  3. 【請求項3】特許請求の範囲第1項記載の化合物の酢酸
    塩またはギ酸塩。
  4. 【請求項4】式VII: (式中、B,CおよびR1〜R4は下記定義通りの意味を有す
    る) で表わされる化合物を式VIII: (式中、D′は下記定義のとおりである) で表わされる化合物と反応させることからなる式I′: (式中、Bは−NH−基; Cは−(CH23N(CH3)(CH23NH−基; D′はビオチニル基; R1,R2およびR4は水素原子;R3はニトロ基である) で表わされる化合物またはその酸付加塩の製造方法。
  5. 【請求項5】式VII: (式中、B,CおよびR1〜R4は下記定義通りの意味を有す
    る) で表わされる化合物を式XIII: (式中:Xはフルオルである) で表わされる化合物と反応させることからなる次式: (式中、Bは−NH−基; Cは−(CH23N(CH3)(CH23NH−基; R1,R2およびR4は水素原子;R3はニトロ基である) で表わされる化合物またはその酸付加塩の製造方法。
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