JPH067604A - 無機物質の結晶化のための装置と方法及び一水化炭酸ナトリウムの結晶化のための方法及び装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、特に、無機物質の結晶化のために設
計された装置を提供することを目的とする。 【構成】過飽和溶液の脱過飽和によって、結晶スラリー
中の無機物質の結晶化のための装置であって、結晶室
（４，５）、結晶室の中のスラリーの循環（Ｘ）をもた
らすように設計された装置（９）からなる装置におい
て、結晶室は、スラリーの機械的剪断用の部材（１４）
を有し、 その部材（１４）は、周辺に剪断歯（１９）
のリングを設けたディスク（１７）を有することを特徴
とする装置。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、無機物質の結晶化に関
する。本発明は、特に、無機物質の結晶化のために設計
された装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】公知の結晶化装置は、結晶室と、結晶室
の中で、結晶化すべき材料で飽和された溶液中の結晶の
分散からなるスラリーの循環をつくるように設計された
装置を有する。これらの公知の装置の使用において、ス
ラリーは、過飽和─脱過飽和による溶液の結晶化状態に
あり、さらに、結晶室内の不変の循環を受ける。この種
類の結晶化装置は、無水炭酸ナトリウムから始まる一水
化炭酸ナトリウムの結晶化用に用いられる（ベルギー特
許Ａ−６６１０７１号（アリエド ケミカル コープ
（ALLIED CHEMICAL CORP) ）と欧州特許Ｂ−０７３０８
５号（ソルベ(SOLVAY)）。

【０００３】これらの公知の結晶装置の遭遇する困難性
は、作られる結晶の粒子サイズを調整する困難さであ
る。本発明は、作られる結晶の粒子サイズ性を、所望に
かつ正確な方法で調整できるようにする新規な概念の結
晶化装置を提供することによって、この困難性に打ち勝
つ。

【０００４】従って、本発明は、過飽和溶液の脱過飽和
によって、結晶スラリー中の無機物質の結晶化のための
装置に関し、その装置は、結晶室、結晶室の中のスラリ
ーの循環をもたらすように設計された装置からなり、本
発明によれば、結晶室は、スラリーの機械的剪断用の部
材を有し、その部材は、周辺に剪断歯のリングを設けた
ディスクを有する。

【０００５】本発明による装置では、結晶室はどんな適
当な形状でもよい。好ましくは垂直軸を有し、例えば円
筒形，円錐形，又は截頭円錐形の室である回転室を用い
るのが有利である。結晶スラリーという用語は、結晶化
すべき物質で過飽和された水溶液又は有機溶液の中での
無機材料の結晶の懸濁を示すものである。スラリーの結
晶を形成する無機材料は、結晶化すべき無機物質と等し
く、又は異なるように所望にできる。前記材料は、通
常、結晶化すべき無機物質に等しい。

【０００６】結晶室の中のスラリーの循環をもたらす装
置は、限定ではなく、例えば、１又はそれ以上のヘリッ
クス，タービン，或いは、１又はそれ以上の流体放出部
を有してもよい。ヘリックス又はヘリックス組立体の使
用が好ましい。本発明による装置に用いられるヘリック
スの例は、特に、カーク─オスマー(Kirk-Othmer) ３
版，Vol.１５ １９８１年の６０７頁〜６１１に説明さ
れる。

【０００７】スラリーの機械的剪断のための部材は、ス
ラリーの２つの接触部を剪断面に沿って互いについて移
動させる剪断応力に、スラリーをさらす装置である。本
発明によれば、剪断部材は、周辺に剪断歯のリングを設
けたディスクを有する。本発明による装置では、ディス
クの剪断歯のリングは、ディスクの回転作用の下で、ス
ラリーの剪断応力を生じさせる機能に役立つ。剪断歯
は、剪断機能に応じるどんな形状を有してもよい。それ
らは、（ディスクの軸線に対して）全半径方向の移動又
は軸線方向の移動を引き起こすのを回避するような方法
で形成されるのが好ましい。このために、実施例によれ
ば、剪断歯はディスクのいずれかの側に対称的に配置さ
れ、かつ、ディスク平面に対し右の角度で尖っているの
が有利である。剪断歯は、例えば、のこぎり歯と同様な
形状を有し、ディスクの周辺ゾーンの適当な切断及び曲
げによって作られる。

【０００８】他のすべての事項が等しいと，剪断応力の
大きさは、循環装置と剪断ディスクの相対的な位置に左
右される。本発明による装置の実施例によれば、装置の
普通の作動の間、結晶室の中の結晶スラリーの循環速度
が、ディスクに接する成分を示すような方法で結晶室の
中にディスクを配置するのが好ましい。ディスクの位置
決めで、接線成分がディスクに垂直な速度成分に少なく
とも等しく、好ましくは大きくなるようにするのが好ま
しく、２倍の垂直成分に少なくとも等しい接線成分が推
奨される。

【０００９】変形例として、剪断部材は、同様な回転軸
又は異なる回転軸に取りつけられた上述したような２又
はそれ以上の剪断ディスクを有してもよい。本発明によ
る装置の通常の作動の間、反応室は、上で定義したよう
な結晶スラリーを含み、スラリー全体は、ディスクと接
触して、結晶室内の不変な循環を受ける。ディスクの回
転の影響の下、剪断歯のリングは、スラリーを局部的な
剪断応力にさらし、剪断応力の大きさは、ディスクの回
転速度を変えることによって所望に調整できる。剪断応
力は、過飽和溶液の局部的な脱過飽和をもたらし、それ
によって、小さなサイズの非常に多数のシード（seed)
の自然形成に至る。剪断作用の下、作られたシードの数
の大きさは、剪断応力の強さに左右され、結晶室の中に
作られる結晶の平均直径を決める。さらに、スラリーに
加わる剪断応力の強さは、結晶室内のスラリーの循環速
度、ディスクの剪断歯の数、剪断歯の形状と寸法、ディ
スクの回転速度に左右される。

【００１０】さらに、剪断応力は、スラリーの結晶の分
解を引き起こす本発明による装置の好ましい実施例で
は、結晶室は、垂直円筒形の囲いによって構成され、囲
いの中に軸線方向に配置された円筒形のチムニーによっ
て、中央ゾーンと環状ゾーンに分割され、上側単部と下
側単部で開口し、装置のこの実施例では、循環装置は、
結晶室のスラリーの循環は、中央ゾーンの垂直並進と環
状ゾーンの反対方向の垂直並進からなる。装置のこの実
施例では、中央ゾーンの下降並進と環状ゾーンの上昇並
進からなることが好ましい。この種の装置は、特に、欧
州特許第Ｂ−０７３０８５号（ソルベ（SOLVAY))に説明
されている。本発明による装置の好ましい実施例では、
スラリーの循環用装置は、中央ゾーン、好ましくは中央
ゾーンの下側部分に配置された軸線方向の流れのヘリッ
クスを有し、剪断ディスクは、チムニーの下に配置さ
れ、ヘリックスの回転軸線に配置され、又は、軸線に垂
直に配置された回転軸線を有する。本発明のこの変形例
では、中央ゾーンの下側部分は、チムニーの高さの下側
半分、好ましくはチムニーの高さの下側３分の１に延び
るこのゾーンの部分である。

【００１１】本発明による装置の実施例では、結晶凝集
が、悪い時に制御されない方法で形成し、かつ結晶室の
底部に沈む傾向がある。これらの凝集は、スラリーを回
収するときに困難さを伴う。説明した実施例の特別な形
態では、スラリーを回収する装置は、上述したゾーンの
一つに開口する管を有する。

【００１２】本発明のこの形態では、結晶室の管の配置
は限定されず、一方側で中央ゾーン又は環状ゾーンに開
口し、管の他方側が結晶室の外側にあるように提供され
る。管が開口する中央ゾーン又は環状ゾーンの領域は、
前記ゾーンの中間部分に置かれるのが好ましい。中央ゾ
ーン又は環状ゾーンの中間部分によって、その部分がチ
ムニーの高さの下側３分の１及び上側３分の１の間に置
かれると理解すべきである。管は、後記する中間部分の
上側半分に開口するのが有利である。

【００１３】本発明による装置の上で述べた実施例の好
ましい変形例では、管の開口するゾーンは中間ゾーンで
ある。本発明のこの変形例では、チムニーの中間付近で
開口する管を有するのが有利である。このために、管
は、結晶室の環状ゾーンに延び、チムニーを貫通でき
る。本発明のこの実施例では、管は、環状ゾーンの垂直
位置を占め、結晶室の底部又は底部の近くの囲いを貫通
することによって、環状ゾーンから出る。

【００１４】本発明による装置は、結晶化されるべき物
質の過飽和溶液中の脱過飽和によって、材料が結晶スラ
リーの中で結晶化するすべての結晶化工程に適する。従
って、本発明は又、結晶化されるべき物質の過飽和され
た溶液中の結晶スラリーを用いることにより、スラリー
は、本発明により、結晶化装置の中で循環を受け、無機
物質は溶液の脱過飽和によって結晶化され、少なくとも
スラリーの分別物は、装置から回収される。

【００１５】本発明による方法では、結晶機構は、過飽
和溶液の脱過飽和の結果である。脱過飽和は、例えば、
化学反応，冷却，加熱又は蒸発によって得ることができ
る。本発明による方法は、無水炭酸ナトリウム( から始
まる一水化炭酸ナトリウムの結晶化に価値ある用途を見
出す。本発明のこの用途の実施例では、一水化炭酸ナト
リウムの過飽和された水溶液中の一水化炭酸ナトリウム
の結晶からなるスラリーを用い、一水化炭酸ナトリウム
溶液が、無水炭酸ナトリウムを導入することによって過
飽和される。

【００１６】本発明による方法のこの実施例では、無水
炭酸ナトリウムから始まることは、限定ではない。変形
例として、軽無水炭酸ナトリウム結晶は、アンモニア法
によって得られる重炭酸ナトリウムのか焼(calcinatio
n) から生じる軽炭酸ナトリウム結晶が用いられる。一
水化炭酸ナトリウム結晶のスラリーは、種々の方法で得
ることができる。例えば、その方法外の源から始まり、
又は、水性炭酸ナトリウム溶液の部分的な蒸発によって
得ることができる。一般的には、一水化炭酸ナトリウム
の結晶の重量で２０％乃至６０％，好ましくは３０乃至
５５％になるように、一水化炭酸ナトリウムのスラリー
の濃度を調節するのが有利である。

【００１７】スラリーの温度は、工程の実施している
間、一水化炭酸ナトリウムを無水炭酸ナトリウムに転移
する温度よりもわずかな下の程度に維持する。最適な温
度は、種々の要因、特に、スラリーの濃度と一水化炭酸
ナトリウムの粒子サイズ，並びに用いられる無水炭酸ナ
トリウムの粒子サイズと形態に左右される。特定な場合
では、日常実験室での作業によって決められる。一般的
には、温度は、上述の転移温度から離れて、２℃乃至２
５℃の間、好ましくは１５℃より以下であるように選択
され、最適な結果は、前記温度からはなれた３℃乃至１
０℃の時に得られる。

【００１８】無水炭酸ナトリウムは、周囲温度でもよ
い。しかし本発明による方法の有利な実施例によれば、
好ましくは結晶スラリーの温度に少なくとも等しい温度
で、熱無水炭酸ナトリウムを用いるのが好ましい。結晶
室では、結晶スラリーは、前記結晶室に導入された無水
炭酸ナトリウムの取り入れを容易にし、かつ促進するよ
うに内部の循環を受ける。

【００１９】本発明による方法の実施例では、無水炭酸
ナトリウムは、スラリーの水溶液に溶け、かくして、一
水化炭酸ナトリウムについてそれを過飽和し、一水化炭
酸ナトリウムは、溶液の脱過飽和によって結晶化する。
本発明による方法のこの実施例は、ベルギー特許Ａ−６
６１０７１号に説明される形式の装置で実施されるのか
有利である。このために、結晶室は、側壁、基部、カバ
ーを有し、一水化炭酸ナトリウム結晶のスラリーを結晶
室の中で循環させ、無水炭酸ナトリウムはカバーを貫通
する管によって前記室に粉末の形態で導入される。

【００２０】本発明による方法の実施例では、結晶室
は、どんな適当な形状でもよい。好ましくは垂直軸線を
備えた回転室を用いるのが有利である。適当な場合、例
えば、側部が円筒形又は、截頭円錐形の形状を有し、底
部が円錐，截頭円錐又は半球の形状に有することがで
き、ガバーは、平面，円錐，截頭円錐又は半球の形状を
有することができる。無水炭酸ナトリウムの導入に用い
られる管は、カバーを、好ましくは軸線方向に貫通す
る。

【００２１】本発明による方法のこの実施例の有利な変
形例では、無水炭酸ナトリウムの導入用の管が、結晶室
の内側に延長部を有し、水膜を、管の前記延長部の壁の
外面上に循環させる（管の内側に置かれた面と逆に、管
の壁の外面，管の外側に置かれた前記壁の面）。水膜
は、管の延長部の上記面上で結晶室に存在する水蒸気を
凝結することによって得るのが有利である。このため、
管の上記延長部は、中空にでき、かつ、冷却液体，例え
ば冷却水を流す環状室を有することができる。本発明に
よる方法のこの変形例では、結晶室の内側の管の延長部
は、無水炭酸ナトリウムをスラリーに導入するのを最適
にする機能に役立つ。管の延長部の最適な長さは、結晶
室の形状（特に形態と寸法）及び使用条件（特に、結晶
室の通常の使用中、通常スラリーの達するレベル）に左
右される。実際には、管は、スラリーのレベルの上の結
晶室に開口し、前記レベル上の結晶室の高さに対する前
記延長部の割合は、例えば、０．１乃至０．９、好まし
くは０．２より大きく好ましくは０．３及び０．８以下
好ましくは０．７であるのが特に推奨される。管の延長
部の外面上に循環させる水は、炭酸ナトリウム粒子を溶
かすのに役立ち、その粒子は、管の前記外面に放出され
る。この方法では、前記壁に付着する凝集粒子の形成が
回避される。従って、水膜は、管の壁の前記面に放出さ
れる炭酸ナトリウム粒子を直ちに溶かすのに少なくとも
十分な量を用いなければならない。

【００２２】本発明特有の特徴及び詳細を添付図面を参
照して説明する。

【００２３】

【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。図面で
は、同一の参照番号は、同一の構成要素を示す。図１に
示す装置は、カーク─オスマー(Kirk-Othmer) 化学技術
百科事典３版，Vol.７ １９７９年の２６４頁〜２６５
頁及び図１３に説明された種類のものである。装置は、
垂直円筒形の囲い１と截頭円錐形の基部２によって構成
された結晶室を有する。垂直円筒形のチムニー(chimne
y）３が、結晶室の中に軸線方向に配置され、かくして
結晶室を中央ゾーン４と環状ゾーン５とに分割する。パ
イプライン６，７は結晶化を伴う材料の導入に役立つ。
垂直軸１０に取り付けられたヘリックス(helix) ９は中
央ゾーン４の下側３分の１に配置される。ヘリックス９
は、軸線方向の流れ形式であり、装置の使用中、結晶ス
ラリーを、中央ゾーン４の下降並進と環状ゾーン５の上
昇並進からなる循環にさらすのに役立つ。軸線方向の流
れ形式のヘリックスの例が、カーク─オスマー(Kirk-Ot
hmer) 化学技術百科事典、３版，Vol.１５ １９８１年
の６１１頁，図１５に示されている。囲い１は、熱移送
流体用の導入パイプライン１２と排出パイプライン１３
に連結されたジャケット１１によって取り囲まれてもよ
い。参照番号８によって全体的に示す装置は、結晶スラ
リーを、結晶室から断続的に又は連続的に回収するのに
役立つ。必要な場合、截頭円錐形の基部２を通り、通常
はバルブによって閉鎖される開口部（図示せず）が、結
晶室を空にするのに役立つ。

【００２４】本発明によれば、結晶室は、チムニー３の
下部に、装置の使用中、結晶スラリーの機械的な剪断を
行うように設計された部材１４を含む。剪断部材１４
は、結晶室の截頭円錐形の壁２を貫通する回転軸に取り
付けられたホイール(wheel)15を有する。図２及び図３
により詳細に示すホイール１５は、軸１６のスリーブと
して嵌めるようになっているリング１８に取り付けられ
た金属ディスク１７を有する。軸の周辺で、剪断歯１９
のリングを支持する。剪断歯はディスク１７の周辺ゾー
ンの適当な曲げと切断によってつくられ、ディスク１７
に右の角度で延びている前剪断縁２０を有する。さら
に、剪断歯１９は、ディスク１７のいずれかの側に交互
にかつ対称的に配置される。ディスク１７は、装置の通
常の使用中，矢印Ｙの方向に回転し、その結果、剪断歯
１９によって、結晶室の中の結晶スラリーを機械的に剪
断する。

【００２５】本発明によれば、結晶室の剪断ホイール１
５は、結晶スラリーの循環速度が、ディスク１７に接す
る成分からなるように位置決めされる。かくして、矢印
Ｙ方向のディスク回転の影響の下、スラリーは、ホイー
ル１５と接触して機械的剪断を受ける。図１〜図３に示
す装置では、剪断部材は、単一の剪断ホイール１５を有
する。変形例として、剪断部材は、軸１６に固定された
複数の同様な剪断ホイール１５を有してもよい。他の変
形例によれば、装置は、複数の剪断部材１４、すなわち
異なる回転軸１６に取り付けられた複数の剪断ホイール
１５を有し、部材は結晶室の截頭円錐形の基部２の周辺
に均一に配分される。

【００２６】本発明によれば、回収装置８は、結晶室の
環状ゾーン５の中に垂直に延び、結晶室の截頭円錐形の
基部を貫通する垂直管２３を有する。管２３の上側端部
２４は、右の角度で曲がり、チムニー３の約半分の高さ
で、チムニー３の中にこの目的のために作られたオリフ
ィス２５を横切って中央ゾーン４に開口する。管の端部
２４は、漏れ─締め方法でオリフィス２５に貫通され、
このオリフィル２５によっって央ゾーン４と環状ゾーン
５の間の連通を回避する。さらに、ゾーン４の中でオリ
フィス２５に面するそらせ板２６がチムニー３に固定さ
れる。ガス抜き管２７が囲い１と環状の囲い１１を貫通
し、管２３の上側端部２４に開口する。そのガス抜き管
は、結晶室の外側に置かれた図示しない真空ポンプに連
結される。管２３の下側端部は、結晶室の外側に置か
れ、機能を後述するポンプ２２に連結される。

【００２７】装置の作動中、スラリーの分別物(fractio
n)は、装置８によって回収される。このために、ポンプ
２２は管２３とその端部２４の中に圧力減少を生じさ
せ、オリフィス２５の付近のゾーン４に循環しているス
ラリーの分別物を管２３と端部２４に引き込む効果を有
する。そらせ板２６は、ゾーン４から管２３に通るスラ
リーに流路をつけ、オリフィス２５の入口での渦の形成
を回避するのに役立つ。かくして、管２３によって結晶
室から回収されたスラリー分別物の大きさは、ポンプ２
２によって生じる圧力減少を調整することによって、所
望に調整される。装置の作動中、パイプライン６の無水
炭酸ナトリウム、パイプライン７の水（水性炭酸ナトリ
ウム溶液）のそれぞれの処理量は、スラリーレベル２１
の変更を回避し、スラリー中の一水化炭酸ナトリウム結
晶(sodium carbonate monohydrate) crystals)の濃度を
実質的に一定に維持するような方法で調整される。

【００２８】オリフィス２５を介してスラリーを回収す
ることは、結晶凝集(agglomerate)によって前記オリフ
ィスが阻止されるようになるのを回避する有利な効果を
有する。要するに、ゾーン４，５のスラリーの循環に加
わるのではなく、結晶室の底部２に積もるのである。こ
れらは、装置を停止した後、結晶室を完全に空にするこ
とによって、予め取り除かれる。例えば、截頭円錐形の
基部２の中の開口部（図示せず）を通して、結晶室を空
にする。

【００２９】図１〜図３に示す装置は、無水炭酸ナトリ
ウムから一水化炭酸ナトリウムをつくるのに特に適す
る。装置のこの適用では、結晶室は、一水化炭酸ナトリ
ウム結晶の水性スラリーで実質的にレベル２１まで充填
され、その温度は、一水化炭酸ナトリウムを無水炭酸ナ
トリウムに転移する温度よりもわずかな下の程度に維持
する。無水炭酸ナトリウムは、パイプライン６を介して
結晶室に導入される。同時に、水（又は水性炭酸ナトリ
ウム溶液）がパイプライン７によって結晶室に導入され
る。スラリーの分別物は、装置８によって回収される。

【００３０】パイプライン６の無水炭酸ナトリウム，パ
イプライン７の水（又は水性炭酸ナトリウム溶液），回
収装置８の結晶スラリーのそれぞれの処理量は、スラリ
ーレベル２１の変更を回避し、かつスラリー中の一水化
炭酸ナトリウムを一定に維持するために調整される。ヘ
リックスの回転の作用の下、結晶スラリーは、矢印Ｘに
よって概略的に示した、中央ゾーン４の下降並進と環状
ゾーン５の上昇並進とからなる結晶室の中の不変の循環
にさらされる。結晶室の中のスラリーの循環の間、無水
炭酸ナトリウムは、一水化炭酸ナトリウムの形態で再結
晶化する。ホイール１５によって作られた機械的剪断
は、一水化炭酸ナトリウムの過飽和の水溶液の局部的な
脱過飽和をもたらし、結晶シード(crystallisation see
ds) の自然形成をもたらし、同時にスラリーの結晶分解
をもたらす。シードの形成と結晶の分解は、結晶シード
の数の増加をもたらし、その結果、回収装置８を介して
収集される結晶の粒子サイズを減少させる。結晶室の中
の結晶スラリーの循環速度の適当な調整と一緒に剪断ホ
イール１５の回転速度の適当な調整によって、装置８を
介して回収された一水化炭酸ナトリウム結晶の粒子サイ
ズ性を所望に調整できるようにする。

【００３１】本発明のこの適用の作動に関する特定な特
徴及び詳細は、欧州特許第Ｂ−０７３０８５号に見られ
る。図４及び図５に示す実施例は、無水炭酸ナトリウム
から始める一水化炭酸ナトリウムの結晶化に特に適合す
るものである。それは、図１の実施例と同様に、垂直に
構成される結晶室，円筒形の側壁１，截頭円錐形の基部
２，カバー３０，結晶室に軸線方向に配置され、かくし
て結晶室を中央ゾーン４，環状ゾーン５に分割する垂直
円筒形のチムニー３を有する。

【００３２】図４に示す装置は、特に、粉末形態の無水
炭酸ナトリウムを結晶室に導入するのに用いる装置に関
する。これらの装置は、全体的に参照番号６によって示
し、結晶室の軸線と整列してカバー３０を貫通するパイ
プラインを有する。本発明によれば、図５により明瞭に
示すパイプライン６は、カバー３０の下で結晶室の内側
に延びる管３１を有する。管３１は、カバー３０の頂部
と、結晶スラリーが装置の普通の使用中通常到達するレ
ベル２１との間の高さの上側３分の１におよそ延びる。
結晶室の中では、管３１の延長部は、管３１のまわりに
環状室３３を構成する囲い３２によって、取り囲まれ
る。室３３は、ノズル３４，３５を介して冷却水源に連
結されるようになっている。

【００３３】さらに、図４に示す装置は、結晶室から結
晶スラリーを回収する装置を有する。図示しないこの回
収装置は、図１を参照して上述した装置８と同様である
のが有利である。変形例として、図４に示す装置は、図
１の剪断部材１４のようなスラリーを機械的に剪断する
部材を有してもよい。図４及び図５の装置の使用中、結
晶室は、一水化炭酸ナトリウム結晶の水性スラリーでレ
ベル２１まで実質的に充填され、その温度は、一水化炭
酸ナトリウムを無水炭酸ナトリウムに転移する温度より
もわずかな下の程度に維持し、そのため結晶室の上側空
間は、実質的な量の水蒸気を含む。次の手順は図１乃至
図３を参照して上述したように、無水炭酸ナトリウム
が、パイプライン６によって結晶室に導入される。結晶
室内のスラリーの循環によって、レベル２１より上での
室の大気の乱れをもたらし、いくらかは囲い３２に到達
する無水炭酸ナトリウム粒子の吹きつけをもたらす。

【００３４】本発明によれば、水は、パイプライン３
４，３５を介して環状室３３に循環される。水の温度と
流れ速度は、結晶室の中の圧力と温度条件により選択さ
れ、囲い３２の外面３６上の十分な量の水蒸気を凝縮
し、そこに達する無水炭酸ナトリウム粒子を直ちに溶か
すことのできる水膜を外面に形成する。かくして、面３
６に作られた水性炭酸ナトリウム溶液は、重力の下、面
を流れ、スラリーになる。

【００３５】説明された発明の用途は、軽い無水炭酸ナ
トリウム（通常、軽ソーダとしていわれる）から重い無
水炭酸ナトリウム（通常、重ソーダとしていわれる）を
作るのに適する（テ─パング ホウ，ソーダの製造，第
２版，ニューヨーク，ハフナー出版社の２５７頁と２６
１頁。このために、用いられる無水炭酸ナトリウムは、
軽炭酸ナトリウムであり、スラリーから収集された一水
化炭酸ナトリウム結晶は、一水化炭酸ナトリウムを無水
炭酸ナトリウムに転移する温度よりも上の温度で、か焼
（calcination)によって伴う乾燥にさらされる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による装置の第１実施例を軸線方向の垂
直断面で概略的に示す。

【図２】図１の面II─IIにおける断面図で図１の詳細を
拡大して示す。

【図３】図２の面III ─III における断面図である。

【図４】本発明による装置の第２実施例の、図１と同様
な図である。

【図５】図４の詳細を拡大して示す。

【符号の説明】

Ｘ…循環 ４，５…結晶室 １４…剪断部材 １７…ディスク １９…剪断歯

Claims (24)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】過飽和溶液の脱過飽和によって、結晶スラ
   リー中の無機物質の結晶化のための装置であって、結晶
   室（４，５）、結晶室の中のスラリーの循環（Ｘ）をも
   たらすように設計された装置（９）からなる装置におい
   て、 結晶室は、スラリーの機械的剪断用の部材（１４）を有
   し、 その部材（１４）は、周辺に剪断歯（１９）のリ
   ングを設けたディスク（１７）を有することを特徴とす
   る装置。
2. 【請求項２】剪断歯（１９）は、ディスク（１７）のい
   ずれかの側に対称的に配置されることを特徴とする請求
   項１に記載の装置。
3. 【請求項３】剪断歯（１９）は、ディスク（１７）に対
   し右の角度に尖っていることを特徴とする請求項２記載
   の装置。
4. 【請求項４】ディスク（１７）は、結晶室の中の結晶ス
   ラリー循環（Ｘ）の速度が、ディスク１７に接する成分
   を示すような方法で、結晶室に配置されることを特徴と
   する請求項１〜請求項３のいずれか記載の装置。
5. 【請求項５】結晶室は、垂直円筒形の囲い（１）によっ
   て構成され、囲い（１）に軸線方向に配置された円筒形
   のチムニー（３）によって、中央ゾーン（４）と環状ゾ
   ーン（５）に分割され、上側端部と下側端部で開口し、
   結晶室のスラリーの循環（Ｘ）は、中央ゾーン（４）の
   垂直並進と環状ゾーン（５）の反対方向の垂直並進から
   なることを特徴とする請求項１ないし請求項４のいずれ
   か記載の装置。
6. 【請求項６】ディスク（１７）は、チムニー（３）の下
   に配置されることを特徴とする請求項５記載の装置。
7. 【請求項７】スラリーを回収する装置（８）は、上記ゾ
   ーン（４，５）の一方に開口（２５）する管（２３，２
   ４）を有することを特徴とする請求項５又は請求項６に
   記載の装置。
8. 【請求項８】管（２３，２４）は、ゾーン（４，５）の
   中間部分に開口することを特徴とする請求項７記載の装
   置。
9. 【請求項９】管（２３，２４）は、ゾーン（４，５）の
   中間部分の上側半分に開口することを特徴とする請求項
   ８記載の装置。
10. 【請求項１０】管（２３，２４）が開口するゾーンは、
    中央ゾーン（４）であることを特徴とする請求項７〜９
    いずれか記載の装置
11. 【請求項１１】管（２３，２４）は環状ゾーン（５）の
    中に延び、チムニー（３）に横切って中央ゾーン（４）
    に開口することを特徴とする請求項１０記載の装置。
12. 【請求項１２】管（２３）は、結晶室の環状ゾーン
    （５）に垂直に延び、囲い（２）を貫通することを特徴
    とする請求項１１記載の装置。
13. 【請求項１３】管（２４）は、ガス抜き管（２７）と連
    通することを特徴とする請求項７乃至請求項１２のいず
    れか記載の装置。
14. 【請求項１４】結晶室のスラリーの循環（Ｘ）は、中央
    ゾーン（４）の下降並進と環状ゾーン（５）の上昇並進
    からなることを特徴とする請求項７乃至請求項１３のい
    ずれか記載の装置。
15. 【請求項１５】結晶室の中のスラリーの循環をもたらす
    上記装置は、中央ゾーン（４）の下側部分に軸線方向に
    配置された軸線流れ形式のヘリックス（９）を有するこ
    とを特徴とする請求項１４記載の装置。
16. 【請求項１６】結晶化するべき物質で過飽和される溶液
    中の結晶スラリーを用いることにより、無機物質の結晶
    化のための方法であって、スラリーは、結晶化装置の中
    で循環を受け、物質は溶液の脱過飽和によって結晶化さ
    れ、少なくともスラリーの分別物は、装置から回収され
    る方法であって、請求項１乃至１５のいずれか記載の結
    晶化装置を用いることを特徴とする方法。
17. 【請求項１７】一水化炭酸ナトリウムの飽和水溶液の中
    の一水化炭酸ナトリウム結晶のスラリーを用い、かつ、
    その溶液が、無水炭酸ナトリウムを導くことによって、
    一水化炭酸ナトリウムで過飽和されることを特徴とする
    請求項１６記載の方法。
18. 【請求項１８】結晶室は、側壁（１）、基部（２）を有
    し、かつカバー（３０）を用い、一水化炭酸ナトリウム
    結晶のスラリーを結晶室の中で循環させ、無水炭酸ナト
    リウムは、粉末の形態でカバーを貫通する管（３１）を
    介して前記室に導かれ、水膜を、管の前記延長部の壁の
    外面（３６）を循環させることを特徴とする請求項１７
    記載の方法。
19. 【請求項１９】十分な量の水膜は、上記面（３６）と接
    触する炭酸ナトリウム粉末の粒子を溶かすのに用いられ
    ることを特徴とする請求項１８記載の方法。
20. 【請求項２０】水膜を作るために、結晶室の中に存在す
    る水蒸気が、上記面（３６）に凝縮されることを特徴と
    する請求項１８又は請求項１９記載の方法。
21. 【請求項２１】水蒸気を凝縮するために、冷却液体を、
    管の壁の内側の環状の囲い（３３）の中で循環させるこ
    とを特徴とする請求項２０記載の方法。
22. 【請求項２２】水が冷却液体として用いられることを特
    徴とする請求項２１記載の方法。
23. 【請求項２３】側壁（１），基部（２），無水炭酸ナト
    リウムの導入に役立つ管（６，３１）の貫通するカバー
    （３０）によって構成される結晶室と、結晶室の中の一
    水化炭酸ナトリウムのスラリーの循環（Ｘ）をもたらす
    ように設計された装置（９，１０）とを有し、管（３
    １）は、結晶室の内側の延長部を有し、前記延長部の中
    空壁（３１，３２）の中に、冷却液体用の入口パイプラ
    イン（３４）と排出パイプライン（３５）とに連通する
    環状の囲い（３３）を有することを特徴とする装置。
24. 【請求項２４】管（３１）は、カバー（３０）を垂直方
    向に貫通することを特徴とする請求項２３記載の装置。