JPH0676019B2 - 四輪駆動車の駆動系クラツチ制御装置 - Google Patents

四輪駆動車の駆動系クラツチ制御装置

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JPH0676019B2 JP61139706A JP13970686A JPH0676019B2 JP H0676019 B2 JPH0676019 B2 JP H0676019B2 JP 61139706 A JP61139706 A JP 61139706A JP 13970686 A JP13970686 A JP 13970686A JP H0676019 B2 JPH0676019 B2 JP H0676019B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、四輪駆動車のトランスファ装置の駆動力配分
クラッチやセンターディファレンシャル装置の差動制限
クラッチに用いられ、クラッチ締結力を制御する四輪駆
動車の駆動系クラッチ制御装置に関する。
(従来の技術) 従来の四輪駆動車の駆動系クラッチ制御装置としては、
例えば、特開昭57−66022合公報に記載されているよう
な装置が知られている。
この従来装置は、前2輪と後2輪の一方へは変速機から
直接伝動し、その他方へは変速機から2−4輪駆動切換
用クラッチを介して伝動すべく構成し、該クラッチを解
放した2輪駆動による走行時にブレーキ作用すると、ブ
レーキペダルによるブレーキスイッチの動作信号で上記
クラッチを一時的に係合して4輪駆動の走行に切換える
ように構成したことを特徴とするものであった。
従って、従来装置では、ブレーキ作動時に4輪全ての駆
動力・制動力がお互いに関係づけられる(干渉し合う)
ことになり、直結4WDとすることで、1輪のみがロック
しようとしても他輪から強制的に回転駆動力が与えられ
る結果、ロックが発生しずらくなり制動距離の短縮が可
能となる。
(発明が解決しようとする問題点) しかしながら、このような従来の駆動系クラッチ制御装
置にあっては、ブレーキ操作時には常に直結4輪駆動状
態になるようにクラッチ制御を行なうものであったた
め、さらに厳しい制動条件下(低μ路制動時や急制動時
等)においては、4輪同時ロックとなってしまい、車両
は今まで走行してきた軌道の接線方向へドリフトしてコ
ースアウトしてしまうことになる。
(問題点を解決するための手段) 本発明は、上述のような問題点を解決することを目的と
してなされたもので、この目的達成のために本発明で
は、以下に述べるような解決手段とした。
本発明の解決手段を第1図に示すクレーム概念図により
説明すると、エンジン駆動力を前後輪1,2に伝達するエ
ンジン駆動系の途中に設けられ、外部からのクラッチ締
結力により前後輪を駆動直結状態にする駆動系クラッチ
手段3と、検知手段4からの入力信号に基づきクラッチ
締結力を増減させる制御信号を出力するクラッチ制御手
段5と、を備えた四輪駆動車の駆動系クラッチ制御装置
において、前記検知手段4として、ブレーキの作動・非
作動を検知するブレーキ検知手段401と、前後輪の回転
速度差を検知する前後輪回転速度差検知手段402を含
み、前記クラッチ制御手段5を、ブレーキ作動を検知し
た時、前輪回転速度が後輪回転速度より速い場合にの
み、クラッチ締結力を増大させる制御を行う手段とした
ことを特徴とする。
尚、ここで駆動系クラッチ手段3とは、前後輪への駆動
力配分クラッチや、中央差動装置の差動制限を行なう差
動制限クラッチ(センターデフロック)等をいう。
(作 用) ブレーキ作動時には、クラッチ制御手段5において、ブ
レーキ検知手段401によりブレーキ作動を検知した時
で、前後輪回転速度差検知手段402により前輪回転速度
が後輪回転速度より速いことが検知された場合にのみ、
クラッチ締結力を増大させる制御が行なわれる。
よって、前輪回転速度が後輪回転速度より速い後輪ロッ
ク傾向にある場合には、クラッチ締結力が強められ駆動
力配分を4輪駆動方向にして後輪を強制的に回転させて
後輪側のロックが抑えられ、逆に、後輪回転速度が前輪
回転速度より速い前輪ロック傾向にある場合には、クラ
ッチ締結力が弱められ後輪側の非ロックが確保され、車
両姿勢の建て直しが可能である。
なぜなら、ブレーキ作動時の車輪ロックのうち、前輪ロ
ックのみは後輪がふんばってくれるので車両姿勢の建て
直しが容易であり、後輪ロックのみの場合のように車両
スピン傾向となったり、又、4輪同時ロックの場合のよ
うにドリフト傾向となる場合より好ましい状態である。
この観点から、本願は、必ず前輪のみのロック傾向とな
るように制御することで、車両姿勢の建て直しを可能と
し、安全を確保するものである。
(実施例) 以下、本発明の実施例を図面により詳述する。
尚、この実施例を述べるにあたって、後輪駆動をベース
にした四輪駆動車の駆動力配分クラッチ制御装置を例に
とる。
まず、実施例の構成を説明する。
実施例の駆動力配分クラッチ制御装置Dが適用される四
輪駆動車は、第2図に示すように、トランスファ装置1
0,エンジン11,トランスミッション12,トランスファ入力
軸13,後輪側駆動軸14,多板摩擦クラッチ(駆動系クラッ
チ手段)15,リヤディファレンシャル16,後輪17,フロン
トディファレンシャル18,前輪19,ギヤトレーン20,前輪
側駆動軸21を備えている。上記トランスミッション12
は、前記エンジン11からの回転駆動力をシフト操作によ
り選択した変速段位置に応じて変速させるもので、実施
例では平行な二本のシャフトに異なるギヤ比の歯車組を
設けたタイプのものを用いている。
上記トランスファ入力軸13は、トランスファ装置10内の
多板摩擦クラッチ15へ前記トランスミッション12からの
回転駆動力を入力させる軸である。
上記後輪側駆動軸14は、前記トランスファ入力軸13と同
芯上に直結させたもので、トランスファ入力軸13からの
回転駆動力がそのまま伝達される。
上記多板摩擦クラッチ15は、クラッチ油圧により前輪側
への伝達トルクの変更が可能なクラッチで、前記トラン
スファ入力軸13及び後輪側駆動軸14に固定させたクラッ
チドラム15aと、該クラッチドラム15aに回転方向係合さ
せたフリクションプレート15bと、前記入力軸13の外周
部に回転可能に支持させたクラッチハブ15cと、該クラ
ッチハブ15cに回転方向係合させたフリクションディス
ク15dと、交互に配置されるフリクションプレート15bと
フリクションディスク15dとの一端側に設けられるクラ
ッチピストン15eと、該クラッチピストン15eと前記クラ
ッチドラム15aとの間に形成されるシリンタ室15fと、を
備えている。
上記リヤディファレンシャル16及びフロントディファレ
ンシャル18は、左右の後輪17,17及び左右の前輪19,19に
駆動力を分配伝達する差動装置である。
上記ギヤトレーン20は、前記クラッチハブ15cに設けら
れた第1ギヤ20aと、中間シャフト20bに設けられた第2
ギヤ20cと、前輪側駆動軸21に設けられた第3ギヤ20d
と、によって構成され、多板摩擦クラッチ15の締結によ
る前輪側への駆動力を伝達させる手段である。
上記前輪側駆動軸21は、車両の前輪19,19に回転駆動力
を伝達させる軸である。
尚、第4図はトランスファ装置10の具体例を示したもの
で、トランスファケース22の中に前記多板摩擦クラッチ
15やギヤ類やシャフト類が納められている。
第4図中15gはディシュプレート、15hはリターンスプリ
ング,24はクラッチ圧油入力ポート,25はクラッチ圧油
路,26は後輪側出力軸,27は潤滑用油路,28はスピードメ
ータ用ピニオン,29はオイルシール,30はベアリング,31
はニードルベアリング,32はスラストベアリング,33は継
手フランジである。
次に、実施例の駆動力配分クラッチ制御装置Dは、第3
図に示すように、前記多板摩擦クラッチ15を締結させる
ための油圧力を発生させる外部装置としての油圧発生装
置50と、この油圧発生装置50からの油圧を所定のクラッ
チ油圧Pに制御する油圧制御装置40とを備えている。
上記油圧発生装置50は、オイルポンプ51、ポンプ圧油路
52、クラッチ圧油路53、分岐ドレーン油路54、リザーブ
タンク55、吸込油路56を備えている。
上記油圧制御装置40は、検知手段として、前輪側回転セ
ンサ41,後輪側回転センサ42,アクセル開度センサ43,ブ
レーキスイッチ44を備え、制御回路として、コントロー
ルユニット45を備え、制御アクチュエータとして、バル
ブソレノイド46a及びチェック油路46bを有する前記電磁
比例リリーブバルブ46(分岐ドレーン油路54に設けられ
ている)を備えている。
前輪側回転センサ41及び後輪側回転センサ42は、それぞ
れ前輪側駆動軸21及び後輪側駆動軸14の途中や左右の前
輪19,19位置等に設けられたもので、軸に固定されたセ
ンサロータと、センサロータに近接配置され、磁力変化
を検知するピックアップセンサと、による回転センサ等
が用いられ、この両回転センサ41,42からは軸回転に応
じた正弦波信号等による回転信号(nf),(nr)が出力
される。
上記アクセル開度センサ43は、エンジン11のアクセル開
度A(スロットル開度ともいう)を検知し、アクセル開
度Aに応じたアクセル開度信号(a)を出力するセンサ
である。
上記ブレーキスイッチ44は、ブレーキペダル部等に設け
られ、スイッチのON・OFFによりブレーキ作動・非作動
を検知するスイッチで、スイッチ信号(s)を出力す
る。
尚、前記前輪側回転センサ41及び後輪側回転センサ42
は、ブレーキ作動時における後輪ロック傾向を検知する
センサとして用いられる。
上記コントロールユニット45は、車載のマイクロコンピ
ュータを中心とする制御回路が用いられ、前記回転セン
サ41,42からの回転信号(nf),(nr)を入力し、基本
的には前後輪の駆動軸21,14の回転速度差ΔN(Nr−N
f)を演算し、回転速度差ΔNが大きくなるに従って前
輪側への伝達トルクΔT(クラッチ油圧P)を高めて駆
動力配分を4輪駆動状態に近づける指令電流信号(i)
を前記電磁比例リリーフバルブ46に出力するもので、第
5図に示すように、内部回路として、入力回路451、ク
ロック回路452、RAM453、ROM454、CPU455、出力回路456
を備えている。
上記ROM454(リード・オンリー・メモリ)は読出し専用
のメモリで、このROM454には、第6図の実線に示すよう
に、回転速度差ΔNと前輪側への伝達トルクΔTとの制
御特性マップMが表(テーブル)の形で予め記憶されて
いて、アクセル開度Aに応じて制御特性C1,C2,C3のいず
れかが選択され、CPU455で回転速度差ΔN(ΔN=Nr−
Nf)が演算された後、テーブルルックアップが行われ
る。
この制御特性マップMの制御特性C1,C2,C3は、制御定数
(K1,K2,K3)がそれぞれ異なるが、回転速度差ΔNが大
きくなるに従って前輪側への伝達トルクΔTが高くな
り、さらに、回転速度差ΔNが所定値を超えると急激に
前輪側への伝達トルクΔTを上昇させる特性にしてい
る。
上記、電磁比例リリーフバルブ58は、指令電流信号
(i)の出力が指令電流値i=0の場合は、チェック
油路46bからの油圧でバルブが開き、クラッチ油圧P=
0となるが、指令電流信号(i)の出力が指令電流値i
>0の場合は、バルブが閉じ方向に移動し、オイルポ
ンプ51からのポンプ圧をドレーン油量制御により指令電
流値iの大きさに応じたクラッチ油圧Pとなす。
尚、クラッチ油圧Pは次式であらわされる。
P=ΔT/(μ・S・2n・Rm) μ;クラッチ板の摩擦係数 S;ピストンへの圧力作用面
積 n;フリクションディスク枚数 Rm;フリクションデ
ィスクのトルク伝達有効半径 従って、クラッチ油圧Pを増大させると、前輪側への伝
達トルクΔTも比例して増大する。
次に、実施例の作用を説明する。
まず、実施例での駆動力配分クラッチ制御作動の流れ
を、第7図に示すフローチャート図により説明する。
(イ)ブレーキ非作動時 ブレーキ非作動時であって、前後輪の回転速度差ΔNが
正の場合、つまり後輪スリップ状態での制御作動の流れ
は、ステップ200→ステップ201→ステップ202→ステッ
プ203→ステップ204→ステップ205→ステップ206→ステ
ップ207→ステップ208へと進む流れとなり、この作動が
繰り返される。
尚、ステップ200はブレーキスイッチ44からのスイッチ
信号(s)の読み込みステップであり、ステップ201は
ブレーキ作動かブレーキ非作動かの判断ステップであ
り、ステップ202は前後輪回転速度Nf,Nrの読み込みステ
ップであり、ステップ203は前後輪回転速度差ΔN(Δ
N=Nr−Nf)の演算ステップであり、ステップ204はΔ
Nが正か負かの判断ステップであり、ステップ205はア
クセル開度Aの読み込みステップであり、ステップ206
はアクセル開度Aにより制御特性C1,C2,C3を選択する選
択ステップであり、ステップ207は前後輪回転速度差Δ
Nにより選択した制御特性から伝達トルクΔTをテーブ
ルルックアップする検索ステップであり、ステップ208
は前記ステップ207でテーブルルックアップされた伝達
トルクΔTが得られる指令電流信号(i)を出力するス
テップである。
具体例として、アクセルペダルを踏み込んでの急加速時
であり、前後輪回転速度差ΔNがΔN1である時は、アク
セル開度Aが大きくなるに従って制御特性の選択がC1
C2→C3と変化するため、第6図に示すように、アクセル
ペダルの踏み込み始めで、制御特性C1が選択されている
時は、伝達トルクΔT1が得られる指令電流信号(i)が
出力され、アクセルペダルが少し踏み込まれていて制御
特性C2が選択されている時は、伝達トルクΔT2が得られ
る指令電流信号(i)が出力され、アクセルペダルが大
きく踏み込まれていて制御特性C3が選択されている時
は、伝達トルクΔT3が得られる指令電流信号(i)が出
力されることになる。しかも、アクセルペダルが急に踏
み込まれることで、伝達トルクΔTは短時間にてΔT1
ΔT2→ΔT3と変化し、車両が加速状態に入った時には前
輪側への伝達トルクΔTの増大で4輪駆動状態に近い駆
動力配分となる。
また、アクセルペダルへの踏み込み量が小さく、しかも
踏み込み動作もほとんど行なわれない緩加速時であり、
前述と同様に前後輪回転速度差ΔNがΔN1である時は、
アクセル開度Aが小さく、しかもアクセル開度Aの変化
もほとんどないため、制御特性C1選択されたままとな
り、前輪側への伝達トルクΔTも最もトルクが小さいΔ
T1のままとなり、前輪側への駆動力配分が小さな後輪駆
動状態に近い駆動力配分となる。
また、ブレーキ非作動時であって、前後輪の回転速度差
ΔNが零または負の場合、つまりタイヤのすべりがない
乾燥路等での直進走行時等での制御作動の流れは、ステ
ップ200→ステップ201→ステップ202→ステップ203→ス
テップ204→ステップ209という流れとなり、指令電流信
号(i)としてi=0の信号が出力され、後輪駆動状
態が維持される。
このように、実施例装置Dでは、ブレーキ非作動時での
制御により以下に述べるような効果が得られる。
アクセル開度Aを加速状態の入力情報とし、アクセ
ル開度Aが大きくなるに従って比例定数Kが大きくなる
制御特性が選択される装置としたため、アクセルペダル
が踏み込まれ車両が急加速状態に入った時には、比例定
数Kの大きな制御特性に基づくクラッチ締結力の制御、
つまり4輪駆動に近い駆動力配分制御が行なわれること
になり、急発進時のホイールスリップや急加速旋回時の
スピンを防止することができる。
緩加速時であってアクセルペダルへの踏み込み量が
小さい時には、比例定数Kの小さな制御特性に基づくク
ラッチ締結力の制御、つまり後輪駆動に近い駆動力配分
制御が行なわれることになり、緩加速旋回時のアンダー
ステア傾向を軽減させることができる。
前後輪回転速度差に応じてなめらかに駆動力配分を
変化させることでステア特性を急変させない駆動力配分
制御が行なわれる。
(ロ)ブレーキ作動時 ブレーキ作動時であって、前後輪の回転速度差ΔNがΔ
N≧0の場合、つまり制動時でありながらまだ後輪ロッ
ク傾向にない場合や、前輪ロック傾向の場合での制御作
動の流れは、ステップ200→ステップ201→ステップ210
→ステップ211→ステップ212→ステップ213へと進む流
れとなる。
尚、ステップ212はΔNがΔN<0かどうかの判断ステ
ップであり、ステップ213は指令電流信号(i)として
=0の信号が出力されるステップである。
従って、ブレーキ作動時であっても、前後輪の回転速度
差ΔNがΔN≧0の場合には、後輪駆動状態となる。
ブレーキ作動時であって、前後輪の回転速度差ΔNがΔ
N<0の場合、つまり後輪制動力により後輪ロック傾向
にある場合での制御作動の流れは、ステップ200→ステ
ップ201→ステップ210→ステップ211→ステップ212→ス
テップ214へと進む流れとなり、出力ステップであるス
テップ214ではクラッチ油圧Pを増加する指令電流信号
(i)が出力され、後輪駆動状態から4輪駆動状態へと
駆動力配分が変更される。
このように、実施例装置Dでは、ブレーキ作動時での制
御により以下に述べるような効果が得られる。
ブレーキ作動時に前輪ロック傾向にある時は、後輪
駆動状態となるため、4輪同時ロックが防止され、制動
安定生が高まる。
すなわち、氷雪路等の低摩擦係数路で駆動輪スリップに
より4輪駆動状態であり制動時に前輪ロック傾向にある
時に、4輪駆動状態のままであったら、前輪ロックを早
めると共に、4輪が駆動直結であることで、前輪がロッ
クした時点で4輪が共にロックすることになり、突然の
4輪同時ロックで滑走してしまう。
ブレーキ作動時に4輪駆動方向に駆動力配分を変更
する条件として、前後輪の回転速度差ΔNがΔN<0で
あることを加え、現実に後輪ロック傾向にある時にだ
け、4輪駆動状態とする制御を行なうようにしたため、
制動で十分に減速されていない時点で早期に駆動力配分
が変更されることによる車両挙動の不安定さを防止でき
ると共に、後輪駆動状態のままでのブレーキ作動時に発
生する早期後輪ロックも、4輪駆動状態にして制動力を
配分することで有効に防止できる。
尚、実施例では、後輪駆動状態から4輪駆動状態へとク
ラッチ締結力の高まりに伴なって徐々に駆動力の配分が
変更されることから、前述の車両挙動の不安定さの防止
効果は非常に高い。
制動初期においては後輪駆動状態であるし、常に4
輪駆動状態とならないため、4輪アンチロックブレーキ
装置(アンチスキッドブレーキ装置ともいう)との併用
も可能である。
以上、本発明の実施例を図面により詳述してきたが、具
体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発
明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があって
も本発明に含まれる。
例えば、実施例では4輪駆動状態後輪駆動状態との駆
動力配分を徐々に変化させることのできる例を用いてク
ラッチ締結力の増減制御を示したが、4輪駆動状態と後
輪駆動状態とをON−OFF的に駆動切換えする四輪駆動車
にも適用できる。この場合にはクラッチ締結力をON−OF
F的に増減する事になる。
また、実施例では、駆動力配分クラッチの基本制御内容
として前後輪の回転速度差ΔNに基づく駆動力配分クラ
ッチ制御を示したが、制御内容としては何ら実施例に限
られるものではなく、回転速度差ΔNに他の条件を加え
たり、回転速度差ΔN以外の条件で行なってもよい。
また、実施例では、前後輪への駆動力配分クラッチを制
御する例を示したが、中央差動装置(センターディファ
レンシャル)を有するフルタイム四輪駆動車では、中央
差動装置の差動制限を行なう差動制限クラッチにも適用
できる。この場合には該差動制限クラッチがロック状態
になる様、クラッチ締結力を増加する事により、前後輪
を駆動直結状態とするものである。
また、クラッチ油圧の制御手段も、実施例の電磁比例式
リリーフバルブに限らず、他の手段、例えばデューティ
制御信号を用いる場合にはソレノイド開閉弁構造のもの
等としてもよい。
また、実施例では、クラッチ手段として油圧締結による
多板摩擦クラッチを示したが、電磁クラッチや粘性クラ
ッチやドグクラッチ等他のクラッチを用いてもよい。
(発明の効果) 以上説明してきたように、本発明の四輪駆動車の駆動系
クラッチ制御装置にあっては、検知手段として、ブレー
キの作動・非作動を検知するブレーキ検知手段と、前後
輪の回転速度差を検知する前後輪回転速度差検知手段を
含み、クラッチ制御手段を、ブレーキ作動を検知した
時、前輪回転速度が後輪回転速度より速い場合にのみ、
クラッチ締結力を増大させる制御を行なう手段としたた
め、制動時に車輪ロックは常に前輪側のみとなり、後輪
ロックや4輪同時ロックのような車両挙動の不安定性を
防止し、非ロックが確保される後輪の路面グリップ性に
より車両姿勢の建て直しを可能とすることで制動安定性
を達成できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の四輪駆動車の駆動系クラッチ制御装置
を示すクレーム概念図、第2図は実施例の駆動系クラッ
チ制御装置が適用される四輪駆動車を示す図、第3図は
実施例の駆動系クラッチ制御装置を示す全体図、第4図
は実施例装置のトランスファ装置を示す断面図、第5図
は実施例装置のコントロールユニットを示すブロック線
図、第6図は実施例装置のコントロールユニットにおい
て予め設定させている回転速度差と前輪側への伝達トル
クとの関係を示す制御特性マップ図、第7性図は実施例
装置のコントロールユニットにおける駆動系クラッチ制
御作動の流れを示すフローチャート図である。 1……前輪 2……後輪 3……駆動系クラッチ手段 4……検知手段 401……ブレーキ検知手段 402……前後輪回転速度差検知手段 5……クラッチ制御手段

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エンジン駆動力を前後輪に伝達するエンジ
    ン駆動系の途中に設けられ、外部からのクラッチ締結力
    により前後輪を駆動直結状態にする駆動系クラッチ手段
    と、 検知手段からの入力信号に基づきクラッチ締結力を増減
    させる制御信号を出力するクラッチ制御手段と、 を備えた四輪駆動車の駆動系クラッチ制御装置におい
    て、 前記検知手段として、ブレーキの作動・非作動を検知す
    るブレーキ検知手段と、前後輪の回転速度差を検知する
    前後輪回転速度差検知手段を含み、 前記クラッチ制御手段を、ブレーキ作動を検知した時、
    前輪回転速度が後輪回転速度より速い場合にのみ、クラ
    ッチ締結力を増大させる制御を行なう手段としたことを
    特徴とする四輪駆動車の駆動系クラッチ制御装置。
JP61139706A 1986-06-16 1986-06-16 四輪駆動車の駆動系クラツチ制御装置 Expired - Lifetime JPH0676019B2 (ja)

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