JPH0675683B2 - 恒温槽 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、種々の試料を入れてその温度に対する特性の
変化を試験する目的で用いられる恒温槽に関するもので
ある。

この種の恒温槽は、一般に、内部に恒温室を有する恒温
槽本体と、この恒温槽本体の開口部に開閉自在に取付け
られた扉とから成つている。試験すべき試料はこの扉を
開いて恒温室内に入れられるが、試験中の試料の変化を
外部から監視し又は写真撮影するため扉は通常覗窓を有
する。この覗窓は、恒温室内の温度変化，氷滴，霜の付
着を防止するため相互に間隔をあけて配置されて相互間
に空間が設けられた多層透明窓板から成つている。しか
し、恒温槽の内部温度が外気温より著しく低い場合に
は、窓板が内部からの熱伝導によつて冷却されて多層透
明窓板に水滴や霜が付着する。従来技術では窓板に付着
した水滴や霜を取除くため布又はワイパで拭取るか外部
から熱風を吹付けていた。しかし、布やワイパて拭取る
方法は連続的ではないので連続的に内部を観察する必要
がある場合とか写真撮影する場合には適当でない。ま
た、ワイパで拭取る方法では水滴を取ることができても
霜を除去することが難しく、更に熱風を吹付ける方法は
外側には適用できるが内側には槽内の温度が変化してし
まうので適用できない。

本発明の目的は、槽内に悪影響を与えることなく槽内の
状況を連続的に観察することができる恒温槽を提供する
ことにある。

本発明の実施例を図面を参照して詳細にのべると、図面
は本発明に掛かる恒温槽10を示し、この恒温槽10は、内
部に恒温室12を有する恒温槽本体14と、この恒温槽本体
の開口部に蝶番16によつて開閉自在に取付けられた扉18
とから成つている。

扉18は、恒温室12内を観察することができるように覗窓
20を有し、この覗窓20は相互に間隔をあけて配置されて
相互間に空間22A乃至22Eが設けられた多層透明窓板（例
えばガラス）24A乃至24Fから成つている。最内側空間22
Aと最外側空間22Eとには熱媒体供給手段26A,26Eがそれ
ぞれ連結されていてこれらの空間22A,22Eを別々に温度
制御して外気と恒温室12との間の温度勾配を調節するこ
とができるようにしている。

各熱媒体供給手段26A,26Eは、それぞれヒータ28A,28Eと
送風機30A,30Eとを含む熱媒体供給源32A,32Eとこの熱媒
体供給源32A,32Eからの熱媒体を空間22A,22Eに供給する
保温導管34A,34Eとから成つている。熱媒体は、図示の
実施例では熱媒体供給源32A,32Eから下側の導管部分を
通つて吹出口36A,36Eから空間22A,22Eに吹出され、その
上方から上側の導管部分を通つて熱媒体供給源32A,32E
に戻る。吹出口36A,36Eには温度検知器38A,38Eが設けら
れてヒータ28A,28Eを制御している。熱媒体としては気
体又は液体のいずれでもよいが、覗窓の視界を妨げない
ように空気であるのが好ましいが、この場合その中の水
分を除去するため熱媒体供給源32A,32E内に交換可能な
乾燥剤が充填された乾燥器40A,40Eを設けるのが好まし
い。尚、中間の空間22B乃至22Dは空気を抜くことが望ま
しい。

上記恒温槽において例えば外気温度が30℃で恒温室の温
度が−60℃の場合熱媒体供給手段26A,26Eは覗窓20の温
度勾配が実線ａで示すようになるように温度制御する。
このようにすると、最外側の透明窓板24Fの外面温度
（外気温）より空間22Eの温度が若干高い温度になつて
いる（同等でもよい）ので、水滴が付着することはない
し、また、最内側の透明窓板24Aの内面温度（恒温室内
の温度）より空間22Aの温度が若干高い温度になつてい
るので霜が付着することがない。霜は空気中に含まれて
いる水分がその温度より低い温度の対象物に付着して形
成されるものであり、従つて、透明窓板24Aの内面に接
触する空気の温度より空間22Aの温度を高くすることに
よつて霜の付着を防止することができる。尚、空間22A
の温度をあまり高くすると、熱輻射によつて恒温室内の
試料に悪影響を与えるので空間22Aの温度は恒温室12の
温度より２〜３℃程度高いのが望ましい。一方、透明窓
板24Aに霜が付着しこれを取除く場合には、霜がなくな
るまでの間、熱媒体供給手段26A,26Eは覗窓20の温度勾
配が点線ｂで示すようになるように温度制御する。この
ようにすると、透明窓板24Aの霜取り時間が短かくてす
む。

上記実施例で熱媒体が水分を含んでいない場合には乾燥
器40A,40Eを省略することができる。また、熱媒体が外
気に接触し多くの水分を含む空気である場合には冷凍機
等を使用して除湿することができる。

本発明によれば、上記のように、恒温槽の扉の覗窓を構
成する多層透明窓板の最内側空間と最外側空間との温度
を制御して所定の温度勾配としたので水滴，霜の付着を
有効に防止することができ、従つて試料を連続的に観察
することができるから写真撮影することができ、また恒
温室内に大きな温度変化を与えることがないので試料の
測定を正確に行うことができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明に係る恒温槽の断面図である。 10……恒温槽、12……恒温室、14……恒温槽本体、18…
…扉、20……覗窓、22A乃至22E……空間、24A乃至24F…
…多層透明窓板、26A,26E……熱媒体供給手段、28A,28E
……ヒータ、30A,30E……送風機、32A,32E……熱媒体供
給源、34A,34E……保温導管、40A,40E……乾燥器。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】内部に恒温室を有する恒温槽本体と、前記
   恒温槽本体の開口部に開閉自在に取付けられた扉とから
   成り、前記扉は相互に間隔をあけて配置されて相互間に
   空間が設けられた多層透明窓板から成る覗窓を含む恒温
   槽において、前記多層透明窓板の最内側空間と最外側空
   間とに別々に温度制御された熱媒体供給手段がそれぞれ
   連結されていることを特徴とする恒温槽。
2. 【請求項２】前記熱媒体供給手段はヒータと送風機とを
   含む熱媒体供給源と前記熱媒体供給源からの熱媒体を前
   記最内側空間又は最外側空間に供給する保温導管とから
   成つている特許請求の範囲第１項に記載の恒温槽。
3. 【請求項３】前記熱媒体供給手段は前記熱媒体供給源又
   は保温導管の途中に設けられた乾燥器を含む特許請求の
   範囲第２項に記載の恒温槽。