JPH0674944U - 圧力センサー - Google Patents

圧力センサー

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JPH0674944U
JPH0674944U JP1549093U JP1549093U JPH0674944U JP H0674944 U JPH0674944 U JP H0674944U JP 1549093 U JP1549093 U JP 1549093U JP 1549093 U JP1549093 U JP 1549093U JP H0674944 U JPH0674944 U JP H0674944U
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重光 小川
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 静電容量式の圧力変換素子の基板側と弾性ダ
イヤフラム側との電極間の漏れ電流を抑え、圧力を正確
に測定することができる圧力センサーの提供。 【構成】 厚肉の基板11と、この基板11に所定間隔を置
いて対向配置された薄肉の弾性ダイヤフラム12とを備え
た静電容量式の圧力変換素子10の基板11側の電極を順次
内側の電極を囲う配置となるように複数に分割し、この
分割された基板11側の各電極のうち最も外側の電極33の
少なくとも一部を絶縁用のオーバーコートガラス21で覆
った。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、測定流体の圧力を検出する圧力センサーに係り、特に、対向する電 極間の静電容量の変化を利用して圧力を検出する静電容量式の圧力センサーに関 する。
【0002】
【背景技術】
図14には、静電容量式の圧力センサーに用いられる従来の圧力変換素子900 が示されている(特開昭59−148842号公報参照)。 圧力変換素子900 は、厚肉の基板901 と、測定流体の圧力により変形する薄肉 のダイヤフラム902 とを備え、これらの基板901 とダイヤフラム902 とは各々リ ング状の高融点ガラス903 および低融点ガラス904 を介して互いに平行に所定間 隔を置いて配置されている。基板901 とダイヤフラム902 との対向面905,906 間 には、高融点ガラス903 および低融点ガラス904 に囲まれるように空間907 が形 成されている。 基板901 およびダイヤフラム902 の各対向面905,906 には、電極910,911 が設 けられており、これらにより静電容量Cのコンデンサ912 が形成されている。 基板901 の背面909 (対向面905 とは反対側の面)には、各電極910,911 から 基板901 を貫通してリード線912,913 が取り出されており、また空間907 を真空 封止する真空封止部914 が設けられている。 また、ダイヤフラム902 の対向面906 とは反対側の面は、測定流体の圧力が付 加される受圧面908 となっている。
【0003】 このような圧力変換素子900 を用いた静電容量式の圧力センサーにおいては、 空間907 を真空封止し、一方、受圧面908 から測定流体の圧力を作用させてダイ ヤフラム902 を撓ませる。このダイヤフラム902 の撓みに伴って各電極910,911 間の間隔が変化し、コンデンサ912 の静電容量Cが変化することを利用して測定 流体の圧力を検出する。なお、静電容量式の圧力変換素子には、このような空間 907 を真空として絶対圧力測定を行うものの他、真空封止部914 を設けずに空間 907 を大気圧としてゲージ圧を検出するもの等がある。
【0004】 このような圧力変換素子900 によれば、基板901 とダイヤフラム902 との接合 部が高融点ガラス903 と低融点ガラス904 とにより形成されているので、基板90 1 とダイヤフラム902 とのギャップ精度は、高融点ガラス903 の印刷精度により 確保することができるうえ、この高融点ガラス903 を印刷形成後に低融点ガラス 904 を印刷することにより接合封着を確実に行うことができる。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】
ところが、このような従来の圧力変換素子900 では、湿度の増加に伴って基板 901 やダイヤフラム902 の材料であるセラミクス等、およびこれらの接合部の高 融点ガラス903 や低融点ガラス904 の縁面抵抗が少なくなるため、電極910,911 間に漏れ電流が発生し、精度の良い圧力測定を行うことができないという問題が あった。 また、このような漏れ電流の発生を抑える必要性から、図示のように縁面距離 を稼ぎ、縁面抵抗を増大させるために、各電極910,911 の外側端縁から高融点ガ ラス903 や低融点ガラス904 までの距離を離さなければならず、このため圧力セ ンサーが大型化する、あるいは面積の大きな電極を用いることができないので同 じ電極間距離の変化量に対して容量変化が小さくなり、精度の良い計測を行うこ とができないという問題があった。
【0006】 本考案の目的は、静電容量式の圧力変換素子の基板側と弾性ダイヤフラム側と の電極間の漏れ電流を抑え、圧力を正確に測定することができる圧力センサーを 提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本考案は、基板側の電極の少なくとも一部を覆うようにオーバーコートガラス を設けて前記目的を達成しようとするものである。 具体的には、本考案は、厚肉の基板と、この基板に所定間隔を置いて対向配置 された薄肉の弾性ダイヤフラムとを備え、これらの基板と弾性ダイヤフラムとの 対向面の各々に対向する電極が設けられ、前記弾性ダイヤフラムに加わる圧力を 前記電極間の静電容量の変化により検出する圧力センサーであって、前記電極の うち基板側の電極は順次内側の電極を囲う配置となるように複数に分割され、こ の分割された基板側の各電極のうち最も外側の電極はその少なくとも一部を絶縁 用のオーバーコートガラスにより覆われていることを特徴とする。 また、前記オーバーコートガラスは、分割された基板側の各電極のうち最も外 側の電極よりも内側の電極の少なくとも一部をさらに覆っていてもよい。
【0008】
【作用】
このような本考案においては、測定流体の圧力を弾性ダイヤフラムに作用させ てこれを撓ませ、この時の対向電極間の距離の変化に伴う静電容量の変化を捉え て測定流体の圧力を検出する。 この際、基板側の各電極のうち最も外側の電極の少なくとも一部を覆うように オーバーコートガラスが設けられているので、この基板側の最も外側の電極と弾 性ダイヤフラム側の電極との間の縁面距離が大きくなり、この間の縁面抵抗が増 大する。 このため、前述したような湿度が増加した際に対向電極間に発生する漏れ電流 は抑制されるようになり、精度の良い圧力測定が可能になるとともに、電極の外 側端縁から基板と弾性ダイヤフラムとの接合部までの距離を短くして圧力センサ ーの小型化、あるいは電極面積の増大を図ることが可能となる。 また、このように基板側の最も外側の電極の少なくとも一部をオーバーコート ガラスで覆う際に、この最も外側の電極の内周側の一部分を覆わずに基板と弾性 ダイヤフラムとの間の空間に露出させておけば、この最も外側の電極を接地ある いは所定の一定電圧に保たれる電極とした場合には、この最も外側の電極の内側 に位置する基板側の電極から弾性ダイヤフラム側の電極への漏れ電流は、この最 も外側の電極の露出部分から容易に吸収される。 さらに、分割された基板側の各電極のうち最も外側の電極よりも内側の電極の 少なくとも一部をオーバーコートガラスで覆うことで、弾性ダイヤフラムの過変 形による基板側の電極と弾性ダイヤフラム側の電極との短絡が防止されるように なり、これらにより前記目的が達成される。
【0009】
【実施例】
以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。 図1から図6には、本考案の第一実施例に係る静電容量式の圧力変換素子10が 示されている。 図1において、圧力変換素子10は、図示されない圧力センサーの内部に装着さ れ、測定流体の圧力を検出するために、その圧力を電気的な出力信号に変換する ものである。 圧力変換素子10は、偏平な円柱状の外形の本体10A を有し、この本体10A は、 セラミック製の厚肉の基板11と、セラミック製で測定流体の圧力により変形する 薄肉のダイヤフラム12とを備え、これらの基板11とダイヤフラム12とは接合部20 を介して互いに平行に所定間隔を置いて配置されている。基板11とダイヤフラム 12との対向面13, 14間には、リング状の接合部20に囲まれるように空間30が形成 されている。
【0010】 基板11の対向面13には、図2にも示されるように、中心部が抜けていない中実 円形の中央電極31、各リング状のリファレンス電極32およびシールド電極33の合 計三つの電極が設けられ、一方、ダイヤフラム12の対向面14には、中実円形の共 通電極34が設けられている。 図2は、基板11およびダイヤフラム12をそれぞれ対向面13, 14側から見た状態 の図である(接合部20は形成されていない状態とする)。なお、図中のハッチン グは断面を示すものではなく、説明上見やすくするために記載したものであり、 後述する図3(A),図9におけるハッチングも同様である。 基板11の対向面13において、中央電極31は中実の円状に形成され、リファレン ス電極32は中央電極31を囲むように閉じた円環状(リング状)に形成され、さら にその外側には、シールド電極33がリファレンス電極32を囲むように閉じた円環 状(リング状)に形成されている。これらの中央電極31とリファレンス電極32と の間隔S1およびリファレンス電極32とシールド電極33との間隔S2は、例えば、各 々 500μm程度である。 ダイヤフラム12の対向面14において、共通電極34は中実の円状に形成され、そ の外径DCは、シールド電極33の外径DSよりも大きくなっており、この共通電極34 のシールド電極33の外縁よりも外側に位置する部分は、後述する電極端子形成用 の外縁部38となっている。 また、基板11の対向面13のシールド電極33の外側には、共通電極34の外縁部38 と導通される接続用端子39が銀パラジウムペースト等の導電性材料で形成されて いる。
【0011】 図1に戻って、これらの各電極により空間30内の大気を誘電体とする合計三つ のコンデンサーが形成されている。すなわち、中央電極31と共通電極34とにより 静電容量CMのコンデンサー35、リファレンス電極32と共通電極34とにより静電容 量CRのコンデンサー36、シールド電極33と共通電極34とにより静電容量CSのコン デンサー37がそれぞれ形成されている。この各コンデンサー35, 36, 37の電極間 距離Tは、接合部20の厚みにより決定され、ダイヤフラム12に圧力が作用しない 状態で、例えば、50μm程度である。 また、ダイヤフラム12の対向面14とは反対側の面は、測定流体の圧力が付加さ れる受圧面16となっている。圧力変換素子10は、このダイヤフラム12の受圧面16 に作用する測定流体の圧力と空間30内の大気圧との差圧によりダイヤフラム12が 撓んで各コンデンサー35, 36, 37の電極間距離がその初期値Tより変化し、これ に伴って各静電容量CM, CR, CSが変化することを利用して測定流体の圧力を検出 するように構成されている。
【0012】 基板11の背面15(対向面13とは反対側の面)には、ワンチップIC60が搭載さ れている。このワンチップIC60は、詳細は後述するように、C−MOSのAS IC(カスタムIC)であって各静電容量CM, CR, CSの変化を計測する計測回路 65(後述の図5参照)を内蔵している。また、基板11の背面15には、このワンチ ップIC60を直接に搭載するための電極パターン40が印刷形成されている。 図3には、電極パターン40の詳細構成が示されており、(A)は、ワンチップ IC60を搭載する前の状態であり、(B)は、ワンチップIC60を搭載した後の 状態である。 電極パターン40は、基板11の背面15の外縁部にリング状に形成された回路パス 63A を備え、この回路パス63A の図中右側部分の内側突出部に基板11側のシール ド電極33用の電極端子43が電気的導通状態で形成されている。 一方、回路パス63A の内側において、基板11側の中央電極31、リファレンス電 極32用の各電極端子41, 42およびダイヤフラム12側の共通電極34用の電極端子44 がそれぞれスポット状に形成され、これらの各電極端子41, 42, 44からそれぞれ 鍵形の各回路パス61, 62, 64が形成され、その先端はワンチップIC60の足(ピ ン)の位置に導かれている。 この際、共通電極34用の電極端子44および回路パス64の周囲には、所定間隔を おいて回路パス63B が設けられ、この回路パス63B は、リング状の回路パス63A の図中左側部分の内側に接続されて回路パス63A と一体化されている。また、回 路パス63B は、回路パス64の先端の両側に位置するワンチップIC60の足の位置 を通過するように配置され、ワンチップIC60の接地用端子に接続されるように なっている。これらのシールド電極33用の電極端子43と導通された各回路パス63 A,63B は、接地されている。 したがって、中央電極31用の電極端子41を含む回路パス61およびリファレンス 電極32用の電極端子42を含む回路パス62と、共通電極34用の電極端子44を含む回 路パス64とは、接地電極としての回路パス63A,63B により互いに隔離された配置 状態となっている。このため、これらの間の絶縁抵抗低下によるリーク電流の増 加の影響を低減できるようになっている。
【0013】 各電極端子41, 42, 43, 44は、図1に示すように、それぞれ基板11を貫通する ように設けられた電極穴45, 46, 47, 48に形成された導通部51, 52, 53, 54によ り、それぞれ中央電極31、リファレンス電極32、シールド電極33、および共通電 極34に導通される接続用端子39と導通している。 この際、各導通部51, 52, 53, 54は各電極穴45, 46, 47, 48の内壁面にそれぞ れ設けられており、各穴の中心には、スルーホールが形成されている。このうち 電極穴48のスルーホールは後述する導電ペースト25により塞がれているが、残り の電極穴45, 46, 47のスルーホールのうち少なくとも一つは両側の入口を開放さ れており、空間30に外部の大気を導くことができるようになっている。
【0014】 図4には、接合部20の詳細断面が示されている。 接合部20は、シールド電極33の外周側を覆うように基板11側に密着配置された オーバーコートガラス21と、このオーバーコートガラス21とダイヤフラム12との 間隔を調整するためにこれらの間に設けられスペーサーとして機能するリング状 の高融点ガラス22と、オーバーコートガラス21とダイヤフラム12との間であって 高融点ガラス22の内周側および外周側周囲に配置された低融点ガラス23とを含み 構成されている。 オーバーコートガラス21は、シールド電極33と共通電極34との縁面距離を大き くし、縁面抵抗を増大させるために設けられている。 高融点ガラス22は、結晶化ガラス等であり、その厚みを調整することで、基板 11とダイヤフラム12との間隔、つまりは電極間距離Tを所定の間隔に保つように 設けられている。圧力レンジの変更は、一般的にダイヤフラム12の板厚の変更に より行われるが、この高融点ガラス22の厚み調整による電極間距離Tの変更でも 行うことが可能となっている。 低融点ガラス23は、非結晶化ガラス等であり、その一部分には空間24が設けら れている。この空間24には、共通電極34の外縁部38と接続用端子39とを導通する 導電ペースト25が挿入されており、空間24は、後述する製造工程での導電ペース ト25の挿入時のはみ出し防止のために空間30に対して低融点ガラス23により仕切 られている。これにより、共通電極34は、その外縁部38から、導電ペースト25、 接続用端子39、導通部54の順序で基板11の背面15の電極端子44に導通されている 。また、オーバーコートガラス21の対応する位置にも導電ペースト25が挿入され る空間24の一部が形成されている。なお、このような空間24は、高融点ガラス22 の配置によっては高融点ガラス22内に設けられていてもよい。
【0015】 図5には、ワンチップIC60に内蔵された計測回路65が示されている。 図5において、計測回路65は、詳細は後述するように圧力変換素子10の本体10 A 内のコンデンサー35, 36の各静電容量CM, CRの和と差との比に関連する出力信 号を得る回路手段である回路70を備え、その他に計測回路65の出力信号のゼロ点 を調整するゼロ点調整手段であるゼロ点調整回路71と、本体10A のダイヤフラム 12に入力付加される測定流体の圧力とこれに対して得られる計測回路65の出力信 号との関係において入力側の圧力の範囲と出力側の出力信号の範囲との大小関係 (スパン)を調整するスパン調整手段であるスパン調整回路72と、入力付加され る圧力とこれに対して得られる出力信号との関係の直線性を補正する直線性補正 手段である直線性補正回路73とを有している。
【0016】 回路70は、オペアンプ83を備え、このオペアンプ83のマイナス端子には、スパ ン調整回路72および直線性補正回路73の出力信号が入力されるようになっている 。 オペアンプ83の出力側は、スイッチ75の一端子に直接に接続されるとともに、 オペアンプ84を介してスイッチ74の一端子に接続されている。これらの各スイッ チ75, 74のコモン端子は、それぞれコンデンサー35, 36の一方の電極である中央 電極31、リファレンス電極32に接続されている。 各コンデンサー35, 36の他方の電極である共通電極34は、スイッチ76を介して オペアンプ85のマイナス端子に接続されており、オペアンプ85の出力側は、各ス イッチ75, 74の他方の端子に共通接続されるとともに、オペアンプ86のマイナス 端子に接続されている。また、オペアンプ85の出力側とマイナス端子との間には データホールド用(詳細は後述)のコンデンサ77(静電容量C0)が設けられてい る。 オペアンプ86のマイナス端子には、ゼロ点調整回路71の出力信号が入力される ようになっており、このオペアンプ86の出力側は、出力端子78に接続されるとと もに、直線性補正回路73に出力信号をフィードバックするようになっている。 なお、各オペアンプ83〜86のプラス端子はそれぞれ接地されている。
【0017】 ゼロ点調整回路71、スパン調整回路72、直線性補正回路73は、それぞれデジタ ル・アナログコンバーター80(DAC)に並列接続された複数のツェナー・ザッ プ・ダイオード81を有し(図5中n個の表示)、これらを必要なビット数だけト リミングすることにより、各機能に応じた出力信号の調整を行うことができるよ うになっている。
【0018】 図5において、回路70は、三つのスイッチ74, 75, 76を備え、これらは図中の 点線と実線との間で切り換わるようになっている。 先ず、各スイッチ74, 75, 76が点線の状態では、本体10A 内の各コンデンサー 35, 36にはオペアンプ83の出力電圧VIとオペアンプ84の出力電圧−VIとがかけら れ、各静電容量CM, CRに応じた電荷QM, QRがQM=−CM×VI、QR=CR×VIにより蓄 えられる。 ここで、電圧、静電容量等の具体例をあげると、電圧VIは2.5V程度(2×VI= 5V)であり、各静電容量CM, CRは例えば30pFで、ダイヤフラム12の撓みによって 、通常コンデンサー35の静電容量CMは 6〜 8pF程度変化し、一方、コンデンサー 36の静電容量CRは 1〜2pF 変化し、両方の静電容量の差は、 5〜 6pF程度のもの となる。 次に、各スイッチ74, 75, 76が実線の状態では、各コンデンサー35, 36に蓄え られた電荷QM, QRの差ΔQが静電容量C0のコンデンサー77へ移動する。この時、 QR>QMとすると、各コンデンサー35, 36の電圧VXは、次式の状態で平衡する。 VX=(QR−ΔQ)/CR=(QM+ΔQ)/CM これより、ΔQ=(CM×QR−CR×QM)/(CR+CM)が得られる。従って、この 電荷ΔQの移動によりオペアンプ85の出力電圧VOは、 VO=VX=(QR−ΔQ)/CR =〔CR×VI−{(CM×QR−CR×QM)/(CR+CM)}〕/CR =〔CR×VI−{(CM×CR×VI+CR×CM×VI)/(CR+CM)}〕/CR ={(CR−CM)/(CR+CM)}×VI となり、各コンデンサー35, 36の静電容量CM, CRの和と差との比に関連する出力 信号を得ることができるようになっている。
【0019】 このような第一実施例においては、以下のようにして測定流体の圧力を検出す る。 先ず、ダイヤフラム12の受圧面16に測定流体の圧力を作用させると同時に、空 間30内へ各電極穴45, 46, 47に形成されたスルーホールのうちの少なくとも一つ を通して大気を導き、空間30内を大気圧とする。この時、ダイヤフラム12はその 受圧面16側と空間30側との差圧により撓む。通常、空間30側に撓むが、測定流体 の圧力が負圧(大気圧以下)の時は逆側に撓む。 次に、このダイヤフラム12の撓みに伴う各コンデンサー35, 36の電極間距離の 変化による各静電容量CM, CRの変化を計測回路65で捉え、各コンデンサー35, 36 の静電容量CM, CRの和と差との比に関連する出力信号を得る。 そして、予めこの出力信号と圧力との関係のキャリブレーション等を行ってお くことにより、検出された出力信号に相当する測定流体の圧力を得る。
【0020】 以下、本第一実施例に係る圧力変換素子10の製造方法の一例を説明する。 先ず、製造工程(1)において、基板11およびダイヤフラム12を適宜な素材、 例えばアルミナセラミクスにより加工成形する。アルミナ(Al2O3 )は、代表的 なファインセラミクス材料であり、高融点で硬く、電気的絶縁性に優れている。 基板11の厚みは、通常4mm程度であり、ダイヤフラム12の厚みは、測定する圧力 の圧力レンジやダイヤフラム12の有効径との関係等によっても異なるが、通常 0 .2mm〜 1.0mm程度である。
【0021】 次に、製造工程(2)において、基板11およびダイヤフラム12に各電極および 接合部20を印刷および焼成する。この印刷および焼成は、全てハイブリッドIC (HIC)の製造技術および製造機械を用いて行うことができる。 製造工程(2A)において、基板11の表の面(対向面13)に図2に示すような 配置で中央電極31、リファレンス電極32、シールド電極33の三つの各電極および 接続用端子39をスクリーン印刷する。印刷材料は、銀パラジウムペースト等であ り、連続炉により 700〜900 ℃程度の温度で焼成する。焼成厚みは、 5〜10μm 程度である。 この際、各電極穴45〜48を真空チャックの真空を利用して吸引しておき、印刷 中の銀パラジウムペーストを内壁面を伝わらせるようにして各電極穴45〜48の中 に流し込む。 製造工程(2B)において、基板11の裏の面(背面15)に図3(A)に示すよ うな配置で各電極端子41〜44を含む電極パターン40をスクリーン印刷する。印刷 材料は、製造工程(2A)と同一の銀パラジウムペーストであり、焼成方法、焼 成厚みも製造工程(2A)と同様である。 この際にも、製造工程(2A)と同様に、各電極穴45〜48を真空チャックの真 空を利用して吸引しておき、印刷中の銀パラジウムペーストを内壁面を伝わらせ るようにして各電極穴45〜48の中に流し込む。この対向面13側および背面15側か らの真空吸引による流し込みにより、各電極穴45〜48には、図6の断面に示すよ うに、内壁面にそれぞれ導通部51〜54が形成され、中心にスルーホールが形成さ れる。また、これらの各電極穴45〜48に形成されたスルーホールのうち、共通電 極34用の電極穴48は、後述の製造工程(4)で挿入される導電ペースト25(図4 参照)により片側の入口を塞がれているが、他の中央電極31、リファレンス電極 32、シールド電極33用の電極穴45〜47のうち少なくとも一つは、空間30に大気を 導くための低圧ポートとして両側の入口を開放されている。
【0022】 製造工程(2C)において、基板11の対向面13にオーバーコートガラス21を図 1,4に示した配置で印刷する。印刷材料は、パシベーションガラス等であり、 連続炉により 700〜900 ℃程度の温度で焼成する。焼成厚みは、20〜28μm程度 である。 製造工程(2D)において、オーバーコートガラス21の上(図1,4に示した 配置)にスペーサーとして機能する高融点ガラス22を印刷する。印刷材料は、ガ ラスペーストであり、連続炉により 700〜900 ℃程度の温度で焼成する。焼成厚 みは、20〜50μm程度であるが、圧力センサーのレンジによりこの厚みは異なる 。 製造工程(2E)において、さらにオーバーコートガラス21の上に、製造工程 (2D)で印刷した高融点ガラス22の内側および外側を囲うような配置、換言す ると高融点ガラス22の両側に跨がった配置(図1,4に示した配置)で接合用の 低融点ガラス23を印刷し、乾燥させる。この際、同時に電極穴48の対応位置に空 間24が形成されるように、この部分を除いたマスクで印刷を行う。印刷材料は、 ガラスペーストであり、乾燥厚みは、20〜50μm程度であるが、圧力センサーの 計測レンジによりこの厚みは異なる。
【0023】 一方、製造工程(2F)において、ダイヤフラム12の対向面14に図2に示すよ うな円状の共通電極34を印刷する。印刷材料は、例えば金レジネートであり、連 続炉により700 〜900 ℃程度の温度で焼成する。焼成厚みは、 0.5〜 1μm程度 である。 製造工程(2G)において、ダイヤフラム12の対向面14に、製造工程(2E) で印刷した接合用の低融点ガラス23と同じ材料を図1,4に示した配置で印刷し 、乾燥させる。乾燥厚みは、20〜50μm程度であるが、圧力センサーの計測レン ジにより異なる。なお、低融点ガラス23は、次の製造工程(3)における焼成に より乾燥厚みに対して焼成後の厚みが大幅に減少してしまうため、その分を考慮 した印刷が行われる。 また、製造工程(2E)または製造工程(2G)のいずれか一方における低融 点ガラス23の印刷を省略し、基板11側またはダイヤフラム12側の片方のみに低融 点ガラス23を印刷して接合を行う場合もあり、要するに低融点ガラス23は、次の 製造工程(3)における焼成後に図4に示した断面配置形状になるように少なく とも一方の側に印刷される。
【0024】 続いて、製造工程(3)において、各対向面13, 14が向かい合うように基板11 とダイヤフラム12とを合わせ、低融点ガラス23を焼成してこれらを接合する。焼 成温度は、約 600〜700 ℃である。 その後、製造工程(4)において、電極穴48に形成されたスルーホールを通し て導電ペースト25(図3参照)を細い線の先等に付けて空間24に挿入し、これを 焼成して共通電極34と基板11の背面15に設けられたその電極端子44との導通を行 う。焼成は、通常 600℃以下の温度で行う。 最後に、製造工程(5)において、基板11の背面15の各回路パス61〜64の一端 が集中する箇所、すなわちワンチップIC60の足の位置に相当する箇所に、ワン チップIC60の内部の計測回路65を接続するためのピンをハンダ付けして立て、 ここにワンチップIC60を搭載する。
【0025】 このような第一実施例によれば、次のような効果がある。 すなわち、基板11側の電極を中央電極31、リファレンス電極32、シールド電極 33に三分割したので、接合部20近傍の基板11の材料であるセラミクスや接合部20 を構成する低融点ガラス23等の影響は、一番外側すなわち接合部20側のコンデン サー37(静電容量CS)のみが受け、この内側のコンデンサー35, 36(静電容量CM , CR)はこれらの影響を受けないものとすることができる。つまり、接合部20の 存在によりシールド電極33と共通電極34とを結ぶ電気力線は外側に膨らむように 形成され、静電容量CSがセラミクスや低融点ガラス23等の湿度変化による誘電率 変化の影響を受けるのに対し、中央電極31およびリファレンス電極32と共通電極 34とを結ぶ電気力線は空間30内に略真っ直ぐに形成される正常なものとなり、静 電容量CM, CRは空間30の大気の誘電率のみの影響を受けることになる。 このため、一番外側すなわち接合部20側のシールド電極33を計測には使用せず に接地用とし、この内側の中央電極31およびリファレンス電極32により計測を行 うことで、前述のセラミクスや低融点ガラス23等の影響を受けずに精度良く計測 を行うことができる。
【0026】 また、図5に示されるように、回路70により出力端子78の電圧VはV∝VO={ (CR−CM)/(CR+CM)}×VIとなり、各コンデンサー35, 36の静電容量CM, CR の和と差との比に関連する出力信号を得ることができるので、空間30の大気の誘 電率が温度、湿度等の影響を受けて変化し、これに伴い静電容量CM, CRが変化し た場合でも、この影響を補正することができ、前述のシールド電極33を設けたこ とによる効果に加え、さらに測定精度を向上させることができる。 つまり、静電容量CM, CRは、それぞれ電極面積をAM, AR、電極間距離をDM, DR 、その変化量をDMP, DRP(DMP > DRP)とすると、 CM=ε×AM/(DM−DMP ),CR=ε×AR/(DR−DRP ) となるが、ここで誘電率εが空間30の大気の温度、湿度等の影響を受けて変化し ても、出力端子78の電圧Vが静電容量CM, CRの和と差との比となっているので、 この影響をキャンセルすることができる。
【0027】 また、中央電極31を円状に形成し、リファレンス電極32およびシールド電極33 を閉じた円環状に形成するので、容易に製造することができる。 さらに、共通電極34を円状に形成したので、基板11とダイヤフラム12との接合 時にその方向性を考慮することなく接合作業を行うことができるので、製造を容 易なものとすることができる。 そして、この円状の共通電極34の外縁部38は、基板11側の一番外側のシールド 電極33の外縁の位置よりも外側に位置しているので、これにより基板11の背面15 への共通電極34用の電極端子44の取り出しを容易に実現することができる。
【0028】 また、シールド電極33が設けられているので、湿度の増加に伴って基板11の材 料であるセラミクスや接合部20を構成する低融点ガラス23等の縁面抵抗が低下し た場合にリファレンス電極32から共通電極34へ流れる漏れ電流(リーク電流)を シールド電極33により吸収することができる。このシールド電極33は、計測には 使用されていないため、結局、シールド電極33の設置により計測における湿度の 影響を少なくすることができる。
【0029】 また、接合部20は、スペーサーとして機能する高融点ガラス22を有し、この周 囲に接合用の低融点ガラス23が配置された構成となっているので、高融点ガラス 22の厚みを調整することで、基板11とダイヤフラム12との間隔、つまりは電極間 距離Tを平行かつ所定の間隔に容易に設定することができる。 さらに、接合部20は、オーバーコートガラス21を有し、これはシールド電極33 と共通電極34との縁面距離を大きくし、縁面抵抗を増大させるため、これらの間 の漏れ電流を減少させることができる。 そして、このオーバーコートガラス21をシールド電極33の一部分だけでなく、 中央電極31やリファレンス電極32も覆うように印刷することで、ダイヤフラム12 が過変形した場合に、これらの電極と共通電極34とが短絡してしまうことを防止 することができる。 また、オーバーコートガラス21は、シールド電極33の一部分を覆い、リファレ ンス電極32側の一部分が空間30の大気に直接露出しているので、リファレンス電 極32から漏れ電流が発生した場合にこれを吸収しやすい構造となっている。この ため、前述したシールド電極33による接合部20の縁面に沿ったリファレンス電極 32から共通電極34への漏れ電流の防止効果を向上させることができる。 さらに、低融点ガラス23およびオーバーコートガラス21に予め空間24が設けら れているので、共通電極34の外部取り出し用の導電ペースト25を挿入する時にこ れが空間30にはみ出してしまうという不都合を未然に防止することができる。
【0030】 また、基板11の背面15に設けられた電極パターン40において、シールド電極33 用の電極端子43と導通された回路パス63A,63B は、共通電極34用の電極端子44を 含む回路パス64を囲むように配置されており、中央電極31用の電極端子41を含む 回路パス61およびリファレンス電極32用の電極端子42を含む回路パス62と、共通 電極34用の電極端子44を含む回路パス64とは、接地電極としての回路パス63A,63 B により互いに隔離された配置状態となっている。 このため、電極パターン40に接する大気の湿度が増加した場合に、中央電極31 用の回路パス61およびリファレンス電極32用の回路パス62から共通電極34用の回 路パス64への漏れ電流をシールド電極33用の回路パス63A,63B により吸収するこ とができ、精度のよい計測を行うことができる。
【0031】 また、このような電極パターン40の配置により大気の湿度変化の影響を減少さ せることで、従来のような漏れ電流の影響が無視できる程度の大きな静電容量変 化を得るために圧力センサーが大型化するという不都合を防止することができる 。 さらに、従来のように湿度変化の影響を減少させるために電極パターン40に接 する大気を密封する必要がなくなり、密封用部品、密封工程を削減することがで きるので、コストダウンすることができるうえ、密封のためのスペースも不要と なるため、この点からも圧力センサーを小型化することができる。 そして、低圧ポートである各電極穴45, 46, 47に形成されたスルーホールのう ちの少なくとも一つの入口部分を除いて、電極パターン40を覆うように基板11の 背面15に溶融樹脂等を滴下して閉塞する処理、いわゆるポッティングを施すこと で、厳しい環境においても使用可能なものとすることができる。ポッティング材 料には、ポリウレタン樹脂等を用いることができる。 また、このような電極パターン40の配置により、前述したような外乱の影響を 減少させることができるため、微弱電流を検出することができる。このため、増 幅素子の増幅感度を上げ、圧力変換素子10を微小容量のものとすることができる ので、圧力センサーを小型化することができる。
【0032】 また、空間30に測定の基準圧となる大気を導く通路(低圧ポート)を、各電極 穴45, 46, 47に形成されたスルーホールを利用して確保しているので、基板11の 背面15側の電極パターン40と対向面13側の各電極とを導通する製造工程(2A) ,(2B)のみで低圧ポートを確保することができ、低圧ポートを形成するため の別の製造工程を省略することができる。
【0033】 さらに、計測回路65を全てワンチップIC60の内部に収め、このワンチップI C60を基板11の背面15上の電極パターン40に直接に搭載したので、従来例のよう な別部材として設けられたプリント基板等の上に多数の部品で構成された計測回 路を搭載する場合に比べ、計測回路を構成する部品自体の削減、およびこれらを 搭載するプリント基板等の部材の省略を図ることができ、部品点数を削減するこ とができる。 このため、これらの計測回路を構成する部品やプリント基板等の装着工程が削 減されて製造工程を簡略化することができるうえ、プリント基板等の設置スペー スを省略できるので、圧力センサーを小型化することができる。
【0034】 また、基板11の背面15側の電極パターン40と、対向面13側の中央電極31、リフ ァレンス電極32、シールド電極33、および接続用端子39とは、ともに低粘度で延 びのよい銀パラジウムペーストにより印刷されているので、確実にこれらの導通 を行うことができる。そして、これらの組合せとして一般的に行われている金レ ジネートと銀パラジウムペーストとの導通において起こる不都合、すなわち異種 材料でかつ金レジネートの焼成後の厚みが薄いことから、これらの異種材料が互 いに接する部分で、片側の材料である金レジネートが、他方の材料である銀パラ ジウムペーストの中に拡散してなくなってしまういわゆる金側の食われ現象が発 生して導通不良を起こすという不都合を解消することができる。 さらに、基板11の背面15側の電極パターン40と、対向面13側の中央電極31、リ ファレンス電極32、シールド電極33、および接続用端子39との両側を金レジネー トで印刷し、各電極穴45〜48のスルーホール処理を行うと、金レジネートが薄く 仕上がるため導通部51〜54の印刷量が極めて少なくなり、導通不良が発生するこ とがあるが、本実施例のように両側を銀パラジウムペーストとしたスルーホール 処理では、このような不都合を生じることはなく、確実に導通を行うことができ る。
【0035】 図7及び図8には、本考案の第二実施例に係る静電容量式の圧力変換素子100 が示されている。 圧力変換素子100 は、ワンチップICに内蔵される計測回路を除いてその構成 、作用等が前述した第一実施例と略同一であり、製造方法も同一である。従って 、同一部分には同じ符号を付して詳しい説明は省略し、異なる部分のみ説明する 。 図7には、圧力変換素子100 の本体10A とこの本体10A 内に形成された各コン デンサー35, 36, 37の静電容量CM, CR, CSの変化を計測する計測回路165 との接 続状態が示されており、図8には、その計測原理が示されている。また、基板11 の背面15には、前述の図3(A)に示した第一実施例と同一の電極パターン40が 形成されており、この電極パターン40に計測回路165 を内蔵したワンチップIC 160 が直接に搭載されている。
【0036】 図7および図8において、計測回路165 は発振器(交流電源)170 を備え、こ の発振器170 からの電圧は、オペアンプ171,172 を通して正確な正・反転信号と してコンデンサー35(静電容量CM)、コンデンサー36(静電容量CR)に印加され る。この際、コンデンサー35, 36の両電極間に発生する電圧VM, VRは、それぞれ 、dVM /dt=IM/CM、 dVR/dt=IR/CRを満たす値となり、各コンデンサー35, 36に流れる電流IM, IRは、各静電容量CM, CRに比例した値となる。なお、発振器 170 により印加される信号は、正弦波であっても、三角形波であってもよい。 これにより、増幅素子であるオペアンプ173 の入力端子174 には、各コンデン サー35, 36の静電容量の差(CM−CR)に比例した電流Iが流れる。従って、各静 電容量CM, CRを略等しく設定しておき、測定流体の圧力によるダイヤフラム12の 撓みに応じた各静電容量CM, CRの変化量ΔCM, ΔCRをΔCM>ΔCRとなるように各 コンデンサー35, 36を配置することで、すなわちダイヤフラム12の撓み量の大き い中央側にコンデンサー35(静電容量CM)を配置することで、オペアンプ173 の 出力端子175 に、ダイヤフラム12の受圧面16に作用する測定流体の圧力の関数と しての出力信号を得ることができる。
【0037】 図7中の点線は、各電極間に走る電気力線を示しており、発振器170 の信号に 応じて一定周期で方向を逆転させながらこのような状態の電気力線が形成される ようになっている。 シールド電極33用の電極端子43と導通された回路パス63A,63B (図3参照)は 、共通電極34用の電極端子44を含む回路パス64を囲むように配置され(図8中点 線に相当)、接地用端子176,177 からバッファ素子178 に接続されて接地されて いる。これらの接地用端子176,177 は、オペアンプ173 の入力端子174 と、各オ ペアンプ171,172 からの信号印加用端子179,180 とを隔てるように配置されてい る。
【0038】 このような第二実施例によれば、前述した第一実施例と略同様に高精度の計測 、圧力センサーの小型化等の効果を得ることができる。 また、本第二実施例では、各コンデンサー35, 36の静電容量の差(CM−CR)と して出力を検出するので、前述した第一実施例のような空間30の大気の温度変化 や湿度変化等による誘電率変化の影響の回避はできないが、シールド電極33が設 けられているので、第一実施例と同様にセラミクスや低融点ガラス23等の影響は 回避することができる。そして、本第二実施例では、前述した第一実施例に比べ 簡易な回路で上記の各効果を実現することができる。
【0039】 図9から図11には、本考案の第三実施例に係る静電容量式の圧力変換素子20 0 が示されている。 圧力変換素子200 は、ワンチップICに内蔵される計測回路および基板の背面 の電極パターンを除いてその構成、作用等が前述した第一実施例および第二実施 例と略同一であり、製造方法も同一である。従って、同一部分には同じ符号を付 して詳しい説明は省略し、異なる部分のみ説明する。 図9には、圧力変換素子200 の電極パターン240 の詳細構成が示されており、 図10には、圧力変換素子200 の本体10A とこの本体10A 内に形成された各コン デンサー35, 36, 37の静電容量CM, CR, CSの変化を計測する計測回路265 との接 続状態が示されており、図11には、その計測原理が示されている。
【0040】 図9において、圧力変換素子200 の基板11の背面15には、前述の第一実施例お よび第二実施例とは異なる電極パターン240 が設けられており、この電極パター ン240 に直接にワンチップIC260 が搭載されるようになっていて、図9は、こ のワンチップIC260 を搭載する前の状態である。 本第三実施例の電極パターン240 は、前記第一、第二実施例の電極パターン40 (図3参照)と同じ位置に中央電極31、リファレンス電極32、シールド電極33、 および共通電極34用の各電極端子41, 42, 43, 44を有しており、このうちの電極 端子41, 42, 44からワンチップIC260 の足(ピン)の位置に導かれた鍵形の各 回路パス261,262,264 も前記第一、第二実施例の各回路パス61, 62, 64と同じ配 置形状となっている。また、電極端子43に導通され、基板11の背面15の外縁部に リング状に形成された回路パス263Aも前記第一、第二実施例の回路パス63A と同 じ配置形状となっている。 ところが、本第三実施例の電極パターン240 は、前記第一、第二実施例の電極 パターン40の回路パス63B とは異なる配置形状の回路パス263Bを有している。す なわち、前記第一、第二実施例の電極パターン40の回路パス63B が、リング状の 回路パス63A の図3中左側部分の内側に接続され、かつ共通電極34用の電極端子 44および回路パス64を囲むように配置されているのに対し、本第三実施例の電極 パターン240 の回路パス263Bは、リング状の回路パス263Aの図9中右側部分の内 側突出部に接続され、かつ中央電極31用の電極端子41を含む回路パス261 および リファレンス電極32用の電極端子42を含む回路パス262 をそれぞれ別々に所定間 隔をおいて囲むように配置されている。また、この回路パス263Bは、各回路パス 261,262,264 の先端と交互の配置位置となるワンチップIC260 の足の位置を通 過していて後述の接地用端子277,278,279 に接続されるようになっている。これ らのシールド電極33用の電極端子43と導通された各回路パス263A,263B は、接地 されている。 したがって、共通電極34用の電極端子44を含む回路パス264 と、中央電極31用 の電極端子41を含む回路パス261 およびリファレンス電極32用の電極端子42を含 む回路パス262 とは、接地電極としての回路パス263A,263B により互いに隔離さ れた配置状態となっている。このため、これらの間の絶縁抵抗低下によるリーク 電流の増加の影響を低減できるようになっている。
【0041】 図10および図11において、本第三実施例に係る計測回路265 は、前記第二 実施例の計測回路165 とは異なり、共通電極34側から電源が印加されている。 計測回路265 は発振器(交流電源)270 を備え、この発振器270 の信号をコン デンサー35(静電容量CM)、コンデンサー36(静電容量CR)に共通電極34から印 加し、これらを励振させて電流Iを流す。この時、各静電容量CM, CRに比例した 電流IM, IRが入力端子271,272 に流れる。この入力信号をそれぞれオペアンプ27 3,274 により増幅し、その差分を演算回路275 で演算して出力端子276 に出力す る。これにより、出力端子276 にダイヤフラム12の受圧面16に作用する測定流体 の圧力の関数としての出力信号を得ることができる。なお、発振器270 により印 加される信号は、正弦波であっても、三角形波であってもよい。 ここで、具体的数値の一例を示すと、圧力センサーの仕様が 0〜2000mmH2O 程 度である場合には、発振器270 から交流の信号が印加され、各静電容量CM, CRを 例えば30pFとすると、ダイヤフラム12の撓みによって、通常コンデンサー35の静 電容量CMは 6〜 8pF程度変化し、一方、コンデンサー36の静電容量CRは 1〜2pF 変化し、両方の静電容量の差は、 5〜 6pF程度のものとなる。
【0042】 図10中の点線は、各電極間に走る電気力線を示しており、発振器270 の信号 に応じて一定周期で方向を逆転させながらこのような状態の電気力線が形成され るようになっている。 シールド電極33の電極端子43と導通された回路パス263A,263B (図9参照)は 、中央電極31用の電極端子41を含む回路パス261 およびリファレンス電極32用の 電極端子42を含む回路パス262 をそれぞれ別々に囲むように配置され(図11中 点線に相当)、接地用端子277,278,279 からバッファ素子280 に接続されて接地 されている。これらの接地用端子277,278,279 は、発振器270 からの信号印加用 端子281 および各オペアンプ273,274 への入力端子271,272 をそれぞれ別々に隔 てるように配置されている。このため、これらの間の絶縁抵抗低下によるリーク 電流の増加の影響を低減できるようになっている。
【0043】 このような第三実施例によれば、前述した第一、第二実施例と略同様に高精度 の計測、圧力センサーの小型化等の効果を得ることができる。 また、本第三実施例では、演算回路275 により電流IM, IRの差分を取って出力 を検出するので、前述した第一実施例のような空間30の大気の温度変化や湿度変 化等による誘電率変化の影響の回避はできないが、シールド電極33が設けられて いるので、第一実施例と同様にセラミクスや低融点ガラス23等の影響は回避する ことができる。そして、本第三実施例では、前述した第一実施例に比べ簡易な回 路で上記の各効果を実現することができる。
【0044】 なお、本考案は前記各実施例に限定されるものではなく、本考案の目的を達成 できる他の構成も含み、例えば以下に示すような変形等も本考案に含まれるもの である。 すなわち、前記各実施例では、オーバーコートガラス21は、シールド電極33の 一部分を覆い、かつこれより外周側に形成されていたが、図12に示すように、 このオーバーコートガラス21が形成された部分に加え、中央電極31やリファレン ス電極32も覆うようなオーバーコートガラス90を形成してもよく、こうすること でダイヤフラム12が過変形した場合に、これらの電極と共通電極34とが短絡して しまうことを防止することができる。 また、前記各実施例のオーバーコートガラス21は、接合部20の一部分を構成す るように設けられているが、図13に示すように、接合部20を構成せずにシール ド電極33の少なくとも一部分のみを覆うように設けられたオーバーコートガラス 91としてもよく、この場合にも縁面距離を増大させ、縁面抵抗を増大させること ができる。 さらに、オーバーコートガラス21は、シールド電極33の一部分だけではなく、 シールド電極33の全部を覆うように形成してもよいが、前記各実施例のようにリ ファレンス電極32側の一部分を空間30に露出させておくことが望ましく、そうす ることでシールド電極33によるリファレンス電極32から共通電極34への漏れ電流 の吸収効果を向上させることができる。
【0045】 また、高融点ガラス22および低融点ガラス23の配置は、前記各実施例の配置( 図4参照)に限定されるものではなく、例えば、高融点ガラス22はもっと外側に 位置していてもよく、これらの形成方法も前記各実施例の製造工程に示された方 法である必要はなく、例えば、高融点ガラス22をダイヤフラム12側に印刷してお き、その後、基板11とダイヤフラム12とを低融点ガラス23で接合するようにして もよく、要するに基板11側とダイヤフラム12側との電極間距離を圧力センサーの 計測レンジに応じた所定間隔に保持できればよい。 さらに、これらの高融点ガラス22、低融点ガラス23、およびオーバーコートガ ラス21の各厚みは、前記各実施例の具体的数値に限定されるものではなく、上記 の所定間隔を形成できるように適宜決定すればよい。
【0046】 また、前記各実施例の各電極31〜34の形状は任意であり、例えば円形や円環状 ではなく、多角形や多角形の環状等であってもよく、これらの各電極31〜34の形 成方法も、前記各実施例の製造工程に示された方法である必要はなく、例えばス クリーン印刷ではなく、メッキ、エッチング、スパッタリング等の通常用いられ る他の手段により形成してもよい。 さらに、本考案の基板11やダイヤフラム12の厚み、各電極31〜34の厚み、電極 間距離、各コンデンサー35〜37の静電容量CM, CR, CS、圧力センサーの仕様等の 数値は、前記各実施例に具体的に記載した数値に限定されるものではなく、測定 対象や測定環境等に応じて適宜決定すればよい。
【0047】 また、前記各実施例では、空間30は大気圧とされ、測定流体の圧力をゲージ圧 として検出するようになっているが、空間30にも測定流体(気体)を導入し、こ の空間30内の圧力と受圧面16に付加される圧力との差圧を検出するようにしても よい。 さらに、本考案の圧力変換素子10を内蔵する圧力センサーの圧力測定対象であ る測定流体(受圧面16に作用する流体)は、液体であってもよく、気体であって もよい。
【0048】
【考案の効果】
以上に述べたように本考案によれば、基板側の最も外側の電極の少なくとも一 部を覆うようにオーバーコートガラスを設けたので、基板側と弾性ダイヤフラム 側との電極間の縁面距離が増大して縁面抵抗が増大するため、この間の漏れ電流 を抑えることができ、正確な圧力を検出することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の第一実施例を示す断面図。
【図2】第一実施例の分解図。
【図3】第一実施例の背面の電極パターンを示す構成
図。
【図4】第一実施例の要部を示す断面図。
【図5】第一実施例の計測回路を示す構成図。
【図6】第一実施例の別の要部を示す断面図。
【図7】本考案の第二実施例を示す構成図。
【図8】第二実施例の計測回路の説明図。
【図9】本考案の第三実施例の背面の電極パターンを示
す構成図。
【図10】第三実施例を示す構成図。
【図11】第三実施例の計測回路の説明図。
【図12】本考案の変形例を示す断面図。
【図13】本考案の別の変形例を示す断面図。
【図14】従来例を示す断面図。
【符号の説明】
10,100,200 圧力変換素子 11 基板 12 ダイヤフラム 20 接合部 21 低融点ガラス 22 高融点ガラス 23,90,91 オーバーコートガラス 31 中央電極 32 リファレンス電極 33 最も外側の電極であるシールド電極 34 共通電極 35 コンデンサー(静電容量CM) 36 コンデンサー(静電容量CR) 37 コンデンサー(静電容量CS) 40,240 電極パターン 60,160,260 ワンチップIC 65,165,265 計測回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 小川 重光 長野県上田市中央西2−14−2 (72)考案者 田中 藤登 長野県小県郡東部町大字和5463 (72)考案者 土屋 宗典 長野県上田市古里694−1 (72)考案者 上原 大司 長野県上田市材木町1−9−4 (72)考案者 長沢 健二 長野県上田市大字上田160−5

Claims (2)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 厚肉の基板と、この基板に所定間隔を置
    いて対向配置された薄肉の弾性ダイヤフラムとを備え、
    これらの基板と弾性ダイヤフラムとの対向面の各々に対
    向する電極が設けられ、前記弾性ダイヤフラムに加わる
    圧力を前記電極間の静電容量の変化により検出する圧力
    センサーであって、 前記電極のうち基板側の電極は順次内側の電極を囲う配
    置となるように複数に分割され、この分割された基板側
    の各電極のうち最も外側の電極はその少なくとも一部を
    絶縁用のオーバーコートガラスにより覆われていること
    を特徴とする圧力センサー。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載した圧力センサーにおい
    て、前記オーバーコートガラスは、分割された基板側の
    各電極のうち最も外側の電極よりも内側の電極の少なく
    とも一部をさらに覆っていることを特徴とする圧力セン
    サー。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011519032A (ja) * 2008-04-24 2011-06-30 カスタム センサーズ アンド テクノロジーズ インコーポレイテッド 感知要素アセンブリと方法

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