JP2573872Y2 - 圧力センサー - Google Patents

圧力センサー

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JP2573872Y2
JP2573872Y2 JP1993015490U JP1549093U JP2573872Y2 JP 2573872 Y2 JP2573872 Y2 JP 2573872Y2 JP 1993015490 U JP1993015490 U JP 1993015490U JP 1549093 U JP1549093 U JP 1549093U JP 2573872 Y2 JP2573872 Y2 JP 2573872Y2
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electrode
substrate
pressure
diaphragm
circuit
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彰浩 新谷
重光 小川
藤登 田中
宗典 土屋
大司 上原
健二 長沢
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Honda Motor Co Ltd
Nagano Keiki Co Ltd
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Honda Motor Co Ltd
Nagano Keiki Co Ltd
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、測定流体の圧力を検出
する圧力センサーに係り、特に、対向する電極間の静電
容量の変化を利用して圧力を検出する静電容量式の圧力
センサーに関する。
【0002】
【背景技術】図14には、静電容量式の圧力センサーに
用いられる従来の圧力変換素子900が示されている(特
開昭59−148842号公報参照)。圧力変換素子900 は、厚
肉の基板901 と、測定流体の圧力により変形する薄肉の
ダイヤフラム902 とを備え、これらの基板901 とダイヤ
フラム902 とは各々リング状の高融点ガラス903 および
低融点ガラス904 を介して互いに平行に所定間隔を置い
て配置されている。基板901 とダイヤフラム902 との対
向面905,906 間には、高融点ガラス903 および低融点ガ
ラス904 に囲まれるように空間907 が形成されている。
基板901 およびダイヤフラム902 の各対向面905,906 に
は、電極910,911 が設けられており、これらにより静電
容量Cのコンデンサ912 が形成されている。基板901 の
背面909 (対向面905 とは反対側の面)には、各電極91
0,911 から基板901 を貫通してリード線912,913 が取り
出されており、また空間907 を真空封止する真空封止部
914 が設けられている。また、ダイヤフラム902 の対向
面906 とは反対側の面は、測定流体の圧力が付加される
受圧面908 となっている。
【0003】このような圧力変換素子900 を用いた静電
容量式の圧力センサーにおいては、空間907 を真空封止
し、一方、受圧面908 から測定流体の圧力を作用させて
ダイヤフラム902 を撓ませる。このダイヤフラム902 の
撓みに伴って各電極910,911間の間隔が変化し、コンデ
ンサ912 の静電容量Cが変化することを利用して測定流
体の圧力を検出する。なお、静電容量式の圧力変換素子
には、このような空間907 を真空として絶対圧力測定を
行うものの他、真空封止部914 を設けずに空間907 を大
気圧としてゲージ圧を検出するもの等がある。
【0004】このような圧力変換素子900 によれば、基
板901 とダイヤフラム902 との接合部が高融点ガラス90
3 と低融点ガラス904 とにより形成されているので、基
板901 とダイヤフラム902 とのギャップ精度は、高融点
ガラス903 の印刷精度により確保することができるう
え、この高融点ガラス903 を印刷形成後に低融点ガラス
904 を印刷することにより接合封着を確実に行うことが
できる。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】ところが、このような
従来の圧力変換素子900 では、湿度の増加に伴って基板
901 やダイヤフラム902 の材料であるセラミクス等、お
よびこれらの接合部の高融点ガラス903 や低融点ガラス
904 の縁面抵抗が少なくなるため、電極910,911間に漏
れ電流が発生し、精度の良い圧力測定を行うことができ
ないという問題があった。また、このような漏れ電流の
発生を抑える必要性から、図示のように縁面距離を稼
ぎ、縁面抵抗を増大させるために、各電極910,911 の外
側端縁から高融点ガラス903 や低融点ガラス904 までの
距離を離さなければならず、このため圧力センサーが大
型化する、あるいは面積の大きな電極を用いることがで
きないので同じ電極間距離の変化量に対して容量変化が
小さくなり、精度の良い計測を行うことができないとい
う問題があった。
【0006】本考案の目的は、静電容量式の圧力変換素
子の基板側と弾性ダイヤフラム側との電極間の漏れ電流
を抑え、圧力を正確に測定することができる圧力センサ
ーを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本考案は、基板側の電極
の少なくとも一部を覆うようにオーバーコートガラスを
設けて前記目的を達成しようとするものである。具体的
には、本考案は、厚肉の基板と、この基板に所定間隔を
置いて対向配置された薄肉の弾性ダイヤフラムとを備
え、これらの基板と弾性ダイヤフラムとの対向面の各々
に対向する電極が設けられ、前記弾性ダイヤフラムに加
わる圧力を前記電極間の静電容量の変化により検出する
圧力センサーであって、前記電極のうち基板側の電極は
順次内側の電極を囲う配置となるように複数に分割さ
れ、この分割された基板側の各電極のうち最も外側の電
極はその少なくとも一部を絶縁用のオーバーコートガラ
スにより覆われていることを特徴とする。また、前記オ
ーバーコートガラスは、分割された基板側の各電極のう
ち最も外側の電極よりも内側の電極の少なくとも一部を
さらに覆っていてもよい。
【0008】
【作用】このような本考案においては、測定流体の圧力
を弾性ダイヤフラムに作用させてこれを撓ませ、この時
の対向電極間の距離の変化に伴う静電容量の変化を捉え
て測定流体の圧力を検出する。この際、基板側の各電極
のうち最も外側の電極の少なくとも一部を覆うようにオ
ーバーコートガラスが設けられているので、この基板側
の最も外側の電極と弾性ダイヤフラム側の電極との間の
縁面距離が大きくなり、この間の縁面抵抗が増大する。
このため、前述したような湿度が増加した際に対向電極
間に発生する漏れ電流は抑制されるようになり、精度の
良い圧力測定が可能になるとともに、電極の外側端縁か
ら基板と弾性ダイヤフラムとの接合部までの距離を短く
して圧力センサーの小型化、あるいは電極面積の増大を
図ることが可能となる。また、このように基板側の最も
外側の電極の少なくとも一部をオーバーコートガラスで
覆う際に、この最も外側の電極の内周側の一部分を覆わ
ずに基板と弾性ダイヤフラムとの間の空間に露出させて
おけば、この最も外側の電極を接地あるいは所定の一定
電圧に保たれる電極とした場合には、この最も外側の電
極の内側に位置する基板側の電極から弾性ダイヤフラム
側の電極への漏れ電流は、この最も外側の電極の露出部
分から容易に吸収される。さらに、分割された基板側の
各電極のうち最も外側の電極よりも内側の電極の少なく
とも一部をオーバーコートガラスで覆うことで、弾性ダ
イヤフラムの過変形による基板側の電極と弾性ダイヤフ
ラム側の電極との短絡が防止されるようになり、これら
により前記目的が達成される。
【0009】
【実施例】以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明
する。図1から図6には、本考案の第一実施例に係る静
電容量式の圧力変換素子10が示されている。図1におい
て、圧力変換素子10は、図示されない圧力センサーの内
部に装着され、測定流体の圧力を検出するために、その
圧力を電気的な出力信号に変換するものである。圧力変
換素子10は、偏平な円柱状の外形の本体10A を有し、こ
の本体10A は、セラミック製の厚肉の基板11と、セラミ
ック製で測定流体の圧力により変形する薄肉のダイヤフ
ラム12とを備え、これらの基板11とダイヤフラム12とは
接合部20を介して互いに平行に所定間隔を置いて配置さ
れている。基板11とダイヤフラム12との対向面13, 14間
には、リング状の接合部20に囲まれるように空間30が形
成されている。
【0010】基板11の対向面13には、図2にも示される
ように、中心部が抜けていない中実円形の中央電極31、
各リング状のリファレンス電極32およびシールド電極33
の合計三つの電極が設けられ、一方、ダイヤフラム12の
対向面14には、中実円形の共通電極34が設けられてい
る。図2は、基板11およびダイヤフラム12をそれぞれ対
向面13, 14側から見た状態の図である(接合部20は形成
されていない状態とする)。なお、図中のハッチングは
断面を示すものではなく、説明上見やすくするために記
載したものであり、後述する図3(A),図9における
ハッチングも同様である。基板11の対向面13において、
中央電極31は中実の円状に形成され、リファレンス電極
32は中央電極31を囲むように閉じた円環状(リング状)
に形成され、さらにその外側には、シールド電極33がリ
ファレンス電極32を囲むように閉じた円環状(リング
状)に形成されている。これらの中央電極31とリファレ
ンス電極32との間隔S1およびリファレンス電極32とシー
ルド電極33との間隔S2は、例えば、各々 500μm程度で
ある。ダイヤフラム12の対向面14において、共通電極34
は中実の円状に形成され、その外径DCは、シールド電極
33の外径DSよりも大きくなっており、この共通電極34の
シールド電極33の外縁よりも外側に位置する部分は、後
述する電極端子形成用の外縁部38となっている。また、
基板11の対向面13のシールド電極33の外側には、共通電
極34の外縁部38と導通される接続用端子39が銀パラジウ
ムペースト等の導電性材料で形成されている。
【0011】図1に戻って、これらの各電極により空間
30内の大気を誘電体とする合計三つのコンデンサーが形
成されている。すなわち、中央電極31と共通電極34とに
より静電容量CMのコンデンサー35、リファレンス電極32
と共通電極34とにより静電容量CRのコンデンサー36、シ
ールド電極33と共通電極34とにより静電容量CSのコンデ
ンサー37がそれぞれ形成されている。この各コンデンサ
ー35, 36, 37の電極間距離Tは、接合部20の厚みにより
決定され、ダイヤフラム12に圧力が作用しない状態で、
例えば、50μm程度である。また、ダイヤフラム12の対
向面14とは反対側の面は、測定流体の圧力が付加される
受圧面16となっている。圧力変換素子10は、このダイヤ
フラム12の受圧面16に作用する測定流体の圧力と空間30
内の大気圧との差圧によりダイヤフラム12が撓んで各コ
ンデンサー35, 36, 37の電極間距離がその初期値Tより
変化し、これに伴って各静電容量CM, CR, CSが変化する
ことを利用して測定流体の圧力を検出するように構成さ
れている。
【0012】基板11の背面15(対向面13とは反対側の
面)には、ワンチップIC60が搭載されている。このワ
ンチップIC60は、詳細は後述するように、C−MOS
のASIC(カスタムIC)であって各静電容量CM, C
R, CSの変化を計測する計測回路65(後述の図5参照)
を内蔵している。また、基板11の背面15には、このワン
チップIC60を直接に搭載するための電極パターン40が
印刷形成されている。図3には、電極パターン40の詳細
構成が示されており、(A)は、ワンチップIC60を搭
載する前の状態であり、(B)は、ワンチップIC60を
搭載した後の状態である。電極パターン40は、基板11の
背面15の外縁部にリング状に形成された回路パス63A を
備え、この回路パス63A の図中右側部分の内側突出部に
基板11側のシールド電極33用の電極端子43が電気的導通
状態で形成されている。一方、回路パス63A の内側にお
いて、基板11側の中央電極31、リファレンス電極32用の
各電極端子41, 42およびダイヤフラム12側の共通電極34
用の電極端子44がそれぞれスポット状に形成され、これ
らの各電極端子41, 42, 44からそれぞれ鍵形の各回路パ
ス61, 62, 64が形成され、その先端はワンチップIC60
の足(ピン)の位置に導かれている。この際、共通電極
34用の電極端子44および回路パス64の周囲には、所定間
隔をおいて回路パス63B が設けられ、この回路パス63B
は、リング状の回路パス63Aの図中左側部分の内側に接
続されて回路パス63A と一体化されている。また、回路
パス63B は、回路パス64の先端の両側に位置するワンチ
ップIC60の足の位置を通過するように配置され、ワン
チップIC60の接地用端子に接続されるようになってい
る。これらのシールド電極33用の電極端子43と導通され
た各回路パス63A,63B は、接地されている。したがっ
て、中央電極31用の電極端子41を含む回路パス61および
リファレンス電極32用の電極端子42を含む回路パス62
と、共通電極34用の電極端子44を含む回路パス64とは、
接地電極としての回路パス63A,63B により互いに隔離さ
れた配置状態となっている。このため、これらの間の絶
縁抵抗低下によるリーク電流の増加の影響を低減できる
ようになっている。
【0013】各電極端子41, 42, 43, 44は、図1に示す
ように、それぞれ基板11を貫通するように設けられた電
極穴45, 46, 47, 48に形成された導通部51, 52, 53, 54
により、それぞれ中央電極31、リファレンス電極32、シ
ールド電極33、および共通電極34に導通される接続用端
子39と導通している。この際、各導通部51, 52, 53, 54
は各電極穴45, 46, 47, 48の内壁面にそれぞれ設けられ
ており、各穴の中心には、スルーホールが形成されてい
る。このうち電極穴48のスルーホールは後述する導電ペ
ースト25により塞がれているが、残りの電極穴45, 46,
47のスルーホールのうち少なくとも一つは両側の入口を
開放されており、空間30に外部の大気を導くことができ
るようになっている。
【0014】図4には、接合部20の詳細断面が示されて
いる。接合部20は、シールド電極33の外周側を覆うよう
に基板11側に密着配置されたオーバーコートガラス21
と、このオーバーコートガラス21とダイヤフラム12との
間隔を調整するためにこれらの間に設けられスペーサー
として機能するリング状の高融点ガラス22と、オーバー
コートガラス21とダイヤフラム12との間であって高融点
ガラス22の内周側および外周側周囲に配置された低融点
ガラス23とを含み構成されている。オーバーコートガラ
ス21は、シールド電極33と共通電極34との縁面距離を大
きくし、縁面抵抗を増大させるために設けられている。
高融点ガラス22は、結晶化ガラス等であり、その厚みを
調整することで、基板11とダイヤフラム12との間隔、つ
まりは電極間距離Tを所定の間隔に保つように設けられ
ている。圧力レンジの変更は、一般的にダイヤフラム12
の板厚の変更により行われるが、この高融点ガラス22の
厚み調整による電極間距離Tの変更でも行うことが可能
となっている。低融点ガラス23は、非結晶化ガラス等で
あり、その一部分には空間24が設けられている。この空
間24には、共通電極34の外縁部38と接続用端子39とを導
通する導電ペースト25が挿入されており、空間24は、後
述する製造工程での導電ペースト25の挿入時のはみ出し
防止のために空間30に対して低融点ガラス23により仕切
られている。これにより、共通電極34は、その外縁部38
から、導電ペースト25、接続用端子39、導通部54の順序
で基板11の背面15の電極端子44に導通されている。ま
た、オーバーコートガラス21の対応する位置にも導電ペ
ースト25が挿入される空間24の一部が形成されている。
なお、このような空間24は、高融点ガラス22の配置によ
っては高融点ガラス22内に設けられていてもよい。
【0015】図5には、ワンチップIC60に内蔵された
計測回路65が示されている。図5において、計測回路65
は、詳細は後述するように圧力変換素子10の本体10A 内
のコンデンサー35, 36の各静電容量CM, CRの和と差との
比に関連する出力信号を得る回路手段である回路70を備
え、その他に計測回路65の出力信号のゼロ点を調整する
ゼロ点調整手段であるゼロ点調整回路71と、本体10A の
ダイヤフラム12に入力付加される測定流体の圧力とこれ
に対して得られる計測回路65の出力信号との関係におい
て入力側の圧力の範囲と出力側の出力信号の範囲との大
小関係(スパン)を調整するスパン調整手段であるスパ
ン調整回路72と、入力付加される圧力とこれに対して得
られる出力信号との関係の直線性を補正する直線性補正
手段である直線性補正回路73とを有している。
【0016】回路70は、オペアンプ83を備え、このオペ
アンプ83のマイナス端子には、スパン調整回路72および
直線性補正回路73の出力信号が入力されるようになって
いる。オペアンプ83の出力側は、スイッチ75の一端子に
直接に接続されるとともに、オペアンプ84を介してスイ
ッチ74の一端子に接続されている。これらの各スイッチ
75, 74のコモン端子は、それぞれコンデンサー35, 36の
一方の電極である中央電極31、リファレンス電極32に接
続されている。各コンデンサー35, 36の他方の電極であ
る共通電極34は、スイッチ76を介してオペアンプ85のマ
イナス端子に接続されており、オペアンプ85の出力側
は、各スイッチ75, 74の他方の端子に共通接続されると
ともに、オペアンプ86のマイナス端子に接続されてい
る。また、オペアンプ85の出力側とマイナス端子との間
にはデータホールド用(詳細は後述)のコンデンサ77
(静電容量C0)が設けられている。オペアンプ86のマイ
ナス端子には、ゼロ点調整回路71の出力信号が入力され
るようになっており、このオペアンプ86の出力側は、出
力端子78に接続されるとともに、直線性補正回路73に出
力信号をフィードバックするようになっている。なお、
各オペアンプ83〜86のプラス端子はそれぞれ接地されて
いる。
【0017】ゼロ点調整回路71、スパン調整回路72、直
線性補正回路73は、それぞれデジタル・アナログコンバ
ーター80(DAC)に並列接続された複数のツェナー・
ザップ・ダイオード81を有し(図5中n個の表示)、こ
れらを必要なビット数だけトリミングすることにより、
各機能に応じた出力信号の調整を行うことができるよう
になっている。
【0018】図5において、回路70は、三つのスイッチ
74, 75, 76を備え、これらは図中の点線と実線との間で
切り換わるようになっている。先ず、各スイッチ74, 7
5, 76が点線の状態では、本体10A 内の各コンデンサー3
5, 36にはオペアンプ83の出力電圧VIとオペアンプ84の
出力電圧−VIとがかけられ、各静電容量CM, CRに応じた
電荷QM, QRがQM=−CM×VI、QR=CR×VIにより蓄えられ
る。ここで、電圧、静電容量等の具体例をあげると、電
圧VIは2.5V程度(2×VI=5V)であり、各静電容量CM,
CRは例えば30pFで、ダイヤフラム12の撓みによって、通
常コンデンサー35の静電容量CMは 6〜 8pF程度変化し、
一方、コンデンサー36の静電容量CRは 1〜2pF 変化し、
両方の静電容量の差は、 5〜 6pF程度のものとなる。次
に、各スイッチ74, 75, 76が実線の状態では、各コンデ
ンサー35, 36に蓄えられた電荷QM, QRの差ΔQが静電容
量C0のコンデンサー77へ移動する。この時、QR>QMとす
ると、各コンデンサー35, 36の電圧VXは、次式の状態で
平衡する。 VX=(QR−ΔQ)/CR=(QM+ΔQ)/CM これより、ΔQ=(CM×QR−CR×QM)/(CR+CM)が得
られる。従って、この電荷ΔQの移動によりオペアンプ
85の出力電圧VOは、 VO=VX=(QR−ΔQ)/CR =〔CR×VI−{(CM×QR−CR×QM)/(CR+CM)}〕/CR =〔CR×VI−{(CM×CR×VI+CR×CM×VI)/(CR+CM)}〕/CR ={(CR−CM)/(CR+CM)}×VI となり、各コンデンサー35, 36の静電容量CM, CRの和と
差との比に関連する出力信号を得ることができるように
なっている。
【0019】このような第一実施例においては、以下の
ようにして測定流体の圧力を検出する。先ず、ダイヤフ
ラム12の受圧面16に測定流体の圧力を作用させると同時
に、空間30内へ各電極穴45, 46, 47に形成されたスルー
ホールのうちの少なくとも一つを通して大気を導き、空
間30内を大気圧とする。この時、ダイヤフラム12はその
受圧面16側と空間30側との差圧により撓む。通常、空間
30側に撓むが、測定流体の圧力が負圧(大気圧以下)の
時は逆側に撓む。次に、このダイヤフラム12の撓みに伴
う各コンデンサー35, 36の電極間距離の変化による各静
電容量CM, CRの変化を計測回路65で捉え、各コンデンサ
ー35, 36の静電容量CM, CRの和と差との比に関連する出
力信号を得る。そして、予めこの出力信号と圧力との関
係のキャリブレーション等を行っておくことにより、検
出された出力信号に相当する測定流体の圧力を得る。
【0020】以下、本第一実施例に係る圧力変換素子10
の製造方法の一例を説明する。先ず、製造工程(1)に
おいて、基板11およびダイヤフラム12を適宜な素材、例
えばアルミナセラミクスにより加工成形する。アルミナ
(Al2O3 )は、代表的なファインセラミクス材料であ
り、高融点で硬く、電気的絶縁性に優れている。基板11
の厚みは、通常4mm程度であり、ダイヤフラム12の厚み
は、測定する圧力の圧力レンジやダイヤフラム12の有効
径との関係等によっても異なるが、通常 0.2mm〜 1.0mm
程度である。
【0021】次に、製造工程(2)において、基板11お
よびダイヤフラム12に各電極および接合部20を印刷およ
び焼成する。この印刷および焼成は、全てハイブリッド
IC(HIC)の製造技術および製造機械を用いて行う
ことができる。製造工程(2A)において、基板11の表
の面(対向面13)に図2に示すような配置で中央電極3
1、リファレンス電極32、シールド電極33の三つの各電
極および接続用端子39をスクリーン印刷する。印刷材料
は、銀パラジウムペースト等であり、連続炉により 700
〜900 ℃程度の温度で焼成する。焼成厚みは、 5〜10μ
m程度である。この際、各電極穴45〜48を真空チャック
の真空を利用して吸引しておき、印刷中の銀パラジウム
ペーストを内壁面を伝わらせるようにして各電極穴45〜
48の中に流し込む。製造工程(2B)において、基板11
の裏の面(背面15)に図3(A)に示すような配置で各
電極端子41〜44を含む電極パターン40をスクリーン印刷
する。印刷材料は、製造工程(2A)と同一の銀パラジ
ウムペーストであり、焼成方法、焼成厚みも製造工程
(2A)と同様である。この際にも、製造工程(2A)
と同様に、各電極穴45〜48を真空チャックの真空を利用
して吸引しておき、印刷中の銀パラジウムペーストを内
壁面を伝わらせるようにして各電極穴45〜48の中に流し
込む。この対向面13側および背面15側からの真空吸引に
よる流し込みにより、各電極穴45〜48には、図6の断面
に示すように、内壁面にそれぞれ導通部51〜54が形成さ
れ、中心にスルーホールが形成される。また、これらの
各電極穴45〜48に形成されたスルーホールのうち、共通
電極34用の電極穴48は、後述の製造工程(4)で挿入さ
れる導電ペースト25(図4参照)により片側の入口を塞
がれているが、他の中央電極31、リファレンス電極32、
シールド電極33用の電極穴45〜47のうち少なくとも一つ
は、空間30に大気を導くための低圧ポートとして両側の
入口を開放されている。
【0022】製造工程(2C)において、基板11の対向
面13にオーバーコートガラス21を図1,4に示した配置
で印刷する。印刷材料は、パシベーションガラス等であ
り、連続炉により 700〜900 ℃程度の温度で焼成する。
焼成厚みは、20〜28μm程度である。製造工程(2D)
において、オーバーコートガラス21の上(図1,4に示
した配置)にスペーサーとして機能する高融点ガラス22
を印刷する。印刷材料は、ガラスペーストであり、連続
炉により 700〜900 ℃程度の温度で焼成する。焼成厚み
は、20〜50μm程度であるが、圧力センサーのレンジに
よりこの厚みは異なる。製造工程(2E)において、さ
らにオーバーコートガラス21の上に、製造工程(2D)
で印刷した高融点ガラス22の内側および外側を囲うよう
な配置、換言すると高融点ガラス22の両側に跨がった配
置(図1,4に示した配置)で接合用の低融点ガラス23
を印刷し、乾燥させる。この際、同時に電極穴48の対応
位置に空間24が形成されるように、この部分を除いたマ
スクで印刷を行う。印刷材料は、ガラスペーストであ
り、乾燥厚みは、20〜50μm程度であるが、圧力センサ
ーの計測レンジによりこの厚みは異なる。
【0023】一方、製造工程(2F)において、ダイヤ
フラム12の対向面14に図2に示すような円状の共通電極
34を印刷する。印刷材料は、例えば金レジネートであ
り、連続炉により700 〜900 ℃程度の温度で焼成する。
焼成厚みは、 0.5〜 1μm程度である。製造工程(2
G)において、ダイヤフラム12の対向面14に、製造工程
(2E)で印刷した接合用の低融点ガラス23と同じ材料
を図1,4に示した配置で印刷し、乾燥させる。乾燥厚
みは、20〜50μm程度であるが、圧力センサーの計測レ
ンジにより異なる。なお、低融点ガラス23は、次の製造
工程(3)における焼成により乾燥厚みに対して焼成後
の厚みが大幅に減少してしまうため、その分を考慮した
印刷が行われる。また、製造工程(2E)または製造工
程(2G)のいずれか一方における低融点ガラス23の印
刷を省略し、基板11側またはダイヤフラム12側の片方の
みに低融点ガラス23を印刷して接合を行う場合もあり、
要するに低融点ガラス23は、次の製造工程(3)におけ
る焼成後に図4に示した断面配置形状になるように少な
くとも一方の側に印刷される。
【0024】続いて、製造工程(3)において、各対向面1
3、14が向かい合うように基板11とダイヤフラム12とを合
わせ、低融点ガラス23を焼成してこれらを接合する。焼
成温度は、約600〜700℃である。その後、製造工程(4)
において、電極穴48に形成されたスルーホールを通して
導電ペースト25(図4参照)を細い線の先等に付けて空
間24に挿入し、これを焼成して共通電極34と基板11の背
面15に設けられたその電極端子44との導通を行う。焼成
は、通常600℃以下の温度で行う。最後に、製造工程(5)
において、基板11の背面15の各回路パス61〜64の一端が
集中する箇所、すなわちワンチップIC60の足の位置に
相当する箇所に、ワンチップIC60の内部の計測回路65
を接続するためのピンをハンダ付けして立て、ここにワ
ンチップIC60を搭載する。
【0025】このような第一実施例によれば、次のよう
な効果がある。すなわち、基板11側の電極を中央電極3
1、リファレンス電極32、シールド電極33に三分割した
ので、接合部20近傍の基板11の材料であるセラミクスや
接合部20を構成する低融点ガラス23等の影響は、一番外
側すなわち接合部20側のコンデンサー37(静電容量CS)
のみが受け、この内側のコンデンサー35, 36(静電容量
CM, CR)はこれらの影響を受けないものとすることがで
きる。つまり、接合部20の存在によりシールド電極33と
共通電極34とを結ぶ電気力線は外側に膨らむように形成
され、静電容量CSがセラミクスや低融点ガラス23等の湿
度変化による誘電率変化の影響を受けるのに対し、中央
電極31およびリファレンス電極32と共通電極34とを結ぶ
電気力線は空間30内に略真っ直ぐに形成される正常なも
のとなり、静電容量CM, CRは空間30の大気の誘電率のみ
の影響を受けることになる。このため、一番外側すなわ
ち接合部20側のシールド電極33を計測には使用せずに接
地用とし、この内側の中央電極31およびリファレンス電
極32により計測を行うことで、前述のセラミクスや低融
点ガラス23等の影響を受けずに精度良く計測を行うこと
ができる。
【0026】また、図5に示されるように、回路70によ
り出力端子78の電圧VはV∝VO={(CR−CM)/(CR+
CM)}×VIとなり、各コンデンサー35, 36の静電容量C
M, CRの和と差との比に関連する出力信号を得ることが
できるので、空間30の大気の誘電率が温度、湿度等の影
響を受けて変化し、これに伴い静電容量CM, CRが変化し
た場合でも、この影響を補正することができ、前述のシ
ールド電極33を設けたことによる効果に加え、さらに測
定精度を向上させることができる。つまり、静電容量C
M, CRは、それぞれ電極面積をAM, AR、電極間距離をDM,
DR、その変化量をDMP, DRP(DMP > DRP)とすると、 CM=ε×AM/(DM−DMP ),CR=ε×AR/(DR−DRP ) となるが、ここで誘電率εが空間30の大気の温度、湿度
等の影響を受けて変化しても、出力端子78の電圧Vが静
電容量CM, CRの和と差との比となっているので、この影
響をキャンセルすることができる。
【0027】また、中央電極31を円状に形成し、リファ
レンス電極32およびシールド電極33を閉じた円環状に形
成するので、容易に製造することができる。さらに、共
通電極34を円状に形成したので、基板11とダイヤフラム
12との接合時にその方向性を考慮することなく接合作業
を行うことができるので、製造を容易なものとすること
ができる。そして、この円状の共通電極34の外縁部38
は、基板11側の一番外側のシールド電極33の外縁の位置
よりも外側に位置しているので、これにより基板11の背
面15への共通電極34用の電極端子44の取り出しを容易に
実現することができる。
【0028】また、シールド電極33が設けられているの
で、湿度の増加に伴って基板11の材料であるセラミクス
や接合部20を構成する低融点ガラス23等の縁面抵抗が低
下した場合にリファレンス電極32から共通電極34へ流れ
る漏れ電流(リーク電流)をシールド電極33により吸収
することができる。このシールド電極33は、計測には使
用されていないため、結局、シールド電極33の設置によ
り計測における湿度の影響を少なくすることができる。
【0029】また、接合部20は、スペーサーとして機能
する高融点ガラス22を有し、この周囲に接合用の低融点
ガラス23が配置された構成となっているので、高融点ガ
ラス22の厚みを調整することで、基板11とダイヤフラム
12との間隔、つまりは電極間距離Tを平行かつ所定の間
隔に容易に設定することができる。さらに、接合部20
は、オーバーコートガラス21を有し、これはシールド電
極33と共通電極34との縁面距離を大きくし、縁面抵抗を
増大させるため、これらの間の漏れ電流を減少させるこ
とができる。そして、このオーバーコートガラス21をシ
ールド電極33の一部分だけでなく、中央電極31やリファ
レンス電極32も覆うように印刷することで、ダイヤフラ
ム12が過変形した場合に、これらの電極と共通電極34と
が短絡してしまうことを防止することができる。また、
オーバーコートガラス21は、シールド電極33の一部分を
覆い、リファレンス電極32側の一部分が空間30の大気に
直接露出しているので、リファレンス電極32から漏れ電
流が発生した場合にこれを吸収しやすい構造となってい
る。このため、前述したシールド電極33による接合部20
の縁面に沿ったリファレンス電極32から共通電極34への
漏れ電流の防止効果を向上させることができる。さら
に、低融点ガラス23およびオーバーコートガラス21に予
め空間24が設けられているので、共通電極34の外部取り
出し用の導電ペースト25を挿入する時にこれが空間30に
はみ出してしまうという不都合を未然に防止することが
できる。
【0030】また、基板11の背面15に設けられた電極パ
ターン40において、シールド電極33用の電極端子43と導
通された回路パス63A,63B は、共通電極34用の電極端子
44を含む回路パス64を囲むように配置されており、中央
電極31用の電極端子41を含む回路パス61およびリファレ
ンス電極32用の電極端子42を含む回路パス62と、共通電
極34用の電極端子44を含む回路パス64とは、接地電極と
しての回路パス63A,63B により互いに隔離された配置状
態となっている。このため、電極パターン40に接する大
気の湿度が増加した場合に、中央電極31用の回路パス61
およびリファレンス電極32用の回路パス62から共通電極
34用の回路パス64への漏れ電流をシールド電極33用の回
路パス63A,63B により吸収することができ、精度のよい
計測を行うことができる。
【0031】また、このような電極パターン40の配置に
より大気の湿度変化の影響を減少させることで、従来の
ような漏れ電流の影響が無視できる程度の大きな静電容
量変化を得るために圧力センサーが大型化するという不
都合を防止することができる。さらに、従来のように湿
度変化の影響を減少させるために電極パターン40に接す
る大気を密封する必要がなくなり、密封用部品、密封工
程を削減することができるので、コストダウンすること
ができるうえ、密封のためのスペースも不要となるた
め、この点からも圧力センサーを小型化することができ
る。そして、低圧ポートである各電極穴45, 46, 47に形
成されたスルーホールのうちの少なくとも一つの入口部
分を除いて、電極パターン40を覆うように基板11の背面
15に溶融樹脂等を滴下して閉塞する処理、いわゆるポッ
ティングを施すことで、厳しい環境においても使用可能
なものとすることができる。ポッティング材料には、ポ
リウレタン樹脂等を用いることができる。また、このよ
うな電極パターン40の配置により、前述したような外乱
の影響を減少させることができるため、微弱電流を検出
することができる。このため、増幅素子の増幅感度を上
げ、圧力変換素子10を微小容量のものとすることができ
るので、圧力センサーを小型化することができる。
【0032】また、空間30に測定の基準圧となる大気を
導く通路(低圧ポート)を、各電極穴45, 46, 47に形成
されたスルーホールを利用して確保しているので、基板
11の背面15側の電極パターン40と対向面13側の各電極と
を導通する製造工程(2A),(2B)のみで低圧ポー
トを確保することができ、低圧ポートを形成するための
別の製造工程を省略することができる。
【0033】さらに、計測回路65を全てワンチップIC
60の内部に収め、このワンチップIC60を基板11の背面
15上の電極パターン40に直接に搭載したので、従来例の
ような別部材として設けられたプリント基板等の上に多
数の部品で構成された計測回路を搭載する場合に比べ、
計測回路を構成する部品自体の削減、およびこれらを搭
載するプリント基板等の部材の省略を図ることができ、
部品点数を削減することができる。このため、これらの
計測回路を構成する部品やプリント基板等の装着工程が
削減されて製造工程を簡略化することができるうえ、プ
リント基板等の設置スペースを省略できるので、圧力セ
ンサーを小型化することができる。
【0034】また、基板11の背面15側の電極パターン40
と、対向面13側の中央電極31、リファレンス電極32、シ
ールド電極33、および接続用端子39とは、ともに低粘度
で延びのよい銀パラジウムペーストにより印刷されてい
るので、確実にこれらの導通を行うことができる。そし
て、これらの組合せとして一般的に行われている金レジ
ネートと銀パラジウムペーストとの導通において起こる
不都合、すなわち異種材料でかつ金レジネートの焼成後
の厚みが薄いことから、これらの異種材料が互いに接す
る部分で、片側の材料である金レジネートが、他方の材
料である銀パラジウムペーストの中に拡散してなくなっ
てしまういわゆる金側の食われ現象が発生して導通不良
を起こすという不都合を解消することができる。さら
に、基板11の背面15側の電極パターン40と、対向面13側
の中央電極31、リファレンス電極32、シールド電極33、
および接続用端子39との両側を金レジネートで印刷し、
各電極穴45〜48のスルーホール処理を行うと、金レジネ
ートが薄く仕上がるため導通部51〜54の印刷量が極めて
少なくなり、導通不良が発生することがあるが、本実施
例のように両側を銀パラジウムペーストとしたスルーホ
ール処理では、このような不都合を生じることはなく、
確実に導通を行うことができる。
【0035】図7及び図8には、本考案の第二実施例に
係る静電容量式の圧力変換素子100が示されている。圧
力変換素子100 は、ワンチップICに内蔵される計測回
路を除いてその構成、作用等が前述した第一実施例と略
同一であり、製造方法も同一である。従って、同一部分
には同じ符号を付して詳しい説明は省略し、異なる部分
のみ説明する。図7には、圧力変換素子100 の本体10A
とこの本体10A 内に形成された各コンデンサー35, 36,
37の静電容量CM, CR, CSの変化を計測する計測回路165
との接続状態が示されており、図8には、その計測原理
が示されている。また、基板11の背面15には、前述の図
3(A)に示した第一実施例と同一の電極パターン40が
形成されており、この電極パターン40に計測回路165 を
内蔵したワンチップIC160 が直接に搭載されている。
【0036】図7および図8において、計測回路165 は
発振器(交流電源)170 を備え、この発振器170 からの
電圧は、オペアンプ171,172 を通して正確な正・反転信
号としてコンデンサー35(静電容量CM)、コンデンサー
36(静電容量CR)に印加される。この際、コンデンサー
35, 36の両電極間に発生する電圧VM, VRは、それぞれ、
dVM /dt=IM/CM、 dVR/dt=IR/CRを満たす値とな
り、各コンデンサー35,36に流れる電流IM, IRは、各静
電容量CM, CRに比例した値となる。なお、発振器170 に
より印加される信号は、正弦波であっても、三角形波で
あってもよい。これにより、増幅素子であるオペアンプ
173 の入力端子174 には、各コンデンサー35, 36の静電
容量の差(CM−CR)に比例した電流Iが流れる。従っ
て、各静電容量CM, CRを略等しく設定しておき、測定流
体の圧力によるダイヤフラム12の撓みに応じた各静電容
量CM, CRの変化量ΔCM, ΔCRをΔCM>ΔCRとなるように
各コンデンサー35, 36を配置することで、すなわちダイ
ヤフラム12の撓み量の大きい中央側にコンデンサー35
(静電容量CM)を配置することで、オペアンプ173 の出
力端子175 に、ダイヤフラム12の受圧面16に作用する測
定流体の圧力の関数としての出力信号を得ることができ
る。
【0037】図7中の点線は、各電極間に走る電気力線
を示しており、発振器170 の信号に応じて一定周期で方
向を逆転させながらこのような状態の電気力線が形成さ
れるようになっている。シールド電極33用の電極端子43
と導通された回路パス63A,63B (図3参照)は、共通電
極34用の電極端子44を含む回路パス64を囲むように配置
され(図8中点線に相当)、接地用端子176,177 からバ
ッファ素子178 に接続されて接地されている。これらの
接地用端子176,177 は、オペアンプ173 の入力端子174
と、各オペアンプ171,172 からの信号印加用端子179,18
0 とを隔てるように配置されている。
【0038】このような第二実施例によれば、前述した
第一実施例と略同様に高精度の計測、圧力センサーの小
型化等の効果を得ることができる。また、本第二実施例
では、各コンデンサー35, 36の静電容量の差(CM−CR)
として出力を検出するので、前述した第一実施例のよう
な空間30の大気の温度変化や湿度変化等による誘電率変
化の影響の回避はできないが、シールド電極33が設けら
れているので、第一実施例と同様にセラミクスや低融点
ガラス23等の影響は回避することができる。そして、本
第二実施例では、前述した第一実施例に比べ簡易な回路
で上記の各効果を実現することができる。
【0039】図9から図11には、本考案の第三実施例
に係る静電容量式の圧力変換素子200 が示されている。
圧力変換素子200 は、ワンチップICに内蔵される計測
回路および基板の背面の電極パターンを除いてその構
成、作用等が前述した第一実施例および第二実施例と略
同一であり、製造方法も同一である。従って、同一部分
には同じ符号を付して詳しい説明は省略し、異なる部分
のみ説明する。図9には、圧力変換素子200 の電極パタ
ーン240 の詳細構成が示されており、図10には、圧力
変換素子200 の本体10A とこの本体10A 内に形成された
各コンデンサー35, 36, 37の静電容量CM, CR, CSの変化
を計測する計測回路265 との接続状態が示されており、
図11には、その計測原理が示されている。
【0040】図9において、圧力変換素子200 の基板11
の背面15には、前述の第一実施例および第二実施例とは
異なる電極パターン240 が設けられており、この電極パ
ターン240 に直接にワンチップIC260 が搭載されるよ
うになっていて、図9は、このワンチップIC260 を搭
載する前の状態である。本第三実施例の電極パターン24
0 は、前記第一、第二実施例の電極パターン40(図3参
照)と同じ位置に中央電極31、リファレンス電極32、シ
ールド電極33、および共通電極34用の各電極端子41, 4
2, 43, 44を有しており、このうちの電極端子41, 42, 4
4からワンチップIC260 の足(ピン)の位置に導かれ
た鍵形の各回路パス261,262,264 も前記第一、第二実施
例の各回路パス61, 62, 64と同じ配置形状となってい
る。また、電極端子43に導通され、基板11の背面15の外
縁部にリング状に形成された回路パス263Aも前記第一、
第二実施例の回路パス63A と同じ配置形状となってい
る。ところが、本第三実施例の電極パターン240 は、前
記第一、第二実施例の電極パターン40の回路パス63B と
は異なる配置形状の回路パス263Bを有している。すなわ
ち、前記第一、第二実施例の電極パターン40の回路パス
63B が、リング状の回路パス63A の図3中左側部分の内
側に接続され、かつ共通電極34用の電極端子44および回
路パス64を囲むように配置されているのに対し、本第三
実施例の電極パターン240 の回路パス263Bは、リング状
の回路パス263Aの図9中右側部分の内側突出部に接続さ
れ、かつ中央電極31用の電極端子41を含む回路パス261
およびリファレンス電極32用の電極端子42を含む回路パ
ス262 をそれぞれ別々に所定間隔をおいて囲むように配
置されている。また、この回路パス263Bは、各回路パス
261,262,264 の先端と交互の配置位置となるワンチップ
IC260 の足の位置を通過していて後述の接地用端子27
7,278,279 に接続されるようになっている。これらのシ
ールド電極33用の電極端子43と導通された各回路パス26
3A,263B は、接地されている。したがって、共通電極34
用の電極端子44を含む回路パス264 と、中央電極31用の
電極端子41を含む回路パス261 およびリファレンス電極
32用の電極端子42を含む回路パス262 とは、接地電極と
しての回路パス263A,263B により互いに隔離された配置
状態となっている。このため、これらの間の絶縁抵抗低
下によるリーク電流の増加の影響を低減できるようにな
っている。
【0041】図10および図11において、本第三実施
例に係る計測回路265 は、前記第二実施例の計測回路16
5 とは異なり、共通電極34側から電源が印加されてい
る。計測回路265 は発振器(交流電源)270 を備え、こ
の発振器270 の信号をコンデンサー35(静電容量CM)、
コンデンサー36(静電容量CR)に共通電極34から印加
し、これらを励振させて電流Iを流す。この時、各静電
容量CM, CRに比例した電流IM, IRが入力端子271,272 に
流れる。この入力信号をそれぞれオペアンプ273,274 に
より増幅し、その差分を演算回路275 で演算して出力端
子276 に出力する。これにより、出力端子276 にダイヤ
フラム12の受圧面16に作用する測定流体の圧力の関数と
しての出力信号を得ることができる。なお、発振器270
により印加される信号は、正弦波であっても、三角形波
であってもよい。ここで、具体的数値の一例を示すと、
圧力センサーの仕様が 0〜2000mmH2O 程度である場合に
は、発振器270 から交流の信号が印加され、各静電容量
CM, CRを例えば30pFとすると、ダイヤフラム12の撓みに
よって、通常コンデンサー35の静電容量CMは 6〜 8pF程
度変化し、一方、コンデンサー36の静電容量CRは 1〜2p
F変化し、両方の静電容量の差は、 5〜 6pF程度のもの
となる。
【0042】図10中の点線は、各電極間に走る電気力
線を示しており、発振器270 の信号に応じて一定周期で
方向を逆転させながらこのような状態の電気力線が形成
されるようになっている。シールド電極33の電極端子43
と導通された回路パス263A,263B (図9参照)は、中央
電極31用の電極端子41を含む回路パス261 およびリファ
レンス電極32用の電極端子42を含む回路パス262 をそれ
ぞれ別々に囲むように配置され(図11中点線に相
当)、接地用端子277,278,279 からバッファ素子280 に
接続されて接地されている。これらの接地用端子277,27
8,279 は、発振器270 からの信号印加用端子281 および
各オペアンプ273,274 への入力端子271,272 をそれぞれ
別々に隔てるように配置されている。このため、これら
の間の絶縁抵抗低下によるリーク電流の増加の影響を低
減できるようになっている。
【0043】このような第三実施例によれば、前述した
第一、第二実施例と略同様に高精度の計測、圧力センサ
ーの小型化等の効果を得ることができる。また、本第三
実施例では、演算回路275 により電流IM, IRの差分を取
って出力を検出するので、前述した第一実施例のような
空間30の大気の温度変化や湿度変化等による誘電率変化
の影響の回避はできないが、シールド電極33が設けられ
ているので、第一実施例と同様にセラミクスや低融点ガ
ラス23等の影響は回避することができる。そして、本第
三実施例では、前述した第一実施例に比べ簡易な回路で
上記の各効果を実現することができる。
【0044】なお、本考案は前記各実施例に限定される
ものではなく、本考案の目的を達成できる他の構成も含
み、例えば以下に示すような変形等も本考案に含まれる
ものである。すなわち、前記各実施例では、オーバーコ
ートガラス21は、シールド電極33の一部分を覆い、かつ
これより外周側に形成されていたが、図12に示すよう
に、このオーバーコートガラス21が形成された部分に加
え、中央電極31やリファレンス電極32も覆うようなオー
バーコートガラス90を形成してもよく、こうすることで
ダイヤフラム12が過変形した場合に、これらの電極と共
通電極34とが短絡してしまうことを防止することができ
る。また、前記各実施例のオーバーコートガラス21は、
接合部20の一部分を構成するように設けられているが、
図13に示すように、接合部20を構成せずにシールド電
極33の少なくとも一部分のみを覆うように設けられたオ
ーバーコートガラス91としてもよく、この場合にも縁面
距離を増大させ、縁面抵抗を増大させることができる。
さらに、オーバーコートガラス21は、シールド電極33の
一部分だけではなく、シールド電極33の全部を覆うよう
に形成してもよいが、前記各実施例のようにリファレン
ス電極32側の一部分を空間30に露出させておくことが望
ましく、そうすることでシールド電極33によるリファレ
ンス電極32から共通電極34への漏れ電流の吸収効果を向
上させることができる。
【0045】また、高融点ガラス22および低融点ガラス
23の配置は、前記各実施例の配置(図4参照)に限定さ
れるものではなく、例えば、高融点ガラス22はもっと外
側に位置していてもよく、これらの形成方法も前記各実
施例の製造工程に示された方法である必要はなく、例え
ば、高融点ガラス22をダイヤフラム12側に印刷してお
き、その後、基板11とダイヤフラム12とを低融点ガラス
23で接合するようにしてもよく、要するに基板11側とダ
イヤフラム12側との電極間距離を圧力センサーの計測レ
ンジに応じた所定間隔に保持できればよい。さらに、こ
れらの高融点ガラス22、低融点ガラス23、およびオーバ
ーコートガラス21の各厚みは、前記各実施例の具体的数
値に限定されるものではなく、上記の所定間隔を形成で
きるように適宜決定すればよい。
【0046】また、前記各実施例の各電極31〜34の形状
は任意であり、例えば円形や円環状ではなく、多角形や
多角形の環状等であってもよく、これらの各電極31〜34
の形成方法も、前記各実施例の製造工程に示された方法
である必要はなく、例えばスクリーン印刷ではなく、メ
ッキ、エッチング、スパッタリング等の通常用いられる
他の手段により形成してもよい。さらに、本考案の基板
11やダイヤフラム12の厚み、各電極31〜34の厚み、電極
間距離、各コンデンサー35〜37の静電容量CM, CR, CS、
圧力センサーの仕様等の数値は、前記各実施例に具体的
に記載した数値に限定されるものではなく、測定対象や
測定環境等に応じて適宜決定すればよい。
【0047】また、前記各実施例では、空間30は大気圧
とされ、測定流体の圧力をゲージ圧として検出するよう
になっているが、空間30にも測定流体(気体)を導入
し、この空間30内の圧力と受圧面16に付加される圧力と
の差圧を検出するようにしてもよい。さらに、本考案の
圧力変換素子10を内蔵する圧力センサーの圧力測定対象
である測定流体(受圧面16に作用する流体)は、液体で
あってもよく、気体であってもよい。
【0048】
【考案の効果】以上に述べたように本考案によれば、基
板側の最も外側の電極の少なくとも一部を覆うようにオ
ーバーコートガラスを設けたので、基板側と弾性ダイヤ
フラム側との電極間の縁面距離が増大して縁面抵抗が増
大するため、この間の漏れ電流を抑えることができ、正
確な圧力を検出することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の第一実施例を示す断面図。
【図2】第一実施例の分解図。
【図3】第一実施例の背面の電極パターンを示す構成
図。
【図4】第一実施例の要部を示す断面図。
【図5】第一実施例の計測回路を示す構成図。
【図6】第一実施例の別の要部を示す断面図。
【図7】本考案の第二実施例を示す構成図。
【図8】第二実施例の計測回路の説明図。
【図9】本考案の第三実施例の背面の電極パターンを示
す構成図。
【図10】第三実施例を示す構成図。
【図11】第三実施例の計測回路の説明図。
【図12】本考案の変形例を示す断面図。
【図13】本考案の別の変形例を示す断面図。
【図14】従来例を示す断面図。
【符号の説明】
10,100,200 圧力変換素子 11 基板 12 ダイヤフラム 20 接合部 21 低融点ガラス 22 高融点ガラス 23,90,91 オーバーコートガラス 31 中央電極 32 リファレンス電極 33 最も外側の電極であるシールド電極 34 共通電極 35 コンデンサー(静電容量CM) 36 コンデンサー(静電容量CR) 37 コンデンサー(静電容量CS) 40,240 電極パターン 60,160,260 ワンチップIC 65,165,265 計測回路
フロントページの続き (72)考案者 田中 藤登 長野県小県郡東部町大字和5463 (72)考案者 土屋 宗典 長野県上田市古里694−1 (72)考案者 上原 大司 長野県上田市材木町1−9−4 (72)考案者 長沢 健二 長野県上田市大字上田160−5 (56)参考文献 特開 昭50−3385(JP,A) 特表 昭60−501177(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01L 9/12

Claims (2)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 厚肉の基板と、この基板に所定間隔を置
    いて対向配置された薄肉の弾性ダイヤフラムとを備え、
    これらの基板と弾性ダイヤフラムとの対向面の各々に対
    向する電極が設けられ、前記弾性ダイヤフラムに加わる
    圧力を前記電極間の静電容量の変化により検出する圧力
    センサーであって、 前記電極のうち基板側の電極は順次内側の電極を囲う配
    置となるように複数に分割され、この分割された基板側
    の各電極のうち最も外側の電極はその少なくとも一部を
    絶縁用のオーバーコートガラスにより覆われていること
    を特徴とする圧力センサー。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載した圧力センサーにおい
    て、前記オーバーコートガラスは、分割された基板側の
    各電極のうち最も外側の電極よりも内側の電極の少なく
    とも一部をさらに覆っていることを特徴とする圧力セン
    サー。
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