JPH0674541B2 - 多層構造筒状組紐の組成方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 イ．発明の目的 〔産業上の利用分野〕 この発明は、二重筒組紐等の多層構造の筒状組紐の組成
方法に関するものである。

〔従来の技術〕

従来の組紐機で製造し得る組紐は、帯状の平紐、断面形
状Ｏ型の丸紐が主流であり、それに若干の変形を加えた
ものを製造することができるのがせいぜいであった。

平紐用組紐機のディスク上に互いに交差して設けられた
環状軌道は、一部を開いた円形状をしており、丸紐用組
紐機の環状軌道は、閉じた円形状をしており、共に単純
な形状のものである。

〔発明が解決しようとする課題〕

従来の単純な組紐機においては、多層構造の筒状組紐を
製造することはできないので、組紐を繊維強化プラスチ
ックの芯体として使用する場合、その使用分野は、制限
されたものとなっている。

この発明は、多層構造の筒状組紐の組成方法を提供し、
芯体に組紐を使用する繊維強化プラスチックの使用分野
をより一層広げることを目的としている。

ロ．発明の構成 〔課題を解決するための手段〕 上記目的を達成するために、この発明の多層構造筒状組
紐の組成方法は、同心円状に配置された複数組の歯車群
の隣接する歯車群が数カ所で連絡された組紐機によって
複数の専用軌道を構成し、その各専用軌道毎にボビン・
キャリア群を走行させて組成するものである。

〔作用〕

上記のように構成された多層構造筒状組紐の組成方法に
おいては、各専用軌道毎に複数のボビン・キャリア群が
走行することにより、数層の筒状組紐が同心円状に形成
されると共に、各層は特定の数箇所で互いに連結され、
１つの多層構造筒状組紐となる。

〔実施例〕

この発明の組紐の組成に使用する組紐機は、基本的に
は、通常の平紐用組紐機、丸紐用組紐機と同様であり、
ディスクに形成した軌道に沿って、複数組のボビン・キ
ャリアが左回り又は右回りに交錯走行することによっ
て、組成が行われる。それぞれのボビン・キャリアに装
着の各ボビンから繰り出される繊維束は、軌道の中心部
上方に位置するボイスに導かれ、組紐となる。ボビン・
キャリアは、ディスクの下部に存在する駆動ギヤーによ
って自転しつつ送られる。また、ギアー比を変えること
によって、ボビン・キャリアの移動速度と組紐の引取り
速度の比を変えることができ、従って、異なった繊維束
角度の組紐を製造することができる。

図面を参照してこの発明の多層構造筒状組紐の組成方法
の実施例の説明を行う。

多層構造筒状組紐は、一例として、ボビン・キャリア移
送用歯車を第１図に示すごとく配置した組紐機によって
組成される。第２図には、この組紐機におけるＡないし
Ｆの異なる６つの軌道形状の概略が示してある。

この組紐機は、歯車16個の丸紐用組紐機と歯車８個の丸
紐用組紐機とを応用し、複合したものであり、各軌道は
４か所でそれぞれ１つの歯車１により連結されている。
この歯車１によって、外側を走行していたボビン・キャ
リアは内側へ、内側を走行していたボビン・キャリアは
外側へと移動することができる。

Ａ〜Ｆの６つの糸群の軌道は、第２図に示すように、外
側の円として描かれた軌道Ａ、内側の円として描かれた
軌道Ｂ、外側、内側のそれぞれ1/4と連結部を循環する
Ｃ〜Ｆ軌道である。軌道Ｃと軌道Ｅ及び軌道Ｄと軌道Ｆ
は、それぞれ軌道の中心点に対して対象な位置関係をと
っている。

第１図の歯車に記したＡ〜Ｆの符号は、それぞれ対応す
る第２図に示した軌道Ａ〜Ｆを走行するボビン・キャリ
アが入る位置を示すものであり、○で囲んだものは、そ
の符号に該当する軌道を走行するボビン・キャリアがそ
こに存在することを意味する。○で囲んだ符号のボビン
・キャリアは、矢印方向の歯車の回転につれ、各歯車に
おける同じ符号を付した位置に移動し、決して他の符号
位置へ移動することはない。この組紐機におけるボビン
・キャリアの数は合計28個である。

このような６つの専用軌道を有する組紐機で組紐を組成
すると、規則的な組構造の２層構造筒状組紐が製造され
る。

第３図には、他の２層構造筒状組紐の組成に使用する組
紐機の軌道が示されている。

この組紐機は、前例とほぼ同様であり、歯車24個の丸紐
用組紐機と歯車８個の丸紐用組紐機とを応用し、複合し
たものであり、各軌道は４か所でそれぞれ１つの歯車１
により連結されている。専用軌道についても前例と同様
であり、ボビン・キャリアの数は合計36個である。

第４図には、３層構造筒状組紐の組成に使用する組紐機
のボビン・キャリア移送用歯車の配置が示されている。

この組紐機は、歯車32個の丸紐用組紐機、歯車24個の丸
紐用組紐機及び歯車16個の丸紐用組紐機とを応用し、複
合したものであり、隣接する歯車同士は、それぞれ４か
所で互いに接して軌道を連結している。この組紐機は、
３つの環状の専用軌道を始めとして、それぞれに渡って
移動し、３巡目で元に戻る複雑な専用軌道まであり、基
本的には、前２例と同様である。

このようにして製造された様々な断面形状の多層構造筒
状組紐は、その各層が互いに緊密に連結されており、ガ
ラス繊維、炭素繊維又はアラミド繊維等を使用して繊維
強化プラスチック用の芯材として用いる場合、非常に強
度の大きなものを得ることができる。

ハ．発明の効果 この発明は、以上説明したように構成されているので、
以下に記載するような効果を奏する。

即ち、各層が互いに交絡した交絡点の多い多層構造の筒
状組紐を構造の簡単な組紐機によって容易に製造するこ
とができる。

また、製造された多層構造筒状組紐を繊維強化プラスチ
ックの芯材として用いる場合には、非常に強度の大きな
ものを得ることができ、芯体に組紐を使用する繊維強化
プラスチックの使用分野をより一層広げることができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の多層構造筒状組紐の組成方法の実施
に使用する組紐機の歯車配置図、第２図は同組紐機の軌
道形状の概略図、第３図は他の多層構造筒状組紐の組成
に使用する組紐機の軌道図、第４図は更に異なる多層構
造筒状組紐の組成に使用する組紐機の歯車配置図であ
る。 １……連結歯車、Ａ〜Ｆ……軌道、

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平２−259147（ＪＰ，Ａ) 特公 昭61−56343（ＪＰ，Ｂ２)

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】同心円状に配置された複数組の歯車群の隣
   接する歯車群が数カ所で連絡された組紐機によって複数
   の専用軌道を構成し、その各専用軌道毎にボビン・キャ
   リア群を走行させて組成する多層構造筒状組紐の組成方
   法。