JPH0673503A - アパーチャグリル用素材 - Google Patents
アパーチャグリル用素材Info
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- JPH0673503A JPH0673503A JP10378892A JP10378892A JPH0673503A JP H0673503 A JPH0673503 A JP H0673503A JP 10378892 A JP10378892 A JP 10378892A JP 10378892 A JP10378892 A JP 10378892A JP H0673503 A JPH0673503 A JP H0673503A
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- Japan
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 エッチング加工性を損なわずにより高い高温
強度を実現しうるアパーチャグリル用素材を開発する。 【構成】 Mn:0.20%〜0.60%及びC:0.
001%〜0.030%そして(W及びNi)の1種以
上を合計含有量として0.10%以上乃至4.00%以
下そして/或いは(Nb、V、Ti、Zr、Ta及び
B)の1種以上を合計含有量として0.001%以上乃
至0.5%以下含有する高温強度及びエッチング性に優
れた低炭素鋼アパーチャーグリル用素材。結晶粒度番号
が9.0以上に制御されまたSi:0.05%以下、
P:0.02%以下、S:0.015%以下、O:0.
015%以下に制御されことが好ましい。添加材は転位
の上昇運動を抑制するので、450℃を超えても高温ク
リープ性に優れる。
強度を実現しうるアパーチャグリル用素材を開発する。 【構成】 Mn:0.20%〜0.60%及びC:0.
001%〜0.030%そして(W及びNi)の1種以
上を合計含有量として0.10%以上乃至4.00%以
下そして/或いは(Nb、V、Ti、Zr、Ta及び
B)の1種以上を合計含有量として0.001%以上乃
至0.5%以下含有する高温強度及びエッチング性に優
れた低炭素鋼アパーチャーグリル用素材。結晶粒度番号
が9.0以上に制御されまたSi:0.05%以下、
P:0.02%以下、S:0.015%以下、O:0.
015%以下に制御されことが好ましい。添加材は転位
の上昇運動を抑制するので、450℃を超えても高温ク
リープ性に優れる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、カラーテレビ用ブラウ
ン管に用いられる低炭素鋼板アパーチャグリル用素材に
関するものであり、特には高温強度及びエッチング加工
性に優れ、黒化処理時のグリッドの応力緩和現象に起因
する色ずれが小さいことを特徴とするアパーチャグリル
用素材に関する。本発明は、ファインピッチ化の傾向に
あるアパーチャグリルへの要求に対応することができ
る。
ン管に用いられる低炭素鋼板アパーチャグリル用素材に
関するものであり、特には高温強度及びエッチング加工
性に優れ、黒化処理時のグリッドの応力緩和現象に起因
する色ずれが小さいことを特徴とするアパーチャグリル
用素材に関する。本発明は、ファインピッチ化の傾向に
あるアパーチャグリルへの要求に対応することができ
る。
【0002】
【従来の技術】カラーテレビ用ブラウン管のうちトリニ
トロン管においては、他のブラウン管が採用しているシ
ャドウマスクとは異なる色選別電極を採用しており、こ
の色選別電極はアパーチャグリルと呼ばれている。アパ
ーチャグリルは、冷延鋼板にエッチング加工により多数
のスリットを形成し、その後スリット方向に張力を付与
した状態でフレームに張り渡し、その両側端縁をフレー
ムにシーム溶接し、この状態で450〜500℃の温度
で黒化処理をすることにより製品とされ、トリニトロン
管に組込まれる。
トロン管においては、他のブラウン管が採用しているシ
ャドウマスクとは異なる色選別電極を採用しており、こ
の色選別電極はアパーチャグリルと呼ばれている。アパ
ーチャグリルは、冷延鋼板にエッチング加工により多数
のスリットを形成し、その後スリット方向に張力を付与
した状態でフレームに張り渡し、その両側端縁をフレー
ムにシーム溶接し、この状態で450〜500℃の温度
で黒化処理をすることにより製品とされ、トリニトロン
管に組込まれる。
【0003】ここで、蒸気またはガスによる黒化処理
は、表面に緻密で密着性の良い酸化膜を形成させ、内部
からのガス発生、2次電子の発生、熱輻射、錆の発生等
を防止するために施される処理であるが、張力をかけた
まま熱サイクルを受けるため、応力緩和とともに張力低
下が生じる。この張力低下が大きいと、共振周波数が変
化し、可聴域になるとスピーカーの音で共振し、「色ず
れ」と呼ばれる画像不良の原因となる。
は、表面に緻密で密着性の良い酸化膜を形成させ、内部
からのガス発生、2次電子の発生、熱輻射、錆の発生等
を防止するために施される処理であるが、張力をかけた
まま熱サイクルを受けるため、応力緩和とともに張力低
下が生じる。この張力低下が大きいと、共振周波数が変
化し、可聴域になるとスピーカーの音で共振し、「色ず
れ」と呼ばれる画像不良の原因となる。
【0004】この黒化処理時の張力低下に起因する色ず
れを防止するためには、冷延鋼板素材の高温強度、特に
黒化処理温度(450〜500℃)でのクリープ強さを
高くする必要があり、そのための手段としては、アルミ
キルド鋼板のC含有量を0.01〜0.10重量%と高
く規定した方法(特開昭61−190041)、40〜
100ppmの窒素を含有する極低炭素鋼板を用いる方
法(特開昭62−249339)、0.20〜2.0重
量%のCrと0.10〜3.0重量%のMoを複合多量
添加する方法(特開平2−174042)、極低炭素鋼
板に0.02〜0.07重量%のPと0.2〜0.6重
量%のSiを添加して固溶強化する方法(特開昭63−
145744)が、現在までに提唱されている。
れを防止するためには、冷延鋼板素材の高温強度、特に
黒化処理温度(450〜500℃)でのクリープ強さを
高くする必要があり、そのための手段としては、アルミ
キルド鋼板のC含有量を0.01〜0.10重量%と高
く規定した方法(特開昭61−190041)、40〜
100ppmの窒素を含有する極低炭素鋼板を用いる方
法(特開昭62−249339)、0.20〜2.0重
量%のCrと0.10〜3.0重量%のMoを複合多量
添加する方法(特開平2−174042)、極低炭素鋼
板に0.02〜0.07重量%のPと0.2〜0.6重
量%のSiを添加して固溶強化する方法(特開昭63−
145744)が、現在までに提唱されている。
【0005】アパーチャグリル用素材として要求される
その他の特性としては、エッチング加工性が良好である
こと並びにエッチング加工後に平坦乃至均一なスリット
形状が得られることが重要である。スリットの形状が、
著しく損なわれたものを「線乱れ」といい、これも色ず
れの原因となる。
その他の特性としては、エッチング加工性が良好である
こと並びにエッチング加工後に平坦乃至均一なスリット
形状が得られることが重要である。スリットの形状が、
著しく損なわれたものを「線乱れ」といい、これも色ず
れの原因となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】先に述べたように、従
来の素材及び製造プロセスでは、黒化処理時にアパーチ
ャグリルが熱と付加張力によりクリープが生じ、カラー
テレビとして組立てられた後で、スピーカーの音に共振
し、色ずれが生じるという問題があった。このような問
題に対しては、アパーチャグリル構造体の剛性を上げる
など、設計・施行の変更による手段も考えられるが、い
まだ十分な効果が得られていない。
来の素材及び製造プロセスでは、黒化処理時にアパーチ
ャグリルが熱と付加張力によりクリープが生じ、カラー
テレビとして組立てられた後で、スピーカーの音に共振
し、色ずれが生じるという問題があった。このような問
題に対しては、アパーチャグリル構造体の剛性を上げる
など、設計・施行の変更による手段も考えられるが、い
まだ十分な効果が得られていない。
【0007】他方、アパーチャグリル用素材自体の改善
例として、上述した方法が提唱された。しかし、炭素の
含有量を高くする方法は、エッチング加工前の熱処理で
セメンタイトが粗大化する為にエッチング加工性が劣る
という欠点がある。また、窒素含有量のみを規定する方
法は、400℃までは効果があるが、400℃を超える
と窒素の拡散速度が急激に速くなるので、十分な強度が
得られなくなる。そして、多量のCrとMoを添加する
方法は、高温強度の向上には有効であるが、これら2つ
の元素はいずれも耐食性を高める元素でもあるので、エ
ッチング速度の低下を招いてしまう。更に、PとSiで
固溶強化する方法は、これら2つの元素は偏析しやすい
ので、材料の強度分布にむらが生じ、エッチング加工性
も劣化するという問題がある。
例として、上述した方法が提唱された。しかし、炭素の
含有量を高くする方法は、エッチング加工前の熱処理で
セメンタイトが粗大化する為にエッチング加工性が劣る
という欠点がある。また、窒素含有量のみを規定する方
法は、400℃までは効果があるが、400℃を超える
と窒素の拡散速度が急激に速くなるので、十分な強度が
得られなくなる。そして、多量のCrとMoを添加する
方法は、高温強度の向上には有効であるが、これら2つ
の元素はいずれも耐食性を高める元素でもあるので、エ
ッチング速度の低下を招いてしまう。更に、PとSiで
固溶強化する方法は、これら2つの元素は偏析しやすい
ので、材料の強度分布にむらが生じ、エッチング加工性
も劣化するという問題がある。
【0008】より高度な画像を得るためにグリットの配
列が今後益々ファインピッチ化の傾向をたどっているの
で、エッチングによる一層精密な加工精度を得ることが
益々重要となっている。
列が今後益々ファインピッチ化の傾向をたどっているの
で、エッチングによる一層精密な加工精度を得ることが
益々重要となっている。
【0009】アパーチャグリル用の素材として要求され
る材料特性は特に以下の3点が重要である: 残留応力が少ないこと、 450〜470℃でのクリープ強さが高いこと、そし
て エッチング性が良いこと。 しかしながら、以上説明したように、従来の技術ではエ
ッチング加工性を劣化させずに、十分な高温強度を得る
ことは難しく、アパーチャグリルに必要な特性を総て具
備させるためには従来には無い、新しいアパーチャグリ
ル用素材が必要となる。
る材料特性は特に以下の3点が重要である: 残留応力が少ないこと、 450〜470℃でのクリープ強さが高いこと、そし
て エッチング性が良いこと。 しかしながら、以上説明したように、従来の技術ではエ
ッチング加工性を劣化させずに、十分な高温強度を得る
ことは難しく、アパーチャグリルに必要な特性を総て具
備させるためには従来には無い、新しいアパーチャグリ
ル用素材が必要となる。
【0010】本発明の課題は、エッチング性に優れる低
炭素鋼素材を基礎として、エッチング加工性を損なわず
により高い高温強度を実現しうるアパーチャグリル用素
材を開発することである。
炭素鋼素材を基礎として、エッチング加工性を損なわず
により高い高温強度を実現しうるアパーチャグリル用素
材を開発することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
に向け検討を重ねた結果、エッチング加工性を劣化させ
ない範囲の微量なCの添加であっても、従来検討されて
いなかった副成分の中にクリープ強さ向上に有効な元素
があり、そうした添加元素を適正量添加することにより
エッチング加工性を劣化させずに、黒化処理温度でのク
リープ強さを高めて、色ずれの発生を防止することが可
能であることを見出した。
に向け検討を重ねた結果、エッチング加工性を劣化させ
ない範囲の微量なCの添加であっても、従来検討されて
いなかった副成分の中にクリープ強さ向上に有効な元素
があり、そうした添加元素を適正量添加することにより
エッチング加工性を劣化させずに、黒化処理温度でのク
リープ強さを高めて、色ずれの発生を防止することが可
能であることを見出した。
【0012】この知見に基づいて、本発明は、 (1)低炭素鋼板において、重量%で、 Mn:0.20% 〜0.60%、 C :0.001%〜0.030% を含有し、そしてW及びNiの1種以上を合計含有量と
して0.10%以上乃至4.00%以下含有し、残部F
e及びその他の不可避不純物からなることを特徴とす
る、高温強度及びエッチング性に優れたアパーチャグリ
ル用素材、 (2)低炭素鋼板において、重量%で、 Mn:0.20% 〜0.60%、 C :0.001%〜0.030% を含有し、Nb、V、Ti、Zr、Ta及びBの中から
選択される1種若しくは2種以上を合計含有量として
0.001%以上乃至0.5%以下含有し、残部Fe及
びその他の不可避不純物からなることを特徴とする、高
温強度及びエッチング性に優れたアパーチャグリル用素
材、及び (3)低炭素鋼板において、重量%で、 Mn:0.20% 〜0.60%、 C :0.001%〜0.030% を含有し、W及びNiの1種以上を合計含有量として
0.10%以上乃至4.00%以下そしてNb、V、T
i、Zr、Ta及びBの中から選択される1種若しくは
2種以上を合計含有量として0.001%以上乃至0.
5%以下含有し、残部Fe及びその他の不可避不純物か
らなることを特徴とする、高温強度及びエッチング性に
優れたアパーチャグリル用素材を提供する。
して0.10%以上乃至4.00%以下含有し、残部F
e及びその他の不可避不純物からなることを特徴とす
る、高温強度及びエッチング性に優れたアパーチャグリ
ル用素材、 (2)低炭素鋼板において、重量%で、 Mn:0.20% 〜0.60%、 C :0.001%〜0.030% を含有し、Nb、V、Ti、Zr、Ta及びBの中から
選択される1種若しくは2種以上を合計含有量として
0.001%以上乃至0.5%以下含有し、残部Fe及
びその他の不可避不純物からなることを特徴とする、高
温強度及びエッチング性に優れたアパーチャグリル用素
材、及び (3)低炭素鋼板において、重量%で、 Mn:0.20% 〜0.60%、 C :0.001%〜0.030% を含有し、W及びNiの1種以上を合計含有量として
0.10%以上乃至4.00%以下そしてNb、V、T
i、Zr、Ta及びBの中から選択される1種若しくは
2種以上を合計含有量として0.001%以上乃至0.
5%以下含有し、残部Fe及びその他の不可避不純物か
らなることを特徴とする、高温強度及びエッチング性に
優れたアパーチャグリル用素材を提供する。
【0013】結晶粒度がJIS G 0552で規定さ
れる粒度番号9.0以上に制御されていることが好まし
く、更には不純物が、重量%で、Si:0.05%以
下、P:0.02%以下、S:0.015%以下、そし
てO:0.015%以下に制御されていることが好まし
い。
れる粒度番号9.0以上に制御されていることが好まし
く、更には不純物が、重量%で、Si:0.05%以
下、P:0.02%以下、S:0.015%以下、そし
てO:0.015%以下に制御されていることが好まし
い。
【0014】
【作用】本発明は、添加元素により鋼中転位の上昇運動
を抑制し、黒化処理時の応力緩和を軽減することを基本
とするものである。本発明構成成分及び要件の作用及び
その限定理由について述べる。
を抑制し、黒化処理時の応力緩和を軽減することを基本
とするものである。本発明構成成分及び要件の作用及び
その限定理由について述べる。
【0015】Mn:Mnは脱酸及び熱間加工性付与のた
めに添加する。0.20重量%未満ではその効果がな
く、他方0.60重量%を超えて含有しても効果が飽和
し、意味がないので、その添加範囲を0.20重量%以
上0.60重量%以下とする。
めに添加する。0.20重量%未満ではその効果がな
く、他方0.60重量%を超えて含有しても効果が飽和
し、意味がないので、その添加範囲を0.20重量%以
上0.60重量%以下とする。
【0016】C:Cは強度の確保、黒化処理時の張力低
下に起因する色ずれの防止に効果があり、添加する必要
がある。しかし、多すぎると炭化物の量が増し、エッチ
ング加工不良の原因となるので、適正添加量は0.00
1重量%以上乃至0.030重量%以下とする。
下に起因する色ずれの防止に効果があり、添加する必要
がある。しかし、多すぎると炭化物の量が増し、エッチ
ング加工不良の原因となるので、適正添加量は0.00
1重量%以上乃至0.030重量%以下とする。
【0017】W、Ni:WとNiは本発明の骨子となる
元素であり、固溶強化により、450℃以上の高温でも
強度の向上に有効に寄与する。これらの元素はいずれも
0.10重量%未満ではまったく効果がなく、逆に4.
00重量%を超えても効果が飽和して意味がないので、
適正添加量は0.10重量%以上4.00重量%以下と
する。
元素であり、固溶強化により、450℃以上の高温でも
強度の向上に有効に寄与する。これらの元素はいずれも
0.10重量%未満ではまったく効果がなく、逆に4.
00重量%を超えても効果が飽和して意味がないので、
適正添加量は0.10重量%以上4.00重量%以下と
する。
【0018】Nb、V、Ti、Zr、Ta、B:Nb、
V、Ti、Zr、Ta、Bも、本発明の骨子となるべき
元素である。即ち、本発明者らの実験結果から、これら
の元素は適量の添加により、黒化処理時の応力緩和を軽
減する働きを有することが判明した。更に、これらの元
素は、結晶粒を微細化させる働きをも有し、適量の添加
によって、粒度番号11.0以上の微細粒が容易に得ら
れる。これらの元素はいずれも0.001重量%未満で
は全く効果がなく、逆に合計含有量が0.5重量%を超
えても効果が飽和して意味がないので、適正合計添加量
は0.001重量%以上0.5重量%以下とする。ま
た、各元素の添加量は好ましくは、Nb:0.01重量
%以上0.2重量%以下、V:0.01重量%以上0.
3重量%以下、そしてTi、Zr、Ta、B:0.00
1重量%以上0.15重量%以下である。
V、Ti、Zr、Ta、Bも、本発明の骨子となるべき
元素である。即ち、本発明者らの実験結果から、これら
の元素は適量の添加により、黒化処理時の応力緩和を軽
減する働きを有することが判明した。更に、これらの元
素は、結晶粒を微細化させる働きをも有し、適量の添加
によって、粒度番号11.0以上の微細粒が容易に得ら
れる。これらの元素はいずれも0.001重量%未満で
は全く効果がなく、逆に合計含有量が0.5重量%を超
えても効果が飽和して意味がないので、適正合計添加量
は0.001重量%以上0.5重量%以下とする。ま
た、各元素の添加量は好ましくは、Nb:0.01重量
%以上0.2重量%以下、V:0.01重量%以上0.
3重量%以下、そしてTi、Zr、Ta、B:0.00
1重量%以上0.15重量%以下である。
【0019】Si:Siは多すぎるとSi系介在物が多
くなり、エッチング加工性の劣化を招くので0.05重
量%以下とすることが好ましい。
くなり、エッチング加工性の劣化を招くので0.05重
量%以下とすることが好ましい。
【0020】P:Pは固溶強化元素であるが、その含有
量が多いと粒界偏析などの原因により、圧延性やエッチ
ング加工性を損ねるので、その含有量は0.02重量%
以下とすることが好ましい。
量が多いと粒界偏析などの原因により、圧延性やエッチ
ング加工性を損ねるので、その含有量は0.02重量%
以下とすることが好ましい。
【0021】S:Sはその含有量が多いと硫化物系の介
在物が増えて、エッチング加工性が劣化し、更に、酸洗
時の表面欠陥の原因ともなるので、その含有量は0.0
15重量%以下とすることが好ましい。
在物が増えて、エッチング加工性が劣化し、更に、酸洗
時の表面欠陥の原因ともなるので、その含有量は0.0
15重量%以下とすることが好ましい。
【0022】O:Oはその含有量が多いと酸化物系の介
在物が増えてエッチング加工性が劣化するので、その含
有量は0.015重量%以下とすることが好ましい。
在物が増えてエッチング加工性が劣化するので、その含
有量は0.015重量%以下とすることが好ましい。
【0023】結晶粒度:通常の極低炭素鋼は、450℃
を超えると、転位の上昇運動が活発となり、転位密度の
低下による応力緩和が起こりやすくなる。しかし、本発
明によるアパーチャグリル用素材鋼板は、上述したよう
に、Wその他の添加元素を適正量添加することにより、
この転位の上昇運動を抑制している。本発明者らの実験
結果によれば、このような組成制御をしたうえで、結晶
粒を微細化させることにより、強度及び高温でのクリー
プ強さ共に従来より高い値が得られる。即ち、従来、高
温でのクリープ強さを低下させると考えられていた細粒
化を逆に積極的に利用しようとしたことに本発明の大き
な特徴がある。
を超えると、転位の上昇運動が活発となり、転位密度の
低下による応力緩和が起こりやすくなる。しかし、本発
明によるアパーチャグリル用素材鋼板は、上述したよう
に、Wその他の添加元素を適正量添加することにより、
この転位の上昇運動を抑制している。本発明者らの実験
結果によれば、このような組成制御をしたうえで、結晶
粒を微細化させることにより、強度及び高温でのクリー
プ強さ共に従来より高い値が得られる。即ち、従来、高
温でのクリープ強さを低下させると考えられていた細粒
化を逆に積極的に利用しようとしたことに本発明の大き
な特徴がある。
【0024】更に本発明者らの基礎的実験では、結晶粒
度が粒度番号9.0以上になると、450〜500℃の
温度領域でのクリープ強さに顕著な向上が見られ、黒化
処理時の張力低下が防止できることが確認されたので、
結晶粒度を粒度番号9.0以上とすることが好ましい。
ここにおいて、粒度番号とはJIS G 0552で規
定される粒度番号である。
度が粒度番号9.0以上になると、450〜500℃の
温度領域でのクリープ強さに顕著な向上が見られ、黒化
処理時の張力低下が防止できることが確認されたので、
結晶粒度を粒度番号9.0以上とすることが好ましい。
ここにおいて、粒度番号とはJIS G 0552で規
定される粒度番号である。
【0025】上記のように各成分そして好ましくは結晶
粒度を制御することにより、エッチング加工性を劣化さ
せずに高温強度を向上させ、色ずれの原因となる黒化処
理時の張力低下を防止することができる。
粒度を制御することにより、エッチング加工性を劣化さ
せずに高温強度を向上させ、色ずれの原因となる黒化処
理時の張力低下を防止することができる。
【0026】
【実施例及び比較例】まず、各種供試材は、溶製→脱ガ
ス後連続鋳造→熱間圧延を経て、以後冷間圧延及び焼鈍
を繰り返し、板厚0.15mmの冷延板としたものであ
る。尚、この時の成分及び結晶粒度は、表1に示す通り
である。
ス後連続鋳造→熱間圧延を経て、以後冷間圧延及び焼鈍
を繰り返し、板厚0.15mmの冷延板としたものであ
る。尚、この時の成分及び結晶粒度は、表1に示す通り
である。
【0027】各供試材について、常温と450℃で引張
強さを測定した。更にクリープ強さの評価としては、4
50℃で材料に300N/mm2 の一定張力をかけるク
リープ試験を行い、30分間経過した時の伸び率を測定
し、1.0%以下であれば合格とした。引張強さ及びク
リープ試験の測定は全て圧延方向に対して直角の方向の
みに対して行った。また、エッチング性の評価として
は、実際に供試材をアパーチャグリルのスリットにエッ
チング加工することにより、エッチング壁面の状況をS
EMで観察して、良、不良の判定を行なった(○:良
×:不良)。尚、この時スリットは圧延方向に対して直
角に配列させるようにエッチングし、エッチング液には
塩化第2鉄を使用した。結果を表1に併せて示す。
強さを測定した。更にクリープ強さの評価としては、4
50℃で材料に300N/mm2 の一定張力をかけるク
リープ試験を行い、30分間経過した時の伸び率を測定
し、1.0%以下であれば合格とした。引張強さ及びク
リープ試験の測定は全て圧延方向に対して直角の方向の
みに対して行った。また、エッチング性の評価として
は、実際に供試材をアパーチャグリルのスリットにエッ
チング加工することにより、エッチング壁面の状況をS
EMで観察して、良、不良の判定を行なった(○:良
×:不良)。尚、この時スリットは圧延方向に対して直
角に配列させるようにエッチングし、エッチング液には
塩化第2鉄を使用した。結果を表1に併せて示す。
【0028】
【表1】
【0029】表1に示される結果から、次の事項が明ら
かである。即ち、本発明例No.1〜13に係わる材料
は、いずれも、高温強度、特に450℃でのクリープ強
さに優れ、エッチング加工性も良好である。このように
本発明によるアパーチャグリル用素材鋼板は、アパーチ
ャグリル用素材鋼板として要求される項目を充足してい
ることがわかる。
かである。即ち、本発明例No.1〜13に係わる材料
は、いずれも、高温強度、特に450℃でのクリープ強
さに優れ、エッチング加工性も良好である。このように
本発明によるアパーチャグリル用素材鋼板は、アパーチ
ャグリル用素材鋼板として要求される項目を充足してい
ることがわかる。
【0030】これに対して、比較例No.14に係わる
材料は低炭素鋼の強化機構に決定的な役割を果たすCの
含有量が0.001wt%よりも少ないために、常温並
びに450℃での引張強さやクリープ強さに劣ってい
る。
材料は低炭素鋼の強化機構に決定的な役割を果たすCの
含有量が0.001wt%よりも少ないために、常温並
びに450℃での引張強さやクリープ強さに劣ってい
る。
【0031】逆に、比較例No.15に係わるものは、
Cの含有量が0.030wt%を超えているために、セ
メンタイトが析出して粗大化し、母相の連続性が著しく
損なわれ、均一にエッチングがされず、壁面が荒れて良
好なスリット形状が得られなかった。
Cの含有量が0.030wt%を超えているために、セ
メンタイトが析出して粗大化し、母相の連続性が著しく
損なわれ、均一にエッチングがされず、壁面が荒れて良
好なスリット形状が得られなかった。
【0032】一方、比較例No.16に係わる材料は、
Siの含有量が0.05wt%を超えているために、S
i系の介在物が数多く存在し、そのためエッチングした
際、壁面に肌荒れが生じた。
Siの含有量が0.05wt%を超えているために、S
i系の介在物が数多く存在し、そのためエッチングした
際、壁面に肌荒れが生じた。
【0033】また、比較例No.17に係わるものは、
Pの含有量が0.05wt%を超えているために、著し
く粒界偏析し、そのためエッチングした際、壁面に肌荒
れが生じた。
Pの含有量が0.05wt%を超えているために、著し
く粒界偏析し、そのためエッチングした際、壁面に肌荒
れが生じた。
【0034】そして、比較例No.18に係わるもの
は、Sの含有量が0.015wt%を超えているため
に、硫化物系の介在物が数多く存在し、そのためエッチ
ングした際、壁面に肌荒れが生じている。
は、Sの含有量が0.015wt%を超えているため
に、硫化物系の介在物が数多く存在し、そのためエッチ
ングした際、壁面に肌荒れが生じている。
【0035】次に、比較例No.19に係わるものは、
Oの含有量が0.015wt%を超えているために、酸
化物系の介在物が数多く存在し、そのためエッチングし
た際に、壁面に肌荒れが生じた。
Oの含有量が0.015wt%を超えているために、酸
化物系の介在物が数多く存在し、そのためエッチングし
た際に、壁面に肌荒れが生じた。
【0036】最後に、比較例No.20に係わるもの
は、本発明の骨子ともなるべきWやNb等の元素が含有
されていないために、結晶粒が微細化せず、常温及び4
50℃での引張強さやクリープ強さに劣っている。
は、本発明の骨子ともなるべきWやNb等の元素が含有
されていないために、結晶粒が微細化せず、常温及び4
50℃での引張強さやクリープ強さに劣っている。
【0037】
【発明の効果】以上に説明したが如く、本発明によれ
ば、低炭素鋼板の微量成分を適量に調整し、結晶粒を微
細化させることにより、高温強度が高く、しかもエッチ
ング加工性に優れたアパーチャグリル用素材鋼板を提供
することができる。より高度な画像を得るためにグリッ
トの配列が今後益々ファインピッチ化の傾向にあるが、
本発明はその要求に充分に対応することができる。
ば、低炭素鋼板の微量成分を適量に調整し、結晶粒を微
細化させることにより、高温強度が高く、しかもエッチ
ング加工性に優れたアパーチャグリル用素材鋼板を提供
することができる。より高度な画像を得るためにグリッ
トの配列が今後益々ファインピッチ化の傾向にあるが、
本発明はその要求に充分に対応することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 増田 剛志 神奈川県高座郡寒川町倉見3番地日本鉱業 株式会社倉見工場内 (72)発明者 西川 清明 神奈川県高座郡寒川町倉見3番地日本鉱業 株式会社倉見工場内 (72)発明者 津山 青史 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号日本 鋼管株式会社内 (72)発明者 細谷 佳弘 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号日本 鋼管株式会社内 (72)発明者 馬場 裕 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号日本 鋼管株式会社内 (72)発明者 大沢 紘一 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号日本 鋼管株式会社内
Claims (5)
- 【請求項1】 低炭素鋼板において、重量%で、 Mn:0.20% 〜0.60%、 C :0.001%〜0.030% を含有し、そしてW及びNiの1種以上を合計含有量と
して0.10%以上乃至4.00%以下含有し、残部F
e及びその他の不可避不純物からなることを特徴とす
る、高温強度及びエッチング性に優れたアパーチャグリ
ル用素材。 - 【請求項2】 低炭素鋼板において、重量%で、 Mn:0.20% 〜0.60%、 C :0.001%〜0.030% を含有し、Nb、V、Ti、Zr、Ta及びBの中から
選択される1種若しくは2種以上を合計含有量として
0.001%以上乃至0.5%以下含有し、残部Fe及
びその他の不可避不純物からなることを特徴とする、高
温強度及びエッチング性に優れたアパーチャグリル用素
材。 - 【請求項3】 低炭素鋼板において、重量%で、 Mn:0.20% 〜0.60%、 C :0.001%〜0.030% を含有し、W及びNiの1種以上を合計含有量として
0.10%以上乃至4.00%以下そしてNb、V、T
i、Zr、Ta及びBの中から選択される1種若しくは
2種以上を合計含有量として0.001%以上乃至0.
5%以下含有し、残部Fe及びその他の不可避不純物か
らなることを特徴とする、高温強度及びエッチング性に
優れたアパーチャグリル用素材。 - 【請求項4】 結晶粒度がJIS G 0552で規定
される粒度番号9.0以上に制御されていることを特徴
とする請求項1、2乃至3のアパーチャグリル用素材。 - 【請求項5】 不純物が、重量%で、 Si:0.05%以下、 P :0.02%以下、 S :0.015%以下、 O :0.015%以下 に制御されていることを特徴とする請求項1、2、3乃
至4のアパーチャグリル用素材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10378892A JP3182200B2 (ja) | 1992-03-31 | 1992-03-31 | アパーチャグリル用素材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10378892A JP3182200B2 (ja) | 1992-03-31 | 1992-03-31 | アパーチャグリル用素材 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0673503A true JPH0673503A (ja) | 1994-03-15 |
JP3182200B2 JP3182200B2 (ja) | 2001-07-03 |
Family
ID=14363151
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10378892A Expired - Fee Related JP3182200B2 (ja) | 1992-03-31 | 1992-03-31 | アパーチャグリル用素材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3182200B2 (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6566796B2 (en) | 1999-12-20 | 2003-05-20 | Nkk Corporation | Steel sheet for tension mask, making method thereof and tension mask |
WO2003069006A1 (fr) * | 2002-02-12 | 2003-08-21 | Toyo Kohan Co., Ltd. | Materiau pour masques de tubes-image en couleur, son procede de fabrication, et tubes image en etant faits |
US7163592B2 (en) | 2001-03-05 | 2007-01-16 | Jfe Steel Corporation | Steel sheet for tension mask, manufacturing method of steel sheet for tension mask, tension mask and cathode ray tube |
KR100957980B1 (ko) * | 2002-12-28 | 2010-05-17 | 주식회사 포스코 | 텐션마스크용 냉연강판과 그 제조방법 |
-
1992
- 1992-03-31 JP JP10378892A patent/JP3182200B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6566796B2 (en) | 1999-12-20 | 2003-05-20 | Nkk Corporation | Steel sheet for tension mask, making method thereof and tension mask |
US7163592B2 (en) | 2001-03-05 | 2007-01-16 | Jfe Steel Corporation | Steel sheet for tension mask, manufacturing method of steel sheet for tension mask, tension mask and cathode ray tube |
WO2003069006A1 (fr) * | 2002-02-12 | 2003-08-21 | Toyo Kohan Co., Ltd. | Materiau pour masques de tubes-image en couleur, son procede de fabrication, et tubes image en etant faits |
KR100957980B1 (ko) * | 2002-12-28 | 2010-05-17 | 주식회사 포스코 | 텐션마스크용 냉연강판과 그 제조방법 |
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Publication number | Publication date |
---|---|
JP3182200B2 (ja) | 2001-07-03 |
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