JPH0673369A - 紫外線吸収剤 - Google Patents

紫外線吸収剤

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JPH0673369A
JPH0673369A JP22730092A JP22730092A JPH0673369A JP H0673369 A JPH0673369 A JP H0673369A JP 22730092 A JP22730092 A JP 22730092A JP 22730092 A JP22730092 A JP 22730092A JP H0673369 A JPH0673369 A JP H0673369A
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Naohiro Okuda
尚宏 奥田
Yuujirou Uchiyama
雄二朗 内山
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 広範囲の波長領域ですぐれた紫外線吸収性を
呈し、水系の製品に配合して長期間にわたって保存した
ばあいであっても析出せず、また使用中に分離すること
がない紫外線吸収剤を提供すること。 【構成】 親水性ないし水溶性のモノマー(A)および
紫外線吸収性基を有するモノマー(B)を必須共重合成
分とする共重合体からなる紫外線吸収剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は紫外線吸収剤に関する。
さらに詳しくは、たとえば毛髪や皮膚などの化粧料など
に好適に使用しうる紫外線吸収剤に関する。
【0002】
【従来の技術】地上に降り注ぐ太陽光線のうち、波長が
290 〜400nm の紫外線は、とくにエネルギーが大きいた
め、たとえば塗料、染料、繊維類などに対しては退色や
脆弱化などの種々の化学反応を引き起こす原因の1つと
なっており、また、人体に対しては皮膚の日焼けや、小
じわ、しみが増加したり、弾力が低下するなどの皮膚の
老化などの障害を起こす原因となっている。
【0003】そこで、近年、前記のような紫外線による
障害を予防するために各種の紫外線吸収剤を配合した製
品が、プラスチック、合成繊維、塗料、医薬、化粧品な
どの分野にみられ、とくに医薬、化粧品分野では多くの
製品が開発されている。これらに用いられる紫外線吸収
剤は、パラアミノベンゾエート誘導体、サリシレート誘
導体、ベンゾトリアゾール誘導体、ベンゾフェノン誘導
体、シンナメート誘導体、ジベンゾイルメタン誘導体、
ベンゾトリアゾール誘導体などであり、そのほとんどが
水に不溶の低分子化合物である。
【0004】一方、塗料や化粧料の分野にみられるよう
に、人体への有害性や大気の汚染性の点から有機溶剤や
フロンガスの使用が廃止される方向にむかうなかで、水
溶性の基剤を中心に配合した水系の塗布剤やスプレー製
品が増加しつつある。しかしながら、前記紫外線吸収剤
は、そのほとんどが水に不溶のものであるため、水系の
製品に配合するには本来製品には不要な分散剤などを用
いなければならない。また、このように分散剤を用いて
製品に配合したとしても、長期間にわたって製品を保存
したときにこれらの紫外線吸収剤が分離したり、製品の
使用中に該吸収剤が溶出したりするなどの問題がある。
このような理由から、水に分散または溶解し、使用中に
溶出などを起こしにくい紫外線吸収剤の開発が望まれて
いる。
【0005】また、前記したように、紫外線吸収剤を水
系溶媒中で用いることが医薬、化粧品分野において盛ん
に研究されており、たとえば紫外線吸収剤としてp−ジ
メチルアミノ安息香酸アルキルエステルとエタノールと
界面活性剤を必須成分とする白濁化粧材料(特開昭61-9
1112号公報)や、紫外線吸収剤としてp−ジメチルアミ
ノ安息香酸2−エチルヘキシルと4−tert−ブチル−
4′−メトキシベンゾイルメタンを配合してえられた化
粧水(特開昭61-167613 号公報)などが知られている。
【0006】しかしかながら、これらの紫外線吸収剤
は、脂溶性の低分子化合物であるため、水系の化粧料な
どに配合するばあいには、界面活性剤などを多量に配合
しなければならないにもかかわらず、溶解性などの面か
ら限度があるという問題がある。
【0007】また、一般に低分子化合物よりも高分子化
合物のほうが皮膚刺激性および経皮吸収性が低いと考え
られており、紫外線吸収剤を高分子化する方法が検討さ
れつつある。このような観点から、紫外線吸収剤共重合
型非造膜性樹脂エマルジョンが提案され(特開平3-2202
13号公報)、紫外線吸収剤を高分子化するとともにエマ
ルジョン化して水系の溶媒へ分散したものが開発されて
いる。
【0008】しかしながら、エマルジョンを製造するに
は特別の設備や高度な技術などが要求され、またかかる
エマルジョンには本質的に多量の界面活性剤などの低分
子化合物が含有されていることから前記のような問題点
があるため、従来の簡単な撹拌式の重合反応設備および
技術で製造することができ、水への分散性、溶解性にす
ぐれた紫外線吸収剤の開発が待ち望まれている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明者らは、
前記従来技術に鑑みて、すぐれた紫外線吸収性を呈し、
水系の製品に配合して長期間にわたって保存したばあい
であっても析出せず、また使用中に分離することがな
く、たとえば化粧料などに好適に使用することができる
紫外線吸収剤を開発するべく鋭意研究を重ねた結果、紫
外線吸収性にすぐれることは勿論のこと、保湿性、界面
活性などにもすぐれた紫外線吸収剤をようやく見出し、
本発明を完成するにいたった。
【0010】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、親
水性ないし水溶性のモノマー(A)および紫外線吸収性
基を有するモノマー(B)を必須共重合成分とする共重
合体からなる紫外線吸収剤に関する。
【0011】
【作用および実施例】本発明の紫外線吸収剤は、前記し
たように、親水性ないし水溶性のモノマー(A)および
紫外線吸収性基を有するモノマー(B)を必須共重合成
分とする共重合体からなるものである。
【0012】本発明に用いられるモノマー(A)は、親
水性ないし水溶性を呈するモノマーであり、本発明の紫
外線吸収剤に水溶性を付与し、紫外線吸収性基を有する
モノマー(B)と併用することによって、水に対して良
好な溶解性を示すものである。
【0013】なお、本明細書でいう水溶性とは、化合物
10g 以上を水100gに分散または溶解させて室温にて24時
間静止したときに該化合物が析出または二層分離しない
状態であることをいう。
【0014】前記モノマー(A)の代表例としては、た
とえば一般式(I) :
【0015】
【化2】
【0016】(式中、R1 は水素原子またはメチル基、
2 は直鎖状または側鎖を有する炭素数1〜4のアルキ
レン基、R3 は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基ま
たはフェニル基、nは1〜30の整数を示す)で表わされ
るモノマーなどがあげられる。
【0017】なお、前記一般式(I) において、nは1〜
30の整数であり、かかるnの大きさによってえられる紫
外線吸収剤の水溶性、造膜性、粘着性を調整することが
できる。前記nが30よりも大きいばあいには、かかるモ
ノマーの立体障害が大きくなり、均一な共重合が行なわ
れにくくなるため、えられる紫外線吸収剤の水溶性が低
下するようになる傾向があり、またnが0であるばあい
には、紫外線吸収剤の水溶性が充分でなくなることがあ
る。なお、本発明においては、nは2〜25の整数である
ことが望ましい。
【0018】前記一般式(I) で表わされるモノマー
(A)の具体例としては、たとえばヒドロキシエチル
(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)ア
クリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エ
トキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリ
コールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレ
ングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエ
チレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレ
ングリコールモノ(メタ)アクリレートなどがあげら
れ、かかるモノマーは単独でまたは2種以上を混合して
用いることができるが、これらのなかでもえられる紫外
線吸収剤に高い水溶性を付与することができるという点
でメトキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエ
チル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモ
ノ(メタ)アクリレートおよびメトキシポリエチレング
リコール(メタ)アクリレートが好ましい。
【0019】前記モノマー(A)の使用量は、共重合成
分全量の60〜99.5%(重量%、以下同様)、好ましくは
62〜99%となるように調整することが望ましい。かかる
モノマー(A)の使用量が60%未満であるばあいには、
えられる紫外線吸収剤の水溶性が低下するようになる傾
向があり、また99.5%をこえるばあいには、相対的に紫
外線吸収性基を有するモノマーの配合量が少なくなり、
紫外線吸収性が低下するようになる傾向がある。
【0020】本発明に用いられるモノマー(B)は、紫
外線吸収性を呈するモノマーであり、本発明の紫外線吸
収剤に紫外線吸収性を付与するものである。
【0021】前記モノマー(B)の代表例としては、た
とえば一般式(II): CH2 =CR4 −COO−R5 −R6 (II) (式中、R4 は水素原子またはメチル基、R5 は直鎖状
または側鎖を有する炭素数1〜8のアルキレン基、R6
は紫外線吸収性基を示す)で表わされるモノマーなどが
あげられる。
【0022】なお、前記一般式(II)において、R5 は直
鎖状または側鎖を有する炭素数1〜8のアルキレン基で
あるが、これらのなかでもえられる紫外線吸収剤の水溶
性を高めるという点で直鎖状の炭素数1〜4のものが好
ましい。
【0023】前記一般式(II)で表わされるモノマーとし
ては、たとえばo−アミノ安息香酸、p−アミノ安息香
酸、o−N,N−ジメチルアミノ安息香酸、p−N,N
−ジメチルアミノ安息香酸、ケイ皮酸、p−メトキシケ
イ皮酸、サリチル酸、ウロカニン酸などの紫外線吸収性
を示すカルボン酸と、メチル(メタ)アクリレート、エ
チル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレ
ートなどのアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシ
メチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリ
レート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒド
ロキシペンチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキ
シル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘプチル(メ
タ)アクリレート、ヒドロキシオクチル(メタ)アクリ
レートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレー
ト、グリシジル(メタ)アクリレート、1,2−エポキ
シブチル(メタ)アクリレート、1,2−エポキシヘキ
シル(メタ)アクリレートなどのエポキシアルキル(メ
タ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート
とのエステルがあげられ、かかるモノマーの具体例とし
ては、たとえばo−N,N−ジメチルアミノ安息香酸
(メタ)アクリロイロキシエチル、p−N,N−ジメチ
ルアミノ安息香酸(メタ)アクリロイロキシエチル、p
−メトキシケイ皮酸(メタ)アクリロイロキシエチル、
ケイ皮酸(メタ)アクリロイロキシエチル、サリチル酸
(メタ)アクリロイロキシエチル、ウロカニン酸(メ
タ)アクリロイロキシエチルなどがあげられる。なお、
かかるモノマーは単独でまたは2種以上を混合して用い
ることができるが、これらのなかでも紫外線吸収波長領
域が好適で広範囲であり、さらにモノマーの安定性にす
ぐれているという点でp−N,N−ジメチルアミノ安息
香酸(メタ)アクリロイロキシエチルおよびp−メトキ
シケイ皮酸(メタ)アクリロイロキシエチルが好まし
い。
【0024】前記モノマー(B)の使用量は、共重合成
分全量の0.5 〜40%、好ましくは1〜38%となるように
調整することが望ましい。かかるモノマー(B)の使用
量が0.5 %未満であるばあいには、該モノマー(B)が
有する紫外線吸収能が充分に発現されなくなる傾向があ
り、また40%をこえるばあいには、えられる紫外線吸収
剤の水溶性が低下するようになる傾向がある。
【0025】本発明に用いられるモノマー(C)は、前
記モノマー(A)およびモノマー(B)と共重合可能な
モノマーであり、たとえば造膜性、水溶性、起泡性、粘
着性、密着性などの物性を適宜調整したり、モノマー
(A)とモノマー(B)との共重合性を向上させるため
に用いられるものである。
【0026】前記モノマー(C)の具体例としては、た
とえば(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレー
ト、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)ア
クリレート、ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキ
シル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メ
タ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、
ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)ア
クリレート、(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン
(メタ)アクリルアミド、N−(メタ)アクリロイロキ
シエチル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロラ
イド、N−(メタ)アクリロイロキシエチル−N−ベン
ジル−N,N−ジメチルアンモニウムクロライドなどが
あげられる。かかるモノマー(C)は単独でまたは2種
以上を混合して用いることができるが、モノマー(A)
およびモノマー(B)との共重合性を考慮すると、これ
らのなかでも、必須共重合成分としてたとえば一般式
(I) で表わされるモノマー(A)と一般式(II)で表わさ
れるモノマー(B)とを用いるばあいには、メタクリル
酸、メチルメタクリレート、ステアリルメタクリレー
ト、トリデシルメタクリレート、N−メタクリロイロキ
シエチル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロラ
イド、N−メタクリロイロキシエチル−N−ベンジル−
N,N−ジメチルアンモニウムクロライドなどが好まし
い。
【0027】前記モノマー(C)の使用量は、共重合成
分全量の20%以下、好ましくは5〜15%であることが望
ましい。かかるモノマー(C)の使用量が20%をこえる
ばあいには、えられる紫外線吸収剤の水溶性が低下する
ようになる傾向がある。
【0028】本発明の紫外線吸収剤は、前記モノマー
(A)〜(C)の所望量を調整し、親水性有機溶媒中で
共重合することによりえられる。
【0029】ここで親水性有機溶媒とは、水に対する溶
解度が10g/水 100g(25℃)以上である有機溶媒をい
う。かかる親水性有機溶媒の具体例としては、たとえば
炭素数が1〜4の脂肪族1〜4価アルコール、エチルセ
ロソルブ、ブチルセロソルブ、ジオキサン、酢酸メチ
ル、ジメチルホルムアルデヒドなどがあげられるが、こ
れらのなかでは1〜2価アルコールが取り扱い上とくに
好ましいものである。
【0030】前記1価アルコールの具体例としては、た
とえばメタノール、エタノール、イソプロパノールなど
があげられる。また2価アルコールの具体例としては、
たとえばプロピレングリコールなどがあげられる。
【0031】なお、本発明の紫外線吸収剤を化粧料に用
いるばあいには、その安全性を考慮すれば、前記親水性
有機溶媒のなかではエタノールおよびイソプロパノール
がとくに好ましいものである。
【0032】前記共重合反応は、モノマー(A)〜
(C)を前記親水性有機溶媒に溶解し、重合開始剤を添
加し、たとえばチッ素ガスなどの不活性ガス気流下で加
熱しながら撹拌することにより行なわれる。
【0033】前記重合開始剤としては、一般に溶液重合
法に用いられているものであればとくに制限はなく、そ
の具体例としては、たとえば過酸化ベンゾイル(BP
O)、過酸化ラウロイルなどの過酸化物、アゾビスイソ
ブチロニトリル(AIBN)などのアゾ系化合物などが
あげられる。
【0034】なお、モノマー(A)、(B)および
(C)のいずれかにチッ素原子が含まれるばあいには、
過酸化物を重合開始剤として用いたときに重合以外の副
反応が懸念されるため、アゾ系化合物を用いることが好
ましい。
【0035】重合に際しては、前記親水性有機溶媒は、
共重合成分の濃度が10〜70%程度となるように調整して
用いることが好ましい。前記共重合成分の濃度が50%を
こえるばあいには、前記共重合成分を分割して徐々に添
加して重合を行なうことが急激な重合熱の発生を避け、
安全に重合を行なううえで好ましい。
【0036】重合温度は、用いる重合開始剤の種類など
によって異なるため、一概には決定することができない
が、通常重合開始剤の10時間半減期温度以上とすること
が好ましく、とくに用いた親水性有機溶媒の還流温度に
近いことがより再現性の高い重合を行なうことができる
ので好ましい。
【0037】また、重合時間は、8時間よりも短いばあ
いには、重合が不完全となって未反応のモノマーが残存
することがあるため、8時間以上、好ましくは12〜36時
間とすることが望ましい。
【0038】なお、残存モノマーが存在するか否かは、
一般的な手法、たとえばPSDB法などにより二重結合
が存在するか否かを確認することにより行なうことがで
きる。
【0039】かくしてえられる本発明の紫外線吸収剤
は、1000〜1000000 程度、好ましくは2000〜500000程
度、さらに好ましくは10000 〜200000程度の重量平均分
子量を有するものであることが望ましい。かかる重量平
均分子量が1000未満であるばあいには、経皮吸収のおそ
れがあり、人体に対する安全性がわるくなるようになる
傾向があり、また、1000000 をこえるばあいには、固形
グリース状になり水溶性が低下するようになる傾向があ
る。
【0040】また、本発明の紫外線吸収剤は、通常その
ままの状態または溶媒を除去した状態で使用しうるもの
である。
【0041】本発明の紫外線吸収剤は、すぐれた紫外線
吸収性を有し、たとえば化粧料などに好適に使用するこ
とができる。
【0042】本発明の紫外線吸収剤は、たとえばグリセ
リン、プロピレングリコール、植物油などを基剤とする
ことにより、化粧水、トニック、ローション、乳液など
の液状物にしたり、たとえばステアリン酸、グリセリ
ン、流動パラフィン、トリエタノールアミンなどを乳化
したクリームなどの基剤に添加することにより、クリー
ム状にして用いることができる。
【0043】なお、本発明の紫外線吸収剤には、必要に
応じて着香料、着色料、賦形剤などを添加してもよい。
【0044】つぎに、本発明の紫外線吸収剤を実施例に
基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施
例のみに限定されるものではない。
【0045】製造例1 還流冷却管、温度計、仕込み管および撹拌装置を取り付
けた500ml 容の四つ口フラスコに、p−N,N−ジメチ
ルアミノ安息香酸50部(重量部、以下同様)、塩化チオ
ニル43部およびトルエン200 部を加え、100 〜108 ℃で
4時間加熱還流を行なった。このとき、発生する酸性ガ
スは還流冷却管の先端からアルカリトラップに導き、補
捉した。反応溶液を室温まで冷却し、さらにヒドロキシ
エチルメタクリレート39部および重合防止剤としてハイ
ドロキノン1部の混合溶液を滴下後、24時間室温で撹拌
した。反応溶液を2N水酸化ナトリウム水溶液および水
で洗浄後、トルエンを減圧で留去した。濃縮残渣をメタ
ノールより再結晶して白色結晶である反応生成物をえ
た。
【0046】えられた反応生成物の赤外吸収スペクトル
およびプロトン核磁気共鳴スペクトルを測定し、分析し
た結果、該生成物がp−N,N−ジメチルアミノ安息香
酸メタクリロイロキシエチルであることを確認した。
【0047】つぎにえられた生成物の融点および紫外吸
収スペクトルを以下の方法にしたがって測定した。
【0048】(融点)融点測定装置(メトラー社製、F
P−61)を用いて測定した結果、65℃であった。
【0049】(紫外吸収スペクトル)紫外分光光度計
((株)島津製作所製、UV−240 )を用い、試料を無
水エタノールで濃度が35ppm の溶液として光路差10mmの
石英セルにて測定した。その結果を図1に示す。
【0050】また、かかる測定結果より、えられた紫外
性吸収性基を有するモノマー(B)の紫外線吸収波長領
域および最大特性吸収波長を求めた結果、紫外線吸収波
長領域は260 〜340nm 、最大特性吸収波長は310nm であ
った。
【0051】製造例2 製造例1において、仕込み組成をp−メトキシケイ皮酸
36部、塩化チオニル29部、トルエン100 部、ヒドロキシ
エチルメタクリレート26部に変更したほかは製造例1と
同様にして粗反応生成物をえた。これをシリカゲルカラ
ムクロマトグラフィーにより精製して黄色油状の反応生
成物をえた。
【0052】えられた反応生成物の赤外吸収スペクトル
およびプロトン核磁気共鳴スペクトルを測定し、分析し
た結果、該生成物がp−メトキシケイ皮酸メタクリロイ
ロキシエチルであることを確認した。
【0053】つぎにえられた生成物の紫外吸収スペクト
ルを製造例1と同様にして測定した結果、図1に示すス
ペクトルとほぼ同様のものであり、かかるモノマーの紫
外線吸収波長領域は250 〜350nm 、最大特性吸収波長は
308nm であった。
【0054】実施例1 還流冷却管、温度計、チッ素導入管、仕込み管および撹
拌装置を取り付けた100ml 容の五つ口フラスコに、共重
合成分として2−メトキシエチルアクリレート45部、2
−ヒドロキシエチルアクリレート50部およびp−N,N
−ジメチルアミノ安息香酸メタクリロイロキシエチル5
部、ならびに溶媒として無水エタノール400 部を入れ、
これに重合開始剤としてα,α′−アゾビスイソブチロ
ニトリル2部を加え、撹拌しながらチッ素気流下に80℃
で加熱還流した。6時間の還流ののち、α,α′−アゾ
ビスイソブチロニトリル0.25部を追加し、さらに12時間
還流して反応を完結した。
【0055】えられたポリマー溶液を濃縮器にて樹脂固
形分濃度が50%になるまでエタノールを留去し、紫外線
吸収剤(50%エタノール溶液)をえた。かかる溶液に含
まれる樹脂固形分の重量平均分子量をゲルパーミション
クロマトグラフィー(以下、GPCという)により測定
したところ19100(スチレン換算)であった。
【0056】つぎに、えられた紫外線吸収剤の物性とし
て外観、水溶性、特性吸収波長および触感を以下の方法
にしたがって調べた。その結果を表2に示す。
【0057】(イ)外観 目視により観察した。
【0058】(ロ)水溶性 50%エタノール溶液に液温25℃付近で水を添加して稀釈
されるかどうかを調べた。評価基準を以下に示す。
【0059】(評価基準) A:10倍以上に稀釈したときに濁りを生じない。 B:5倍以上に稀釈したときに濁りを生じない。 C:5倍以上に稀釈したときに濁りを生じるが、凝集析
出物が認められない。 D:5倍以上に稀釈したときに濁りを生じ、凝集析出物
がわずかに認められる。 E:5倍以上に稀釈したときに濁りを生じ、凝集析出物
が明らかに認められる。
【0060】(ハ)特性吸収波長 紫外分光光度計((株)島津製作所製、UV−240 )を
用い、試料を100ppm水溶液として光路差10mmの石英セル
にて紫外吸収スペクトルを測定し、最大特性吸収波長
(nm)を調べた。
【0061】(ニ)触感 ガラス板上に50%エタノール溶液を20g/m2 となるよ
うに均一に塗布し、室温にて24時間風乾させたのち、指
で表面の触感を調べた。
【0062】実施例2〜5および8〜14 配合した共重合成分を表1に示すように変更したほかは
実施例1と同様にして紫外線吸収剤(50%エタノール溶
液)をえた。
【0063】かかる溶液に含まれる樹脂固形分の重量平
均分子量をGPCにより測定した結果を表1に示す。
【0064】つぎに、えられた紫外線吸収剤の物性を実
施例1と同様にして調べた。その結果を表2に示す。
【0065】実施例6および7 配合した共重合成分を表1に示すように変更し、無水エ
タノールの使用量を300 部に変更したほかは実施例1と
同様にして紫外線吸収剤(50%エタノール溶液)をえ
た。かかる溶液に含まれる樹脂固形分の重量平均分子量
をGPCにより測定した結果を表1に示す。
【0066】つぎに、えられた紫外線吸収剤の物性を実
施例1と同様にして調べた。その結果を表2に示す。ま
た、実施例6でえられた紫外線吸収剤の紫外吸収スペク
トルの測定結果を図2に示す。なお、実施例1〜5およ
び7〜14でえられた紫外線吸収剤の紫外吸収スペクトル
は、図2に示すスペクトルとほぼ同様のものであり、紫
外線吸収波長領域が250 〜350nm と広範囲のものであっ
た。
【0067】なお、表中、各略号は以下のことを意味す
る。
【0068】MEA:2−メトキシエチルアクリレート HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート M2GM:メトキシジエチレングリコールメタクリレー
ト M4GM:メトキシポリエチレングリコールメタクリレ
ート(n≒4) M9GM:メトキシポリエチレングリコールメタクリレ
ート(n≒9) M23GM:メトキシポリエチレングリコールメタクリ
レート(n≒23) MEDB:p−N,N−ジメチルアミノ安息香酸メタク
リロイロキシエチル MEMC:p−メトキシケイ皮酸メタクリロイロキシエ
チル MMA:メチルメタクリレート SMA:ステアリルメタクリレート TMA:トリデシルメタクリレート DMBZ:N−メタクリロイロキシエチル−N−ベンジ
ル−N,N−ジメチルアンモニウムクロライド DMC:N−メタクリロイロキシエチル−N,N,N−
トリメチルアンモニウムクロライド MA:メタクリル酸
【0069】
【表1】
【0070】
【表2】
【0071】表2に示した結果から、本発明の実施例1
〜14でえられた紫外線吸収剤は、透明〜淡黄色の外観を
有し、水溶性を呈し、なおかつ紫外線特性吸収波長が 3
10nm前後であることがわかる。
【0072】比較例1〜5 表3に示す紫外線吸収性を示す化合物50部のみをエタノ
ール50部に溶解または分解させた化合物について、実施
例1と同様にして水溶性を調べた。
【0073】その結果、比較例1〜5で用いられた化合
物は、いずれも液温25℃付近で水を添加して5倍以上に
稀釈したときに濁りを生じ、凝集析出物が明らかに認め
られ(水溶性の評価E)、水溶性を呈するものであると
はいえなかった。
【0074】
【表3】
【0075】処方例1〜14 ステアリン酸14g、流動パラフィン4gおよびそれぞれ
実施例1〜14でえられた紫外線吸収剤(50%エタノール
溶液)10gを水浴上で75℃に加熱し、混合した。
【0076】つぎに、グリセリン4g、トリエタノール
アミン2gおよび精製水56gを混合し、75℃に加熱して
均一な溶液とした。
【0077】かかる溶液を前記ステアリン酸、流動パラ
フィンおよび紫外線吸収剤の混合溶液に添加し、充分に
撹拌混合して室温まで冷却し、日焼け止めクリームをえ
た。
【0078】えられたクリームを室温で1ヵ月間保存し
たのちに、その状態を目視にて観察したところ、いずれ
のクリームにも何ら変化は認められなかった。
【0079】つぎに、えられたクリームの日焼け止め効
果を以下の試験方法にしたがって調べた。その結果、対
照のクリームを塗布したばあいには、その部分の皮膚が
紅に近い赤色を呈したのに対し、処方例1〜14のクリー
ムを塗布したばあいには、その部分の皮膚の色は、露光
されていない部分の色と比較してほとんど差異が認めら
れなかった。
【0080】(試験方法)15人のパネラーそれぞれの背
部3ヵ所に処方例1〜14のクリームおよび対照のクリー
ム(実施例1〜14の紫外線吸収剤を用いなかったほかは
処方例1〜14と同様にして調製したもの)を5×5cmの
正方形内に2mg/cm2 となるようにそれぞれ塗布し、そ
れ以外の部分はさらし布で覆い、15分間経過後に直射日
光下(場所:大阪、時期:8月中旬午後1時、天気:快
晴)で2時間露光させた。
【0081】なお、効果の判定は露光終了1時間後に目
視にて行なった。
【0082】
【発明の効果】本発明の紫外線吸収剤は、広範囲の波長
領域ですぐれた紫外線吸収性を呈し、水系の製品に配合
して長期間にわたって保存したばあいであっても析出せ
ず、また使用中に分離することがないので、たとえば化
粧料などに好適に使用することができるという効果を奏
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】製造例1でえられたp−N,N−ジメチルアミ
ノ安息香酸メタクリロイロキシエチルの紫外吸収スペク
トルを示すグラフである。
【図2】実施例6でえられた本発明の紫外線吸収剤の紫
外吸収スペクトルを示すグラフである。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 親水性ないし水溶性のモノマー(A)お
    よび紫外線吸収性基を有するモノマー(B)を必須共重
    合成分とする共重合体からなる紫外線吸収剤。
  2. 【請求項2】 共重合体がモノマー(A)およびモノマ
    ー(B)と共重合可能なモノマー(C)を含有した共重
    合成分からなるものである請求項1記載の紫外線吸収
    剤。
  3. 【請求項3】 モノマー(A)が一般式(I) : 【化1】 (式中、R1 は水素原子またはメチル基、R2 は直鎖状
    または側鎖を有する炭素数1〜4のアルキレン基、R3
    は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基またはフェニル
    基、nは1〜30の整数を示す)で表わされるモノマーで
    ある請求項1または2記載の紫外線吸収剤。
  4. 【請求項4】 モノマー(B)が一般式(II): CH2 =CR4 −COO−R5 −R6 (II) (式中、R4 は水素原子またはメチル基、R5 は直鎖状
    または側鎖を有する炭素数1〜8のアルキレン基、R6
    は紫外線吸収性基を示す)で表わされるモノマーである
    請求項1、2または3記載の紫外線吸収剤。
  5. 【請求項5】 モノマー(A)60〜99.5重量%およびモ
    ノマー(B)0.5 〜40重量%を必須共重合成分とする共
    重合体からなる請求項1、2、3または4記載の紫外線
    吸収剤。
  6. 【請求項6】 モノマー(C)の使用量が共重合成分全
    量の20重量%以下である請求項2、3、4または5記載
    の紫外線吸収剤。
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WO2019159707A1 (ja) * 2018-02-15 2019-08-22 富士フイルム株式会社 バインダー組成物、バインダー層、光学積層体および画像表示装置

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