JPH0673137U

JPH0673137U - ボトル上のガラスエナメルラベル

Info

Publication number: JPH0673137U
Application number: JP1535993U
Authority: JP
Inventors: 隆幸冨田; 宏清水; 成俊北村; 幸和森津
Original assignee: Okuno Chemical Industries Co Ltd
Current assignee: Okuno Chemical Industries Co Ltd
Priority date: 1993-03-30
Filing date: 1993-03-30
Publication date: 1994-10-11

Abstract

(57)【要約】【構成】有鉛ガラスエナメルの焼成によるボトル壁上
のラベル層と、該ラベル層を覆うようにして焼成された
透明性の無鉛ガラスエナメルによる被覆層とを備えたこ
とを特徴とするボトル上のガラスエナメルラベル。【効果】焼成温度を低く設定でき光沢のあるラベルが
得られ、鉛やカドミウムが溶出する畏れがない。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、ガラス製ボトル上にガラスエナメルを焼成して形成されるガラスエナメルラベルの構造に関する。

【０００２】

【従来の技術及びその問題点】

近年リサイクルに対する関心が高まり、清涼飲料水、ビール等の他、種々のガラスボトルのリサイクルが行われている。リサイクルで回収されたボトルは毎回洗浄を行っている。しかし、ボトルに焼付されているラベルは、硼珪酸鉛ガラスを主成分としており、また顔料（特に赤色）によってはカドミウムを含んでいるため、濃厚なアルカリ性洗浄液により、鉛やカドミウムが溶出する。従って、洗浄廃液の処理が困難であった。一方、鉛の溶出をなくすべくラベル形成用のガラスエナメルを無鉛化すると、鉛を含有するガラスエナメルに比して、焼付温度が高くなるため、表面光沢に欠け、鮮やかな色調が得られないという欠点があり、カドミウムの使用をなくすと彩色の自由度が減じるという問題があった。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は、これらの従来技術の問題点を解決し、ボトルの洗浄の際に鉛やカドミウムの溶出の問題を生じないガラスエナメルラベルを提供することを目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本考案の前記目的は、有鉛ガラスエナメルの焼成によるボトル壁上のラベル層と、該ラベル層を覆うようにして焼成された透明性の無鉛ガラスエナメルによる被覆層とを備えたことを特徴とするボトル上のガラスエナメルラベルにより達成される。

【０００５】

【実施例】以下、本考案の１実施例について添付図面を参照しつつ説明する。図１（ｃ）は、白色ガラスエナメル２及び青色ガラスエナメル３によりボトル１上に形成されたにラベル層と、透明な無鉛ガラス４で前記ラベル層を覆うように形成された被覆層とを備えたガラスエナメルラベルの断面を示している。ボトル上に形成するラベル層は、この例においては、以下の組成からなる硼珪酸鉛ガラスを使用して形成されている。

【０００６】ＳｉＯ₂ ３６重量％Ｂ₂Ｏ₃ ３重量％ＰｂＯ４３重量％ＺｒＯ₂ ６重量％ＴｉＯ₂ ２重量％Ｌｉ₂Ｏ３重量％Ｎａ₂Ｏ２重量％白色エナメルの顔料としては酸化チタン、青色エナメルの顔料としては酸化コバルトを使用している。また、ラベル層を覆う被覆層の透明無鉛ガラスとして、この例では、特公平第４−１７９０４号公報記載の耐アルカリ性を有する以下の組成からなるものを使用している。

【０００７】ＳｉＯ₂ ４６重量％Ｂ₂Ｏ₃ １２重量％ＺｒＯ₂ ３重量％Ｌｉ₂Ｏ２重量％Ｎａ₂Ｏ６重量％ＺｎＯ２４重量％ＣａＯ５重量％Ｆ２重量％以下、上記したガラス材料を使用してボトル上にラベルを形成する手順について述べる。最初に、白色ガラスエナメル２をボトル１にスクリーン印刷し、その上に青色ガラスエナメル３をスクリーン印刷する。さらに、この印刷層を被覆するように透明な無鉛ガラス４をスクリーン印刷する。その後、炉にて約６３０℃ で焼付けを行う。

【０００８】有鉛白色ガラスエナメル、有鉛青色ガラスエナメルは、ガラス粉末と無機顔料を常法によってオイルまたはワックスで混練して作成するが、本実施例のように多重プリントする場合は、ワックスで混練させた熱可塑性のものが望ましい。

【０００９】被覆層は、薄くすれば耐薬液性が低下し、厚くするとガラスの透明性が低下するため、必要に応じて適宜の厚さにする。

【００１０】以下、前述の白色及び青色の有鉛ガラスエナメル、これらに透明無鉛ガラスエナメルの被覆をしたもの、並びに次に示す組成の赤色有鉛ガラスエナメル及びこれらに無鉛透明ガラスエナメルで被覆したもので各々ガラス上に焼付層を形成した試料について行った溶出に関する試験結果を掲載する。赤色有鉛ガラスエナメルの組成は以下のものよりなっている。

【００１１】ＰｂＯ４５重量％ＳｉＯ₂ ３２重量％Ｂ₂Ｏ₃ ７重量％ＴｉＯ₂ ３重量％Ｋ₂Ｏ２重量％Ｎａ₂Ｏ４重量％Ｌｉ₂Ｏ３重量％Ａｌ₂Ｏ₃ １重量％ＣｄＯ３重量％顔料は硫セレン化カドミウム（３ＣｄＳ・ＣｄＳｅ）をフリットに添加して青、白色と同様にして作成する。

【００１２】以下、表１にガラス表面にガラスエナメルを焼付けたものからアルカリ洗浄液により溶出した鉛量、カドミウム量の測定結果を示す。溶出テストは、９％ＮａＯＨ及び１％Ｎａ₃ＰＯ₅・１２Ｈ₂Ｏの混合アルカリ水溶液を使用し、８８± ２℃の温度下で１６時間浸漬して行った。

【００１３】表１ガラスエナメルの種類鉛溶出量カドミウム溶出量（ｍｇ／ｃｍ²）（ｍｇ／ｃｍ²）有鉛青色０．０２１検出されず有鉛青色＋無鉛透明検出されず検出されず有鉛白色０．０２５検出されず有鉛白色＋無鉛透明検出されず検出されず有鉛赤色０．０１５０．００１４有鉛赤色＋無鉛透明検出されず検出されず表１より有鉛ガラスエナメル層を無鉛透明ガラスエナメルで被覆すると鉛及びカドミウムの溶出が防止されていることが分かる。

【００１４】また、すでに市場に出回っている従来タイプのガラスエナメルラベルを備えたボトルについては、回収した際に、そのラベル自体をラベル層として使用し、これを覆うように無鉛の透明性ガラスエナメルを印刷し、炉で焼成すれば、同様の溶出防止効果が得られる。

【００１５】

【考案の効果】

本考案に係るガラスエナメルラベルは、有鉛ガラスエナメルの焼成によるボトル壁上のラベル層と、該ラベル層を覆うようにして焼成された透明性の無鉛ガラスエナメルによる被覆層とを備えた構造であるので、顔料を含む有色部分は必要に応じて有鉛とし、鉛の含有によって焼付温度を低くし、これを覆う無鉛の部分は顔料を含めないことにより焼付温度を低く保つことができる。その結果、両方の層の焼付温度を低くすることができ、光沢のある焼付ガラス層を得ることができる。しかも、無鉛ガラスで被覆されているので、耐薬品性に富み洗浄時に薬液により有害な鉛やカドミウムを溶出することがなく、廃液処理の問題を生じない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の係るガラスエナメルラベルの製造工程
を示す断面図である。

【符号の説明】

１ボトル２白色ガラスエナメル３青色ガラスエナメル４透明無鉛ガラスエナメル

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】有鉛ガラスエナメルの焼成によるボトル
壁上のラベル層と、該ラベル層を覆うようにして焼成さ
れた透明性の無鉛ガラスエナメルによる被覆層とを備え
たことを特徴とするボトル上のガラスエナメルラベル。