JPH0672993A - 光学活性なシクロヘキシルカルボキシラート誘導体、及びその製造方法 - Google Patents

光学活性なシクロヘキシルカルボキシラート誘導体、及びその製造方法

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JPH0672993A
JPH0672993A JP22875892A JP22875892A JPH0672993A JP H0672993 A JPH0672993 A JP H0672993A JP 22875892 A JP22875892 A JP 22875892A JP 22875892 A JP22875892 A JP 22875892A JP H0672993 A JPH0672993 A JP H0672993A
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compound
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cyclohexylcarboxylate
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JP22875892A
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English (en)
Inventor
Taeko Izumi
多恵子 泉
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Kawaken Fine Chemicals Co Ltd
Original Assignee
Kawaken Fine Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 光学活性(R)又は(S)−2−シクロヘキ
セン−1−オール(A)又は(B)の中間体として有用
な光学活性シクロヘキシルカルボキシラート誘導体、お
よびその製造方法を提供する。 【構成】 式(I)および(II): 【化1】 の(1R,2R)−シクロヘキシルカルボキシラート化
合物および(1S,2S)−シクロヘキサノール化合物
を製造するために、式(III): 【化2】 のdl−トランス−シクロヘキサノール化合物を、ビニ
ルカルボキシラート化合物(R1 −CO−O−CR3
CH2 、R1 =前記に同じ、R3 =H、又はC1- 5 アル
キル)、又は酸無水物((R1 CO)2O、R1 =前記に
同じ)の存在下に、不活性媒体中において、リパーゼに
より処理し、得られた式(I)および(II)の化合物を
分離捕集する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光学活性なシクロヘキ
シルカルボキシラート誘導体、およびその製造方法に関
するものである。更に詳しく述べるならば、本発明は、
光学活性な(R)−2−シクロヘキセン−1−オール
(A)、および(S)−2−シクロヘキセン−1−オー
ル(B)の中間体として有用な光学活性シクロヘキシル
カルボキシラート誘導体、およびその製造方法に関する
ものである。
【0002】上記化合物(A)および(B)は、それぞ
れ下記式(Xa )および(Xb ):
【化7】 により表わされるものであって、テルペン、香料などの
合成中間体としてきわめて重要な化合物である。(Che
m. Pharm. Bull., 23,2539 (1975)、およびChem.Lett.,
1175 (1984))
【0003】
【従来の技術】上記化合物(A)、(B)の製法として
は、従来種々のものが知られている(ケミカル.ファマ
シュティカル.ブレタン、33巻、52頁(1985
年)およびジャーナル.オルガニク.ケミストリー、5
4巻、4504頁(1989年)。しかし、これら従来
方法には、製品の純度が低く、製造コストが高いなどの
問題があり、高純度のものを経済的に製造する方法は未
だ知られていない。
【0004】従って、簡易な操作で、光学純度の高い化
合物(A)及び(B)を製造するために有用な中間体化
合物、およびそれを経済的に製造する方法の開発が望ま
れている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、非常に高
い光学純度の化合物(A)及び(B)またはそのアシル
誘導体を、簡便かつ効果的に製造し得る方法を開発する
ことを目的として、鋭意検討を重ねた結果、一定の条件
のもとでdl−トランス−シクロヘキサノール誘導体
(III)をリパーゼにより処理することにより、高収率、
かつ非常に高い光学純度で、化合物(A)の前駆体とし
て有用な(1R,2R)−シクロヘキシルカルボキシラ
ート誘導体、及び化合物(B)の前駆体として有用な
(1S,2S)−シクロヘキサノール誘導体を製造する
ことに成功し、本発明を完成させた。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係る光学活性な
シクロヘキシルカルボキシラート誘導体は、(1R,2
R)−シクロヘキシルカルボキシラート化合物、および
(1S,2S)−シクロヘキサール化合物を包含するも
のである。
【0007】すなわち、本発明の(1R,2R)−シク
ロヘキシルカルボキシラート化合物は下記一般式
(I):
【化8】 (但し、式(I)中、R1 はアリール基、又は1〜17
炭素原子を有するアルキル基を表わし、R2 はアリール
基を表わす。)により表わされる化合物である。
【0008】また、本発明の(1S,2S)−シクロヘ
キサノール化合物は、下記一般式(II):
【化9】 (但し、式(II)中、R2 はアリール基を表わす。)に
より表わされる化合物である。
【0009】上記(1R,2R)−シクロヘキシルカル
ボキシラート化合物および(1S,2S−シクロヘキサ
ノール化合物は、下記本発明方法により製造することが
できる。すなわち本発明方法は、下記一般式(I):
【化10】 (但し、式(I)中、R1 は、アリール基、又は1〜1
7炭素原子を有するアルキル基を表わし、R2 はアリー
ル基を表わす。)により表わされる(1R,2R)−シ
クロヘキシルカルボキシラート化合物、および、下記一
般式(II):
【化11】 (但し、式(II)中、R2 は、アリール基を表わす。)
により表わされる(1S,2S)シクロヘキサノール化
合物を製造するために、下記一般式(III):
【化12】 (但し、式(III)中、R2 は前記定義に同じ。)により
表わされるdl−トランス−シクロヘキサノール化合物
を、下記一般式(IV):
【化13】 (但し、式(IV)中、R1 は前記定義の通りであり、R
3 は、水素原子、又は1〜5炭素原子を有するアルキル
基を表わす。)により表わされるビニルカルボキシラー
ト化合物、又は、下記一般式(V): (R1 CO)2O (V) (但し、式(V)中、R1 は前記定義に同じ。)により
表わされる酸無水物の存在下に、不活性媒体中におい
て、リパーゼをもって処理し、得られた式(I)の化合
物と、式(II)の化合物を、反応混合物から分離捕集す
ることを特徴とするものである。
【0010】本発明方法において、前記不活性媒体は、
有機溶剤からなるものであってもよい。
【0011】
【作用】前記式(I)および(II)の化合物において、
1 により表わされる1〜17炭素原子を有するアルキ
ル基は、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロ
ピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ラウリル、ミリス
チル、パルミチル、およびステアリル基などから選ば
れ、好ましくは炭素原子数が1〜5までのアルキル基か
ら選ばれ、さらに好ましくは、メチル基又はプロピル基
である。
【0012】式(I)、(II)および(III)において、
1 及びR2 によって表わされるアリール基は、例え
ば、フェニル又はナフチル基であり、好ましくは、フェ
ニル基である。また、式(I)〜(III)のシクロヘキサ
ン環上には、置換基を有してもよく、それらの置換基と
しては、炭素原子数1から4のアルキル基(例えば、メ
チル、エチル、プロピル、ブチル)、炭素数1から4の
アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキ
シ、ブトキシ)、ハロゲン原子(例えば、フルオロ、ク
ロロ、ブロモ、ヨード原子)、またはニトロ基等があげ
られる。
【0013】前記一般式(I)及び(II)において、
(1) R1 は、炭素数1から17のアルキル基(特
に、メチル基またはプロピル基)または、フェニルであ
ること、および(2) R2 は、フェニルであること、
の条件を満たしていることが特に好ましい。さらに、化
合物(I)の好適なものを表1に例示する。
【0014】
【表1】
【0015】式(I)および(II)の化合物は、下記本
発明方法によるリパーゼ処理(第1工程)によって容易
に製造することができる。
【化14】 (但し、上式中R1 およびR2 は前記定義の通りであ
り、R3 は、水素原子または炭素数1から6のアルキル
基(好適には、水素原子、メチル基である。)を表わ
す。)
【0016】上記第1工程は、式(I)および(II)の
化合物を製造する工程であって、一般式(III)で表され
るdl−トランス−シクロヘキサノール化合物が、一般
式(IV)で表わされるビニルカルボキシラート化合物、
または一般式(V)で表わされる酸無水物の存在下に、
不活性媒体中でリパーゼにより処理される。
【0017】本発明方法に使用されるリパーゼとして
は、例えばシュードモナスリパーゼ(Pseudomonas Lipa
se) 、ブタ膵臓リパーゼ(Porcine Pancreatic Lipas
e)、キャンディダリパーゼ(Candida cyclindracea) 等
があげられる。
【0018】本発明方法に使用される式(IV)の化合物
は、好ましくは、イソプロペニルアセテート、ビニルア
セテート、ビニルブチレート、ビニルラウレート、ビニ
ルステアレート、ビニルベンゾエート等から選ばれる。
【0019】本発明方法に使用される式(V)の化合物
は、好ましくは、無水酢酸、酪酸無水物、安息香酸無水
物、ラウリン酸無水物、パルミチン酸無水物、ステアリ
ン酸無水物等から選ばれる。
【0020】本発明方法に使用される不活性媒体は、反
応に関与しないものである限り、特に限定はないが、好
ましくは、有機溶剤、例えば、ジエチルエーテル、イソ
プロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンの
ようなエーテル類、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサ
ンのような脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キ
シレンのような芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、ジ
クロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素のようなハロ
ゲン化炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトンのよ
うなケトン類、アセトニトリルのようなニトリル類、ジ
メチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドのようなア
ミド類から選ばれる。さらに好ましい不活性有機溶剤
は、エーテル類、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類
である。
【0021】本発明方法において、第1工程の反応温度
は、通常0℃ないし50℃(好適には、室温付近)であ
り、反応に要する時間は、リパーゼの種類、反応温度等
によって異なるが、3時間ないし150時間(好適には
3時間ないし10時間)である。
【0022】本発明方法において、第1工程の反応混合
物には、式(I)および(II)の目的化合物が含まれる
が、式(I)および(II)の化合物は、常法、例えば、
リパーゼを濾去し、溶剤を留去した後、カラムクロマト
グラフィー等により分離することによって、反応混合物
から分離することができる。
【0023】本発明の式(I)の化合物は、下記第2お
よび3工程により、式(IV)の化合物を経て容易に香料
等の合成重要中間体である光学純度の高い式(Xa )の化
合物(A)に導くことができる。
【化15】 (上記式中、R1 およびR2 は、前記定義の通りであ
る。)
【0024】第2工程は、一般式(VI)で表わされるシ
クロヘキセニルカルボキシラート化合物を製造する工程
で、不活性溶剤中において、式(I)の化合物を過酸化
水素、過酢酸、過安息香酸、過クロロ安息香酸等の酸化
剤と反応させる。
【0025】第2工程に使用される不活性溶剤は、反応
に関与しなければ特に制限されないが、例えば、エーテ
ル、テトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエーテル
類、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、
四塩化炭素のようなハロゲン化炭化水素、ジメチルホル
ムアミド、ジメチルアセタミドのようなアミド類をあげ
ることができるが、好ましくはエーテル類、ハロゲン化
炭化水素類である。
【0026】第2工程の反応温度は、通常0℃ないし1
50℃(好適には、20℃ないし100℃)であり、反
応に要する時間は反応温度等によって異なるが、通常1
0分ないし4時間である。反応終了後、第2反応の目的
化合物は、常法に従って反応混合物から採取される。例
えば、溶剤がハロゲン化炭化水素類のような水不混和性
有機溶剤の場合は、10%炭酸ナトリウム水のような塩
基で洗浄、乾燥後、溶剤を留去することによっても得る
ことができる。更に、必要に応じて、常法、例えば、カ
ラムクロマトグラフィー法、蒸留法等により精製するこ
ともできる。
【0027】第3工程は、式(Xa )の化合物(A)を製
造する工程であって、式(VI)の化合物を、不活性溶剤
中において、塩基と反応させる。
【0028】第3工程において使用される塩基は、例え
ば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、のようなアル
カリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムのよ
うなアルカリ金属炭酸塩、ナトリウムメチラート、ナト
リウムエチラート、カリウムメチラート、カリウムエチ
ラート、カリウムt−ブチラートのようなアルカリ金属
アルコラートであげられ、好ましくは、アルカリ金属水
酸化物である。
【0029】第3工程において使用される不活性溶媒
は、例えば、メタノール、エタノールのようなアルコー
ル類、エーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランのよ
うなエーテル類、水、またはこれら有機溶剤と水の混合
物等があげられ、好ましくは、アルコール類または、含
水アルコール類である。
【0030】第3工程の反応温度は、通常0℃ないし8
0℃(好適には室温付近)であり、反応に要する時間は
反応温度によって異なるが、通常2時間ないし48時間
(好適には4時間ないし24時間)である。
【0031】第3工程の反応終了後、この反応の目的物
(式(Xa ) の化合物(A)は、常法、例えば、反応混合
物から溶剤を留去することあるいは、反応混合物を水に
あけ、水不混和性有機溶剤で抽出し、乾燥した後、溶剤
を留去することによって反応混合物から採取される。更
に、必要に応じて、常法、例えば、カラムクロマトグラ
フィー法、蒸留法等により精製することもできる。
【0032】また、本発明の式(II)の化合物は下記第
4〜6工程からなる方法により、式(VII)の化合物、お
よび式(VIII)の化合物を経て、容易に香料等の合成中
間体である光学純度の高い式(Xb ) の化合物(B)に導
かれる。
【化16】 (上記式中、R1 及びR2 は、前記定義の通りであ
る。)
【0033】第4工程は、一般式(VI)で表される(1
S,2S)−シクロヘキサノールカルボキシラート化合
物を製造する工程であって、式(I)の化合物を、無溶
剤中、または不活性溶剤中において、酸塩化物、酸臭化
物、または酸無水物と反応させる。
【0034】第4工程に使用される酸塩化物、および酸
臭化物は、例えば、塩化アセチル、臭化アセチル、塩化
プロピオニル、塩化ブチリル、塩化ラウロイル、塩化ベ
ンゾイル等の酸ハロゲン化物から選ぶことができるが、
好ましくは塩化アセチルである。
【0035】第4工程において使用される酸無水物とし
ては、例えば無水酢酸、酪酸無水物、安息香酸無水物等
の酸無水物をあげることができるが、好ましくは無水酢
酸である。
【0036】第4工程において使用される不活性溶剤
は、反応に関与しなければ特に制限されないが、例え
ば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、
四塩化炭素のようなハロゲン化炭化水素類、アセトン、
メチルエチルケトンのようなケトン類、エーテル、テト
ラヒドロフラン、ジオキサンのようなエーテル類、ペン
タン、ヘキサン、シクロヘキサンのような脂肪族炭化水
素類、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭
化水素類、トリエチルアミン、ピリジン、キノリンのよ
うな有機第3級アミン類をあげることができるが、好ま
しくは有機第3級アミンであり、特に好ましくはピリジ
ンである。
【0037】第4工程の反応温度は、通常0℃ないし1
20℃(好適には、0℃ないし100℃)であり、反応
に要する時間は反応温度等によって異なるが、通常30
分ないし48時間(好適には1時間ないし24時間)で
ある。
【0038】第4工程の反応終了後、この反応の目的
物、すなわち、式(VII)の化合物は、常法に従って反応
混合物から採取される。例えば、溶剤がピリジンのよう
な第3級アミンの場合は、反応混合物を水にあけ、水不
混和性溶剤で抽出し、稀塩酸、稀アルカリ水溶液で洗
浄、乾燥した後、溶剤を留去することによって得ること
ができる。更に、必要に応じて、常法、例えば、カラム
クロマトグラフィー法、蒸留法等により精製することが
できる。
【0039】第5工程は、式(VII)の化合物から一般式
(VIII)で表される(S)−シクロヘキセニルカルボキ
シラート誘導体を製造する工程であって、先に述べた式
(I)の化合物より式(VI)の化合物を得るための第2
工程と同じ方法で行うことができる。即ち、不活性溶剤
中において、式(VII)の化合物を過酸化水素、過安息香
酸、過クロロ安息香酸等の酸化剤と反応させればよい。
【0040】第6工程は、一般式(VIII)で表される化
合物より、式(Xb ) の(S)−2−シクロヘキセン−1
−オール(B)を製造する工程であって、先に述べた式
(VI)の化合物より式(Xa ) の化合物(A)を得る第3
工程と同じ加水分解法によって、式(Xb ) の化合物
(B)に導くことができる。
【0041】下記実施例及び参考例により、本発明をさ
らに詳細に説明する。
【実施例】実施例1 (1R,2R)−2−フェニルセレノ−1−シクロヘキ
シルアセテート及び(1S,2S)−2−フェニルセレ
ノ−1−シクロヘキサノールの合成 dl−トランス−2−フェニルセレノシクロヘキサノー
ル(408mg)のイソプロピルエーテル溶液(20ml)
に、ビニルアセテート(0.20ml)、モレキュラシー
ブ粉末(400mg)、およびリパーゼPS(アマノ製薬
社製品、800mg)を加え、23℃で4時間攪拌した。
反応液からリパーゼを濾去し、濾液を濃縮した後、シリ
カゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶剤:ヘキサ
ン:ベンゼン=5:1)で精製し、極性の低い分画か
ら、赤橙色油状物として(1R,2R)−2−フェニル
セレノ−1−シクロヘキシルアセテート224mg得た。
(収率94%、光学純度98%ee)。 旋光度:〔α〕D 20=−18.5°(c=0.25、C
HCl3 )、 NMRスペクトル(CDCl3)δppm :1.33−2.
01(8H,m)、1.93(3H,s)、3.14
(1H,d−t)、4.75(1H,d−t)、7.3
2(3H,m)、7.50(2H,m).
【0042】また、極性の高い分画から、赤橙色油状物
として、208mgの(1S,2S)−2−フェニルセレ
ノシクロヘキサノールを得た。(収率102%、光学純
度98%)。 旋光度:〔α〕D 20=+55.0°(c=0.25、C
HCl3 )、 NMRスペクトル(CDCl3)δppm :1.04−1.
79(6H,m)、2.11(2H,m)、2.83
(1H,m)、2.89(1H,br−s)、3.29
(1H,m)、7.24(3H,m)、7.52(2
H,m).
【0043】参考例1 (R)−2−シクロヘキセニルアセテートの合成 実施例1で得た(1R,2R)−2−フェニルセレノシ
クロヘキシルアセテート(1.486g)のテトラヒド
ロフラン溶液(20ml)に、0℃で攪拌しながら30%
過酸化水素(8.6ml)を滴下し、同温度において30
分間かき混ぜた後、1時間還流した。これに水(100
ml)を加えた後、エーテルで抽出し、エーテル溶液を5
%炭酸ソーダ溶液で洗浄、乾燥後、濃縮し、シリカゲル
カラムクロマトグラフィー(溶出溶剤:ヘキサン)で精
製し、無色油状物0.377gを得た。(収率54%、
光学純度98%)。 旋光度:〔α〕D 20=+199.8°(c=0.25、
CHCl3 ) NMRスペクトル(CDCl3)δppm :1.48−2.
22(6H,m)、2.07(3H,s)、5.16−
5.24(2H,m)、5.94(1H,m)
【0044】参考例2 (R)−2−シクロヘキセン−1−オールの合成 参考例1の(R)−2−シクロヘキセニルアセテート
(0.510g)を、水酸化カリウム(0.284g)
のメタノール溶液(10ml)に加え、室温下、一昼夜か
き混ぜ、メタノールを留去した。水を加えて、エーテル
で抽出し、エーテル溶液を乾燥後、溶媒を留去し、蒸留
により精製し標記化合物0.268gを無色の油状物と
して得た(光学純度97%)。 沸 点:86℃/37mmHg 旋光度:〔α〕D 20=+126.5°(c=0.25,
CHCl3) NMRスペクトル(CDCl3)δppm :1.30−2.
18(6H,m)、2.71(1H,br−s)、5.
52−6.03(2,m)。
【0045】参考例3 (1S,2S)−2−フェニルセレノシクロヘキシルア
セテートの合成 実施例1の極性の高い分画から得た(1S,2S)−2
−フェニルセレノシクロヘキサノール(1.534g)
と、無水酢酸(4g)との混合溶液を、70℃で2時間
かき混ぜた後、これに水を加え、エーテルで抽出し、エ
ーテル溶液を飽和食塩水で洗浄、乾燥後、溶媒を留去し
た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出
溶剤:ベンゼン:ヘキサン=5:1)で精製し、赤橙色
油状物として標記化合物1.428gを得た(光学純度
98%)。 旋光度:〔α〕D 20=+18.6°(c=0.25、C
HCl3 ) また、本化合物のNMRスペクトルは、実施例1で得ら
れた化合物(I)のものと一致した。
【0046】参考例4 (S)−2−シクロヘキセニルアセテートの合成 参考例3で得た(1S,2S)−2−フェニルセレノシ
クロヘキシルアセテート(1.224g)に、参考例1
と同様の反応を施し、無色油状物として標記化合物0.
351gを得た(光学純度98%)。 旋光度:〔α〕D 20=−200.1°(c=0.25、
CHCl3 ) また、本化合物のNMRスペクトルは、参考例1で得た
化合物(VI)のものと一致した。
【0047】参考例5 (S)−2−シクロヘキセン−1−オールの合成 参考例4で得た(S)−2−シクロヘキセン−1−オー
ル(0.453g)を参考例2と同様に反応を行い、無
色油状物として標記化合物0.318gを得た(光学純
度98%)。 旋光度:〔α〕D 20=−126.3°(c=0.25、
CHCl3 ) また、本化合物のNMRスペクトルは、参考例2で得た
(A)のものと一致した。
【0048】実施例2 (1R,2R)−2−フェニルセレノ−1−シクロヘキ
シルブタノアートの合成 dl−トランス−2−フェニルセレノシクロヘキサノー
ル(408mg)のイソプロピルエーテル溶液(20ml)
に、ビニルブタノアート(0.27ml)、モレキュラシ
ーブ粉末(400mg)、およびリパーゼPS(800m
g)を加え、23℃で4時間かき混ぜ、実施例1の場合
と同様に処理し、極性の低い分画から、赤橙色油状物と
して(1R,2R)−2−フェニルセレノ−1−シクロ
ヘキシルブタノアートを219mg得た(収率82%、光
学純度≧99%) 旋光度:〔α〕D 20=−30.6°(c=0.25、C
HCl3 ) NMRスペクトル(CDCl3)δppm :1.03(3
H,t)、1.25−2.46(12H,m)、3.1
2(1H,d−t)、4.80(1H,d−t)、7.
36(3H,m)、7.58(2H,m). また、極性の高い分画から、213mgの(1S,2S)
−2−フェニルセレノシクロヘキサノールを赤橙色油状
物として得た(収率104%、光学純度96%)。 旋光度:〔α〕D 20=+53.7°(c=0.25、C
HCl3 ) また、本化合物のNMRスペクトルは、実施例1で得ら
れた(1S,2S)−2−フェニルセレノシクロヘキサ
ノールのものと一致した。
【0049】参考例6 (R)−2−シクロヘキセン−1−オールブタノアート
の合成 実施例2で得た(1R,2R)−2−フェニルセレノシ
クロヘキサノールブタノアート(1.384g)のテト
ラヒドロフラン溶液(20ml)と、30%過酸化水素
(8.6ml)とを、参考例1の場合と同様に反応させ
て、(R)−2−シクロヘキセニルブタノアートを、無
色油状物として0.618g得た(光学純度≧99
%)。 旋光度:〔α〕D 20=+205.1°(c=0.25、
CHCl3 ) NMRスペクトル(CDCl3)δppm :1.01(3
H,t)、1.32−2.25(8H,m)、2.35
(2H,t)、5.20−5.26(2H,m)、6.
01(1H,m).
【0050】参考例7 (R)−2−シクロヘキセン−1−オール 実施例6で得た(R)−2−シクロヘキセニルブタノア
ートを参考例2の場合と同様に加水分解して(R)−2
−シクロヘキセン−1−オールを得た(光学純度≧99
%)。 旋光度:〔α〕D 20=+130.1°(c=0.25、
CHCl3
【0051】
【発明の効果】本発明により、テルペン、香料等の合成
中間体として有用な光学純度の高い(R)−シクロヘキ
セン−1−オール(A)、及び(S)−シクロヘキセン
−1−オール(B)の前駆体として極めて有用である式
(I)の(1R,2R)−2−シクロヘキシルカルボキ
シラート化合物及び式(II)の(1S,2S)−2−シ
クロヘキサノール化合物を提供するとともに、容易に入
手し得る式(III)のdl−トランス−シクロヘキサノー
ル化合物を原料として、簡易な操作により、高収率かつ
高い光学純度で、式(I)および(II)の化合物を製造
する方法を提供することができた。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I): 【化1】 (但し、式(I)中、R1 はアリール基、又は1〜17
    炭素原子を有するアルキル基を表わし、R2 はアリール
    基を表わす。)により表わされる(1R,2R)−シク
    ロヘキシルカルボキシラート化合物。
  2. 【請求項2】 下記一般式(II): 【化2】 (但し、式(II)中、R2 はアリール基を表わす。)に
    より表わされる(1S,2S)−シクロヘキサノール化
    合物。
  3. 【請求項3】 下記一般式(I): 【化3】 (但し、式(I)中、R1 は、アリール基、又は1〜1
    7炭素原子を有するアルキル基を表わし、R2 はアリー
    ル基を表わす。)により表わされる(1R,2R)−シ
    クロヘキシルカルボキシラート化合物、および下記一般
    式(II): 【化4】 (但し、式(II)中、R2 は、アリール基を表わす。)
    により表わされる(1S,2S)シクロヘキサノール化
    合物を製造するために、下記一般式(III): 【化5】 (但し、式(III)中、R2 は前記定義に同じ。)により
    表わされるdl−トランス−シクロヘキサノール化合物
    を、下記一般式(IV): 【化6】 (但し、式(IV)中、R1 は前記定義の通りであり、R
    3 は、水素原子、又は1〜5炭素原子を有するアルキル
    基を表わす。)により表わされるビニルカルボキシラー
    ト化合物、又は、下記一般式(V): (R1 CO)2O (V) (但し、式(V)中、R1 は前記定義に同じ。)により
    表わされる酸無水物の存在下に、不活性媒体中におい
    て、リパーゼをもって処理し、得られた式(I)の化合
    物と、式(II)の化合物を、反応混合物から分離捕集す
    ることを特徴とする、光学活性なシクロヘキシルカルボ
    キシラート誘導体の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記不活性媒体が有機溶剤からなる、請
    求項1に記載の方法。
JP22875892A 1992-08-27 1992-08-27 光学活性なシクロヘキシルカルボキシラート誘導体、及びその製造方法 Pending JPH0672993A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102516145A (zh) * 2011-12-20 2012-06-27 中国科学院化学研究所 一种光学活性硒化物的制备方法

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