JPH0672270B2 - ストリツプの熱処理方法 - Google Patents

ストリツプの熱処理方法

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JPH0672270B2
JPH0672270B2 JP61001306A JP130686A JPH0672270B2 JP H0672270 B2 JPH0672270 B2 JP H0672270B2 JP 61001306 A JP61001306 A JP 61001306A JP 130686 A JP130686 A JP 130686A JP H0672270 B2 JPH0672270 B2 JP H0672270B2
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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は連続焼鈍設備におけるストリップの熱処理方法
に関する。
<従来の技術> 連続焼鈍設備における冷却ロールによるストリップの冷
却方法として種々提案されているが、その1例として、
特開昭58−96824号公報にはロール径がある関係を満た
す冷却ロールにてストリップを冷却する方法が開示され
ている。この発明は、ストリップの冷却ロールに関し、
そのロール径をロール1本で冷却するストリップの温度
降下量に基づいて決定したものである。即ち、ロール1
本での冷却量が20℃以下の場合、冷却効率が悪く、冷却
ロールの本数が増大することから実機適用が難しくなる
としている。またロール1本での冷却量が150℃以上の
場合には、ストリップに冷却ムラが生じ易く、良好なス
トリップとなし難いとしている。
これらの認識に立ち、特開昭58−96824においては伝熱
モデルを作成し、下式(1)(2)に示すストリップ放
熱量Qsとストリップロール間伝熱量Qrを等値をした上で
式(3)に代入し、ロール外径D、熱通過量K、板厚t
及びライン速度Lsの関係を式(4)のように規定してい
る。
<発明が解決しようとする問題点> 本発明者らは先願発明者と同様にロールによりストリッ
プを加熱ないし冷却する方法について、数百回に及ぶ実
験を繰り返したところ、特願昭58−96824号に開示され
る条件ではまだ不十分であることが判った。例えば、冷
却後ストリップに温度むらを生ずるもの、あるいは冷却
中にストリップが著しく変形して座屈し、しわ状の歪、
いわゆるクーリングバックルを生ずるものがあった。
本発明者らは、これらの原因について、数百に及ぶロー
ルによる加熱,冷却の実験データを詳細に解析した結
果、ロールとストリップの接触状態がストリップ冷却
(あるいは加熱)後の温度むらに大きく影響を及ぼすこ
と、ロール自体の自重,流通されている熱媒の重量,ス
トリップテンション等によるたわみに大きく支配されて
いることが判明した。
本発明は、ストリップの塑性変形、ロールシェルの熱
歪、ロールシェルの強度上の制約及び伝熱上の制約の4
つの要件を考慮することにより、ストリップの加熱、冷
却むら及びこれに起因するストリップの変形を防止する
ことのできるストリップの熱処理方法を提供することを
目的とする。
<問題点を解決するための手段> 斯かる目的を達成するための本発明の構成は内部に熱媒
を流通させた加熱あるいは冷却ロールにストリップを接
触させて加熱あるいは冷却する方法において、次式の関
係をすべて満たすロール外径D,ロールシェル厚δR,ロ
ール表面粗度σ2のロールを使用することを特徴とする
連続焼鈍設備におけるストリップの熱処理方法。
<作用> まず、第1図を参照して、ロール1上のストリップ3が
塑性変形を起こさないための条件を示す。同図に示され
るようにストリップ3には、単位断面積当りユニットテ
ンションUTの張力が作用する(このユニットテンション
UTは板幅方向の関数である。)と共にロール外径Dに沿
って湾曲しているので曲げ応力が作用している。従って
ストリップ3の外表面に作用する張力の和は(ET/D+U
T)となる。この張力の和の第1項は板厚の関数であ
り、板厚の増加により増大する。従って、最大の板厚t
maxであっても、曲げによる応力とユニットテンション
の和(Etmax/D+UT)がストリップ3の降伏応力σsより
小さくしなければ、ストリップ3は塑性変形を起こして
しまう。即ち、ストリップ3の塑性変形を防止するに
は、下式(5)が満たされる必要がある。
これをロール外径Dについて解けば下式(6)となる。
Etmax/(σs−UT)<D …(6) しかしながら、第6図に本発明者らの実験結果を示すよ
うに、式(6)を満足しなくても、操業下において品質
上問題となるストリップ3の塑性変形は起こらず、下式
(7)に示すように、式(6)の1/2.8のロール外径以
上の範囲で操業下において何んら品質上問題とならなか
った。
Etmax/(σs−UT)<2.8D …(7) 尚、第6図において、直線aよりも下の範囲が式(6)
を満足するロール径Dの範囲,直線bよりも下の範囲が
式(7)を満足するロール径Dの範囲を各々示してお
り、直線bよりも上の範囲の×印は好ましくない結果を
示し、また直線aよりも上で直線bよりも下の範囲の○
印は良好な結果を示している。
次に、第2図を参照してロールシェルの熱歪上の制約に
ついて説明する。第2図(a)に示されるように、スト
リップ3を冷却する場合、ストリップ3に接触する部分
1aのロールシェル温度Tδ(δ)は下式(8)に示すよ
うに、冷媒2の温度TRより高く、ストリップ3の温度TS
より低い。
TS>Tδ(δ)>TR ……(8) 一方、ストリップ3が接触していない部分1bのロールシ
ェル温度Tδ′はロール外面がほぼ断熱状態に近いた
め、冷媒3の温度TRにほぼ等しい。
δ′≒TR ……(9) この結果、ストリップ3が接触する部分1bのロールシェ
ルが膨張し、ストリップが接触していない部分1bとの間
で引き合いが起こり、第2図(b)に示すようにロール
1の外表面に波形の凹凸が生ずる。このため、ストリッ
プ3にロール1と接触する部分としない部分が生じ、冷
却むらが発生することとなる。簡易的に表現すれば、冷
却熱流により生ずるロールシェルの温度の算術的平均温
度を代表温度とすれば下式がなり立つ。
但し、qはストリップ熱媒間の熱流束(kcal/m2h)、 λRはロールシェルの熱伝導率(kcal/mh℃)、 ΔDはストリップ冷却部とストリップが接触していない
部分のロール径差(m)である。
本発明者らの行った実験結果によれば、ストリップ幅1.
8mまでの範囲で、下式(8)が満たされなければ、スト
リップがロールから著しく浮き上り、冷却されず最終製
品品質に悪影響を及ぼす冷却むら、ストリップの変形が
発生することが確認されている。
ΔD<3×10-3(m) ………(12) そこで式(12)に式(11),(10)を代入すると次の様
になる。
これをDについて解く。
次に、第3図を参照してロールシェル強度上の制約につ
いて説明する。
第3図に示されるように、ロール1の内部には熱媒2が
流通し、その外周面にはストリップ3が巻き掛けられる
ので、ロール1にはロール自重2G1l1,熱媒重量2G2l2
及びストリップテンション2G3Wが作用する。ロール1は
その両端を軸受4により支えられているので、単純はり
とみなすことができる。そこで、ロール自重2G1l1,熱
媒重量2G2l2,及びストリップテンション2G3Wが、軸受
4間におけるロール1に均一に分布するとして、ロール
1に生ずる最大曲げ応力σは下式(14)のように求めら
れる。
σ=16D(G1l1+G2l2+G3W)L /{π(D4-D4 i)} ……(14) 式(14)で求められる最大曲げ応力σがロールシェルの
降伏応力σyより小さければ、上述した3つの外力によ
りロール1が破損しないわけであるが、これだけでは不
十分である。外力によりロール1が大きくたわんでしま
うと、ロール1とストリップ2の接触状態が悪くなり、
ストリップ2に温度むらを生ずることとなるからであ
る。そこで、実験データを解析したところ、ロール1と
ストリップ2とが沿って良く接触するには、下式(15)
に示すように最大曲げ応力σがロールシェルの降伏応力
σyの10.5分の1より小さくする必要があることが判っ
た。尚、10.5は実験定数である。
σy/10.5>σ ……(15) また、式(14)(15)によりロール外径D,ロール内径Di
が求められるので、ロールシェル厚δRは下式(16)に
従って求められる。
δR=(D−Di)/2 ……(16) ここで、一般にロールシェル厚δRはロール内外径Di,D
に比べて十分小さいので、次の様に近似することができ
る。
σy/10.5>16D(G1l1+G2l2+G3W) ・L/{π(D4-D4 i)} ……(17) ここで式(16)より D4 i=(D-2δR)4 =D4+16D2δ2 R+16δ4 R+8D2δ2 R −8D3δR-24Dδ3 R =D4-8D3δR+24D2δ2 R−24Dδ3 R +16δ4 R ≒D4-8D3δR(∵δ2 R,δ3 R,δ4 Rの項を無視した) …
(18) (18)式を(17)式にして 最後に、第4図を参照して伝熱上の制約について説明す
る。第4図は冷却の場合の伝熱関係図である。
ここでストリップ3の抜熱量は下式(20)で示される。
Q=CstWLs(Tsi-Tso) …(20) ロール1中の熱媒2とストリップ3との伝熱は下式(2
1)で示される。
但し、θはストリップ巻付角(度)である。
また、ストリップ熱媒間の熱通過率Kは下式(22)で示
される。
但し、λgはストリップとロール間に介在する ガスの熱伝導率(kcal/mh℃)、 σ1はストリップの表面粗さ(m)、 σ2はロールシェル外表面の粗さ(m) である。
式(20)(21)より下式が導かれる。
式(23)は各々の限界条件を考慮して下式に変形され
る。
ここで、以上の伝熱によりストリップが例えば冷却され
てΔTsだけ温度が下がった場合、下式で示される熱応力
σsを生じる。
σs/E=βΔTs ……(25) これは、周囲の拘束条件、ストリップの温度により変形
に至るかどうか決まるが、その上限温度ΔTscriはほぼ2
00℃である。
<実施例> φ750,φ1500mmのロールを用いK=700,1000で0.5t〜1.
0tのストリップをライン速度200〜400mpm,ロール接触角
20〜120°で実験した結果を第5図に示す。ストリップ
は700〜550℃でロール接触を開始し、650〜250℃でロー
ルから離れている。第5図に示されるように、本発明の
条件を満足する場合にはストリップ形状が良好となるこ
とが判る。
<発明の効果> 以上、実施例に基づいて具体的に説明したように本発明
のストリップの熱処理方法は、ストリップの塑性変形,
ロールシェルの熱歪,ロールシェルの強度上の制約及び
伝熱上の制約の4つの要件を考慮したロールを使用して
ストリップを加熱ないし冷却するので、実操業条件に近
い状態でストリップの加熱、冷却むらあるいはこれに起
因するストリップの変形を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図はロール上のストリップに作用するユニットテン
ションと曲げ応力を示す説明図、第2図(a)はロール
シェルの温度分布を示す説明図、第2図(b)はロール
外表面の熱変形を示す説明図、第3図はロールシェルに
加わる外力とその分布を示す説明図、第4図はロールと
ストリップ間の伝熱関係図、第5図、第6図は各々本発
明者らの行った実験の結果を示すグラフである。 図面中、 1はロール、 2は熱媒、 3はストリップ、 4は軸受である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 飯田 祐弘 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内 (72)発明者 白石 典久 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内部に熱媒を流通させた加熱あるいは冷却
    ロールにストリップを接触させて加熱あるいは冷却する
    方法において、次式の関係をすべて満たすロール外径D,
    ロールシェル厚δR,ロール表面粗度σ2のロールを使用
    することを特徴とする連続焼鈍設備におけるストリップ
    の熱処理方法。 但し、CSはストリップ比熱(kcal/kg℃)、 Dはロール外径(m)、 Diはロール内径(m)、 Eはストリップのヤング率(kg/m2)、 G1はロールバレル単位長当たりの重量(kg/m)、 G2はロールバレル単位長当たりの熱媒重量(kg/m)、 G3はストリップ単位幅当たりの張力(kg/m)、 Kはストリップ熱媒間の熱通過率(kcal/m2h℃)、 Lはロールベアリング間の2分の1の距離(m)、 l1はロールバレル長の2分の1の距離(m)、 l2はロール熱媒充填部バレル方向長の2分の1の距離
    (m)、 LSはストリップのライン速度(m/h)、 tはストリップ厚さ(m)、 tmaxは処理される最大ストリップ厚さ(m)、 Tsiはロールに接触直前のストリップ温度(℃)、 Tsoはロールと熱交換した後ロールから離脱直後のスト
    リップ温度(℃)、 TRは熱媒温度(℃)、 UTはユニットテンション(kg/m2)、 Wはストリップ幅(m)、 αiは熱媒とロール内面の間の熱伝達率(kcal/m2h)、 βロールシェルの線膨張率(1/℃)、 δRロールシェル厚さ(m)、 λRロールシェルの熱伝導率(kcal/mh℃)、 πは円周率、 σはロールに発生する応力(kg/m2)、 σsはストリップの降伏応力(kg/m2)、 σyはロールシェルの降伏応力(kg/m2)である。
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