JPH067189A - ヒトM−CSF β型ダイマ−に特異性を有するモノクロ− ナル抗体と、この抗体を産生するハイブリドーマ、お よびこの抗体の利用 - Google Patents

ヒトM−CSF β型ダイマ−に特異性を有するモノクロ− ナル抗体と、この抗体を産生するハイブリドーマ、お よびこの抗体の利用

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JPH067189A
JPH067189A JP3333607A JP33360791A JPH067189A JP H067189 A JPH067189 A JP H067189A JP 3333607 A JP3333607 A JP 3333607A JP 33360791 A JP33360791 A JP 33360791A JP H067189 A JPH067189 A JP H067189A
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Kazuo Motoyoshi
和夫 元吉
Tomonori Somoto
友紀 素本
Nobuya Yanagiuchi
延也 柳内
Kazuo Takechi
和男 武智
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Morinaga Milk Industry Co Ltd
Mitsubishi Tanabe Pharma Corp
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Green Cross Corp Japan
Morinaga Milk Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 β型ダイマ−に特異的に反応し、ヒトM-CSF
β型モノマ−、ヒトM-CSF α型ダイマ−、およびヒトM-
CSF α型モノマ−のいずれにも反応しない特異性を有す
る新規なモノクロ−ナル抗体、このモノクロ−ナル抗体
を産生するハイブリドーマ、このモノクロ−ナル抗体を
有効成分とするβ型ダイマ−の定量用試薬、この試薬を
使用したβ型ダイマーの定量方法、およびこのモノクロ
−ナル抗体を利用したβ型ダイマ−の精製方法。 【効果】 β型ダイマ−にのみ特異的に反応する新規な
モノクロ−ナル抗体と、この抗体を産生するハイブリド
ーマ、およびこの抗体を有効成分とするβ型ダイマ−定
量用試薬が得られ、この試薬を用いてβ型ダイマ−を簡
易、かつ高感度で定量することが可能であり、この抗体
を用いることによりヒト体液中に存在するβ型ダイマ−
を簡便、かつ高純度に精製することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ヒトM-CSF β型ダイ
マ−(以下β型ダイマ−と略記することがある)に特異
的に反応する新規な抗β型ダイマ−のモノクロ−ナル抗
体、この抗体を産生するハイブリドーマ、この抗体を用
いたβ型ダイマ−の定量法、およびこの抗体を用いたβ
型ダイマ−の精製法に関するものである。
【0002】なお、この明細書において百分率は、特に
断りのない限り重量による値を示す。
【0003】
【従来の技術とその課題】コロニ−刺激因子(以下CS
Fと略記することがある)は、哺乳動物の造血組織、例
えば骨髄等に存在する造血幹細胞の分化・増殖を刺激す
る造血因子として知られている。特にM-CSF は主として
単球・マクロファ−ジ系細胞に作用することが知られて
おり、そのcDNAも既に単離され[サイエンス(Scien
ce) 、第230巻、第291ページ、1985年]、蛋
白質の構造も明らかにされている。ヒトM-CSF にはβ型
およびα型のダイマーがあり、α型のダイマーはCSF-1
とも呼ばれている。
【0004】例えば特開昭64−22899号公報と同
一の方法で精製したβ型ダイマーは、電気泳動で測定し
た分子量が75,000〜90,000のホモ2量体からなる糖蛋白
質であり、還元条件下での電気泳動により、そのサブユ
ニットの分子量は35,000〜45,000であることが知られて
いるが、このモノマ−は軟寒天コロニ−形成法において
生物活性の無いことが知られている。
【0005】α型のダイマーは、β型ダイマ−と同様の
活性を有し[ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミ
ストリー(Journal of Biological Chemistry)、第25
7巻、第13679ページ、1982年]、β型ダイマ
−と同一のcDNAに由来すると推定されているが、分
子形成の過程が異なっているものと考えられている[モ
レキュラー・イムノロジー(Molecular Immunology) 、
第25巻、第761ページ、1988年]。しかしなが
ら、これらM-CSF の分子型の相違の体内における生理学
的意義については未だ不明である。
【0006】M-CSF の定量方法としては、生物学的方
法、免疫学的方法等が知られている。生物学的方法とし
ては、メトカルフ(Metcalf )の方法[ジャーナル・オ
ブ・バイオロジカル・メディスン(Journal of Biologi
cal Medicine) 、第44巻、第287ページ、1966
年]が一般的であるが、この方法は操作が煩雑であり、
かつ不正確であった。また血中等の精製されていない検
体中のM-CSF を定量する場合、検体中にコロニ−形成阻
害因子が存在すること、および生物学的方法の定量感度
が低いことなどから、この方法による正確な定量は困難
であった[ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・ヘマト
ロジー(British Journal of Haematology) 、第20
巻、第329ページ、1971年)。その他には、CS
Fによる細胞増殖を細胞の還元能を利用して定量する方
法(特開昭62−282956号公報等)も知られてい
る。
【0007】M-CSF の免疫学的定量方法としては、RI
A(放射性同位元素分析法)が知られている[プロシー
ディングス・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ
・ザ・ユナイテッド・ステーツ・オブ・アメリカ(Proc
eedings of the Natlional Academy of Science of the
United States of America)、第76巻、第5411ペ
ージ、1979年、ブラッド・セルズ(Blood cells) 、
第5巻、第421ページ、1979年、およびブラッド
(Blood) 、第58巻、第630ページ、1981年]
が、この方法は感度が1.4 〜4U/ml とあまり高くないこ
と、高価なこと、取扱いが一定の基準により認可された
施設を必要とすること等の問題がある。また、RIAに
比較してより安価で簡便に定量できるEIA(酵素標識
法)も知られている(特開平2- 55955号公報)
が、いずれにしても、これらの免疫学的方法ではα型と
β型の区別のみならず、ダイマ−とモノマ−の区別も不
可能であった。
【0008】そのためβ型ダイマ−のみを特異的に認識
する手段として、最も入手しやすいのがモノクロ−ナル
抗体であるが、モノクロ−ナル抗体の作出は、近年公知
の技術であり、特に新規な方法ではない。特にM-CSF に
関連したモノクロ−ナル抗体として、ヒトM-CSF α型ダ
イマ−を免疫することによって得られたM-CSF ダイマ−
を特異的に認識するモノクロ−ナル抗体が開示されてい
る(WO90/09400号公報) 。しかしながら、このモノクロ
−ナル抗体は、M-CSF のダイマ−とモノマ−を区別し得
るが、α型とβ型の区別は不可能である。このことはWO
90/09400号公報第20ページ6〜7行のクレ−ム2の次
のような記載、即ち、「本モノクロ−ナル抗体は、cD
NAのα、β及びγクロ−ンによりコ−ドされるM−C
SFに結合する。」から明らかである。
【0009】また、ヒト尿中には、β型ダイマーのみが
存在することが知られているが[ブラット(Blood) 、第
77巻、第2160ページ、1991年]、ヒト尿中に
超微量含まれているβ型ダイマーを精製して医薬品とし
て使用する場合、家兎または馬から得たポリクロ−ナル
を用いた簡便な精製法が従来存在するのみであった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】このように、β型ダイ
マ−に特異的に反応するモノクロ−ナル抗体、およびこ
の抗体を産生するハイブリドーマは従来知られておら
ず、従ってβ型ダイマ−だけを特異的に測定する方法は
皆無であり、β型ダイマ−の精製にも問題があった。
【0011】この発明は、以上のとおりの事情に鑑みて
なされたものであり、β型ダイマ−とは反応するが、ヒ
トM-CSF α型モノマーおよびダイマーとは反応せず、ま
たヒトM-CSF β型モノマ−とも反応しないモノクロ−ナ
ル抗体と、この抗体を産生するハイブリドーマを提供す
ること、この抗体を使用して簡易、高感度でβ型ダイマ
−を定量する方法と、この定量法に使用する試薬を提供
すること、およびこの抗体を使用することによるβ型ダ
イマ−の簡便、かつ特異的な精製方法を提供すること、
を目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の課題
を解決するものとして、ヒトM-CSF β型ダイマ−に特異
的に反応し、ヒトM-CSF β型モノマ−、ヒトM-CSF α型
ダイマ−、およびヒトM-CSF α型モノマ−のいずれにも
反応しないことを特徴とするヒトM-CSF β型ダイマ−に
特異性を有するモノクロ−ナル抗体と、このモノクロ−
ナル抗体を産生するハイブリド−マを提供する。
【0013】またこの発明は、ヒトM-CSF β型ダイマ−
含有液のヒトM-CSF β型ダイマ−を免疫化学的に定量す
る方法において、上記モノクロ−ナル抗体を抗体として
使用することを特徴とするヒトM-CSF β型ダイマ−の免
疫化学的定量方法と、この免疫化学的定量に使用する試
薬において、上記モノクロ−ナル抗体を有効成分とする
ヒトM-CSF β型ダイマ−の免疫化学的定量用試薬を提供
する。
【0014】さらに、この発明は、ヒトM-CSF β型ダイ
マ−含有液からヒトM-CSF β型ダイマ−を精製する方法
において、上記モノクロ−ナル抗体をヒトM-CSF β型ダ
イマ−の吸着体として使用することを特徴とするヒトM-
CSF β型ダイマ−の精製方法をも提供する。以下、この
発明の構成について、詳しく説明する。 (1)ハイブリドーマの作出 この発明のハイブリド−マの作出は、免疫、細胞融合、
融合細胞選択、アッセイおよびクロ−ニングの各工程よ
りなる公知の方法[ネイチャー(Nature)、第256巻、
第495ページ、1975年]により次のようにして行
うことができる。 1)免疫 精製β型ダイマ−を抗原として用い、これを完全フロイ
ンドまたは不完全フロインドのアジュバントと混和し、
1週間〜数か月の間隔でラットまたはマウス等に1〜4
回注射し、動物を感作する。なお、精製β型ダイマ−
は、例えば特開昭64-22899号公報記載の方法により健康
な人の尿から分離、精製することができる。 2)細胞融合 前記の操作により免疫された動物から常法により摘出し
た脾臓細胞またはリンパ球B細胞と、骨髄腫細胞とを融
合し、細胞融合を得る。使用する骨髄腫細胞は、公知の
HGPRT(hypoxanthine-guanine phosphoribosyl transfer
ase)欠損マウスまたはラット骨髄腫細胞であり、ケーラ
ーおよびミルスタインの方法[ネイチャー(Nature)、第
256巻、第495ページ、1975年]により容易に
入手し得る。融合方法としてはHJV 法(センダイウイル
スを用いる方法)、ポリエチレングリコ−ル法(PEG
法)、電気融合法等の公知の方法が例示できる。 3)融合細胞の選択 次いで融合細胞のみが生育できる適当な選択培地中で2
〜4日毎に新鮮な選択培地と交換しながら細胞を10〜20
日間培養し、所望の融合細胞のみを選別する。HGPRT 欠
損骨髄腫細胞を融合親細胞として用いた場合、選択培地
としてはHAT(Hypoxanthine, Aminopterin, Thymidine)
培地、HAz(Hypoxanthine, Azaserine)培地等を例示する
ことができる。 4)アッセイ アッセイ工程は、融合細胞の中から、目的とする特異抗
体産生細胞を選別する工程である。通常、選別は、培養
上清に含まれる抗体活性を固相または液相放射性同位元
素免疫測定法(RIA)、酵素結合免疫化学測定法(E
IA)、凝集法、蛍光抗体法等の公知の方法で規定する
ことにより行う。 5)クロ−ニング クロ−ニング工程は、目的の特異抗体産生細胞を一つの
クロ−ンから由来した均一な細胞集団とする工程であ
る。公知の限外希釈法等によって、モノクロ−ナルな細
胞に由来し、安定してβ型ダイマ−と反応する抗体を産
生する細胞株、いわゆるハイブリド−マを得る。
【0015】以上の方法により得られたハイブリドーマ
は、β型ダイマ−に特異的に反応するモノクロ−ナル抗
体を産生するという機能的特徴を有している。その代表
的な例として、ラットのリンパ球B細胞とラットのミエ
ローマ細胞とを融合して得たハイブリドーマを、ハイブ
リドーマMO9106と命名し、通商産業省工業技術院微生物
工業技術研究所に寄託し、微工研条寄第3662号(FERM BP
-3662)なる受託番号が付された。
【0016】このハイブリドーマMO9106は、次の性質を
有している。 a)由 来:ラット脾細胞(Lou ラット;実験動物
中央研究所より入手)とラットミエロ−マ細胞(Y3Ag1.
2.3 )[ネイチャ−(Nature)、第277巻、第131ペ
−ジ、1979年]) との融合細胞であるハイブリド−
マ b)形 態:非紡錘形であり、ほぼ球形を呈する c)継代培養 :可能 d)機能的特徴:β型ダイマ−に特異的に反応するモノ
クロ−ナル抗体の産生 e)細胞増殖性:附着および浮遊の両者において良好 f)保存条件 :10%DMSO,90%FCS中にて
−80℃以下で保存するg)血清要求性:通常、10%
FCS添加培地にて培養する (2)モノクロ−ナル抗体の取得 この発明の抗体は、前記ハイブリド−マを組織培養用フ
ラスコに接種し、公知の無血清培地、血清を含む公知の
動物細胞用培地等で培養し、得られた培養上清から、あ
るいはプリスタン(2,6,10,14-Tetramethyl pentadecan
e)を前投与したマウス等の動物にこのハイブリド−マを
接種し、生体内培養して得た生体浸出液から、公知の方
法により精製される。即ち、得られた培養上清または生
体浸出液を通常の蛋白精製に用いられる生化学的方法、
例えば硫酸アンモニウムによる塩沈法、カラムクロマト
グラフィ−等により精製することができる。得られたモ
ノクロ−ナル抗体はβ型ダイマ−と特異的に結合し、単
一クロ−ンに由来する均一な抗体であり、ラットまたは
マウス由来であることを特徴としている。
【0017】以上のようにして得られたこの発明のモノ
クロ−ナル抗体は、次に示す理化学的性質を有してい
る。 ラット由来のγグロブリンのIgG に属する。 IgG のIgG サブクラスに属する。 L鎖として、κ鎖を有する。 (3)β型ダイマー測定用試薬 この発明のβ型ダイマー測定用試薬としては、EIA試
薬が望ましく、各試薬を一組のセット(いわゆるキッ
ト)とするのが使用上便利であるため、以下キット化さ
れた試薬を例示して説明する。
【0018】この発明のβ型ダイマー測定用試薬は、例
えば固定化抗M-CSF 抗体(1次抗体)、抗M-CSF 抗体
(2次抗体)、酵素標識抗体(3次抗体)、活性測定用
基質、反応停止剤、検量線作成用標準品、および緩衝液
の7種の試薬から構成することができる。この発明のβ
型ダイマー測定用試薬の一例を示せば次のとおりであ
る。 固定化抗β型ダイマー抗体 固定化抗M-CSF 抗体は、1次抗体として用いられる抗M-
CSF 抗体を不溶性担体に固定化したものである。不溶性
担体としては、ビ−ズ、マイクロプレ−ト、繊維等が例
示できるが、マイクロプレ−トが望ましく、特にポリス
チレン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の透明な合成
樹脂製の酵素免疫測定法用マイクロタイトレ−ションプ
レ−トが好適である。
【0019】抗M-CSF 抗体(1次抗体)としては、この
発明のモノクロ−ナル抗体または公知の方法で得られた
ポリクロ−ナル抗体が使用できるが、ウサギ由来抗β型
ダイマー抗体が望ましい。公知の方法で得られるポリク
ロ−ナル抗体は、具体的には精製M-CSF を適当な動物
(例えば、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ウサギ、モルモット
等)に免疫して得た抗血清から、通常の蛋白の精製法に
より精製することができる。 固定化は次のようにして
行われる。波長280nm で測定した吸光度により表わされ
る蛋白濃度が0.001 〜0.005 の範囲に抗体を溶解し、こ
の溶液の適量、例えば50〜100 μlを容器に入れ、例え
ば0〜37℃で1〜24時間静置し、希釈液を除去する。適
量の洗浄液、例えば200 〜300 μlを用い、望ましくは
1〜3回洗浄する。洗浄液としては、蒸留水、生理食塩
液、およびこれらに0.01〜1.0%のアルブミン、Tween-20
を添加溶解した液が使用できる。 抗M-CSF 抗体(2次抗体) 2次抗体として用いられる抗抗M-CSF 抗体は、1次抗体
がこの発明のモノクロ−ナル抗体であれば、公知の方法
により得られるポリクロ−ナル抗体であり、一次抗体が
公知の方法により得られるポリクロ−ナル抗体であれ
ば、そのモノクロ−ナル抗体を用いることができるが、
この発明のモノクロ−ナル抗体を用いるのが望ましい。 酵素標識抗体 酵素標識抗体は3次抗体として用いられる抗体に酵素を
標識したものである。標識用酵素はEIA試薬で通常用
いられる酵素、例えばパ−オキシダ−ゼ、アルカリフォ
スファタ−ゼ、β−D−ガラクトシダ−ゼ等が使用でき
るが、パ−オキシダ−ゼを用いるのが望ましい。3次抗
体は、2次抗体である抗M-CSF 抗体に対する抗体として
の役割を有している。具体的には2次抗体と同種動物に
由来するイムノグロブリンに対する抗体であり、例え
ば、2次抗体がこの発明のモノクロ−ナル抗体である場
合、3次抗体はラット由来イムノグロブリンに対する抗
体(抗ラット由来イムノグロブリン抗体)である。この
3次抗体は、公知の方法により次のようにして調製する
ことができる。即ち、2次抗体と同種動物由来のイムノ
グロブリンを適当な動物(例えば、ウマ、ヒツジ、ヤ
ギ、ウサギ、モルモット等。ただし、2次抗体が由来す
る種とは異なることが望ましい)に免疫し、得られた抗
血清から精製するが、ヤギ由来のウサギイムノグロブリ
ンに対する抗体を用いるのが望ましい。標識方法は公知
の方法であり、例えば、N−サクシンイミジル3−(2
´−ピリジルジチオ)プロピオネ−トを用いる方法、グ
ルタルアルデヒドを用いる方法、N,N´−ο−フェニ
レンジマレイミドを用いる方法等を例示することができ
る。 活性測定用基質 酵素活性測定用基質は、使用する標識用酵素の種類によ
って異なるが、当該酵素に適当した基質の粉末、錠剤ま
たは溶液であり、例えばパ−オキシダ−ゼにはABTS
と過酸化水素、ο−フェニレンジアミンと過酸化水素の
組合せ等、またアルカリフォスファタ−ゼにはフェニル
リン酸と4−アミノアンチピリンの組合せ等を例示する
ことができる。 反応停止剤 反応停止剤も使用する標識用酵素の種類により異なる
が、使用する酵素に適当した公知の反応停止剤を用いる
ことができる。 検量線作成用標準品 この発明の試薬に用いられる標準品は後述する検量線を
作成するために用いられるものであり、溶液または凍結
乾燥品からなっている。標準品は緩衝液に溶解して使用
し、測定する物質の濃度に合わせて4〜6段階の濃度に
小分けして検量線の作成に使用することができる。 緩衝液 この発明の試薬キットに使用する緩衝液は、抗原抗体反
応用、および標識用酵素の酵素活性測定用、の2種類で
ある。抗原抗体反応用緩衝液は、特にpHが6〜9、塩
濃度が0.01〜0.2M程度のものが好ましく、例えば0.1Mリ
ン酸塩緩衝化生理食塩液、pH7.0 を例示することがで
きる。酵素活性測定用緩衝液は、標識用酵素の種類によ
り異なるが、通常前記の抗原抗体反応用緩衝液を共用で
きる。標識用酵素の活性測定条件が、前記の抗原抗体反
応緩衝液の塩濃度、pHと異なる場合に限り、酵素活性
測定用緩衝液を作成する。 ブロッキング剤 この発明の試薬キットには、他にブロッキング剤として
前記の抗原抗体反応用緩衝液に0.2 〜0.5 %BSA等
の蛋白質を溶解したものを用いる。ここにいう蛋白質
は、BSA、ゼラチン等であり、特にBSAに限定され
るものではない。
【0020】この発明のβ型ダイマー測定用試薬の他の
例を示せば次のとおりである。 a)固定化抗β型ダイマー抗体(1次抗体) 前記に準じて調製する。 b)ビオチン化抗β型ダイマー抗体(2次抗体) 2次抗体として用いる抗体は、1次抗体がこの発明のモ
ノクローナル抗体である場合は公知の方法で得られるポ
リクロ−ナル抗体であり、一次抗体が公知の方法で得ら
れるポリクロ−ナル抗体である場合はそのモノクローナ
ル抗体である。いずれの場合においても公知の方法でビ
オチンを結合させる。具体的には、NHS−LCビオチ
ン等をDMSO等を用いて反応させ、抗体に結合させ
る。 c)酵素標識抗体 ビオチンと反応させるアビジンには、公知の方法で酵素
を標識する。標識する酵素は、パーオキシダーゼ、アル
カリフォスファターゼ、β−D−ガラクトシダ−ゼ等を
例示することができ、特にパーオキシダーゼが望まし
い。 d)活性測定用基質 前記に準じて調製する。 e)反応停止液 前記に準じて調製する。 f)検量線作成用標準品 前記に準じて調製する。 g)緩衝液 この発明の試薬キットに使用する緩衝液は、抗原抗体反
応用、ビオチン・アビジン反応用、および標識酵素の酵
素活性測定用の3種類である。抗原抗体反応用、および
標識酵素の酵素活性測定用の緩衝液は、前記に準じて
調製する。ビオチン・アビジン反応用の緩衝液は、アビ
ジンが非特異的にビオチンと結合するため0.01〜0.1 %
の蛋白質を含むpH6〜9、0.01〜0.2Mの塩濃度が望ま
しく、例えば0.02%BSAを含む0.1Mリン酸塩緩衝化生
理食塩液(pH7.0 )を例示することができる。緩衝液
の蛋白質は、BSA、ゼラチン等であり、特にBSAに
限定されるものではない。 h)ブロッキング剤 前記に準じて作成する。
【0021】以上のようにしてこの発明のβ型ダイマー
測定用試薬は調製され、次に記載するようにして、試料
に含まれるβ型ダイマーの定量に使用される。 (4)β型ダイマーの定量方法 β型ダイマーの定量法には、幾通りかの方法が考えられ
るが、前記(3)の〜の試薬を用いて実施する例を
示せば次のとおりである。各試薬の調製および検量線の
作製は前記(3)に記載したとおりである。試料に含ま
れるβ型ダイマーの濃度は、得られた検量線に、検量線
作成用標準品と同様の操作を行った濃度未知のサンプル
から得られる吸光値を代入することにより、次のように
して定量することができる。
【0022】濃度未知の試料(例えばヒトの尿等)を、
生理食塩水を用いて1〜8倍程度に段階的に希釈し、希
釈液の吸光度を測定し、検量線の範囲に入った吸光度か
らその吸光度に対応するβ型ダイマ−の濃度を求め、希
釈率を乗じて元の試料に含まれるβ型ダイマ−の濃度を
定量することができる。この発明の方法により定量し得
る試料は、もちろん尿に限定されるわけではなく、他に
は例えば腫瘍細胞の培養上清、ヒト血清等がある。これ
らも前記ヒト尿と同様に測定することが可能であるが、
試料中に含まれるβ型ダイマ−の濃度が高く検量線範囲
を超えるようであれば、さらに段階希釈を行い、定量す
ることが可能である。逆に試料に含まれるβ型ダイマ−
の濃度が低い場合は、試料を濃縮して測定することも可
能である。 (5)β型ダイマ−の精製方法 人尿中には、β型ダイマ−およびヒトM-CSF β型モノマ
−が存在しているが、生物活性を有するのはダイマ−の
みであり、このダイマーを精製する必要がある。この発
明の精製方法においては、この発明の抗体を適当な担
体、例えばホルミルセルロファイン(商標。チッソ社
製)、ブロモシアン活性化セファロ−ス4B(商標。フ
ァルマシア社製)等に結合させた抗体カラムを使用し、
その他は常法により人尿から極めて簡便にβ型ダイマ−
を精製することができる。
【0023】ホルミルセルロファイン(商標。チッソ社
製)を担体に使用する場合についてこの発明の精製方法
を例示すれば、次のとおりである。この発明の抗体を0.
1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0 )に溶解し、抗体
溶液を調製する。これとは別にホルミルセルロファイン
を蒸留水および0.1Mリン酸ナトリウムで洗浄し、吸引濾
過して緩衝液を除去し、ホルミルセルロファイン1g
(湿重量)を50mlの三角フラスコに採取し、適当な濃
度の抗体溶液2mlを添加し、室温で2時間撹拌し、次い
で7mgの水素化シアノホウ素ナトリウムを添加し、更に
室温で10時間撹拌して抗体を結合させる。のち、0.2Mト
リス−塩酸緩衝液(pH7.0 )で洗浄し、5mgの水素化
シアノホウ素ナトリウムを含む2mlのトリス−塩酸緩衝
液を加え、室温で4時間撹拌して、反応基を失活させ
る。この担体を適当な大きさのカラムに充填し、予め溶
出液である0.02M グリシン−塩酸溶液(pH3.0 )10
mlおよび洗浄液である3M チオシアン酸カリウム10ml
を通液し、余分な蛋白質を除去する。この抗体カラムに
健康な人から採取した尿100ml を通液し、生理食塩水1
0mlを通液して抗体に結合しない蛋白質を除去する。次
に、0.02M グリシン−塩酸溶液(pH3.0 )10mlを通
液し、抗体結合蛋白質を溶出させ、目的とするβ型ダイ
マ−を含有する画分を得る。のち3M オシアン酸カリウ
ム10mlを通液し、非特異的に結合している余分な蛋白
質を除去し、次回の使用に備える。
【0024】以上の操作を行うことにより、人尿に含ま
れる蛋白質中のβ型ダイマ−を、少なくとも250倍に
精製することができる。この発明の精製方法は、遺伝子
組換えによって得られるβ型ダイマーにも利用できる。
次に試験例を示してこの発明の作用効果を実証する。 試験例1 この試験は、この発明のハイブリドーマが産生するモノ
クローナル抗体がβ型ダイマ−のみと特異的に反応する
ことを調べるために行った。 (1) 試料の調製 a)β型ダイマ−の調製 特開昭64−22899号公報の実施例1記載の方法に
より人尿から調製したβ型ダイマ−を、安定剤として0.
25mg/mlのHSAを含む生理食塩水に溶解し、凍結保存
して使用した。
【0025】b)ヒトM−CSFβ型モノマ−の調製 上記β型ダイマ−調製過程において得られるヒトM−C
SFβ型モノマ−を安定剤として0.25mg/mlのHSAを
含む生理食塩水中に溶解し、凍結保存して使用した。 c)ヒトM−CSFα型ダイマ−の調製 凍結乾燥品である市販品(ジェンザイム社製)から調製
した。
【0026】d)モノクローナル抗体の調製 実施例2と同一の方法により調製した。 (2) 試験方法 前記(1) のa)〜c)で調製したβ型ダイマ−、ヒトM−C
SFβ型モノマ−、およびヒトM−CSFα型ダイマ−
を各々0,2,4,6,8,10ng/ml の割合で生理食
塩水により希釈した以外は、実施例3と同一の方法によ
り試験を実施した。 (3) 試験結果 この試験の結果は図1に示したとおりである。図1はこ
の発明のハイブリドーマが産生するモノクローナル抗体
と各種ヒトM−CSFとの反応性を示し、縦軸および横
軸は、それぞれ吸光度、および各種ヒトM−CSFの濃
度を示し、図中−○−、−●−、および−□−は、それ
ぞれβ型ダイマ−、ヒトM−CSFβ型モノマ−、およ
びヒトM−CSFα型ダイマ−を示す。
【0027】図1から明らかなように、この発明のハイ
ブリドーマが産生するモノクローナル抗体は、いずれの
濃度においてもβ型ダイマ−とのみ反応し、ヒトM−C
SFβ型モノマ−、およびヒトM−CSFα型ダイマ−
とはほとんど反応しないことが認められた。なお、原料
および試料の調製方法を変更して同様に試験してもほぼ
同様の結果が得られた。 試験例2 この試験は、この発明のハイブリドーマの抗体産生を調
べるために行った。 (1) 試料の調製 a)β型ダイマ− 試験例1と同一の方法により調製した。 b)モノクロ−ナル抗体 ハイブリド−マの培養上清をそのまま使用した。 (2) 試験方法 1)ハイブリド−マの継代培養 10%FCSを含むRPMI1640培地(日水製薬社製)50ml
に、実施例1で得たハイブリドーマMO9106を1〜2×1
5 /mlの割合で懸濁し、CO2 インキュベ−タ−内で
静置培養した。ハ−ベスト時には全量を回収し、遠心分
離してハイブリド−マと培養上清とを分離し、上記に示
したハイブリド−マの必要量だけをそのまま次の培養に
移した。 2)培養上清の力価測定 β型ダイマ−を50ng/ml の濃度に生理食塩水で希釈
し、 100μl/ウエルの割合でポリスチレン製の96ウ
エル酵素免疫測定法用マイクロタイトレ−ションプレ−
ト(ヌンク社製)に分注し、37℃で1時間静置し、希釈
液を除去し、0.5 %のTween 20を含む生理食塩水を300
μl/ウエルの割合で各ウエルに注入し、数秒静置して
液を除去する操作を3回反復して洗浄した。なお、以下
の洗浄はすべてこの方法で行った。
【0028】実施例3の(2) に従い、0.3 %ゼラチン
水溶液を 250μl/ウエルの割合で各プレ−トに分注
し、37℃で1時間静置し、希釈液を除去し、前記と同様
に洗浄した。 ハイブリド−マの培養上清を生理食塩水で2〜220
まで段階希釈し、各希釈液を 100μl/ウエルの割合で
ポリスチレン製の96ウエル酵素免疫測定法用マイクロ
タイトレ−ションプレ−ト(ヌンク社製)に分注し、37
℃で1時間静置し、希釈液を除去し、前記と同様に洗浄
した。
【0029】実施例3の(5) に従いHRP標識抗ラッ
トIgG (ジャクソン・イムノリサ−チ社製)を生理食塩
水で5000倍に希釈し、 100μl/ウエルの割合でプレ−
トに分注し、37℃で1時間静置し、希釈液を除去し、洗
浄した。 実施例3の(6) に従い、酵素基質としてABTSと過酸化
水素(ケ−・ピ−・エル社製)を 100μl/ウエルの割
合でプレ−トに分注し、室温で30分放置し、のちEI
Aリ−ダ−(バイオ・ラッド社製)により吸光度を測定
し、EIAリ−ダ−で測定可能な最大の吸光度(2.0)と
ブランク値との差の1/2 の値を示す希釈段階をこの発明
のモノクロ−ナル抗体の抗体価と定義し、各継代培養に
ついて各希釈段階の中からこの定義に該当する吸光度を
示した希釈倍率を抗体価として表1に示した。 (3) 試験結果 この試験の結果は表1に示したとおりである。表1から
明らかなようにハイブリド−マMO9106は、9回の継代培
養を重ねてもモノクロ−ナル抗体の産生量にはほとんど
変化が無く、生存率(回収細胞数に対する生存細胞数の
百分率)も90%を維持していた。なお、同様の試験を
反復して実施したが、ほぼ同一の結果が得られた。
【0030】
【表1】
【0031】次に実施例を示してこの発明をさらに詳細
かつ具体的に説明するが、この発明は以下の実施例に限
定されるものではない。
【0032】
【実施例】
実施例1(ハイブリドーマの作出) (1) 動物の免疫 生理食塩水で希釈したβ型ダイマ−と不完全フロインド
・アジュバントとの1:1 のエマルジョンを調製し、5−
8週齢の雌のLou ラット(実験動物中央研究所から入
手)の背部皮下および腹腔に、ラット1匹あたりβ型ダ
イマ−として100〜200 堯(エマルジョン量として0.5
〜1.0ml)を投与した。追加免疫は不完全フロインド・ア
ジュバントを用いて2〜3週間毎に行い、β型ダイマ−
の投与量は1匹あたり50〜100 堯とした。追加免疫終了
1週間目に採血し、血清中の抗体価をEIA法により測
定し、抗体価の上昇がプラト−に達し、さらにEIA法
での抗体価がコントロールに比較して数万から数十万倍
と十分に高い抗体価が認められるまで追加免疫を継続し
た。 (2) 細胞融合 高抗体価が認められたラット4匹にβ型ダイマ−溶液を
1匹あたり100 堯の割合で腹腔内投与し、4日後に脾臓
を摘出した。ラット骨髄腫細胞(Y3Ag1.2.3)[ネイチャ
−(Nature) 、第277巻、第131ペ−ジ、1979
年]と前記ラット脾細胞とを細胞数比で1:5の割合で
ポリエチレングリコ−ル1500を用いて融合した。10%
FBS含有DMEM培地(大日本製薬社製)を用いてポ
リエチレングリコ−ルを洗浄除去し、細胞をHAT培地
(シグマ社製)に懸濁し、96穴プレ−ト(ヌンク社
製)に約105 cells/ウエルずつ分注し、37℃、7%
CO 2 下で7日間培養した。その結果、12ウエルの細
胞に抗体産生が認められた。 (3) スクリ−ニングおよびクロ−ニング 前記ハイブリド−マの増殖を終了した各ウエルの培地を
一部採取し、常法により抗体産生活性のスクリ−ニング
を行い、抗原に対して高い力価が認められるウエルにつ
いて限界希釈法により次のようにクロ−ニングを行っ
た。ラット腹腔滲出細胞をフィ−ダ−細胞として用い、
コロニ−形成ウエルの培養上清の抗体価をEIA法によ
り測定し、抗体産生が認められたウエルについて、前記
と同様の方法により再度クロ−ニングを行い、さらに前
記と同様の方法により培養し、産生された培養上清に含
まれる抗体の性質を同様の方法で試験した。
【0033】以上の操作によりβ型ダイマーに特異的に
反応するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ
(MO9106) を作出した。 実施例2(モノクローナル抗体の取得) 実施例1で得た抗β型ダイマ−特異的モノクロ−ナル抗
体産生ハイブリド−マ(MO9106) 1×105 を10%F
CSを含むRPMI1640培地(日水製薬社製)50mlで培養
し、のち培養上清を1/2 容量に濃縮し、プロテイン・ジ
ー・セファロース・エフエフ[protein G sepharose ff
(商標。ファルマシア社製)]17.8mlをカラム(直径1
cm、長さ10cm)に充填し、生理食塩水で洗浄し、濃縮
した前記培養上清をカラムに通液し、再び生理食塩水で
洗浄し、余分な蛋白質を除去し、その後0.02M のグリシ
ン塩酸緩衝液(pH3.0 )を用いて抗β型ダイマー特異
的モノクローナル抗体を溶出させた。溶出液に1M トリ
ス塩酸緩衝液(pH8.0 )を添加し、溶出液のpHを中
性付近に調整し、抗β型ダイマ−特異的モノクロ−ナル
抗体約60ngを含む溶液約50mlを得た。 実施例3(β型ダイマーの定量) (1) 1次抗体 常法により家兎から得た精製抗ヒトM-CSF ポリクロ−ナ
ル抗体をPBSに1堯/mlの濃度で溶解し、 100μl/
ウエルの割合でポリエチレン製の96ウエル酵素免疫測
定法用マイクロタイトレ−ションプレ−ト(ヌンク社
製)に分注し、37℃で1時間静置し、希釈液を除去
し、 0.5%のTween 20を含むPBSを 300μl/ウエル
の割合で各ウエルに注入し、数秒静置して液を除去する
操作を3回反復して洗浄した。なお、以下の洗浄はすべ
てこの方法で行った。 (2) ブロッキング剤 0.3 %ゼラチン水溶液を 250μl/ウエルの割合で各プ
レ−トに分注し、37℃で1時間静置し、希釈液を除去
し、前記と同様に洗浄した。 (3) 検量線作成用標準品 標準品(試験例1と同一のβ型ダイマ−)を0.63ng/ml
〜10ng/mlの範囲に調整し、 100μl/ウエルの割合で
プレ−トに分注し、37℃で1時間静置し、希釈液を除
去し、洗浄した。 (4) 2次抗体 実施例2と同一の方法で得たモノクロ−ナル抗体をPB
Sに1堯/mlの濃度で溶解し、 100μl/ウエルの割合
でプレ−トに分注し、37℃で1時間静置し、希釈液を
除去し、洗浄した。 (5) 3次抗体 HRP標識抗ラットIgG(ジャクソン・イムノリサ−
チ社製)をPBSで5000倍に希釈し、 100μl/ウエル
の割合でプレ−トに分注し、37℃で1時間静置し、希
釈液を除去し、洗浄した。 (6) 活性測定用基質 ABTSと過酸化水素(ケ−・ピ−・エル社製)を 100
μl/ウエルの割合でプレ−トに分注し、室温で30分
放置し、のちEIAリ−ダ−(バイオ・ラッド社製)に
より吸光度を測定した。検量線作成用標準品の吸光度を
縦軸に、検量線作成用標準品の濃度を横軸にとり、図2
に示す検量線を作成した。 (7) β型ダイマーの定量 図2の検量線を用いて次のようにしてヒト尿に含まれる
β型ダイマーの濃度を定量した。
【0034】健康な人から集めた尿を1〜8倍に生理食
塩水で段階的に希釈し、検量線作成用標準品と同様の操
作を行った。測定された吸光度のうち、検量線の範囲内
の値である1倍希釈および2倍希釈の値0.603 、および
0.391 の吸光度に対応するβ型ダイマーの濃度を図2の
検量線から求め、6.6 ng/mlおよび3.0 ng/mlを得た。
後者の2倍希釈の値に希釈倍率を乗じて値(6.0 ng/m
l)は、1倍で測定した値(6.6ng/ml) とほぼ同じであ
り、この尿に含まれるβ型ダイマーの濃度は、これらの
平均値から6.3 ng/mlと定量された。 実施例4(β型ダイマーの定量) (1) 1次抗体 常法により家兎から得た精製抗M-CSF ポリクロ−ナル抗
体を、生理食塩水に1堯/mlの割合で溶解し、 100μl
/ウエルの割合でポリエチレン製の96ウエル酵素免疫
測定法用マイクロタイトレ−ションプレ−ト(ヌンク社
製)に分注し、37℃で1時間静置し、希釈液を除去
し、0.5 %のTween 20を含むPBSを300μl/ウエ
ルの割合で各ウエルに注入し、数秒静置して液を除去す
る操作を3回反復して洗浄した。 (2) ブロッキング剤 0.3 %ゼラチン水溶液を 250μl/ウエルの割合で各プ
レ−トに分注し、37℃で1時間静置し、希釈液を除去
し、前記と同様に洗浄した。 (3) 検量線作成用標準品 標準品(試験例1と同一のβ型ダイマ−)を0.63ng/ml
〜10ng/ml の範囲に調整し、 100μl/ウエルの割合で
プレ−トに分注し、37℃で1時間静置し、希釈液を除
去し、洗浄した。 (4) 2次抗体 実施例2と同一の方法で得たモノクロ−ナル抗体を常法
(口野嘉幸ら編、”遺伝子・蛋白質実験操作ブロッティ
ング法”、241頁、ソフトサイエンス社、昭和63
年)によりビオチン化し、PBSに1堯/mlとなるよう
に溶解し、 100μl/ウエルの割合で抗体溶液をプレ−
トに入れ、37℃で1時間静置し、のち希釈液を除去
し、洗浄した。 (5) HRP標識アビジン 3次抗体の代替として、HRP標識アビジン(ベクタ−
社製)を用い、これを生理食塩水で5000倍に希釈し、 1
00μl/ウエルの割合で抗体溶液をプレ−トに入れ、室
温で30分静置後、希釈液を除去、洗浄した。 (6) 活性測定用酵素基質 ABTSと過酸化水素(ケ−・ピ−・エル社製)を使用
し、 100μl/ウエルの割合でプレ−トに入れ、室温で
30分放置後、EIAリ−ダ−により吸光度を測定し
た。検量線作成用標準品の吸光度を縦軸に、検量線作成
用標準品の濃度を横軸にとり、図3に示す検量線を作成
した。 (7) β型ダイマーの定量 図3の検量線を用いて次のようにしてヒト尿に含まれる
β型ダイマーの濃度を定量した。
【0035】健康な人から集めた尿を1〜8倍に生理食
塩水で段階的に希釈し、検量線作成用標準品と同様の操
作を行った。測定された吸光度のうち、検量線の範囲内
の値である1倍希釈および2倍希釈の値0.516 、および
0.343 の吸光度に対応するβ型ダイマーの濃度を図3の
検量線から求め、7.1ng /mlおよび3.3ng /mlを得た。
後者の2倍希釈の値に希釈倍率を乗じて値(6.6ng /m
l)は、1倍で測定した値(7.1ng/ml) とほぼ同じであ
り、この尿に含まれるβ型ダイマーの濃度は、これらの
平均値から6.8 ng/mlと定量された。 実施例5(モノクローナル抗体固定化担体の調製) ホルミルセルロファイン(商標。チッソ社製)を蒸留水
および0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液にて洗浄し、のち吸
引濾過して緩衝液を除き、精製したホルミルセルロファ
イン1.5 g(湿重量)を50mlの三角フラスコに採取
し、実施例2と同一の方法で得た抗β型ダイマ−特異的
モノクロ−ナル抗体10mgを0.1Mリン酸ナトリウム緩衝
液に一晩透析した溶液を添加し、室温で2時間撹拌し、
次いで7mgの水素化シアノホウ素ナトリウムを加え、更
に室温で10時間撹拌し、この抗体をホルミルセルロフ
ァインに結合させ、のち0.2Mトリス−塩酸緩衝液(pH
7.0)で洗浄し、5mgの水素化シアノホウ素ナトリウム
を含む2mlのトリス−塩酸緩衝液を加え、室温で4時間
撹拌し、反応基を失活させ、抗β型ダイマ−特異的モノ
クロ−ナル抗体固定化担体約2mlを得た。 実施例6(β型ダイマーの精製) 実施例5と同一の方法で調製した抗β型ダイマ−特異的
モノクロ−ナル抗体固定化担体2mlをカラム(直径1c
m、長さ5cm)に充填し、生理食塩水で洗浄し、予め集
めた健常人尿100 mlをカラムに通液し、カラム容量の5
倍量の生理食塩水で洗浄し、のち0.02M グリシン塩酸緩
衝液(pH3.0 )で吸着画分を溶出させ、溶出された吸
着画分のpHをただちに1Mトリス塩酸緩衝液(pH8.
0 )で中性付近に調整し、精製されたβ型ダイマ−約0.
2 μg を含む溶液約2mlを得た。
【0036】前記一度の操作で得られた精製β型ダイマ
−は、もとの尿に含まれる蛋白中の含量の約250 倍に濃
縮されていた。また、この溶出液を濃縮し、常法により
ウエスタン・ブロッティングにかけ、抗M-CSF ポリクロ
−ナル抗体(ヒトM-CSF α型およびβ型モノマ−と反
応)と反応させた結果、β型ダイマ−のみが検出され
た。
【0037】
【発明の効果】以上詳しく説明したとおり、この発明に
よって奏せられる効果は次のとおりである。 (1) β型ダイマ−にのみ特異的に反応する新規なモノク
ロ−ナル抗体が得られる。 (2) β型ダイマ−にのみ特異的に反応する新規なモノク
ロ−ナル抗体を産生するハイブリドーマが得られる。 (3) 上記抗体を有効成分とするβ型ダイマ−定量用試薬
を提供することができる。 (4) 上記試薬を用いたβ型ダイマ−の新規な免疫化学的
定量法を提供することができる。 (5) 上記抗体を用いることによりヒト体液等に存在する
β型ダイマ−を簡便、かつ高純度に精製することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のβ型ダイマ−特異的モノクロ−ナル
抗体を用いたELISA試験結果を示す。
【図2】この発明のβ型ダイマ−定量用試薬により作成
した検量線を示す。
【図3】この発明のβ型ダイマ−定量用試薬により作成
した他の検量線を示す。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年1月14日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正内容】
【0007】M-CSF の免疫学的定量方法としては、RI
A(放射性同位元素分析法)が知られている[プロシー
ディングス・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ
・サイエンス・オブ・ザ・ユナイテッド・ステーツ・オ
ブ・アメリカ(Proceedingsof the Natlional Academy
of Science of the United States of America)、第7
6巻、第5411ページ、1979年、ブラッド・セル
ズ(Blood cells) 、第5巻、第421ページ、1979
年、およびブラッド(Blood) 、第58巻、第630ペー
ジ、1981年]が、この方法は感度が1.4 〜4U/ml と
あまり高くないこと、高価なこと、取扱いが一定の基準
により認可された施設を必要とすること等の問題があ
る。また、RIAに比較してより安価で簡便に定量でき
るEIA(酵素標識法)も知られている(特開平2- 5
5955号公報)が、いずれにしても、これらの免疫学
的方法ではα型とβ型の区別のみならず、ダイマ−とモ
ノマ−の区別も不可能であった。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正内容】
【0014】さらに、この発明は、ヒトM-CSF β型ダイ
マ−含有液からヒトM-CSF β型ダイマ−を精製する方法
において、上記モノクロ−ナル抗体をヒトM-CSF β型ダ
イマ−の吸着体として使用することを特徴とするヒトM-
CSF β型ダイマ−の精製方法をも提供する。以下、この
発明の構成について、詳しく説明する。 (1)ハイブリドーマの作出 この発明のハイブリド−マの作出は、免疫、細胞融合、
融合細胞選択、アッセイおよびクロ−ニングの各工程よ
りなる公知の方法[ネイチャー(Nature)、第256巻、
第495ページ、1975年]により次のようにして行
うことができる。 1)免疫 精製β型ダイマ−を抗原として用い、これを完全フロイ
ンドまたは不完全フロインドのアジュバントと混和し、
1週間〜数か月の間隔でラットまたはマウス等に1〜4
回注射し、動物を感作する。なお、精製β型ダイマ−
は、例えば特開昭64-22899号公報記載の方法により健康
な人の尿から分離、精製することができる。 2)細胞融合 前記の操作により免疫された動物から常法により摘出し
た脾臓細胞またはリンパ球B細胞と、骨髄腫細胞とを融
合し、細胞融合を得る。使用する骨髄腫細胞は、公知の
HGPRT(hypoxanthine-guanine phosphoribosyl transfer
ase)欠損マウスまたはラット骨髄腫細胞であり、ケーラ
ーおよびミルスタインの方法[ネイチャー(Nature)、第
256巻、第495ページ、1975年]により容易に
入手し得る。融合方法としてはHJV 法(センダイウイル
スを用いる方法)、ポリエチレングリコ−ル法(PEG
法)、電気融合法等の公知の方法が例示できる。 3)融合細胞の選択 次いで融合細胞のみが生育できる適当な選択培地中で2
〜4日毎に新鮮な選択培地と交換しながら細胞を10〜20
日間培養し、所望の融合細胞のみを選別する。HGPRT 欠
損骨髄腫細胞を融合親細胞として用いた場合、選択培地
としてはHAT(Hypoxanthine, Aminopterin, Thymidine)
培地、HAz(Hypoxanthine, Azaserine)培地等を例示する
ことができる。 4)アッセイ アッセイ工程は、融合細胞の中から、目的とする特異抗
体産生細胞を選別する工程である。通常、選別は、培養
上清に含まれる抗体活性を固相または液相放射性同位元
素免疫測定法(RIA)、酵素結合免疫化学測定法(E
IA)、凝集法、蛍光抗体法等の公知の方法で測定する
ことにより行う。 5)クロ−ニング クロ−ニング工程は、目的の特異抗体産生細胞を一つの
クロ−ンから由来した均一な細胞集団とする工程であ
る。公知の限外希釈法等によって、モノクロ−ナルな細
胞に由来し、安定してβ型ダイマ−と反応する抗体を産
生する細胞株、いわゆるハイブリド−マを得る。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正内容】
【0027】図1から明らかなように、この発明のハイ
ブリドーマが産生するモノクローナル抗体は、いずれの
濃度においてもβ型ダイマ−とのみ反応し、ヒトM−C
SFβ型モノマ−、およびヒトM−CSFα型ダイマ−
とはほとんど反応しないことが認められた。なお、原料
および試料の調製方法を変更して同様に試験してもほぼ
同様の結果が得られた。 試験例2 この試験は、この発明のハイブリドーマの抗体産生を調
べるために行った。 (1) 試料の調製 a)β型ダイマ− 試験例1と同一の方法により調製した。 b)モノクロ−ナル抗体 ハイブリド−マの培養上清をそのまま使用した。 (2) 試験方法 1)ハイブリド−マの継代培養 10%FCSを含むRPMI1640培地(日水製薬社製)50ml
に、実施例1で得たハイブリドーマMO9106を1〜2×1
5 /mlの割合で懸濁し、CO2 インキュベ−タ−内で
静置培養した。培養時には全量を回収し、遠心分離して
ハイブリド−マと培養上清とを分離し、上記に示したハ
イブリド−マの必要量だけをそのまま次の培養に移し
た。 2)培養上清の力価測定 β型ダイマ−を50ng/ml の濃度に生理食塩水で希釈
し、 100μl/ウエルの割合でポリスチレン製の96ウ
エル酵素免疫測定法用マイクロタイトレ−ションプレ−
ト(ヌンク社製)に分注し、37℃で1時間静置し、希釈
液を除去し、0.5 %のTween 20を含む生理食塩水を300
μl/ウエルの割合で各ウエルに注入し、数秒静置して
液を除去する操作を3回反復して洗浄した。なお、以下
の洗浄はすべてこの方法で行った。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正内容】
【0032】
【実施例】 実施例1(ハイブリドーマの作出) (1) 動物の免疫 生理食塩水で希釈したβ型ダイマ−と不完全フロインド
・アジュバントとの1:1 のエマルジョンを調製し、5−
8週齢の雌のLou ラット(実験動物中央研究所から入
手)の背部皮下および腹腔に、ラット1匹あたりβ型ダ
イマ−として100〜200 μg(エマルジョン量として0.5
〜1.0ml)を投与した。追加免疫は不完全フロインド・ア
ジュバントを用いて2〜3週間毎に行い、β型ダイマ−
の投与量は1匹あたり50〜100 μg とした。追加免疫終
了1週間目に採血し、血清中の抗体価をEIA法により
測定し、抗体価の上昇がプラト−に達し、さらにEIA
法での抗体価がコントロールに比較して数万から数十万
倍と十分に高い抗体価が認められるまで追加免疫を継続
した。 (2) 細胞融合 高抗体価が認められたラット4匹にβ型ダイマ−溶液を
1匹あたり100 μg の割合で腹腔内投与し、4日後に脾
臓を摘出した。ラット骨髄腫細胞(Y3Ag1.2.3)[ネイチ
ャ−(Nature) 、第277巻、第131ペ−ジ、197
9年]と前記ラット脾細胞とを細胞数比で1:5の割合
でポリエチレングリコ−ル1500を用いて融合した。10
%FBS含有DMEM培地(大日本製薬社製)を用いて
ポリエチレングリコ−ルを洗浄除去し、細胞をHAT培
地(シグマ社製)に懸濁し、96穴プレ−ト(ヌンク社
製)に約105 cells/ウエルずつ分注し、37℃、7%
CO2 下で7日間培養した。その結果、12ウエルの細
胞に抗体産生が認められた 。(3) スクリ−ニングおよびクロ−ニング 前記ハイブリド−マの増殖を終了した各ウエルの培地を
一部採取し、常法により抗体産生活性のスクリ−ニング
を行い、抗原に対して高い力価が認められるウエルにつ
いて限界希釈法により次のようにクロ−ニングを行っ
た。ラット腹腔滲出細胞をフィ−ダ−細胞として用い、
コロニ−形成ウエルの培養上清の抗体価をEIA法によ
り測定し、抗体産生が認められたウエルについて、前記
と同様の方法により再度クロ−ニングを行い、さらに前
記と同様の方法により培養し、産生された培養上清に含
まれる抗体の性質を同様の方法で試験した。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正内容】
【0033】以上の操作によりβ型ダイマーに特異的に
反応するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ
(MO9106) を作出した。 実施例2(モノクローナル抗体の取得) 実施例1で得た抗β型ダイマ−特異的モノクロ−ナル抗
体産生ハイブリド−マ(MO9106) 1×105 を10%F
CSを含むRPMI1640培地(日水製薬社製)50mlで培養
し、のち培養上清を1/2 容量に濃縮し、プロテイン・ジ
ー・セファロース・エフエフ[protein G sepharose ff
(商標。ファルマシア社製)]17.8mlをカラム(直径1
cm、長さ10cm)に充填し、生理食塩水で洗浄し、濃縮
した前記培養上清をカラムに通液し、再び生理食塩水で
洗浄し、余分な蛋白質を除去し、その後0.02M のグリシ
ン塩酸緩衝液(pH3.0 )を用いて抗β型ダイマー特異
的モノクローナル抗体を溶出させた。溶出液に1M トリ
ス塩酸緩衝液(pH8.0 )を添加し、溶出液のpHを中
性付近に調整し、抗β型ダイマ−特異的モノクロ−ナル
抗体約60ngを含む溶液約50mlを得た。 実施例3(β型ダイマーの定量) (1) 1次抗体 常法により家兎から得た精製抗ヒトM-CSF ポリクロ−ナ
ル抗体をPBSに1μg/mlの濃度で溶解し、 100μl/
ウエルの割合でポリエチレン製の96ウエル酵素免疫測
定法用マイクロタイトレ−ションプレ−ト(ヌンク社
製)に分注し、37℃で1時間静置し、希釈液を除去
し、 0.5%のTween 20を含むPBSを 300μl/ウエル
の割合で各ウエルに注入し、数秒静置して液を除去する
操作を3回反復して洗浄した。なお、以下の洗浄はすべ
てこの方法で行った。 (2) ブロッキング剤 0.3 %ゼラチン水溶液を 250μl/ウエルの割合で各プ
レ−トに分注し、37℃で1時間静置し、希釈液を除去
し、前記と同様に洗浄した。 (3) 検量線作成用標準品 標準品(試験例1と同一のβ型ダイマ−)を0.63ng/ml
〜10ng/mlの範囲に調整し、 100μl/ウエルの割合で
プレ−トに分注し、37℃で1時間静置し、希釈液を除
去し、洗浄した。 (4) 2次抗体 実施例2と同一の方法で得たモノクロ−ナル抗体をPB
Sに1μg/mlの濃度で溶解し、 100μl/ウエルの割合
でプレ−トに分注し、37℃で1時間静置し、希釈液を
除去し、洗浄した。 (5) 3次抗体 HRP標識抗ラットIgG(ジャクソン・イムノリサ−
チ社製)をPBSで5000倍に希釈し、 100μl/ウエル
の割合でプレ−トに分注し、37℃で1時間静置し、希
釈液を除去し、洗浄した。 (6) 活性測定用基質 ABTSと過酸化水素(ケ−・ピ−・エル社製)を 100
μl/ウエルの割合でプレ−トに分注し、室温で30分
放置し、のちEIAリ−ダ−(バイオ・ラッド社製)に
より414nm で吸光度を測定した。検量線作成用標準品の
吸光度を縦軸に、検量線作成用標準品の濃度を横軸にと
り、図2に示す検量線を作成した。 (7) β型ダイマーの定量 図2の検量線を用いて次のようにしてヒト尿に含まれる
β型ダイマーの濃度を定量した。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正内容】
【0034】健康な人から集めた尿を1〜8倍に生理食
塩水で段階的に希釈し、検量線作成用標準品と同様の操
作を行った。414nm で測定された吸光度のうち、検量線
の範囲内の値である1倍希釈および2倍希釈の値0.603
、および0.391 の吸光度に対応するβ型ダイマーの濃
度を図2の検量線から求め、6.6 ng/mlおよび3.0 ng/
mlを得た。後者の2倍希釈の値に希釈倍率を乗じて値
(6.0 ng/ml)は、1倍で測定した値(6.6ng/ml) とほ
ぼ同じであり、この尿に含まれるβ型ダイマーの濃度
は、これらの平均値から6.3 ng/mlと定量された。 実施例4(β型ダイマーの定量) (1) 1次抗体 常法により家兎から得た精製抗M-CSF ポリクロ−ナル抗
体を、生理食塩水に1μg /mlの割合で溶解し、 100μ
l/ウエルの割合でポリエチレン製の96ウエル酵素免
疫測定法用マイクロタイトレ−ションプレ−ト(ヌンク
社製)に分注し、37℃で1時間静置し、希釈液を除去
し、0.5 %のTween 20を含むPBSを300μl/ウエ
ルの割合で各ウエルに注入し、数秒静置して液を除去す
る操作を3回反復して洗浄した。 (2) ブロッキング剤 0.3 %ゼラチン水溶液を 250μl/ウエルの割合で各プ
レ−トに分注し、37℃で1時間静置し、希釈液を除去
し、前記と同様に洗浄した。 (3) 検量線作成用標準品 標準品(試験例1と同一のβ型ダイマ−)を0.63ng/ml
〜10ng/ml の範囲に調整し、 100μl/ウエルの割合で
プレ−トに分注し、37℃で1時間静置し、希釈液を除
去し、洗浄した。 (4) 2次抗体 実施例2と同一の方法で得たモノクロ−ナル抗体を常法
(口野嘉幸ら編、”遺伝子・蛋白質実験操作ブロッティ
ング法”、241頁、ソフトサイエンス社、昭和63
年)によりビオチン化し、PBSに1μg /mlの割合で
溶解し、 100μl/ウエルの割合で抗体溶液をプレ−ト
に入れ、37℃で1時間静置し、のち希釈液を除去し、
洗浄した。 (5) HRP標識アビジン 3次抗体の代替として、HRP標識アビジン(ベクタ−
社製)を用い、これを生理食塩水で5000倍に希釈し、 1
00μl/ウエルの割合で抗体溶液をプレ−トに入れ、室
温で30分静置後、希釈液を除去、洗浄した。 (6) 活性測定用酵素基質 ABTSと過酸化水素(ケ−・ピ−・エル社製)を使用
し、 100μl/ウエルの割合でプレ−トに入れ、室温で
30分放置後、EIAリ−ダ−により414nm で吸光度を
測定した。検量線作成用標準品の吸光度を縦軸に、検量
線作成用標準品の濃度を横軸にとり、図3に示す検量線
を作成した。 (7) β型ダイマーの定量 図3の検量線を用いて次のようにしてヒト尿に含まれる
β型ダイマーの濃度を定量した。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正内容】
【0035】健康な人から集めた尿を1〜8倍に生理食
塩水で段階的に希釈し、検量線作成用標準品と同様の操
作を行った。414nm で測定された吸光度のうち、検量線
の範囲内の値である1倍希釈および2倍希釈の値0.516
、および0.343 の吸光度に対応するβ型ダイマーの濃
度を図3の検量線から求め、7.1ng /mlおよび3.3ng /
mlを得た。後者の2倍希釈の値に希釈倍率を乗じて値
(6.6ng /ml)は、1倍で測定した値(7.1ng/ml) とほ
ぼ同じであり、この尿に含まれるβ型ダイマーの濃度
は、これらの平均値から6.8 ng/mlと定量された。 実施例5(モノクローナル抗体固定化担体の調製) ホルミルセルロファイン(商標。チッソ社製)を蒸留水
および0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液にて洗浄し、のち吸
引濾過して緩衝液を除き、精製したホルミルセルロファ
イン1.5 g(湿重量)を50mlの三角フラスコに採取
し、実施例2と同一の方法で得た抗β型ダイマ−特異的
モノクロ−ナル抗体10mgを0.1Mリン酸ナトリウム緩衝
液に一晩透析した溶液を添加し、室温で2時間撹拌し、
次いで7mgの水素化シアノホウ素ナトリウムを加え、更
に室温で10時間撹拌し、この抗体をホルミルセルロフ
ァインに結合させ、のち0.2Mトリス−塩酸緩衝液(pH
7.0)で洗浄し、5mgの水素化シアノホウ素ナトリウム
を含む2mlのトリス−塩酸緩衝液を加え、室温で4時間
撹拌し、反応基を失活させ、抗β型ダイマ−特異的モノ
クロ−ナル抗体固定化担体約2mlを得た。 実施例6(β型ダイマーの精製) 実施例5と同一の方法で調製した抗β型ダイマ−特異的
モノクロ−ナル抗体固定化担体2mlをカラム(直径1c
m、長さ5cm)に充填し、生理食塩水で洗浄し、予め集
めた健常人尿100 mlをカラムに通液し、カラム容量の5
倍量の生理食塩水で洗浄し、のち0.02M グリシン塩酸緩
衝液(pH3.0 )で吸着画分を溶出させ、溶出された吸
着画分のpHをただちに1Mトリス塩酸緩衝液(pH8.
0 )で中性付近に調整し、精製されたβ型ダイマ−約0.
2 μg を含む溶液約2mlを得た。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07K 3/28 8517−4H 15/06 8619−4H 17/02 8517−4H C12N 5/20 G01N 33/50 7055−2J 33/53 D 8310−2J V 8310−2J 33/577 B 9015−2J // C12N 15/06 (C12P 21/08 C12R 1:91) (72)発明者 柳内 延也 神奈川県座間市東原5−1−83 森永乳業 株式会社生物科学研究所内 (72)発明者 武智 和男 大阪府枚方市招堤大谷2−25−1 株式会 社ミドリ十字中央研究所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒトM-CSF β型ダイマ−に特異的に反応
    し、ヒトM-CSF β型モノマ−、ヒトM-CSF α型ダイマ
    −、およびヒトM-CSF α型モノマ−のいずれにも反応し
    ないことを特徴とするヒトM-CSF β型ダイマ−に特異性
    を有するモノクロ−ナル抗体。
  2. 【請求項2】 ヒトM-CSF β型ダイマ−に特異的に反応
    し、ヒトM-CSF β型モノマ−、ヒトM-CSF α型ダイマ
    −、およびヒトM-CSF α型モノマ−のいずれにも反応し
    ないモノクロ−ナル抗体を産生するハイブリド−マ。
  3. 【請求項3】 ハイブリド−マが、ヒトM-CSF β型ダイ
    マ−で免疫された動物から摘出した脾臓細胞またはリン
    パ球B細胞と、骨髄腫細胞とを融合して得られた細胞融
    合であることを特徴とする請求項2のハイブリド−マ。
  4. 【請求項4】 ハイブリド−マが、ハイブリドーマMO91
    06(微工研条寄第3662号)であることを特徴とする請求
    項2または3のハイブリド−マ。
  5. 【請求項5】 ヒトM-CSF β型ダイマ−含有液のヒトM-
    CSF β型ダイマ−を免疫化学的に定量する方法におい
    て、ヒトM-CSF β型ダイマ−に特異的に反応し、ヒトM-
    CSF β型モノマ−、ヒトM-CSF α型ダイマ−、およびヒ
    トM-CSF α型モノマ−のいずれにも反応しないモノクロ
    −ナル抗体を抗体として使用することを特徴とするヒト
    M-CSF β型ダイマ−の免疫化学的定量方法。
  6. 【請求項6】 ヒトM-CSF β型ダイマ−の免疫化学的定
    量に使用する試薬において、ヒトM-CSF β型ダイマ−に
    特異的に反応し、ヒトM-CSF β型モノマ−、ヒトM-CSF
    α型ダイマ−、およびヒトM-CSF α型モノマ−のいずれ
    にも反応しないモノクロ−ナル抗体を有効成分とするヒ
    トM-CSF β型ダイマ−の免疫化学的定量用試薬。
  7. 【請求項7】 ヒトM-CSF β型ダイマ−含有液からヒト
    M-CSF β型ダイマ−を精製する方法において、ヒトM-CS
    F β型ダイマ−に特異的に反応し、ヒトM-CSF β型モノ
    マ−、ヒトM-CSF α型ダイマ−、およびヒトM-CSF α型
    モノマ−のいずれにも反応しないモノクロ−ナル抗体を
    ヒトM-CSF β型ダイマ−の吸着体として使用することを
    特徴とするヒトM-CSF β型ダイマ−の精製方法。
JP3333607A 1991-12-17 1991-12-17 ヒトM−CSF β型ダイマ−に特異性を有するモノクロ− ナル抗体と、この抗体を産生するハイブリドーマ、お よびこの抗体の利用 Pending JPH067189A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7728113B2 (en) 2003-09-10 2010-06-01 Amgen Fremont Inc. Methods of treating arthritic conditions with antibodies to M-CSF

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7728113B2 (en) 2003-09-10 2010-06-01 Amgen Fremont Inc. Methods of treating arthritic conditions with antibodies to M-CSF
US9718883B2 (en) 2003-09-10 2017-08-01 Amgen Fremont Inc. Antibodies to M-CSF
US10280219B2 (en) 2003-09-10 2019-05-07 Amgen Fremont Inc. Antibodies to M-CSF

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