JPH0671627B2 - 軸線曲げ部を有する長尺品の製造方法 - Google Patents

軸線曲げ部を有する長尺品の製造方法

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JPH0671627B2
JPH0671627B2 JP62080703A JP8070387A JPH0671627B2 JP H0671627 B2 JPH0671627 B2 JP H0671627B2 JP 62080703 A JP62080703 A JP 62080703A JP 8070387 A JP8070387 A JP 8070387A JP H0671627 B2 JPH0671627 B2 JP H0671627B2
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元彦 橘川
淳男 鈴木
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橋本フォ−ミング工業株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、自動車用のドアサッシュやガイドレール等の
長尺品を製造するのに際し、直線状の金属部材の軸線を
所定形状に折り曲げた後、その折り曲げに伴う曲げ形状
のバラ付きを所定の許容公差内に入るよう矯正加工する
軸線曲げ部を有する長尺品の製造方法に関するものであ
る。
従来の技術 従来、自動車用のフレーム付きドアサブアッセンブリを
製造する工程で、ロウ付け後のドアフレームの建付位置
を矯正することが知られている(実開昭61-92413号)。
この矯正手段では作業開始時にドアフレーム建付位置の
矯正部を測定原点位置まで駆動源で移動させ、それを測
定原点位置の検出センサーで検知することにより停止さ
せた後、このドアフレームの建付位置を矯正部に設けら
れた建付位置測定センサーで測定し、その測定信号に基
づいてドアフレームの矯正するべき曲げ量を算出し、こ
の算出された曲げ量に応じて矯正部の駆動源を作動させ
てドアフレームを曲げ量だけ矯正部で押曲げ矯正する。
その後、矯正部を再び測定原点位置まで復帰させてドア
フレームの建付位置を建付位置測定用センサで再度測定
し、この測定信号をコントローラに送ることにより、次
のドアフレームの曲げ量を算出すると共に、その曲げ量
に応じて矯正部を移動させて曲げ量がゼロになるまで矯
正部を繰返し動作させるようにされている。
これと同様に第12図で示すような横断面形状を有し、ま
た、第13図で示す如き軸線の曲げ形状を有する自動車用
ドアサッシュSを製造する時には、先ず、曲げ形状の基
準線Oを目指し、ドアサッシュSを製造するのに充分な
長さの長尺な直線状の金属素材を軸線曲げするのが当業
者における技術常識である。然し、その長尺な直線状の
金属素材に対して曲げ形状の基準線Oを目指す曲げ加工
をどのように行っても、実際の曲げ加工においては金属
素材の材質のバラ付き等があることから、1回の曲げ加
工のみで全てを基準線Oの許容範囲内に入れることは難
かしい。このため、曲げ加工を終えた複数個の金属部材
の形状を測定すると、第14図で示すヒストグラムのよう
に曲げ形状にバラ付きが生ずるのを避けられない。
即ち、このヒストグラムで示すハッチング範囲の金属部
材は曲げ加工の後に改めて許容範囲の中に入るように矯
正を必要とするものである。このことは、プラス側(曲
げ角度にすれば、曲げ角度の不足するもの)の範囲にあ
る金属部材はマイナス側に向けて、逆に、マイナス側
(曲げ角度にすれば、曲げ角度の過剰のもの)の範囲内
にある金属部材はプラス側に向けて曲げ角度を矯正する
必要がある。
この矯正を行うのに上述の矯正手段を適用するとした
ら、第13図で示す如く金属部材Sの軸線部分S1を固定
し、それから延長する軸線部分S2或いはS3が所定の曲げ
形状の基準線Oに対してプラス側或いはマイナス側のい
ずれに位置するか、また、この位置が第14図にも示すよ
うな許容範囲を越えてどの程度であるか等を作業開始の
初回データとして測定する。その測定データに基づいて
矯正部を移動させた後は矯正部を測定原点まで戻すもの
の、別途に戻り位置をチェックしないで測定原点と現在
の軸線部分S2またはS3の位置との間で次の曲げ量を測定
し、曲げ量がゼロになるまで矯正部を繰返し移動させる
ことによる手順で行うことになる。
然し、上述した矯正手段を第12図乃至第14図に示すよう
な自動車用ドアサッシュ等の長尺品に適用するときには
曲げ形状の基準線Oである矯正ねらい値に対し、ある物
についてはプラス側からマイナス側に向け、また、ある
物についてはマイナス側からプラス側に向けて両方向か
らの矯正を行わなければならず、これを機械装置で行わ
せるにはデータ類が多種になって取扱いが困難である。
このことを更に詳述すれば、第14図で示すプラス側の範
囲にある金属部材を曲げ形状の基準線Oに向けて矯正曲
げするには当該金属部材自体にとって未だ経過したこと
のない未加工領域への曲げ加工を意味し、一方、マイナ
ス側の範囲にある金属部材を曲げ形状の基準線Oに向け
て矯正曲げするには当該金属部材自体にとって既に経過
した加工領域内での戻し曲げ加工を意味する。
このような場合、本願出願人の経験によると両範囲にあ
る金属部材はたとえ同じ量だけ矯正曲げするにしても、
プラス側からマイナス側へ向けて矯正するのに要する力
並びに移動量と、マイナス側からプラス側に向けて矯正
するのに要する力並びに移動量とは近似もせず、規則正
しい相関関係も認められない。その原因としては、プラ
ス側の範囲にある金属部材とマイナス側の範囲にある金
属部材とでは曲げ加工された部分の加工度合いが異り、
硬度等が変化しているものと推定される。
従って、これら両範囲にあるものをひとまとめにし、機
械装置により矯正曲げしようとすると、矯正曲げの制御
に要するデータとして互いに性格の異なるデータをとり
まとめて包含させなければならないので、データの作
成,インプット作業等の煩雑さを伴う。また、材質のバ
ラ付き,ワークの種類,矯正個所,初期セット位置等も
考慮することにより曲げ量を求めなければならないから
データが不確実なものになってしまう。更に、他の問題
として、矯正作業中には初回以降求められる曲げ量通り
に矯正部が所定のストロークで移動するとは限らないに
も拘らず、矯正部の復帰位置を測定原点との間で再チェ
ックしないから精度に欠け、更には毎回矯正部を原点に
戻すために不必要な動作時間が含まれてしまう等の欠点
が考えられる。
発明が解決しようとする課題 本発明は、金属素材の曲げ加工に遡って、曲げ加工の際
に目標とする曲げ基準角度に対して特定の範囲内に曲げ
加工をする初期軸線の曲げ工程と当該軸線の矯正工程と
を組み合せることにより、前述の問題点や欠点を解消し
た軸線曲げ部を有する長尺品の製造方法を提供すること
を目的とする。
課題を解決するための手段 本発明に係る軸線曲げ部を有する長尺品の製造方法にお
いては、所定の横断面形状を有する長尺な直線状の金属
素材の軸線を目標とする曲げ基準角度に対し、その曲げ
基準角度を越えた小さい範囲内の曲げ角度に軸線曲げし
て金属部材を得る工程と、 前記曲げ加工された金属部材を矯正される軸線部分が偏
位自在となるように矯正されない所定の軸線部分で固定
し、 この金属部材の固定された軸線部分の長手方向端末側に
制御されて駆動する駆動源に連結された矯正手段の矯正
部を当接させ、その金属部材の矯正される軸線部分を曲
げ基準角度側に向けて一方側から複数回にわたり矯正部
で押圧して移動変形させる際に、最終回の矯正に近い移
動量を順次減少させるようにして金属部材の軸線を矯正
曲げする工程とを含むことから軸線曲げ部を有する長尺
品を製造する。
作用 この軸線曲げ部を有する長尺品の製造方法では、目標と
する曲げ基準角度に対して小さい範囲内の曲げ角度に長
尺な直線状の金属素材を軸線曲げして金属部材を得て、
その金属部材の軸線曲げされた一方側から目標とする曲
げ基準角度側に向け矯正部で複数回にわたり押圧するこ
とにより金属部材の軸線を移動変形させて矯正曲げ加工
するから、矯正に要するデータや演算並びに矯正手段を
簡略化することができる。また、金属部材自体にとって
は既に経過した加工領域内で未確定要素(未経験の要
素)を含まないデータに基づいて矯正曲げ加工を施せる
ため、この金属部材の初期軸線の曲げ形状にバラ付きが
あっても十分満足できる精度で矯正を行い得る。
実施例 以下、第1〜11図を参照して説明すれば、次の通りであ
る。
この軸線曲げ部を有する長尺品の製造方法は、第1図の
二点鎖線で示すように所定の横断面形状を有する長尺な
直線状の金属素材S0から自動車用のドアサッシュやガイ
ドレール等の長尺品を製造するのに適用されている。
その具体例としてドアサッシュを例示すると、まず、第
1図で示すように中間の軸線部分S1を中心にし、曲げ加
工機(図示せず)で左右に延長する両軸線部分S2,S3
初期曲げ形状に曲げ加工することにより、長尺な直線状
の金属素材S0から初期曲げ形状に軸線曲げされた金属部
材Sを得る。
以下、代表して金属部材Sの軸線部分S2についてのみ説
明する。その初期軸線の曲げ形状は、所定の曲げ形状の
基準線Oに対して基準角度αを越えた小さな範囲の曲げ
角度β1,β2,β3…のように一方にまとめるよう軸線
部分S2を軸線曲げする。この初期軸線の曲げ加工によっ
ては、第1図で示す軸線部分S2が目標とする曲げ基準角
度αを越えた小さな範囲の曲げ角度β1,β2,β3…即
ち、全てがマイナス側に曲げられている。その初期軸線
の曲げ形状は、第2図のヒストグラフで示す白抜き部分
の許容範囲内のものを除き、全てが斜線で描写したマイ
ナス側に超過曲げされたものになっている。
この初期軸線の曲げ加工を行って得た金属部材Sに対
し、第3〜5図で示す矯正装置を使用することにより軸
線部分S2,S3の曲げ矯正を個別に行う。その矯正装置
は、金属部材Sの軸線部分S1を中心マーク1に合せて挟
持することにより金属部材Sをセットするクランプ2を
備えている。このクランプ2は、エアー圧または油圧等
の駆動シリンダ2aで金属部材Sの矯正されない軸線部分
S1を長手方向に沿って挟持する。その軸線部分S1のセッ
ト位置から金属部材Sの軸線部分S2,S3の突出する位置
に、サーボ,パルス,ステッピング等の駆動モータ3で
動作する駆動機構部が配置されている。駆動モータ3は
カップリング4aで連結したボールねじ軸4を回動し、ガ
イドレール5に沿って矯正部テーブル6を所定方向に移
動させるよう駆動機構部に装備されている。ボールねじ
軸4は受け台4b,4cで軸支され、ガイドレール5は左右
端がブラケット5a,5bに夫々固定支持されている。矯正
部テーブル6には原点及びオーバーラン防止用のアクチ
ュエータードック6aが移動路の片側部に装備され、ま
た、反対側の側部にはパルスジェネレータ7が配置され
ている。このパルスジェネレータ7は、矯正部テーブル
6に取り付けられた金具6bと端末が連結されたワイヤー
7aを介して受駒7bを回転することにより、矯正テーブル
6の移動量を検知するものとして装備されている。その
ワイヤー7aは、フライホイール7c,7dに回転可能に掛渡
し配置されている。矯正部テーブル6のアクチュエータ
ドック6aを装備した側には、原点検出アクチュエータ8
とオーバラン防止用アクチュエータ9a,9bとが配設され
ている。この矯正部テーブル6のテーブル上には矯正部
10が搭載され、矯正部10は第4,5図で示すように金属部
材Sの軸線部分S2,S3を受止め載置可能な略L字状のも
ので構成されている。その矯正部10は、矯正部テーブル
6に固定されたカムフォロア11の軸を中心にして首振り
自在なようにスラストベアリング11aを介在させ、カム
フォロア11をセットボルト11b,11cで固定することによ
り下部側が矯正部テーブル6に取り付けられている。こ
の矯正部10には、金属部材Sの位置を検出する投光器,
受光器等の位置検出用センサ12a,12bが垂直部分の上限
端側に備えられている。また、ボールねじ軸4を軸受け
する保持具13の位置はパルスジェネレータ7からの信号
を処理することにより検出できるよう構成されている。
この矯正装置を用いては、第1図で示すように中心マー
ク1に合せて軸線部分S1をクランプ2で挟持することに
より金属部材Sをセットした後、矯正量が大きければ軸
線部分S2,S3を矯正部10で数回に亘って移動変形させる
ことにより所定の曲げ形状の基準線Oまで矯正する。そ
の数回に亘る矯正は、第6図で示すように初期曲げ加工
された各金属部材の矯正装置における初期セット位置が
AV値にあるときのBV値,BVD値,DV値,CV値の設定条件に則
って行うよう定められている。この設定条件は、初期の
曲げ角度β1,β2,β3…に曲げ加工された金属部材を
サンプルとし、エアー押しトライにかけることにより予
め求められている。
そのエアー押しトライにあたっては、同種の熱処理され
た合金による金属素材でも耐力,硬度,反力等の機械的
特性に差異があり、初期曲げ加工された金属部材を矯正
曲げするときに押し量に対する反力の関係に影響を与え
て矯正後の曲げ形状にバラ付きを生じさせるから、この
バラ付きを一定範囲の値に納め得る金属素材の機械的特
性を調べ、また、その特定された機械的特性を有する材
料の金属素材を用いて矯正処理することにより矯正装置
の設計に供する設定条件を求めるようにされている。
この機械的特性の特定された金属素材を初期曲げ加工し
た後サンプルとしてエアー押しトライにかけ、各金属部
材の初期の曲げ角度β1,β2,β3…によって目標とす
る曲げ基準角度αに矯正する押し量,戻り量及び矯正回
数(押し回数)を求める。また、矯正装置の運転作業に
適合した一定の押し量による押し回数と押し量の漸次減
少を計りつつ、実測値を測定すると共に金属の負荷特性
による歪みと耐力の関係に関連する変化量を加味する。
そのエアー押しトライから求められたデータを整理すれ
ば、第7図の一点鎖線(実測値)並びに実線(変化量を
加味した平均値)で示す折れ線グラフとして表わすこと
ができる。
このエアー押しトライで求められたデータに基づいて、
第6図で示すように金属部材の初期曲げ角度β1,β2
β3…を矯正装置の機械原点0より金属部材の初期セッ
ト位置として定め、複数のサンプルの中から最小の初期
曲げ角度に対応した位置と、その目標とする曲げ基準角
度に対応した位置とを求め、この間を複数に区分けする
ことによりエアー押しトライ値区分が定められている。
例えば、目標とする曲げ基準角度に対応した位置の値が
50で、最小の初期曲げ角度に対応した位置の値が35.5で
ある場合、その間を括弧内に示す数値毎に複数個に区分
けすることによりエアー押しトライ値区分として表わす
ことができる。なお、第6図のエアー押しトライ値区分
中に数値35.5が複数個示されているのは2個の空き部屋
がコンピュータにある場合を想定し、コンピュータの制
御上支障なきよう数値35.5を各空き部屋に便宜上当ては
めたものである。
この本文中並びに第6〜11図中で用いられている「AV
値」等の各用語は、以下に示す内容を意味している。
「AV値」は、矯正装置のFRC値を機械原点0とし、その
機械原点0から初期セット位置の金属部材の矯正される
軸線部分と当接するまでの矯正部の移動値(位置)を表
わす。なお、「FRC(FREE RUNNING COUNTER)」とは基
準点から直線上の位置関係を数値として表わす機能を有
する計器の名称であり、その計器に表示された数値を
「FRC値」という。
「AV値番地」は、各AV値の区分に対応する番地として符
号1,2…B,Cで単純化表示したものである。
そのAV値の具体的な数値「36.0,35.5…」は目標とする
曲げ基準角度αに対応したサンプルを矯正装置にセット
して機械原点0からFRCを作動し、矯正部が当該サンプ
ルの矯正された軸線部分に当接したところが36.0であっ
た場合、AV値番地CとBとのエアー押しトライ区分にお
ける差0.5に基づいて、36.0−0.5=35.5としてAV値番地
Bの数値が定められている。これと同様にして各AV値を
定めるところから、AV値番地,エアー押しトライ区分,A
V値は次のように対応させて表せる。
「BV値」は、AV値に対応する初回矯正量を表わす。茲
で、「AV値」が小さい数値を示す程、初期セット位置の
金属部材の矯正される軸線部分が目標とする曲げ基準角
度に対して遠い位置にあることを意味し、また、「AV
値」が大きい数値を示す程、初期セット位置の金属部材
の矯正される軸線部分が目標とする曲げ基準角度に対し
て近い位置にあることを意味している。このため、その
「AV値」に対応する初回矯正量を表わす「BV値」が「AV
値」が小さい程初回矯正量を大きくすることにより矯正
曲げ回数を少なくするよう設定されている。
「BVD値」は、初回矯正量(BV値)に続く矯正増加分で
あり、目標とする曲げ基準角度αに相当する値に入るま
で繰り返し施される一定の押し量を表わす。
「DV値」は、矯正増加分(BVD値)の押し量に続く矯正
増加分であり、目標とする曲げ基準角度αと近い位置よ
り該基準角度αの値に入るまで繰り返し施される一定の
押し量を表わす。
「CV値」は、目標とする曲げ基準角度αの値(位置)を
機械原点0からの値(位置)として表わす。
「C1」は、目標とする曲げ基準角度の値(以下、「矯正
ねらい値」という。)のマイナス下限値(位置)を表わ
す。
「C2」は、矯正ねらい値のマイナス公差下限値(位置)
を表わす。
「C3」は、矯正ねらい値のプラス公差上限値(位置)を
表わす。
「C1〜C2」の数値は、矯正ねらい値の領域の数値を表わ
す。
「C2〜C3」の数値は、公差も含めた矯正ねらい値を表わ
す。
第7図中の「A1,A2…A12,A13」は、AV値番地1,2…と対
応し、金属部材の矯正される軸線部分が初期セット位置
にあるとき、その位置を機械原点0から測った距離(m
m)で表わす。
「A12」は目標とする矯正ねらい値、「A11,A13」はCV値
のC2,C3の位置に相当する。「C1」は矯正ねらい値
(A12)より小さい位置(2mm)で、AV値のA9とA10との
間に位置する程度に設定されている。
第7図の上段横軸に沿った数字「1,2…6,7」は、1回以
上の矯正回数の場合で、AV値A1,A2…なる金属部材を矯
正ねらい値A12にまで矯正する目安となる矯正回数を表
わす。例えば、AV値がA3(第6図の初期セット位置:21.
5に相当する。)にある金属部材の場合はA3から連なる
折線グラフの横軸到達点の矯正回数6を矯正ねらい値A
12までの矯正回数として概ね要することになる。
第7図の下段横軸に沿った符号「B1,B2…B6」は、上段
横軸の矯正回数に対応する矯正量(mm)を表わし、B1
30,B2=41.5…,B6=87.5に設定されている。
第7図の中段横軸に沿った数字「0.5…30」は、矯正回
数が1以下のA8,A9,A10に相当する場合で機械原点0よ
り30(mm)にあるように設定することにより矯正量と矯
正される位置の関係を表わす。この場合には、矯正回数
が1回以上のA1,A2…A8までのものとは金属部材の矯正
に伴うスプリングバックが金属負荷特性上異なるから、
矯正ねらい値のCV値C2〜C3に入るまでの矯正回数を適当
な4〜5回程度に納まる作業回数としてBV値,BVD値,DV
値を特別に設定する。
その設定条件に基づいて数回に亘る矯正を行うには、ま
ず、初期セット位置と目標とする曲げ基準角度αの所定
位置との間の各区分位置に応じてAV値番地:A1,A2,A3
Anを求める。この区分毎に初回矯正量(BV値)を設定す
ると共に、曲げ基準角度の所定位置に略近い位置を示す
値である粗の矯正ねらい値C1及びC2,C3…(CV値)を機
械原点0側に近い方から一段づつ通過させ、少しづつ矯
正量の加算値を減少した矯正量を設定する。但し、CV値
は位置検出センサー12a,12bが検知する上限または下限
のねらい値の(±)方向に設定する。そのねらい値が
(±)の範囲内にあるときはCV値は適用せず、目標とす
る曲げ基準角度αの所定位置をAV値→A12と設定し、そ
れに対してCV値は金属部材の矯正される軸線部分S2,S3
をプラス方向に曲げ加工した場合のプラス公差値=C3-A
12に、また、マイナス方向に曲げ加工した場合のマイナ
ス公差値=C2-A12になるよう設定する。
その設定された各BV値に対し、矯正量の増加分(BVD
値)を設定する。また、粗の矯正ねらい値の領域にある
各CV値に対して、矯正量の増加分(DV値)を設定する
(第9図参照)。この際に、BVD値>DV値であり、しか
もDV値は対応するCV値が原点側に向うほど大きくし、矯
正ねらい値に近くなるほど小さい値に設定する(第10図
参照)。また、原点検出アクチュエータ8による機械原
点0の確認位置を基準に、金属部材Sの軸線部分S2,S3
を位置検出用センサ12a,12bで感知した位置と矯正ねら
い値との位置関係から比較するときにはAV値による比較
部とCV値による比較部の2系列を設定する。
その作動系統は、第8図のフローチャートで示す通り金
属部材Sの矯正される軸線部分S2,S3の初期曲げ角度
β1,β2,β3…を曲げ形状の基準角度αに向って矯正
するコンピュータ制御による演算動作によって行なわれ
るよう定められている。このフローチャートに応じて機
械原点0より矯正部10が移動開始し、金属部材Sの矯正
される軸線部分S2に接したとき位置検出センサー12a,12
bが軸線部分S2を感知すると、その位置をFRC値として記
憶することにより比較部に移す。比較部では、初回の比
較か或いは2回目以降の比較かを判定してAV値(または
CV値)を比較選択する。この比較操作は、A1値≧FRC値
を満足しない場合には、次のA2値≧FRC値或いはA3値≧F
RC値…と順次に進める。その条件を満足した場合には、
AV値の比較部に初回を通過したことを記憶させる。この
際に、FRC値はAV値のAK-1<FRC≦Ak(K=2〜13)を満
足する位置関係にあるから、それに対応する初回矯正量
のBV値が選択される。
茲で、「Ak」とはAV値に対してAV値の番地をA1〜A12
設定し、ある番地Ak=A0とし、数値1だけ少ない番地A
k-1=A4を表わす記号として用いられている。例えば、A
k-1<FRC値<Akで説明すると、Ak-1=AV値番地3,AK=AV
値番地4で、AV値番地3のAV値=21.5,AV値番地4のAV
値=22.9であるから、21.5<FRC値<22.9を表わす。
また、2回目よりCV値の粗の矯正ねらい値C1に向って矯
正を進めるため、矯正量の加算値となるBVD値を選択す
る。これにより、初期に設定された使用材料による反力
等を考慮した補正量を含めて矯正量が決定される。即
ち、AK-1値<FRC値≦Ak値の区分を満足するFRC値に対す
る矯正量=(BV値)+(FRC値)+(補正量)が決定さ
れ、その計算結果は総和として記憶される。また、矯正
部10の移動はパルスジェネレータ7を介して常にチェッ
クし、プリセット値まで駆動モータ3を作動し続ける。
その駆動モータ3の作動で移動距離がプリセット値に達
すると、駆動モータ3を停止させて少し時間を空けた後
に戻り動作開始させる。この際に、矯正部10の位置を記
憶するカウンターは矯正部10の位置の移動距離に応じて
矯正方向にはアップカウントされ、或いは戻り方向には
ダウンカウントされる。矯正部10が金属部材Sの軸線部
分S2から離反したことを位置検出用センサ12a,12bが検
出すると、戻り動作は停止させて少し時間を空けた後、
矯正部10を矯正方向に再度移動を開始させる。それに伴
って、矯正部10の位置を記憶するカウンターは上述した
と同様にアップカウントされる。
なお、矯正部10は矯正部テーブル6に対して首振り自在
なため、矯正部テーブル6が前進,後退移動中は金属部
材Sに対し、ある一定範囲の線または面接触を保って金
属部材の移動に追随する。従って、矯正部10は金属部材
Sに対して作動中に安定した矯正力を作用することがで
きる。
2回目からの矯正では位置検出用センサー12a,12bが金
属部材Sの軸線部分S2,S3を感知すると、その位置(FRC
値)を記憶して比較部の選択を行う。2回目ではCV値と
の比較が開始されてC1値≧FRC値で条件が満足される場
合に、初回で選択されたBVD値が前回の総和1(計算結
果)に加算されることにより総和2として再び保存され
る。また、2回目以降の矯正動作はCV値のC1値に向って
条件が合わなくなるまで、初回に選択されたBVD値を矯
正量の増加分として順次に加算させていく。
従って、矯正量を変化させて直接に矯正ねらい値(AV値
のA12)に接近させるのではなく、粗の矯正ねらい値(C
V値のC1値)に先ず向って矯正動作を進めることによ
り、材質特性のバラ付き,断面形状のバラ付き,加工工
程からのバラ付き等があって矯正量に対する矯正結果に
バラ付きが含まれていても、公差をオーバーせずにC1
<FRC値≦C2値の条件を満足するのに十分な寸法位置関
係に寄せられるようになる。
前回の矯正動作でC1値<FRC値≦C2値が条件を満足する
と、それ以降の比較はCV値のC2値と比較され、条件が満
足する場合には矯正量の増加分BVD値より小さい増加分
(DV値)がCV値に対応して選択されることにより矯正量
は(DV値)+(総和2)となる。また、それ以降は第9
図で示すようにFRC値にはC2値≧FRC値の条件に合わなく
なるまでDV値が加算される。その結果でC2値≧FRC値の
条件に合わなくなると、次はCV値のC3値と比較されるこ
とになるから、第8図で示すようにC2値<FRC値≦C3
の条件が満足する場合にはOKとなり、また、FRC値>C3
値の場合にはプラス公差をオーバーしたことになるため
NGとする。
従って、CV値のC2がマイナス方向の公差を示し、C3がプ
ラス方向の公差となっている。また、第10図で示すよう
に粗の矯正ねらい値に数区分したCV値を用いると(C1
≧,C2値≧,C3値≧,C4値≧)、矯正ねらい値に近づく
に従って少しづつ変化させる。即ち、DV1値,DV2値…と
増加分を少しづつ減少させることが可能となるため、金
属部材Sが含む多くの条件のバラ付きに対して矯正精度
を十分に維持できる。
例えば、金属部材Sの矯正される軸線部分S2の初期曲げ
角度β3がFRCで測定した値=28.9である場合,即ち、第
11図で示すようにAV値がA6とA7との間にある場合にはA7
=30.1に対応する折れ線グラフを例とし、初回矯正量
(BV値)を40とし、2回目の矯正増加分(BVD値)を4
とし、3回目の矯正増加分も同様に4として矯正を行
う。茲で、矯正ねらい値C1に入ったら、4回目の矯正増
加分(DV値)を1.5とし、更にもう一度矯正増加分(DV
値)を1.5として矯正し、目標とする矯正ねらい値C2〜C
3の範囲に入れて矯正作業を完了する。
発明の効果 以上の如く、本発明に係る軸線曲げ部を有する長尺品の
製造方法に依れば、初期曲げ形状のバラ付きが金属部材
にあっても十分に満足できる精度で矯正が行えるばかり
でなく、金属部材の矯正される軸線部分が目標となる曲
げ基準角度に対し、その曲げ基準角度を越えた小さい曲
げ角度範囲に曲げ加工されているから金属部材の材質の
バラ付き,ワークの種類,矯正個所,初期セット位置等
の矯正データを一方の曲げ角度範囲のみで捉えればよ
く、矯正条件を簡単に設定することができる。また、そ
の矯正条件の設定にあたっては金属部材の矯正される軸
線部分を目標となる曲げ基準角度に対して小さい範囲の
曲げ角度に曲げ加工することから、当該金属部材自体に
とって既に経過した加工領域内での戻し曲げ加工に基づ
いて決定できることにより未確定要素を含まないで定め
ることができ、矯正装置の矯正部を矯正データでペデス
タルコントロールできることから作業能率を極めて向上
するようにできる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係る方法で矯正する金属部材の軸線が
超過曲げされた初期曲げ形状を示す説明図、第2図は同
初期曲げ形状が超過曲げされた金属部材の分布をヒスト
グラムで示す説明図、第3〜5図は本発明に係る方法を
実施する矯正装置の説明図、第6図は本発明に係る方法
で用いる矯正データの設定条件を図表化して示す説明
図、第7図は同矯正データを求めるのに行ったエアー押
しトライによる試験結果を整理した折れ線グラフ、第8
図は同矯正データに基づく演算動作のフローチャートを
示す説明図、第9,10図は数回に分けて行う矯正量をスト
ロークで示す説明図、第11図は金属部材の矯正を一具体
例で示す説明図、第12図は本発明で矯正する長尺な金属
部材を断面で示す説明図、第13図は従来例に係る方法で
矯正する金属部材の初期曲げ形状を示す説明図、第14図
は同金属部材で生ずる軸線曲げのバラ付き分布をヒスト
グラムで示す説明図である。 S:金属部材、S0:金属素材、S1:金属部材の固定される
軸線部分、S2,S3:金属部材の矯正される軸線部分、
α:目標とする曲げ基準角度、β1,β2,β3…:目標
とする基準角度を越えた範囲の曲げ角度、10:矯正部。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】所定の横断面形状を有する長尺な直線状の
    金属素材(S0)の軸線を目標とする曲げ基準角度(α)
    に対し、その曲げ基準角度(α)を越えた小さい範囲内
    の曲げ角度(β2,β2,β3…)に軸線曲げして金属部
    材(S)を得る工程と、 前記曲げ加工された金属部材(S)を矯正される軸線部
    分(S2,S3)が偏位自在となるように矯正されない所定
    の軸線部分(S1)で固定し、 この金属部材(S)の固定された軸線部分(S1)の長手
    方向端末側に制御されて駆動する駆動源に連結された矯
    正手段の矯正部(10)を当接させ、その金属部材(S)
    の矯正される軸線部分(S2,S3)を曲げ基準角度(α)
    側に向けて一方側から複数回にわたり矯正部(10)で押
    圧して移動変形させる際に、最終回の矯正に近い移動量
    を順次減少させるようにして金属部材(S)の軸線を矯
    正曲げする工程とを含む軸線曲げ部を有する長尺品の製
    造方法。
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