JPH0669364B2 - 細胞培養用中空糸膜及び細胞培養器 - Google Patents

細胞培養用中空糸膜及び細胞培養器

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JPH0669364B2
JPH0669364B2 JP61159865A JP15986586A JPH0669364B2 JP H0669364 B2 JPH0669364 B2 JP H0669364B2 JP 61159865 A JP61159865 A JP 61159865A JP 15986586 A JP15986586 A JP 15986586A JP H0669364 B2 JPH0669364 B2 JP H0669364B2
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一 吉田
嘉昭 似鳥
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旭メデイカル株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 (発明の技術分野) 本発明は、細胞培養に好適な中空糸及び該中空糸を用い
た細胞培養器に関する。
(従来技術) 近年、モノクローナル抗体、インターフエロン、インシ
ユリン等の生体由来生理活性物質の医学的、産業的有用
性が明らかとなり、それに伴いこれらの高付加価値の有
用物質を効率よく生産するための大量かつ高密度の細胞
培養法の必要性が増加し、中空糸を用いた細胞培養法の
検討が栄んになりつつある。
細胞の生存率及び有用物質生産能を高く維持するために
は、細胞にとって良好な環境をいかに与えるかが重要で
あり、そのため栄養素や酸素の供給、老廃物の除去を連
続的にいかに効率よく行なうかが重要である。中級糸を
用いた細胞培養法(中空糸法)は、 中空糸を用いることによって限られた容積内に多くの
表面積を確保し、 栄養素や酸素の供給及び老廃物の除去を中空糸の膜方
向に開いた微小な孔(細孔)を通して連続的に拡散によ
り、或いは中空糸内外に設けた圧力差によって強制的に
行なうことにより良好な環境を与え、 よって、これまで得られなかった高い細胞密度、例え
ば付着性細胞では生体内に類似の3次元的組織様構造
を、中空糸内空間、若しくは中空糸外の複数の中空糸に
囲まれた空間に形成しうる。
即ち、中空糸法によって極めて高い細胞密度を達成し、
細胞の機能、有用物質生産能を高い水準に維持すること
ができるのである。
これまで細胞培養用中空糸膜に要求される条件として
は、中空糸膜壁に存在する孔径(特開昭56−42584号公
報)や、中空糸膜の酸素透過性、又、中空糸の膜そのも
のではなく複数の中空糸の配置に関する検討が為されて
いる。そして、細胞培養用の中空糸そのものとしては、
現在ポリスルフォン製のものが最も優れたものとされて
いる。
(発明が解決しようとする問題点) ポリスルフォン製中空糸は、これまで知られている他の
細胞培養用中空糸、例えばセルロース系中空糸に比べ
て、細胞の付着性、伸展性及び増殖性が優れている。し
かし、本発明者等の知見によれば、なるほどポリスルフ
ォン製中空糸は細胞の付着性、伸展性及び増殖性が若干
優れてはいるものの、現在一般に広く用いられているポ
リスチレン製ディッシュよりはるかに劣り、特に細胞の
増殖性、生存性において満足できるものではなかった。
浮遊細胞の培養に関しても、栄養素や酸素の供給、老廃
物の除去等の物質交換性が十分ではなく、細胞の増殖速
度はポリスチレン製ディッシュを用いた場合に比べては
るかに劣る等の問題点を有することが明らかになり、公
知のポリスルフォン製のものは中空糸形状の特性を十分
に発揮していないことが判った。
しかもポリスルフォンは疎水性であるため、水系液体で
ある培養液はその表面を濡らさず、細孔中への浸透が困
難である。一般に、疎水性中空糸を湿潤状態とするに
は、水と混合可能な低表面張力有機溶剤を細孔内に浸透
させた後水と置換する方法、或いは界面活性剤で疎水性
表面を処理する方法等がある。しかしこれらの方法で
は、用いた薬剤が、培養時に培養液中に溶出して細胞に
悪影響を及ぼす可能性があるため、これらの処理を行っ
た中空糸は中空糸法には好ましくない。そのため前記ポ
リスルフォン製中空糸では、培養液中の蛋白質が非常に
弱いながらも界面活性剤として作用することを利用し
て、使用前に培養液を長時間通液して湿潤状態にすると
いう大変に手間と時間のかかる前処理が必要であり、そ
のため操作性がいたって低い。
以上の様に、現在中空糸法において最も優れているとさ
れているポリスルフォン製中空糸には、細胞の付着
性、伸展性及び増殖性において未だ満足できるものでは
ない、物質交換性が不十分である、疎水性である為
湿潤化が困難であり、それに加えて強度が低く培養中
に破れて被培養細胞が漏れる、等の問題点があることが
判った。
(発明の目的) そこで本発明者等はより完成度の高い培養システムを得
る為に、中空糸形状に成形した際に栄養素や酸素の供給
及び老廃物の除去等物質交換性に優れ、浮遊細胞、付着
性細胞のいずれにも好適で、しかも細胞付着性も十分な
膜の材質について研究を行なった結果、本発明を完成す
るに至った。
(発明の構成) 本発明の細胞培養用中空糸膜は疎水性のポリオレフィン
からなる多孔質構造の支持膜と該支持膜の細孔表面を実
質的に被覆する、エチレン−ビニルアルコール系共重合
体被覆層からなる細胞培養用中空糸膜であるため、疎水
性多孔質膜と同様に培養液等の水系溶液との接触時に水
による膨潤ならびに水による強度低下が殆どなく、また
表面が親水性の被覆層で構成されているため湿潤化が容
易であり、操作性が極めて高い。また本発明の細胞培養
用中空糸膜は乾燥、湿潤を繰り返しても寸法変化、性能
の変化がほとんどないためその製造にあたってグリセリ
ンのような湿潤剤を用いることなく容易に乾燥ができ、
また親水化のための界面活性剤も不要なため、培養液を
汚染する溶出物を実質的に含まない清浄な多孔質膜であ
る。
本発明でいう細胞培養用中空糸膜とは、膜の一方の面へ
貫通した多数の細孔を有する膜であって、かつ該膜は多
孔質構造の支持膜と該支持膜の細孔表面を実質的に被覆
する、被覆層により構成されるものをいう。尚、支持膜
の細孔表面とは、培養液を透過するのに寄与できる貫通
した細孔の内壁表面と支持膜体の両表面をあわせたもの
をいう。多孔質構造を有する支持膜の一方の面の表面上
に超薄膜を形成させ逆浸透能をもたせ非対称型の複合膜
とは本質的に異なる。細胞培養用中空糸膜としては、そ
の孔径は培養液の十分な流れが得られる大きさであって
細胞が漏れなければ良く、具体的には0.02〜4.0μm、
更に好ましくは0.1〜2.0μmである。又、該膜の空孔率
は、同様に培養液の十分な流れが得られ、実用上の十分
な強度があれば良く、具体的には30〜90%、更に好まし
くは50〜80%であれば良い。該膜の膜厚や内径について
は、培養液の十分な流れが得られ、細胞がその表面に存
在しうる大きさであれば特に制限は不用であるが、しい
てあげれば膜厚、内径はそれぞれ1〜1000μm、0.01〜
10mmであれば良い。本発明者等の経験によれば、膜厚、
内径はそれぞれ10〜100μm、0.1〜1.0mmぐらいが実用
上特に適していた。
本発明に用いるエチレン−ビニルアルコール系共重合体
は、ランダム、ブロック、グラフト等いずれのタイプの
共重合体であっても良いが、該共重合体のエチレン含量
は20〜70モル%の範囲にあることが必要である。エチレ
ン含量が20モル%未満では、該重合体のポリオレフィン
に対する接着性が低く、支持膜と被覆層の剥離が起こり
好ましくない。又、70モル%を越えると被覆層の親水性
が失われ好ましくない。特に25〜50モル%のものが接着
性と親水性のバランスが良く好ましい。エチレン−ビニ
ルアルコール系共重合体は構成成分として支持膜となる
ポリオレフィンと共通の構造を有するエチレンを含有し
ているため良好な接着性が得られるものと考えられる。
支持膜の製法は通常の多孔質膜の製法を利用でき、湿式
層転換法、溶融相分離法、延伸開孔法など公知の方法が
採用できるが、その中でも延伸開孔法は、結晶性高分子
を中空糸状に成型した後、冷延伸により結晶ラメラ間を
開裂させ、さらに熱延伸により孔径を拡大させ多孔質構
造物とする方法であり、高分子素材に溶剤その他の添加
物を加えずに、延伸という物理的手段によって多孔質構
造物を製造するもので、残留溶剤等の問題が全くないの
で好ましい方法である。
細胞培養用中空糸膜の被覆層は、支持膜の細孔表面を実
質的に被覆していればよく、その被覆層の厚みは好まし
くは単分子層である約10Å以上であり、厚みの上限は特
に無い。被覆層の量を支持膜の単位細孔表面積当りの重
量で表すと約1×10-3g/m2以上2×10g/m2程度以下が
好ましい。
本発明の細胞培養用中空糸膜は以下の製法により製造で
きる。即ち、細胞培養用中空糸膜はポリオレフィンから
なる多孔質支持膜の細孔表面を、水混和性有機溶剤単独
又は、水混和性有機溶剤と水との混合溶剤に溶解したエ
チレン−ビニルアルコール系共重合体溶液で処理するこ
とにより、得られる。
エチレン−ビニルアルコール系共重合体溶液による処理
には、前記支持膜の細孔表面に該共重合体溶液を塗布せ
しめる工程及び、引き続き該共重合体溶液の溶剤を蒸発
除去させる乾燥工程が含まれる。
本発明のエチレン−ビニルアルコール系共重合体を溶解
させる有機溶剤は水混和性有機溶剤であり、該溶剤の沸
点以下の温度で水に対する溶解度が20重量%以上を示
し、かつヒルデブランドの溶解度パラメーターが9.5(c
al.cm-31/2以上の有機溶剤が好ましい。好ましい
有機溶剤の例としては、メタノール、エタノール、n−
プロパノール、イソプロパノール、sec−ブタノール、
t−ブタノール、シクロヘキサノール等のアルコール
類、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリ
セリン等の多価アルコール類、テトラヒドロフラン、ジ
オキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシ
ド、ジメチルアセトアミド、ホルムアミド、エチレンク
ロルヒドリン等が挙げられる。これらの中でもエタノー
ル、及びジメチルスルホキシドはエチレン−ビニルアル
コール系共重合体の溶解性も良く、低毒性であることか
ら特に好ましい。これらの有機溶剤は単独でも用いられ
るが、混和溶剤系でも用いることができ、特に水との混
和溶剤系は好ましい。エチレン−ビニルアルコール系共
重合体は非極性で疎水性を示すエチレン部分と、極性で
親水性のビニルアルコール部分とで構成されている。極
性の強い溶剤系に溶解させ、非極性のポリオレフィンに
コーティングした場合、非極性のエチレン部分がポリオ
レフィン側に局在し、極性のビニルアルコール部分が表
面側に局在しやすいと考えられる。この現象は被覆層と
支持膜の接着性が向上し、かつ被覆層表面の親水性が向
上することから好ましい現象である。上記の有機溶剤に
水を加え混合溶剤系とすることは溶剤の極性をより強く
することになり、上記現象が促進され好ましい。加える
水の割合はエチレン−ビニルアルコール系共重合体の溶
解性を阻止しない範囲内で大きい方が好ましく、エチレ
ン−ビニルアルコール系共重合体のエチレン含量、溶液
の温度等によりその割合は異なるが、例えば5〜60重量
%が好ましい範囲として挙げられる。用いるエチレン−
ビニルアルコール系共重合体濃度は被覆に適した任意の
濃度を選択できるが、例えば0.1〜5重量%程度の濃度
が適している。被覆処理一回の処理で完結しても良い
が、比較的低濃度で数回の処理を繰り返すこともでき
る。
エチレン−ビニルアルコール系共重合体溶液の温度は特
に限定されるものではないが、一般に高温の方がエチレ
ン−ビニルアルコール系共重合体の溶解性は良く、溶液
の粘度も低下するため好ましく、室温から100℃までの
範囲が好ましい。
被覆処理は支持膜を一定の形状に切断してバッチ式に処
理することもできるが、連続した中空糸状支持膜を長手
方向に走行させ連続的に処理することもでき、生産性に
優れた好ましい方法である。支持膜の形状が中空糸状で
あることは、連続的処理において問題とならない。なぜ
なら支持膜は構造が多孔質であるため、エチレン−ビニ
ルアルコール系共重合体溶液は支持膜の内部まで容易に
浸透し、中空糸外表面側よりのエチレン−ビニルアルコ
ール系共重合体溶液の供給によって被覆処理を行うこと
ができる。被覆処理に用いた溶液の乾燥方法は通常の乾
燥方法、例えば真空乾燥、熱風乾燥等を使用することが
でき、連続した支持膜を走行状態で連続的に乾燥するこ
ともできる。乾燥程度は細胞培養用中空糸膜が熱により
変形を受けない温度であれば良く、130℃以上が好まし
い。
こうして得られた細胞培養用中空糸膜は、細孔の平均孔
径が0.02〜4.0μmであり、水濡れ性が良く培養液によ
る湿潤操作性が高く、濾過性能が高いため栄養素や酸素
の供給及び老廃物の除去等物質交換性に優れ、湿潤時の
強度、寸法安定性、溶出物の点でも優れており、しかも
培養細胞に悪影響を及ぼすような抽出物を持たない。更
に後述する様に、本細胞培養用中空糸膜は、細胞付着性
においても良好な性能を示し、よって浮遊細胞、付着細
胞両者のいずれに対しても好適な培養用中空糸であり、
本細胞培養用中空糸膜を用いた細胞培養器は優れた細胞
培養性能を示す。
次に実施例をあげて具体的に説明する。尚、諸物性の測
定は下記の方法で行った。
[平均孔径(μm)] 水銀ポロシメータにより求めた孔径−空孔容積積分曲線
上で、全空孔容積の1/2の空孔容積を示す孔径。
[透水速度(1/hr.m2.mmHg)] エタノールによる親水化などの前処理は行わずに直接純
水に浸漬。25℃、50mmHgで測定。
[引張破断強度(Kgf/cm2)、引張破断伸度(%)] インストロン型引張試験機にて、歪速度200%/分で測
定。
[支持膜の細孔表面積(m2/g)] BET式表面積測定機にて、窒素吸着量により測定。
(実施例1) 高密度ポリエチレン(密度0.968、MI値5.5、商品名ハイ
ゼックス2208J)を円形二重紡口を用いて、紡口温度150
℃で紡糸し、得られた中空糸を115℃で2時間アニール
処理した後、室温で30%、ついで第1段で97℃、第2段
で113℃、第3段で115℃で合計で350%熱延伸を施し中
空糸状ポリエチレン多孔質構造の支持膜を得た。この中
空糸状ポリエチレン支持膜の内径は320μm、膜厚は45
μm、細孔表面積は21m2/gであった。エチレン含量29
モル%のエチレン−ビニルアルコール共重合体(ソアノ
ールD、日本合成化学工業社製)を75容量%エタノール
水溶液に加熱溶解させ、1.0重量%溶液とした。該溶液
の温度を50℃に維持し、前記中空糸状ポリエチレン支持
膜を該溶液中に浸漬し、1分間放置した。次いで過剰の
共重合体溶液を除いた後、50℃の熱風で1.5時間乾燥し
た。
得られた複合多孔質膜、即ち細胞培養用中空糸膜の内径
は320μm、膜厚50μm、被覆層の量3.7×10-3g/m2
平均孔径0.72μmであった。本細胞培養用中空糸膜は水
濡れ性が良く、水に浸すと容易に濡れ、特別の処理無し
に透水量15.4l/hr.m2.mmHgと優れた透水性を示した。
本細胞培養用中空糸膜の乾燥時の引張破断強度は513Kgf
/cm2と高い強度を示し、引張破断伸度は30%であり、
湿潤時の引張破断強度510Kgf/cm2、引張破断伸度31%
と乾燥時、湿潤時共差を認めなかった。更に乾燥、湿潤
を十回繰り返したが、透水性の低下、機械的特性の変化
は認められなかった。
次に、上記細胞培養用中空糸膜の溶出物の有無を、抗体
産生融合細胞の抗体産性能への影響にて測定した。細胞
培養用中空糸膜1gを2回蒸溜水30mlに浸し、密栓して12
1℃にて1時間溶出を試みた。この液(溶出操作液)を
別に滅菌した2回蒸留水にて未希釈より64倍希釈までの
2倍階段希釈列のつくり、試験に供した。対照として溶
出操作液を含まない滅菌した2回蒸留水を用いた。試験
は以下の様にして行った。該溶出操作液希釈列の各液
(検体)又は対照0.45mlにそれぞれ2倍濃度RPMI−1640
倍養液0.45ml、ウシ胎児血清0.1mlを加えたものにて、
抗ヒトIgGモノクローナル抗体産性能を持つマウス−マ
ウス融合細胞(SG−16)2×104細胞を、37℃、5%CO2
下にて3日間培養した後、その上清中の抗ヒトIgGモノ
クローナル抗体量を酵素免疫測定法にて測定した。ここ
で、SG−16は常法に従ってマウスひ臓細胞とマウスミエ
ローマ細胞であるP3−X63−Ag8−U1株とをポリエチレン
グリコール存在下で融合して得た。酵素免疫測定法は、
抗原として清製ヒトIgG(シグマ社製、米国)を、2次
抗体としてアルカリフォスファターゼ標識抗マウスIgG
抗体(マイルス社製、米国)、酵素基質としてパラニト
ロフェニルリン酸を用いて行った。又、抗ヒトIgGモノ
クローナル抗体量の標準液として、別に無血清培養液に
てSG−16を培養して得られた培養上清をプロテインA−
セファロース(ファルマシア社製、スウェーデン)を用
いたアフィニティークロマトグラフィーにより精製した
ものを使用した。
上清中の総抗ヒトIgGモノクローナル抗体量は、対照で
5.0mgであったのに対して、いずれの検体も4.5〜5.5mg
の値を示し、かつ溶出操作液の濃度に依存した抗ヒトIg
Gモノクローナル抗体量の低下傾向は認められなかっ
た。
即ち、121℃、1時間の処理で、SG−16の抗ヒトIgGモノ
クローナル抗体合成を阻害する様な溶出物な認めず、本
細胞培養用中空糸膜は優れた安全性を示した。
(実施例2) 付着性細胞の本細胞培養用中空糸膜への付着性を証明す
るために、以下の実験を行った。実施例1で得た細胞培
養用中空糸膜をガラス製カバーグラス(24×32mm)上に
長辺方向に並べ、シリコン接着剤(サイラスティック、
ダウコーニング社製、米国)にて固定した。別に比較例
として細胞培養用ポリスルフォン中空糸を用いて培養を
行なった。ポリスルフォン中空糸は、芳香族ポリスルフ
ォン(ユニオンカーバイト社製、米国)10重量%、ジメ
チルアセトアミド70重量%、エチレングリコール20重量
%の混液を脱泡して原液とした。該原液は円形二重紡口
を用いて3.3ml/分にて30℃のフロロカーボン液中(鉛
直上向きに1.5m)に紡出した。この時中空形成剤として
水を3.4ml/分で導入した。水槽を通過後、巻取速度20m
/分で巻取り、水洗して125℃、1時間オートクレーブ
処理した。こうして得たポリスルフォン中空糸は、内径
360μm、膜厚80μmであった。このポリスルフォン中
空糸は細胞培養用中空糸膜と同様にしてカバーグラスに
固定した。固定したポリスルフォン中空糸は、あらかじ
め70%エタノール水にて湿潤化の後2回蒸留水にて十分
に洗浄した。
これら固定した、細胞培養用中空糸膜及びポリスルフォ
ン中空糸は121℃、20分オートクレーブ滅菌し、細胞培
養用ディッシュ(ファルコン3003、ベクトン・ディッキ
ンソン社製、米国)内に置いた。これらに、付着性細胞
であるHeLa2×10個を添加し、10%ウシ胎児血清を含む
イーグルMEM培養液にて5日間培養した。5日目に、メ
タノール固定、ギムザ染色後、顕微鏡下にて観察した。
結果を第1図及び第2図に示す。第1図で明らかなよう
に、本細胞培養用中空糸膜ではHeLa細胞は均一に広がっ
て増殖しており、しかも個々のHeLa細胞の伸展性も良
く、ここには示さないが現在最も優れた細胞付着性を示
すものとされている該細胞培養用ディッシュにおけるそ
れと同様であった。これに対してポリスルフォン中空糸
ではHeLa細胞はコロニー状に増殖し、細胞の伸展も不十
分であり、本細胞培養用中空糸膜に比べてポリスルフォ
ン中空糸の細胞付着性及び増殖性は良くなかった。この
様に、本細胞培養用中空糸膜は優れた細胞付着性及び増
殖性を示した。
(実施例3) 細胞培養用中空糸膜を用いて中空糸法にて、細胞の培養
を行った。培養に用いた回路を第3図に示す。実施例1
で得た細胞培養用中空糸膜150本(図中2)を、両端が
開き、表面に2ケ所の細胞注入/取出口(図中3)を設
けたガラス管(φ8.4×94mm)に、ポッティング材とし
てシリコンを用いて固定下し、中空糸法用細胞培養用ガ
ラス管モジュール(以下細胞培養器と称す、図中1)を
作成した。
細胞培養器、培養液留(リザーバー、図中4)、及びシ
ゴキポンプ(図中5)に装着するシゴキチューブ(図中
6)をシリコン・チューブ(図中7)にて接続して閉鎖
回路を形成し、121℃、20分間オートクレーブ滅菌し
た。この細胞培養器の、細胞培養用中空糸膜外側にSG−
16細胞5×106細胞を2ケ所の細胞注入/取出口より加
え、リザーバーに10%ウシ胎児血清を含むRPMI−1640培
養液100mlを添加、シゴキポンプにて流速約1ml/分で細
胞培養用中空糸膜内に培養液を循環させて、37℃、5%
CO2下にて培養した。ここで流速約1ml/分は、ポリスル
フォン中空糸で良く用いられている流速5〜10ml/分に
比べてはるかに低流速である。低流速で培養できること
は、水細胞倍培養用中空糸膜が栄養素や酸素の供給及び
老廃物の除去等物質交換性に優れているからである。こ
うして低流速で培養できることは、シゴキポンプの耐久
性を増し、大きなメリットである。
該培養液は必要に応じて取り替えた。又、培養開始後5
日目より流速約2ml/分とした。培養開始後、3日、8
日及び10日目に細胞培養器内のSG−16をすべて取り出し
て、トリパンブルーにて染色して生細胞数のカウントし
た。
培養結果を第4図に示す。SG−16細胞は培養開始後対数
的に増殖し、培養8日目には生細胞数2.4×108細胞(生
存率72%=生細胞数/総細胞数(%))、培養10日目に
は生細胞数で3.9×108細胞(生存率68%)にまで達し
た。これは、細胞培養器内容積(2.1ml)より換算する
と、生細胞密度は約2×108細胞/mlにもなり、通常一
般に用いられている他の培養方法(106細胞/mlオーダ
ー)に比べてはるかに高い密度で培養できた。更に、実
施例2のポリスルフォン中空糸を用いて同様のモジュー
ルを作成して培養した場合に比べ、はるかに早い増殖速
度であり、かつ、はるかに高い生存率であった。
即ち、本細胞培養用中空糸膜は、栄養素や酸素の供給及
び老廃物の除去等物質交換性に優れた、中空糸法に適し
た膜であり、本細胞培養用中空糸膜を用いた細胞培養器
は、浮遊性細胞の培養において優れた性能を示した。
(実施例4) 実施例3と同様にして細胞培養器を作成し、回路を接続
して付着性細胞であるHeLaの培養を行った。比較例とし
て実施例2で得たポリスルフォン中空糸を用いて同様に
して試験した。最初の添加細胞数5×105細胞、培養液
は、10%ウシ胎児血清を含むイーグルMEM培養液を用い
た。HeLa添加後3時間静置し、その後流速約0.5ml/
分、培養4日目より流速約1ml/分とした。但し、ポリ
スルフォン中空糸を用いガラス管モジュールの流速は予
備実験によりもとめた至適流速約5ml/分とした。培養
液は適宜交換した。細胞の回収は、ダルベッコのPBS
(−)(Dulbecco'sPBS(−))で洗浄後、トリプシン
液(ダルベッコのPBS(−)にトリプシン0.25%、エチ
レンジアミン四酢酸(EDTA)0.02%を溶解した液)にて
処理して行った。
結果を第5図に示す。図中Aは本細胞培養用中空糸膜に
よる増殖曲線、Bはポリスルフォン中空糸による増殖曲
線である。生死の判定はトリパンブルーにて行った。He
Laは培養開始後対数的に増殖し、培養8日目には生細胞
数3.3×107(比較例5.2×106、培養7日目)、培養14日
目には生細胞数1.9×108(比較例1.8×107)となった。
尚、ここには示さないが細胞の生存率も本細胞培養用中
空糸膜で明らかに高値を示した。
測定できた細胞数は、細胞培養用中空糸膜の表面積(約
150cm)に相当する面積で単層培養した場合に比べて、
2桁も高い生細胞数であり、よって、HeLa細胞が3次元
的に増殖していることを示していることになる。
即ち、本細胞培養用中空糸膜を用いた細胞培養器は、付
着性細胞の培養においても優れた性能を示した。
(発明の効果) 本細胞培養用中空糸膜は、細胞付着性、栄養素や酸素の
供給及び老廃物の除去等物質交換性に優れ、しかも湿潤
操作が容易で、湿潤時の強度、膨潤等の特性に優れてお
り、更に培養細胞に悪影響を及ぼす溶出物も無い、付着
性細胞、浮遊性細胞両者のいずれの培養にも好適な細胞
培養用中空糸膜である。よって、本細胞培養用中空糸膜
を用いた細胞培養器もまた、付着性細胞、浮遊性細胞両
者のいずれの培養にも好適な、優れた培養器である。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例2で本細胞培養用中空糸膜にHeLa細胞を
培養した時の、生物の形態を示す顕微鏡写真である。第
2図は比較例としてポリスルフォン中空糸にHeLa細胞を
培養した時の、生物の形態を示す顕微鏡写真である。第
3図は細胞培養用中空糸膜を用いた中空糸法による培養
システムの1例である。第4図は実施例3でSG−16を培
養した時の増殖曲線、第5図は実施例4でHeLaを培養し
た時の増殖曲線で、Aは本細胞培養用中空糸膜による増
殖曲線、Bはポリスルフォン中空糸による増殖曲線であ
る。 1……ガラス管、5……シゴキポンプ 2……細胞培養用中空糸膜、6……シゴキチューブ 3……細胞注入/取出口、7……シリコンチューブ 4……培養液溜

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリオレフィン多孔質膜からなる中空糸で
    あって、該膜の細孔表面がエチレン含量20〜70モル%、
    ケン化度80%以上のエチレン−ビニルアルコール系共重
    合体により実質的に被覆されている細胞培養用中空糸
    膜。
  2. 【請求項2】ポリオレフィン多孔質膜からなる中空糸で
    あって、該膜の細孔表面がエチレン含量20〜70モル%、
    ケン化度80%以上のエチレン−ビニルアルコール系共重
    合体により実質的に被覆されている細胞培養用中空糸膜
    を用いた細胞培養器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5924732A (ja) * 1982-08-02 1984-02-08 Mitsubishi Rayon Co Ltd 親水化多孔質膜およびその製造方法
JPS6125477A (ja) * 1984-07-16 1986-02-04 Teijin Ltd 毛管型細胞培養器

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